説明

既設埋設管破砕用カッタヘッド

【課題】鉄筋コンクリート製の既設埋設管を効率よく破砕できるとともに、その構造が簡単で小型に構成できる既設埋設管破砕用カッタヘッドを提供する。
【解決手段】カッタヘッド100の面板10に固定されるカッタ列は、面板10の前面に対し、平行に連続して延びる切刃、傾斜して連続して延びる切刃、平行にかつ段違いに延びる切刃、傾斜して段違いに延びる切刃のいずれか、またはそれらの組み合わせを有している。各カッタ列を構成する平型カッタは、その先端に設けられた超硬チップによりコンクリートおよび鉄筋を同時に切削するので、既設埋設管を効率よく破砕できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されて老朽化した既設埋設管を新しい埋設管に更新する際に既設埋設管を破砕するために用いるカッタヘッドに関し、より詳しくは、既設埋設管を構成しているコンクリートおよび補強用の鉄筋を効率よく破砕できるように改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道等を含む各種用途に供される地中埋設管は、経年変化によって老朽化が進むため、適切な時期に新しい埋設管(更新管)に交換する必要がある。
【0003】
この場合、既設埋設管が埋設されている個所の地盤を地表面から開削して既設埋設管を掘り出した後に新たな管を吊り込んで埋設し直す方法、あるいは図10に示したように地表面に掘設した立坑から水平方向に掘進しつつ既設埋設管を撤去して更新管に交換する方法が用いられる。
【0004】
図10に示した従来の既設埋設管更新方法においては、既設埋設管1を更新管2に交換するべく地表面Gに発進坑3を掘設するとともに、この発進坑3の底部に推進機4を設置する。
【0005】
そして、推進機4の駆動モータおよび減速機5と推進用の油圧シリンダ6とにより、スクリュコンベア7およびその先端に設けられているカッタヘッド8を一体に回転駆動しつつ図示左方向へと順次推進し、カッタヘッド8の前面に突設されている掘削ビット8aにより既設埋設管1を破砕しつつその周囲の地盤を掘削する。
【0006】
そして、破砕した既設埋設管1の破片および掘削した周囲の地盤の土砂は、スクリュコンベア7およびケーシング9によって搬送し、発進坑3側に取り出してから地表面G側に除去する。
【0007】
ところで、既設埋設管1が鉄筋コンクリートから製造されている場合には、コンクリートの破砕と補強用鉄筋の切断とを効率よく行う必要がある。
【0008】
そこで、下記特許文献1に記載された「カッタヘッド」は、ローラカッタと螺旋形のローラカッタとを備え、コンクリートおよび鉄筋を細かく破砕するようになっている。
【0009】
また、下記特許文献2に記載された「カッタヘッド」は、コンクリート部分を破砕するための柱状掘削ビットと、鉄筋を切断するための平型カッタとを備えている。
【特許文献1】特開平9−296687号公報
【特許文献2】特開平10−88974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている「カッタヘッド」においては、ローラカッタおよび螺旋形のローラカッタをそれぞれ回転自在に支持する必要があるため、ベアリングを必要として製造コストが嵩むばかりでなく、その構造が複雑となる。
【0011】
また、上記特許文献2に記載されている「カッタヘッド」においては、柱状掘削ビットがコンクリート部分を破砕して鉄筋を露出させるため、露出した鉄筋が支持を失い、平型カッタが鉄筋を切断する際に鉄筋が逃げてしまって効率よく切断できない場合があった。
【0012】
さらに、露出した鉄筋が柱状掘削ビットに巻き付く場合もあった。
【0013】
そこで本発明の目的は、鉄筋コンクリートから製造された既設埋設管を効率よく破砕できるばかりでなく、その構造が簡単で小型に構成することができる既設埋設管破砕用カッタヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
鉄筋コンクリートから製造された既設埋設管を新しい埋設管に更新する際に前記既設埋設管を破砕するために用いるカッタヘッドであって、
推進方向に延びる軸線の回りに回転駆動される円板状の面板と、
前記面板の前面上に半径方向に並設されてカッタ列を構成する、前記面板の半径方向に延びる切刃を有した複数の平型カッタと、
前記面板の前面中央部に突設された、前記切刃に向かって掘削添加剤を噴射する噴射手段と、を備える。
【0015】
そして、前記平型カッタは、前記既設埋設管を切削する超硬チップの切刃を有し、
前記カッタ列は、前記面板の円周方向に間隔を開けて複数列配設されていることを特徴とする。
【0016】
すなわち、請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドを用いて既設埋設管を破砕するときには、面板を回転駆動してその軸線の回りに回転させつつ、推進機を用いて前方に推進することにより平型カッタを既設埋設管の先端に押し付ける。
【0017】
すると、平型カッタの切刃を構成している超硬チップが、既設埋設管のコンクリート部分を削り取りながら鉄筋を切断するので、鉄筋が逃げることはなく、既設埋設管を効率よく破砕することができる。
【0018】
また、平型カッタの切刃に向かって噴射手段が掘削添加剤を噴射するので、平型カッタの切刃が冷却されて切削効率が高まるばかりでなく、破砕した既設埋設管の破片を効率よく排出することができる。
【0019】
したがって、平型カッタからなるカッタ列を円周方向に組み合わせた簡単かつ小型な構造でありながら、鉄筋コンクリート製の既設埋設管を効率よく破砕することができる。
【0020】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいて、前記カッタ列が、前記面板の前面に対し平行にかつ連続して延びる切刃を有していることを特徴とする。
【0021】
すなわち、請求項2に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいては、各カッタ列の切刃が面板の前面に対し平行にかつ連続して延びているので、鉄筋コンクリート製の既設埋設管のコンクリート部分および鉄筋を連続的に切削して効率よく破砕することができる。
【0022】
また、請求項3に記載した手段は、請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいて、前記カッタ列が、前記面板の前面に対し平行にかつ段違いに延びる切刃を有していることを特徴とする。
【0023】
すなわち、請求項3に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいては、各カッタ列の切刃が面板の前面に対し平行にかつ段違いに延びる切刃を有しているので、鉄筋コンクリート製の既設埋設管のコンクリート部分が堅固なものである場合にも確実に破砕することができる。
【0024】
また、請求項4に記載した手段は、請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいて、前記カッタ列が、前記面板の前面に対し傾斜しつつ連続して延びる切刃を有していることを特徴とする。
【0025】
すなわち、請求項4に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいては、各カッタ列の切刃が面板の前面に対し傾斜しつつ連続して延びているので、鉄筋コンクリート製の既設埋設管が環状に延びる鉄筋を含んでいる場合でも、そのコンクリート部分および鉄筋を連続的に効率よく切削して破砕することができる。
【0026】
また、請求項5に記載した手段は、請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいて、前記カッタ列が、前記面板の前面に対し傾斜しつつ段違いに延びる切刃を有していることを特徴とする。
【0027】
すなわち、請求項5に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいては、各カッタ列の切刃が面板の前面に対し傾斜しつつ段違いに延びる切刃を有しているので、鉄筋コンクリート製の既設埋設管のコンクリート部分が堅固なものであり、かつ環状に延びる鉄筋を含んでいる場合でも、そのコンクリート部分および鉄筋を確実に切削して破砕することができる。
【0028】
また、請求項6に記載した手段は、請求項4または5に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいて、
前記面板の外周側ほど前記面板の前面から離間するように、その切刃が前記面板の前面に対して傾斜している平型カッタからなる第1のカッタ列と、
前記面板の外周側ほど前記面板の前面に接近するように、その切刃が前記面板の前面に対して傾斜している平型カッタからなる第2のカッタ列とが、
前記面板の円周方向に交互に並ぶように配設されていることを特徴とする。
【0029】
すなわち、請求項6に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいては、面板の円周方向に間隔を開けて配設されている各カッタ列の切刃の傾斜方向が交互に異なっている。
これにより、面板を回転駆動すると、鉄筋コンクリート製の既設埋設管に対して各カッタ列が切り込む角度が順番に変化することになるから、コンクリートの材質や鉄筋の配置構造に関わらず既設埋設管を効率よく切削して破砕することができる。
【0030】
また、請求項7に記載した手段は、請求項1乃至6のいずれかに記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいて、
前記既設埋設管を支持している支持部分を掘削する、前記面板の前面外周部に固設された外周カッタをさらに備えることを特徴とする。
【0031】
すなわち、請求項7に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッドにおいては、既設埋設管を支持している基礎コンクリートや材木等の支持部分を面板の前面外周部に固設された外周カッタによって掘削することができるから、各カッタ列が基礎コンクリートや材木等を切削するときの反力によって面板が上方に持ち上げられて掘削方向がずれることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
すなわち、本発明によれば、鉄筋コンクリートから製造されている既設埋設管を効率よく破砕できるばかりでなく、その構造が簡単で小型な既設埋設管破砕用カッタヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図1乃至図9を参照し、本発明の既設埋設管破砕用カッタヘッドの各実施形態について詳細に説明する。
【0034】
なお、以下の説明においては、前述した従来技術を含めて同一の部分には同一の参照符号を用いて重複した説明を省略する。
【0035】
第1実施形態
まず最初に図1〜図4を参照し、第1実施形態の既設埋設管破砕用ヘッドカッタについて詳細に説明する。
【0036】
第1実施形態のカッタヘッド100は、図10に示した従来のカッタヘッド8と同様にスクリュコンベア7の前端に取り付けられ、推進機4の駆動モータおよび減速機5と推進用の油圧シリンダ6とにより、一体に回転駆動されつつ図示左方向に順次推進される構造となっている。
【0037】
このカッタヘッド100は、図1および図2に示したように、その軸線の回りに回転駆動される厚板円板状の面板10と、この面板10の前面に取り付けられた合計4列のカッタ列20A,20B,20C,20Dと、面板10の前面外周に固定された合計4個の外周カッタ30と、各カッタ列の切刃に向かって掘削添加剤を噴射する噴射手段40とを備えている。
【0038】
面板10には、各カッタ列20A,20B,20C,20D、および外周カッタ30によって破砕された既設埋設管1の破片および掘削された土砂をスクリュコンベア7側に通過させるための複数の排出穴11が貫設されている。
【0039】
各カッタ列20A,20B,20C,20Dは、面板10の前面上に互いに密着するように固定された3個の平型カッタ21,22,23からそれぞれ構成されており、その構造は同一である。
【0040】
そして、各カッタ列20A,20B,20C,20Dは、面板10の前面に対して平行に、かつ面板10の半径方向に連続して延びる切刃を有している。
【0041】
平型カッタ21,22,23は、面板10の前面にボルトを用いて着脱自在に取り付けられており、その切刃が摩耗した場合には容易に交換することができる。
【0042】
また、平型カッタ21,22,23は、その先端に超硬チップ21a,22a,23aを有しているが、それらの切刃が面板10の前面に対して平行にかつ半径方向外側に向かって連続して延びるように、それぞれの形状が設定されている。
【0043】
超硬チップ21a,22a,23aは、鉄筋コンクリートから製造されている既設埋設管1に含まれている鉄筋1a,1bばかりでなく、そのコンクリート部分をも容易に切削できるようにその材質、硬度、すくい角、逃げ角が設定されている。
【0044】
外周カッタ30は、超硬チップ30aをその先端に有しており、その切刃は面板10の軸線(推進方向)に対して平行に延びるとともに、各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃よりも半径方向外側に位置している。
【0045】
また、外周カッタ30は、既設埋設管1を地盤中に支持している基礎コンクリートや、材木、周囲の地盤を掘削できるように、その材質、硬度、すくい角、および逃げ角が設定された超硬チップをその先端に有している。
【0046】
なお、この外周カッタ30もまた、面板10の前面にボルトを用いて着脱自在に固定することができる。
【0047】
噴射手段40は、図3に示したように、面板10の前面中央部に着脱自在に固定された略円柱状の本体部分41を有している。
【0048】
この本体部分41には、面板10の中心に貫設された貫通孔10aと連通する縦孔42と、この縦孔42の先端から面板10の前面に対して平行に延びる複数の横孔43とがそれぞれ貫設されており、スクリュコンベア7の内部に設けられている図示されない配管を介して掘削添加剤が供給されるようになっている。
【0049】
本体部分41の外周面に凹設されている合計4個の凹部44には噴射ノズル45がそれぞれ固定されており、横孔43から供給される掘削添加剤を各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃に向かって噴射できるようになっている。
【0050】
さらに、本体部分41の先端には先端カッタ46が固定されており、このカッタヘッド100を地盤中に推進する際に地盤を掘削できるようになっている。
【0051】
本第1実施形態のカッタヘッド100を用いて既設埋設管1を破砕するときには、推進機4の駆動モータおよび減速機5と推進用の油圧シリンダ6とにより、スクリュコンベア7および面板10をその軸線の回りに一体回転させつつ、油圧シリンダ6によって順次推進して各カッタ列20A,20B,20C,20Dを既設埋設管1の先端に押圧する。
【0052】
すると、図4に示したように、各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃が鉄筋コンクリート製の既設埋設管1のコンクリート部分および横鉄筋1a,縦鉄筋1bを一体に切削して破砕する。
【0053】
このとき、各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃が面板10の前面に対し平行にかつ連続して延びているので、鉄筋コンクリート製の既設埋設管1のコンクリート部分および横鉄筋1a,縦鉄筋1bを連続的に切削することができる。
【0054】
また、横鉄筋1aおよび縦鉄筋1bは、コンクリート部分に埋設されている状態で各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃によってコンクリート部分と共に切断されるから、横鉄筋1aおよび縦鉄筋1bが曲がって逃げることはなく、効率よく切削することができる。
【0055】
さらに、各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃に向かって各噴射ノズル45から掘削添加剤が噴射されるから、切刃を冷却してその切削効率が低下することを防止できる。
【0056】
加えて、各カッタ列20A,20B,20C,20Dによって切削された既設埋設管1の破片に向かって掘削添加剤が噴射されるから、既設埋設管1の破片を面板10の排出穴11を介してスクリュコンベア7に向かって効率よく排出することができる。
【0057】
第2実施形態
次に、図5〜図9を参照して第2実施形態のカッタヘッドについて説明する。
【0058】
第2実施形態のカッタヘッド200は、上述した第1実施形態のカッタヘッド100に対し、カッタ列60A,60B,60C,60Dの構成を変更したものであるが、それ以外の構成は同一となっている。
【0059】
具体的に説明すると、カッタ列60A,60Cは、面板10の前面上に固定された3個の平型カッタ61,62,63からそれぞれ構成されており、その構造は同一である。
【0060】
また、カッタ列60B,60Dは、面板10の前面上に固定された3個の平型カッタ64,65,66からそれぞれ構成されており、その構造は同一である。
【0061】
平型カッタ61,62,63は、面板10の前面にボルトを用いて着脱自在に取り付けられて、その切刃が摩耗した場合には容易に交換できるようになっている。
【0062】
また、平型カッタ61,62,63は、図6に示したように超硬チップ61a,62a,63aをその先端に有しているが、それらの切刃は、図7に示したように、面板10の外周側ほど面板10の前面から離間するように面板10の前面に対し角度θをなして傾斜しつつ、互いに段違いに延びるように構成されている。
【0063】
超硬チップ61a,62a,63aは、鉄筋コンクリートから製造されている既設埋設管1に含まれている横鉄筋1a,縦鉄筋1bばかりでなく、そのコンクリート部分を容易に切削できるようにその材質、硬度、すくい角、および逃げ角が設定されている。
【0064】
同様に、平型カッタ64,65,66もまた面板10の前面にボルトを用いて着脱自在に取り付けられて、その切刃が摩耗した場合には容易に交換できるようになっている。
【0065】
また、平型カッタ64,65,66は、図6に示したように、超硬チップ64a,65a,66aをその先端に有しているが、それらの切刃は、面板10の外周側ほど面板10の前面に接近するように面板10の前面に対し角度θをなして傾斜しつつ、互いに段違いに延びるように構成されている。
【0066】
超硬チップ64a,65a,66aは、鉄筋コンクリートから製造されている既設埋設管1に含まれている横鉄筋1a,縦鉄筋1bばかりでなく、そのコンクリート部分を容易に切削できるようにその材質、硬度、すくい角、および逃げ角が設定されている。
【0067】
これにより、本第2実施形態のカッタヘッド200においては、面板10の外周側ほど面板10の前面から離間するように面板10の前面に対し傾斜しつつ段違いに延びる切刃を有したカッタ列60A,60Cと、面板10の外周側ほど面板10の前面に接近するように面板10の前面に対し傾斜しつつ段違いに延びる切刃を有したカッタ列60B,60Dとが、面板10の円周方向に交互に並ぶように配設されている。
【0068】
本第2実施形態のカッタヘッド200を用いて既設埋設管1を破砕するときには、推進機4の駆動モータおよび減速機5と推進用の油圧シリンダ6とにより、スクリュコンベア7および面板10をその軸線の回りに一体回転させつつ、油圧シリンダ6によって順次推進して各カッタ列60A,60B,60C,60Dを既設埋設管1の先端に押圧する。
【0069】
すると、図8および図9に示したように、各カッタ列60A,60B,60C,60Dの切刃が鉄筋コンクリート製の既設埋設管1のコンクリート部分および横鉄筋1a,縦鉄筋1bを一体に切削して破砕する。
【0070】
このとき、図8および図9に示したように、カッタ列60A,60Cの切刃が既設埋設管1に対してなす角度と、カッタ列60B,60Dの切刃が既設埋設管1に対してなす角度とは異なっている。
【0071】
これにより、既設埋設管1は、カッタ列60A,60Cによって図8に示したように切削される状態と、カッタ列60B,60Dによって図9に示したように切削される状態とが、交互に繰り返すように切削される。
【0072】
これにより、各カッタ列60A,60B,60C,60Dは、既設埋設管1を構成しているコンクリートの材質や横鉄筋1a,縦鉄筋1bの配置構造に関わらず、既設埋設管1を効率よく切削して破砕することができる。
【0073】
さらに、各カッタ列60A,60B,60C,60Dの切刃は、第1実施形態のカッタヘッド100のように連続しておらず、段違いに延びている。
【0074】
したがって、既設埋設管1を構成している鉄筋コンクリートのコンクリート部分が堅固なものである場合にも、既設埋設管1を確実に破砕することができる。
【0075】
以上、本発明に係る既設埋設管破砕用カッタヘッドの各実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0076】
例えば、上述した第1実施形態においては、各カッタ列20A,20B,20C,20Dの切刃が面板10の前面に対して平行にかつ連続して延びているが、面板10の前面に対して傾斜しつつ連続して延びるように構成することもできる。
【0077】
また、カッタ列20A,20Cの連続して延びる切刃が、面板10の外周側ほど面板10の前面から離間するように面板10の前面に対し傾斜して延びる構成とし、かつカッタ列20B,20Dの連続して延びる切刃が、面板10の外周側ほど面板10の前面に接近するように面板10の前面に対し傾斜して延びる構成とすることもできる。
【0078】
さらに、各カッタ列20A,20B,20C,20Dを構成している各平型カッタ21,22,23の切刃の面板10の前面に対する高さ位置を変えることにより、各切刃が面板10の前面に対して平行にかつ段違い(高さ違い)の状態で延びるように構成することもできる。
【0079】
さらに、上述した第2実施形態においては、各カッタ列60A,60B,60C,60Dの切刃が面板10の前面に対して傾斜しつつ段違いに延びているが、各カッタ列を構成している平型カッタ61,62,63,64,65,66の切刃の面板10の前面に対する高さ位置を調整することにより、各カッタ列60A,60B,60C,60Dの切刃が面板10の前面に対して傾斜しつつ連続して延びるように構成することもできる。
【0080】
加えて、面板10の前面に対して平行に延びる切刃を有した平型カッタと、面板10の前面に対して傾斜して延びる切刃を有した平型カッタとを組み合わせたカッタ列を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施形態の既設埋設管破砕用カッタヘッドを示す斜視図。
【図2】図1に示したカッタヘッドの正面図。
【図3】図1中に示したIII−III破断線に沿った断面図。
【図4】図1に示したカッタヘッドの作用を説明する平面図。
【図5】第2実施形態の既設埋設管破砕用カッタヘッドを示す斜視図。
【図6】図5に示したカッタヘッドの正面図。
【図7】図5中に示したVII−VII破断線に沿った断面図。
【図8】図5に示したカッタヘッドの作用を説明する平面図。
【図9】図5に示したカッタヘッドの作用を説明する平面図。
【図10】従来の既設埋設管の更新装置を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0082】
1 既設埋設管
1a,1b 鉄筋
2 更新管
3 発進坑
4 推進機
5 モータおよび減速機
6 油圧シリンダ
7 スクリュコンベア
8 カッタヘッド
8a カッタ
9 ケーシング
100 第1実施形態のカッタヘッド
10 面板
10a 貫通孔
11 排出穴
20A,20B,20C,20D カッタ列
21,22,23 平型カッタ
21a,22a,23a 超硬チップ
30 外周カッタ
30a 超硬チップ
40 噴射手段
41 本体部分
42 縦孔
43 横孔
44 凹部
45 噴射ノズル
46 先端カッタ
60A,60C 第1のカッタ列
60B,60D 第2のカッタ列
61,62,63 平型カッタ
64,65,66 平型カッタ
61a,62a,63a 超硬チップ
64a,65a,66a 超硬チップ
100 第1実施形態のカッタヘッド
200 第2実施形態のカッタヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリートから製造された既設埋設管を新しい埋設管に更新する際に前記既設埋設管を破砕するために用いるカッタヘッドであって、
推進方向に延びる軸線の回りに回転駆動される円板状の面板と、
前記面板の前面上に半径方向に並設されてカッタ列を構成する、前記面板の半径方向に延びる切刃を有した複数の平型カッタと、
前記面板の前面中央部に突設された、前記切刃に向かって掘削添加剤を噴射する噴射手段と、を備え、
前記平型カッタは、前記既設埋設管を切削する超硬チップの切刃を有し、
前記カッタ列は、前記面板の円周方向に間隔を開けて複数列配設されていることを特徴とする既設埋設管破砕用カッタヘッド。
【請求項2】
前記カッタ列は、前記面板の前面に対し平行にかつ連続して延びる切刃を有していることを特徴とする請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッド。
【請求項3】
前記カッタ列は、前記面板の前面に対し平行にかつ段違いに延びる切刃を有していることを特徴とする請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッド。
【請求項4】
前記カッタ列は、前記面板の前面に対し傾斜しつつ連続して延びる切刃を有していることを特徴とする請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッド。
【請求項5】
前記カッタ列は、前記面板の前面に対し傾斜しつつ段違いに延びる切刃を有していることを特徴とする請求項1に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッド。
【請求項6】
前記面板の外周側ほど前記面板の前面から離間するように、その切刃が前記面板の前面に対して傾斜している平型カッタからなる第1のカッタ列と、
前記面板の外周側ほど前記面板の前面に接近するように、その切刃が前記面板の前面に対して傾斜している平型カッタからなる第2のカッタ列とが、
前記面板の円周方向に交互に並ぶように配設されていることを特徴とする請求項4または5に記載した既設埋設管破砕用カッタヘッド。
【請求項7】
前記既設埋設管を支持している支持部分を掘削する、前記面板の前面外周部に固設された外周カッタをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載した既設埋設管破砕用カッタヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−203775(P2009−203775A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49960(P2008−49960)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】