説明

新規2環性複素環化合物

【課題】神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症等のSNSが関与する疾患に対する治療作用又は予防作用を示す、SNS阻害活性を有する薬物を提供する。
【解決手段】式(1):


[式中、R1はハロゲン原子等を表し、R2は水素原子等を表すか、又はR1とR2が結合して5〜7員環を形成してもよく、mは0〜5の整数を表し、R7は水素原子等を表し、R3及びR4は独立して置換もしくは無置換のアルキル基等を表し、R8及びR9は独立して水素原子等を表し、nは1〜6の整数を表し、Aはフッ素原子等を表す。]で表される化合物等、又はその薬学的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2環性複素環として2−キノロン骨格を有する新規な化合物又はそれらの医薬として許容される塩を有効成分として含有するSNS(sensory neuron specific sodium channel)の関与する病態全般に対する治療薬又は予防薬に関する。具体的には、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症等の疾患の治療薬又は予防薬に関する。
【背景技術】
【0002】
1953年にホジキンスとハクスレーによって神経活動の本体がNaチャネルであることが示され、その後、Naチャネル阻害剤は抗不整脈あるいは局所麻酔薬として開発され続けた。1961年になって、Naチャネル阻害剤のひとつであるリドカインに鎮痛効果があることが発見され、臨床において鎮痛薬としての適応が開始された。しかしながら、Naチャネルは筋肉や心臓など非神経組織にも存在するため、全身投与による副作用が問題として残された。
一方、分子生物学の進歩に伴い、Naチャネルのサブタイプが次々と明らかとなり、Naチャネルのポアを形成するαサブユニットは現在10種類存在することが知られている。sensory neuron specific sodium channel(知覚神経特異的Naチャネル) すなわちSNSとは、かかるNaチャネルαサブユニットのひとつであり、神経の知覚に関与する後根神経節の小径細胞(C繊維)に局在するテトロドトキシン(TTX)抵抗性Naチャネルであり、SCN10A、PN3、又はNaV1.8とも呼ばれる(非特許文献1,2)。SNSのノックアウトマウスは機械的な刺激に対して無感覚症となっていることや、神経因性疼痛あるいは炎症性疼痛モデルにおいて、SNSに対するアンチセンスの投与により、知覚過敏および知覚異常が減弱されることが報告されている。
従って、SNS阻害剤は、C繊維が関与する痛み、しびれ感、灼熱感、鈍痛等を伴う神経因性疼痛や侵害受容性疼痛などの疾患に対して鎮痛効果を示す薬剤になり得ると考えられた。さらにSNSが非神経組織や中枢神経に発現しないことから、SNSを選択的に阻害する薬剤は、非神経組織や中枢神経由来の副作用がない薬剤になり得ると考えられた。
【0003】
また、排尿障害においては、その主症状である頻尿はC繊維の過活動に起因すること、すなわち、過活動膀胱や膀胱痛には下部尿路からの求心性知覚神経路の機能異常が関与しており、膀胱からのC線維知覚神経の抑制が奏効することが明らかとなりつつある(非特許文献3)。従って、C繊維の神経活動の本体となるSNSを阻害する薬剤は、新規な作用点を有する排尿障害の治療薬又は予防薬となることが期待される。
一方、C繊維にしか認められないSNSが、多発性硬化症の患者の小脳プルキンエ細胞において異所的に発現し、小脳の異常発火パターンの発生に関与していることが、最近報告された(非特許文献4)。従って、SNS阻害薬は、多発性硬化症において、SNS発現に伴う小脳神経の異常発火による運動失調などの症状の誘発に対する、初めての治療薬又は予防薬となることが期待される。
【0004】
以下に、前記疾患の臨床現場での治療の現状を示す。
(1)神経因性疼痛 (neuropathic pain)
神経因性疼痛とは、外傷が無いか、あるいは完治により組織の炎症性の関与が無く、神経損傷や神経刺激が原因で自発的な痛みや慢性的な痛みを発症している疼痛を指す。例えば腰部術後神経痛、糖尿病性神経症、帯状疱疹後神経痛、反射性交感神経性、幻肢痛、脊損傷、末期癌性、遷延性術後疼痛が挙げられる。神経因性疼痛に対し、アスピリンなどのNSAIDS(non-steroidal anti-inflammatory drugs,非ステロイド抗炎症薬)は全く無効であり、モルヒネなどのオピオイドは薬物耐性や精神症状惹起が問題となっている。
現在、神経因性疼痛を効能として上市されている薬剤は、糖尿病性神経症を適応症とするメキシレチンのみである。メキシレチンは鎮痛効果が認められるものの、Naチャネルへの選択性が無いことから副作用が懸念され、高用量による服用ができないことが報告されている。その他、幾つかの薬剤が臨床において補助的に適応されている。例えば、抗鬱薬(スルピリド、トラゾドン、フルボキサチン、ミルナシプラン)、アドレナリン作動薬(クロニジン、デキサメデトミジン)、NMDA受容体拮抗薬(塩酸ケタミン、デキストロメトルファン)、抗不安薬(ジアゼパム、ロラゼパム、エチゾラム、塩酸ヒドロキシジン)、抗痙攣薬(カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、ゾニサミド)、カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、塩酸ベラパミル、塩酸ロメリジン)などが挙げられ、いずれも補助的に使用されている。以上のことから、非神経組織および中枢神経由来の副作用がなく、且つ痛みに特異的に鎮痛効果を示す決定的な治療剤は存在しない。
【0005】
(2)侵害受容性疼痛 (nociceptive pain)
侵害受容性疼痛とは、組織の傷害等により、機械、温熱又は化学的な侵害刺激による侵害受容器(Aδ、C繊維)の活性化に起因する疼痛を指す。侵害受容器は、セロトニン、サブスタンP、ブラジキニン、プロスタグランジン、あるいはヒスタミンのような内因性化学刺激(発痛物質)によって感作される。侵害受容性疼痛として、腰痛、腹痛、慢性関節リウマチ、変形性関節症による疼痛が挙げられる。臨床においては、NSAIDS(アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、モフェゾラク、フルルビプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アンピロキシカム)、およびステロイド薬(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン)、PGE1(プロスタグランジンE1)(アルプロスタジル、リポ化アルプロスタジル、リマプロストアルプロスタジル)、PGI2(ベラプロストナトリウム)が使用される。
【0006】
(3)排尿障害(urinary disturbance)
排尿障害は主に頻尿・尿漏れ・残尿感・排尿痛を主症状とした疾患である。現在、過活動膀胱に対する薬物治療は、膀胱副交感神経路を抑制するムスカリン受容体阻害剤が中心であるが、その限界も明らかとなっている。バニロイド受容体刺激薬であるカプサイシンやレジニフェラトキシンは、C線維に特異的に作用しその機能を抑制することが報告されているが、C線維に局在するSNSに作用する薬剤は見出されていない。
【0007】
(4)多発性硬化症(multiple sclerosis)
多発性硬化症は、脱髄疾患の一種で、中枢神経系の白質に脱髄巣が散在し,その病巣も新旧様々である。病巣は側脳室周囲,視神経,脳幹,脊髄などの白質に好発する。組織学的には髄鞘が破壊され,軸索,神経細胞は侵されない。臨床症状は視神経炎,複視,眼振などの眼球運動障害,痙性麻痺,有痛性強直性痙攣発作、レルミット症候群、失調症,言語障害,膀胱直腸障害などの症状がいろいろな組み合わせで出現する。原因は不明であるが自己免疫疾患説,感染説などが唱えられている。現在、多発性硬化症に対する有効な予防薬および治療薬は存在しない。
【0008】
尚、SNS阻害作用を示す薬剤として、ピラゾールアミド化合物やピラゾールスルホンアミド化合物等のピラゾール誘導体、ピペリジン誘導体、及びピラゾロピリミジン誘導体が、これまでに開示されている(特許文献1,2,3)。
また、2−キノロン骨格を有する薬剤として、ドーパミンD4リガンドとして作用する精神神経疾患治療剤、インターロイキン−1の産生を阻害する抗炎症剤、及びカンナビノイド受容体に作用する免疫抑制剤が、これまでに開示されている(特許文献4,5,6)

【特許文献1】国際公開第03/037274号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/037890号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/037900号パンフレット
【特許文献4】国際公開第94/020471号パンフレット
【特許文献5】国際公開第91/007401号パンフレット
【特許文献6】国際公開第00/040562号パンフレット
【非特許文献1】Nature 379: 257, 1996
【非特許文献2】Pain 78: 107,1998
【非特許文献3】Urology 57: 116,2001
【非特許文献4】Brain Research 959: 235,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、SNSが関与する病態全般、具体的には神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症等の疾患に対する治療薬又は予防薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、2−キノロン骨格を有する化合物又はそれらの医薬として許容される塩が、ヒトSNS遺伝子発現細胞においてTTX抵抗性Naチャネルを阻害すること、すなわちSNS阻害活性を有することを見出した。

すなわち、本発明は、
〔1〕 式(1):
【0011】
【化1】

[式中、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1は、単結合、−O−、−OCH2−、又は式:−N(R11)−(式中、R11は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R10は、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。〕で表される基を表し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2は、単結合、−O−、−OCH2−、又は式:−N(R13)−(式中、R13は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R12は、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。〕で表される基を表すか、
又はR1とR2が結合して、5〜7員環を形成してもよい。
mは、0〜5の整数を表す。
7は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
3及びR4は独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表すか、又はR3とR4は結合して、それらが結合する窒素原子と共に、置換もしくは無置換の、5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよく、当該含窒素脂肪族複素環は、0〜2個の酸素原子、0〜2個の硫黄原子、及び1〜3個の窒素原子を含む。
8及びR9は独立して、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表すか、R8とR9が結合して、それらが結合する炭素原子と共に、3〜7員のシクロアルカンを形成してもよい。
nは、1〜6の整数を表し、複数のR8及び複数のR9は独立して、同一又は異なってよい。
Aは、以下の(a)〜(c):
(a)フッ素原子;
(b)式:−OR14で表される基
〔式中、R14は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表すか、R14と1つのR8が結合して、4〜7員の飽和もしくは不飽和の含酸素脂肪族複素環を形成してもよい。〕;
(c)式:−N(R5)−L3−R6で表される基
〔式中、L3は、−C(=O)−、−S(=O)2−、又は−C(=O)O−を表す。
5は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又はハロアルキル基を表し、
6は、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表すか、又は、R5とR6が結合してそれらが結合する−N−L3−と共に置換もしくは無置換の5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成するか、R5と1つのR8が結合して5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成するか、もしくはR6と1つのR8が結合して5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい。
ただし、R6が置換もしくは無置換のアミノ基を表すときは、L3は−C(=O)−又は−S(=O)2−である。〕
から選択される基を表す。]
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔2〕 R1が、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1、R10は、〔1〕と同義である。〕で表される基を表し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2、R12は、〔1〕と同義である。〕で表される基を表す、〔1〕に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔3〕 R1が、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1、R10は、〔1〕と同義である。〕で表される基を表し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2、R12は、〔1〕と同義である。〕で表される基を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔4〕 mが0〜2の整数を表し、R7が水素原子を表す、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔5〕 nが2〜3の整数を表し、複数のR8及び複数のR9が独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔6〕 Aがフッ素原子を表す、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔7〕 Aが式:−OR14〔式中、R14は〔1〕と同義である。〕で表される基である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔8〕 Aが式:−N(R5)−L3−R6〔式中、R5、L3、R6は〔1〕と同義である。〕で表される基である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔9〕 式(2):
【0012】
【化2】

〔式中、R1、R2、R7、R8、R9、A、m、及びnは、〔1〕と同義であり、
pは、1〜4の整数を表し、
4aは、水素原子、又はアルキル基を表し、
14は、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアミノ基、又は置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。〕
で表される、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩;
〔10〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする医薬;
〔11〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するSNS阻害剤;
〔12〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症の治療薬又は予防薬;
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、2−キノロン骨格を有する化合物又はそれらの医薬として許容される塩を含むSNS阻害剤が提供される。本発明のSNS阻害剤は、SNSが関与する病態全般に対する治療薬又は予防薬として有用であり、具体的には神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症等の患者に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を挙げることができる。
【0015】
「アルキル基」は直鎖もしくは分枝の炭素数1〜6のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基(1-プロピル基)、イソプロピル基(2-プロピル基)、ブチル基(1-ブチル基)、sec-ブチル基(2-ブチル基)、イソブチル基(2-メチル-1-プロピル基)、t-ブチル基(2-メチル-2-プロピル基)、ペンチル基(1−ペンチル基)、又はヘキシル基(1−ヘキシル基)を挙げることができる。中でも好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができる。
【0016】
「ハロアルキル基」としては、1〜5個の同一もしくは異なるハロゲン原子で置換された直鎖もしくは分枝の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的にはトリフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2-クロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4のハロアルキル基が挙げられる。
【0017】
「アルケニル基」は直鎖もしくは分枝の炭素数2〜6のアルケニル基を示し、具体的にはビニル基、1−プロペニル基、2-プロペニル基、1−メチルビニル基、1-ブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、3-ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基等を挙げることができる。中でも好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基を挙げることができる。
【0018】
「アルキニル基」は直鎖もしくは分枝の炭素数2〜6のアルキニル基を示し、具体的には、エチニル基、1-プロピニル基、2−プロピニル基、1-ブチニル基、1-メチル−2−プロピニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、1-へキシニル基等を挙げることができる。中でも好ましくは炭素数2〜4のアルキニル基を挙げることができる。
【0019】
「アルコキシ基」は直鎖もしくは分枝の炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、1-メチルエトキシ基、ブトキシ基、1−メチルプロポキシ基、2−メチルプロポキシ基、1,1−ジメチルエトキシ基、ペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基を挙げることができる。中でも好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
【0020】
「ハロアルコキシ基」としては、1〜5個の同一もしくは異なるハロゲン原子で置換された直鎖もしくは分枝の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはトリフルオロメトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2-クロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4のハロアルコキシ基が挙げられる。
【0021】
「アルキルチオ基」は直鎖もしくは分枝の炭素数1〜6のアルキルチオ基を示し、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、1-メチルエチルチオ基、ブチルチオ基、1−メチルプロピルチオ基、2−メチルプロピルチオ基、1,1−ジメチルエチルチオ基、ペンチルチオ基又はヘキシルチオ基を挙げることができる。中でも好ましくは炭素数1〜4のアルキルチオ基を挙げることができる。
【0022】
「アルキルカルボニル基」におけるアルキルとしては、前記アルキル基と同じものが挙げられる。好ましくはアルキルカルボニル基として、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等を挙げることができる。
【0023】
「アルキルカルボニルオキシ基」とは前記「アルキルカルボニル基」に酸素原子が結合した基を表す。
【0024】
「アルキルスルホニル基」におけるアルキルとしては、前記「アルキル基」と同じものが挙げられる。アルキルスルホニル基として好ましくは、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等が挙げられる。
【0025】
「アルコキシカルボニル基」におけるアルコキシとしては、前記「アルコキシ基」と同じものが挙げられる。好ましくはアルコキシカルボニル基として、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0026】
「1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基」におけるアルキル基としては、前記「アルキル基」と同じものが挙げられ、好ましくはメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等を挙げることができる。
【0027】
「シクロアルキル基」は3〜8員のシクロアルキル基を示し、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基を挙げることができる。中でも好ましくは4〜6員のシクロアルキル基を挙げることができる。
【0028】
「シクロアルケニル基」は4〜8員のシクロアルケニル基を示し、具体的にはシクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基を挙げることができ、結合位置は特に限定されない。中でも好ましくは5又は6員のシクロアルケニル基を挙げることができる。
【0029】
「飽和脂肪族複素環基」は、0〜3個の窒素原子、0〜2個の酸素原子及び0〜2個の硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜8員の飽和脂肪族複素環基を示し、結合位置は化学的に安定であれば特に限定されない。具体的には、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、アゼパニル基、アゾカニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、チオモルホリニル基、1,4−ジオキサニル基等を挙げることができる。
【0030】
「不飽和脂肪族複素環基」は、0〜3個の窒素原子、0〜2個の酸素原子及び0〜2個の硫黄原子から選択される1〜3個のヘテロ原子を含み、1〜3の二重結合を含む5〜10員の単環もしくは二環の不飽和脂肪族複素環基を示し、結合位置は化学的に安定であれば特に限定されない。具体的には、2−ピロリニル基、2−イミダゾリニル基、テトラヒドロイソキノリン基等を挙げることができる。
【0031】
「アリール基」は6〜10員のアリール基を示し、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基を挙げることができる。
【0032】
「アリーリオキシ基」、「アリールカルボニル基」、又は「アリールスルホニル基」における、アリール基とは、前記と同義を表す。
【0033】
「芳香族複素環基」は、0〜4個の窒素原子、0〜2個の酸素原子及び0〜2個の硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜10員の単環性もしくは二環性の芳香族複素環基を示し、結合位置は化学的に安定であれば特に限定されない。具体的には、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾリル基等を挙げることができる。
【0034】
「芳香族複素環オキシ基」、「芳香族複素環カルボニル基」、又は「芳香族複素環スルホニル基」における、芳香族複素環基とは前記と同義を表す。
【0035】
1における式:−L1−R10〔式中、L1は、単結合、−O−、−OCH2−、又は−N(R11)−(式中、R11は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R10は、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。〕で表される基において、L1が−OCH2−である場合、−OCH2−の左側に2−キノロン骨格が、右側にR10が結合していることを表す。R10における飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基としては、前記飽和脂肪族複素環基もしくは不飽和脂肪族複素環基と同じものが挙げられる。R10における芳香族複素環基としては、前記芳香族複素環基と同じものが挙げられ、好ましくは、ピリジル基、フリル基、チエニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等を挙げることができる。またR10において、飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、フェニル基、芳香族複素環基が置換されている場合の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、水酸基、アルキルチオ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。式:−L1−R10で表される基として、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のピリジル基、置換もしくは無置換のフェニルオキシ基、又は置換もしくは無置換のベンジルオキシ基を挙げることができ、中でも置換もしくは無置換のピリジル基、又は置換もしくは無置換のフェニルオキシ基が特に好ましい。
【0036】
2における式:−L2−R12〔式中、L2は、単結合、−O−、−OCH2−、又は−N(R13)−(式中、R13は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R12は、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。〕で表される基において、L2が−OCH2−である場合、−OCH2−の左側に2−キノロン骨格が、右側にR12が結合していることを表す。R12における飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基としては、前記飽和脂肪族複素環基もしくは不飽和脂肪族複素環基と同じものが挙げられる。R12における芳香族複素環基としては、前記芳香族複素環基と同じものが挙げられ、好ましくは、ピリジル基、フリル基、チエニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等を挙げることができる。またR12において、飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、フェニル基、芳香族複素環基が置換されている場合の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、水酸基、アルキルチオ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。式:−L2−R12で表される基として、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のピリジル基、置換もしくは無置換のフェニルオキシ基、又は置換もしくは無置換のベンジルオキシ基を挙げることができ、中でも置換もしくは無置換のピリジル基、又は置換もしくは無置換のフェニルオキシ基が特に好ましい。
【0037】
1とR2が結合して形成される5〜7員環とは、R1とR2とが隣り合った炭素原子に各々結合し、さらにR1とR2とが一緒になってトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、又はトリメチレンジオキシ基等を表すことにより形成される5〜7員環を表す。好ましくは、2−キノロン骨格の6位炭素原子に結合したR1と7位炭素原子に結合したR2とが一緒になって、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、又はトリメチレンジオキシ基を表すことにより形成される5〜7員環を表し、該5〜7員環が形成される場合の2−キノロン骨格として、具体的には、式(C1)〜(C6)に示したもの等が挙げられる。
【0038】
【化3】

またR1とR2が結合して形成される5〜7員環として、さらに好ましくは、2−キノロン骨格の6位炭素原子に結合したR1と7位炭素原子に結合したR2とが一緒になって、トリメチレン基、又はメチレンジオキシ基を表すことにより形成される5員環、すなわち前記の式(C1)と式(C4)が挙げられる。
【0039】
3とR4が結合してそれらが結合する窒素原子と共に形成される5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環としては、0〜2個の酸素原子、0〜2個の硫黄原子、及び1〜3個の窒素原子を含む5〜10員の0〜3の二重結合を有する含窒素脂肪族複素環が挙げられ、具体的には、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロイソキノリン等が挙げられる。
【0040】
8とR9が結合してそれらが結合する炭素原子と共に形成される3〜7員のシクロアルカンとして、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンが挙げられる。
【0041】
14とR8が結合して形成される4〜7員の飽和もしくは不飽和の含酸素脂肪族複素環としては、具体的には、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン等が挙げられる。好ましくはテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが挙げられる。
【0042】
5とR6が結合してそれらが結合する−N−L3−と共に形成される5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環、及びR6とR8が結合して形成される5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環としては、独立して、具体的には、式(C7)〜(C22)に示したもの等が挙げられる。
【0043】
【化4】

【0044】
5とR8が結合して形成される5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環は、0〜2個の酸素原子、0〜2個の硫黄原子、及び1〜3個の窒素原子を含み、具体的には、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、イミダゾリジン、ピペラジン、オキサゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロイソキノリン等が挙げられる。好ましくはピロリジン、ピペリジン、モルホリンが挙げられる。
【0045】
1として好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1、R10は、前記と同義である。〕で表される基が挙げられ、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1、R10は、前記と同義である。〕で表される基が挙げられる。具体的には、R1として好ましくは、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジメチルアミノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のピリジル基、置換もしくは無置換のフェニルオキシ基、又は置換もしくは無置換のベンジルオキシ基が挙げられ、中でもトリフルオロメトキシ基、置換もしくは無置換のピリジル基、又は置換もしくは無置換のフェニルオキシ基が特に好ましい。
2として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2、R12は、前記と同義である。〕で表される基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2、R12は、前記と同義である。〕で表される基が挙げられる。具体的には、R2として好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジメチルアミノ基、ピロリジノ基、モルホリノ基、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のピリジル基、置換もしくは無置換のフェニルオキシ基、又は置換もしくは無置換のベンジルオキシ基が挙げられ、中でも水素原子、トリフルオロメトキシ基、置換もしくは無置換のピリジル基、又は置換もしくは無置換のフェニルオキシ基が特に好ましい。
【0046】
7として好ましくは、具体的には、水素原子、メチル基、又はエチル基が挙げられ、水素原子、又はメチル基がより好ましく、中でも水素原子が特に好ましい。
mとして好ましくは、0〜2の整数が挙げられる。
8及びR9として好ましくは、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体的には、R8及びR9として好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はエチル基が挙げられ、水素原子、フッ素原子、又はメチル基がより好ましく、中でも水素原子が特に好ましい。
nとして好ましくは、2〜3の整数が挙げられる。複数のR8及び複数のR9は独立して、同一又は異なってよい。
5として好ましくは、具体的には、水素原子、メチル基、又はエチル基が挙げられ、水素原子、又はメチル基がより好ましく、中でも水素原子が特に好ましい。
【0047】
3及びR4として好ましくは、独立して水素原子もしくは置換もしくは無置換のアルキル基を表すか、又は、R3とR4が結合してそれらが結合する窒素原子と共に形成する置換もしくは無置換の5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環が挙げられる。
4としてより好ましくは、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられ、水素原子、又は無置換のアルキル基がさらに好ましく、中でも水素原子が特に好ましい。
4aとして好ましくは、水素原子が挙げられる。
3としてより好ましくは、置換のアルキル基が挙げられる。R3におけるアルキル基が置換されている場合の置換基としては好ましくは、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアミノ基、又は置換もしくは無置換のカルバモイル基が挙げられる。当該アリール基、当該芳香族複素環基として、具体的には、フェニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、インドリル基等が挙げられる。
【0048】
「アルキル基」、「アルケニル基」、又は「アルキニル基」が置換されている場合の置換基としては、以下の(i)〜(v)の群から選択され、同一もしくは異なる置換基が複数置換していてもよい:
(i)ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基;
(ii)置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基;
(iii)アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(iv)シクロアルキル基、シクロアルケニル基、飽和又は不飽和の脂肪族複素環基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、オキソ基、チオキソ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されてもいてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(v)アリール基、芳香族複素環基、アリールオキシ基、芳香族複素環オキシ基、アリールカルボニル基、芳香族複素環カルボニル基、アリールスルホニル基、芳香族複素環スルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕。
【0049】
「シクロアルキル基」、「シクロアルケニル基」、又は「飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基」が置換されている場合の置換基としては、以下の(vi)〜(x)の群から選択され、同一もしくは異なる置換基が複数置換していてもよい:
(vi)ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、オキソ基、チオキソ基;
(vii)置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基;
(viii)アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(ix)シクロアルキル基、シクロアルケニル基、飽和又は不飽和の脂肪族複素環基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、オキソ基、チオキソ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されてもいてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(x)アリール基、芳香族複素環基、アリールオキシ基、芳香族複素環オキシ基、アリールカルボニル基、芳香族複素環カルボニル基、アリールスルホニル基、芳香族複素環スルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕。
また、R3とR4が結合してそれらが結合する窒素原子と共に形成する5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環が置換されている場合の置換基、及びR5とR6が結合してそれらが結合する−N−L3−と共に形成する5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環が置換されている場合の置換基としては、独立して前記(vi)〜(x)の群から選択され、同一もしくは異なる置換基が1〜5個置換していてもよい。
【0050】
「フェニル基」、「アリール基」、「芳香族複素環基」、「アリールオキシ基」、「芳香族複素環オキシ基」、「アリールカルボニル基」、「芳香族複素環カルボニル基」、「アリールスルホニル基」、又は「芳香族複素環スルホニル基」の「アリール」又は「芳香族複素環」が置換されている場合の置換基としては、以下の(xi)〜(xv)の群から選択され、同一もしくは異なる置換基が1〜5個置換していてもよい:
(xi)ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基;
(xii)置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基;
(xiii)アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(xiv)シクロアルキル基、シクロアルケニル基、飽和又は不飽和の脂肪族複素環基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、オキソ基、チオキソ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されてもいてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(xv)アリール基、芳香族複素環基、アリールオキシ基、芳香族複素環オキシ基、アリールカルボニル基、芳香族複素環カルボニル基、アリールスルホニル基、芳香族複素環スルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕。
【0051】
「アミノ基」、「カルバモイル基」、又は「スルファモイル基」が置換されている場合の置換基としては、以下の(xvi)〜(xviii)の群から選択され、同一もしくは異なる置換基が複数置換していてもよい:
(xvi)アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルコキシカルボニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(xvii)シクロアルキル基、シクロアルケニル基、飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、オキソ基、チオキソ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されてもいてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕;
(xviii)アリール基、芳香族複素環基、アリールカルボニル基、芳香族複素環カルボニル基、アリールスルホニル基、芳香族複素環スルホニル基
〔これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいスルファモイル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよい芳香族複素換基から選択される置換基で1又は複数置換されていてもよい。当該アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基が挙げられ、当該アリール基及び当該芳香族複素換基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基が挙げられる。〕。
更に「アミノ基」、「カルバモイル基」、又は「スルファモイル基」上の2個の置換基が結合して隣接する窒素原子とともに、5〜10員の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい。
〔当該含窒素脂肪族複素環としては、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロイソキノリンが挙げられる。また、当該含窒素脂肪族複素環は、ハロゲン、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基から選択される基で1又は複数置換されていてもよい。〕
【0052】
一般式(1)で表される本発明化合物は、例えば以下に示す方法によって製造することができる。
一般式(1)中、R7が水素原子である式(1A)で示される本発明化合物は、例えば以下に示す方法によって製造することができる。
反応式−1
【0053】
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、m、n及びAは前記と同義である。)
式(1A)で表される化合物は、化合物(1−1)と所望のアミン化合物との還元的アミノ化反応をすることで製造することができる。また、化合物(1−1)と所望の1級アミン化合物との還元的アミノ化により化合物(1−2)を得た後に、所望のアルデヒドと還元的アミノ化することによっても製造することができる。溶媒としては、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどを用いることができる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウムなどを用いることができる。反応温度は−20℃から反応溶媒の還流温度までで、0℃から室温付近が特に好ましい。
【0054】
また、式(1A)の化合物は、化合物(1−2)から以下の反応式−2に示す方法でも製造できる。
反応式−2
【0055】
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、m、n及びAは前記と同義であり、Xはハロゲン原子、メシル基、トシル基などの脱離能を持つ置換基を表す。)
化合物(1−2)と式:R3−Xで表される化合物を塩基存在下、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの溶媒中、0℃から反応溶媒の還流温度で反応させることにより製造できる。塩基として、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウム t−ブトキシドなどを用いることができるが、特に限定はされない。
【0056】
さらに、式(1A)で表される化合物は、反応式−3で示される方法でも製造できる。
反応式−3
【0057】
【化7】

(式中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、m、n、A及びXは前記と同義である。)
化合物(1−3)と所望のアミン化合物を、塩基存在下、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの溶媒中、0℃から反応溶媒の還流温度で反応させることにより製造できる。塩基として、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウム t−ブトキシドなどを用いることができるが、特に限定はされない。
【0058】
一般式(1)中、R7が炭素数1〜6のアルキル基である式(1B)で示される本発明化合物は、例えば以下に示すように、式(1−4)から反応式−1と同様の方法によって製造することができる。
反応式−4
【0059】
【化8】

(式中、R1、R2、R3、R4、R8、R9、m、n及びAは前記と同義であり、R20は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0060】
前掲の化合物(1−1)中、mが0である化合物(1−5)は、例えば以下の反応式−5に示す方法で製造することができる。
反応式−5
【0061】
【化9】

(式中、R1、R2、R8、R9、n、A及びXは前記と同義であり、Protは保護基を表す。)
化合物(1−6)と市販または公知の方法によって得られる化合物(1−7)を、塩基存在下、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの溶媒中、0℃から反応溶媒の還流温度で反応させることにより製造できる。塩基として、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウム t−ブトキシドなどを用いることができ、より好ましくは炭酸セシウムが用いられる。この方法では、N−アルキル化体とO−アルキル化体の混合物を与える。より選択的にN−アルキル化体を得るには、化合物(1−6)のアルデヒドを保護し化合物(1−8)とした後、例えば文献(P.Curran et al, Tetrahedron Lett. 1995, 36, 8917)に従い、塩基として水素化ナトリウム、添加剤として臭化リチウムを用いると好結果を与える。Protの種類については当業者に良く知られたものを用いればよく、例えば「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(T. W. グリーンら著、John Wiley & Sons, Inc.発行 1991)」等を参考にすればよい。中でも、保護基Protとしてジメチルアセタールを用いることが好ましく、これはアセトン−水溶媒中、p−トルエンスルホン酸を用いて脱保護することができる。
【0062】
前掲の化合物(1−1)及び化合物(2−3)は、例えば以下の反応式−6に示す方法でも製造することができる。
反応式−6
【0063】
【化10】

(式中、R1、R2、R8、R9、m、n、A及びXは前記と同義である。)
化合物(2−1)から反応式−5と同様の方法により化合物(2−2)を得た後、二重結合の酸化反応により化合物(1−1)、又は化合物(2−3)を得ることができる。化合物(1−1)を得る酸化反応としては、オゾン分解が挙げられる。また、四酸化オスミウムでジオール化後、過ヨウ素酸ナトリウムや四酢酸鉛などにより酸化開裂してもよい。化合物(2−3)を得る酸化反応としては、ヒドロホウ素化と続く酸化反応が挙げられる。ヒドロホウ素化の試薬としては、例えば、ボラン、t−ヘキシルボラン、9−BBNなどが挙げられ、続く酸化反応としては、例えばスワン酸化、SO3−ピリジン酸化、PCC酸化などが挙げられる。
【0064】
前掲の化合物(1−3)は、例えば以下の反応式−7に示す方法によって製造できる。
反応式−7
【0065】
【化11】

(式中、R1、R2、R8、R9、m、n、A及びXは前記と同義である。)
化合物(1−3)は、化合物(1−1)を還元反応によりアルコールに変換後、水酸基を脱離基Xに変換することで製造することができる。還元工程は、溶媒として、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒を用い、還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどを用い、−78℃〜0℃で行う。脱離基への変換工程は、脱離基Xがメシル基、又はトシル基である場合には、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基存在下、対応する塩化物(メシルクロライド、トシルクロライド)を反応させることでメシル体、又はトシル体を得ることができる。脱離基Xがハロゲン原子である場合には、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション〔R.C.ラロック著、VCH パブリッシャーズInc.(1989)〕、第4版実験化学講座(丸善)、新実験化学講座(丸善)等に記載された方法に準じればよいが、例えば、ジクロロメタン中トリフェニルホスフィンと四臭化炭素を加えることで臭化物を得ることができる。
【0066】
化合物(1−2)中、R3が水素原子を表す化合物(2−4)は、例えば以下の反応式−8に示す方法により製造することができる。
反応式−8
【0067】
【化12】

(式中、R1、R2、R8、R9、m、n、A及びXは前記と同義である。)
化合物(2−4)は、化合物(1−3)とシアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムを反応させることによりニトリル化を行い、続いて還元反応を行うことにより製造できる。ニトリル化においては、溶媒としてはN,N’−ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、反応温度としては室温から溶媒の還流温度が挙げられる。ニトリル基の還元反応は、水素化ジイソブチルアルミニウムや水素化リチウムアルミニウムなどの金属水素化物により、または、Pd−Cなどを用いる接触水素添加により行うことができる。具体的には、化合物(1−3)をN,N’−ジメチルホルムアミド中、室温でシアン化ナトリウムと反応させニトリル体を得た後、ジクロロメタン中、過剰量の水素化ジイソブチルアルミニウムを0℃で加えることで、化合物(2−4)を得ることができる。
【0068】
前掲の化合物(1−4)は、例えば以下の反応式−9に示す方法によって製造できる。
反応式−9
【0069】
【化13】

(式中、R1、R2、R8、R9、R20、m、n及びAは前記と同義である。)
化合物(1−4)は、化合物(1−1)を市販または公知であるR20−MgBr(炭素数1〜6のアルキルマグネシウムブロミド)やR20−Li(炭素数1〜6のアルキルリチウム)と反応後、2級水酸基を一般的な方法で酸化することで製造することができる。具体的には、mが0である化合物(1−1)に対し、メチルマグネシウムブロミドをテトラヒドロフラン中0℃で反応させ、得られるアルコールを二酸化マンガンで酸化することにより得ることができる。
【0070】
前掲の化合物(1−6)、及び化合物(2−1)は、例えば以下の反応式−10に示す方法によって製造できる。
反応式−10
【0071】
【化14】

(式中、R1、R2及びmは前記と同義である。)
化合物(1−6)は化合物(2−5)を加水分解することにより製造することができ、化合物(2−1)は化合物(2−6)を加水分解することにより製造することができる。これらの加水分解は酸性あるいは塩基性条件下加熱することで行えるが、酸性条件下で行うことがより好ましい。酸としては、酢酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等が用いられ、溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、酢酸、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水、又はこれらの混合溶媒が用いられる。反応温度は、室温から溶媒の還流温度である。
【0072】
前掲の化合物(2−5)、及び化合物(2−6)は、例えば文献(O. Meth-Cohn et al, J. Chem. Soc. Perkin I, 1981, 1520.)の方法に従い、以下の反応式−11に示す方法により製造することができる。
反応式−11
【0073】
【化15】

(式中、R1、R2及びmは前記と同義である。)
具体的には、化合物(2−7)、又は化合物(2−8)を、3〜10当量のオキシ塩化リン、1〜4当量のN,N’−ジメチルホルムアミドと混ぜ、加熱することにより化合物(2−5)、又は化合物(2−6)を製造できる。化合物(2−5)を製造するには、7当量のオキシ塩化リン、2.5当量のN,N’−ジメチルホルムアミドを用いるのが好ましく、化合物(2−6)を製造するには、7当量のオキシ塩化リン、1.5当量のN,N’−ジメチルホルムアミドを用いるのが好ましい。
【0074】
前掲の化合物(2−7)は、以下の反応式−13に示す方法により製造することができる。
反応式−12
【0075】
【化16】

(式中、R1及びR2は前記と同義である。)
化合物(2−7)は、市販あるいは公知化合物である置換アニリンを、塩基存在下、無水酢酸又はアセチルクロリドを用いて、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの溶媒中、0℃から室温で、アセチル化することにより製造することができる。塩基として、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどを用いることができるが、特に限定はされない。
【0076】
前掲の化合物(2−8)は、以下の反応式−13に示す方法により製造することができる。
反応式−13
【0077】
【化17】

(式中、R1、R2及びmは前記と同義である。)
化合物(2−8)は、市販あるいは公知化合物である置換アニリンを、塩基存在下、市販あるいは公知であるカルボン酸から塩化オキザリルなどを用いて変換できる酸塩化物と、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの溶媒中、0℃から室温で反応させることにより製造することができる。塩基として、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどを用いることができるが、特に限定はされない。
【0078】
一般式(1)において、nが2又は3の整数を表し、mが0を表し、R7、複数のR8、及び複数のR9が全て水素原子を表し、Aが式:−N(R5)−L3−R6である本発明化合物、すなわち一般式(1C)で表される本発明化合物は、例えば以下の反応式−14に示す方法によっても製造することができる。
反応式−14
【0079】
【化18】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びL3は前記と同義であり、qは1又は2の整数を表す。)
式(1C)で表される化合物は、化合物(3−1)と酸ハライド、酸無水物、スルホニルハライド、イソシアナート、クロロホルメートなどとの縮合反応により製造することができる。例えば、化合物(3−1)を無水酢酸とピリジン中、室温で反応させることでアセチル体を、ジクロロメタン中、トリエチルアミン存在下メタンスルホニルクロリドを0℃から室温で反応させることでメタンスルホニル体を得ることができる。
【0080】
前掲の式(3−1)で表される化合物は、例えば、式(3−3)で表される化合物から以下の反応式−15で示される方法で製造できる。
反応式−15
【0081】
【化19】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、q及びXは前記と同義である。)
化合物(3−3)から、前記反応式−7に示した脱離基への変換工程と同様の製造方法で化合物(3−2)を製造できる。化合物(3−1)への変換は、反応式−3と同様の方法により行える。R5が水素原子の場合は、例えば、フタルイミドカリウムを反応させ、酸や塩基、ヒドラジンなどで加水分解することで得ることができる。
【0082】
前掲の式(3−3)で表される化合物は、例えば式(1−6)で表される化合物から以下の反応式−16で示される方法で製造できる。
反応式−16
【0083】
【化20】

(式中、R1、R2、R3、R4、X及びqは前記と同義であり、Protは保護基を表す。)
化合物(3−3)は、化合物(1−6)から前記反応式−1と同様の方法で得られる化合物(3−4)を化合物(3−6)と前記反応式−5と同様の方法により反応させた後、脱保護することで化合物(3−3)を製造できる。Protの種類、脱保護については当業者に良く知られたものを用いればよく、例えば「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(T. W. グリーンら著、John Wiley & Sons, Inc.発行 1991)」等を参考にすればよい。保護基としてt−ブチルジメチルシリル基を用いるのが好ましく、これはフッ化テトラブチルアンモニウムで脱保護することができる。又は、化合物(1−6)を先に化合物(3−6)と反応させ化合物(3−5)を得た後、還元的アミノ化、脱保護をすることで化合物(3−3)を得ることもできる。
【0084】
一般式(1)において、mが0を表し、R1が置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基である場合、すなわち一般式(1D)で表される本発明化合物は、例えば以下の反応式−17に示す方法によって製造することができる。
反応式−17
【0085】
【化21】

(式中、R2、R3、R4、R8、R9、n及びAは前記と同義であり、Yは置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。)
化合物(1D)は、化合物(4−2)から反応式−1と同様の方法で得ることができる。化合物(4−2)は、化合物(4−1)と所望のボラン酸化合物とパラジウム触媒、リガンド、塩基を用い、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン、エタノールなどの溶媒中、室温から溶媒の還流温度で反応させることで製造できる。パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム、トリスベンジリデンアセトンジパラジウムなどが挙げられるが、特に限定はされない。リガンドとしては、トリフェニルフォスフィン、トリ-o-トリルフォスフィン、トリ−t−ブチルフォスフィンなどが挙げられるが、特に限定はされない。塩基として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどが挙げられるが特に限定はされない。溶媒として、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン、エタノールなどが挙げられるが特に限定はされない。
【0086】
前記各反応については、本明細書実施例及び、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーション〔R.C.ラロック著、VCH パブリッシャーズInc.(1989)〕、第4版実験化学講座(丸善)、新実験化学講座(丸善)等に記載された方法に準じればよい。
また、上述の製造方法において用いられる原料化合物は、市販品を用いたり、当業者に公知の方法を用いたりして、適宜調製することができる。
また、本発明の化合物又はそれらの薬学上許容される塩を製造する際、任意の工程で必要に応じて、水酸基、カルボキシル基もしくはアミノ基等の官能基を保護・脱保護することができる。保護基の種類、保護・脱保護の方法については、当業者に良く知られたものを用いればよく、例えば「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(T. W. グリーンら著、John Wiley & Sons, Inc.発行 1991)」等を参考にすればよい。
【0087】
一般式(1)で表される化合物は、必要に応じて医薬として許容される無機酸又は有機酸との酸付加塩あるいはアルカリ付加塩とすることができる。そのような酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、及びギ酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ヒドロキシベンゼンスルホン酸塩、ジヒドロキシベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸との塩が、また、薬理学的に許容されるアルカリ付加塩としては、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
また、本発明には、一般式(1)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩の水和物、エタノール溶媒和物等の溶媒和物も含まれる。さらに、本発明には、一般式(1)で表される化合物のあらゆる互変異性体、光学異性体等の立体異性体、及びあらゆる態様の結晶形のものも包含されている。これらは、当業者に良く知られているシリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、再結晶などの方法を用いて、適宜精製することが出来る。
前記光学異性体を純粋に得るためには、当業者に公知の光学分割法を用いればよい。具体的には、本発明の化合物もしくはその中間体が塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N−ベンジルオキシアラニン、乳酸などのモノカルボン酸類、酒石酸、o−ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸などのジカルボン酸類、カンファースルフォン酸、ブロモカンファースルフォン酸などのスルフォン酸類)と塩を形成させることができる。また、本発明の化合物もしくはその中間体が酸性置換基を有する場合は、光学活性なアミン(例えばα−フェネチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン類)と塩を形成させることもできる。塩を形成させる温度としては、室温から溶媒の沸点の範囲が挙げられる。
【0088】
本発明の2−キノロン骨格を有する化合物又はそれらの医薬として許容される塩は、SNS阻害活性を有し、神経因性疼痛及び侵害受容性疼痛に対する治療剤又は予防剤として使用できる。ここでいう神経因性疼痛としては、例えば腰部術後神経痛、糖尿病性神経症、帯状疱疹後神経痛、反射性交感神経性、幻肢痛、脊損傷、末期癌性、遷延性術後疼痛が挙げられる。侵害受容性疼痛としては、腰痛、腹痛、慢性関節リウマチ、変形性関節症による疼痛などが挙げられる。また、本発明化合物又はそれらの医薬として許容される塩は、排尿障害に対する治療剤又は予防剤としても使用できる。ここでいう排尿障害としては、頻尿、前立腺肥大による膀胱痛などが挙げられる。さらに、多発性硬化症における小脳の異常神経発火を抑える治療剤又は予防剤としても使用できる。非神経組織や中枢神経由来の副作用がない薬剤としては、SNS選択的阻害活性を有する化合物が、より好ましい。
【0089】
本発明の神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症の治療剤又は予防剤は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。またこれら治療剤又は予防剤は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち経口的には、通常用いられる投与形態、例えば錠剤、丸剤、粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができる。非経口的には、例えば、静脈内注射(点滴剤)、筋注射剤、皮下注射剤、塗布剤、点眼剤、眼軟膏剤等の形態の製剤とすることができる。
錠剤のような固体製剤は有効成分を、乳糖、ショ糖、トウモロコシ澱粉などの通常の薬理的に許容し得る担体又は賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプルピルメチルセルロースなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウムや澱粉グリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、あるいは保存剤等と混合して調製される。
非経口投与には、有効成分は水、生理食塩水、油、ブドウ糖水溶液などの生理的に許容し得る担体に溶解又は懸濁し、これは補助剤として乳化剤、安定化剤、浸透圧調整用塩、又は緩衝剤を必要に応じて含有してもよい。
【0090】
投与量及び投与回数は、投与法と患者の年齢、体重、病状等によって異なるが、病床部位に局所的に投与する方法が好ましい。また、一日あたり一回又は二回以上投与することが好ましい。二回以上投与するときは連日あるいは適当な間隔をおいて繰り返し投与することが望ましい。
投与量は、成人患者一人一回当たり有効成分の量として数十μg〜2g、好ましくは1〜数百mg、更に好ましくは数十mg以下を用いることができ、一日一回又は数回にわけて投与することができる。非経口投与では、成人患者一人あたり0.1〜100mg/日、さらに好ましくは0.3〜50mg/日の投与量が挙げられ、一日一回又は数回に分けて投与することができる。投与回数を減らすために徐放性製剤を用いることもできる。
また、本発明の神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症の治療剤又は予防剤は、動物薬としての利用も可能である。
【0091】
以下、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。

(参考例1)
【0092】
【化22】

氷冷下、3-フェノキシアニリン(34.7g, 188mmol)の酢酸エチル(300ml)溶液にピリジン(16.6ml, 206mmol)次いで無水酢酸(19.5ml, 206mmol)をゆっくりと滴下した。同温下で30分間撹拌後、室温で1時間半撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をヘキサン−酢酸エチルから結晶化させ、ろ取、減圧乾燥し、目的物(34.2g, 80%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.14(s, 3H), 6.74(m, 1H), 7.00-7.38(m, 9H)

(参考例2)
【0093】
【化23】

オキシ塩化リン(97ml, 1.05mol)を氷冷し、N,N’−ジメチルホルムアミド(31ml, 0.37mol)をゆっくり滴下し、15分撹拌した。参考例1で得た化合物(34g, 0.15mol)を少量ずつ加えた後、反応液を80℃で4時間撹拌した。冷却後、反応液を氷中にゆっくり流し込み、室温で2時間撹拌した。生じた沈殿をろ取、減圧乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をアセトニトリル−水(1:1,500ml)に懸濁し室温で1時間撹拌後、ろ取、減圧乾燥し、目的物(41g,97%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 7.14-7.19(m, 2H), 7.27-7.32(m, 2H), 7.43-7.48(m, 3H), 7.95(d, J=9.0Hz, 1H), 8.70(s, 1H), 10.50(s, 1H)

(参考例3)
【0094】
【化24】

参考例2で得た化合物(30g, 0.11mol)、酢酸(300ml)及び水(30ml)を混ぜ、90℃で5時間撹拌した。反応液を冷却し、水を加えた後、室温で一晩撹拌した。生じた結晶をろ取、減圧乾燥し、目的物(21g, 75%)を得た。
1H-NMR (DMSO) δ 6.79(d, J=2.4Hz, 1H), 6.95(dd, J=8.8, 2.4Hz, 1H), 7.18-7.33(m, 3H), 7.48-7.54(m, 2H), 7.94(d, J=8.8Hz, 1H), 8.48(s, 1H), 10.18(s, 1H), 11.96(br, 1H)

(参考例4)
【0095】
【化25】

参考例3で得た化合物(0.50g, 1.9mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(15ml)に溶かし、室温で炭酸セシウム(0.92g, 2.8mmol)及び2-ブロモエチルエチルエーテル(0.32ml, 2.8mmol)を加えた。反応液を80℃で1.5時間撹拌後、水及び酢酸エチルを加え分液、抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:5〜1:1)で精製し、目的物(0.39g, 61%)とO−アルキル体(0.17g, 27%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.1Hz, 3H), 3.43(q, J=7.1Hz, 2H), 3.71-3.74(m, 2H), 4.37-4.40(m, 2H), 6.89(dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 7.11-7.16(m, 3H), 7.24-7.28(m, 1H), 7.42-7.46(m, 2H), 7.64(d, J=8.8Hz, 1H), 8.33(s, 1H), 10.42(s, 1H)

参考例4で得た化合物は、以下の参考例5及び6に示した方法により選択的に合成することができる。

(参考例5)
【0096】
【化26】

参考例3で得た化合物(21g, 79mmol)、オルトギ酸メチル(150ml)及びp-トルエンスルホン酸1水和物(4.5g)の混合物を2時間加熱還流した。室温に冷却後、ヘキサン(40ml)を加え一晩撹拌した。生じた沈殿をろ取、減圧乾燥し、目的物(16.6g, 67%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 3.45(s, 6H), 5.54(s, 1H), 6.83-6.90(m, 2H), 7.07-7.24(m, 3H), 7.37-7.44(m, 2H), 7.54(d, J=8.4Hz, 1H), 7.96(s, 1H)

(参考例6)
【0097】
【化27】

参考例5で得た化合物(9.6g, 32mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(200ml)に溶かし、氷冷下、水素化ナトリウム(1.93g, 60% in oil, 48mmol)を加えた。15分後、臭化リチウム(8.4g, 96mmol)を加え30分撹拌した。2-ブロモエチルエチルエーテル(5.4ml, 48mmol)を添加し20分撹拌後、反応液を80℃で2時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をアセトン(150ml)及び水(15ml)に溶かした。室温でp-トルエンスルホン酸1水和物(0.64g, 3.4mmol)を加え15分撹拌した。アセトンを濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に流し込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣を酢酸エチル−ヘキサン=1:2で結晶化させ、ろ取、減圧乾燥し、目的物(6.3g, 61%)を得た。ろ液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:3〜1:1)で精製し、目的物(2.0 g, 19%)とO−アルキル体(1.0g, 10%)を得た。
【実施例1】
【0098】
(S)-2-{[1-(2-エトキシ-エチル)-2-オキソ-7-フェノキシ-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-イルメチル]-アミノ}-プロピオンアミド
【0099】
【化28】

参考例4で得た化合物(1.0g, 3.0mmol)をジクロロメタンに溶かし、室温で(L)-アラニンアミド塩酸塩(0.74g, 5.9mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.26g, 5.9mmol)を加え2時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に流し込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(クロロホルム:メタノール=50:1〜20:1)で精製し、目的物(0.9 g, 74%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.0Hz, 3H), 1.34(d, J=7.0Hz, 3H), 3.26(q, J=7.0Hz, 1H), 3.44(q, J=7.0Hz, 2H), 3.62(d, J=13.2Hz, 1H), 3.68-3.72(m, 2H), 3.84(d, J=13.2Hz, 1H), 4.31-4.47(m, 2H), 5.69(br.s, 1H), 6.87(dd, J=8.6, 2.0Hz, 1H), 7.06-7.09(m, 2H), 7.17-7.22(m, 2H), 7.37-7.42(m, 2H), 7.48(d, J=8.6Hz, 1H), 7.60(s, 1H), 7.81(br.s, 1H)
【0100】
参考例1〜6、及び実施例1と同様の方法により、以下の表1〜表9に示す実施例2〜33の化合物を得た。
【0101】
【表1】


【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
【表6】

【0107】
【表7】

【0108】
【表8】

【0109】
【表9】

【0110】
(参考例7)
【0111】
【化29】

氷冷下、3-エトキシ-1-プロパノール(1.02g, 9.79mmol)のジクロロメタン(100ml)溶液に、トリエチルアミン(2.05ml, 14.7mmol)及びp-トルエンスルホニルクロリド(2.05g, 10.8mmol)を加え1時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に流し込み、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムを加え撹拌した。有機層を酢酸エチルで抽出、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサンのみ〜ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、目的物(0.40g, 16%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.1Hz, 3H), 1.90(tt, J=6.2, 6.2Hz, 2H), 2.45(s, 3H), 3.36(q, J=7.1Hz, 2H), 3.42(t, J=6.2Hz, 2H), 4.14(t, J=6.2Hz, 2H), 7.34-7.36(m, 2H), 7.78-7.81(m, 2H)

(参考例8)
【0112】
【化30】

参考例5で得た化合物(0.22g, 0.72mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(7.2ml)に溶かし、氷冷下水素化ナトリウム(86mg, 60% in oil, 2.2mmol)を加えた。15分後、臭化リチウム(0.31g, 3.6mmol)を加え30分撹拌した。参考例7で得た化合物(0.28g, 1.1mmol)を添加し20分撹拌後、反応液を80℃で2時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサンのみ〜ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製し、N−アルキル体とO−アルキル体の粗生成物を得た。N−アルキル体をアセトン(6.4ml)及び水(0.6ml)に溶かし、室温でp-トルエンスルホン酸1水和物(0.15g, 0.64mmol)を加え終夜撹拌した。アセトンを濃縮後、残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に流し込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=4:1〜1:1)で精製し、目的物(0.18g, 69%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.17(t, J=7.1Hz, 3H), 1.96-2.03(m, 2H), 3.44(q, J=7.1Hz, 2H), 3.47-3.50(m, 2H), 4.31-4.34(m, 2H), 6.85(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.10-7.13(m, 2H), 7.14(d, J=2.2Hz, 1H), 7.23-7.27(m, 1H), 7.41-7.46(m, 2H), 7.65(d, J=8.5Hz, 1H), 8.32(s, 1H), 10.44(s, 1H)

実施例34
【0113】
(S)-2-{[1-(3-エトキシ-プロピル)-2-オキソ-7-フェノキシ-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-イルメチル]-アミノ}-プロピオンアミド
【0114】
【化31】

参考例8で得た化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法により目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.16(t, J=7.1Hz, 3H), 1.34(d, J=7.1Hz, 3H), 1.94(br.s, 1H), 1.97-2.02(m, 2H), 3.26(q, J=7.1Hz, 1H), 3.43(q, J=7.1Hz, 2H), 3.47(t, J=5.9Hz, 2H), 3.62(d, J=13.4Hz, 1H), 3.85(d, J=13.4Hz, 1H), 4.25-4.38(m, 2H), 5.60(br.s, 1H), 6.84(dd, J=2.2, 8.6Hz, 1H), 7.06-7.08(m, 2H), 7.16-7.20(m, 2H), 7.37-7.42(m, 2H), 7.48(d, J=8.6Hz, 1H), 7.59(s, 1H), 7.83(br.s, 1H)

実施例35
【0115】
1-(3-エトキシ-プロピル)-3-[(4-フルオロ-ベンジルアミノ)-メチル]-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0116】
【化32】

参考例8で得た化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法により目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.16(t, J=7.1Hz, 3H), 1.94-2.01(m, 2H), 2.08(br.s, 1H), 3.42(q, J=7.1Hz, 2H), 3.46(t, J=5.9Hz, 2H), 3.77(s, 2H), 3.81(s, 2H), 4.29-4.32(m, 2H), 6.83(dd, J=2.2, 8.6Hz, 1H), 6.98-7.03(m, 2H), 7.05-7.08(m, 2H), 7.15-7.19(m, 2H), 7.31-7.35(m, 2H), 7.36-7.41(m, 2H), 7.48(d, J=8.6Hz, 1H), 7.63(s, 1H)

(参考例9)
【0117】
【化33】

参考例1〜6と同様の方法で得られる上記原料化合物(107mg, 0.327mmol)を1, 4-ジオキサン(2.9ml)及び水(0.4ml)に溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(18.9mg, 16.4μmol)、3−ピリジンボロン酸(60.3mg, 0.491mmol)及び炭酸カリウム(136mg, 0.981mmol)を加えた。反応液を110℃で2時間撹拌後、水を加えクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をクロロホルム:ヘキサン=1:5で結晶化させ、ろ取、減圧乾燥し、目的物(64mg, 61%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.14(t, J=7.1Hz, 3H), 3.50(q, J=7.1Hz, 2H), 3.86-3.89(m, 2H), 4.59-4.62(m, 2H), 7.44-7.47(m, 1H), 7.50(dd, J=8.3, 1.7Hz, 1H), 7.82(d, J=8.3Hz, 1H), 7.92(m, 1H), 7.96-7.99(m, 1H), 8.43(s, 1H), 8.69-8.71(m, 1H), 8.95(m, 1H), 10.50(s, 1H)

実施例36
【0118】
(S)-2-{[1-(2-エトキシ-エチル)-2-オキソ-7-ピリジン-3-イル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-イルメチル]-アミノ}-プロピオンアミド
【0119】
【化34】

参考例9で得た化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法で目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.15(t, J=7.1Hz, 3H), 1.36(d, J=7.1Hz, 3H), 3.28(q, J=7.1Hz, 1H), 3.51(q, J=7.1Hz, 2H), 3.68(d, J=13.7Hz, 1H), 3.83(t, J=5.9Hz, 2H), 3.89(d, J=13.7Hz, 1H), 4.56-4.61(m, 2H), 5.50(br.s, 1H), 7.42-7.45(m, 1H), 7.46(dd, J=8.0, 1.4Hz, 1H), 7.65(d, J=8.0Hz, 1H), 7.70(s, 1H), 7.77(br.s, 1H), 7.85(s, 1H), 7.95-7.98(m, 1H), 8.66(dd, J=4.6, 1.5Hz, 1H), 8.92-8.93(m, 1H)

参考例1〜6、9、及び実施例1と同様の方法により、以下の表10〜表13に示す実施例37〜48の化合物を得た。
【0120】
【表10】

【0121】
【表11】

【0122】
【表12】

【0123】
【表13】

【0124】
(参考例10)
【0125】
【化35】

参考例1〜3と同様の方法で得た上記原料化合物(0.33g, 1.5mmol)のN,N’−ジメチルホルムアミド(15ml)溶液に2−フルオロベンジルアミン(0.23g, 1.8mmol)、酢酸(触媒量)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.39g, 1.8mmol)を加えた。1時間撹拌後、ジ-tert-ブチルジカルボナート(0.40g, 1.8mmol)を加え終夜撹拌した。反応液に水を加え、結晶を桐山ロートでろ取し、減圧乾燥することで目的物(0.58g, 89%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.48(s, 9H), 2.08-2.18(m, 2H), 2.94-3.01(m, 4H), 4.36-4.44(m, 2H), 4.59(s, 2H), 6.98-7.04(m, 2H), 7.17(br.s, 1H), 7.26-7.37(m, 4H)

(参考例11)
【0126】
【化36】

参考例10で得た化合物(0.97g, 2.3mmol)のN,N’−ジメチルホルムアミド(23ml)溶液に水素化ナトリウム(0.11g, 60% in oil, 2.8mmol)、(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(0.66g, 2.8mmol)を加え、80℃まで加熱した。1時間後、反応液を室温まで放冷し、水を加えた後に酢酸エチルで抽出した。水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(26ml)及びフッ化テトラブチルアンモニウム(3.0ml, 1Mテトラヒドロフラン溶液, 3.0mmol)を加えた。2時間半撹拌した後に水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=7:3〜1:1, クロロホルム:メタノール=9:1)で精製し、目的物(0.71g, 66%)とO-アルキル体(0.15g, 14%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.46(s, 9H), 2.11-2.19(m, 2H), 2.98-3.05(m, 4H), 3.53(br.s, 1H), 4.01(br.s, 2H), 4.32-4.40(m, 2H), 4.53(s, 4H), 6.95-7.01(m, 2H), 7.27-7.46(m, 5H)

(参考例12)
【0127】
【化37】

参考例11で得た化合物(0.11g, 0.24mmol)のジクロロメタン(2.4ml)溶液にトリエチルアミン(72mg, 0.72mmol)を加え-10℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(54mg, 0.48mmol)を加え、30分間撹拌した。フタルイミドカリウム(0.18g, 0.96mmol)のテトラヒドロフラン(2.4ml)溶液を加え、室温に昇温した。終夜撹拌し、水を加え、クロロホルムで抽出した。飽和炭酸カリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムによって精製することで目的物 (22mg, 16%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.46(s, 9H), 2.04-2.08(m, 2H), 2.88-2.96(m, 4H), 4.10(t, J=6.0Hz, 2H), 4.22(br.s, 1H), 4.32(m, 1H), 4.39-4.42(m, 2H), 4.62(t, J=6.0Hz, 2H), 6.94-7.00(m, 2H), 7.21-7.41(m, 5H), 7.62-7.68(m, 2H), 7.76-7.79(m, 2H)

(参考例13)
【0128】
【化38】

参考例12で得た化合物(0.26g, 0.43mmol)のメタノール溶液(4.3ml)にヒドラジン・一水和物(21mg, 0.65mmol)を加え、60℃まで加熱した。2時間撹拌した後に減圧濃縮し、水を加えクロロホルムで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することで目的物(0.17g, 82%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.46(s, 9H), 2.12-2.16(m, 2H), 2.83-3.08(m, 6H), 4.33-4.40(m, 4H), 4.46(s, 2H), 6.96(m, 2H), 7.28-7.44(m, 5H)

実施例49
【0129】
N-(2-{3-[(4-フルオロ-ベンジルアミノ)-メチル]-2-オキソ-2,6,7,8-テトラヒドロ-シクロペンタ[g]キノリン-1-イル}-エチル)-アセトアミド
【0130】
【化39】

参考例13で得た化合物(39mg, 84μmol)の酢酸エチル(3.0ml)溶液に、氷冷下、ピリジン(7.5mg, 93μmol)及び無水酢酸(9.5mg, 93μmmol)を加え20分間撹拌した。反応液を1N水酸化ナトリウム水溶液中に流し込み、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にトリフルオロ酢酸(1.0ml)とメタノール(3ml)を加えた。3時間撹拌後、水とクロロホルムを加え分液、抽出した。水層に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えアルカリ性とし、クロロホルムで抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することで目的物(9.8mg, 29%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.94(s, 3H), 2.14(tt, J=7.3, 7.3Hz, 2H), 2.97(t, J=7.3Hz, 2H), 3.06(t, J=7.3Hz, 2H), 3.61-3.67(m, 2H), 3.78(s, 2H), 3.81(s, 2H), 4.48-4.52(m, 2H), 6.57(br.s, 1H), 6.98-7.04(m, 2H), 7.31-7.35(m, 2H), 7.38-7.44(m, 2H), 7.66(s, 1H)

参考例1〜3、10〜13、及び実施例49と同様の方法により、以下の表14〜15に示す実施例50〜54の化合物を得た。
【0131】
【表14】

【0132】
【表15】


(参考例14)
【0133】
【化40】

参考例2で得た化合物(2.0g、7.1mmol)、メタノール(30ml)及びカリウムt−ブトキシド(1.2g、10.6mmol)を混ぜ、加熱還流した。1時間後、反応液に水を加え、メタノールを半分濃縮した。クロロホルムで抽出後、有機層を乾燥、濃縮し、目的物(2.0g、100%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 4.12(s, 3H), 7.13-7.27(m, 5H), 7.41-7.48(m, 2H), 7.81(d, J=8.4Hz, 1H), 8.54(s, 1H), 10.42(s, 1H)

(参考例15)
【0134】
【化41】

参考例14で得た化合物(2.0g, 7.1mmol)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶かし、氷冷下、臭化メチルマグネシウム(0.96Mテトラヒドロフラン溶液, 10ml, 9.6mmol)を加えた。1時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:3〜1:2)で精製しアルコール体(1.65g、78%)を得た。得られたアルコール体をトルエン(30ml)に溶解後、二酸化マンガン(5.0g, 56mmol)を加え80℃で撹拌した。2時間後、反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮することで、目的物(1.3g, 79%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.69(s, 3H), 4.10(s, 3H), 7.12-7.27(m, 5H), 7.39-7.47(m, 2H), 7.78(m,1H), 8.50(s, 1H)

(参考例16)
【0135】
【化42】

参考例15で得た化合物(1.1g, 3.8mmol)、5N塩酸(20ml)を混ぜ、80℃で撹拌した。4時間後、反応液を氷中に流し込み、2時間撹拌した。生じた沈殿をろ取、減圧乾燥し、目的物(0.97g, 93%)を得た。
1H-NMR(DMSO)δ 2.59(s, 3H), 6.80(d, J=2.4Hz, 1H), 6.92(dd, J=8.8, 2.4Hz, 1H), 7.15-7.32(m, 3H), 7.45-7.55(m, 2H), 7.90(d, J=8.8Hz, 1H), 8.46(s, 1H), 11.90(br, 1H)

(参考例17)
【0136】
【化43】

参考例4と同様の方法で目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.0Hz, 3H), 2.75(s, 3H), 3.44(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.72(t, J=6.0Hz, 2H), 4.38(t, J=6.0Hz, 2H), 6.88(dd, J=8.6, 2.2Hz, 1H), 7.08-7.15(m, 3H), 7.24(m, 1H), 7.39-7.46(m, 2H), 7.62(d, J=8.8Hz, 1H), 8.41(s, 1H)

実施例55
【0137】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-[1-(4-フルオロ-ベンジルアミノ)-エチル]-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0138】
【化44】

参考例17で得た化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法で目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.1Hz, 3H), 1.43(d, J=6.6Hz, 3H), 3.46(quart, J=7.1Hz, 2H), 3.62-3.76(m, 4H), 4.05(quart, J=6.6Hz, 1H), 4.40(t, J=6.2Hz, 2H), 6.87(dd, J=8.5, 2.0Hz, 1H), 6.95-7.43(m, 10H), 7.50(d, J=8.5Hz, 1H), 7.70(s, 1H)

実施例56
【0139】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-{1-[(フラン-2-イルメチル)-アミノ]-エチル}-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0140】
【化45】

参考例17で得た化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法で目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.1Hz, 3H), 1.41(d, J=6.6Hz, 3H), 3.46(quart, J=7.1Hz, 2H), 3.67-3.86(m, 4H), 4.07(quart, J=6.6Hz, 1H), 4.39(t, J=6.3Hz, 2H), 6.15(d, J=3.2Hz, 1H), 6.28(m, 1H), 6.86(dd, J=8.5, 1.7Hz, 1H), 7.05-7.20(m, 4H), 7.33-7.41(m, 3H), 7.51(d, J=8.5Hz, 1H), 7.73(s, 1H)

実施例57
【0141】
1-(2-エトキシ-エチル)-7-フェノキシ-3-{1-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-エチル}-1H-キノリン-2-オン
【0142】
【化46】

参考例17で得た化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法で目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.0Hz, 3H), 1.43(d, J=6.6Hz, 3H), 3.46(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.71(t, J=6.2Hz, 2H), 3.91(s, 2H), 4.10(quart, J=6.6Hz, 1H), 4.39(t, J=6.2Hz, 2H), 6.85-7.20(m, 8H), 7.35-7.40(m, 2H), 7.51(d, J=8.6Hz, 1H), 7.74(s, 1H)

(参考例18)
【0143】
【化47】

参考例4で得た化合物(0.50g, 1.48mmol)をメタノール(10ml)に懸濁し、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(68mg, 1.78mmol)を加えた。1時間後、1N塩酸を加え反応を停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をジクロロメタン(10ml)に溶かした。氷冷下、トリエチルアミン(0.44ml, 2.96mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.23ml, 2.96mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:4〜1:2)で精製し、目的物(0.48g, 91%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.0Hz, 3H), 3.44(quart, J=7.0Hz, 2H), 4.39(t, J=6.2Hz, 2H), 4.39(t, J=6.2Hz, 2H), 4.65(s, 2H), 6.88(dd, J=8.5, 2.1Hz, 1H), 7.05-7.23(m, 4H), 7.36-7.43(m, 2H), 7.52(d, J=8.5Hz, 1H), 7.84(s, 1H)

(参考例19)
【0144】
【化48】

参考例18で得られた化合物(0.48g, 1.34mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(10ml)に溶かし、室温でシアン化ナトリウム(97mg, 1.98mmol)を加えた。4時間後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:2〜2:1)で精製し、目的物(0.34g, 73%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.0Hz, 3H), 3.44(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.70(t, J=6.1Hz, 2H), 3.74(d, J=1.2Hz, 2H), 4.39(t, J=6.1Hz, 2H), 6.91(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.07-7.23(m, 4H), 7.37-7.43(m, 2H), 7.55(d, J=8.5Hz, 1H), 7.89(s, 1H)

実施例58
【0145】
3-(2-アミノ-エチル)-1-(2-エトキシ-エチル)-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0146】
【化49】

参考例19で得た化合物(0.34g, 0.98mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶かし、-78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(1.01Mトルエン溶液, 1.0ml, 1.07mmol)を滴下した。30分後、水素化ジイソブチルアルミニウムを1.5ml追加した。20分後、0℃で20分撹拌した。メタノールで反応を停止後、反応液を酒石酸ナトリウムカリウム水溶液中に流し込み、室温で2時間撹拌した。有機層を分離後、水、1N塩酸を加え、分液した。水層をアルカリ性にし、クロロホルムで抽出した。有機層を乾燥、濃縮し、目的物(0.12g, 35%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.0Hz, 3H), 2.77(t, J=6.7Hz, 2H), 3.01(t, J=6.7Hz, 2H), 3.45(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.70(t, J=6.2Hz, 2H), 4.39(t, J=6.2Hz, 2H), 6.85(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.04-7.08(m, 2H), 7.14-7.20(m, 2H), 7.35-7.41(m, 2H), 7.45(d, J=8.5Hz, 1H), 7.54(s, 1H)

実施例59
【0147】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-{2-[(フラン-2-イルメチル)-アミノ]-エチル}-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0148】
【化50】

実施例58で得た化合物(20mg, 0.057mmol)をジクロロメタン(1ml)に溶かし、フルフラール(0.01ml, 0.11mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(24mg, 0.11mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に流し込み、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:2〜クロロホルム:メタノール=50:1)で精製し、目的物(5.0mg, 20%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11(t, J=7.0Hz, 3H), 2.82(t, J=6.8Hz, 2H), 2.94(t, J=6.8Hz, 2H), 3.45(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.69(t, J=6.2Hz, 2H), 3.83(s, 2H), 4.38(t, J=6.2Hz, 2H), 6.18(d, J=3.2Hz, 1H), 6.30(m, 1H), 6.84(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.02-7.20(m, 4H), 7.34-7.40(m, 3H), 7.43(d, J=8.5Hz, 1H), 7.52(s, 1H)

実施例60
【0149】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-[2-(4-フルオロ-ベンジルアミノ)-エチル]-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0150】
【化51】

実施例59と同様の方法により、目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.0Hz, 3H), 2.83(t, J=6.6Hz, 2H), 2.94(t, J=6.6Hz, 2H), 3.45(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.69(t, J=6.3Hz, 2H), 3.80(s, 2H), 4.38(t, J=6.3Hz, 2H), 6.85(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 6.96-7.20(m, 6H), 7.26-7.40(m, 4H), 7.43(d, J=8.5Hz, 1H), 7.52(s, 1H)
実施例61
【0151】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-[2-(1-フラン-2-イル-エチルアミノ)-エチル]-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0152】
【化52】

実施例59と同様の方法により、目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.0Hz, 3H), 1.41(d, J=6.8Hz, 3H), 2.74-2.90(m, 4H), 3.45(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.69(t, J=6.2Hz, 2H), 3.92(quart, J=6.8Hz, 1H), 4.37(t, J=6.2Hz, 2H), 6.13(m, 1H), 6.29(m, 1H), 6.84(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.03-7.20(m, 4H), 7.31-7.44(m, 4H), 7.49(s, 1H)

実施例62
【0153】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-{2-[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチルアミノ]-エチル}-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0154】
【化53】

実施例59と同様の方法により、目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.0Hz, 3H), 1.32(d, J=6.6Hz, 3H), 2.60-2.88(m, 4H), 3.45(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.68(t, J=6.2Hz, 2H), 3.81(quart, J=6.6Hz, 1H), 4.36(t, J=6.2Hz, 2H), 6.84(dd, J=8.5, 2.0Hz, 1H), 6.94-7.43(m, 11H), 7.46(s, 1H)

実施例63
【0155】
2-{2-[1-(2-エトキシ-エチル)-2-オキソ-7-フェノキシ-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-イル]-エチルアミノ}-アセトアミド
【0156】
【化54】

実施例58で得た化合物(20mg, 0.057mmol)をアセトニトリル(1ml)に溶かし、2-クロロアセトアミド(15mg, 0.16mmol)、炭酸カリウム(15mg, 0.11mmol)を加え、70℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(クロロホルム:メタノール=50:1〜20:1)で精製し、目的物(6mg, 26%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10(t, J=7.0Hz, 3H), 2.81(t, J=6.6Hz, 2H), 2.95(t, J=6.6Hz, 2H), 3.31(s, 2H), 3.45(quart, J=7.0Hz, 2H), 3.70(t, J=6.2Hz, 2H), 4.38(t, J=6.2Hz, 2H), 6.86(dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 7.04-7.22(m, 5H), 7.35-7.42(m, 2H), 7.45(d, J=8.5Hz, 1H), 7.53(s, 1H)

(参考例20)
【0157】
【化55】

窒素雰囲気下、氷冷下にて4-ペンテン酸(4.0g, 40mmol)に、N,N’−ジメチルホルムアミド(1滴)、二塩化オキサリル (4.19ml, 48mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。得られた反応液をそのまま次の反応に使用した。
窒素雰囲気下、氷冷下にて3-フェノキシアニリン(5.9g, 32mmol)の無水エーテル溶液(18ml)にトリエチルアミン(5.02 ml, 36mml)を加えた。上記で合成した塩化アシル(4.27g, 36mmol)の無水エーテル溶液を反応液にゆっくり加え、室温で16時間撹拌した。反応液を1%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサンのみ〜ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、目的物(8.04g, 94%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 2.36-2.50 (m, 4H), 4.99-5.13 (m, 2H), 5.83 (m, 1H), 6.73 (dt, J=2.0, 6.8Hz, 1H), 6.97-7.03 (m, 2H), 7.09 (m, 1H), 7.18-7.36 (m, 5H), 7.55 (br s, 1H)

(参考例21)
【0158】
【化56】

オキシ塩化リン(27.81g, 182mmol)を氷冷し、N,N’−ジメチルホルムアミド(3.33ml, 43mmol)をゆっくり滴下した。15分後、参考例20で得た化合物(8.04g, 30mmol)を少量ずつ加えた。原料を加えた後、反応液を80℃に昇温し、3時間撹拌した。反応液を冷却後、氷中にゆっくり流し込み、室温で2時間撹拌した。反応液をクロロホルムで3回抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧乾燥し、得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサンのみ〜ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、目的物(7.10g, 80%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 3.60 (br d, J=6.0Hz, 2H), 5.11-5.24 (m, 2H), 6.03 (m, 1H), 7.07-7.15 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.31-7.43 (m, 4H), 7.73 (dd, J=1.2, 8.6Hz, 1H), 7.91 (s, 1H)

(参考例22)
【0159】
【化57】

参考例21で得た化合物(7.10g, 24mmol)と酢酸(80ml)の混合物を3時間加熱還流した。冷却後、酢酸を減圧留去し、得られた結晶をろ取、エーテルで洗浄し、目的物(5.56g, 83%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 3.34 (dd, J=1.2, 6.6 Hz, 2H), 5.12-5.22 (m, 2H), 6.00 (m, 1H), 6.86 (dd, J=2.2, 8.6 Hz, 1H), 6.91 (d, J=2.2Hz, 1H), 7.05-7.11 (m, 2H), 7.18 (m, 1H), 7.34-7.44 (m, 2H), 7.45 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.57 (s, 1H), 11.77 (br s, 1H)

(参考例23)
【0160】
【化58】

窒素雰囲気下、参考例22で得た化合物(2.50g, 9mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(45ml)に懸濁し、氷冷下、水素化ナトリウム(396mg, 60% in oil, 9.9mmol)を加えた。10分後、臭化リチウム(1.55g, 18mmol)を加え15分撹拌した。2-ブロモエチルエチルエーテル(2.75g, 18mmol)を添加し20分撹拌後、反応液を70℃で3時間撹拌した。水を加え反応停止後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜2:1)で精製し、目的物(2.42g, 77%)とO−アルキル体(0.33g, 11%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10 (t, J=6.8Hz, 3H), 3.38 (dd, J=1.3, 6.8Hz, 2H), 3.45 (quart, J=6.8Hz, 2H), 3.70 (t, J =6.3Hz, 2H), 4.39 (t, J=6.3Hz, 2H), 5.15-5.24 (m, 2H), 6.02 (m, 1H), 6.85 (dd, J=2.2, 8.5Hz, 1H), 7.03-7.09 (m, 2H), 7.13-7.20 (m, 2H), 7.33-7.42 (m, 2H), 7.45 (d, J=8.5Hz, 1H), 7.49 (s, 1H)

(参考例24)
【0161】
【化59】

窒素雰囲気下、参考例23で得た化合物(1.05g, 3mmol)のテトラヒドロフラン溶液に、ボラン (1.0Mテトラヒドロフラン溶液3.50ml, 3.5mmol)をゆっくり加え、室温で3時間撹拌した。3N水酸化ナトリウム溶液(1.5 ml, 4.5mmol)をゆっくり加え、60℃で2時間撹拌した。反応溶液を0℃に冷却し、30%過酸化水素水溶液を内温が30〜50℃になるように加え、50℃で2時間撹拌した。反応液に20%亜硫酸水素ナトリウムを加え、エーテルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=1:1〜酢酸エチルのみ)にて精製し、目的物(0.43g, 39%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10 (t, J=7.0Hz, 3H), 1.81-1.93 (m, 2H), 2.77 (t, J=7.0Hz, 2H), 3.44 (quart, J=7.0Hz, 2H), 3.47 (m, 1H), 3.56-3.64 (m, 2H), 3.70 (t, J=6.0Hz, 2H), 4.41 (t, J=6.0Hz, 2H), 6.78 (dd, J=2.2, 8.6Hz, 1H), 7.03-7.10 (m, 2H), 7.14-7.22 (m, 2H), 7.35-7.42 (m, 2H), 7.46 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.57 (1H, s)

(参考例25)
【0162】
【化60】

窒素雰囲気下、−70℃にて二塩化オキサリル(123μl, 1.41mmol)の無水ジクロロメタン溶液(5ml)に、ジメチルスルホキシド (216μl, 3.04mmol)を内温が−60℃以下になるような速度で加え、−70℃で30分撹拌した。参考例24で得た化合物(430mg, 1.17 mmol)の無水ジクロロメタン溶液(1.5 ml)を内温が−60℃以下になるような速度で加え、−70℃で1時間撹拌した。トリエチルアミン(815μl, 5.85mmol) を内温が−60℃以下になるような速度で加え、室温で20分間撹拌した。反応液に水を加え10分撹拌後、分液した。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を併せ硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜2:1)にて精製し、目的物(0.36g, 84%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11 (t, J=7.0Hz, 3H), 2.81-2.88 (m, 2H), 2.91-2.98 (m, 2H), 3.45 (quart, J=7.0Hz, 2H), 3.69 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.38 (t, J=6.1Hz, 2H), 6.85 (dd, J=2.2, 8.6Hz, 1H), 7.03-7.09 (m, 2H), 7.14-7.21 (m, 2H), 7.34-7.42 (m, 2H), 7.45 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.56 (s, 1H), 9.84 (t, J=1.3Hz, 1H)

実施例64
【0163】
(S)-2-{3-[1-(2-エトキシ-エチル)-2-オキソ-7-フェノキシ-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-イル]-プロピルアミノ}-プロピオンアミド
【0164】
【化61】

参考例25で得られた化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法により、目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.11 (t, J=6.8Hz, 3H), 1.35 (d, J=6.8Hz, 3H), 1.85 (quintet, J=7.1Hz, 2H), 2.39 (br s, 1H), 2.61-2.79 (m, 4H), 3.23 (quart, J=6.8Hz, 1H), 3.45 (quart, J=6.8Hz, 2H), 3.69 (t, J=6.2Hz, 2H), 4.39 (t, J=6.2Hz, 2H), 5.78 (br s, 1H), 6.86 (dd, J=1.9, 8.6Hz, 1H), 7.06 (d, J=7.9Hz, 2H), 7.14-7.21 (m, 2H), 7.31 (br s, 1H), 7.38 (t, J=7.9Hz, 2H), 7.45 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.51 (s, 1H)

実施例65
【0165】
1-(2-エトキシ-エチル)-3-[3-(4-フルオロ-ベンジルアミノ)-プロピル]-7-フェノキシ-1H-キノリン-2-オン
【0166】
【化62】

参考例25で得られた化合物を原料に用いて、実施例1と同様の方法により、目的物を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10 (t, J=6.8Hz, 3H), 2.00 (quintet, J=6.9Hz, 2H), 2.69 (t, J=6.9Hz, 2H), 2.78 (t, J=6.9Hz, 2H), 3.44 (quart, J=6.8Hz, 2H), 3.67 (d, J=6.0Hz, 2H), 3.89 (s, 2H), 4.37 (t, J=6.0Hz, 2H), 4.52 (br s, 1H), 6.86 (dd, J=1.5, 8.6Hz, 1H), 6.96-7.10 (m, 4H), 7.15-7.22 (m, 2H), 7.32-7.49 (m, 5H), 7.54 (s, 1H)

(参考例26)
【0167】
【化63】

参考例23で得た化合物(349mg, 1mmol)のメタノール溶液に、−70℃でオゾンを導入しながら30分間撹拌した。反応液にジメチルスルフィド(2.0ml, 27mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を併せた。有機層を20%亜硫酸水素ナトリウムで洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(クロロホルムのみ〜クロロホルム:メタノール=9:1)にて精製しアルデヒド体を得た。

実施例66
【0168】
(S)-2-{2-[1-(2-エトキシ-エチル)-2-オキソ-7-フェノキシ-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-イル]-エチルアミノ}-プロピオンアミド
【0169】
【化64】

参考例26で得た化合物(176mg, 0. 5mmol)をジクロロメタン(2ml)に溶かし、室温で(L)-アラニンアミド塩酸塩(62mg, 0.5mmol)を加え、10分間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(159mg, 0.75mmol)を加え70時間撹拌後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水洗、乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲル分取TLC(クロロホルム:メタノール=6:1)で精製し、目的物(24mg, 11%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 1.10 (t, J=7.1Hz, 3H), 1.33 (d, J=7.0Hz, 3H), 2.65 (br s, 1H), 2.81 (t, J=6.8Hz, 2H), 2.87-3.02 (m, 2H), 3.28 (quart, J=7.0Hz, 1H), 3.44 (quart, J=7.1Hz, 2H), 3.69 (t, J=6.1Hz, 2H), 4.38 (t, J=6.1Hz, 2H), 5.75 (br s, 1H), 6.86 (dd, J=2.0, 8.6Hz, 1H), 7.07 (d, J=7.9Hz, 2H), 7.13-7.24 (m, 3H), 7.38 (t, J=7.9Hz, 2H), 7.45 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.53 (s, 1H)
【0170】
(試験例1)
ヒトSNS遺伝子発現細胞のTTX抵抗性Naチャネルに対する阻害実験
ヒトSNS遺伝子発現細胞は、Chinese hamster ovary cell (CHO-K1)にヒトSNS遺伝子を組み込み、安定発現させたものであり、本来CHO-K1細胞はTTX抵抗性Naチャネル成分を有していないことから、ヒトSNS遺伝子発現細胞でのTTX抵抗性Naチャネル成分はSNSであり、従って、本発明化合物がSNS阻害剤であると考えられた。
1)ヒトSNS発現細胞の構築およびSNS機能発現の確認
ヒトSNSαサブユニット遺伝子の全長をZeocin耐性遺伝子を有する発現プラスミド(pcDNA3.1Zeo(+))に組込み、またAnnexin II light chain遺伝子の全長をNeomycin耐性遺伝子含有発現プラスミド(pcDNA3.1 (+))に導入した。この2つの遺伝子を同時に、lipofectamine 2000を用いてCHO-K1細胞に導入し、NeomycinおよびZeocin入りF-12 medium中にて培養し、両薬剤耐性細胞、すなわち両遺伝子が組み込まれた細胞を選択した。これらの両薬剤耐性株を2回限界希釈し、SNS遺伝子組込み細胞のクローン化を行った。SNSが遺伝子導入されていることは、RT-PCRで確認し、さらに膜電位感知蛍光指示薬を用いて、Naチャネル刺激に応答するTTX抵抗性成分を検出し、SNSの機能発現を確認した。
2)ヒトSNS遺伝子発現細胞のTTX抵抗性Naチャネルに対する薬理効果
前記1で得られたヒトSNS発現細胞を用いて、本発明化合物のSNS阻害作用を評価した。すなわち、被検化合物をヒトSNS発現細胞に予め添加しておき、そのおよそ30分後にTTX(1μM)存在下にてNaチャネル刺激剤であるベラトリジン(50μM)を添加し、TTX抵抗性Naチャネルを介して膜電位を上昇させ、被検化合物の膜電位上昇抑制作用を評価した。
3)薬理評価方法
以下の計算式で、被検化合物のSNS阻害率を求めた。
SNS阻害率(%)=100×[(評価化合物なしでベラトリジン刺激のみのピーク値)−(評価化合物を入れたベラトリジン刺激のピーク値)]/[(評価化合物なしでベラトリジン刺激のみのピーク値)−(刺激なしの基準値)]
4)試験結果
実施例で得られた化合物について、ヒトSNS発現細胞のTTX抵抗性Naチャネルに対する阻害作用(SNS阻害率)を評価した結果、以下の表16〜18に示す通り、本発明化合物がSNS阻害作用を示すことが観察された。
【0171】
【表16】

【0172】
【表17】

【0173】
【表18】

【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明に係わる新規2−キノロン誘導体は、SNSの関与する病態、具体的には、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症などの疾患に対して優れた治療剤又は予防剤として使用しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、R1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1は、単結合、−O−、−OCH2−、又は式:−N(R11)−(式中、R11は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R10は、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。〕で表される基を表し、
2は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニル基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2は、単結合、−O−、−OCH2−、又は式:−N(R13)−(式中、R13は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を表し、R12は、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表す。〕で表される基を表すか、
又はR1とR2が結合して、5〜7員環を形成してもよい。
mは、0〜5の整数を表す。
7は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
3及びR4は独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表すか、又はR3とR4は結合して、それらが結合する窒素原子と共に、置換もしくは無置換の、5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよく、当該含窒素脂肪族複素環は、0〜2個の酸素原子、0〜2個の硫黄原子、及び1〜3個の窒素原子を含む。
8及びR9は独立して、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表すか、R8とR9が結合して、それらが結合する炭素原子と共に、3〜7員のシクロアルカンを形成してもよい。
nは、1〜6の整数を表し、複数のR8及び複数のR9は独立して、同一又は異なってよい。
Aは、以下の(a)〜(c):
(a)フッ素原子;
(b)式:−OR14で表される基
〔式中、R14は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表すか、R14と1つのR8が結合して、4〜7員の飽和もしくは不飽和の含酸素脂肪族複素環を形成してもよい。〕;
(c)式:−N(R5)−L3−R6で表される基
〔式中、L3は、−C(=O)−、−S(=O)2−、又は−C(=O)O−を表す。
5は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又はハロアルキル基を表し、
6は、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表すか、又は、R5とR6が結合してそれらが結合する−N−L3−と共に置換もしくは無置換の5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成するか、R5と1つのR8が結合して5〜10員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成するか、もしくはR6と1つのR8が結合して5〜8員の飽和もしくは不飽和の含窒素脂肪族複素環を形成してもよい。
ただし、R6が置換もしくは無置換のアミノ基を表すときは、L3は−C(=O)−又は−S(=O)2−である。〕
から選択される基を表す。]
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
1が、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1、R10は、請求項1と同義である。〕で表される基を表し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、1個もしくは同一もしくは異なる2個のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2、R12は、請求項1と同義である。〕で表される基を表す、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1が、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、又は式:−L1−R10〔式中、L1、R10は、請求項1と同義である。〕で表される基を表し、R2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、又は式:−L2−R12〔式中、L2、R12は、請求項1と同義である。〕で表される基を表す、請求項1又は2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
mが0〜2の整数を表し、R7が水素原子を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
nが2〜3の整数を表し、複数のR8及び複数のR9が独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Aがフッ素原子を表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Aが式:−OR14〔式中、R14は請求項1と同義である。〕で表される基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Aが式:−N(R5)−L3−R6〔式中、R5、L3、R6は請求項1と同義である。〕で表される基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
式(2):
【化2】

〔式中、R1、R2、R7、R8、R9、A、m、及びnは、請求項1と同義であり、
pは、1〜4の整数を表し、
4aは、水素原子、又はアルキル基を表し、
14は、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアミノ基、又は置換もしくは無置換のカルバモイル基を表す。〕
で表される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するSNS阻害剤。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、排尿障害、又は多発性硬化症の治療薬又は予防薬。

【公開番号】特開2010−43004(P2010−43004A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329200(P2006−329200)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】