説明

施工現場の入退場管理システム

【課題】運用コストを低減できる施工現場の入退場管理システムを提供する。
【解決手段】それまで受信機13で受信できなかったIDタグ16の送信情報が受信できるようになると、送信情報に含まれるID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16のものであるか否かを判断する。読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16のものではない判断すると、読み込んだID番号が付与されたIDタグ16が入場予定の車両のものであると判断するとともに、掘削工区1への入場予定車両数に1を加える。その後、2つの赤外線センサ11が同時に検出対象物を検出すると、掘削工区1への入場予定車両数から1を減ずる。このように入場予定車両数を算出することで、算出された入場予定車両数が0台以上であれば、正規車両15の入場であると判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工現場の入退場を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
施工現場では、入場が許可されていない不正な車両(不正車両)による建設資材の盗難や不法投棄を防止するために入退場管理システムを設置して運用している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−302143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の入退場管理システムでは、守衛所の監視者が不正車両であるか否かを判断する必要があるため、監視者が不在の場合には、不正車両の入退場を監視できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による施工現場の入退場管理システムは、施工現場への入退場が許可された車両である正規車両に備えられて、または、正規車両の運転手に対して与えられて、信号を送信する送信手段と、施工現場の入退場口に設けられて、正規車両が入退場口から入退場する際に送信手段が送信する信号を受信する受信手段と、施工現場の入退場口に設けられて、少なくとも車両を含む移動体の施工現場の入退場口の通過を検出する移動体通過検出手段と、受信手段で受信した信号の受信結果、および、移動体通過検出手段で検出した移動体の通過の検出結果に基づいて、正規車両の施工現場への入退場に関して判定する入退場判定手段と施工現場への入退場が許可されていない車両である不正車両の施工現場への入退場に関して報知する報知手段と、を備え、入退場判定手段は、受信手段で受信した正規車両の施工現場入退場口における通過予定台数と、移動体通過検出手段で検出した移動体の通過台数とに基づいて、不正車両が施工現場へ入場したか否か、または、不正車両が前記施工現場から退場したか否かを判定し、報知手段は、不正車両が施工現場へ入場した、または、不正車両が施工現場から退場したと入退場判定手段が判定すると、不正車両の施工現場への入退場に関して報知することを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、送信手段は、送信手段を識別するID番号を送信し、移動体通過検出手段は、移動体の有無を検出する少なくとも2つの検出センサが、移動体の進行方向側方から移動体を検出するように、正規車両の全長よりも短い離間距離で移動体の進行方向に沿って配設されていることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、入退場判定手段は、受信手段で受信した信号の受信結果に基づいて、正規車両が施工現場へ到着するまでのサイクル時間を算出して、算出したサイクル時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、報知手段は、サイクル時間が所定の時間よりも長いと入退場判定手段が判断すると、所定の内容の報知をすることを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、受信手段で受信した信号の受信結果に基づいて、正規車両の施工現場への入退場に関する時刻を記憶するとともに、少なくとも、正規車両が一旦施工現場から出場した後に施工現場へ再度入場するまでの再入場所要時間、または、正規車両の入場回数を算出して記憶する入退場時刻記憶手段と、入退場時刻記憶手段で記憶した正規車両の施工現場への入退場に関する時刻と、少なくとも算出した再入場所要時間または算出した正規車両の入場回数を帳票化する帳票化手段とをさらに備えることを特徴とする。
(5) 請求項5に発明は、請求項4に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、正規車両は運搬車両であり、施工現場で運搬車両に積み込み作業を行う建設機械の稼働時間を計測して記録する建設機械稼働時間記録手段をさらに備え、帳票化手段は、建設機械稼働時間記録手段が計測して記録した建設機械の稼働時間に基づいて、建設機械の積み込み作業のサイクル時間を算出して帳票化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、施工現場の入退場口に人員を配置しなくても施工現場における不正車両の入退場を監視できるので、入退場管理システムの運用コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜8を参照して、本発明による施工現場の入退場管理システムの一実施の形態を説明する。図1は、本発明による施工現場の入退場管理システムの全体構成を示す図である。本実施の形態では、一例として、土を掘削して運び出すための掘削工区1、および、運び込んだ土によって道路や宅地の造成を行う盛土工区2の2箇所を施工現場として説明する。掘削工区1および盛土工区2にはそれぞれ赤外線センサ11と、パーソナルコンピュータ(PC)12と、受信機13と、警報装置17とが設けられている。
【0008】
赤外線センサ11は、掘削工区1および盛土工区2(すなわち施工現場)の不図示の入退場口に設置されたセンサであり、検出対象物の有無を検出する。赤外線センサ11は、たとえば、赤外線の発光素子と受光素子とを有し、発光素子から検出対象物へ向けて照射する赤外線の反射の有無を受光素子で検出することで、発光素子による赤外線の照射先に検出対象物が存在するか否かを検出する。赤外線センサ11は、入退場口の車両が走行する通路(入退場通路)の側方に配設されて、入退場通路上の車両の有無を検出する。
【0009】
赤外線センサ11は、入退場通路側方に、入退場通路の延在方向に沿って2つ設けられている。2つの赤外線センサ11の離間距離は、入退場通路を通過する車両のうち、施工現場への入退場が許可される車両の中で最も全長の短い車両の全長よりもさらに短い距離に設定されている。これは、後述するように、2つの赤外線センサ11が同時に検出対象物を検出した場合に、2つの赤外線センサ11の離間距離よりも長い検出対象物(車両)が入退場通路を通過したと判断するためである。なお、車両が横に並んで赤外線センサ11の前を通過することがないように、すなわち、車両が必ず1列になって赤外線センサ11の前を通過するように入退場通路の幅が設定されている。
【0010】
PC12は、施工現場の詰め所や管理棟など、施工現場もしくはその近傍に設けられたパーソナルコンピュータである。PC12は、接続されている赤外線センサ11や受信機13から得られる信号(情報)に基づいて、後述するように施工現場への入場が許可されていない車両(不正車両)の入退場の有無の判断などを行う。PC12は外部のインターネット網14に接続されている。なおPC12はインターネット網14を介して、後述するデータセンタ3に設置されたサーバ10と接続されている。
【0011】
受信機13は、後述するIDタグ16が送信するデータを受信する受信装置であり、アンテナが施工現場の入退場口付近に設けられている。受信機13は、IDタグ16が送信するデータを受信してPC12に送信する。警報装置17は、たとえばPC12とともに施工現場の詰め所や管理棟などに設けられて、光や音によって周囲に警報を発する装置であり、PC12からの信号に基づいて警報を発する。
【0012】
施工現場への入場が許可された車両である運搬車両(正規車両)15は、掘削工区1および盛土工区2の間を往復して、土などを運搬する。各正規車両15(またはその運転手)に対しては、たとえば施工を管理する管理会社から、それぞれIDタグ16が貸与されている。IDタグ16は、所定の情報を無線によって周期的に(たとえば1秒毎に)外部に送信する装置である。IDタグ16が外部に送信する情報には、IDタグ16毎に定められた固有の識別子(ID番号)が含まれている。貸与されたIDタグ16は、正規車両15とともに移動するように、たとえば、正規車両15の運転室内に保管される。
【0013】
データセンタ3は施工現場に入退場する正規車両15について一括して管理するためのセンタであり、サーバ10が設置されている。サーバ10は、施工現場に入退場する正規車両15についての情報などを不図示の記録装置で記録している。
【0014】
図2は、掘削工区1および盛土工区2に設置されるPC12の構成を示す図である。PC12は、各種の演算および制御を行うCPU12aと、CPU12aの作業エリアであるRAM12bと、データの記録装置であるハードディスクドライブ装置(HDD)12cとを備えている。PC12は、モニタ12gに表示を行うための表示インターフェース(表示I/F)12dと、キーボード12hを接続するための入力インターフェース(入力I/F)12eと、インターネット網14に接続するための通信インターフェース(通信I/F)12fとを備えている。
【0015】
−−−車両の入退場管理について−−−
このように構成される施工現場の入退場管理システムでは、次のようにして、施工現場における車両の入退場を管理する。なお、以下の説明では、主に掘削工区1に関して説明するが、盛土工区2についても同様である。図3は、掘削工区1にIDタグ16を備えた正規車両15が入場する際の様子を示した図である。IDタグ16を備えた正規車両15が掘削工区1に近づいてくると、IDタグ16が送信する情報(送信情報)が掘削工区1の受信機13で受信されるようになる。その後、正規車両15が入退場通路を走行して赤外線センサ11が配設されている地点を通過すると、正規車両15が通過したことが赤外線センサ11で検出される。正規車両15が掘削工区1に入場して入退場口から所定の距離だけ離間すると、IDタグ16の送信情報が掘削工区1の受信機13で受信されなくなる。
【0016】
PC12は、それまで受信機13で受信できなかったIDタグ16の送信情報が受信できるようになると、受信機13で受信した送信情報に含まれるID番号を読み込んで、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものであるか否かを判断する。PC12は、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものではない判断すると、読み込んだID番号が付与されたIDタグ16(すなわち正規車両15)が入場予定の車両であると判断するとともに、掘削工区1への入場予定車両数に1を加える。
【0017】
PC12は、送信情報の受信を開始した時刻の情報とともに、入場予定の車両であると判断した正規車両15が備えるIDタグ16のID番号を入場予定リストに記録する。PC12は、2つの赤外線センサ11が同時に検出対象物を検出すると、掘削工区1への入場予定車両数から1を減ずる。このように入場予定車両数を算出することで、算出された入場予定車両数が0台以上であれば、正規車両15の入場であると判断される。
【0018】
なお、上述したように、正規車両15の中で最も全長の短い車両の全長よりもさらに短い距離だけ離間して2つの赤外線センサ11が配設されているので、正規車両15が入場する際には、必ず2つの赤外線センサ11が同時に検出対象物を検出する。また、上述したように車両が必ず1台ずつ赤外線センサ11の前を通過するように入退場通路の幅が設定されているので、複数台の車両が赤外線センサ11の前を通過する際には、車間距離が空くことから、1台の車両が通過する度に必ず1つの赤外線センサ11が一旦対象物を検出しない状態となる。したがって、車両が連なって入退場通路を通行しても、2つの赤外線センサ11によって通過した車両の台数を誤ることなく計数できる。
【0019】
PC12は、IDタグ16の送信情報が受信機13で受信されなくなると、掘削工区1への入場が完了したものと判断する。そして、PC12は、当該IDタグ16のID番号のデータを入場予定リストから削除し、送信情報が受信されなくなった時刻の情報とともに当該ID番号を入場完了リストに記録する。
【0020】
ここで、不正車両が掘削工区1に入場する場合について考える。不正車両が入退場口に接近してもIDタグ16を備えていないため不正車両の接近によっては入場予定車両数が増えることはない。そして不正車両が赤外線センサ11の設置場所を通過すると、入場予定車両数から1が減算されるため、入場予定車両数がマイナスの値となる。PC12は入場予定車両数がマイナスとなると、不正車両が入場したものと判断する。PC12は不正車両が入場したものと判断すると、周囲に警報を発するように警報装置17を動作させるとともに、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、不正車両の入場があった旨を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信する。これにより、PC12の周囲にいる作業者や施工現場の管理者など、および、電子メールを受信した作業者や施工現場の管理者などに不正車両が進入したことを伝えることができる。
【0021】
正規車両15が掘削工区1を退場(出場)する場合も、上述した掘削工区1に入場する場合と同様である。IDタグ16を備えた正規車両15が掘削工区1内で入退場口に近づいてくると、IDタグ16の送信情報が掘削工区1の受信機13で受信されるようになる。その後、正規車両15が入退場通路を走行して赤外線センサ11が配設されている地点を通過すると、正規車両15が通過したことが赤外線センサ11で検出される。正規車両15が掘削工区1を出場して入退場口から所定の距離だけ離間すると、IDタグ16の送信情報が掘削工区1の受信機13で受信されなくなる。
【0022】
PC12は、それまで受信機13で受信できなかったIDタグ16の送信情報が受信できるようになると、受信機13で受信した送信情報に含まれるID番号を読み込んで、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものであるか否かを判断する。PC12は、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものであると判断すると、読み込んだID番号が付与されたIDタグ16(すなわち正規車両15)が出場予定の車両であると判断するとともに、掘削工区1への出場予定車両数に1を加える。
【0023】
PC12は、送信情報の受信を開始した時刻の情報とともに、出場予定の車両であると判断した正規車両15が備えるIDタグ16のID番号を出場予定リストに記録する。PC12は、2つの赤外線センサ11が同時に検出対象物を検出すると、掘削工区1への出場予定車両数から1を減ずる。このように出場予定車両数を算出することで、算出された出場予定車両数が0台以上であれば、正規車両15の出場であると判断される。なお、赤外線センサ11の前を通過した車両が掘削工区1への入場車両であるのか、掘削工区1からの出場車両であるかは、2つの赤外線センサ11のいずれが先に対象物を検出したかによって判断することができる。
【0024】
PC12は、IDタグ16の送信情報が受信機13で受信されなくなると、掘削工区1からの出場が完了したものと判断する。そして、PC12は、当該IDタグ16のID番号のデータを出場予定リストおよび入場完了リストから削除する。
【0025】
ここで、不正車両が掘削工区1から出場する場合を考える。不正車両が入退場口に接近してもIDタグ16を備えていないため不正車両の接近によっては出場予定車両数が増えることはない。そして不正車両が赤外線センサ11の設置場所を通過すると、出場予定車両数から1が減算されるため、出場予定車両数がマイナスの値となる。PC12は出場予定車両数がマイナスとなると、不正車両が出場したものと判断する。PC12は不正車両が出場したものと判断すると、周囲に警報を発するように警報装置17を動作させるとともに、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、不正車両の出場があった旨を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信する。これにより、PC12の周囲にいる作業者や施工現場の管理者など、および、電子メールを受信した作業者や施工現場の管理者などに不正車両が出場したことを伝えることができる。
【0026】
図4(a)は、PC12で作成される入場予定リストの一例を示す図であり、図4(b)は、PC12で作成される入場完了リストの一例を示す図であり、図4(c)は、PC12で作成される出場予定リストの一例を示す図である。
【0027】
PC12は、インターネット網14を介して掘削工区1に入退場した正規車両15に関するデータをデータセンタ3のサーバ10に送信する。サーバ10は、PC12から送信された正規車両15に関するデータを受信すると、受信したデータを記録する。具体的には、PC12は、次のようにして掘削工区1に入退場した正規車両15に関するデータをデータセンタ3のサーバ10に送信する。
【0028】
上述したように、それまで受信機13で受信できなかったIDタグ16の送信情報が受信できるようになると、PC12は、受信機13で受信した送信情報に含まれるID番号を読み込んで、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものであるか否かを判断する。PC12は、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものではない判断すると、入場するIDタグ16の情報として送信情報の受信を開始した時刻の情報(入場開始時刻情報)とともに読み込んだID番号をサーバ10に送信する。また、PC12は、当該IDタグ16の送信情報が受信機13で受信されなくなると、送信情報の受信ができなくなった時刻の情報(入場完了時刻情報)とともに当該送信情報のID番号をサーバ10に送信する。
【0029】
また、PC12は、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16(正規車両15)のものである判断すると、出場するIDタグ16の情報として送信情報の受信を開始した時刻の情報(出場開始時刻情報)とともに読み込んだID番号をサーバ10に送信する。また、PC12は、当該IDタグ16が送信する情報が受信機13で受信されなくなると、送信情報の受信ができなくなった時刻の情報(出場完了時刻情報)とともに当該送信情報のID番号をサーバ10に送信する。
【0030】
サーバ10は、PC12から送信された情報を受信すると、ID番号毎に情報を記録する。図5は、サーバ10に記録される正規車両15に関するデータの一例を示す図である。サーバ10には、ID番号毎に、掘削エリア入場時刻と、掘削エリア出場時刻と、盛土エリア入場時刻と、盛土エリア出場時刻と、移動時間と、サイクルタイムとが記録されている。
【0031】
掘削エリア入場時刻は、正規車両15が掘削工区1に入場した時刻であり、たとえば、掘削工区1のPC12から受信した入場完了時刻情報の時刻が掘削エリア入場時刻として記録される。掘削エリア出場時刻は、正規車両15が掘削工区1から出場した時刻であり、たとえば、掘削工区1のPC12から受信した出場完了時刻情報の時刻が掘削エリア出場時刻として記録される。盛土エリア入場時刻は、正規車両15が盛土工区2に入場した時刻であり、たとえば、盛土工区2のPC12から受信した入場完了時刻情報の時刻が盛土エリア入場時刻として記録される。盛土エリア出場時刻は、正規車両15が盛土工区2から出場した時刻であり、たとえば、盛土工区2のPC12から受信した出場完了時刻情報の時刻が盛土エリア出場時刻として記録される。
【0032】
移動時間は、掘削工区1から盛土工区2までの移動に要する時間であり、たとえば、掘削エリア出場時刻から盛土エリア入場時刻までの経過時間として算出されて記録される。サイクルタイムは、正規車両15が掘削工区1から盛土工区2までの間を行き来する際の、たとえば前回の掘削工区1入場から今回の掘削工区1入場までに要する時間であり、たとえば前回の掘削エリア入場時刻から今回の掘削エリア入場時刻までの経過時間(再入場所要時間)として算出されて記録される。なお、正規車両15の掘削工区1や盛土工区2への入場回数も算出するようにしてもよい。また、これらの各データを日毎、週毎、月毎などで集計するようにしてもよい。このように、サーバ10は、PC12から送信された情報に基づいて、正規車両15の運行に関する情報を帳票化している。
【0033】
−−−サーバ10による運行時間管理について−−−
サーバ10では、上述した正規車両15に関するデータに基づいて、正規車両15の運行管理が行われる。たとえば、サーバ10は、上述した正規車両15に関するデータで更新されたサイクルタイムがあると、更新されたサイクルタイムとそのサイクルタイムのID番号を読み込んで、あらかじめ設定された所要時時間(標準所要時間)と比較する。標準所要時間は、掘削工区1および盛土工区2の所在地や離間距離などに応じて、施工現場の管理者やデータセンタ3の従業員などによって適宜決定されて、サーバに入力される。
【0034】
サーバ10は、読み込んだサイクルタイムが標準所要時間をある一定時間以上超過していると判断されると、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、運行遅延の旨および当該サイクルタイムについてのID番号を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信する。これにより、電子メールを受信した作業者や施工現場の管理者などに正規車両15の運行が遅延していること、および、その正規車両15が備えるIDタグ16のID番号を伝えることができる。
【0035】
なお、運行遅延の原因は、単に交通渋滞に巻き込まれたことや天候の悪化などに限らず、不必要な寄り道や、あらかじめ定められた運行経路以外の経路を走行したことなどが考えられる。したがって、上述したように関係者に電子メールで連絡することで、不必要な寄り道や、あらかじめ定められた運行経路以外の経路を走行するなどの不正な行為の早期発見に資する。
【0036】
また、サーバ10は、読み込んだサイクルタイムが標準所要時間からある一定時間を差し引いた時間に満たないと判断されると、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、運行時間が異常である旨および当該サイクルタイムについてのID番号を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信する。これにより、電子メールを受信した作業者や施工現場の管理者などに正規車両15の運行時間が不当に短いこと、および、その正規車両15が備えるIDタグ16のID番号を伝えることができる。
【0037】
サイクルタイムが標準所要時間よりもある一定時間以上短くなる原因は、速度超過や、あらかじめ定められた運行経路以外の経路を走行したことなどが考えられる。したがって、上述したように関係者に電子メールで連絡することで、速度超過や、あらかじめ定められた運行経路以外の経路を走行するなどの不正な行為の早期発見に資する。
【0038】
−−−フローチャート−−−
図6は、本実施の形態の施工現場の入退場管理システムのPC12で実行される正規車両15の入退場管理に関する動作を示したフローチャートである。以下のフローチャートでは、掘削工区1に設置されたPC12に関して説明するが、盛土工区2に設置されたPC12についても同様であるので説明を省略する。PC12の電源が投入されると、図6に示す処理を行うプログラムが起動されて、PC12の電源がオフされるまでCPU12aで実行される。
【0039】
ステップS1において、IDタグ16から送信される送信情報を受信機13で受信するまで待機する。ステップS1が肯定判断されるとステップS3へ進み、ステップS1で受信した送信情報に含まれるID番号を読み込んで、読み込んだID番号が、掘削工区1への入場が完了したと判断されたIDタグ16のものであるか否かを判断する。ステップS3が否定判断されるとステップS11へ進み、掘削工区1への入場予定車両数に1を加算してステップS12へ進む。
【0040】
ステップS12において、ステップS1で受信したと判断した送信情報の入場開始時刻情報と、送信情報に含まれるID番号とを入場予定リストに記録してステップS13へ進む。ステップS13において、ステップS1で受信したと判断した送信情報の入場開始時刻情報と、送信情報に含まれるID番号とをインターネット網14を介してサーバ10に送信してステップS14へ進む。ステップS14において、ステップS1で受信したと判断した送信情報が受信できなくなるまで待機する。
【0041】
ステップS14が肯定判断されるとステップS15へ進み、ステップS12で記録した入場予定リストから、ステップS14で受信できなくなったと判断した送信情報についての入場開始時刻情報とID番号とを削除するとともに、当該ID番号と、入場完了時刻情報とを入場完了リストに記録してステップS16へ進む。ステップS16において、ステップS14で受信できなくなったと判断された送信情報についてのID番号と、入場完了時刻情報とをインターネット網14を介してサーバ10に送信してステップS1へ戻る。
【0042】
ステップS3が肯定判断されるとステップS21へ進み、掘削工区1への出場予定車両数に1を加えてステップS22へ進む。ステップS22において、ステップS1で受信したと判断した送信情報の出場開始時刻情報と、送信情報に含まれるID番号とを出場予定リストに記録してステップS23へ進む。ステップS23において、ステップS1で受信したと判断した送信情報の出場開始時刻情報と、送信情報に含まれるID番号とをインターネット網14を介してサーバ10に送信してステップS24へ進む。
【0043】
ステップS24において、ステップS1で受信したと判断した送信情報が受信できなくなるまで待機する。ステップS24が肯定判断されるとステップS25へ進み、ステップS15で記録した入場完了リスト、および、ステップS22で記録した出場予定リストから、ステップS24で受信できなくなったと判断された送信情報についての出場開始時刻情報とID番号とを削除してステップS26へ進む。ステップS26において、ステップS24で受信できなくなったと判断された送信情報についてのID番号と、出場完了時刻情報とをインターネット網14を介してサーバ10に送信してステップS1へ戻る。
【0044】
図7は、PC12で実行される不正車両の入退場検出に関する動作を示したフローチャートである。以下のフローチャートでは、掘削工区1に設置されたPC12に関して説明するが、盛土工区2に設置されたPC12についても同様であるので説明を省略する。PC12の電源が投入されると、図7に示す処理を行うプログラムが起動されて、PC12の電源がオフされるまでCPU12aで実行される。
【0045】
ステップS31において、2つの赤外線センサ11が同時に検出対象物を検出するまで待機する。ステップS31が肯定判断されるとステップS33へ進み、ステップS31で赤外線センサ11が検出対象物を検出した際に、掘削工区1内から見て遠い方の赤外線センサ11が、掘削工区1内から見て近い方の赤外線センサ11よりも先に検出対象物を検出したか否かを判断する。すなわち、検出対象物が掘削工区1へ進入する方向に移動したか否かを判断する。
【0046】
ステップS33が肯定判断されるとステップS35へ進み、掘削工区1への入場予定車両数から1を減算してステップS37へ進む。ステップS37において、ステップS35で掘削工区1への入場予定車両数から1を減算した結果、掘削工区1への入場予定車両数がマイナスになったか否かを判断する。ステップS37が否定判断されるとステップS31へ戻る。ステップS37が肯定判断されるとステップS39へ進み、警報装置17を動作させるとともに、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、不正車両の入場があった旨を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信してステップS31へ戻る。
【0047】
ステップS33が否定判断されるとステップS45へ進み、掘削工区1からの出場予定車両数から1を減算してステップS47へ進む。ステップS47において、ステップS45で掘削工区1からの出場予定車両数から1を減算した結果、掘削工区1からの出場予定車両数がマイナスになったか否かを判断する。ステップS47が否定判断されるとステップS31へ戻る。ステップS47が肯定判断されるとステップS49へ進み、警報装置17を動作させるとともに、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、不正車両の出場があった旨を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信してステップS31へ戻る。
【0048】
図8は、サーバ10で実行される運行時間管理に関する動作を示したフローチャートである。サーバ10の電源が投入されると、図8に示す処理を行うプログラムが起動されて、サーバ10の電源がオフされるまでサーバ10の不図示のCPUで実行される。
【0049】
ステップS51において、正規車両15に関するデータでサイクルタイムが更新されるまで待機する。ステップS51が肯定判断されるとステップS53へ進み、ステップS51で更新されたと判断されたサイクルタイムを読み込んでステップS55へ進む。ステップS55において、ステップS53で読み込んだサイクルタイムと、あらかじめ設定された標準所要時間とを比較してステップS57へ進む。ステップS57において、ステップS55でサイクルタイムと標準所要時間とを比較した結果、サイクルタイムが標準所要時間をある一定時間以上超過しているか否を判断する。
【0050】
ステップS57が肯定判断されるとステップS59へ進み、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、運行遅延の旨および当該サイクルタイムについてのID番号を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信してステップS51へ戻る。ステップS57が否定判断されるとステップS67へ進み、ステップS55でサイクルタイムと標準所要時間とを比較した結果、サイクルタイムが標準所要時間よりもある一定時間以上短いか否を判断する。
【0051】
ステップS67が肯定判断されるとステップS69へ進み、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、運行時間が異常である旨および当該サイクルタイムについてのID番号を通知する電子メールをインターネット網14を介して送信してステップS51へ戻る。ステップS67が否定判断されるとステップS51へ戻る。
【0052】
上述した第1の実施の形態の施工現場の入退場管理システムでは、次の作用効果を奏する。
(1) IDタグ16から送信される送信情報を受信機13で受信して入場予定車両数や出場予定車両数を算出し、算出した入場予定車両数や出場予定車両数と、赤外線センサ11による移動体の検出結果とに基づいて施工現場における不正車両の入退場を検出するように構成した。これにより、施工現場の入退場口に人員を配置しなくても施工現場における不正車両の入退場を監視できるので、入退場管理システムの運用コストを低減できる。
【0053】
(2) IDタグ16の送信情報にID番号が含まれるように構成したので、IDタグ16を備える正規車両15を個別に特定できる。これにより、施工現場に入退場する正規車両15を個別に管理できるので、施工現場の入退場管理システムにおける管理の実効性を向上できる。
【0054】
(3) 2つの赤外線センサ11を、入退場通路側方に、入退場通路の延在方向に沿って離間させて設けた。したがって、赤外線センサ11の前を通過した車両が施工現場への入場車両であるのか、施工現場からの出場車両であるのかは、2つの赤外線センサ11のいずれが先に対象物を検出したかによって判断することができる。これにより、簡単な機器構成で、施工現場に出入りする車両の入場/出場の別を検出できる。
【0055】
(4) 正規車両15の中で最も全長の短い車両の全長よりもさらに短い距離だけ離間させて2つの赤外線センサ11を配設した。したがって、簡単な機器構成で、正規車両15の入退場口の通過を確実に検出できる。
【0056】
(5) サーバ10でサイクルタイムを算出し、算出したサイクルタイムが標準所要時間をある一定時間以上超過している場合、または、サイクルタイムが標準所要時間よりもある一定時間以上短い場合に、あらかじめ登録されているメールアドレスに対して、運行時間に関する注意喚起の電子メールを送信するように構成した。これにより、電子メールを受信した作業者や施工現場の管理者などに正規車両15の運行上の問題があることを通知することができ、正規車両15が正常に運行されるように対策を行う際の一助となる。
【0057】
(6) PC12から送信された情報に基づいて、正規車両15の運行に関する情報をサーバ10で帳票化するように構成した。これにより、正規車両15の運行の効率化を検討する際の資料を提供できる。
【0058】
−−−第2の実施の形態−−−
図9を参照して、本発明による施工現場の入退場管理システムの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、掘削工区1における作業機械から得られる情報を利用する点で、第1の実施の形態と異なる。図9は、第2の実施の形態の施工現場の入退場管理システムの全体構成を示す図である。
【0059】
18は、掘削工区1で掘削作業を行う作業機械(油圧ショベル)であり、19は油圧ショベル18から送信される各種情報を受信する重機データセンタであり、20は重機データセンタ19に設けられるサーバであり、21は通信衛星である。この油圧ショベル18は、カメラ30と、油圧ショベル18の各種の情報を送信する送信機31とを備えている。カメラ30は、油圧ショベル18の前方に配設されており、油圧ショベル18が掘削する地面の周辺や、油圧ショベル18のショベル内の掘削した土などを撮影できる。
【0060】
カメラ30で撮影して得られた画像(映像)は、送信機31およびインターネット網14を介して、PC12やサーバ10、施工管理会社の不図示の端末などに送信される。PC12では、油圧ショベル18から送信されたカメラ30の映像をリアルタイムでモニタ12gに表示できる。施工管理会社の不図示の端末でも、油圧ショベル18から送信されたカメラ30の映像をリアルタイムで表示モニタに表示できる。なお、カメラ30で撮影して得られた画像(映像)は、サーバ10の不図示の記録装置に記録される。なお、油圧ショベル18から送信されたカメラ30の映像をPC12側や施工管理会社の不図示の端末側で記録してもよい。
【0061】
送信機31は、上述したように、カメラ30で撮影して得られた画像(映像)をインターネット網14を介してPC12やサーバ10に送信する他、油圧ショベル18の不図示の制御装置が収集した油圧ショベル18の各種情報を通信衛星21を介して、重機データセンタ19のサーバ20に送信する。
【0062】
なお、油圧ショベル18からサーバ20へ送信されるデータとしては、たとえば次のようなデータが挙げられる。たとえば、日報データとして、油圧ショベル18の位置の情報、エンジンキースイッチのオン時刻やオフ時刻、エンジン始動時刻、エンジン停止時刻、アワメータの計測値、走行操作時間、旋回操作時間、フロント操作時間、エンジン稼動時間分布などがある。また、日報データとして、走行負荷頻度分布、掘削稼動時間分布あるいは燃料消費量(単位時間あたり、稼働分、無負荷分など)などがある。警報データとして、エンジンオイルレベル、エンジン冷却水温度、エンジンオイル温度、エアフィルタ目詰まり、作動油フィルタ、バッテリ電圧、エンジンオイル圧力、燃料残量、作動油温度などがある。故障データとして、エンジン回転数異常、油圧ポンプ吐出圧異常などがある。
【0063】
重機データセンタ19には、上述したようにサーバ20が設けられている。サーバ20は、通信衛星21を介して油圧ショベル18から送信される各種情報を受信して、不図示の記録装置に記録する。サーバ20は、インターネット網14に接続されている。
【0064】
PC12や施工管理会社の不図示の端末では、インターネット網14を介してデータセンタ3のサーバ10に接続することで、サーバ10の不図示の記録装置に記録されている、油圧ショベル18のカメラ30で撮影された過去の映像を取得して表示できる。また、PC12や施工管理会社の不図示の端末では、インターネット網14を介してデータセンタ3および重機データセンタ19の各サーバ10,20に接続することで、第1の実施の形態で説明した正規車両15に関するデータや、サーバ20の不図示の記録装置に記録されている、油圧ショベル18の各種情報を得ることができる。
【0065】
PC12や施工管理会社の不図示の端末は、上述した正規車両15に関するデータや、油圧ショベル18の各種情報を得て、施工管理に役立つ各種の情報を算出して帳票化できる。PC12および施工管理会社の不図示の端末は同様の処理を行うことができるので、以下の説明では、PC12を例に挙げて説明する。たとえば、PC12は、上述した正規車両15に関するデータや、油圧ショベル18の各種情報を得て、油圧ショベル18の稼働時間を正規車両15の運行回数で除して、正規車両15の1台あたりの積み込み時間(積み込み作業のサイクル時間)を算出する。施工現場の管理者や管理会社の社員は、算出された積み込み時間が当初予定していた時間よりも長いのか、短いのかを確認することで、施工管理の改善策を検討することできる。なお、油圧ショベル18の稼働時間として、たとえば、エンジン稼動時間を採用してもよく、エンジン稼動時間からエンジンのアイドリング時間を減じた時間を採用してもよい。
【0066】
上述した第2の実施の形態の施工現場の入退場管理システムでは、第1の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 正規車両15に関するデータや、油圧ショベル18の各種情報を得て、施工管理に役立つ各種の情報を算出して帳票化できるように構成した。これにより、正規車両15の稼働状態の他、建設機械の稼働状態についてもPC12や施工管理会社の不図示の端末で確認できるので、施工管理の業務を効率化できる。また、正規車両15の1台あたりの積み込み時間など、施工管理の指標となるデータを算出できるので、これによっても施工管理の業務を効率化できる。
【0067】
(2) カメラ30で撮影して得た映像をサーバ10で記録するように構成した。これにより、後日たとえば、運搬した土に関する問い合わせがあった場合にも、サーバ10に記録された映像や、正規車両15の運行に関する情報に基づいて、掘削、運搬時の状況を確認できるので、運搬および掘削に関して詳細に管理できる。
【0068】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、赤外線センサ11は、赤外線の発光素子と受光素子とを有し、発光素子から検出対象物へ向けて照射する赤外線の反射の有無を受光素子で検出することで、発光素子による赤外線の照射先に検出対象物が存在するか否かを検出する、いわゆる拡散反射型のものであるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、赤外線センサ11は、発光素子から照射されて反射板で反射されて戻ってくる赤外線が検出対象物で遮られると検出対象物を検出する回帰反射型であってもよい。また、赤外線センサ11は、発光素子が発光する赤外線を発光素子と受光素子との間で検出対象物が遮られると検出対象物を検出する透過型であってもよい。すなわち、赤外線センサ11の検出方法の種類は特に問わない。
【0069】
また、赤外線の代わりに超音波や可視光を利用するセンサによって車両の通過の有無を検出してもよく、入退場通路上にロードセルを配して、重量の変化を検出することで、車両の通過を検出してもよい。なお、ロードセルを用いて車両の通過を検出する場合には、検出重量から正規車両15が空荷と判断される場合には、掘削工区1への入場(盛土工区2の出場)と判断し、検出重量から正規車両15が荷を積載していると判断される場合には、掘削工区1の出場(盛土工区2への入場)と判断するようにしてもよい。
【0070】
(2) 上述の説明では、掘削工区1および盛土工区2がそれぞれ1箇所であったが、これは一例であり、掘削工区1および/または盛土工区2が複数箇所であってもよい。また、掘削工区1や盛土工区2は施工現場の一例であり、たとえば、荷を搬出する工区や荷を搬入する工区などであってもよい。
【0071】
(3) 上述の説明では、IDタグ16の送信情報を受信機13が受信したことをトリガとして、施工現場へ入退場する車両の管理を行うように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、赤外線センサ11が移動体を検出したことをトリガとして、IDタグ16の送信情報を受信機13が受信しているか否かによって不正車両の進入の有無を判断するようにしてもよい。すなわち、赤外線センサ11が施工現場への入場車両を検出した際に、IDタグ16の送信情報を受信機13が受信していれば、PC12が正規車両15の入場であると判断するように構成してもよい。また、赤外線センサ11が施工現場への入場車両を検出した際に、IDタグ16の送信情報を受信機13が受信していなければ、PC12が不正車両の入場であると判断するように構成してもよい。
【0072】
(4) 上述の説明では、入場完了車両についてのIDタグ16の送信情報が再び受信できるようになると、当該IDタグ16のID番号のデータを出場予定リストに登録するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、入場完了車両が出場予定車両であるとして、ID番号のデータを出場予定リストに登録するように構成してもよい。
【0073】
(5) 上述の説明では、サーバ10とPC12とがそれぞれ分担して処理を行っているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、上述の説明において、サーバ10が行っていた処理の一部または全部をPC12で処理するように構成してもよく、PC12が行っていた処理の一部または全部をサーバ10で処理するように構成してもよい。
【0074】
(6) 上述の説明では、不正車両の入場および出場のいずれの場合も検出して報知するように構成したが、不正車両の入場または出場のいずれか一方のみを検出して報知するように構成してもよい。
(7) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0075】
上述の実施の形態およびその変形例において、たとえば、送信手段はIDタグ16に、受信手段は受信機13に、移動体通過検出手段は赤外線センサ11に、報知手段は警報装置17に、入退場時刻記憶手段および帳票化手段はPC12またはサーバ10に、建設機械稼働時間記録手段はサーバ20にそれぞれ対応する。入退場判定手段はPC12のCPU12a、および、CPU12aで実行されるプログラムとによって実現される。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施の形態の施工現場の入退場管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】掘削工区1および盛土工区2に設置されるPC12の構成を示す図である。
【図3】掘削工区1にIDタグ16を備えた正規車両15が入場する際の様子を示した図である。
【図4】(a)は、PC12で作成される入場予定リストの一例を示す図であり、(b)は、PC12で作成される入場完了リストの一例を示す図であり、(c)は、PC12で作成される出場予定リストの一例を示す図である。
【図5】サーバ10に記録される正規車両のデータの一例を示す図である。
【図6】PC12で実行される正規車両15の入退場管理に関する動作を示したフローチャートである。
【図7】PC12で実行される不正車両の入退場検出に関する動作を示したフローチャートである。
【図8】サーバ10で実行される運行時間管理に関する動作を示したフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の施工現場の入退場管理システムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 掘削工区 2 盛土工区
3 データセンタ 10 サーバ
11 赤外線センサ 12 PC
12a CPU 13 受信機
15 運搬車両(正規車両) 16 IDタグ
17 警報装置 18 油圧ショベル
19 重機データセンタ 20 サーバ
30 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場への入退場が許可された車両である正規車両に備えられて、または、前記正規車両の運転手に対して与えられて、信号を送信する送信手段と、
前記施工現場の入退場口に設けられて、前記正規車両が前記入退場口から入退場する際に前記送信手段が送信する信号を受信する受信手段と、
前記施工現場の入退場口に設けられて、少なくとも車両を含む移動体の前記施工現場の入退場口の通過を検出する移動体通過検出手段と、
前記受信手段で受信した前記信号の受信結果、および、前記移動体通過検出手段で検出した前記移動体の通過の検出結果に基づいて、前記正規車両の前記施工現場への入退場に関して判定する入退場判定手段と
前記施工現場への入退場が許可されていない車両である不正車両の前記施工現場への入退場に関して報知する報知手段と、を備え、
前記入退場判定手段は、前記受信手段で受信した前記正規車両の前記施工現場入退場口における通過予定台数と、前記移動体通過検出手段で検出した前記移動体の通過台数とに基づいて、前記不正車両が前記施工現場へ入場したか否か、または、前記不正車両が前記施工現場から退場したか否かを判定し、
前記報知手段は、前記不正車両が前記施工現場へ入場した、または、前記不正車両が前記施工現場から退場したと前記入退場判定手段が判定すると、前記不正車両の前記施工現場への入退場に関して報知することを特徴とする施工現場の入退場管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、
前記送信手段は、前記送信手段を識別するID番号を送信し、
前記移動体通過検出手段は、移動体の有無を検出する少なくとも2つの検出センサが、前記移動体の進行方向側方から前記移動体を検出するように、前記正規車両の全長よりも短い離間距離で前記移動体の進行方向に沿って配設されていることを特徴とする施工現場の入退場管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、
前記入退場判定手段は、前記受信手段で受信した前記信号の受信結果に基づいて、前記正規車両が前記施工現場へ到着するまでのサイクル時間を算出して、算出した前記サイクル時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、
前記報知手段は、前記サイクル時間が前記所定の時間よりも長いと前記入退場判定手段が判断すると、所定の内容の報知をすることを特徴とする施工現場の入退場管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、
前記受信手段で受信した前記信号の受信結果に基づいて、前記正規車両の前記施工現場への入退場に関する時刻を記憶するとともに、少なくとも、前記正規車両が一旦前記施工現場から出場した後に前記施工現場へ再度入場するまでの再入場所要時間、または、前記正規車両の入場回数を算出して記憶する入退場時刻記憶手段と、
前記入退場時刻記憶手段で記憶した前記正規車両の前記施工現場への入退場に関する時刻と、少なくとも前記算出した再入場所要時間または前記算出した前記正規車両の入場回数を帳票化する帳票化手段とをさらに備えることを特徴とする施工現場の入退場管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の施工現場の入退場管理システムにおいて、
前記正規車両は運搬車両であり、
前記施工現場で前記運搬車両に積み込み作業を行う建設機械の稼働時間を計測して記録する建設機械稼働時間記録手段をさらに備え、
前記帳票化手段は、前記建設機械稼働時間記録手段が計測して記録した前記建設機械の稼働時間に基づいて、建設機械の積み込み作業のサイクル時間を算出して帳票化することを特徴とする施工現場の入退場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−134396(P2009−134396A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308400(P2007−308400)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(501033279)株式会社キック (6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】