説明

施工機用ロッド支持装置

【課題】 掴み換えの際にロッドを確実に把持して固定することができ、また、施工時のロッドのガイドも確実に行うことができる施工機用ロッド支持装置を提供する。
【解決手段】 施工機11に立設したリーダ13にロッド15を回転駆動する駆動装置14を昇降可能に設け、前記リーダ13の下部に前記ロッド15を回転可能かつ摺動可能に支持するロッド振止手段21を設けた施工機におけるロッド支持装置であって、ロッド15の周面を把持してロッド15を固定するロッドチャックブロック32を開閉可能に設けたロッド固定手段31をロッド振止手段21に隣接させてリーダ13の下部に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工機用ロッド支持装置に関し、詳しくは、先端に掘削ビット等を設けたロッドを回転可能・摺動可能に支持する機能と、ロッドを把持して固定する機能とを備えた施工機用ロッド支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場の基礎工事等において、施工機に立設したリーダにロッドを回転駆動する駆動装置を昇降可能に設け、前記リーダの下部に前記ロッドを回転可能かつ摺動可能に支持するロッド振止手段を設けた施工機が使用されている。この施工機は、ロッドに設けた角軸部を駆動装置で把持して回転させるとともに、駆動装置をリーダに沿って押し下げることにより、ロッドの下端に設けた掘削ビットで掘削作業を行う。ロッド振止手段は、掘削作業中にロッドが振れるのを防止するためものであって、ロッドの丸棒部分の半径より僅かに大きな半径の円弧面を有する一対のロッドガイドブロックを有しており、掘削作業中には油圧シリンダによってロッドガイドブロックを閉じることにより、ロッドを回転可能かつ摺動可能に支持する状態となる。また、ロッドガイドブロックを開くことによってロッドの角軸部が挿通可能な状態となる。
【0003】
リーダより長いロッドを使用するときには、ロッドの中間部と上端部とにジョイントを兼ねた角軸部を設け、ロッドの中間角軸部を把持した駆動装置がリーダの下端部に到達したときには、中間角軸部の把持を解除した駆動装置を上昇させ、上部角軸部を把持させる掴み換えを行っていた。この掴み換えの際にロッドをその位置に固定しておくため、ロッドガイドブロックの移動量を規制するストッパを設け、ストッパを取り付けた状態でロッドガイドブロックを閉じるとロッドをガイドする状態となり、ストッパを取り外してロッドガイドブロックを閉じるとロッドの丸棒部分を把持してロッドを固定した状態となるように形成したロッド振止装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−220832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたロッド振止装置では、ロッドガイドブロックの円弧面がロッドの丸棒部分より大径に形成されているため、ストッパを取り外してロッドガイドブロックでロッドの丸棒部分を把持した状態では、ロッドガイドブロックの円弧面とロッドの外周面の一部が線接触している状態となり、条件によってはロッドの把持力が不十分になるおそれがあった。また、大径の掘削ビットで掘削施工する際には、ロッド振止装置の近くに人が近寄れないため、ストッパを着脱するのが困難であった。
【0005】
さらに、従来のロッド振止装置では、ロッドの掴み換えを行うたびにロッドガイドブロックを開閉する必要があり、ロッドガイドブロックを開いて角軸部が通過した後にロッドガイドブロックを閉じるのを忘れたり、操作が面倒に感じて故意にロッドガイドブロックを閉じずに施工したりするケースがあり、ロッドや杭の曲がりが発生するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、掴み換えの際にロッドを確実に把持して固定することができ、また、施工時のロッドのガイドも確実に行うことができる施工機用ロッド支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の施工機用ロッド支持装置は、施工機に立設したリーダにロッドを回転駆動する駆動装置を昇降可能に設け、前記リーダの下部に前記ロッドを回転可能かつ摺動可能に支持するロッド振止手段を設けた施工機における前記ロッドの支持装置であって、前記ロッドの周面を把持してロッドを固定するロッドチャックブロックを開閉可能に設けたロッド固定手段を前記ロッド振止手段に隣接させて前記リーダの下部に配置したことを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明の施工機用ロッド支持装置は、前記ロッドを挿通可能なロッド挿通部を有するアウタブラケットの内部に、前記ロッド振止手段を構成する一対のロッドガイドブロックと前記ロッド固定手段を構成する一対の前記ロッドチャックブロックとを上下に重ねてそれぞれ対向配置するとともに、各ブロックをそれぞれ開閉駆動する油圧シリンダを前記アウタブラケットに設け、前記ロッドガイドブロック及びロッドチャックブロックは、シリンダ縮時には前記ロッド挿通部の外側に引き込まれ、前記ロッドガイドブロックはシリンダ伸時に前記ロッドを回転可能かつ摺動可能に支持するガイド位置に突出し、ロッドチャックブロックはシリンダ伸時に前記ロッドを固定する把持位置に突出することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の施工機用ロッド支持装置は、前記駆動装置の昇降を検知して駆動装置の上下位置を検出する検出手段と、前記ロッド振止手段を手動で開閉させるロッド振止手段開閉スイッチと、前記ロッド固定手段を手動で開閉させるロッド固定手段開閉スイッチと、前記ロッド振止手段開閉スイッチの操作に基づいてロッド振止手段の開閉信号を出力する制御手段とを備え、該制御手段は、1回目の施工時において、前記ロッド振止手段開閉スイッチを手動で操作したときの駆動装置の上下位置を記憶し、2回目以降の施工時には、記憶した上下位置に駆動装置が達したときに、ロッド振止手段開閉スイッチを切り離して制御手段からロッド振止手段の開閉信号を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の施工機用ロッド支持装置によれば、ロッド固定手段によってロッドを確実に把持して固定できるので、掴み換えの際にロッドが滑り落ちることを防止できる。また、油圧シリンダによってロッドチャックブロックを作動させることにより、ロッド振止装置に近付くことなくロッド固定手段を作動させることができる。
【0011】
さらに、1回目の施工時に駆動装置の位置に応じた操作スイッチの操作タイミングを記憶し、2回目以降は駆動装置の昇降に伴って自動的にロッド振止手段に開閉信号を出力することにより、ロッドガイドブロックの閉じ忘れを防止でき、操作員の負担を大幅に軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至図9は、本発明の施工機用ロッド支持装置の一形態例を示すもので、図1は施工機の側面図、図2は施工機用ロッド支持装置の一部断面正面図、図3は同じく平面図、図4は同じく側面図、図5は同じく底面図、図6はロッドガイドブロックが閉じた状態を示すロッド振止手段の概略平面図、図7はロッドガイドブロックが開いた状態を示すロッド振止手段の概略平面図、図8はロッドチャックブロックが閉じた状態を示すロッド固定手段の概略平面図、図9はロッドチャックブロックが開いた状態を示すロッド固定手段の概略平面図である。
【0013】
まず、施工機11は、施工機本体12に立設したリーダ13に駆動装置14が昇降可能に設けられるとともに、前記リーダ13の下部に、ロッド15を支持するためのロッド支持装置16が設けられている。この施工機11は、下端に掘削ビット17を装着したロッド15の角軸部15aを駆動装置14にて把持して回転させるとともに、駆動装置14をリーダ13に沿って押し下げることにより、掘削施工を行ったり、掘削と同時に薬剤を注入して地盤改良を行ったりする。
【0014】
ロッド支持装置16は、ロッド15を回転可能かつ摺動可能に支持するロッド振止手段21と、ロッド15を把持して固定するロッド固定手段31とをリーダ13の下部に上下に隣接させて配置したものであって、図2に示すように、リーダ13に取り付けられた一つのアウタブラケット41の内部に、前記ロッド振止手段21を構成する一対のロッドガイドブロック22,22と、前記ロッド固定手段31を構成する一対のロッドチャックブロック32,32とを上下に重ねてそれぞれ対向配置している。
【0015】
アウタブラケット41は、その中央部に、角軸部15aの最大外径より僅かに大きな内径を有する円形のロッド挿通部42が軸線をリーダ13に平行な方向に向けて開口しており、アウタブラケット41の内部には、前記ロッドガイドブロック22,22及び前記ロッドチャックブロック32,32を施工機幅方向にスライド可能に支持するガイド部43,44が設けられている。また、アウタブラケット41の施工機幅方向両側面には、前記ロッドガイドブロック22,22及び前記ロッドチャックブロック32,32を開閉駆動するための油圧シリンダ23,33がそれぞれ設けられている。なお、アウタブラケット41は、中心線41aを境にして施工機幅方向に二分割されており、ピン41bを介してリーダ13に取り付けられ、ピン41bを中心として回動することによってロッド挿通部42を開閉できるように形成され、ロック手段41cによって閉じ状態を保持するようにしている。なお、図3及び図5において、ロッド挿通部42の図示右側は、ロッドガイドブロック22又はロッドチャックブロック32が閉じ位置に突出した状態を示している。
【0016】
ロッドガイドブロック22は、対向面にロッド15の丸棒部分15bの半径より僅かに大きな半径の円弧面からなるガイド面24をそれぞれ有しており、ロッド振止手段21側の一対の油圧シリンダ23のピストンロッドを伸ばした状態(シリンダ伸時)では、図6に示すように、前記ロッド挿通部42の内側に突出して丸棒部分15bを回転可能かつ摺動可能に支持するガイド位置となり、油圧シリンダ23のピストンロッドを縮めた状態(シリンダ縮時)では、図7に示すように、前記ロッド挿通部42の外側に引き込まれ、ロッドガイドブロック22,22間を角軸部15aが通過可能な状態となるように形成されている。
【0017】
また、ロッドチャックブロック32は、対向面にロッド15の丸棒部分15bの半径と実質的に同一な半径の円弧面からなる把持面34をそれぞれ有しており、ロッド固定手段31の一対の油圧シリンダ33のピストンロッドを伸ばした状態(シリンダ伸時)では、図8に示すように、前記ロッド挿通部42の内側に突出して丸棒部分15bを把持してロッド15を固定する把持位置となり、油圧シリンダ33のピストンロッドを縮めた状態(シリンダ縮時)では、図9に示すように、前記ロッド挿通部42の外側に引き込まれ、ロッドチャックブロック32,32間を角軸部15aが通過可能な状態となるように形成されている。
【0018】
このように形成されたロッド支持装置16は、油圧シリンダ23のシリンダ伸時には、ロッドガイドブロック22,22のガイド面24,24同士が接近してロッド挿通部42の内側に突出することにより、ロッド15の丸棒部分15bをガイド面24,24によって回転可能かつ摺動可能に支持してロッド15の振れを防止する。
【0019】
また、両油圧シリンダ23,33のシリンダ縮時には、ロッドガイドブロック22,22及びロッドチャックブロック32,32が離反して全てロッド挿通部42の外側に引き込まれることにより、ロッド15の角軸部15aがロッド支持装置16の部分を通過可能な状態となる。
【0020】
さらに、油圧シリンダ33のシリンダ伸時には、ロッドチャックブロック32,32の把持面34,34同士が接近してロッド挿通部42の内側に突出することにより、ロッド15の丸棒部分15bを把持面34,34の全体で把持してロッド15を固定する。このとき、丸棒部分15bの外周面に対して把持面34,34の全面が圧接した状態となるので、ロッド15の滑りを防止してロッド15をその位置で確実に固定することができる。
【0021】
図10は施工機用ロッド支持装置のロッド振止手段を作動させる制御手段を備えた油圧回路の一例を示す回路図、図11は駆動装置をリーダに沿って昇降させる駆動機構の一例を示す要部側面図、図12は施工手順とロッド振止手段及びロッド固定手段の開閉状態との関係を示す説明図である。なお、以下の説明において、前記形態例で示した施工機における構成要素と同一の構成要素には、それぞれ同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、図12においては、掘削施工の進行に伴って駆動装置14やロッド15の位置関係が移動するだけであるから、図12(A)の部分にのみ符号を付してその他への符号付けは省略する。
【0022】
ロッド振止手段21のロッドガイドブロック22,22を開閉するための油圧回路は、制御手段(コントローラー)51からの信号Sにより作動する電磁切換弁(ソレノイドバルブ)52によってポンプ53の吐出回路54に接続する回路をシリンダ伸側回路55とシリンダ縮側回路56とに切り換えることにより、油圧シリンダ23を伸縮させてロッドガイドブロック22を開閉するように形成されている。
【0023】
制御手段51には、ロッド振止手段21を手動で開閉させるロッド振止手段開閉スイッチ57と、駆動装置14の昇降を検知して駆動装置14の上下位置を検出する検出手段58とが設けられている。この検出手段58には適宜なものを選択できるが、例えば図11に示すように、リーダ13の上下両端部に配置したスプロケット13a、13bにチェーン13cを掛け渡し、このチェーン13cにより駆動装置14を昇降させる駆動機構を有するものでは、リーダ上部に配置した従動側のスプロケット13aにローターリーエンコーダを装着し、このローターリーエンコーダを前記検出手段58として使用することができる。
【0024】
次に、図12を参照しながら前記制御手段及び油圧回路の作動例を説明する。まず、図12(A)は施工前の状態を示すもので、駆動装置14はリーダ13の最上部に上昇し、ロッド15の中間角軸部15aを把持した状態となっている。このとき、ロッド振止手段開閉スイッチ57は閉位置にあり、ソレノイドバルブ52は図10に示す状態となっている。したがって、ポンプ53から吐出回路54に吐出された作動油は、ソレノイドバルブ52を経てシリンダ伸側回路55を通り、パイロットチェックバルブ59を通過して油圧シリンダ23の伸側に供給され、ピストンロッドを介してロッドガイドブロック22をロッド挿通部42の内側のガイド位置に突出させてロッド振止手段21を閉状態とする。
【0025】
このとき、油圧シリンダ23の縮側の作動油はシリンダ縮側回路56からソレノイドバルブ52、戻り回路60を経てタンク61に戻される。また、油圧シリンダ23の伸側に供給される油圧が所定圧力以上になると、吐出回路54に吐出された作動油はリリーフバルブ62を通ってタンク61に戻されるが、前記パイロットチェックバルブ59の作用によって油圧シリンダ23の伸側の油圧が維持されることにより、ロッドガイドブロック22はガイド位置に保持された状態となっている。この図12(A)に示す状態で駆動装置14を作動させてロッド15を回転させるとともに、駆動装置14をリーダ13に沿って押し下げ、掘削ビット17による掘削施工を開始する。
【0026】
図12(B)に示すように、掘削が進行してロッド15の中間角軸部15aの下端がロッド振止手段21に当接する位置まで駆動装置14が下降したら、掘削を一時停止してロッドの掴み換えを行う。この掴み換えは、まず、ロッド振止手段開閉スイッチ57を開位置に切り換えてロッド振止手段21を開状態とする。このとき、コントローラー51は、ロッド振止手段開閉スイッチ57を開位置に操作した情報と、前記検出手段58で検出した駆動装置14の上下位置の情報とを第1操作情報として記憶する。
【0027】
ロッド振止手段開閉スイッチ57のスイッチ操作により、コントローラー51からソレノイドバルブ52に開信号が出力されてバルブ流路が切り換わり、ポンプ53から吐出回路54に吐出された作動油がソレノイドバルブ52を経てシリンダ縮側回路56を通り、油圧シリンダ23の縮側に供給され、ピストンロッドを介してロッドガイドブロック22をロッド挿通部42の外側に引き込んでロッド振止手段21を開状態とする。
【0028】
このとき、シリンダ縮側回路56の油圧の上昇によってパイロットチェックバルブ59が開き、油圧シリンダ23の伸側の作動油はシリンダ伸側回路55を戻り、ソレノイドバルブ52、戻り回路60を経てタンク61に戻される。前記同様に、吐出回路54の油圧が所定圧力に上昇すると、リリーフバルブ62が開いてポンプ53から吐出された作動油がタンク61に戻る。
【0029】
次に、中間角軸部15aの把持状態を解除した駆動装置14を上昇させ、図12(C)に示すように、駆動装置14にロッド15の上部角軸部15cを把持させた後、駆動装置14を作動させてロッド15を回転させるとともに、駆動装置14を押し下げて掘削施工を再開する。そして、図12(D)に示すように、中間角軸部15aがロッド振止手段21を通過したら、ロッド振止手段開閉スイッチ57を閉位置に切り換えてロッド振止手段21を閉状態とする。このとき、コントローラー51は、ロッド振止手段開閉スイッチ57を閉位置に操作した情報と、検出手段58で検出した駆動装置14の上下位置の情報とを第2操作情報として記憶する。なお、油圧回路における油圧シリンダ23の開閉は前記同様にして行われるため、以下ではその説明を省略する。
【0030】
図12(E)に示すように、所定の深度まで掘削が進行したら施工を終了し、駆動装置14を上昇させてロッド15を引き上げる。そして、図12(F)に示すように、ロッド15の中間角軸部15aの上端がロッド振止手段21に当接する位置まで駆動装置14が上昇したら、駆動装置14の上昇を一時停止し、ロッド振止手段開閉スイッチ57を開位置に切り換えてロッド振止手段21を開状態とする。このとき、コントローラー51は、ロッド振止手段開閉スイッチ57を開位置に操作した情報と、検出手段58で検出した駆動装置14の上下位置の情報とを第3操作情報として記憶する。
【0031】
駆動装置14の上昇を再開し、図12(G)に示すように、中間角軸部15aがロッド振止手段21を通過したら、ロッド振止手段開閉スイッチ57を閉位置に切り換えてロッド振止手段21を閉状態とする。このとき、コントローラー51は、ロッド振止手段開閉スイッチ57を閉位置に操作した情報と、検出手段58で検出した駆動装置14の上下位置の情報とを第4操作情報として記憶する。
【0032】
さらに、この図12(G)に示す状態でロッド15の掴み換えを行うため、別の図示しない油圧回路からロッド固定手段31の油圧シリンダ33の伸側に作動油を供給し、ロッドチャックブロック32をロッド挿通部42の内側の把持位置に突出させてロッド固定手段31を閉状態とする。ロッド固定手段31によりロッド15を固定した状態で、上部角軸部15cの把持状態を解除した駆動装置14を下降させ、図12(H)に示すように、駆動装置14にロッド15の中間角軸部15aを把持させる。
【0033】
駆動装置14が中間角軸部15aを把持した後、ロッド固定手段31を開状態としてロッドチャックブロック32をロッド挿通部42の外側に引き込み、ロッド15の固定を解除して中間角軸部15aが通過可能な状態とする。この後、中間角軸部15aを把持した駆動装置14の上昇を再開し、図12(I)に示すように、駆動装置14をリーダ13の最上部にまで上昇させる。
【0034】
これにより、1回目の掘削施工が完了したことになり、駆動装置14やロッド15、ロッド支持装置16は、図12(A)と同じ状態に復帰したことになる。この状態で施工機本体12を2回目の施工位置に走行移動させ、2回目の掘削施工を開始する。
【0035】
この2回目の掘削施工では、コントローラー51を手動から自動に切り換えることにより、上述のロッド振止手段21の開閉を、駆動装置14の上下位置に応じて自動的に行うことができる。すなわち、施工開始後に、駆動装置14が図12(A)に示す位置から図12(B)に示す位置まで下降すると、検出手段58で検出した駆動装置14の上下位置の情報に基づいてコントローラー51に記憶されている前述の第1操作情報が呼び出され、コントローラー51からロッド振止手段21を開状態とする信号、すなわち、ソレノイドバルブ52のソレノイドを励磁する信号が出力され、ソレノイドバルブ52が作動して流路が切り換わり、前述のようにしてロッド振止手段21が開状態となる。
【0036】
さらに、ロッド15の掴み換えを終えた駆動装置14が下降して図12(D)に示す位置に到達すると、前記第2操作情報が呼び出されてコントローラー51からロッド振止手段21を閉状態とする信号が出力され、ソレノイドバルブ52の励磁が解かれてソレノイドバルブ52が作動し、流路が切り換わってロッド振止手段21が閉状態となる。
【0037】
また、施工終了後に駆動装置14が上昇し、図12(F)に示す位置に到達すると、前記第3操作情報が呼び出されてロッド振止手段21を開状態とする信号が出力され、ロッド振止手段21が開状態となる。さらに、駆動装置14が図12(G)に示す位置に上昇すると、前記第4操作情報が呼び出され、コントローラー51からロッド振止手段21を閉状態とする信号が出力され、ロッド振止手段21が閉状態となる。
【0038】
なお、図12(G)に示す状態からの駆動装置14のロッド15の掴み換えは、ロッド固定手段31を閉じ状態としてロッド15を固定した後、駆動装置14による上部角軸部15cの把持状態を解除し、駆動装置14を下降させて中間角軸部15aを把持させるという手順で行われる。この操作は、自動的に行うことも可能であり、手動操作により行うようにしてもよい。
【0039】
駆動装置14のロッド15の掴み換えを終了した駆動装置14を、図12(H)に示す位置から図12(I)に示すリーダ13の最上部にまで上昇させることにより、2回目の掘削施工が完了して図12(A)に示す状態に復帰する。
【0040】
この後、3回目以降の掘削施工は、上述の2回目の掘削施工と同様に、リーダ13に沿って昇降する駆動装置14の上下位置を検出手段58が検出し、検出した駆動装置14の上下位置に基づいてコントローラー51に記憶した操作情報が出力され、ソレノイドバルブ52が作動してロッド振止手段21が自動的に開閉することにより、掘削施工時におけるロッド15を確実にガイドすることができ、ロッド15の曲がりの発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の施工機用ロッド支持装置の一形態例を示す施工機の側面図である。
【図2】施工機用ロッド支持装置の一部断面正面図である。
【図3】施工機用ロッド支持装置の平面図である。
【図4】施工機用ロッド支持装置の側面図である。
【図5】施工機用ロッド支持装置の底面図である。
【図6】ロッドガイドブロックが閉じた状態を示すロッド振止手段の概略平面図である。
【図7】ロッドガイドブロックが開いた状態を示すロッド振止手段の概略平面図である。
【図8】ロッドチャックブロックが閉じた状態を示すロッド固定手段の概略平面図である。
【図9】ロッドチャックブロックが開いた状態を示すロッド固定手段の概略平面図である。
【図10】施工機用ロッド支持装置のロッド振止手段を作動させる制御手段を備えた油圧回路の一例を示す回路図である。
【図11】駆動装置をリーダに沿って昇降させる駆動機構の一例を示す要部側面図である。
【図12】施工手順とロッド振止手段及びロッド固定手段の開閉状態との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
11…施工機、12…施工機本体、13…リーダ、13a、13b…スプロケット、13c…チェーン、14…駆動装置、15…ロッド、15a…角軸部(中間角軸部)、15b…丸棒部分、15c…上部角軸部、16…ロッド支持装置、17…掘削ビット、21…ロッド振止手段、22…ロッドガイドブロック、23…油圧シリンダ、24…ガイド面、31…ロッド固定手段、32…ロッドチャックブロック、33…油圧シリンダ、34…把持面、41…アウタブラケット、41a…中心線、42…ロッド挿通部、43,44…ガイド部、51…コントローラー、52…ソレノイドバルブ、53…ポンプ、54…吐出回路、55…シリンダ伸側回路、56…シリンダ縮側回路、57…ロッド振止手段開閉スイッチ、58…検出手段、59…パイロットチェックバルブ、60…戻り回路、61…タンク、62…リリーフバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工機に立設したリーダにロッドを回転駆動する駆動装置を昇降可能に設け、前記リーダの下部に前記ロッドを回転可能かつ摺動可能に支持するロッド振止手段を設けた施工機における前記ロッドの支持装置であって、前記ロッドの周面を把持してロッドを固定するロッドチャックブロックを開閉可能に設けたロッド固定手段を前記ロッド振止手段に隣接させて前記リーダの下部に配置したことを特徴とする施工機用ロッド支持装置。
【請求項2】
前記ロッドを挿通可能なロッド挿通部を有するアウタブラケットの内部に、前記ロッド振止手段を構成する一対のロッドガイドブロックと前記ロッド固定手段を構成する一対の前記ロッドチャックブロックとを上下に重ねてそれぞれ対向配置するとともに、各ブロックをそれぞれ開閉駆動する油圧シリンダを前記アウタブラケットに設け、前記ロッドガイドブロック及びロッドチャックブロックは、シリンダ縮時には前記ロッド挿通部の外側に引き込まれ、前記ロッドガイドブロックはシリンダ伸時に前記ロッドを回転可能かつ摺動可能に支持するガイド位置に突出し、ロッドチャックブロックはシリンダ伸時に前記ロッドを固定する把持位置に突出することを特徴とする請求項1記載の施工機用ロッド支持装置。
【請求項3】
前記駆動装置の昇降を検知して駆動装置の上下位置を検出する検出手段と、前記ロッド振止手段を手動で開閉させるロッド振止手段開閉スイッチと、前記ロッド固定手段を手動で開閉させるロッド固定手段開閉スイッチと、前記ロッド振止手段開閉スイッチの操作に基づいてロッド振止手段の開閉信号を出力する制御手段とを備え、該制御手段は、1回目の施工時において、前記ロッド振止手段開閉スイッチを手動で操作したときの駆動装置の上下位置を記憶し、2回目以降の施工時には、記憶した上下位置に駆動装置が達したときに、ロッド振止手段開閉スイッチを切り離して制御手段からロッド振止手段の開閉信号を出力することを特徴とする請求項1記載の施工機用ロッド支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−299742(P2006−299742A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126676(P2005−126676)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】