説明

昇圧チョッパ回路およびこれを備えた電源装置

【課題】スイッチングトランジスタとしては従来の半分以下程度の耐圧のトランジスタを使用可能とした昇圧チョッパ回路を提供すること。
【解決手段】直流電源にコイルL1とトランジスタQ1,Q2とを直列接続し、トランジスタQ1の両端にダイオードD1とコンデンサC1との直列回路を接続し、トランジスタQ2の両端にダイオードD2とコンデンサC2との直列回路を接続し、トランジスタQ1,Q2をオンにしてコイルL1にエネルギ蓄積し、次にトランジスタQ1のみオンにし、コイルL1、トランジスタQ1、コンデンサC2、ダイオードD2の経路でコイルL1のエネルギをコンデンサC2に充電し、さらに次に、トランジスタQ1,Q2をオンにしてコイルL1にエネルギ蓄積し、次に、トランジスタQ2のみオンにし、コイルL1、ダイオードD1、コンデンサC1、トランジスタQ2の経路でコイルL1のエネルギをコンデンサC1に充電する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧チョッパ回路およびこれを備えた電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7を参照して従来の昇圧チョッパを含む電源装置を説明すると、この電源装置は、商用電源1、この商用電源1より供給される交流電力を全波整流して平滑にする整流回路2、整流回路2の出力電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路3、昇圧チョッパ回路3の出力を負荷に供給するインバータ回路4で構成される。
【0003】
昇圧チョッパ回路3は昇圧コイル31、スイッチングトランジスタ32、ダイオード33、およびコンデンサ34から構成される。
【0004】
このような昇圧チョッパ回路3においては、商用電源1の電圧を整流回路2で整流した直流電圧が280−300V程度である。このとき、コンデンサ34の両端電圧として1500V程度が要求される場合がある。そして、コンデンサ34の両端電圧が1500V程度に昇圧させると、スイッチングトランジスタ32には、2500Vとか3000V程度の高耐圧のトランジスタが必要となる。
【0005】
しかしながら、このような高耐圧のトランジスタは種類も限定されるうえ、価格が高価格であり、昇圧チョッパ回路の価格が高くなり、製品としては採用し難い回路となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−084627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明においては、コンデンサの両端電圧として例えば1500V程度が要求される場合でも、スイッチングトランジスタとしては前記した高耐圧と比較して少なくとも半分以下程度の耐圧のトランジスタを使用できるようにした昇圧チョッパ回路およびこれを有する電源装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による昇圧チョッパ回路は、直流電源の正側または負側の少なくとも一方にコイルを接続し、前記直流電源の正側に前記コイルを介してまたは直接に第1トランジスタの電流流入部を接続し、
前記第1トランジスタの電流流出部に第2トランジスタの電流流入部を共通に接続し、前記第2トランジスタの電流流出部を前記直流電源の負側に前記コイルを介してまたは直接に接続し、
前記第1トランジスタの電流流入部に第1ダイオードのアノードを接続し、前記第1ダイオードのカソードを第1コンデンサの一方極に接続し、
前記第1コンデンサの他方極を前記第1トランジスタの電流流出部と前記第2トランジスタの電流流入部との共通接続部に接続し、前記共通接続部に第2コンデンサの一方極を接続し、
前記第2コンデンサの他方極を第2ダイオードのアノードに接続し、前記第2ダイオードのカソードを前記第2トランジスタの電流流出部に接続した、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様として、前記コイルは、直流電源の正側と第1トランジスタの電流流入部との間ではなく、直流電源の負側と第2トランジスタの電流流出側との間に設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【0010】
前記コイルを両方に設ける場合は、これら両コイルは密に結合することが好ましい。
【0011】
なお、昇圧チョッパ回路の昇圧出力部に単相3レベルインバータを備えた電源装置を構成することができる。
【0012】
また、前記昇圧チョッパ回路の昇圧出力部に3相3レベルインバータを備えた電源装置を構成することができる。
【0013】
また、前記昇圧チョッパ回路を複数備え、各昇圧チョッパ回路は、それぞれの昇圧のための一対の電圧入力部と、昇圧した電圧を出力する一対の電圧出力部との間で並列に接続して電源装置を構成することができる。この電源装置では、各昇圧チョッパ回路内の第1、第2コンデンサの共通接続部は分離することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の昇圧チョッパ回路では、コンデンサを2つとし、各コンデンサの両端電圧をそれに対応する2つのスイッチングトランジスタで分担できるので、両コンデンサ全体で例えば1500V程度が要求される場合でも、各スイッチングトランジスタとしては従来で要求されていた2500Vとか3000V程度という高耐圧のトランジスタと比較して少なくとも半分以下程度の耐圧のトランジスタを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る昇圧チョッパ回路の回路図である。
【図2】図2は、図1の昇圧チョッパ回路の動作の説明に供する回路図である。
【図3】図3は、昇圧チョッパ回路の変形例を示す回路図である。
【図4】図4は、実施形態の昇圧チョッパ回路と単相3レベルインバータとを含む電源装置の回路図である。
【図5】図5は、実施形態の昇圧チョッパ回路と3相3レベルインバータとを含む電源装置の回路図である。
【図6】図6は、実施形態の昇圧チョッパ回路を複数並列接続した電源装置の回路図である。
【図7】図7は、従来の昇圧チョッパ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る昇圧チョッパ回路を説明する。図1を参照して実施形態の昇圧チョッパ回路を説明すると、この昇圧チョッパ回路は、コイルL1、スイッチングトランジスタQ1,Q2、ダイオードD1,D2、コンデンサC1,C2を備える。図1には、これら第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2のオンオフを制御する回路は図示を略している。
【0017】
IN1は図示略の直流電源の正側が接続される端子であり、IN2は同直流電源の負側が接続される端子である。端子IN1,IN2に図示略の直流電源が接続され、端子OUT1,OUT2に図示略の負荷が接続される。なお、この直流電源は、出力電圧に脈動が有る場合も、無い場合も含む。
【0018】
端子IN1を介して直流電源の正側には、コイルL1を介して第1スイッチングトランジスタQ1のコレクタ(電流流入部)が接続される。第1スイッチングトランジスタQ1のエミッタ(電流流出部)は、第2スイッチングトランジスタQ2のコレクタ(電流流入部)に共通に接続される。第2スイッチングトランジスタQ2のエミッタ(電流流出部)は、端子IN2を介して直流電源の負側に接続される。実施形態のトランジスタは、バイポーラタイプ(IGBT、等を含む)であるが、本発明はこのタイプのトランジスタに限定されず、FETなどの他のタイプのトランジスタでもよい。また、第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2は、耐圧耐量や電流容量が大きいパワートランジスタであり、これらのトランジスタでベースやゲートなどの制御入力部の制御により、電流が一方端子から流入する場合の該一方端子側を電流流入部とし、電流が他方端子へ流出する場合の該他方端子側を電流流出部とする。
【0019】
第1スイッチングトランジスタQ1のコレクタとコイルL1との接続部には、第1ダイオードD1のアノードが接続される。第1ダイオードD1のカソードは、第1コンデンサC1の一方極に接続される。第1コンデンサC1の他方極は、第1スイッチングトランジスタQ1のエミッタに接続される。第2スイッチングトランジスタQ2のコレクタは、第2コンデンサC2の一方極が接続される。第2コンデンサC2の他方極は、第2ダイオードD2のアノードに接続される。第2ダイオードD2のカソードは第2トランジスタQ2のエミッタと共に電流流入部IN2に接続される。
【0020】
第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2をオンオフする制御部は図示を略している。この制御部は、図2を参照して説明する昇圧チョッパ回路の動作を制御することができる。この制御部は所要のデューティで第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2をオンオフするものとする。
【0021】
図2(a)ないし(e)を参照して昇圧チョッパ回路の動作を説明する。
【0022】
昇圧チョッパ回路は、直流電源の電圧の高さ、第2コンデンサC2の電圧の高さ、第1コンデンサC1の電圧の高さの状態によって、動作モードが変わる。
【0023】
第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2が共にオフしていて、直流電源の電圧の高さが第2コンデンサC2の電圧の高さと第1コンデンサC1の電圧の高さと等しいときがある。これを休止モードであり、動作モード0とする(図2(a))。
【0024】
第2コンデンサC2の電圧の高さと第1コンデンサC1の電圧の高さとの和にかかわらず次に述べる4つの動作モードがある。
【0025】
第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2が共にオンして、直流電源のエネルギが放出されコイルL1に蓄積される動作モード1(図2(b))。
【0026】
第1スイッチングトランジスタQ1がオン、第2スイッチングトランジスタQ2がオフして,直流電源とコイルL1のエネルギが放出され第2コンデンサC2に蓄積、充電される動作モード2(図2(c))。
【0027】
第2スイッチングトランジスタQ2がオン、第1スイッチングトランジスタQ1がオフして,直流電源とコイルL1のエネルギが放出され第1コンデンサC1に蓄積、充電される動作モード3(図2(d))。
【0028】
第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2が共にオフして、直流電源とコイルL1のエネルギが放出され第1コンデンサC1と第2コンデンサC2に蓄積、充電される動作モード4(図2(e))。
【0029】
さらに、直流電源の電圧の高さが、第2コンデンサC2の電圧の高さおよび第1コンデンサC1の電圧の高さより高いときには、次に述べる2つの動作モードがある。
【0030】
第1スイッチングトランジスタQ1がオン、第2スイッチングトランジスタQ2がオフして,直流電源のエネルギが放出され、コイルL1に蓄積されると共に第2コンデンサC2にも蓄積、充電される動作モード5(図は図2(c)と同じ)。
【0031】
第2スイッチングトランジスタQ2がオン、第1スイッチングトランジスタQ1がオフして,直流電源のエネルギが放出され、コイルL1に蓄積されると共に第1コンデンサC1にも蓄積、充電される動作モード6(図は図2(d)と同じ)。
【0032】
なお、直流電源の高さが、第2コンデンサC2の電圧の高さと第1コンデンサC1の電圧の高さの和より高いときは定常的には存在しない。
【0033】
動作モード0では、図2(a)に示すように電流は流れない。
【0034】
動作モード1では、第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2を共にオンする。これにより、図2(b)に示すように、直流電源(図示せず)、コイルL1と第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2とからなる矢印の経路(1)で電流が流れ、直流電源からエネルギが放出され、コイルL1にエネルギが蓄積される。
【0035】
動作モード2では、第2コンデンサC2への充電のため、第1スイッチングトランジスタQ1をオン、第2スイッチングトランジスタQ2をオフにする。図2(c)に示すように、直流電源(図示せず)、コイルL1と、第1スイッチングトランジスタQ1と、第2コンデンサC2、第2ダイオードD2とからなる矢印の経路(2)で電流が流れ、直流電源とコイルL1のエネルギが放出され、第2コンデンサC2にエネルギが蓄積、第2コンデンサC2に充電される。
【0036】
動作モード3では、第1コンデンサC1への充電のため、第2スイッチングトランジスタQ2をオン、第1スイッチングトランジスタQ1をオフにする。図2(d)に示すように、直流電源(図示せず)、コイルL1と、第1ダイオードD1、第1コンデンサC1、第2スイッチングトランジスタQ2とからなる矢印の経路(3)で電流が流れ、直流電源とコイルL1のエネルギが放出され、第1コンデンサC1にエネルギが蓄積、第1コンデンサC1に充電される。
【0037】
動作モード4では、第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2を共にオフする。これにより、図2(e)に示すように、直流電源(図示せず)、コイルL1と第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2とからなる矢印の経路(4)に電流が流れて、直流電源とコイルL1のエネルギーが放出され、第1、第2コンデンサC1,C2にエネルギが蓄積、充電される。
【0038】
動作モード5では、直流電源の電圧が第2コンデンサC2の電圧より高いときのモードである。図2(c)に示すように、第1スイッチングトランジスタQ1がオン、第2スイッチングトランジスタQ2がオフし、直流電源(図示せず)、コイル1と第1スイッチングトランジスタQ1、第2コンデンサC2、第2ダイオードD2とからなる矢印の経路(2)に電流が流れて、直流電源のエネルギが放出されて、コイルLIに蓄積するとともに、第2コンデンサC2にも蓄積、充電される。
【0039】
動作モード6では、直流電源の電圧が第1コンデンサC1の電圧より高いときのモードである。図2(d)に示すように、第2スイッチングトランジスタQ2がオン、第1スイッチングトランジスタQ1がオフし、直流電源(図示せず)、コイルL1と第1ダイオードD1、第1コンデンサC1、第2スイッチングトランジスタQ2とからなる矢印の経路(3)に電流が流れて、直流電源のエネルギが放出されて、コイルLIに蓄積するとともに、第1コンデンサC1にも蓄積、充電される。
【0040】
こうした動作モードを繰り返すことにより、第1、第2コンデンサC1,C2の両端間の合計電圧が昇圧されてくるが、第1スイッチングトランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間には、第1コンデンサC1両端間の電圧が印加され、第2スイッチングトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間には、第2コンデンサC2両端間の電圧が印加される。
【0041】
したがって、第1、第2コンデンサC1,C2の容量が同じであるとして、第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2としては、前記合計電圧の半分程度の耐圧を有するトランジスタを使用することができ、このことは従来の昇圧チョッパ回路で使用するスイッチングトランジスタに求められる耐圧の約半分の耐圧で済むことになる。
【0042】
なお、図1では、コイルL1は、直流電源の正側に接続されているのみであったが、図3(a)で示すように、直流電源の負側にコイルL2のみを接続してもよいし、図3(b)で示すように、直流電源の正側と負側との両方にコイルL1,L2を接続してもよい。なお、図3(b)では、コイルL1,L2は密に結合することが好ましい。
【0043】
図4は、昇圧チョッパ回路と、単相3レベルインバータとを組み合わせた電源装置の回路図を示す。1は、昇圧チョッパ回路、2は単相3レベルインバータ、3は負荷である。
【0044】
昇圧チョッパ回路1は、図1と同様の回路であり、符号は図1に合わせて示す。ただし、この昇圧チョッパ回路1は、端子IN1,IN2それぞれに密結合されたコイルL1,L2で示すが、この密結合は必要要件ではなく、図1で示すように、端子IN1側だけにコイルL1を設けたり、図3(a)で示すように、端子IN2側だけにコイルL2を設けたり、あるいは図3(b)で示すように、端子IN1、IN2の両方にコイルL1,L2を密結合せずに設けたりすることでも使用できる。
【0045】
単相3レベルインバータ2は、4つのトランジスタS1u−S4uと、さらに4つのトランジスタS1v−S4vと、個々のトランジスタに逆並列接続されたダイオードD1u−D4u、D1v−D4vと、上下2つずつのトランジスタS1u,S2u;S3u,S4u;S1v,S2v;S3v,S4vの接続中点a−dと、昇圧チョッパ回路1の第1、第2コンデンサC1,C2の接続中点Oとを接続するダイオードD5u,D6u;D5v,D6vとから構成される。そして、4つのトランジスタS1u−S4uのうち、上2つのトランジスタS1u,S1uと下2つのトランジスタS3u,S4uの接続中点Uと、4つのトランジスタS1v−S4vのうち、上2つのトランジスタS1v,S1vと下2つのトランジスタS3v,S4vの接続中点Vとの間に、負荷3が接続される。
【0046】
この単相3レベルインバータ2では、コンデンサC1,C2の電圧をEd/2とすると、詳細は略するが、前記トランジスタに対するPWM制御により、U,V間の出力電圧Euvが、±Ed/2、0の3つの値をとることができるように制御することができる。
【0047】
この電源装置では、昇圧チョッパ回路1の第1、第2コンデンサC1,C2の中性点Oに対応して、単相3レベルインバータ2を接続すると、該単相3レベルインバータ2内のトランジスタに低耐圧のものを使用することができる。
【0048】
図5は、昇圧チョッパ回路と、3相3レベルインバータとを組み合わせた電源装置の回路図を示す。1は、昇圧チョッパ回路、2aは3相3レベルインバータ、3aは3相負荷(3相モータ)である。
【0049】
昇圧チョッパ回路1は、図1と同様の回路であり、符号は図1に合わせて示す。ただし、この昇圧チョッパ回路1は、端子IN1,IN2それぞれに密結合されたコイルL1,L2で示すが、この密結合は必要要件ではなく、図1で示すように、端子IN1側だけにコイルL1を設けたり、図3(a)で示すように、端子IN2側だけにコイルL2を設けたり、あるいは図3(b)で示すように、端子IN1、IN2の両方にコイルL1,L2を密結合せずに設けたりすることでも使用できる。
【0050】
3相3レベルインバータ2aは、4つのトランジスタS1u−S4uと、4つのトランジスタS1v−S4vと、さらに4つのトランジスタS1w−S4wと、個々のトランジスタに逆並列接続されたダイオードD1u−D4u、D1v−D4v、D1w−D4wと、上下2つずつのトランジスタS1u,S2u;S3u,S4u;S1v,S2v;S3v,S4v;S1w,S2w;S3w,S4wの接続中点a−fと、昇圧チョッパ回路1の第1、第2コンデンサC1,C2の接続中点Oとを接続するダイオードD5u,D6u;D5v,D6v;D5w,D6wとから構成される。そして、4つのトランジスタS1u−S4uのうち、上2つのトランジスタS1u,S1uと下2つのトランジスタS3u,S4uの接続中点Uと、4つのトランジスタS1v−S4vのうち、上2つのトランジスタS1v,S1vと下2つのトランジスタS3v,S4vの接続中点Vと、4つのトランジスタS1w−S4wのうち、上2つのトランジスタS1w,S1wと下2つのトランジスタS3w,S4wの接続中点Wとの間に、3相モータ等の3相負荷3aが接続される。
【0051】
この電源装置では、昇圧チョッパ回路1の第1、第2コンデンサC1,C2の中性点Oに対応して、3相3レベルインバータ2aを接続すると、該3相3レベルインバータ2a内のトランジスタに低耐圧のものを使用することができる。
【0052】
図6は、複数の昇圧チョッパ回路を複数、並列接続した電源装置である。この電源装置は、同じ回路構成の昇圧チョッパ回路5,6を有する。各昇圧チョッパ回路5,6は、それぞれ、コイルL1,L2、第1、第2スイッチングトランジスタQ1,Q2、第1、第2ダイオードD1,D2、第1、第2コンデンサC1,C2を備えており、それぞれのコイルL1,L2側が端子IN1,IN2間に並列に、また、それぞれの第1、第2コンデンサC1,C2側が端子OUT1,OUT2間に並列に接続されている。この電源装置では各昇圧チョッパ回路5,6それぞれにおけるコイルL1,L2は密に結合していると共に、それぞれの第1、第2コンデンサC1,C2の接続中点O1,O2は接続されず、分離されている。
【符号の説明】
【0053】
L1 コイル
Q1,Q2 スイッチング素子
D1,D2 ダイオード
C1,C2 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の正側または負側の少なくとも一方にコイルを接続し、前記直流電源の正側に前記コイルを介してまたは直接に第1トランジスタの電流流入部を接続し、
前記第1トランジスタの電流流出部に第2トランジスタの電流流入部を共通に接続し、前記第2トランジスタの電流流出部を前記直流電源の負側に前記コイルを介してまたは直接に接続し、
前記第1トランジスタの電流流入部に第1ダイオードのアノードを接続し、前記第1ダイオードのカソードを第1コンデンサの一方極に接続し、
前記第1コンデンサの他方極を前記第1トランジスタの電流流出部と前記第2トランジスタの電流流入部との共通接続部に接続し、前記共通接続部に第2コンデンサの一方極を接続し、
前記第2コンデンサの他方極を第2ダイオードのアノードに接続し、前記第2ダイオードのカソードを前記第2トランジスタの電流流出部に接続した、
ことを特徴とする昇圧チョッパ回路。
【請求項2】
請求項1に記載の昇圧チョッパ回路を複数備え、各昇圧チョッパ回路は、直流電源の正側と負側が接続される一対の電源側端子部と、昇圧した電圧を負荷に出力する一対の負荷側端子部との間で並列に接続されている、ことを特徴とする電源装置。
【請求項3】
前記各昇圧チョッパ回路は、それぞれ、前記一対の電源側端子部の両方にコイルを接続すると共に、これら両コイルを密に結合した、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記各昇圧チョッパ回路の昇圧出力側に単相3レベルインバータを備えた、ことを特徴とする請求項2または3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記各昇圧チョッパ回路の昇圧出力側に3相3レベルインバータを備えた、ことを特徴とする請求項2または3に記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1に記載の昇圧チョッパ回路と、前記昇圧チョッパ回路の昇圧出力側に接続される単相3レベルインバータとを備えた、ことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1に記載の昇圧チョッパ回路と、前記昇圧チョッパ回路の昇圧出力側に接続される3相3レベルインバータとを備えた、ことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38921(P2013−38921A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173173(P2011−173173)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000217491)田淵電機株式会社 (67)
【Fターム(参考)】