説明

昇降機の粗選別装置

【課題】
本発明は、小径の砂、大径の石を分離するコンパクトな粗選別機にすることを課題とする。
【解決手段】
昇降機(1)の排出側に、昇降機(1)で揚穀されて投げ出された穀粒が流下しながら砂が通過する程度の面積の空間(47)を多数形成した砂選別体(2)を傾斜して設け、該砂選別体(2)の下方には砂選別体(2)を流下した穀粒を受けて、穀粒よりも大径の石が流下して穀粒が通過する程度の面積の空間(3b)を多数形成した石選別体(3)を傾斜して設け、石選別体(3)の下方には、石選別体(3)を通過した穀粒を排出する穀粒排出口(27)を設け、前記砂選別体(2)と石選別体(3)は流下方向が交差する方向になるよう配置したことを特徴とする昇降機の粗選別装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、穀粒に含まれる石や砂等の異物を粗選別する粗選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降機上部に異物を選別する揺動選別装置を装着する技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】実公平6ー34822号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術においては、別途駆動装置を設ける必要がありコスト高になる。また、小径の砂等は選別することが難しい。
本発明は、小径の砂、大径の石を分離できるコンパクトな粗選別機にすることを課題とする。また、選別した砂と石を別々に取り出すことで、廃棄し易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、昇降機(1)の排出側に、昇降機(1)で揚穀されて投げ出された穀粒が流下しながら砂が通過する程度の面積の空間(47)を多数形成した砂選別体(2)を傾斜して設け、該砂選別体(2)の下方には砂選別体(2)を流下した穀粒を受けて、穀粒よりも大径の石が流下して穀粒が通過する程度の面積の空間(3b)を多数形成した石選別体(3)を傾斜して設け、石選別体(3)の下方には、石選別体(3)を通過した穀粒を排出する穀粒排出口(27)を設け、前記砂選別体(2)と石選別体(3)は流下方向が交差する方向になるよう配置したことを特徴とする昇降機の粗選別装置の構成とする。
【0005】
請求項2に記載の発明は、石選別体(3)の流下終端部に石選別体(3)を流下した石を一時貯留及び排出する開閉シャッタ(25)を設けたことを特徴とする請求項1記載の昇降機の粗選別装置。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、昇降機(2)で揚穀して投げ出した穀粒をまず砂選別体(2)上面に供給して砂抜きしながら、続いて石選別体(3)上面を流下させながら穀粒を漏下選別するため、これら穀粒等の流下選別作用を速かに円滑に行わせることができる。
【0007】
また、前記砂選別体(2)と石選別体(3)は流下方向が交差する方向になるよう配置したことで粗選別装置の構成を小形化することができる。
請求項2に記載の発明は、石選別体(3)で選別した石を一時貯留し、昇降機(1)で揚穀される穀粒が終了した後に開閉シャッタ(25)を開いて石を排出するため、砂と石と穀粒とを分離して取り出すことができ、砂と石の廃棄を行ない易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図2は乾燥調製施設全体を示す図であり、この昇降機の粗選別装置6は、穀粒である籾を乾燥する乾燥機7から籾タンク8へ移送する昇降機1の上部に配置される。籾タンク8は、籾を一時収容するもので、籾摺機9に供給する構成である。籾乾燥機7は、乾燥槽10の側部に供給ホッパー11と、揚穀機12を設け、この供給ホッパー11から供給する籾を乾燥槽10内へ供給して、この籾を循環搬送させながら乾燥させるものである。この乾燥機7には排出コンベア13を設けて、乾燥槽10から排出筒60から取出される乾燥籾を受けて昇降機1の供給ホッパー14へ搬送する構成である。
【0009】
図1に示すように、粗選別装置6は、昇降機1の上部に、この揚穀された穀粒を受けて流下しながら細砂を漏下する砂選別体2と、この砂選別体2から供給された穀粒を受けて流下しながら漏下する石選別体3を設けたことを特徴とする昇降機の粗選別装置の構成とする。
【0010】
さらに粗選別装置6の構成を詳細に説明すると、昇降機1の上端排出ホッパー15の排出口16下に、粗選別装置6の選別ケース4上口部17を対向して設ける。
この選別ケース4の上口部17下には昇降機1から離れる方向に穀粒が流下する方向に傾斜する砂選別体2を設け、この砂選別体2の下端部の下方には砂選別体2の穀粒の流下方向とは反対側、すなわち昇降機1側に向かって石が流下する方向に傾斜する石選別体3を設ける。
【0011】
砂選別体2は、図9と図10に示すように、多数の帯板状プレート45、46を平行状に並べて、スリット状の選別穴47を形成する。そして、隣設するプレート45とプレート46は上縁を互に段違いHに設定する。このような鋼板プレートを並べる形態では、通常はプレートの重複距離を少くするために、プレートの高さを狭く形成するが、各プレートの高さが狭くなって強度が低下し、加工時の歪みを生じ易く、網全体としての強度、選別性能が低下する。
【0012】
しかし、上記構成によって、選別穴47を細い目合いに形成して目詰りを解消することができる。しかも、各プレート45、46の重複距離を少くするため、目詰り少くすることができる。又、各プレート45、46の高さを高くして、重複距離を少くすることができ、強度を確保することができる。更に、選別上面を段違プレート45、46による溝状形態によって、穀粒流れを整然と行わせて選別性能を向上させることができる。
【0013】
左右の選別フレーム49間を支持する軸48に、プレート45、46の両端部の軸穴51を嵌合させる。このときプレート45、46間には適宜厚さのカラー形態のスペーサ50を介在して重合させる。このスペーサ50の厚さによって各プレート45、46間のスリット状選別穴47の目合が決定される。各プレート45、46は平行状で支軸48に対して垂直形態であるが、これら相隣接のプレート45の上端面は、プレート46の上端面よりもH分高くして、左右両側のプレート45間にプレート46の上端面を底面とする選別溝52を形成し、この選別溝52の左右両側部に小径の砂が通過し、穀粒や大径の石が通過しない程度の幅の選別穴47を形成する。
【0014】
石選別体3は図5に示すように複数の棒3aを設定間隔毎に並列して設けるもので、隣接する棒3a間には穀粒が通過し、大径の石が通過しない程度の間隔3bを形成している。
【0015】
そして、石選別体3の下端部には開閉回動のシャッター25を設け、このシャッター25を閉じることによって石選別体3の終端部上に形成される異物貯留室41に大径の石や藁屑等の粗大異物を貯留することができ、このシャッター25を開くことによってこの貯留異物を下端の排出口26へ排出することができる構成である。なお、シャッター25は、操作ワイヤー21の引きによって、スプリング22に抗して支軸23周りに回動のアーム24を介して開閉する構成としている。
【0016】
39は点検蓋で選別ケース4の昇降機1に離れた側に設けられ、砂選別体2の流下面に対向する位置から石選別体3の流下始端側に対向する位置にかけて設けている。そのため、砂選別体2及び石選別体3のいずれの流下面が一望でき、点検作業がし易い構成となっている。
【0017】
次に、作用について説明する。
昇降機1を揚穀された穀粒は上端排出ホッパー15に投げ出され、排出口16から選別ケース4に供給される。そして、粗選別装置6の砂選別体2上面に落下供給されて穀粒は流下しながら選別孔47を小径の砂が通過する。この砂選別体2上を流下した穀粒は、続く石選別体3上面に落下供給されて、この石選別体3の間隔3bを通過して落下して穀粒排出口27を通過して排出シュータ30に供給される。石選別体3の間隔3bを通過しない大径の石や藁屑は棒3a上を流下してシャッター25閉で形成される異物貯留室41に一時貯留される。
【0018】
砂選別体2で選別された砂は、砂選別体2の下側に昇降機1側に接近させて形成する砂室18及び砂抜口19を通過し、砂抜口19に連結する砂排出シュータ20から機外に排出される。
【0019】
異物貯留室41に一時貯留された大径の石や藁屑は、昇降機1で揚穀される穀粒が無くなった後に、作業者が操作ワイヤー21を引くとシャッタ25が開き、石や藁屑は穀粒排出口27を通過して排出シュータ30に排出されて機外に排出する。この構成により砂と、大径の石や藁屑、穀粒とを別々に取り出せるものである。
【0020】
あるいは、図4に示すように砂選別体2で選別された砂と石選別体3で選別された石を共通の異物シュータ5上端の排出ホッパー40に排出する構成としても良い。すなわち、昇降機1で穀粒を揚穀しているときには砂選別体2で選別された砂を異物シュータ5から排出し、昇降機1で揚穀する穀粒が無くなって選別される砂が排出された後にシャッター25を開いて異物貯留室41の石を排出することで砂と、大径の石や藁屑、穀粒とを別々に取り出すことができるものである。
【0021】
図5と図6は石選別体3の終端部に機外へ開放する排出筒44を設けて、前記シャッター25の開きによって石選別体3の終端部上に貯留される粗大異物をこの排出筒44から排出させるものである。すなわち、穀粒、砂、石を別々の排出通路で排出する構成である。
【0022】
図8の実施例は前記砂選別体2を側面視山形状形態に形成して、選別性能を向上するものである。すなわち、穀粒を二手に分けることで砂選別体2を流下する穀粒の層を薄くすることで、砂抜きの性能を向上させるものである。
【0023】
又、石選別体3の終端部上に設けるシャッター25を支軸23周りに略直角形態に折曲げて形成した上弁部25aと下弁部25bとを有し、これら上弁部25aと下弁部25bとの弁間部25Cに異物を仕切って回動排出するように構成したものである。この弁間部25C内の異物を穀粒排出口27側へ排出するとき、上弁部25aが石選別体3上面に接近して、後続異物の流下を一旦阻止することができる。
【0024】
次に乾燥調製施設全体における異物選別の制御動作について説明する。
穀粒排出口27には籾タンク8における昇降機28の供給ホッパー29にのぞむ籾排出シュータ30を連結する。この排出シュータ30の下部には、該供給ホッパー29に接近して異物排出口31を設け、この異物排出口31部に切替弁32を設けて、この切替弁32を開くことにより異物を排出口31から機外へ取外すことができ、粗選別装置6において選別された籾を籾タンク8へ供給するときは、この切替弁32を閉めて、シュータ30の籾を昇降機28側へ流下案内する。
【0025】
前記籾タンク8には満杯センサ33を設け、又、前記排出コンベア13を駆動するコンベアモータ34や、切替弁32を駆動する切替弁モータ35、及びシャッター25を駆動すシャッタモータ36等を設けて、満杯センサ33がタンク8の満杯を検出(ON)することにより、コントローラ37からのOFF出力(インターロック停止)で排出コンベアモータ34を停止し、タイマーによる一定時間後に切替弁モータ35を駆動して、切替弁32を異物排出位置へ切替えて、前記シャッター25部に貯留していた粗大異物を籾排出シュータ30を経て機外へ排出させることができる。この粗大異物の機外排出後は、満杯センサ33の非検出(OFF)によって排出コンベアモータ34をON(インターロック解除)駆動して、昇降機1への籾供給を再開するように自動制御構成することも可能である。38は自動制御を行わせる自動スイッチ38である。39は開閉蓋で、選別ケース4の上部に開閉可能に設ける。
【0026】
次に、主として図6、図7に基づいて、前記砂選別体2の上側に沿って半円筒形状のカバーシュート42を、この半円筒形状の中心部の沿う回動軸43周りに上下に反転して切替可能に設け、この粗選別装置6を使用しない時期は、カバーシュート42を上向き形態Aに回動させる。又、使用運転時は下向き形態Bに回動させて、砂向網2上面を穀粒が流下し易くする。穀粒処理施設のシーズンオフには砂選別体2における塵埃の堆積を防止し、石選別体3に対してネズミや鳥類等の異物が入らないようにカバーシュート42を設け、かつこれを回動軸43周りに略180度反転することによって、石選別体2の保護するようにしたものである。シーズン終了後に機械装置を清掃すると、末シーズン時の始まりに細かく掃除する必要性を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】粗選別装置部の側面図。
【図2】乾燥調製施設の配置を示す図。
【図3】排出コンベア、シャッタ等の制御ブロック図、及びこのフローチャート。
【図4】一部別実施例を示す粗選別装置部の側面図。
【図5】一部別実施例を示す粗選別装置部の側面図と、正面図。
【図6】一部別実施例を示す粗選別装置部の側面図。
【図7】その一部の作用状態を示す側面図。
【図8】一部別実施例を示す粗選別装置部の側面図と、正面図。
【図9】砂選別体の平面図と、側面図、正面図。
【図10】砂選別体の拡大正面図。
【符号の説明】
【0028】
1 昇降機
2 砂選別体
3 石選別体
4 選別ケース
5 異物シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機(1)の排出側に、昇降機(1)で揚穀されて投げ出された穀粒が流下しながら砂が通過する程度の面積の空間(47)を多数形成した砂選別体(2)を傾斜して設け、該砂選別体(2)の下方には砂選別体(2)を流下した穀粒を受けて、穀粒よりも大径の石が流下して穀粒が通過する程度の面積の空間(3b)を多数形成した石選別体(3)を傾斜して設け、石選別体(3)の下方には、石選別体(3)を通過した穀粒を排出する穀粒排出口(27)を設け、前記砂選別体(2)と石選別体(3)は流下方向が交差する方向になるよう配置したことを特徴とする昇降機の粗選別装置。
【請求項2】
石選別体(3)の流下終端部に石選別体(3)を流下した石を一時貯留及び排出する開閉シャッタ(25)を設けたことを特徴とする請求項1記載の昇降機の粗選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−202118(P2009−202118A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48132(P2008−48132)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】