説明

新規苦味マスキング剤を含む医薬組成物

本発明は、経口的に施される医薬組成物についての新規苦味マスキング剤に関する。ある医薬的に許容可能な界面活性剤が、医薬的に活性な化合物のいくつかの苦味のうちの苦味をマスクし得ることを見出した。本発明は、特に、エピナスチン又はキニンを含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、経口的に施される医薬組成物用の新規苦味マスキング剤に関する。ある医薬的に許容可能な界面活性剤が、いくつかの苦味のある医薬的に活性な化合物の苦味をマスクし得ることを見出した。本発明は、特には、エピナスチン又はキニンを含む組成物に関する。
技術分野の状況
医薬組成物が苦味を有する場合には、それらを、苦味をマスクするための甘味剤と混合することができる。多くのうち、苦味を有する医薬的に活性な物質は、エピナスチン及びキニンである。
3−アミノ−9,13b−ジヒドロ−1H−ジベンズ−[c,f]イミダゾール[1,5−a]アゼピン及びその酸付加塩として化学的に知られるエピナスチンは、最初、EP 0035749のベースを形成する独国出願P 30 08 944.2に開示されている。
化学的なエピナスチンは、アミノ塩基であり、及び以下の式により表され、それは立体化学特性を反映していない:
【化1】

【0002】
エピナスチンは、遊離塩基として又はそれらの医薬的に許容可能な塩としてのいずれかで使用することができる。好ましくはエピナスチンは、塩酸塩として使用する。
本発明に関連して更に特定しない限り、用語エピナスチンは、遊離塩基で及び医薬的に許容可能な塩で使用する。
その製造方法は、EP 0496306又はWO 01/40229に記載されている。
他のもののうちエピナスチンは、アレルギー、痛み、特には慢性の痛み及び炎症が原因である痛み、片頭痛、喘息、鼻炎、結膜炎及び/又は気管支炎を治療するためのものである(例えばEP-B-0 035 749、EP 1000623)。特には、エピナスチンは、アレルギー、皮膚炎、鼻炎、結膜炎、気管支炎及び喘息を治療するためのものである。
エピナスチンは、日本において、商品名Alesion(登録商標)の下に販売されており、及びその抗ヒスタミン作用のために使用されることがほとんどである。
エピナスチンについては、経口投与ルート(タブレット、シロップなど)が好ましく、及び苦味をマスクするために、甘味剤を組成物に添加することができる。
他の興味ある薬理学的に活性な物質はキニンである。キニンは、キノリン−アルカロイド及び従って再びアミノ塩基である。キニンは、依然として、マラリアを治療するために使用されており、それは、解熱、鎮痛、筋弛緩特性を有し、及びまた、陣痛(labour-pain)(出産)を誘導するために使用され得る。キニンは、苦味を有することがよく知られており、及び従って、それは、清涼飲料水用添加剤としてさえ使用される。その苦味特性のために、それは、また、製剤の苦味を評価するための参照物質として使用される。
【0003】
発明の記載
驚くべきことに、エピナスチン及びキニンなどの薬理学的に活性な物質の苦味が、ラウリル硫酸ナトリウムによりマスクすることができることを見出した。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)としても知られるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)は、アニオン性界面活性剤である。
本発明の目的は、苦味を有する活性成分の、苦味のない医薬組成物を生じさせることである。
本発明に関連して、本発明の対象である苦味は、例えば、苦味のある物質の苦味を妨害し得る甘味剤と混同されるべきではない。
発明の詳細な記載
本発明の目的は、苦味のある活性物質を含む医薬製剤及び製剤にイオン性界面活性剤を添加することにより該苦味をマスクすることである。
界面活性剤は、テンシド(tensid)として使用可能な疎液性及び親液性(lyophibic)特性を有する化合物である。それらは、特に、化学粒子及び界面活性剤が液体中において一緒に混合される場合に化学粒子の表面に容易に干渉する。特別なケースにおいては、界面活性剤のこれらの疎液性及び親液性特性は、水に関して見られ、疎水性及び親水性特性とも称される。界面活性剤は、そのような液体、例えば水又はアルコール様エタノール及びそれらの中に溶解又は懸濁されるべき粒子の間の界面であり得る。
【0004】
大抵、界面活性剤は、分子レベルで親油性及び親水性部分を有する。親油性部分は、大抵、極性化学基、例えば−O−、−OH、−COOH、−OSO32、−アミノ、−アルキルアミン又は−アルキルジアミンを有さないアルキル残基である。そのような基は、分子の親水性部分を形成する。
酸基を有する界面活性剤は、それらがそれらの塩形態にある場合に“アニオン性”と称される。塩基性基を有する界面活性剤は、それらがそれらの塩形態にある場合に“カチオン性”と称される。界面活性剤は、好ましくは、それらの塩形態にある。本発明に関連して、界面活性剤の水溶性塩が好ましい。
本発明に関連して、用語“アニオン性界面活性剤の塩”は、アルカリ性イオン、アルカリ土類性イオン、アンモニウム又は低級アルキルモノ、ジ又はトリアミンとの塩を形成するアニオン性基を有する界面活性剤である。用語“低級アルキル”は、C1-6アルキル、特には、C1-4アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルを意味する。
アニオン性界面活性剤は、脂肪アルコール−スルフェート、脂肪アルコール−ホスフェート及び脂肪酸の好ましい薬理学的に許容可能な塩である。好ましい脂肪酸は、C8-21アルカン酸である。より好ましいものは、C10-18アルカン酸である。アルカン酸は、飽和であっても不飽和(insature)であってもよい。好ましいものは、飽和のものである。これらのうち以下の酸が好ましい:ラウリル酸(laurylic acid)(飽和C12)、ミリスチン酸(myrisitinc acid)(飽和C14)、パルミチン酸(飽和C16)、パルミトレイン酸(palmitoleinic acid)(9−ヘキサデセン酸)、オレイン酸(シス−9−オクタデセン酸)、ステアリン酸(飽和C18)、リノール酸(Z,Z,9−12オクタデカジエン酸(octadecadienic acid))、リノレン酸(Z,Z,Z,9−12−15−オクタデカジエン酸)、アラキドン酸(5−8−11−14−エイコサテトラエン酸(eicosatetraenic acid))。最も好ましいものは、C10-14アルカン酸、特には、ラウリル酸(飽和C12)及びミリスチン酸(飽和C14)である。
【0005】
脂肪アルコール−ホスフェートのうち、以下のものが好ましい:CH3−(CH2n−OPO3-(nは、9〜20、好ましくは9〜17及びより好ましくは9〜13の整数である)。
脂肪アルコール−スルフェートのうち、以下のものが好ましい:CH3−(CH2n−OSO3-(nは、9〜20、好ましくは9〜17及びより好ましくは9〜13の整数である)。
最も好ましい脂肪アルコール−スルフェートは、ラウリルスルフェート(n=11)である。
脂肪アルコール−スルフェートは、アニオン性界面活性剤として好ましい。
これらの酸は、上述したようなそれらの医薬的に許容可能な塩の形態で使用される。特に好ましいものは、アルカリ性塩で、これらのうち、リチウム−、ナトリウム、カリウム塩が好ましい。最も好ましいものは、ナトリウム塩である。
最も好ましい苦味マスキング剤は、アニオン性界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムである。
カチオン性界面活性剤の例は、CH3−(CH2n−NR12(nは、9〜20、好ましくは9〜17及びより好ましくは9〜13の整数であり;R1及びR2は、H又は互いに独立してC1-6アルキル、特にはC1-4アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルである)である。
【0006】
これらの塩基は、上述したようなそれらの医薬的に許容可能な塩の形態で使用される。特に、好ましいものは、酸、例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸、H3PO4、クエン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、酢酸とそれらの塩である。
アニオン性又はカチオン性界面活性剤が使用されるべきか否かの選択は、苦味のある活性成分の化学的性質に依存する。この成分が性質上塩基又は塩基の塩である場合には、アニオン性界面活性剤を使用する。苦味のある成分が、性質上酸性又は酸の塩である場合には、カチオン性界面活性剤を使用する。
イオン性界面活性剤の量は、その性質及び苦味のある成分の量に依存する。その量は、苦味をマスクするのに十分なものでなければならず、及び薬理学的に許容可能な投与量を越えないものでなければならない。界面活性剤の量は、0.01〜99.9%w/wであり、好ましくは0.1〜60%w/wであり、より好ましくは0.5〜30%w/wである。別に記載のない限り、w/wは、組成物の質量あたりの質量を意味する。
ラウリル硫酸ナトリウムのケースにおいては、好ましい量は、苦味のある成分の質量あたりで0.1〜50質量%であり、好ましくはその量は、苦味のある成分の質量あたりで10質量%未満である。1日あたりの最大量は、300mgである。成分の量が、組成物の質量あたりで約0.1質量%である場合には、SLSの量は、組成物の質量あたりで0.01〜99.9質量%であってもよい。
【0007】
本発明に関連して、苦味のある活性物質としては、塩基性物質が好ましい。より好ましいものは、アミノ基を有するそのような薬理学的に活性な有機物質である。アミノ基は、第1級、第2級、第3級又は第4級アミノ作用を有していてもよい。そのような物質としては、エピナスチン及びキニンがある。両物質とも、遊離塩基、塩酸塩、スルフェートなどの形態で使用することができる。
上述したように、エピナスチンが特に好ましい。
同一物を含む医薬組成物は、上述したいずれかで施すことができる(当該技術分野の状況のパラグラフも参照されたい)。
好ましい組成物においては、エピナスチンの量は、0.05〜60%w/wであり、より好ましくは0.5〜30%w/wである。
キニンを含む好ましい組成物においては、その量は、1〜80%w/wであり、より好ましくは10〜50%w/wである。
これらの成分のうち、本発明の組成物は、他の医薬的に許容可能なアジュバント及び添加剤を含んでいてもよい。
組成物は、タブレット、シロップ、溶液、懸濁液又は経口的に施すことが可能なほかの組成物の形態にあってもよい。
液体組成物においては、水、水−エタノール−混合物又はエタノールが液体として好ましい。特に好ましいものは水である。本発明は、また、肺に吸入されるべきエアゾール組成物において使用することができる。そのような組成物として、液体媒体又はプロペラント駆動物(proppellant driven one)としての水、水−エタノール−混合物又はエタノールを有する組成物がある。
【0008】
アジュバント又は添加剤として、組成物は、甘味剤、例えばサッカリンナトリウム、エリトリトール、アスパルテーム、糖及び当誘導ポリオール、例えばスクロース、D−ソルビトール、グリセリン及びD−マンニトール、グリシルリジン酸塩(glycyrrhizinate)を含んでいてもよい。
他の種の添加剤は、得られる液体のpH値を好ましくは5〜8、好ましくは6〜7に調整するためのpH調整剤である。そのような薬剤としては、クエン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、クエン酸塩、酢酸塩、ビタミンC、塩酸、炭酸塩、リン酸塩、リン酸二ナトリウム、リン酸モノナトリウム、ナトリウム−、カルシウム−、カリウム−及び/又はマグネシウム−水酸化物がある。好ましいものは、リン酸二ナトリウムなどの緩衝物質である。
【0009】
更に通常使用される他の添加剤を、場合により使用してもよい。
これらのものとしては以下のものがある:
−結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、スターチ、デキストリン、ゼラチン、及びポリビニルピロリドン、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、
−流動化剤、例えば水和二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、
−芳香剤、例えばサンフィックスオレンジNo.22734(商品名、オレンジフレーバー(30%w/w)、アカシア(30%w/w)及びデキストリン(40%w/w)を含むのが好ましいサンフィックスオレンジ)、オレンジオイル、ハッカ油、ユーカリストロベリーフレーバー、バニラフレーバー、ヨーグルトフレーバー及び当該技術分野において既知の他のフレーバー、
−着色顔料、例えばフードイエローNo.5、また、サンセットイエローFCF(6−ヒドロキシル−5−(4−スルホフェニルアゾ)−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩)とも称され、後者が好ましく、酸化鉄、及び他の食品着色顔料、例えば、フードレッドNo.3、102、105及び106、フードイエローNo.4として日本において知られるもの及び当該技術分野において既知の他の食品着色料、及び/又は
−防腐剤、例えば安息香酸、それらの塩、好ましくは安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸、それらの塩及び他の既知の防腐剤、安息香酸ナトリウムが好ましく、及び
−発泡剤、例えば重炭酸塩。
【0010】
本発明の別の態様は、特には、上述したように、アニオン性界面活性剤及び薬理学的に活性な塩基性有機成分の新規塩、及び上述したように、カチオン性界面活性剤及び約理学的に活性な酸性有機成分の塩に関する。そのような塩は、薬理学的に活性な塩基性勇気成分又はそれらの塩をアニオン性界面活性剤と混合する代わりに、又は、薬理学的に活性な酸性有機成分をカチオン性界面活性剤と混合する代わりに使用することができる。そのような塩の利点は、活性成分及び界面活性剤が、界面活性剤の味マスキング作用を保持しながら1つの化学的統一体(entity)を表すことである。これらのうち、新規塩は、ラウリル硫酸エピナスチン及びラウリル硫酸キニンである。
本発明は、いずれも鏡像異性、ラセミ形態又はそれらの塩における、上述したようなアニオン性界面活性剤、好ましくはSLS及びエピナスチンのパウダー様組成物(ドライシロップ)に関し、それは、使用前に水と混合される。そのようにするために、ハウダーは、水中に非常に急速に溶解する必要がある。
本発明に関連して、用語“パウダー”は、用語“ドライシロップ”と同時に使用され、それは、順に、活性形態のエピナスチン、好ましくはエピナスチン−塩酸塩、及び水と混合されたときに活性物質の水性甘味組成物を形成するのに必要な医薬的に許容可能な添加剤及びアジュバントの本質的に水を含まない混合物を意味する。
場合により、組成物は、更に、エピナスチンにより生じる急速作用及び遅延性苦味をマスクするための甘味剤を含んでいてもよい。急速作用性苦味をマスクするために、サッカリンナトリウム、エリトリトール及び/又はアスパルテームが効果的であることが分かった。他の適切な化合物のグループは、糖及び糖誘導ポリオール、例えばスクロース、D−ソルビトール、グリセリン及びD−マンニトールを含む。好ましくは、組成物は、サッカリンナトリウム、エリトリトール及び/又はアスパルテームを含む。最も好ましいものは、サッカリンナトリウム、エリトリトール及びアスパルテームの組み合わせである。
【0011】
急速作用性苦味をマスクするためのこれらの甘味剤の量は、使用される薬剤に依存する。サッカリンナトリウムのケースにおいては、それは、パウダー組成物の0.1〜2.0%w/wである。好ましくは、その量は、0.8%である。
エリトリトールのケースにおいては、それは、パウダー組成物の50〜95%w/wである。好ましくは、その量は、75〜80%w/wであり、最も好ましくは、それは、80%w/wである。
また、アスパルテームのケースにおいては、それは、パウダー組成物の1〜30%w/wである。好ましくは、その量は、5〜15%w/wであり、最も好ましくは、それは、10%w/wである。
遅延性苦味をマスクするために、グリシルリジン酸塩が非常に効果的であることが分かった。それらのうち、グリシルリジン酸及び/又はグリシルリジン酸モノアンモニウムが好ましいものである。最も好ましいものは、グリシルリジン酸モノアンモニウムである。
パウダー組成物中におけるグリシルリジン酸モノアンモニウムの量は、パウダー組成物の0.1〜3.0%w/wである。より好ましくは0.1〜1%w/wであり、及び最も好ましくは0.6%である。
組成物は、更に、アジュバントを含んでいてもよく、それらのうち、例えば、pH調整剤及び上述した他の薬剤がある。
【0012】
エピナスチン及びその塩の量は、パウダー組成物の0.5〜5%w/wである。より好ましい量は、0.5〜2%w/wであり、最も好ましい量は、1%である。
パウダー組成物は、好ましくは、エピナスチン又はそれらの医薬的に許容可能な塩でない活性物質を含まない。活性物質、好ましくはエピナスチン塩酸塩及び全ての添加剤は、パウダーに混合され、及び次いで、パウダーが水と混合されて、好ましくは、液体組成物を得る。液体組成物は、溶液、サスペンション又はコロイドのいずれかであってもよいが、好ましい液体組成物は、透明な(transparent and clear)水溶液である。
パウダーに代えて、タブレット、例えば発泡性(effervescent)タブレットを使用してもよい。
パウダー組成物又はそれらの代替品を水と混合して、5〜50mlあたり250mgから10〜100mlあたり2000mgの濃度を有する液体を得るのが好ましくk、好ましくはその量は、10mlあたりで50〜2000mgである。エピナスチン塩酸塩を使用する場合、本発明に関する量は、遊離塩基についてと(およそ)同一である。
患者が容易に液体組成物を製造することができることを確実なものとするために、本発明のパウダー組成物(ドライシロップ)又はそれらの代替品は、いくつかのパッケージにデリバリーすることができる。これらのパッケージにおいては、水及び本発明のパウダー組成物が互いに別々に貯蔵される。パッケージは、更に、両成分を単純な方法で混合することを可能にする。
【0013】
それらの結果として、本発明は、また、2成分、a)本発明のパウダー組成物及びb)水を含むキットに関し、両成分は、互いに分離されている。
当該技術分野における状況においては、特別なキャップを有するいくつかのボトルが、この問題を解決することが知られている。大抵、そのようなパッケージにおいては、液体溶剤を、ガラス、プラスチック、金属などのボトル中に貯蔵することができ、一方、ボトルを閉じるキャップは、ドライパウダー組成物を得るためのチャンパーを含む。使用前に、患者は、キャップのパウダーをとり、それをボトル中において水と混合することができる。この混合工程は、意識的に行うことができ、患者が、積極的に、パウダーをとり及び水に入れることを意味する。他の実施態様においては、患者は、パウダーを含むチャンバーにおけるバリヤを取り除く(put away)するために、キャップ又はボトルを例えばねじる、圧縮する、振とうすることにより及びそれをキャップからボトルに落ちることを可能にすることにより、より自動的に混合工程を開始することができる。
そのようなパッケージは、例えば、EP 0599189、EP 0344849、EP 0217425、EP 0093090、US 3802604及び他のものに開示されている。これにより、これらの全ては参考文献として本願明細書に導入される。他の、同様の内容も使用することができる。また、そのようなパッケージは、ドライシロップ組成物を形成し、アルミニウム又はプラスチックバッグ又はアルミニウム又はプラスチックボトル中に貯蔵することができる。そのように貯蔵されるパウダーは、次いで、予め測定された量の水と共に使用され、他のパッケージ中に貯蔵され又は新鮮に充填された飲料水が使用される。
他のパッケージ系も使用することができる。
本発明に関連して、パウダー組成物は、また、圧縮して、水中に溶解するタブレット、例えば発砲性タブレットにすることができる。そのような実施態様においては、タブレット−まさにパウダー組成物−は、付加的に、発泡剤、例えば重炭酸塩を含んでいてもよい。
【0014】
実施例
実施例1:
0.1gのエピナスチン塩酸塩及び0.2gのSLSを10gの水中に溶解した(サンプル1)。
0.1gのエピナスチン塩酸塩を10gの水中に溶解した(サンプル2)。
サンプル2(SLSを含まない)は、サンプル1(SLSを含む)より明らかに苦味のあるものであった。SLSは、水中においてエピナスチン塩酸塩の苦味を有意に抑制した。
実施例2:
0.1gのキニン塩酸塩及び0.3gのSLSを10gの水中に溶解した(サンプル3)。
0.1gのキニン塩酸塩を10gの水中に溶解した(サンプル4)。
サンプル4(SLSを含まない)は、サンプル3(SLSを含む)より明らかに苦味のあるものであった。
実施例3:
苦味がマスクされたドライシロップの製造手段は以下のとおりである:
1.SLSを除くエピナスチン塩酸塩ドライシロップの全ての成分を粒状化する(サンプル5)。
2.水中のSLS溶液(5%w/w)をドライシロップに対して流動床造粒機においてスプレーする(サンプル6〜8)。
3.サンプル5とサンプル6〜8との味を比較する。









【0015】
表1配合

結果
苦味におけるサンプルの程度(order)は、添加されるSLSの量に対応する。
サンプル8(SLS3%)は、それらのうちで最も味のよいものである。
サンプル5とサンプル8の比較:試験において、13人のうち11人が、“サンプル5(SLS0%)は、サンプル8(SLS3%)より明らかに苦味がある”と回答した。
【0016】
実施例4
新規乾燥及び水性エピナスチン−シロップ組成物0.5%。
















【0017】
新規乾燥及び水性エピナスチン−シロップ−組成物1.0%

*オレンジフレーバー(30%w/w)、アカシア(30%w/w)及びデキストリン(40%w/w)を含むサンフィックスオレンジNo.22734(商品名)。
**フードイエローNo.5の別名は、サンセットイエローFCF(6−ヒドロキシル−5−(4−スルホフェニルアゾ)−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エピナスチン及び/又はそれらの酸付加塩、好ましくは塩酸塩をベースとする活性剤及びb)ラウリル硫酸ナトリウムを含み、及びc)場合により更に、甘味剤及び/又は香味料などの医薬的に許容可能なアジュバントを含んでもよい医薬パウダー組成物。
【請求項2】
2種の甘味剤を含み、1つが、サッカリンナトリウム、エリトリトール、アスパルテーム及び/又は糖又は他のポリオール、例えばスクロース、グリセリン、D−ソルビトール及びD−マンニトールより選ばれるエピナスチンの急速作用性の苦味をマスクするためのものであり、及び他方が、エピナスチンの持続性の苦味をマスクするためのものである請求項1に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項3】
2種の甘味剤を含み、1つが、エピナスチンの急速作用性の苦味をマスクするためのものであり、及び他方が、グリシルリジン酸塩又はグリシリン酸より選ばれ、好ましくはモノ−、ジ−アンモニウムのグリシルリジン酸塩、ジ−、トリ−ナトリウムのグリシルリジン酸塩及び/又はグリシルリジン酸二カリウム、最も好ましくはグリシルリジン酸モノアンモニウムより選ばれる長期作用性の苦味をマスクするためのものである請求項1又は2に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項4】
更に、クエン酸、クエン酸塩、コハク酸、酒石酸、酢酸、酢酸塩、ビタミンC、塩酸、炭酸塩、ナトリウム−、カルシウム−、カリウム−及び/又はマグネシウム−水酸化物、リン酸塩、好ましくはリン酸二ナトリウム及び/又はリン酸モノナトリウム、最も好ましくはリン酸モノナトリウムより選ばれるpH調整剤を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項5】
更に、芳香剤、着色顔料、防腐剤、フロー剤及び/又は結合剤からなる群より選ばれる少なくとも1つのアジュバントを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項6】
0.5〜5%w/wの量のエピナスチン塩酸塩、0.05〜50%w/w、好ましくはエピナスチンの質量あたりで10〜50質量%の量のラウリル硫酸ナトリウム、0.1〜2.0%w/wの量のサッカリンナトリウム、50〜95%w/wの量のエリトリトール、1〜30%w/wの量のアスパルテーム、0.1〜30%w/wの量のグリシルリジン酸モノアンモニウム、及び場合により、リン酸二ナトリウム、フマル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、水和二酸化ケイ素、オレンジフレーバー、アカシア、デキストリン及び6−ヒドロキシ−5−(4−スルホフェニルアゾ)−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項7】
エピナスチン塩酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、グリシルリジン酸モノアンモニウム、サッカリンナトリウム、フマル酸ナトリウム、エリトリトール、アスパルテーム、ヒドロキシプロピルセルロース、水和二酸化ケイ素、オレンジフレーバー、アカシア、デキストリン及び6−ヒドロキシ−5−(4−スルホフェニルアゾ)−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項8】
発泡剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬パウダー組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物の成分を含む医薬タブレット。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物又は請求項9に記載のタブレットを水と混合することにより得ることが可能な液体組成物。
【請求項11】
組成物が溶液である請求項10に記載の液体組成物。
【請求項12】
組成物が分散体である請求項10に記載の液体組成物。
【請求項13】
pHを5〜8に、好ましくは6〜7に調整する量の請求項6に記載のpH調整剤を含む請求項11又は12に記載の液体組成物。
【請求項14】
10mlあたり0.09〜35mg、好ましくは0.4〜18mgのエピナスチンの量により特徴付けられる請求項11〜13のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項15】
10mlあたり0.1〜40mg、好ましくは0.5〜20mgのエピナスチン塩酸塩の量により特徴付けられる請求項11〜13のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項16】
250〜2000mgの請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物又は請求項9に記載のタブレットが、10〜100mlの水と混合される請求項11〜15のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項17】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分及び苦味をマスクするイオン性界面活性剤を含む医薬製剤。
【請求項18】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分が塩基であり及びイオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤であり、又は、苦味のある薬理学的に活性な有機成分が酸であり及びイオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤である請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分が塩基であり及びアニオン性界面活性剤が、脂肪アルコール−スルフェート、脂肪アルコール−ホスフェート又は脂肪酸の塩であり、それらの各々が、8〜21個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する請求項17又は18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分が塩基であり及びアニオン性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである請求項17〜19のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分が酸であり、界面活性剤が8〜21個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する脂肪アルコール−アミンの塩より選ばれるカチオン性界面活性剤である請求項17又は18に記載の医薬製剤。
【請求項22】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分が、エピナスチン又はそれらの薬理学的に許容可能な塩又はキニン又はそれらの薬理学的に許容可能な塩である請求項17〜20のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項23】
苦味のある薬理学的に活性な有機成分の量が、0.01〜80%w/wである請求項17〜22のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
ラウリル硫酸ナトリウムの量が、0.01〜99.9%w/wである請求項17〜20、22及び23のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
アニオン性界面活性剤及び薬理学的に活性な塩基性有機成分の塩及びカチオン性界面活性剤及び薬理学的に活性な酸性有機成分の塩。
【請求項26】
薬理学的に活性な有機成分が塩基又はそれらの塩であり及び界面活性剤が、a)脂肪酸、例えばC8-21アルカン−酸、b)脂肪アルコール−ホスフェート、例えばCH3−(CH2n−OPO3-(nは、9〜20、好ましくは9〜17及びより好ましくは9〜13の整数である)又はc)脂肪アルコール−スルフェート、例えばCH3−(CH2n−OSO3-(nは、9〜20、好ましくは9〜17及びより好ましくは9〜13の整数である)より選ばれるアニオン性界面活性剤である請求項25に記載の塩。
【請求項27】
薬理学的に活性な有機成分が酸又はそれらの塩であり及び界面活性剤が、CH3−(CH2n−NR12(nは、9〜20、好ましくは9〜17及びより好ましくは9〜13の整数であり;R1及びR2は、H又は互いに独立してC1-6アルキル、特にはC1-4アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルである)より選ばれるカチオン性界面活性剤である請求項25に記載の塩。
【請求項28】
活性成分がエピナスチン又はそれらの薬理学的に許容可能な塩又はキニン又はそれらの薬理学的に許容可能な塩である請求項25又は26に記載の塩。
【請求項29】
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである請求項28に記載の塩。
【請求項30】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物又は請求項9に記載のタブレット、及びパウダー及び水が一緒に混合される場合には、請求項10〜16のいずれか1項に記載の液体組成物を得るための、それらと分離された水のキットを含むパッケージ。
【請求項31】
パッケージが、手動式で又はキャップをボトル上にねじる又は圧縮することにより容易に開口され得る、チャンバーを含むキャップを有するボトルであり、チャンバーが、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物又は請求項9に記載のタブレットを含み及びボトルが水を含む請求項30に記載のパッケージ。
【請求項32】
請求項10〜16のいずれか1項に記載の組成物を得るために水と混合するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物の使用又は請求項9に記載のタブレットの使用。
【請求項33】
アレルギー、痛み、特には慢性の痛み及び炎症が原因である痛み、片頭痛、喘息、鼻炎、結膜炎及び/又は気管支炎の治療用、好ましくはアレルギーの治療用医薬製剤を製造するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項34】
アレルギー、痛み、特には慢性の痛み及び炎症が原因である痛み、片頭痛、喘息、鼻炎、結膜炎及び/又は気管支炎を治療する、好ましくはアレルギーを治療する方法であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物又は請求項9に記載のタブレットを水と混合して、請求項10〜16のいずれか1項に記載の液体組成物を得て及びこの組成物を患者に施すことを特徴とする方法。
【請求項35】
異なる成分を一緒に混合することにより請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物を製造する方法。
【請求項36】
異なる成分を一緒に混合し及び次いでそれらを圧縮することにより請求項9に記載のタブレットを製造する方法。
【請求項37】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー組成物又は請求項9に記載のタブレットを水と混合することにより請求項10〜16のいずれか1項に記載の液体組成物を製造する方法。

【公表番号】特表2006−519202(P2006−519202A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501918(P2006−501918)
【出願日】平成16年2月21日(2004.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001737
【国際公開番号】WO2004/075900
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】