説明

日焼け保護キット

【課題】紫外線A放射および紫外線B放射に抗して、ケラチン物質に有効な日焼け保護製品の提供。
【解決手段】少なくとも2の異なった、別々に包装された組成物を含んでいる、紫外線Aおよび紫外線Bを包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質を保護するためのキットであって、当該キットが、少なくとも1の化合物(X)、少なくとも1の化合物(Y)を含み、当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がシリコーン化合物であり、および少なくとも1の疎水性遮蔽系を含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が、320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)などである、キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日焼け保護の分野に関する。本発明は、より特には紫外線A波および紫外線B波の放射からケラチン物質、とりわけ皮膚を保護するためのキットに関し、該キットは少なくとも2の組成物および少なくとも2の化合物(X)および(Y)を含んでおり、該化合物(X)および(Y)は互いに反応する能力があり、これらの化合物のうちの少なくとも1はシリコーン化合物であり、また少なくとも1の疎水性遮蔽系が、3者択一として、
(i) 少なくとも1の疎水性有機紫外線A波日焼け止め剤および少なくとも1の疎水性有機紫外線B波日焼け止め剤ならびに任意的な無機日焼け止め剤、または
(ii) 少なくとも1の疎水性有機紫外線A波・紫外線B波日焼け止め剤および任意的な無機日焼け止め剤、または
(iii) 少なくとも1の疎水性有機紫外線A波日焼け止め剤、および少なくとも1の無機日焼け止め剤もしくは少なくとも1の疎水性有機紫外線A波・紫外線B波日焼け止め剤
を含んでいる。
【0002】
本発明は、紫外線A波および紫外線B波の放射からケラチン物質を保護する方法、およびこのような方法によって得られることができる光保護膜にも関する。
【背景技術】
【0003】
320〜400nmの波長を有し皮膚の自然日焼けを起こす紫外線A波は、特に敏感な皮膚または太陽輻射に連続的に曝された皮膚の場合に、皮膚に不都合な変化を引き起こす能力を有することがよく知られている。紫外線A波は、特に皮膚の弾力性の喪失およびしわの発現を生じさせて、早期老化をもたらす。これは紅斑反応の誘発を促しまたは特定の人にはこの反応を増幅し、また光毒性または光アレルギー性反応の基点にさえなることがある。さらにその上、紫外線B波の名称の下に知られている280〜320nmの波長の光放射は、皮膚の紅斑および熱傷を発生させ、これらは自然な日焼けの発現に有害になることがあることが知られている。
【0004】
したがって紫外線A放射および紫外線B放射の双方を遮ることが望ましい。
【0005】
一般的にいえば、皮膚の光保護を目的とした化粧品組成物は、有機および/または無機紫外線遮蔽剤を含有し、これらはその化学的本質およびその物理的特性に応じて、紫外線放射の吸収、反射または散乱によって機能を果たす。
【0006】
このような日焼け止め剤を含んでいる日焼け保護組成物の開発における目的は一般に、日焼け止め剤含有量対効能の最善のトレードオフ(釣合)を得ることである。
【0007】
皮膚のための日焼け保護組成物の効能は、慣習的にその日焼け止め指数(SPFと略される。)に言い換えられており、これは、紫外線遮蔽剤によって保護された皮膚上に初期紅斑を引き起こすのに必要なエネルギーの量と保護されていない皮膚上に初期紅斑を引き起こすのに必要なエネルギーの量との比と定義される。効能の有意のレベルを達成するために、当業者は現在、光保護剤を効能の所要のレベルに合うように大量に導入しなければならない。
【0008】
この目的のために、市販されている様々なタイプの遮蔽剤が現在利用されており、これらは無機遮蔽剤および化学遮蔽剤(または有機日焼け止め剤)である。
【0009】
これらの日焼け保護製品は、より特には乳液、クリーム、スプレー、スティック、および含浸ワイプの形態で存在する。これらの製品は、非常に高いレベルの光保護が達成されることを可能にすることができる。
【0010】
しかし、これらの製品が皮膚に施与されると、発汗、海水浴、または機械的摩擦、たとえばタオルもしくは砂との接触のような様々な要因の故に、これらは取り除かれてしまう傾向を有することがある。
【0011】
したがって、日焼け保護製品の市場では、紫外線A放射および紫外線B放射に抗して、化粧品および/またはケア製品にケラチン物質の有効な日焼け保護の品質を備えさせる必要が存在し、当該製品は外的作用、特に上述のようなものに抵抗しながら、高いSPFを享受する。消費者は特に、高いレベルの日焼け保護を確保しながら、心地よくかつケラチン物質に対して無害である日焼け保護製品を期待している。
【0012】
ある場合には、利用者は、得られる日焼け保護が実質的に完全であること、およびとりわけそれが攻撃的な作用に抵抗するであろう保証を有することさえも要求することがある。利用者は、典型的には外科手術後の瘢痕を、言い換えれば皮膚の局部を保護することを望むことがある。
【0013】
このような実質的に完全な、局部の保護を求める利用者は、現在のところ不透明ブロック(opaque block)を使用することができる。しかし、このような解決法は、とりわけ美的な観点から満足のいくものではないようである。
【0014】
特許文献1は、化粧品用途のためのまたは医薬品を送達するためさえの、皮膚に付着しバリアの役割をするシリコーン膜を製造する可能性を教示している。これらの膜は特に日焼け止め剤を含んでいることができる。
【0015】
特許文献2は、太陽輻射から生体組織を保護するために有用である日焼け止め剤をドープされたゾル/ゲル物質に関し、この中にドープされた日焼け止め剤は、250nm超の領域の紫外線放射を吸収する能力がある化学的日焼け止め分子から成ることが見出されており、かつこの中に当該日焼け止め分子は物理的に捕捉されている。
【0016】
次なる順番の特許文献3は、ケラチン物質をメークアップまたはケアする方法に関し、該方法は少なくとも一つがシリコーン化合物である複数の化合物を、日焼け保護製品をさらに含んでいるケア組成物と一緒に施与することを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】英国特許第2407496号明細書
【特許文献2】欧州特許第973493号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/071706号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
日焼け保護製品の市場では、紫外線A放射および紫外線B放射に抗して、化粧品および/またはケア製品にケラチン物質の有効な日焼け保護の品質を備えさせる必要が存在し、当該製品は外的作用、特に上述のようなものに抵抗しながら、高いSPFを享受する。消費者は特に、高いレベルの日焼け保護を確保しながら、心地よくかつケラチン物質に対して無害である日焼け保護製品を期待している。
【課題を解決するための手段】
【0019】
思いがけなく本発明者らは、現在、市場にある組成物の前述の欠点が、特定の紫外線Aおよび紫外線Bの放射に対抗する日焼け止め剤を含んでいる特定の膜を形成するために用意されたキットの使用によって解消されることができることを発見した。本発明者らは、実に、驚いたことに、当該キットによって得られた当該膜が、有意に高められた日焼け保護をもたらすことを発見した。
【0020】
したがって、本発明者らは予期に反して、慣用の日焼け保護製品と比較して低減された量の日焼け止め剤を使用して、紫外線Aおよび紫外線Bに対する増加された効能の光保護膜を得ることが可能であることを発見した。
【発明の効果】
【0021】
より特には、本発明者らは、紫外線Aおよび紫外線Bに対抗する日焼け止め剤を、本発明に従うキット内で混合物としてまたは混成物の形で一緒にすることによって、紫外線B日焼け止め剤のみが使用されたときに得られるSPF値よりもはるかに高いSPF値を得ることが可能であることを実証した。
【0022】
本発明者らは、少なくとも1の無機日焼け止め剤と少なくとも1の疎水性有機紫外線A日焼け止め剤とを本発明に従うキット内で一緒にすることによって、無機日焼け止め剤および疎水性有機紫外線A日焼け止め剤が単独で使用されたときに得られるSPF値よりもはるかに高いSPF値を得ることが可能であることも実証した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
したがって、本発明の主題のうちの1に従って、少なくとも2の異なった、別々に包装された組成物を含んでいる、紫外線A波および紫外線B波を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質を保護するためのキットが今提案され、当該キットは、
・ 少なくとも1の化合物(X)、
・ 少なくとも1の化合物(Y)、
・ 任意的な少なくとも1の触媒または少なくとも1の過酸化物、および
・ 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が、
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに/または少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)かあるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、
当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がシリコーン化合物であり、但し化合物(X)、(Y)および任意的な触媒または過酸化物が同一の組成物中に同時には存在せず、当該化合物(X)および(Y)が互いに接触されると、これらは当該触媒の存在下におけるヒドロシリル化反応によって、または縮合反応によって、または当該過酸化物の存在下における架橋反応によって互いに反応する能力がある、キットである。
【0024】
1の実施態様では、キットは少なくとも2の異なった、別々に包装された組成物を含んでおり、当該キットは、
− 少なくとも1の化合物(X)を、生理学的に許容される媒体中に含んでいる第一の組成物、および
− 少なくとも1の化合物(Y)を、生理学的に許容される媒体中に含んでいる第二の組成物
を少なくとも含んでおり、
当該任意的な触媒または当該任意的な過酸化物が当該第一および第二の組成物のうちのどちらかの中に存在し、もしくは任意的に第三の組成物中に存在し、かつ当該日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および/または(D)が当該第一および第二の組成物のうちのどちらかの中に存在し、もしくは任意的に当該第三の組成物中に存在する。
【0025】
本発明はさらに、紫外線A波および紫外線B波を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質を保護する方法であって、該方法が当該ケラチン物質に
a) 少なくとも1の化合物(X)、
b) 少なくとも1の化合物(Y)、および
c) 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を施与することを含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに/または少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)かあるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、
当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がシリコーン化合物であり、当該化合物(X)および(Y)が互いに反応する能力があり、当該反応が、少なくとも1の触媒の存在下におけるヒドロシリル化反応、縮合反応、または少なくとも1の過酸化物の存在下における架橋反応であり、但しA)、B)およびC)の施与が、(i)事前の現場での混合によって同時にか、あるいは(ii)これらの施与の時に同時にまたは任意の順番で逐次的に混合することによって起こる、但し当該混合の条件が当該化合物(X)と(Y)との反応に有利であること、上記方法を提供する。
【0026】
最後に、本発明は、上記のケラチン物質を保護する方法に従って得られることができる光保護膜も提供する。
【0027】
本発明に従う光保護キットは特に、ケラチン物質への効果的な付着を示しかつ使用後に容易に除去可能でありながら、皮膚の特定の部位、たとえば病変、瘢痕、または創傷を保護する能力がある光保護膜が得られることを許す利点を有する。
【0028】
このようにして得られた光保護膜は、本発明に従うキットのおかげで、均一であり、光沢または粘つきがなく、また心地よく、かつ保護された部位のその後のメークアップを許す残留膜を形成することが認められる。その上、化合物(X)と(Y)との反応の結果として得られた膜は、本発明の1の特定の態様に従って、比較的透明または半透明なマトリクスを持つことができ、したがってこれは特に望まれている美的な品質を備えている。
【0029】
さらにその上、本発明者らは、当該光保護膜中の日焼け止め剤の特定の組み合わせが安定であることを観察することもできた。これらは通常の場合、同じ日焼け保護クリームと接触されると、互いに好ましくない相互作用をして、これらの同じ組成物の保護品質を損なうものである。したがって、日焼け保護の分野において従来排除されていた日焼け止め剤の組み合わせが今や可能である。
【0030】
本発明の文脈において、「透明または半透明」とは、屈折または反射によって偏位を引き起こすことなく光を透過する能力をいう。
【0031】
より特には、「透明または半透明」とは、400nm〜700nmの波長の窓から、たとえば10ミクロンの厚さを有する本発明に従う膜を通して、平均して光の少なくとも25%、好ましくは光の50%を透過する能力をいう。
【0032】
化合物(X)と(Y)との反応生成物は、本発明に従って要求される条件下におけるその存在のおかげで、膜の十分な付着力を確保し、それによって効果的な光保護を許す。その上、光保護膜は、水、発汗および洗いに直面しても十分に留まり続け、また良好な保持力または長期にわたる持続性を保つ。
【0033】
さらにその上、これらの膜は使用後に、こすることによって、たとえば膜のめくれを引き起こして、または絆創膏のやり方で、取り除くことまたは引き剥がすことが容易である。
【0034】
他の態様では、本発明は、紫外線A波および紫外線B波を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質、とりわけ皮膚を保護するための化粧品組成物であって、該化粧品組成物が生理学的に許容される媒体中に
・ 少なくとも1の化合物(X)、
・ 少なくとも1の化合物(Y)、
・ 少なくとも1の触媒、および
・ 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに/または少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)かあるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がポリオルガノシロキサンであり、かつ当該化合物(X)および(Y)が当該触媒の存在下においてヒドロシリル化反応によって互いに反応する能力があり、化合物(X)および(Y)の中の少なくとも1の化合物がカプセル封入された形態で当該組成物中に存在し、当該触媒が当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1とカプセル封入された形態で一緒にされている、化粧品組成物を提供する。
【0035】
この組成物は、本発明に従う光保護キット中に含められることができる。
【0036】
他の態様に従うと、本発明は、紫外線A波および紫外線B波の領域を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質、とりわけ皮膚を保護する方法を提供し、該方法は当該ケラチン物質に本発明の主題である当該組成物を施与することを含み、当該化合物(X)および/または当該化合物(Y)が当該組成物中にカプセル封入された形態で存在し、該カプセルは当該ケラチン物質への施与後に破壊されることができる。
【0037】
化合物(X)および(Y)
【0038】
本発明に従うキットは、少なくとも1の化合物(X)および少なくとも1の化合物(Y)を含んでおり、化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1はシリコーン化合物であり、これらは下記のように、触媒の存在下においてヒドロシリル化反応によって、縮合反応によって、または過酸化物の存在下において架橋反応によって反応する能力がある。好都合には、化合物(X)および(Y)は、触媒の存在下においてヒドロシリル化反応によって膜を形成するような様式で反応する。
【0039】
1−触媒の存在下においてヒドロシリル化反応によって反応することができる化合物(X)および(Y)
【0040】
ヒドロシリル化反応は、少なくとも1の化合物(X)、少なくとも1の化合物(Y)および少なくとも1の触媒の間で生じる。
【0041】
化合物(X)および(Y)は、本発明に従うキット内で、第一の組成物中におよび第二の組成物中にそれぞれ、または当該第一および第二の組成物以外の組成物中にさえも存在することができる。
【0042】
1の特定の実施態様では、化合物(X)は組成物(A1)中に存在し、かつ化合物(Y)は組成物(A2)中に存在する。
【0043】
他の実施態様では、化合物(X)および(Y)は、互いに分離して組成物(A3)中に存在する。
【0044】
触媒の存在下においてヒドロシリル化反応によって反応することができる化合物(X)と(Y)との反応は、以下のように簡略化された様式で表されることができる。

この式で、Wは1以上の不飽和脂肪族基を有する炭素および/またはシリコーン鎖を表す。
【0045】
この場合、化合物(X)は少なくとも2の不飽和脂肪族基を含んでいるシリコーン化合物から選択されることができる。一例として、化合物(X)はシリコーン主鎖を含んでいるポリオルガノシロキサンであることができ、その不飽和脂肪族基は主鎖にペンダントであり(側基)、または該化合物の主鎖の末端に位置している(末端基)。本明細書の記載全体を通して、これらの特定の化合物は、不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと呼ばれる。
【0046】
1の実施態様では、化合物(X)および/または化合物(Y)は下記のように少なくとも1の極性基を担っており、これはケラチン物質と少なくとも1の水素結合を形成する能力がある。この極性基は好都合には、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含んでいる化合物(X)によって担われている。
【0047】
極性基
【0048】
1の特定の実施態様では、化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1、たとえば化合物(X)は、ケラチン物質と少なくとも1の水素結合を形成する能力がある少なくとも1の極性基を担っている。
【0049】
極性基は、その化学構造中に炭素原子および水素原子ならびに少なくとも1のヘテロ原子(たとえば、O、N、SおよびP)を有する基であり、その結果、当該基はケラチン物質と少なくとも1の水素結合を形成することができる。
【0050】
水素結合を形成する能力がある少なくとも1の基を担っている化合物は、これらを含有する組成物にケラチン物質への改良された付着力を与えるので、特に好都合である。
【0051】
化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1によって担われた1または複数の極性基は、水素原子を形成する能力があり、かつ電気陰性原子に結合された水素原子か、あるいは電気陰性原子、たとえば酸素、窒素またはイオウ原子を含んでいる。該基が電気陰性原子に結合された水素原子を含んでいるときは、該水素原子は、例として他の分子、たとえばケラチンによって担われた他の電気陰性原子と相互作用して、水素結合を形成することができる。該基が電気陰性原子を含んでいるときは、該電気陰性原子は、例として他の分子、たとえばケラチンによって担われた電気陰性原子に結合された水素原子と相互作用して、水素結合を形成することができる。
【0052】
これらの極性基は、好都合には以下の基から選択されることができる。
− カルボン酸−COOH、
− アルコール、たとえば−CHOHまたは−CH(R)OH(Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である。)、
− 式−NRのアミノ(この式で、同一もしくは異なった基RおよびRは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、または基RおよびRのうちの1は水素原子を表しかつ基RおよびRのうちの他方は1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す。)、
− ピリジノ、
− 式−NH−COR'または−CO−NH−R'のアミド(この式で、R'は水素原子または1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す。)、
− 以下の式の基から好ましくは選択されたピロリジノ

(この式で、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である。)、
− 式−O−CO−NH−R'または−NH−CO−OR'のカルバモイル(R'は上記の通りである。)、
− −O−CS−NH−R'または−NH−CS−OR'のようなチオカルバモイル(R'は上記の通りである。)、
− −NR'−CO−N(R')のようなウレニル(同一または異なった基R'は上記のようなものである。)、および
− −NR'−S(=O)−R'のようなスルホンアミド(R'は上記の定義に従う。)。
【0053】
これらの極性基は各化合物(X)または(Y)の重量当たり好ましくは10重量%以下、好ましくは5重量%以下の量で、たとえば1重量%〜3重量%の量で存在する。
【0054】
1または複数の極性基は、化合物(X)および/もしくは(Y)の主鎖中に位置することができ、または化合物(X)および/もしくは(Y)の主鎖にペンダントであり、または主鎖の末端に位置することができる。
【0055】
1の実施態様では、化合物(X)は、少なくとも2の不飽和脂肪族基、たとえば2もしくは3のビニルまたはアリル基を含んでいるポリオルガノシロキサンから選択され、該2もしくは3のビニルまたはアリル基はケイ素原子にそれぞれ結合されている。
【0056】
1の好都合な実施態様では、化合物(X)は、以下の式(I)

のシロキサン単位を含んでいるポリオルガノシロキサンから選択され、この式で、
− Rは、1〜30の炭素原子、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素原子、たとえば短鎖アルキル基、たとえば1〜10の炭素原子を有するもの、より特にはメチル基あるいはフェニル基、好ましくはメチル基を有する一価の、直鎖状または環式の炭化水素基を表し、
− mは1または2であり、および
− R'は、
○ 2〜10、好ましくは3〜5の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素基、たとえばビニル基または−R''−CH=CHR'''基(この式で、R''は1〜8の炭素原子を有する二価の炭化水素鎖でありかつケイ素原子に結合されており、またR'''は水素原子または1〜4の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは水素原子である。R'基はビニル基およびアリル基およびこれらの混合物を包含する。)、または
○ 5〜8の炭素原子、たとえばシクロヘキセニル基を有する不飽和環式炭化水素基、
を表す。
【0057】
R'は、好ましくは不飽和脂肪族炭化水素基、好ましくはビニル基である。
【0058】
1の実施態様では、Rは1〜10の炭素原子を有するアルキル基あるいはフェニル基、好ましくはメチル基を表し、またR'はビニル基である。
【0059】
1の特定の実施態様では、ポリオルガノシロキサンは式(II)

の単位も含んでおり、この式で、Rは上記のような基であり、nは1、2または3である。
【0060】
1の変形では、化合物(X)は、少なくとも2のエチレン性不飽和を含んでいるシリコーン樹脂であることができ、当該樹脂は化合物(Y)と反応することができる。たとえば、不飽和反応性の−CH=CH末端基をそれ自体担っているところのMQまたはMTのタイプの樹脂が挙げられることができる。
【0061】
これらの樹脂は、架橋されたオルガノシロキサンポリマーである。
【0062】
シリコーン樹脂の命名法は「MDTQ」の名称下に知られており、該樹脂はそれが含んでいる様々なシロキサンモノマー単位の関数として記述され、「MDTQ」の文字のそれぞれは1のタイプの単位の特性を示す。すなわち、
・ 文字Mは式(CHSiO1/2の単官能単位を表し、ケイ素原子はこの単位を含んでいるポリマー中の一個の酸素原子に結合されている。
・ 文字Dは2官能単位(CHSiO2/2を意味し、この中のケイ素原子は2の酸素原子に結合されている。
・ 文字Tは式(CH)SiO3/2の3官能単位を表し、この中のケイ素原子は3の酸素原子に結合されている。
【0063】
上記の単位M、DおよびTにおいて、メチル基のうちの少なくとも1はメチル基以外の基R、たとえば2〜10の炭素原子を有する炭化水素基(とりわけアルキル)またはフェニル基あるいはヒドロキシル基によって置換されることができる。
・ 文字Qは4官能単位SiO4/2を意味し、この中のケイ素原子は、それ自体ポリマーの残部に結合されているところの4の水素原子に結合されている。このような樹脂の例はMTシリコーン樹脂、たとえばGelest社によってSST−3PV1の名称下に販売されているようなポリ(フェニルビニルシルセスキオキサン)を含む。
【0064】
化合物(X)は、好ましくは不飽和脂肪族基0.01重量%〜1重量%を有する。
【0065】
好都合には、化合物(X)は、ポリオルガノポリシロキサン、とりわけ上記のシロキサン単位(I)および任意的なシロキサン単位(II)を含んでいるものから選択される。
【0066】
化合物(Y)は、好ましくは少なくとも2の遊離型のSi−H基(ヒドロシラン基)を含んでいる。
【0067】
化合物(Y)は、好都合には以下の式(III)

の少なくとも1のアルキルヒドロシロキサン単位を含んでいるポリオルガノシロキサンから選択されることができ、この式で、
−Rは、一価でない直鎖状または環式の、1〜30の炭素原子を有する炭化水素基、たとえば1〜30の炭素原子、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキル基、より特にはメチル基、あるいはフェニル基を表し、pは1または2である。Rは好ましくは炭化水素基、好ましくはメチルである。
【0068】
アルキルヒドロシロキサン単位を有するこれらのポリオルガノシロキサン化合物(Y)は、さらに上記の式(II)の単位を含んでいることができる。
【0069】
化合物(Y)は、上記のM、D、T、およびQの単位から選択された少なくとも1の単位を含んでおりかつ少なくとも1のSi−H基を含んでいるシリコーン樹脂、たとえばGelest社によってSST−3MH1.1の名称下に販売されているポリ(メチルヒドリドシルセスキオキサン)であることができる。
【0070】
これらのポリオルガノシロキサン化合物(Y)は、好ましくはSi−H基0.5重量%〜2.5重量%を有する。
【0071】
好都合には、基Rは上記の式(I)、(II)、(III)においてメチル基を表す。
【0072】
これらのポリオルガノシロキサン(Y)は、好ましくは式(CHSiO1/2の末端基を含んでいる。
【0073】
好都合には、ポリオルガノシロキサン(Y)は、式−(HC)(H)SiO−の少なくとも2のアルキルヒドロシロキサン単位を含んでおり、また任意的に−(HC)SiO−単位を含んでいる。
【0074】
ヒドロシラン基を有するこの種類のポリオルガノシロキサン化合物(Y)は、たとえば欧州特許第465744号の文献に記載されている。
【0075】
1の変形では、化合物(X)は有機のオリゴマーもしくはポリマー(有機化合物は、その主鎖がシリコーン鎖ではないものであり、ケイ素原子を有しない化合物が優先される。)または有機/シリコーンの混成のポリマーもしくはオリゴマーから選択され、当該オリゴマーまたはポリマーは少なくとも2の反応性不飽和脂肪族基を担っており、かつ化合物(Y)はヒドロシラン基を有する上述のポリオルガノシロキサン(Y)から選択される。
【0076】
1の実施態様では、少なくとも2の反応性不飽和脂肪族基を担っている有機のまたは有機/シリコーン混成の化合物(X)は、上記の少なくとも1の極性基を担っている。
【0077】
化合物(X)は、本質において有機である場合には、ビニルおよびメタ(アクリル)のポリマーもしくはオリゴマー、ポリエステル、ポリウレタンおよび/もしくはポリ尿素、ポリエーテル、パーフルオロポリエーテル、ポリオレフィン、たとえばポリブテンおよびポリイソブチレン、デンドリマーもしくは超分枝有機ポリマー、またはこれらの混合物から選択されることができる。
【0078】
より特には、有機ポリマーまたは混成ポリマーの有機部分は、以下のポリマーから選択されることができる。
【0079】
a) エチレン性不飽和ポリエステル、
【0080】
これは、少なくとも2のエチレン性二重結合をそのポリマーの主鎖中の任意の場所に分配させているところのポリエステルタイプのポリマーの一群である。これらの不飽和ポリエステルは以下の各項の混合物の重縮合によって得られる。
・ 直鎖状または環式の、脂肪族または脂環式のジカルボン酸、特に3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を有するもの、たとえばアジピン酸もしくはセバシン酸、芳香族ジカルボン酸、特に8〜50の炭素原子、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜14の炭素原子を有するもの、たとえばフタル酸、特にテレフタル酸、および/またはエチレン性不飽和を有する脂肪酸の二量体から得られたジカルボン酸、たとえばオレイン酸もしくはリノール酸の二量体であって、欧州特許出願公開第959066号(段落[0021])に記載され、Unichema社によってPripol(商標)もしくはHenkel社によってEmpol(商標)の名称下に販売されているもの(これらの二塩基酸のすべてが必ずしも重合性エチレン性二重結合を有しているわけではない。)、
・ 直鎖状または環式の、脂肪族または脂環式のジオール、特に2〜50の炭素原子、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の炭素原子を有するもの、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールもしくはシクロヘキサンジメタノール、6〜50の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15の炭素原子を有する芳香族ジオール、たとえばビスフェノールAおよびビスフェノールB、および/または上記の脂肪酸の二量体の還元から得られたジオール二量体、および
・ 2の二重結合を有する少なくとも1のジカルボン酸もしくはその酸無水物、またはそれぞれが少なくとも1の重合性エチレン性二重結合を有する少なくとも2のジカルボン酸もしくは酸無水物であって、3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を有するもの、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸。
【0081】
b) (メタ)アクリレート側基および/または末端基を有するポリエステル、
【0082】
これは、以下の各項の混合物の重縮合によって得られるポリエステルタイプのポリマーの一群である。
・ 直鎖状または分枝状の、脂肪族または脂環式のジカルボン酸、特に3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を有するもの、たとえばアジピン酸もしくはセバシン酸、芳香族ジカルボン酸、特に8〜50の炭素原子、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜14の炭素原子を有するもの、たとえばフタル酸、特にテレフタル酸、および/またはエチレン性不飽和を有する脂肪酸の二量体から得られたジカルボン酸、たとえばオレイン酸もしくはリノール酸の二量体であって、欧州特許出願公開第959066号(段落[0021])に記載され、Unichema社によってPripol(商標)もしくはHenkel社によってEmpol(商標)の名称下に販売されているもの(これらの二塩基酸のすべてが必ずしも重合性エチレン性二重結合を有しているわけではない。)、
・ 直鎖状または分枝状の、脂肪族または脂環式のジオール、特に2〜50の炭素原子、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の炭素原子を有するもの、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールもしくはシクロヘキサンジメタノール、6〜50の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15の炭素原子を有する芳香族ジオール、たとえばビスフェノールAおよびビスフェノールB、および
・ (メタ)アクリル酸と、2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとの少なくとも1のエステル、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびグリセロールメタクリレート。
【0083】
これらのポリエステルは、エチレン性二重結合が主鎖の中ではなくて主鎖の側基上および/または末端に位置している点において、上記のセクションa)に記載されたものとは異なっている。これらのエチレン性二重結合は、ポリマー中に存在する(メタ)アクリレート基のものである。
【0084】
この種類のポリエステルは、たとえばUCB社によってEbecryl(商標)の名称下に販売されている(Ebecryl(商標)450:モル質量1600、分子当たり平均して6のアクリレート官能基、Ebecryl(商標)652:モル質量1500、分子当たり平均して6のアクリレート官能基、Ebecryl(商標)800:モル質量780、分子当たり平均して4のアクリレート官能基、Ebecryl(商標)810:モル質量1000、分子当たり平均して4のアクリレート官能基、Ebecryl(商標)50000:モル質量1500、分子当たり平均して6のアクリレート官能基)。
【0085】
c) 以下の各項のものの重縮合によって得られる、(メタ)アクリレート基を有するポリウレタンおよび/またはポリ尿素、
・ 脂肪族、脂環式および/または芳香族のジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート、特に4〜50の炭素原子、好ましくは4〜30の炭素原子を有するもの、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートまたはジイソシアネートOCN−R−NCOの3分子の三量化から得られる式

のイソシアヌレート(この式で、Rは2〜30の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環式の炭化水素基である。)、
・ ポリオール、とりわけジオールであって、重合性エチレン性不飽和を有しないもの、たとえば1,4−ブタンジオール、エチレングリコールもしくはトリメチロールプロパン、および/またはポリアミン、とりわけ脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミンおよびこれらの混合物から選択されたものであって、当該ポリアミンがとりわけ3〜50の炭素原子を有するもの、たとえばエチレンジアミンもしくはヘキサメチレンジアミン、および
・ (メタ)アクリル酸と、2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとの少なくとも1のエステル、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはグリセロールメタクリレート。
【0086】
アクリレート基を有するこの種類のポリウレタン/ポリ尿素は、たとえばCray Valley社によってSR 368(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート)もしくはCraynor(商標)435の名称下に、またはUCB社によってEbecryl(商標)の名称下に販売されている(Ebecryl(商標)210:モル質量1500、分子当たりアクリレート官能基2、Ebecryl(商標)230:モル質量5000、分子当たりアクリレート官能基2、Ebecryl(商標)270:モル質量1500、分子当たりアクリレート官能基2、Ebecryl(商標)8402:モル質量1000、分子当たりアクリレート官能基2、EBECRYL(商標)8804:モル質量1300、分子当たりアクリレート官能基2、Ebecryl(商標)220:モル質量1000、分子当たりアクリレート官能基6、Ebecryl(商標)2220:モル質量1200、分子当たりアクリレート官能基6、Ebecryl(商標)1290:モル質量1000、分子当たりアクリレート官能基6、Ebecryl(商標)800:モル質量800、分子当たりアクリレート官能基6)。
【0087】
Ebecryl(商標)2000、Ebecryl(商標)2001およびEbecryl(商標)2002の名称下に販売されている水溶性脂肪族ポリウレタンジアクリレート、ならびにUCB社によってIRR(商標)390、IRR(商標)400、IRR(商標)422およびIRR(商標)424の商品名下に販売されている水性分散物としてのポリウレタンジアクリレートも挙げられることができる。
【0088】
d) (メタ)アクリル酸による、C1〜4アルキレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマーであって、好ましくは重量平均分子量10000未満を有するもの、およびポリエトキシル化またはポリプロポキシル化トリメチロールプロパンの末端ヒドロキシル基のエステル化によって得られる、(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル。
【0089】
適当なモル質量のポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレートが、たとえばCray Valley社によってSR 259、SR 344、SR 610、SR 210、SR 603およびSR 252の名称下に、またはUCB社によってEbecryl(商標)11の名称下に販売されている。ポリエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、たとえばCray Valley社によってSR 454、SR 498、SR 502、SR 9035、SR 415の名称下に、またはUCB社によってEbecryl(商標)160の名称下に販売されている。ポリプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、たとえばCray Valley社によってSR 492およびSR 501の名称下に販売されている。
【0090】
e) 以下の各項のものを反応させることによって得られるエポキシアクリレート、
・ たとえば、以下から選択された少なくとも1のジエポキシド
(i) ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
(ii) ビスフェノールAジグリシジルエーテルとエピクロロヒドリンとの反応から得られたジエポキシ樹脂、
(iii) 3〜50の炭素原子を有するジカルボン酸と化学量論的過剰量の(i)および/または(ii)との縮合から得られた、α,ω−ジエポキシ末端を有するエポキシエステル樹脂、
(iv) 3〜50の炭素原子を有するジオールと化学量論的過剰量の(i)および/または(ii)との縮合から得られた、α,ω−ジエポキシ末端を有するエポキシエーテル樹脂、
(v) 少なくとも2のエポキシド基を担っている天然または合成油、たとえばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油およびエポキシ化ベルノニア油、
(vi) フェノール−ホルアルデヒド重縮合物(Novolac(商標)樹脂)であって、その末端基および/または側基がエポキシ化されているもの、
および
・ カルボキシル基に対してα,βに位置する少なくとも1のエチレン性二重結合を有する1以上のカルボン酸またはポリカルボン酸、たとえば(メタ)アクリル酸またはクロトン酸または(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールもしくはポリオールとのエステル、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート。
【0091】
この種類のポリマーは、たとえばCray Valley社によってSR 349、SR 601、CD 541、SR 602、SR 9036、SR 348、CD 540、SR 480、CD 9038の名称下に、UCB社によってEbecryl(商標)600およびEbecryl(商標)609、Ebecryl(商標)150、Ebecryl(商標)860、Ebecryl(商標)3702の名称下に、ならびにHenkel社によってPhotomer(商標)3005およびPhotomer(商標)3082の名称下に販売されている。
【0092】
f) 側鎖および/または末端の炭化水素鎖によって担われたエチレン性二重結合を有する、少なくとも2の官能基を有するポリC1〜50アルキル(メタ)アクリレート(当該アルキルは直鎖状、分枝状または環式である。)、
【0093】
この種類のポリマーは、たとえばUCB社によってIRR(商標)375、OTA(商標)480およびEbecryl(商標)2047の名称下に販売されている。
【0094】
g) ポリオレフィン、たとえばポリブテンおよびポリイソブチレン、
【0095】
h) ヒドロキシル側基および/または末端基を担っているパーフルオロポリエーテルの、たとえば(メタ)アクリル酸によるエステル化によって得られる、アクリレート基を有するパーフルオロポリエーテル、
【0096】
この種類のα,ω−ジオールパーフルオロポリエーテルは、とりわけ欧州特許出願公開第1057849号に記載されており、Ausimont社によってFomblin(商標)Z Diolの名称下に販売されている。
【0097】
i) (メタ)アクリル酸を使用して、末端ヒドロキシル官能基または末端アミノ官能基を有するデンドリマーおよび超分枝ポリマーを、それぞれエステル化またはアミド化することによって得られた、末端(メタ)アクリレート基または末端(メタ)アクリルアミド基を担っているデンドリマーおよび超分枝ポリマー、
【0098】
デンドリマーとは、「樹枝状の」ポリマー分子、言い換えれば高度に分枝されたポリマー分子であり、D.A.Tomaliaおよび彼のチームによって1990年代の初めに発明された(Donald A.Tomaliaら、Angewandte Chemie、Int.Engl.Ed.、第29巻、第2号、138〜175ページ)。これは一般に多官能性の中心単位のまわりに構築された構造体である。この中心単位のまわりに明確な構造に従って鎖状に配置されているのは、分枝された連鎖延長単位であり、このようにしてこれは単分散性の対称性を有する高分子を生じさせ、これは明確な化学的および立体化学的な構造を有する。ポリアミドアミンデンドリマーは、たとえばDendritech社によってStarburst(商標)の名称下に販売されている。
【0099】
超分枝ポリマーとは、一般に多官能性モノマーから得られたポリエステル、ポリアミドまたはポリエチレンアミンのタイプの重縮合物であり、デンドリマーの樹枝状構造に類似するがこれよりもはるかに低度に規則的な樹枝状構造を有している(たとえば、国際公開第93/17060号および国際公開第96/12754号を参照せよ。)。
【0100】
Perstorp社は、Boltorn(商標)の名称下に超分枝ポリエステルを販売している。超分枝ポリエチレンアミンは、Dendritech社からComburst(商標)の名称下に見つけられる。ヒドロキシル末端を有する超分枝ポリ(エステルアミド)は、DSM社によってHybrane(商標)の名称下に販売されている。
【0101】
アクリル酸および/もしくは(メタ)アクリル酸によってエステル化されまたはアミド化されたこれらのデンドリマーおよび超分枝ポリマーは、上記のセクションa)〜h)に記載されたポリマーとは、存在するエチレン性二重結合が非常に多数である点において異なっている。ほとんどの場合5よりも大きいこの高い官能基数は、これらのデンドリマーおよび超分枝ポリマーを特に有用にし、これらが「架橋結節点」として、言い換えれば多重架橋点として作用することを許す。
【0102】
したがって、上記のa)〜h)のポリマーおよび/またはオリゴマーと組み合わせて、これらのデンドリマー状および超分枝状ポリマーを使用することが可能である。
【0103】
1a−追加的な反応性化合物
【0104】
本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物は、さらに少なくとも1の追加的な上記の反応性化合物を含んでいることができる。
【0105】
1の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A1)はさらに少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができ、かつ/あるいは上記の本発明に従うキットの組成物(A2)はさらに少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0106】
他の実施態様では、上記の本発明に従うキットの当該組成物(A3)は、さらに少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0107】
追加的な反応性化合物は、以下のものを包含する。
− その表面上に少なくとも2の不飽和脂肪族基を含んでいる有機または無機粒子、例として、たとえばビニル基を有するシリコーン化合物で表面処理されたシリカ、たとえばシクロテトラメチルテトラビニルシロキサン処理されたシリカ、
− シラザン化合物、たとえばヘキサメチルジシラザン。
【0108】
1b−触媒
【0109】
ヒドロシリル化反応は、同一の組成物中の化合物(X)および(Y)のうちの少なくともどちらかとともに存在することができる触媒の存在下において、または化合物(X)および(Y)を含有しているもしくは含有していない組成物中に分離して存在することができる触媒の存在下において起きる。
【0110】
したがって、本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物、たとえば化合物(X)および(Y)をそれぞれ含んでいる組成物は、さらに少なくとも1の下記の触媒を含んでいることができる。
【0111】
1の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A1)はさらに少なくとも1の化合物(X)、少なくとも1の触媒、および追加的な任意的な反応性化合物を含んでいることができ、かつ/あるいは上記の本発明に従うキットの組成物(A2)はさらに少なくとも1の化合物(Y)、少なくとも1の触媒、および追加的な任意的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0112】
他の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A3)は、化合物(X)および(Y)に加えて、少なくとも1の触媒、および少なくとも1の追加的な任意的な反応性化合物を含んでいることができるが、化合物(X)、(Y)のうちの少なくとも1および触媒はカプセル封入された形態をしている。
【0113】
1の特別な実施態様では、2の化合物(X)および(Y)の相互作用を触媒が開始することを要求されており、これらの化合物が組成物(A3)中にカプセル封入されていない形態で存在するならば、該触媒はこの同一の組成物中にカプセル封入された形態で存在することができ、または逆に、化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1が組成物(A3)中にカプセル封入された形態で存在するならば、触媒はこの同一の組成物中にカプセル封入されていない形態で存在することができる。
【0114】
他の実施態様では、触媒は本発明に従うキットの組成物(A4)中に含められ、当該組成物は化合物(X)および(Y)を含んでいない。
【0115】
触媒は好ましくは白金またはスズに基づいている。その例は、シリカゲル担体上にまたは木炭粉担体、塩化白金、白金塩および塩化白金酸上に堆積された、白金に基づいた触媒を含む。
【0116】
六水和物または無水の形態、すなわち有機シリコーン媒体中に容易に分散可能である形態をした塩化白金酸を使用することが好まれる。
【0117】
白金錯体、たとえば塩化白金酸六水和物およびジビニルテトラメチルジシロキサンに基づいたものも挙げられることができる。
【0118】
触媒は、それを含んでいる組成物の合計重量当たり0.0001重量%〜20重量%の量で存在することができる。
【0119】
化合物(X)および/または(Y)は、重合禁止剤または遅延剤と、より特には触媒に対する遅延剤と一緒にされることができる。限定するものではないが、環式ポリメチルビニルシロキサン、およびとりわけテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、およびアセチレン性アルコール、好ましくは揮発性アルコール、たとえばメチルイソブチノールが挙げられることができる。
【0120】
イオン性塩、たとえば酢酸ナトリウムの存在は化合物(X)および(Y)の重合速度に影響を与えることができる。
【0121】
触媒の存在におけるヒドロシリル化によって反応する化合物(X)および(Y)の組み合わせの例として、Dow Corning社によって提供される以下の照会名のもの、すなわちDC 7−9800ソフトスキン粘着剤部材AおよびBが挙げられることができる。
【0122】
好都合には、化合物(X)および(Y)は、触媒の存在下においてヒドロシリル化によって反応する能力があるシリコーン化合物から選択され、より特には化合物(X)は式(I)の単位を有する上記のポリオルガノシロキサンから選択され、かつ化合物(Y)は式(III)のアルキルヒドロシロキサン単位を有する上記のオルガノシロキサンから選択される。
【0123】
1の特定の実施態様では、化合物(X)はビニル末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、かつ化合物(Y)はポリメチルヒドロシロキサンである。
【0124】
2−縮合によって反応することができる化合物(X)および(Y)
【0125】
縮合反応は、少なくとも1の化合物(X)、少なくとも1の化合物(Y)および少なくとも1の任意的な触媒の間で起きる。
【0126】
化合物(X)および(Y)は、本発明に従うキット内でそれぞれ、第一の組成物および第二の組成物中に、または当該第一および第二の組成物以外の組成物中にさえも存在することができる。
【0127】
1の実施態様では、化合物(X)は少なくとも1の任意的な触媒とともに本発明に従うキットの組成物(A1)中に存在し、かつ化合物(Y)は少なくとも1の任意的な触媒とともに本発明に従うキットの組成物(A2)中に存在する。
【0128】
他の実施態様では、互いに別々の化合物(X)および(Y)、ならびに少なくとも1の任意的な触媒は本発明に従うキットの組成物(A3)中に存在し、但し化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1はカプセル封入された形態をしている。
【0129】
化合物(X)および(Y)は、水の存在下において(加水分解)、アルコキシシラン基を担っている2の化合物の反応によってか、あるいはいわゆる直接縮合によって、1以上のアルコキシシラン基を担っている化合物と1以上のシラノール基を担っている化合物との反応によって、もしくは1以上のシラノール基を担っている2の化合物の反応によって、縮合によって反応することができる。
【0130】
水の存在下において縮合が起きるときには、その水はより特には環境湿分、睫毛の残留水、または外部源によって、たとえばケラチン物質の予備湿潤化によって(たとえば、アトマイザーまたは自然もしくは人工の涙によって)もたらされた水であることができる。
【0131】
この様式の縮合反応では、かくして化合物(X)および(Y)は、同一または異なったものであり、その主鎖が少なくとも2のアルコキシシラン基および/または少なくとも2のシラノール(Si−OH)基を含んでいるシリコーン化合物から選択されることができ、該少なくとも2のアルコキシシラン基および/または少なくとも2のシラノール(Si−OH)基は側基および/または鎖末端基である。
【0132】
1の実施態様では、化合物(X)および/または化合物(Y)は、上記の少なくとも1の極性基を担っており、これは、ケラチン物質、より特には皮膚と少なくとも1の水素結合を形成する能力がある。
【0133】
1の好都合な実施態様では、化合物(X)および/または(Y)は、少なくとも2のアルコキシシラン基を含んでいるポリオルガノシロキサンから選択される。アルコキシシラン基とは少なくとも1の部分−Si−ORを含んでいる基であり、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である。
【0134】
化合物(X)および(Y)は、とりわけアルコキシシラン末端基を含んでいるポリオルガノシロキサン、より特には少なくとも2の末端アルコキシシラン基、好ましくは末端トリアルコキシシラン基を含んでいるものから選択される。
【0135】
これらの化合物(X)および/または(Y)は、同一または異なったものであり、好ましくは式(IV)

の単位を主に含んでおり、この式で、基Rは互いに独立に1〜6の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基およびフルオロアルキル基から選択された基を表し、sは0、1、2または3である。好ましくは、基Rは互いに独立に1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す。アルキル基として、特にメチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、およびこれらの混合物、好ましくはメチルまたはエチルが挙げられることができる。フルオロアルキル基として、3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられることができる。
【0136】
1の特定の実施態様では、化合物(X)および(Y)は、同一または異なったものであり、式(V)

の単位を含んでいるポリオルガノシロキサンであり、この式で、Rは上記の通りであり、好ましくはRはメチル基であり、かつfは、ポリマーが好都合に25℃における粘度0.5〜3000Pa・秒、好ましくは5〜150Pa・秒を有するようなものであり、たとえばfは2〜5000、好ましくは3〜3000、より好ましくは5〜1000であることができ、これらの端点も含まれる。
【0137】
これらのポリオルガノシロキサン化合物(X)および/または(Y)は、ポリマー分子当たり少なくとも2の末端トリアルコキシシラン基を含んでおり、当該基は以下の式(VI)

を有し、この式で、
−基Rは、互いに独立にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2級ブチル、またはイソブチル基から選択され、好ましくはメチルまたはエチルであり、
−Rはメチルまたはエチル基であり、
−xは0または1、好ましくは0であり、かつ
−Zは、エチレン性不飽和を有さずかつ1〜18の炭素原子、好ましくは2〜18の炭素原子を有する二価炭化水素基(アルキレン基)、二価炭化水素基と以下の式(IX)

のシロキサンセグメントとの組み合わせから選択され、この式で、Rは上記の通りであり、Gは、エチレン性不飽和を有さずかつ1〜18の炭素原子、好ましくは2〜18の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、cは1〜6の整数である。
【0138】
ZおよびGは、とりわけアルキレン基、たとえばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンから、ならびにアリーレン基、たとえばフェニレンから選択されることができる。
【0139】
Zは、好ましくはアルキレン基、より好ましくはエチレンである。
【0140】
これらのポリマーは、分子当たり平均して少なくとも1.2のトリアルコキシシラン末端基または末端トリアルコキシシラン鎖、好ましくは分子当たり平均して少なくとも1.5のトリアルコキシシラン末端基を有することができる。これらのポリマーは分子当たり少なくとも1.2のトリアルコキシシラン末端基を有することができるので、これらのうちのあるものは、他のタイプの末端基、たとえば式CH=CH−SiR−または式R−Si−の末端基を含んでいることができ、これらの式で、Rは上記の通りであり、それぞれの基Rは独立にRまたはビニルから選択される。このような末端基の例は、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ビニルジメトキシシランおよびビニルメチルオキシフェニルシラン基を含む。
【0141】
この種類のポリマーは、とりわけ米国特許第3175993号、米国特許第4772675号、米国特許第4871827号、米国特許第4888380号、米国特許第4898910号、米国特許第4906719号および米国特許第4962174号の文献に記載されており、これらの内容は本明細書に引用によって取り込まれる。
【0142】
化合物(X)および/または(Y)は、より特には式(VII)

のポリマーから選択されたポリオルガノシロキサンを含み、この式で、R、R、R、Z、xおよびfは上記の通りである。
【0143】
化合物(X)および/または(Y)は、上記の式(VII)のポリマーと下記の式(VIII)

のポリマーとの混合物を含んでいることもでき、この式で、R、R、R、Z、xおよびfは上記の通りである。
【0144】
1以上のアルコキシシラン基を有するポリオルガノシロキサン化合物(X)および/または(Y)がこの種類の混合物を含んでいるときは、様々なポリオルガノシロキサンは、末端オルガノシリル基が末端鎖の数当たり40%未満、好ましくは25%未満を占めるような量で存在する。
【0145】
特に好まれるポリオルガノシロキサン化合物(X)および/または(Y)は、上記の式(VII)のものである。この種類の化合物(X)および/または(Y)は、たとえば国際公開第01/96450号の文献に記載されている。
【0146】
上により早い段階で示したように、化合物(X)および(Y)は同一でも異なっていてもよい。
【0147】
特に、化合物(X)および(Y)はメトキシシラン基を有するポリジメチルシロキサンの混合物を表すことができる。
【0148】
1の変形では、2の反応性化合物(X)および(Y)のうちの一方はシリコーン化合物であり、他方は有機化合物である。たとえば、化合物(X)は有機オリゴマーもしくはポリマーまたは有機/シリコーン混成オリゴマーもしくはポリマーから選択され、当該ポリマーまたはオリゴマーは少なくとも2のアルコキシシラン基を含んでおり、かつ(Y)はシリコーン化合物、たとえば上記のポリオルガノシロキサンから選択される。より特には、有機オリゴマーまたはポリマーは、ビニルおよび(メタ)アクリルオリゴマーまたはポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素、ポリエーテル、ポリオレフィン、パーフルオロポリエーテル、デンドリマーおよび超分枝有機ポリマーならびにこれらの混合物から選択される。
【0149】
1の実施態様では、有機化合物(X)または有機/シリコーン混成化合物(X)は、上記のように少なくとも1の極性基を担っており、これはケラチン物質、より特には皮膚と少なくとも1の水素結合を形成することができる。
【0150】
アルコキシシラン側基を担っている、ビニルまたは(メタ)アクリルのタイプの有機ポリマーは特に、少なくとも1の有機ビニルまたは(メタ)アクリルモノマーと、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等との共重合によって得られることができる。
【0151】
たとえば、Kusabe.M.、Pitture e Vernici−European Coating、2005年、第12−B巻、43〜49ページの文献に記載された(メタ)アクリルポリマー、およびとりわけ、カネカ社からのMAXとしてまたはProbster,M.、Adhesion−Kleben & Dichten、2004年、第481巻、第1−2号、12〜14ページの刊行物に記載されものとして特定される、アルコキシシラン基を有するポリアクリレートが挙げられることができる。
【0152】
重縮合または重付加から得られる有機ポリマー、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素、ポリエーテルであって、アルコキシシラン側基および/または末端基を担っているものは、たとえば上記のオリゴマー性プレポリマーと、少なくとも1のアルコキシシラン基を担っている以下のシラン共反応物、すなわちアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシランのうちの1との反応から得られることができる。
【0153】
アルコキシシラン基を有するポリエーテルおよびポリイソブチレンの例は、Kusabe.M.、Pitture e Vernici−European Coating、2005年、第12−B巻、43〜49ページの刊行物に記載されている。末端アルコキシシラン基を有するポリウレタンの例は、Probster,M.、Adhesion−Kleben & Dichten、2004年、第481巻、第1−2号、12〜14ページの文献に記載されたものあるいはLandon,S.、Pitture e Vernici、1997年、第73巻、第11号、18〜24ページの文献またはHuang、Mowo、Pitture e Vernici、2000年、第5巻、61〜67ページの文献に記載されたもの、およびとりわけOSI−Witco−GE社からの、アルコキシシラン基を有するポリウレタンを含む。
【0154】
ポリオルガノシロキサン化合物(X)および/または(Y)の例は、それ自体アルコキシシランおよび/またはシラノールの末端基を担っているところのMQまたはMTのタイプの樹脂を含み、たとえばGelest社によってSST−S7C41(3のSi−OH基)の照会名下に提供される、シラノール基で官能化されたポリ(イソブチルシルセスキオキサン)樹脂のようなものである。
【0155】
2a−追加的な反応性化合物
【0156】
本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物は、さらに下記の少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0157】
1の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A1)は、さらに少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができ、かつ/あるいは本発明に従うキットの組成物(A2)は、上記のようにさらに少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0158】
他の実施態様では、上記の本発明に従うキットの当該組成物(A3)は、さらに少なくとも1の追加的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0159】
1の実施態様では、化合物(X)および/または(Y)はさらに、少なくとも2のアルコキシシランおよび/またはシラノール基を含んでいる追加的な反応性化合物と組み合わされることができる。
【0160】
追加的な反応性化合物はたとえば、アルコキシシランおよび/またはシラノール基をその表面に含んでいる1以上の有機または無機粒子を包含し、たとえばこのような基で表面処理されているフィラーである。
【0161】
2b−触媒
【0162】
縮合反応は、金属に基づいた触媒の存在下において起きることができ、該金属に基づいた触媒は化合物(X)および(Y)の少なくともどちらかとともに存在することができ、または化合物(X)および(Y)を含有するもしくは含有しない組成物中に分離された形態で存在することができる。
【0163】
たとえば、化合物(X)および(Y)をそれぞれ含んでいる本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物は、さらに下記の少なくとも1の触媒を含んでいることができる。
【0164】
1の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A1)は、少なくとも1の化合物(X)の他に少なくとも1の触媒および追加的な任意的な反応性化合物を含んでいることができ、かつ/あるいは上記の本発明に従うキットの組成物(A2)は、少なくとも1の化合物(Y)に加えて少なくとも1の触媒および追加的な任意的な反応性化合物を含んでいることができる。
【0165】
他の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A3)は、化合物(X)および(Y)に加えて少なくとも1の触媒および少なくとも1の追加的な任意的な反応性化合物を含んでいることができるが、化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1ならびに任意的な触媒はカプセル封入された形態をしている。
【0166】
1の特別な実施態様では、2の化合物(X)および(Y)の相互作用を触媒が開始することを要求されており、これらの化合物が組成物(A3)中にカプセル封入されていない形態で存在するならば、該触媒はこの同一の組成物中にカプセル封入された形態で存在することができ、または逆に、化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1が組成物(A3)中にカプセル封入された形態で存在するならば、触媒はこの同一の組成物中にカプセル封入されていない形態で存在することができる。
【0167】
他の実施態様では、本発明に従うキットの組成物(A4)中に含められ、当該組成物は化合物(X)および(Y)を含んでいない。
【0168】
このタイプの反応に有用であることができる触媒は、好ましくはチタンに基づいた触媒である。とりわけ式(XI)

のテトラアルコキシチタンに基づいた触媒が挙げられることができ、この式で、Rは3級アルキル基、たとえば3級ブチル、3級アミルおよび2,4−ジメチル−3−ペンチルから選択され、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2級ブチル、またはヘキシル基を表し、yは3〜4、より好ましくは3.4〜4の数である。
【0169】
触媒は、それを含有する組成物の合計重量当たり0.0001〜20重量%の量で存在することができる。
【0170】
2c−希釈剤
【0171】
化合物(X)および/または(Y)を含んでいる有用な組成物は、さらに該組成物の粘度を低くすることを目的とした揮発性シリコーン油(すなわち、希釈剤)を含んでいることができる。本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物は、さらに以下の少なくとも1の揮発性シリコーン油を含んでいることができる。
【0172】
1の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A1)は、さらに少なくとも1の揮発性シリコーン油を含んでいることができ、かつ/あるいは上記の本発明に従うキットの組成物(A2)は、さらに少なくとも1の揮発性シリコーン油を含んでいることができる。
【0173】
他の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A3)は、さらに少なくとも1の揮発性シリコーン油を含んでいることができる。
【0174】
この油は、短鎖直鎖状シリコーン、たとえばヘキサメチルジシロキサンおよびオクタメチルトリシロキサン、および環式シリコーン、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物から選択されることができる。
【0175】
このシリコーン油は、本発明に従う当該キット中の組成物の全体の合計重量当たり5重量%〜95重量%、好ましくは10重量%〜80重量%を表す。
【0176】
アルコキシシラン基を担っておりかつ縮合によって反応する化合物(X)および(Y)を含んでいる組成物(A1)または(A2)、ならびに化合物(X)および(Y)を含んでいない組成物(A4)の組み合わせの例として、以下の表1に詳述されかつDow Corning社によって調製された以下の組み合わせが挙げられることができる。この組み合わせ中には化合物(X)および(Y)があり、これらは同一であるので、単一組成物(組成物(A1)=組成物(A2))で存在し、また組成物(A4)中に存在して触媒がある。
【表1】

【0177】
3/過酸化物の存在下における架橋
【0178】
架橋反応は、少なくとも1の過酸化物の存在および少なくとも1の任意的な触媒の存在下において、少なくとも1の化合物(X)と少なくとも1の化合物(Y)との間で起きる。
【0179】
化合物(X)および(Y)は、本発明に従うキット内の第一の組成物および第二の組成物中にそれぞれ、または当該第一および第二の組成物以外の組成物中にさえ存在することができる。
【0180】
1の特定の実施態様では、化合物(X)は組成物(A1)中に存在し、かつ化合物(Y)は組成物(A2)中に存在する。
【0181】
他の実施態様では、化合物(X)および(Y)は、互いに分離して組成物(A3)中に存在する。
【0182】
架橋反応は過酸化物の存在下において起き、過酸化物は単一の組成物中の化合物(X)および(Y)のうちのどちらか少なくとも1とともに存在することができ、または化合物(X)および(Y)を含有しているもしくは含有していない組成物中に分離された形態で存在することができる。
【0183】
このようにして、それぞれ化合物(X)および(Y)を含んでいる、本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物は、さらに以下の少なくとも1の過酸化物を含んでいることができる。
【0184】
1の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A1)は、少なくとも1の化合物(X)に加えて、少なくとも1の過酸化物および少なくとも1の任意的な触媒を含んでいることができ、かつ/あるいは上記の本発明に従うキットの組成物(A2)は、少なくとも1の化合物(Y)に加えて、少なくとも1の過酸化物および少なくとも1の任意的な触媒を含んでいることができる。
【0185】
他の実施態様では、上記の本発明に従うキットの組成物(A3)は、化合物(X)および(Y)に加えて、少なくとも1の過酸化物および少なくとも1の任意的な触媒を含んでいることができるが、化合物(X)、(Y)のうちの少なくとも1および過酸化物はカプセル封入された形態をしている。というのは、化合物(X)、(Y)および過酸化物は、本発明に従う膜を形成する組成物の他には同一の組成物中に決して同時には存在しないからである。
【0186】
1の特別な実施態様では、2の化合物(X)および(Y)の相互作用を過酸化物が開始することを要求されており、これらの化合物が組成物(A3)中にカプセル封入されていない形態で存在するならば、該過酸化物はこの同一の組成物中にカプセル封入された形態で存在することができ、または逆に、化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1が組成物(A3)中にカプセル封入された形態で存在するならば、過酸化物はこの同一の組成物中にカプセル封入されていない形態で存在することができる。
【0187】
他の実施態様では、過酸化物は本発明に従うキットの組成物(A4)中に含められ、当該組成物は化合物(X)および(Y)を含んでいない。
【0188】
この反応は好ましくは50℃以上、好ましくは80℃以上、および120℃までの温度に加熱することによって起きる。
【0189】
この場合、化合物(X)および(Y)は、同一または異なったものであり、少なくとも2の−CH側基および/または−CH基を担っている少なくとも2の側鎖を含んでいる。
【0190】
化合物(X)および(Y)は、好ましくはシリコーン化合物であり、たとえばケイ素原子に結合された少なくとも2の−CH側基および/または−CH基を担っている少なくとも2の側鎖を有し、6超の重合度を有する高分子量の非揮発性直鎖状ポリジメチルシロキサンから選択されることができる。たとえば、Gelest社のカタログ「反応性シリコーン」、2004年版、6ページに記載されたポリマー、とりわけ、500000〜900000の分子量を有しとりわけ2000000cSt超の粘度を有するビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(ガムとも呼ばれる。)が挙げられることができる。
【0191】
本発明の文脈において使用されることができる過酸化物は、過酸化ベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイルおよびこれらの混合物を包含する。
【0192】
1の実施態様では、化合物(X)と(Y)との間の、触媒の存在におけるヒドロシリル化反応、または縮合反応、あるいは過酸化物の存在における架橋反応は、系の温度が、たとえば25℃から180℃まで上げられる熱の供給によって加速される。
【0193】
一般的にいえば、化合物(X)および(Y)が互いに反応するその反応のタイプにかかわらず、化合物(X)および(Y)の全体に対する(X)のモルパーセント、すなわち比(X)/[(X)+(Y)]×100は、5%〜95%、好ましくは10%〜90%、より好ましくは20%〜80%の範囲であることができる。
【0194】
同様に、化合物(X)および(Y)の全体に対する(Y)のモルパーセント、すなわち比(Y)/[(X)+(Y)]×100は、5%〜95%、好ましくは10%〜90%、より好ましくは20%〜80%の範囲であることができる。
【0195】
化合物(X)は、150〜1000000、好ましくは200〜800000、より好ましくは200〜250000の重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0196】
化合物(Y)は、200〜1000000、好ましくは300〜800000、より好ましくは500〜250000の重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0197】
化合物(X)は、それを含んでいる組成物の合計重量当たり0.1重量%〜95重量%、好ましくは1重量%〜90重量%、より好ましくは5重量%〜80重量%を占めることができる。
【0198】
化合物(Y)は、それを含んでいる組成物の合計重量当たり0.1重量%〜95重量%、好ましくは1重量%〜90重量%、より好ましくは5重量%〜80重量%を占めることができる。
【0199】
化合物(X)と(Y)との比は、反応の速度、したがって膜が形成される速度を加減するために、あるいは所望の用途に応じて、得られる膜の特性(たとえば、その粘着特性)を適合させるために変えられることができる。
【0200】
より特には、化合物(X)および(Y)は、0.05〜20、より好ましくは0.1〜10のモル比(X)/(Y)で存在することができる。
【0201】
上記のように本発明の1の実施態様では、化合物(X)および(Y)は単一の組成物(A3)の形態で用いられることができ、該単一の組成物(A3)は、化合物(X)および/または化合物(Y)および/または適切な場合には(化合物(X)と(Y)との間に想定される反応のタイプに従って)カプセル封入された形態をしている触媒および/または過酸化物を含有することができる。
【0202】
触媒および/または過酸化物がカプセル封入された形態をしているときは、これらはそのときには、
(i) (X)または(Y)とともに互いに独立にカプセル封入され、
(ii) 互いに独立にこれら自体だけで、および反応の他方の化合物、たとえば化合物(X)および(Y)とは独立にカプセル封入され、または
(iii) 反応の他方の化合物、たとえば化合物(X)および(Y)とは独立に一緒にカプセル封入され、あるいは一緒におよび2の化合物(X)および(Y)のうちの1とともにカプセル封入される。
【0203】
1の特定の実施態様では、生理学的に許容される媒体中に1または複数の化合物(X)および1または複数の化合物(Y)を含んでいる単一の組成物(A3)は、ケラチン物質に、より特には皮膚に施与され、この場合に化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1はカプセル封入された形態をしている。
【0204】
1の変形の実施態様では、化合物(X)および(Y)は別々にカプセル封入される。このようにして、これらの間の時期尚早の反応のおそれがないことを確実にしながら、化合物(X)および(Y)は単一の組成物(A3)として包装されることができる。反応はその場合にはカプセルが破裂されたときのみに、言い換えればケラチン物質、より特には皮膚に施与されるとその場で、すなわち施与された時点で起きる。
【0205】
本発明の文脈では、マイクロカプセルとも呼ばれるコア/シェルタイプのカプセル封入された形態により特別な考慮が払われ、該マイクロカプセルにおいてはシェルはポリマー性シェルであり、かつコアは化合物(X)または化合物(Y)を含有しており、これらの化合物(X)および(Y)のうちの1はカプセル封入され、適切な場合には、これら2の化合物の相互作用に必要であれば、触媒または過酸化物とともにカプセル封入される。当該触媒が化合物(X)および(Y)のうちのどちらかとともにカプセル封入されない場合には、それは、カプセル封入された形態を含んでいる化粧品組成物中に存在する。
【0206】
このタイプのマイクロカプセルを調製するために現在利用可能な多数の技術があり、たとえば溶媒置換と呼ばれる技術によって得られるものは特に欧州特許第274961号および欧州特許第1552820号の文献に示されている。
【0207】
より特には、本発明に従って用いられる、化合物(X)または(Y)のカプセルのシェルは、ポリマー性の、架橋されていない、水不溶性かつカプセルのコアに不溶性のものである。
【0208】
一般的にいえば、好適であることができるポリマーはすべて天然または合成由来のものであり、これらは水に非混和性の溶媒中に可溶性であり、とりわけ大気圧における水の沸点(100℃)よりも低い融点を有するものである。
【0209】
これらのポリマーは生分解性であることができ、たとえばポリエステル等のようなものである。
【0210】
本発明に適したものを例示するポリマーは、とりわけ以下のものを包含する。
− C〜C12のアルキルシアノアクリレートポリマー、
− ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−ラクチド、ポリグリコリドおよび対応するコポリマーによって形成されたポリマー、
− ポリカプロラクトン、
− 3−ヒドロキシブチル酸ポリマー、
− 塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマー、
− 酸とメタクリルエステルとのコポリマー、とりわけメタクリル酸とメタクリルエステルとのコポリマー、
− ポリビニルアセトフタレート、
− セルロースアセトフタレート、
− ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、
− ポリエチレンビニルアセテート、
− ポリアクリロニトリル、
− ポリアクリルアミド、
− ポリエチレングリコール、
− ポリ(C〜Cヒドロキシアルキルメタクリレート)
− セルロースとC〜Cカルボン酸とのエステル
− ポリスチレンおよびスチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、スチレンとアクリル酸とのコポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ならびにスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックターポリマー、
− スチレン−アルキルアルコールオリゴマー、
− エチレンと酢酸ビニルと無水マレイン酸とのターポリマー、
− ポリアミド、
− ポリエチレン、
− ポリプロピレン、
− オルガノポリシロキサン、たとえばポリジメチルシロキサン
− ポリ(アルキレンアジペート)、
− ポリエステルポリオール、
− ポリシルセスキオキサンシリコーンポリマー、
− 末端ヒドロキシル官能基を有するデンドリマー性ポリエステル
− 水分散性ポリマーであるにもかかわらず水非混和性溶媒中に可溶性であるもの、たとえば以下のようなもの、すなわちポリエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリウレタンならびにスルホン酸および/またはカルボン酸官能基を担っているビニルコポリマー、特に仏国特許第2787729号の文献に記載されているもの、
− 環境温度において水に不溶性であり、環境温度において固形であり、かつ前記のポリマーのうちの1の少なくとも1のブロックを有するブロックコポリマー、および
− これらの混合物。
【0211】
これらのポリマーまたはコポリマーは1000〜500000、より特には1500〜100000の平均分子量を有することができる。
【0212】
本発明にとりわけ適しているのは、ポリ(アルキレンアジペート)、オルガノポリシロキサン、ポリカプロラクトン、セルロースアセトフタレート、セルロースアセトブチレート、セルロースエステル、ポリスチレンおよびその誘導体、とりわけポリカプロラクトンである。
【0213】
もちろん、当業者はその知識によって、選択されたポリマーの分子量を、溶媒中のその濃度に関連して調整して、その結果十分なエマルション化に適合する混合物の粘度をつくり出すことができる。
【0214】
親油性のコアに関しては、これは、化合物(X)または化合物(Y)の他に少なくとも1の油を含有することができる。油は、油相について以下に記載された油から選択されることができる。油は好ましくはシリコーン油である。
【0215】
本発明に適したカプセルを調製する手順に関しては、当業者はとりわけ前述の欧州特許第1552820号の文献の教示を参照することができる。所要の界面活性剤の選択およびプロセスの実施には、当業者の知識が用いられる。
【0216】
本発明の1の実施態様では、第一および/または第二の組成物、より特には組成物(A1)および(A2)、ならびに組成物(A3)さえもが、可塑剤を含んでいることができ、これは化合物(X)と(Y)との反応生成物による膜の形成を促進する。この種類の可塑剤は、所望の機能を発揮する能力があると当業者に知られているすべての化合物から選択されることができる。
【0217】
化合物(X)および(Y)に加えて、キットは、少なくとも1の下記の疎水性有機日焼け止め剤を含んでいる。
【0218】
疎水性有機光保護フィルターまたは日焼け止め剤
【0219】
本発明に従うキットは、かくしてさらに以下を含んでいる少なくとも1の疎水性遮蔽系を含んでいる。すなわち
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに/または少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、ならびに280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)か、あるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)。
【0220】
「日焼け止め剤」の語は、本発明の文脈では「光保護フィルター」の語と同等である。
【0221】
本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物ならびにまた組成物(A1)、(A2)、(A3)および(A4)は、さらに少なくとも1の上記されかつ以下により詳しく記載される疎水性遮蔽系を含んでいることができる。
【0222】
本発明に従うキットの1の実施態様では、上記の組成物(A1)は、さらに少なくとも上記の疎水性遮蔽系を含んでいることができ、かつ/あるいは上記の組成物(A2)は、さらに上記の疎水性遮蔽系を含んでいることができる。
【0223】
本発明に従うキットの他の実施態様では、上記の当該組成物(A3)は、さらに少なくとも上記の疎水性遮蔽系を含んでいる。
【0224】
1の好まれる実施態様では、組成物(A2)は、成分(Y)および本発明に従う疎水性遮蔽系を含んでいる。
【0225】
本発明の文脈では、「疎水性有機日焼け止め剤」とは、紫外線放射を濾光し、かつ25℃における水中溶解度0.5重量%以下を有する有機化合物であり、この溶解度は、懸濁している過剰の固形分と平衡にある、溶媒中に溶解している製品の量として定義される。「水不溶性日焼け止め剤」の語は、本発明の文脈では「疎水性日焼け止め剤」の語と同等である。
【0226】
逆に、「親水性有機日焼け止め剤」とは、この定義を満たさない有機化合物である。「水可溶性日焼け止め剤」の語は、本発明の文脈では「親水性日焼け止め剤」の語と同等である。
【0227】
疎水性有機日焼け止め剤(A)、(B)および(C)は、とりわけ様々な部類の化学化合物から選択されることができる。とりわけパラアミノ安息香酸の誘導体、サリチル酸誘導体、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノンおよびアミノベンゾフェノン、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β'−ジフェニルアクリレート誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ビスレゾルシニルトリアジン、イミダゾリン誘導体、ベンジルマロネート誘導体、4,4−ジアリールブタジエン誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、メロシアニンおよびこれらの混合物が挙げられることができる。
【0228】
320〜400nmの紫外線を吸収することができる疎水性日焼け止め剤(A)
【0229】
ジベンゾイルメタン誘導体
− とりわけDSM Nutritional Products社によってParsol 1789の商品名下に販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、
− イソプロピルジベンゾイルメタン。
【0230】
アミノベンゾフェノン
− とりわけBASF社によってUvinul A+の商品名下に販売されているn−ヘキシル−2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0231】
アントラニル酸誘導体
− とりわけSymrise社によってNeo Heliopan MAの商品名下に販売されているメンチルアントラニレート。
【0232】
4,4−ジアリールブタジエン誘導体
− 1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン。
【0233】
本発明の文脈では、および1の特定の実施態様では、以下の疎水性日焼け止め剤(A)が本発明に従うキット中に用いられる。
− ブチルメトキシジベンゾイルメタン、および/または
− n−ヘキシル−2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0234】
疎水性有機日焼け止め剤(A)が存在するときは、これは、本発明のキット中に含められる組成物の合計重量当たり0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%の量で存在する。
【0235】
280〜320nmの紫外線を吸収することができる疎水性日焼け止め剤(B)
【0236】
パラアミノベンゾエート
− エチルPABA、
− エチルジヒドロキシプロピルPABA、
− エチルヘキシルジメチルPABA(ISP社からのEscalol 507)。
【0237】
サリチル酸誘導体
− とりわけRona/EM Industries社によってEusolex HMSの名称下に販売されているホモサレート、
− とりわけSymrise社によってNeo Heliopan OSの名称下に販売されているエチルヘキシルサリチレート、
− とりわけScher社によってDipsalの名称下に販売されているジプロピレングリコールサリチレート、
Symrise社によってNeo Heliopan TSの名称下にTEAサリチレート。
【0238】
桂皮酸誘導体
− とりわけDSM Nutritional Products社によってParsol MCXの商品名下に販売されているエチルヘキシルメトキシシンナメート、
− イソプロピルメトキシシンナメート、
− とりわけSymrise社によってNeo Heliopan E 1000の商品名下に販売されているイソアミルメトキシシンナメート、
− ジイソプロピルメチルシンナメート、
− シノキサート、
− グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート。
【0239】
β,β'−ジフェニルアクリレート誘導体
− とりわけBASF社によってUvinul N539の商品名下に販売されているオクトクリレン、
− とりわけBASF社によってUvinul N35の商品名下に販売されているエトクリレン。
【0240】
ベンジリデンショウノウ誘導体
− Chimex社によってMexoryl SDの名称下に販売されている3−ベンジリデンショウノウ、
− とりわけMerck社によってEusolexの名称下に販売されているメチルベンジリデンショウノウ、
− Chimex社によってMexoryl SWの名称下に製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ。
【0241】
トリアジン誘導体
− とりわけBASF社によってUvinul T150の商品名下に販売されているエチルヘキシルトリアゾン、
− とりわけSigma 3V社によってUVASORB HEBの商品名下に販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
− 2,4,6−トリス(ジネオペンチル−4'−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
− 2,4,6−トリス(ジイソブチル−4'−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
− 2,4−ビス(ジネオペンチル−4'−アミノベンザルマロネート)−6−(n−ブチル−4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジン、
− 2,4−ビス(n−ブチル−4'−アミノベンゾエート)−6−(アミノプロピルトリシロキサン)−s−トリアジン、
− 米国特許第6,225,467号、国際公開第2004/085412号(化合物6および9を参照せよ。)または「対称形トリアジン誘導体」、IP.COM Journal、2004年9月20日、米国、ニューヨーク州、West Henrietta、IP.COM社刊の文献に記載されている対称形トリアジン日焼け止め剤、とりわけ2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン(より特には、2,4,6−トリス(ビフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジン)および2,4,6−トリス(ターフェニル)−1,3,5−トリアジン。これらの2の最後に挙げられた日焼け止め剤は、Beiersdorf社の特許出願、国際公開第06/035000号、国際公開第06/034982号、国際公開第06/034991号、国際公開第06/035007号、国際公開第2006/034992号、国際公開第2006/034985号に記載されている。
【0242】
イミダゾリン誘導体
− エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0243】
ベンザルマロネート誘導体
− ベンザルマロネート官能基を有するポリオルガノシロキサン、たとえばとりわけDSM Nutritional Products社によってParsol SLXの商品名下に販売されているPolysilicone−15、
− ジネオペンチル−4'−メトキシベンザルマロネート。
【0244】
メロシアニン誘導体
− オクチル−5−N,N−ジエチルアミノ−2−フェニルスルホニル−2,4−ペンタジエノエート。
【0245】
本発明の文脈では、および1の特定の実施態様では、以下の疎水性日焼け止め剤(B)が本発明に従うキット中に用いられる。
− ホモサレート、
− エチルヘキシルサリチレート、
− オクトクリレン、
− エチルヘキシルメトキシシンナメート、
− イソアミルメトキシシンナメート、
− エチルヘキシルトリアゾン、および/または
− ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン。
【0246】
1の非常に特定の実施態様では、以下の疎水性日焼け止め剤(B)が挙げられる。
− エチルヘキシルサリチレート、
− オクトクリレン、
− エチルヘキシルトリアゾン、および/または
− エチルヘキシルメトキシシンナメート。
【0247】
疎水性有機日焼け止め剤(B)が存在するときは、これは、本発明のキット中に含められる組成物の合計重量当たり0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%の量で存在する。
【0248】
紫外線A波および紫外線B波の双方を吸収することができる混合疎水性日焼け止め剤(C)
【0249】
ゼンゾフェノン誘導体
− とりわけBASF社によってUvinul 400の商品名下に販売されているゼンゾフェノン−1、
− とりわけBASF社によってUvinul D50の商品名下に販売されているゼンゾフェノン−2、
− とりわけBASF社によってUvinul M40の商品名下に販売されているゼンゾフェノン−3、
− ゼンゾフェノン−5、
− とりわけNorquay社によってHelisorb 11の商品名下に販売されているゼンゾフェノン−6、
− とりわけAmerican Cyanamid社によってSpectra−Sorb UV−24の商品名下に販売されているゼンゾフェノン−8、
− ゼンゾフェノン−10、
− ゼンゾフェノン−11、
− ゼンゾフェノン−12。
【0250】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体
− とりわけRhodia Chimie社によってSilatrizoleの名称下に販売されている、またはChimex社によってMeroxyl XLの名称下に製造されているドロメトリゾールトリシロキサン、
− とりわけFairmount Chemical社によってMixxim BB/100の商品名下に固形で、またはとりわけCIBA Specialty Chemicals社によってTinosorb Mの商品名下に水性分散物中のミクロン級の微粒子形態で販売されているメチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール。
【0251】
ビスレゾルシニルトリアジン誘導体
− とりわけCIBA Geigy社によってTinosorb Sの商品名下に販売されているビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン。
【0252】
ベンズオキサゾール誘導体
− とりわけSigma 3V社によってUvasorb K2Aの名称下に販売されている2,4−ビス[5−1(ジメチルプロピル)ベンズオキサゾ−ル−2−イル(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン。
【0253】
本発明の文脈では、および1の特定の実施態様では、以下の疎水性日焼け止め剤(C)が本発明に従うキット中に用いられる。
− ドロメトリゾールトリシロキサン、
− メチレンビスーベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、
− ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、および/または
− ゼンゾフェノン−3またはオキシベンゾーン。
【0254】
1の非常に特定の実施態様では、以下の疎水性日焼け止め剤(C)が挙げられる。
− ドロメトリゾールトリシロキサン、
− ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン。
【0255】
疎水性有機日焼け止め剤(C)が存在するときは、これは、本発明のキット中に含められる組成物の合計重量当たり0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%の量で存在する。
【0256】
無機光保護フィルターまたは日焼け止め剤(D)
【0257】
無機光保護剤(D)は、コーティングされたまたはコーティングされていない金属酸化物顔料(一次粒子の平均サイズは一般に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nmである。)から選択され、たとえば(非晶質、またはルチル型および/もしくはアナターゼ型の結晶質の)酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウムの顔料であり、これらのすべては周知の紫外線光保護剤である。
【0258】
顔料は、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0259】
コーティングされた顔料は、たとえばCosmetics & Toiletries、1990年2月、第105巻、53〜64ページに記載された化合物、たとえばアミノ酸、蜜ロウ、脂肪酸、脂肪族アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄もしくはアルミニウム塩、(チタンもしくはアルミニウムの)金属アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物またはナトリウムヘキサメタホスフェートで、1以上の化学的、電子的、機械化学的および/または機械的な表面処理を既に受けている顔料である。
【0260】
慣用的に、シリコーンは、直鎖状または環式の、分枝状または架橋状の構造を有する、様々な分子量の有機ケイ素ポリマーまたはオリゴマーであり、これは、適切に官能化されたシランの重合および/または重縮合によって得られ、かつ主単位の繰返しから本質的に成っており、該主単位中でケイ素原子が酸素原子によって互いに結合されており(シロキサン結合)、置換された任意的な炭化水素基が当該ケイ素原子に炭素原子を介して直接結合されている。
【0261】
「シリコーン」の語はさらにまた、その調製に必要なシラン、より特にはアルキルシランも包含する。
【0262】
顔料をコーティングするために使用される本発明に適したシリコーンは、好ましくはアルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、およびポリアルキルヒドロシロキサンから成る群から選択される。さらにより好ましくは、シリコーンはオクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルヒドロシロキサンから成る群から選択される。
【0263】
もちろん、シリコーンによる処理前の金属酸化物顔料は、他の表面処理剤で、より特には酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、またはこれらの混合物で既に処理されていてもよい。
【0264】
コーティングされた顔料は、より特には以下のものでコーティングされた酸化チタンである。すなわち、
− シリカ、たとえば池田社からの製品Sunveil、
− シリカおよび酸化鉄、たとえば池田社からの製品Sunveil F、
− シリカおよびアルミナ、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 500 SAおよびMicrotitanium Dioxide MT 100SA、ならびにTioxide社からの製品Tioveil、
− アルミナ、たとえば石原社からの製品Tipaque TTO−55(B)およびTipaque TTO−55(A)、ならびにKemira社からのUVT 14/4、
− アルミナおよびステアリン酸アルミニウム、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100T、MT 100TX、MT 100Z、MT−01、Uniqema社からの製品Solaveil CT−10 WおよびSolaveil CT−100、ならびにMerck社からの製品Eusolex T−AVO、
− シリカ、アルミナおよびアルギン酸、たとえばTayca社からの製品MT−100 AQ、
− アルミナおよびラウリン酸アルミニウム、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100S、
− 酸化鉄およびステアリン酸鉄、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100F、
− 酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛、たとえばTayca社からの製品BR 351、
− シリカおよびアルミナならびにシリコーンで処理されたもの、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SASまたはMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS、
− シリカ、アルミナおよびステアリン酸アルミニウムならびにシリコーンで処理されたもの、たとえばチタン工業社からの製品STT−30−DS、
− シリカおよびシリコーンで処理されたもの、たとえばKemira社からの製品UV−Titan X 195、
− アルミナおよびシリコーンで処理されたもの、たとえば石原社からの製品Tipaque TTO−55(S)、またはKemira社からのUV Titan M 262、
− トリエタノールアミン、たとえばチタン工業社からの製品STT−65−S、
− ステアリン酸、たとえば石原社からの製品Tipaque TTO−55(C)、
− ナトリウムヘキサメタホスフェート、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 150W、
− Degussa Silicas社によってT 805の商品名下に販売されている、オクチルトリメチルシランで処理されたTiO
− Cardre社によって70250 Cardre UF TiO2SI3の商品名下に販売されている、ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO
− Color Techniques社によってMicro Titanium Dioxide USP疎水性グレードの商品名下に販売されている、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理されたアナターゼ/ルチル型TiO
【0265】
コーティングされていない酸化チタン顔料は、たとえばTayca社によってMicrotitanium Dioxide MT 500 BまたはMicrotitanium Dioxide MT600 Bの商品名下に、Degussa社によってP 25の名称下に、Wackher社によってOxyde de titane transparent PWの名称下に、三好化成社によってUFTRの名称下に、トーメン社によってITSの名称下に、およびTioxide社によってTioveil AQの名称下に販売されている。
【0266】
コーティングされていない酸化亜鉛顔料は、たとえば以下のものである。すなわち、
− Sunsmart社によってZ−coteの名称下に販売されているもの、
− Elementis社によってNanoxの名称下に販売されているもの、
− Nanophase Technologies社によってNanogard WCD 2025の名称下に販売されているもの。
【0267】
コーティングされた酸化亜鉛顔料は、たとえば以下のものである。すなわち、
− Toshibi社によってOxide zinc CS−5の名称下に販売されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされたZnO)、
− Nanophase Technologies社によってNanogard Zinc Oxide FNの名称下に販売されているもの(Finsolv TN、すなわちC12〜C15アルコ−ルベンゾエート中40%分散物)、
− 大東社によってDaitopersion ZN−30およびDaitopersion ZN−50の名称下に販売されているもの(シリカおよびポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされたナノメートル級酸化亜鉛30%〜50%を含有する、エトキシル化シクロポリメチルシロキサン/ポリジメチルシロキサン中の分散物)、
− ダイキン社によってNFD Ultrafine ZnOの名称下に販売されているもの(パーフルオロアルキルホスフェートとパーフルオロアルキルエチルに基づいたコポリマーとでコーティングされたZnOのシクロペンタシロキサン中分散物)、
− 信越社によってSPD−Z1の名称下に販売されているもの(シリコーングラフトアクリルコポリマーでコーティングされたZnOのシクロジメチルシロキサン中分散物)、
− ISP社によってEscalol Z100の名称下に販売されているもの(アルミナで処理されたZnOのPVP−ヘキサデセン/メチコーンコポリマー/エチルヘキシルメトキシシンナメート混合物中分散物)、
− 不二化成(Fuji Pigment)社によってFuji ZnO−SMS−10の名称下に販売されているもの(シリカおよびポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたZnO)、
− Elementis社によってNanox Gel TNの名称下に販売されているもの(ZnOの、C12〜C15アルコールベンゾエートとヒドロキシステアリン酸との重縮合物中55%分散物)。
【0268】
コーティングされていない酸化セリウム顔料は、たとえばRhone Poulenc社によってColloidal Cerium Oxideの名称下に販売されているものである。
【0269】
コーティングされていない酸化鉄顔料は、たとえばArnaud社によってNanogard WCD 2002(FE 45B)、Nanogard Iron FE 45BL AQ、Nanogard FE 45R AQおよびNanogard WCD 2006(FE 45R)の名称下に、または三菱社によってTY−220の名称下に販売されている。
【0270】
コーティングされた酸化鉄顔料は、たとえばArnaud社によってNanogard WCD 2008(FE 45B FN)、Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)、Nanogard FE 45 BL 345およびNanogard FE 45 BLの名称下に、またはBASF社によってOxyde de Fer Transparentの名称下に販売されている。
【0271】
金属酸化物の混合物、とりわけ二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、たとえば池田社によってSunveil Aの名称下に販売されている、双方ともシリカでコーティングされた二酸化チタンと二酸化セリウムとの均等量の混合物、ならびにまたアルミナ、シリカおよびシリコーンでコーティングされた二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、たとえばKemira社によって販売されている製品M261、またはアルミナ、シリカおよびグリセロールでコーティングされたもの、たとえばKemira社によって販売されている製品M211が挙げられることもできる。
【0272】
本発明の文脈では、および1の特定の実施態様では、以下の有機日焼け止め剤(D)、すなわち非晶質またはルチルおよび/もしくはアナターゼ型の結晶質である酸化チタンが本発明に従うキット中に用いられる。
【0273】
無機日焼け止め剤(D)が存在するときは、これは、本発明のキット中に含められる組成物の合計重量当たり0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%の量で存在する。
【0274】
1の特定の実施態様では、日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および(D)の合計量は、当該キット中のすべての組成物の合計重量当たり15重量%以下、特に0.01重量%〜10重量%、より特に0.1重量%〜5重量%である。
【0275】
1の特定の実施態様では、キットは少なくとも1の有機かつ疎水性の抗紫外線A日焼け止め剤(A)、および少なくとも1の有機かつ疎水性の抗紫外線B日焼け止め剤(B)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)を含んでいる。
【0276】
他の特定の実施態様では、キットは少なくとも1の有機かつ疎水性の抗紫外線Aおよび抗紫外線Bの日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)を含んでいる。
【0277】
さらに他の特定の実施態様では、キットは少なくとも1の有機かつ疎水性の抗紫外線A日焼け止め剤(A)および少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)を含んでいる。
【0278】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは少なくともブチルメトキシジベンゾイルメタン、とりわけParsol 178の商品名下に販売されているもの、およびエチルヘキシルメトキシシンナメート、とりわけParsol MCXの商品名下に販売されているものを含んでいる。
【0279】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは少なくともブチルメトキシジベンゾイルメタン、とりわけParsol 1789の商品名下に販売されているもの、および少なくとも1のコーティングされたまたはコーティングされていない二酸化チタンを無機日焼け止め剤として含んでいる。
【0280】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは少なくともブチルメトキシジベンゾイルメタン、とりわけParsol 1789の商品名下に販売されているもの、および少なくともエチルヘキシルトリアゾン、とりわけBASF社によってUvinul T150の商品名下に販売されているものを含んでいる。
【0281】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは少なくともn−ヘキシル−2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、とりわけBASF社によってUvinul A+の商品名下に販売されているもの、および少なくともエチルヘキシルメトキシシンナメート、とりわけDSM Nutritional Products社によってParsol MCXの商品名下に販売されているものを含んでいる。
【0282】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは少なくともブチルメトキシジベンゾイルメタン、とりわけParsol 1789の商品名下に販売されているもの、および少なくともオクトクリレン、とりわけBASF社によってUvinul N539の商品名下に販売されているものを含んでいる。
【0283】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは、Rhodia Chimie社によってSilatrizoleの名称下に販売されているドロメトリゾールトリシロキサンを少なくとも含んでいる。
【0284】
本発明のさらに他の実施態様では、キットは、CIBA Geigy社によってTinosorb Sの商品名下に販売されているビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを少なくとも含んでいる。
【0285】
1の実施態様では、キットは少なくとも2の異なった、別々に包装された組成物を含んでおり、第一の組成物は生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物(X)を含んでおり、第二の組成物は生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の化合物(Y)を含んでおり、かつ任意的な触媒または任意的な過酸化物が当該第一および第二の組成物のうちのどちらか中に存在しており、ならびに/またはさらなる任意的な組成物中に存在している。
【0286】
本発明に従うキットは、さらにその上、有機かつ親水性である抗紫外線Aおよび/または抗紫外線B日焼け止め剤から選択された少なくとも1の任意的な光保護フィルターを含んでいることができる。
【0287】
上記の所要の化合物に加えて、本発明に従うキットは以下の生理学的に許容される媒体を含んでいることができる。
【0288】
その上、少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含んでいることができるのは、より特には、本発明に従うキットの当該第一および/または第二の組成物であることができる。
【0289】
1の実施態様では、本発明に従うキットの当該組成物(A1)はさらに、少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含んでおり、かつ/あるいは本発明に従うキットの当該組成物(A2)はさらに、少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含んでいる。
【0290】
他の実施態様では、本発明に従うキットの当該組成物(A3)はさらに、少なくとも1の生理学的に許容される媒体を含んでいる。
【0291】
生理学的に許容される媒体
【0292】
上記のように、本発明に従うキットの組成物は生理学的に許容される媒体を含んでおり、これは非毒性の媒体であり、人のケラチン物質に施与されることができ、かつ心地よい外観、心地よい香りおよび心地よい肌触りを有する。
【0293】
本発明に従うキットの組成物は一般に、上記の成分(X)、(Y)、(A)、(B)、(C)および/または(D)、ならびにまた触媒および/または過酸化物を本質的に含有する。
【0294】
したがって、本発明の1の特定の実施態様では、キットは、キット中の組成物の全体の合計重量当たり前述の成分を90重量%まで、または95重量%までさえ、99重量%または100重量%さえ含有する。
【0295】
本発明に従うキットの組成物は好都合には、無水または本質的に無水の形をしており、また液状物または柔軟なペーストの形態をしていることができる。
【0296】
組成物中の水および/または1もしくは複数の水溶性溶媒の量が組成物の合計重量当たり3重量%未満、典型的には1.5重量%未満、1重量%または0.5重量%未満でさえあるときに、組成物は無水であると呼ばれる。
【0297】
このタイプの組成物は、顔および/もしくは身体のためのケアまたはメークアップ製品の形態を有することができ、かつたとえばチューブもしくはポンプボトル中に詰められたクリームまたは流体の形態に包装されることができる。
【0298】
本発明の組成物は、さらに1以上の油を含んでいることができ、これは本発明の成分(X)、(Y)、(A)、(B)、(C)および(D)のうちの少なくとも1の可溶化を許す。
【0299】
本発明に従うキットの組成物中に使用されることができる油の例は、以下を含む。
− 動物由来の炭化水素油、たとえばパーヒドロスクアレン、
− 植物由来の炭化水素油、たとえば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、たとえばヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、あるいはたとえばヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、菜種油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、たとえばStearineries Dubois社によって販売されているもの、またはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812および818の名称下に販売されているもの、ホホバ油ならびにシアバター油、
− 合成エステルおよびエーテル、とりわけ脂肪酸のもの、たとえば式RCOORおよびRORの油(これらの式で、Rは8〜29の炭素原子を有する脂肪酸の残基を表し、Rは3〜30の炭素原子を有する分枝状または分枝されていない炭化水素鎖を表す。)、たとえばピュアセリンオイル、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシエステル、たとえばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレート、および脂肪族アルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート;ポリオールエステル、たとえばプロピレングリコールジオクタノエート、
ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート;ならびにペンタエリスリトールエステル、たとえばペンタエリスリチルテトライソステアレート、
− 鉱物もしくは合成由来の直鎖状または分枝状炭化水素、たとえば揮発性または非揮発性液状パラフィンおよびこれらの混合物、イソヘキサデカン、イソドデカン、ペトロラタム、ポリデセンおよび水素化ポリイソブテン、たとえばParleam(商標)油、
− 天然または合成精油、たとえばユーカリ油、ラバンジン油、ラベンダー油、ベチベル油、リトシークベバ油、レモン油、ビャクダン油、ローズマリー油、カモミール油、セイボリー油、ニクズク油、シナモン油、ヒソップ油、カラウェー油、オレンジ油、ゲラニオール油、ジュニバータール油およびベルガモット油、
− 8〜26の炭素原子を有する脂肪族アルコール、たとえばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコール、
− 部分的に炭化水素に基づいたおよび/またはシリコーンに基づいたフルオロ油、たとえば特開平2−295912号の文献に記載されたもの、
− シリコーン油、たとえば直鎖状または環式のシリコーン鎖を有し、環境温度において液状もしくはぺ−スト様である、揮発性または非揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、とりわけシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、たとえばシクロヘキサシロキサンおよびシクロペンタシロキサン;ペンダントにもしくはシリコーン鎖の末端にアルキル、アルコキシまたはフェニル基を有し、これらの基が2〜24の炭素原子を有するポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、たとえばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、およびポリメチルフェニルシロキサン、
− これらの混合物。
【0300】
上掲の油のリスト中の炭化水素油は、主に炭素原子および水素原子を、ならびに任意的にエステル、エーテル、フルオロ、カルボン酸および/またはアルコール基を含んでいる任意の油である。
【0301】
油相中に存在することができる他の脂肪質物質は、たとえば8〜30の炭素原子を有する脂肪酸、たとえばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;ワックス、たとえばラノリン、蜜ロウ、カルナバワックスまたはカンデリラワックス、パラフィンワックス、モンタンワックスまたはマイクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、合成ワックス、たとえばポリエチレンワックスおよびフィッシャー・トロプシュワックス;ならびにガム、たとえばシリコーンガム(ジメチコノール)である。
【0302】
これらの脂肪質物質は、たとえばコンシステンシー(軟度)またはテクスチャ(質感)の所望の特性を有する組成物を調製する目的のために当業者によって様々な様式で選択されることができる。
【0303】
本発明に従うキットの組成物は、少なくとも1の揮発性油を含んでいることができる。
【0304】
本発明の目的のための揮発性油は、ケラチン物質と接触すると環境温度および大気圧において1時間未満内に蒸発することができる任意の油である。本発明の揮発性有機の1または複数の溶媒および揮発性油は、環境温度において液状である揮発性有機溶媒および化粧品油であり、環境温度および大気圧において零でない蒸気圧、特に0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、より特に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲にある蒸気圧を有する。
【0305】
挙げられることができる揮発性油は、中でも2〜6のケイ素原子を有する環式または直鎖状のシリコーン、たとえばシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ブチルトリシロキサンおよびエチルトリシロキサンを包含する。分枝状炭化水素、たとえばイソドデカン、およびまた揮発性パーフルオロアルカン、たとえばドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン(これらは3M社によってPF 5050(商標)およびPF 5060(商標)の名称下に販売されている。)、およびパーフルオロモルホリン誘導体、たとえば4−トリフルオロメチルパーフルオロモルホリン(これは3M社によってPF 5052(商標)の名称下に販売されている。)を使用することも可能である。
【0306】
本発明に従うキットの組成物中に存在する油相の量は、この種類の油相を含有する組成物の合計重量当たり、たとえば0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%の範囲にあることができる。
【0307】
本発明に従うキットの組成物はさらに、たとえば顔料、真珠層、染料、特殊効果物質およびこれらの混合物から選択された少なくとも1の着色剤を含んでいることができる。
【0308】
これらの着色剤は、本発明に従うキット中に含められるすべての組成物の合計重量当たり0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%の量で存在することができる。
【0309】
本発明に従うキットの組成物は、フィラーを、本発明に従うキット中に含められるすべての組成物の合計重量当たり、とりわけ0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%の量で含んでいることができる。これらのフィラーは有機または無機であり、かつ結晶学的形態(たとえば、ラメラ、立方晶、六方晶、斜方晶または非晶質)にかかわらず任意の形態、たとえば小板形、球形または楕円形であることができる。フィラーは、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、PTFE粉体、PMMA粉体、メチルシルセスキオキサン樹脂粉体(たとえば、GE Silicone社からのTospearl 145A)、中空半球状シリコーン樹脂粒子(たとえば、竹本油脂社からのNLK 500、NLK 506およびNLK 510)、硫酸バリウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびに8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導された金属石けん、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛およびミリスチン酸マグネシウムを包含する。
【0310】
本発明に従うキットの組成物はさらに、化粧品学の分野において普通に使用される様々な助剤、たとえば金属イオン封鎖剤、香料、増粘剤および親油性ゲル化剤を含んでいることができる。これらの様々な助剤の量およびその種類は、光保護膜の形成も当該光保護膜の有利な特性も損なわないように選択されるだろう。
【0311】
組成物の、得ることが望まれている流動性に応じて、1以上の親油性ゲル化剤、言い換えれば油中に可溶性または分散性であるゲル化剤を組成物中に含めることが可能である。
【0312】
親油性ゲル化剤は、たとえば改質粘土、たとえば改質マグネシウムシリケート(Rheox社からのBentone gel VS38)、およびRheox社によってBentone 38 CEの名称下に販売されている、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドで改質されたヘクトライト(CTFA名:Disteardimoniumヘクトライト)を包含する。
【0313】
より特に脂性の皮膚への施与の場合、本発明に従うキットの組成物は、剥離剤、抗脂濡症剤、抗菌剤および鎮痛剤から選択された少なくとも1の薬理活性剤を含んでいることができる。
【0314】
より特に老化した皮膚への施与の場合、本発明に従うキットの組成物は、剥離剤、脱色素剤または抗脱色素剤、抗糖化剤、抗NO剤、真皮もしくは表皮高分子の合成を促進しおよび/またはこれらの分解を防止する薬剤、線維芽細胞もしくはケラチノサイトの増殖および/またはケラチノサイトの分化を促進する薬剤、筋肉弛緩剤または皮膚弛緩剤、抗遊離ラジカル剤または抗汚染剤、引き締め剤、ならびに微小循環に作用する薬剤から選択された少なくとも1の薬理活性剤を含んでいることができる。
【0315】
より特に瘢痕への施与の場合、本発明に従うキットは、少なくとも1の瘢痕形成促進剤、たとえばセンテラ・アジアティカの抽出物、たとえばBayer社によって販売されているMadecassosideを含んでいることができる。
【0316】
当業者は、一方において使用される成分の性質、とりわけ媒体中へのその溶解度、および他方において本発明に従うキットの各組成物の意図された用途を考慮に入れて、当業者の一般知識に基づいて適切な配合形態およびその調製方法を選択することができる。
【0317】
当業者はもちろん、任意の補助的な1もしくは複数の添加剤および/またはその量が、光保護膜の形成および当該得られた膜の有利な特性が該補助的な添加によって有害な影響を受けないかまたは実質的に受けないように選択されることを、確実にするだろう。
【0318】
包装
【0319】
上記の第一および第二の組成物は、異なった、独立のパック中に、または変形として、即座に開口しあうように置かれていてもいなくてもよい2の区画を含んでいる単一の包装装置中に包装されることができる。
【0320】
たとえば化合物(X)を含んでいる第一の組成物、およびたとえば化合物(Y)を含んでいる第二の組成物は、好ましくは単一の包装物品の別々のパック中に包装される。
【0321】
各組成物は、同一の包装物品内の異なった区画中に包装され、該2の組成物は、たとえば各組成物が送達されるときに該包装物品の一方または両方の端で混合されることもできる。
【0322】
他の実施例では、上記の組成物のそれぞれは、包装装置のそれぞれの区画中に含められ、該区画は閉鎖手段によって閉じられる。該閉鎖手段は、包装装置への使用者の動作、たとえば該装置の部材の回転または移動に応答して閉鎖状態から非閉鎖状態へ移行することができるものである。
【0323】
あるいは、第一および第二の組成物のそれぞれは、異なった包装物品中に包装されることができる。
【0324】
第一および第二の組成物は互いに異なっている。
【0325】
たとえば、第一の組成物は好都合には化合物(Y)を含んでおらず、また第二の組成物は好都合には化合物(X)を含んでいない。このことは、化合物(X)および(Y)の互いとの大きい反応性を考慮すると、これらの相互作用が触媒または過酸化物の存在を必要条件としていないときは、これらは本発明に従うキットを形成する第一および/または第二の組成物中に同時には存在しないからである。
【0326】
1もしくは複数の触媒および/または1もしくは複数の過酸化物、ならびにまた日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および/または(D)は、該成分以外の他の成分との相容性に応じて組成物のいずれか中に存在することができ、あるいは第一および第二の組成物とは別個に包装されることさえもできる。
【0327】
適切な場合には、1もしくは複数の触媒および/または1もしくは複数の過酸化物、ならびにまた日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および/または(D)は、前述の2の組成物のうちの1を収容している包装装置の1の区画中に入れられることができ、この区画は他方の組成物を含んでいる区画と現場で互いに通じあうことが可能である。
【0328】
組成物は、これらが混合された後の一回の使用に相当する量で包装されることができる。変形として、組成物は、複数の一連の施与に適した量でそれぞれ包装されることができる。
【0329】
適切な場合には、2の組成物は2のそれぞれの区画または容器から抜き出されることができ、そしてケラチン物質に施与される前にミキサーを通されることができる。
【0330】
上記の組成物は、所望の貯蔵安定性に応じて空気取り入れ口を備えたまたは備えていない容器中に包装されてもよい。
【0331】
本発明は、さらに紫外線Aおよび紫外線Bの領域を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質、特に皮膚を保護する方法であって、該方法が上記のキットを使用し、かつ当該ケラチン物質に
a) 上記の少なくとも1の化合物(X)、
b) 上記の少なくとも1の化合物(Y)、および
c) 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を施与することを含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに少なくとも1の任意的な無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、ならびに280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)か、あるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、
a)、b)およびc)の施与が、(i)事前の現場での混合によって同時にか、あるいは(ii)これらの施与の時に同時にまたは任意の順番で逐次的に混合することによって起こる、但し当該混合の条件が当該化合物(X)と(Y)との反応に有益であること、上記方法を提供する。
【0332】
皮膚へのその施与の結果として、膜が形成され乾燥される。この乾燥は環境温度において、または適切な場合には乾燥手段を用いることによって実施されることができる。この乾燥はその場合には、皮膚の表面に付着する光保護膜の形成を許すのに好都合である条件(乾燥時間、乾燥温度)下に実施される。
【0333】
1の実施態様では、該方法は、日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および(D)の合計量が当該キット中のすべての組成物の合計重量当たり15重量%以下、特に0.01重量%〜10重量%、より特に0.01重量%〜3重量%であるようなものである。
【0334】
この方法は本発明に従う光保護膜を製造し、その中の日焼け止め剤は上により早い段階で定義された通りである。
【0335】
膜は透明であることができ、また50〜500μm、好ましくは100〜200μmの厚さを有することができる。
【0336】
以下の実施例は例示の目的で示され、本発明を限定するものではない。パーセントは、問題の組成物の合計重量に対する重量によって表される。
【実施例1】
【0337】
日焼け保護キット
【0338】
・本発明に従うキットは、本発明に従う以下の組成物(A1)および(A2)を含んでいる。

【0339】
直ぐに使用できるものとして販売されているDOW CORNING 7−FC4210 ELASTOMER FILM−FORMING BASE(商標)混合物は、以下の組成物に相当する。

【0340】
直ぐに使用できるものとして販売されているDOW CORNING 7−FC4210 CURING AGENT(商標)は、以下の組成物に相当する。

【0341】
手順:(A2)の化合物のすべては混合されて組成物(A2)を与える。
【0342】
本発明に従う光保護方法
【0343】
組成物(A1)が、日焼けからの保護を意図されている、人の皮膚の一部位に施与される。組成物(A2)が次なる順番として同じ部位に施与され、そして2の組成物(A1)および(A2)が、当の皮膚の部位上で穏やかなマッサージによって緊密に混合される。それから該2の組成物の反応によって膜が形成される。この膜は、開放空気中で乾燥された後、皮膚に付着する。これは、貼付剤と同じように後で取り除かれることができる。
【0344】
本発明に従う膜の効能の評価
【0345】
冷凍された石英板に120μm膜施与機で施与された上記の組成物(A1)および(A2)を混合した後得られた膜のSPFを測定することによって、本発明に従うキットの効能が評価された。
【0346】
V.WandelらによってSOFW Journal、2001年、127巻に記載されたインビトロ(in vitro)法を製品の施与に関して修正して用いて、labsphere UV 1000 S分光放射計を使用して、この膜のSPFが測定される。
【0347】
SPFは該板上の5点において測定され、そして平均が計算される。これは46+−0.9のSPFを与える。
【実施例2】
【0348】
日焼け保護キット
【0349】
・本発明に従うキットは、本発明に従う以下の組成物(A1)および(A2)を含んでいる。

【0350】
手順:(A2)の化合物のすべては混合されて組成物(A2)を与える。
【0351】
本発明に従う保護方法
【0352】
組成物(A2)が、日焼けからの保護を意図されている、人の皮膚の一部位に施与される。組成物(A1)が次なる順番として同じ部位に施与され、そして2の組成物(A1)および(A2)が、当の皮膚の部位上で穏やかなマッサージによって緊密に混合される。それから該2の組成物の反応によって膜が形成される。この膜は、乾燥された後、皮膚に付着する。これは、貼付剤と同じように後で取り除かれることができる。
【0353】
本発明に従う膜の効能の評価
【0354】
冷凍された石英板に120μm膜施与機で施与された上記の組成物(A1)および(A2)を混合した後得られた膜のSPFを測定することによって、本発明に従うキットの効能が評価された。
【0355】
V.WandelらによってSOFW Journal、2001年、127巻に記載されたインビトロ法を製品の施与に関して修正して用いて、labsphere UV 1000 S分光放射計を使用して、この膜のSPFが測定される。
【0356】
SPFは該板上の5点において測定され、そして平均が計算される。これは97.2+−0.9のSPFを与える。
【実施例3】
【0357】
(比較例)日焼け保護キット
【0358】
・本発明と対比してこのキットは、以下の組成物(A1)および(A2)を含んでいる。

【0359】
本発明に従う保護方法
【0360】
組成物(A2)が、日焼けからの保護を意図されている、人の皮膚の一部位に施与される。組成物(A1)が次なる順番として同じ部位に施与され、そして2の組成物(A1)および(A2)が、当の皮膚の部位上で穏やかなマッサージによって緊密に混合される。それから該2の組成物の反応によって膜が形成される。この膜は、乾燥された後、皮膚に付着する。これは、貼付剤と同じように後で取り除かれることができる。
【0361】
本発明の範囲外の膜の効能の評価
【0362】
冷凍された石英板に120μm膜施与機で施与された上記の組成物(A1)および(A2)を混合した後得られた膜のSPFを測定することによって、本発明に従うキットの効能が評価された。
【0363】
V.WandelらによってSOFW Journal、2001年、127巻に記載されたインビトロ法を製品の施与に関して修正して用いて、labsphere UV 1000 S分光放射計を使用して、この膜のSPFが測定される。
【0364】
SPFは該板上の5点において測定され、そして平均が計算される。これは17.2+−0.04のSPFを与える。
【0365】

【0366】
本発明に従う保護方法
【0367】
組成物(A1)および(A2)が現場で混合され、そしてそれから日焼けから保護されるべきである、人の皮膚の一部位に施与される。当の皮膚の部位上で穏やかにマッサージすることによって、該2の組成物間の反応によって膜が形成される。この膜は乾燥後、皮膚に付着する。これは、貼付剤と同じように後で取り除かれることができる。
【0368】
膜の効能の評価
【0369】
冷凍された石英板に120μm膜施与機で施与された上記の組成物(A1)および(A2)の混合をした後に得られた各膜のSPFを測定することによって、キットの効能が評価された。
【0370】
V.WandelらによってSOFW Journal、2001年、127巻に記載されたインビトロ法を製品の施与に関して修正して用いて、labsphere UV 1000 S分光放射計を使用して、この膜のSPFが測定される。
【0371】
結果が以下の表に提示されている。

【0372】
一定の合計日焼け止め剤濃度(2%)の場合に、単独で使用された疎水性紫外線B日焼け止め剤(エチルヘキシルトリアゾン)と比較して、本発明のキット5において該紫外線B日焼け止め剤と疎水性紫外線A日焼け止め剤(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)との混合物を用いると、SPFの高い増加が観察される。
【0373】

【0374】
本発明に従う保護方法
【0375】
組成物(A1)および(A2)が現場で混合され、そしてそれから日焼けから保護されるべきである、人の皮膚の一部位に施与される。当の皮膚の部位上で穏やかにマッサージすることによって、該2の組成物間の反応によって膜が形成される。この膜は乾燥後、皮膚に付着する。これは、貼付剤と同じように後で取り除かれることができる。
【0376】
膜の効能の評価
【0377】
冷凍された石英板に120μm膜施与機で施与された上記の組成物(A1)および(A2)の混合をした後に得られた各膜のSPFを測定することによって、キットの効能が評価された。
【0378】
V.WandelらによってSOFW Journal、2001年、127巻に記載されたインビトロ法を製品の施与に関して修正して用いて、labsphere UV 1000 S分光放射計を使用して、この膜のSPFが測定される。
【0379】
結果が以下の表に提示されている。

【0380】
一定の合計日焼け止め剤濃度(2.5%)の場合に、疎水性紫外線B日焼け止め剤(エチルヘキシルメトキシシンナメート)単独と比較して、本発明のキット7において該紫外線B日焼け止め剤と疎水性紫外線A日焼け止め剤(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)との混合物を用いると、SPFの高い増加が観察される。
【0381】

【0382】
本発明に従う保護方法
【0383】
組成物(A1)および(A2)が現場で混合され、そしてそれから日焼けから保護されるべきである、人の皮膚の一部位に施与される。当の皮膚の部位上で穏やかにマッサージすることによって、該2の組成物間の反応によって膜が形成される。この膜は乾燥後、皮膚に付着する。これは、貼付剤と同じように後で取り除かれることができる。
【0384】
膜の効能の評価
【0385】
冷凍された石英板に120μm膜施与機で施与された上記の組成物(A1)および(A2)の混合をした後に得られた各膜のSPFを測定することによって、各キットの効能が評価された。
【0386】
V.WandelらによってSOFW Journal、2001年、127巻に記載されたインビトロ法を製品の施与に関して修正して用いて、labsphere UV 1000 S分光放射計を使用して、この膜のSPFが測定される。
【0387】
結果が以下の表に提示されている。

【0388】
一定の合計日焼け止め剤濃度(1%)の場合に、無機日焼け止め剤(TiO)単独および疎水性紫外線A日焼け止め剤(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)単独と比較して、本発明のキット10において該無機日焼け止め剤と該紫外線A日焼け止め剤との混合物を用いると、SPFの高い増加が観察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2の異なった、別々に包装された組成物を含んでいる、紫外線A波および紫外線B波を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質を保護するためのキットであって、当該キットが、
・ 少なくとも1の化合物(X)、
・ 少なくとも1の化合物(Y)、
・ 任意的な少なくとも1の触媒または少なくとも1の過酸化物、および
・ 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が、
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)かあるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、
当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がシリコーン化合物であり、但し化合物(X)、(Y)および任意的な触媒または過酸化物が同一の組成物中に同時には存在せず、当該化合物(X)および(Y)が互いに接触されると、当該触媒の存在下におけるヒドロシリル化反応によって、または縮合反応によって、または当該過酸化物の存在下における架橋反応によって、互いに反応する能力がある、キット。
【請求項2】
日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および(D)の合計量が、当該キット中のすべての組成物の合計重量当たり15重量%以下である、請求項1に従うキット。
【請求項3】
− 日焼け止め剤(A)が、ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびn−ヘキシル−2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートから選択され、
− 日焼け止め剤(B)が、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾンおよびエチルヘキシルメトキシシンナメートから選択され、
− 日焼け止め剤(C)が、ドロメトリゾールトリシロキサンおよびビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選択され、かつ
− 日焼け止め剤(D)が、非晶質、またはルチルおよび/もしくはアナターゼ型をした結晶質である酸化チタンから選択される、
請求項1または2に従うキット。
【請求項4】
少なくとも2の異なった、別々に包装された組成物を含んでいる、請求項1〜3のいずれか1項に従うキットであって、当該キットが、少なくとも
− 少なくとも1の化合物(X)を、生理学的に許容される媒体中に含んでいる第一の組成物、および
− 少なくとも1の化合物(Y)を、生理学的に許容される媒体中に含んでいる第二の組成物
を含んでおり、
当該任意的な触媒または当該任意的な過酸化物が当該第一および第二の組成物のうちのどちらかの中に存在し、もしくは任意的に第三の組成物中に存在し、かつ当該日焼け止め剤(A)、(B)、(C)および/または(D)が当該第一および第二の組成物のうちのどちらかの中に存在し、もしくは任意的に当該第三の組成物中に存在する、キット。
【請求項5】
化合物(X)および化合物(Y)がヒドロシリル化によって反応する能力があり、かつ化合物(X)が、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含んでいるシリコーン化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に従うキット。
【請求項6】
化合物(X)が、式(I)

(この式で、
− Rは、1〜30の炭素原子を有する一価の、直鎖状または環式の炭化水素基を表し、
− mは1または2であり、および
− R’は、
2〜10の炭素原子を有する不飽和脂肪族の炭化水素基、または5〜8の炭素原子を有する不飽和環式炭化水素基
を表す。)
のシロキサン単位を含んでいるポリオルガノシロキサンから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に従うキット。
【請求項7】
化合物(Y)が、少なくとも2の遊離のSi−H基を含んでいるオルガノシロキサンから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に従うキット。
【請求項8】
化合物(Y)が、以下の式(III)

(この式で、
Rは、1〜30の炭素原子を有する一価の、直鎖状もしくは環式の炭化水素基、またはフェニル基を表し、およびpは1または2である。)
の少なくとも1のアルキルヒドロシロキサン単位を含んでいるオルガノシロキサンから選択される、請求項1〜7のいずれか1項に従うキット。
【請求項9】
紫外線A領域および紫外線B領域を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質を保護する方法であって、該方法が当該ケラチン物質に
a) 少なくとも1の化合物(X)、
b) 少なくとも1の化合物(Y)、および
c) 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を施与することを含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに任意的な少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)かあるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、
当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がシリコーン化合物であり、
当該化合物(X)および(Y)が互いに反応する能力があり、当該反応が、少なくとも1の触媒の存在下におけるヒドロシリル化反応、縮合反応、または少なくとも1の過酸化物の存在下における架橋反応であり、但しA)、B)およびC)の施与が、(i)事前の現場での混合によって同時にか、あるいは(ii)これらの施与の時に同時にまたは任意の順番で逐次的に混合することによって起こる、但し当該混合の条件が当該化合物(X)と(Y)との間の反応に有利であること、上記方法。
【請求項10】
請求項9に従う方法によって得られることができる光保護膜。
【請求項11】
紫外線A波および紫外線B波を包含する280nm超の領域の紫外線放射からケラチン物質を保護するための化粧品組成物であって、該化粧品組成物が生理学的に許容される媒体中に
・ 少なくとも1の化合物(X)、
・ 少なくとも1の化合物(Y)、
・ 少なくとも1の触媒、および
・ 少なくとも1の疎水性遮蔽系
を含んでおり、該少なくとも1の疎水性遮蔽系が
(i) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(B)、ならびに任意的な少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)、
(ii) 280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)、ならびに任意的な無機日焼け止め剤(D)、または
(iii) 320〜400nmの紫外線放射を吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(A)、および280〜320nmおよび320〜400nmの紫外線放射を同時に吸収する能力がある少なくとも1の疎水性有機日焼け止め剤(C)かあるいは少なくとも1の無機日焼け止め剤(D)
を含んでおり、該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1がポリオルガノシロキサンであり、かつ当該化合物(X)および(Y)が当該触媒の存在下においてヒドロシリル化反応によって互いに反応する能力があり、化合物(X)および(Y)の中の少なくとも1の化合物がカプセル封入された形態で当該組成物中に存在し、当該触媒が当該化合物(X)および(Y)のうちの少なくとも1とカプセル封入された形態で一緒にされている、化粧品組成物。

【公開番号】特開2010−18614(P2010−18614A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−163979(P2009−163979)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】