説明

旋回作業機のカバー装置

【課題】 カバーを旋回台に開閉自在に支持するための作業を簡単になし得るようにする。
【解決手段】 旋回台に車両補器が搭載され、この車両補器を配置した補器ルームを覆うカバーが設けられ、該カバーがヒンジ部材により旋回台に開閉自在に支持された旋回作業機のカバー装置であって、
前記ヒンジ部材は、旋回台側に固定された固定部材と、該固定部材に回動自在に連結された連結部材とを有し、カバーに連結部材の遊端部を差し込む嵌合溝が設けられ、連結部材の遊端部が嵌合溝に差し込まれて、締結具でカバーに固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の旋回作業機のカバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バックホー等の旋回作業機には、走行体上に上下軸廻りに旋回自在に設けられた旋回台を備え、旋回台の側部に作動油タンク、燃料タンク、コントロールバルブ等の車両補器が搭載され、この車両補器を配置した補器ルームを覆う側部カバーが設けられ、該側部カバーがヒンジ部材により旋回台に横軸(支持軸)廻りに開閉自在に支持されたものがある(例えば特許文献1)。
この種の従来の旋回作業機のカバー装置では、一般にヒンジ部材は旋回台側に固定される固定部材に取付孔を有する複数の支持片を設け、側部カバー側に固定される連結部材に支持片に対応する複数の横軸(支持軸)を設けておき、連結部材の複数の横軸を固定部材の複数の支持片の取付孔にそれぞれ挿入保持することにより、ヒンジ部材の固定部材に連結部材を横軸廻りに回動自在に組み付け、これにより側部カバーを旋回台にヒンジ部材により旋回台に横軸廻りに開閉自在に支持するようにしていた(特に公知文献には開示されていないが、出願人は旋回作業機であるバックホーに実際にそのように実施していた)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−3390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来では側部カバー等のカバーを旋回台に開閉自在に支持するためには、旋回台側に装着固定した固定部材の複数の支持片の取付孔に、カバー側に取付固定した連結部材の複数の支持軸が一致するように、旋回台側に対してカバーを位置合わせしながら、カバー側の複数の支持軸を固定部材の複数の支持片の取付孔に挿入して、ヒンジ部材の固定部材に連結部材を支持軸廻りに回動自在に組み込む必要があった。
従って、従来では、カバーを旋回台に開閉自在に支持するための作業が非常に面倒であった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みて、カバーを旋回台に開閉自在に支持するための作業を簡単になし得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、走行体上に上下軸廻りに旋回自在に設けられた旋回台を備え、旋回台に車両補器が搭載され、この車両補器を配置した補器ルームを覆うカバーが設けられ、該カバーがヒンジ部材により旋回台に開閉自在に支持された旋回作業機のカバー装置であって、
前記ヒンジ部材は、旋回台側に固定された固定部材と、該固定部材に回動自在に連結された連結部材とを有し、カバーに連結部材の遊端部を差し込む嵌合溝が設けられ、連結部材の遊端部が嵌合溝に差し込まれて、締結具でカバーに固定されている点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、前記嵌合溝は、カバーに形成した嵌合凹部を連結板で塞ぐように連結板をカバーに固定することにより形成され、嵌合溝に差し込まれた連結部材の遊端部と連結板とが締結具によりカバーに締め付け固定されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記カバーは、旋回台に横軸廻りに開閉自在に支持された側部カバーであって、補器ルームの上方を塞ぐ上壁と補器ルームの前方を塞ぐ前壁とを一体に有するカバー本体と、補器ルームの外側方を塞ぐ側カバー体とを備え、カバー本体と側カバー体とが連結板で連結され、該連結板は、カバー本体に固定されるカバー本体固定部と、カバー本体固定部から外側方に延長されて側カバー体に固定される側カバー体固定部とを備え、カバー本体の前壁の下部内面に前側に凹んだ嵌合凹部が形成され、嵌合凹部の後側開口を塞ぐように前記連結板のカバー本体固定部が前壁の下部内面に固定されることにより前記嵌合溝が形成されている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、連結部材に、遊端部の嵌合溝への差し込み深さを規制するストッパーが設けられ、連結部材の遊端部を嵌合溝に挿入したときにストッパーが前壁の下端に接当して、前記締結具を挿入するためのカバー本体固定部側の取付孔と連結部材の遊端部の取付孔とを一致させるように構成されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記カバーの側カバー体の後側に隣接する後側部カバーが設けられ、後側部カバーの上部の内面側に、後側部カバーを旋回台側に固定するための固定板と、側部カバーを閉じた状態に施錠するための施錠機構とが設けられ、前記カバー本体の上壁は、側カバー体の後端よりも後方に突出した後上壁部を有し、後上壁部は、後側部カバーの固定板による固定部分と後側部カバーの施錠機構による施錠部分とを上側から覆っている点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、前記後上壁部に、カバーを開閉操作するための取っ手部が外側方に突出するように設けられ、後側部カバーの上部に、前記取っ手部に対応して内側方に凹んだ凹部が設けられ、凹部に前記施錠機構の施錠キー挿入部が設けられている点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カバーを旋回台に支持するヒンジ部材は、旋回台側に固定された固定部材と、該固定部材に回動自在に連結された連結部材とを有し、カバーに連結部材の遊端部を差し込む嵌合溝が設けられているので、カバーを旋回台に開閉自在に支持するためには、旋回台側に固定した固定部材に連結した連結部材の遊端部をカバーの嵌合溝に差し込んで、ボルト等の固定具で連結部材の遊端部をカバーに固定すればよく、カバーを旋回台に開閉自在に支持するための作業を非常に簡単になし得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示すバックホーの側面図である。
【図2】同バックホーの平面図である。
【図3】同旋回台の側面図である。
【図4】同旋回台の平面図である。
【図5】同旋回フレームの側面図である。
【図6】同旋回フレームの平面図である。
【図7】同前側部カバー及び右旋回カバー部分の側面図である。
【図8】同前側部カバーの平面図である。
【図9】同前側部カバーの背面図である。
【図10】同ヒンジ部材部分の側面図である。
【図11】同ヒンジ部材部分の斜視図である。
【図12】同後側部カバーの側面図である。
【図13】同後側部カバーの平面図である。
【図14】同前側部カバー及び後側部カバー部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2において、1は旋回作業機(掘削作業機)として例示する超小旋回型のバックホーを示しており、該バックホー1は上部の旋回体2と、下部の走行体3とから主構成されている。
走行体3は、トラックフレーム4の左右両側にクローラ式走行装置5を設けてなる。
左右の各クローラ式走行装置5は、前部のアイドラ6と、後部のスプロケット7と、これらアイドラ6とスプロケット7との間に配置された複数の転輪8とをトラックフレーム4に左右軸回りに回転可能に支持すると共に、これらアイドラ6,スプロケット7,複数の転輪8にわたって巻き掛けられた無端帯状のクローラベルト9を備え、油圧モータ(ホイルモータ)からなる走行モータ10によって前記スプロケット7を回転駆動することにより該スプロケット7からクローラベルト9に駆動力が伝達されて該クローラベルト9が長手方向に循環回走され、これによってバックホー1が前後方向に走行可能とされている。
【0013】
走行モータ10は、斜板型可変容量アキシャルモータによって構成され、斜板の角度を切り換えることにより1速状態(低速状態)又は2速状態(高速状態)に変速可能とされている。
走行体3の前部にはドーザ装置11が設けられている。
旋回体2は、走行体3のトラックフレーム4に上下方向の旋回軸心回りに旋回自在に支持された旋回台15と、この旋回台15上に搭載されたキャビン16と、旋回台15の前部側に設けられた作業装置17(掘削作業装置、対地作業装置)とを備えている。
【0014】
図3〜図6において、旋回台15は、骨格(本体部分)となる旋回フレーム18と、この旋回フレーム18の後部に取り付けられていて旋回台15の後面及び左右側面の後側を構成するウエイト19と、旋回フレーム18の右側面の前側及び右前面を覆う右旋回カバー20と、旋回フレーム18の左側面の前側及び左前面を覆う左旋回カバーと、旋回フレーム18上面の前部左側を覆うステップ22とを備えている。
旋回フレーム18は、走行体3のトラックフレーム4上に旋回ベアリングを介して上下方向の旋回軸心廻りに旋回自在に支持された旋回基板21と、この旋回基板21上に溶接等によって固定された部材であって旋回基板21上に機器、作業装置、タンク類などを取付支持するための部材や補強部材等とを備えてなる。
【0015】
この旋回フレーム18の前部右側であって左右方向中央寄りには、前記作業装置17を支持する支持部23が設けられている。
この支持部23は、板面が左右方向を向くように旋回基板21上に立設された左右一対の縦板24L,24Rと、これら左右縦板24L,24Rの後端側に配置され且つ板面が前後方向を向くように旋回基板21上に立設された後部板25と、左右縦板24L,24R間に設けられた底板26と、左右縦板24L,24R間の前部に配置された左右一対のシリンダブラケット27とを備えている。左右の各縦板24L,24Rの前後方向中間部の上部にはブーム枢支部28が設けられている。
【0016】
前記作業装置17は、ブーム29と、アーム30と、バケット31(作業具)とを備えている。
図1、図3及び図4に示すように、旋回台15上には、キャビン16、エンジン42、ラジエータ43、燃料タンク44、作動油タンク45、コントロールバルブ46等が搭載されている。
前記キャビン16は旋回台15の左側(前記支持部23の左側方)に配置され、該キャビン16内には、運転席47の他、走行体3,作業装置17又は旋回台15等を操作する操作装置などが設けられている。
【0017】
エンジン42は旋回台15の後部にクランク軸の軸心が左右方向に一致するように横置き配置され、該エンジン42の左側には該エンジン42で駆動される油圧ポンプPが取り付けられている。
また、エンジン42後部側の上方で且つ左右方向中央側にはエアクリーナ48が配置されている。
ラジエータ43とエンジン42との間にはエンジン42によって駆動される冷却ファン49が設けられ、この冷却ファン49が駆動されると、ラジエータ43の右側(左右方向外側方)からエンジン42側へと左右方向に冷却風が流れるように構成されている。
【0018】
また、ラジエータ43の右側にはオイルクーラ51が配置されている。
燃料タンク44は、エンジン42の左側の前方で且つステップ22の下方側に配置されている。
作動油タンク45は、油圧機器を作動させる作動油を貯留するものであり、ラジエータ43の前方側であって且つ前記支持部23の右側方に配置されている。
この作動油タンク45の上方にバッテリー52が配置されている。
コントロールバルブ46は、当該バックホー1に設けられた油圧機器を制御する制御弁を集約してなるものであり、該コントロールバルブ46を構成する制御弁を上下方向に並べて結合してなり、作動油タンク45の前方側に配置されている。
【0019】
旋回台15には、エンジン42,油圧ポンプP,エアクリーナ48等の配置空間(エンジンルームER)を覆うボンネット54と、このボンネット54の右側(ラジエータの風上側)に配置されていてラジエータ43,オイルクーラ51等の配置空間(後補器ルームRR)の背面及び右側面を覆う後側部カバー55と、この後側部カバー55の前側に配置されていて作動油タンク45,バッテリー52,コントロールバルブ46等の配置空間(前補器ルームTR)の上面,右側面及び前面並びにラジエータ43等の配置空間の上面を覆う前側部カバー56とが設けられている。
【0020】
ボンネット54は、エンジン42等を収容するエンジンルームERの上壁71a及び前壁上部を構成するボンネット前57と、エンジンルームERの左側壁上部を構成するボンネット左58と、エンジンルームERの後壁上部を構成する開閉自在なボンネット後59とから主構成されている。
図3〜図6に示すように、エンジンルームERの前壁下部は、前記支持部23の後部板25及びこの後部板25の左方に配置された上下の仕切り板61,62によって構成され、エンジンルームERの後壁下部及び左側壁下部はウエイト19によって構成されている。
【0021】
エンジンルームERの底壁は、旋回基板21によって構成され、旋回基板21のエンジン42下方には、エンジンルームER内の空気を排出するための開口63が形成されている。
前記ウエイト19は、平面視で後方に向けて凸となる円弧状に形成されており、該ウエイト19の右側部分(ラジエータ43の配置側)は、ラジエータ43の後側からラジエータ43の右側方に至るように形成されている。
図5及び図6に示すように、エンジンルームER内には、ボンネット54及びキャビン16の後部側等を支持する支持フレーム64が設けられている。
【0022】
この支持フレーム64は、板材によって構成されており、左右一対の前支柱65L,65Rと、左右一対の後支柱66L,66Rと、これら前後支柱65L,65R,66L,66Rの上部を連結する横梁部材67とを備えていて、エンジン42を左右方向に跨ぐように構成されている。
横梁部材67上に前記ボンネット前57の上壁が載置されて取付固定されていると共に、該横梁部材67に前後一対のヒンジを介してボンネット後59の上部が左右軸廻りに回動自在に取り付けられている。
【0023】
図7〜図11において、前側部カバー56はヒンジ部材70により旋回台15に横軸86廻りに開閉自在に支持されている。前側部カバー56は、前補器ルームTRの上方を塞ぐ上壁71aと前補器ルームTRの前方を塞ぐ前壁71bとを一体に有するカバー本体71と、前補器ルームTRの外側方を塞ぐ側カバー体72とを備え、前側部カバー56の内側空間の左側面、下面及び後面は開放状とされている。カバー本体71は合成樹脂等により形成され、側カバー体72は板金等により形成されている。
前側部カバー56の前部にカバー本体71と側カバー体72とを連結する連結板74が設けられている。連結板74は、カバー本体71に固定されるカバー本体固定部75と、カバー本体固定部75から外側方に延長されて側カバー体72に固定される側カバー体固定部76とを備える。側カバー体固定部76は、側カバー体72の後部内面に突設したL字状の取付板77にボルト等の締結具78によりカバー本体71の後壁内面に締め付け固定されている。
【0024】
前側部カバー56の後部側に後連結体79が設けられ、後連結体79はボルト等の締結具によりカバー本体71の上壁71a内面と側カバー体72の後部内面とに固定されて、前側部カバー56の後部側でカバー本体71と側カバー体72とを連結している。
カバー本体71の前壁71bの下部内面に前側に凹んだ嵌合凹部80が形成され、嵌合凹部80の後側開口を塞ぐように前記連結板74のカバー本体固定部75が前壁71bの下部内面にボルト等の締結具81により固定され、連結板74のカバー本体固定部75と前壁71bとの間に、嵌合凹部80の後端開口をカバー本体固定部75で塞ぐことにより嵌合溝82が形成されている。カバー本体固定部75の下端部が下方に行くに従って徐々に向内方に向かうように傾斜され、これにより嵌合溝82の下端開口が前後方向に広げられている。この前側部カバー56に設けた嵌合溝82は、後述するヒンジ部材70の連結部材85の遊端部を差し込むためのものである。
【0025】
ヒンジ部材70は、旋回台15側に固定された固定部材84と、該固定部材84に横軸86廻りに回動自在に連結された連結部材85とを有している。嵌合溝82に下端側から連結部材85の遊端部が挿脱自在に差し込まれ、カバー本体固定部75と連結部材85の遊端部とがボルト等の締結具87によりカバー本体71の前壁71bに締め付け固定されている。
固定部材84の下端部に固定板部89が設けられ、固定部材84の上端部に円筒状の支持筒体90が設けられると共に、ストッパー片91が前方に突設され、固体板部89がボルトナット等の締結具により旋回基板21に締め付け固定され、固定部材84の中途部が連結体92を介して右旋回カバー20に固定されている。連結部材85の固定部材84側の端部に左右一対の支持片94が突設され、一対の支持片94が固定部材84の支持筒体90の左右両側に配置され、一対の支持片94及び支持筒体90に左右方向の横軸86が挿通されて、抜け止めピン95より抜け止めされている。これにより、連結部材85が固定部材84の上端部に横軸86廻りに回動自在に組み付けられ、連結部材85が横軸86廻りに前方側に回動して前方突出状になったとき一対の支持片94の先端縁部がストッパー片91に接当してこれ以上の前方側への回動を規制するようになっている。
【0026】
連結部材85に、連結部材85の遊端部の嵌合溝82への差し込み深さを規制するストッパー97が設けられており、連結部材85の遊端部を嵌合溝82に挿入したときにストッパー97が前壁71bの下端に接当して、締結具87を挿入するためのカバー本体固定部75側の取付孔と連結部材85の遊端部の取付孔とを一致させるように構成されている。
図3、図4及び図12〜図14に示すように、後側部カバー55は、ウエイト19の右側部分の上方側に配置されており、ラジエータ43の後方及び右側方を覆うようにウエイト19に沿って湾曲状に形成されている。後側部カバー55は前側部カバー56の側カバー体72の後側に隣接しており、後側部カバー55の上部の内面側に、後側部カバー55を旋回台15側に固定するための固定板98と、前側部カバー56を閉じた状態に施錠するための施錠機構99とが設けられている。施錠機構99は前側部カバー56の内面に溶接等により固設した支持部材100にボルトナット等で取り付けられ、前側部カバー56の上壁71a等に突設した係合片をロック解除自在にロックするように構成されており、施錠機構99により前側部カバー56を閉じた状態に施錠することができるようになっている。固定板98は支持部材100に突設されており、後側部カバー55の前部側が固体板98を介して旋回台15側に固定されている。後側部カバー55の前部下端に係止片101が下方突設され、係止片が右旋回カバー20の後部上端に設けた図示省略の係止孔に上側から係脱自在に係合されている。後側部カバー55の後部が後固定部材102を介して支持フレーム64等に固定されている。
【0027】
カバー本体71の上壁71aは、側カバー体72の後端よりも後方に突出した後上壁部104を有し、後上壁部104は、後側部カバー55の固定板98による固定部分と後側部カバー55の施錠機構99による施錠部分とを上側から覆っている。
後上壁部104に、前側部カバー56を開閉操作するための取っ手部106が外側方に突出するように設けられ、取っ手部106と後上壁部104との間に指を挿入することが可能な開口部107が形成されている。後側部カバー55の上端部に、取っ手部106に対応して左右の内側方に凹んだ凹部108が設けられ、凹部108に施錠機構99の施錠キー挿入部109が設けられている。
【0028】
前記実施の形態によれば、ヒンジ部材70は、旋回台15側に固定された固定部材84と、該固定部材84に横軸86廻りに回動自在に連結された連結部材85とを有し、前側部カバー56に連結部材85の遊端部を差し込む嵌合溝82が設けられているので、前側部カバー56を旋回台15に横軸86廻りに開閉自在に支持するためには、旋回台15側に固定した固定部材84に連結した連結部材85の遊端部を前側部カバー56の嵌合溝82に差し込んで、ボルト等の締結具87で連結部材85の遊端部を前側部カバー56に固定すればよく、前側部カバー56を旋回台15に開閉自在に支持するための作業を非常に簡単になし得る。
【0029】
また、連結板74のカバー本体固定部75と前壁71bとの間に、嵌合凹部80の後端開口をカバー本体固定部75で塞ぐことにより嵌合溝82が形成されているので、カバー本体71と側カバー体72とを連結する連結板74を、連結部材85の遊端部を差し込むための嵌合溝82を形成するための部材に兼用することができ、前側部カバー56の構成部材が少なくて済み前側部カバー56をより安価に構成することができる。
また、前側部カバー56を旋回台15に横軸86廻りに開閉自在に支持する際に、旋回台15側に固定した固定部材84に連結した連結部材85の遊端部を前側部カバー56の嵌合溝82に差し込んで、連結部材85の遊端部を嵌合溝82に挿入したときにストッパー97が前壁71bの下端に接当することにより、遊端部の嵌合溝82への差し込み深さが規制されると同時に、締結具81を挿入するためのカバー本体固定部75側の取付孔と連結部材85の遊端部の取付孔とを一致させることができ、その後はボルト等の締結具81をカバー本体固定部75側の取付孔と連結部材85の遊端部の取付孔とに挿入して締め付ければよくなり、前側部カバー56を旋回台15に横軸86廻りに開閉自在に支持するための作業をより一層簡単になし得る。
【0030】
また、カバー本体71の上壁71aは、側カバー体72の後端よりも後方に突出した後上壁部104を有し、前側部カバー56を閉じた際に、前側部カバー56のカバー本体71の上壁71aで後側部カバー55の固定板98による固定部分と後側部カバー55の施錠機構99による施錠部分とを上側から覆って簡単かつ確実に隠すことができるし、また、前側部カバー56を開くことにより、上記固定部分及び施錠部分を簡単に開放することができ、後側部カバー55の取り付けの際やメンテナンス等に便利である。
また、前側部カバー56を横軸86廻りに開閉する場合には、例えば凹部108から開口部107に手を挿入して取っ手部106を把持することによって、前側部カバー56を開閉操作すればよく、前側部カバー56を簡単に開閉することができる。
【0031】
なお、前記実施の形態では、前側部カバー56に本発明を適用実施しているが、本発明が適用されるカバーは、前側部カバー56に限定されず、後側部カバー55、後部カバー又は上部カバーその他のカバーにも適用実施することができ、後側部カバー55、後部カバー又は上部カバーをヒンジ部材70により旋回台15に横軸廻り又は縦軸廻りにその他傾斜軸廻りに開閉自在に支持するようにしてもよい。また、ボンネット54の左側に側部カバー、後部カバー又は上部カバーを設け、このカバーをヒンジ部材70により旋回台15に開閉自在に支持するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
バックホー等の旋回作業機に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
3 走行体
15 旋回台
55 後側部カバー
56 前側部カバー
71 カバー本体
72 側カバー体
74 連結板
75 カバー本体固定部
80 嵌合凹部
81 締結具
82 嵌合溝
84 固定部材
85 連結部材
86 横軸
97 ストッパー
98 固定板
99 施錠機構
104 後上壁部
106 取っ手部
108 凹部
109 施錠キー挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体(3)上に上下軸廻りに旋回自在に設けられた旋回台(15)を備え、旋回台(15)に車両補器が搭載され、この車両補器を配置した補器ルーム(TR)を覆うカバー(56)が設けられ、該カバー(56)がヒンジ部材(70)により旋回台(15)に開閉自在に支持された旋回作業機のカバー装置であって、
前記ヒンジ部材(70)は、旋回台(15)側に固定された固定部材(84)と、該固定部材(84)に回動自在に連結された連結部材(85)とを有し、カバー(56)に連結部材(85)の遊端部を差し込む嵌合溝(82)が設けられ、連結部材(85)の遊端部が嵌合溝(82)に差し込まれて、締結具(87)でカバー(56)に固定されていることを特徴とする旋回作業機のカバー装置。
【請求項2】
前記嵌合溝(82)は、カバー(56)に形成した嵌合凹部(80)を連結板(74)で塞ぐように連結板(74)をカバー(56)に固定することにより形成され、嵌合溝(82)に差し込まれた連結部材(85)の遊端部と連結板(74)とが締結具(87)によりカバー(56)に締め付け固定されていることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機のカバー装置。
【請求項3】
前記カバー(56)は、旋回台(15)に横軸(86)廻りに開閉自在に支持された側部カバーであって、補器ルーム(TR)の上方を塞ぐ上壁(71a)と補器ルーム(TR)の前方を塞ぐ前壁(71b)とを一体に有するカバー本体(71)と、補器ルーム(TR)の外側方を塞ぐ側カバー体(72)とを備え、カバー本体(71)と側カバー体(72)とが連結板(74)で連結され、該連結板(74)は、カバー本体(71)に固定されるカバー本体固定部(75)と、カバー本体固定部(75)から外側方に延長されて側カバー体(72)に固定される側カバー体固定部(76)とを備え、カバー本体(71)の前壁(71b)の下部内面に前側に凹んだ嵌合凹部(80)が形成され、嵌合凹部(80)の後側開口を塞ぐように前記連結板(74)のカバー本体固定部(75)が前壁(71b)の下部内面に固定されることにより前記嵌合溝(82)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の旋回作業機のカバー装置。
【請求項4】
連結部材(85)に、遊端部の嵌合溝(82)への差し込み深さを規制するストッパー(97)が設けられ、連結部材(85)の遊端部を嵌合溝(82)に挿入したときにストッパー(97)が前壁(71b)の下端に接当して、前記締結具(87)を挿入するためのカバー本体固定部(75)側の取付孔と連結部材(85)の遊端部の取付孔とを一致させるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の旋回作業機のカバー装置。
【請求項5】
前記カバー(56)の側カバー体(72)の後側に隣接する後側部カバー(55)が設けられ、後側部カバー(55)の上部の内面側に、後側部カバー(55)を旋回台(15)側に固定するための固定板(98)と、側部カバー(56)を閉じた状態に施錠するための施錠機構(99)とが設けられ、前記カバー本体(71)の上壁(71a)は、側カバー体(72)の後端よりも後方に突出した後上壁部(104)を有し、後上壁部(104)は、後側部カバー(55)の固定板(98)による固定部分と後側部カバー(55)の施錠機構(99)による施錠部分とを上側から覆っていることを特徴とする請求項3又は4に記載の旋回作業機のカバー装置。
【請求項6】
前記後上壁部(104)に、カバー(56)を開閉操作するための取っ手部(106)が外側方に突出するように設けられ、後側部カバー(55)の上部に、前記取っ手部(106)に対応して内側方に凹んだ凹部(108)が設けられ、凹部(108)に前記施錠機構(99)の施錠キー挿入部(109)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の旋回作業機のカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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