説明

映像伝送システム、撮像装置、状態通知方法および状態通知プログラム

【課題】映像伝送装置または映像記録装置で、プライバシーに配慮した撮像方法あるいは画像処理方法を適用していることを、簡単な構成で被写体側に容易に知らせる。
【解決手段】本発明は、映像を取り込む撮像装置10と、撮像装置10で取り込んだ映像を相手方に送出する画像データ送出部22と、撮像装置10で取り込んだ映像を送出するにあたり画像処理を行う画像処理部21と、撮像装置10で映像を取り込みながら画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置10で映像を取り込みながら画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を撮像装置10に送る検知手段と、撮像装置10に設けられ、検知手段から送られる状態の変化を検知した旨の情報に基づき通知を行う通知手段とを備える映像伝送システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り込んだ映像を相手方に伝送するとともに所定の状態変化を通知する映像伝送システム、撮像装置、状態通知方法および状態通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、勤務形態の多様化によるテレワークの導入や、移動の手間を省くテレビ会議システムなど、テレプレゼンスを用いる映像伝送システムの応用範囲が広がってきている。また、昨今の犯罪防止や犯罪発生時の映像記録として、映像の取り込みや伝送、記録を行う監視システムを導入する商店街・地下鉄駅舎などの施設が増えてきている。
【0003】
ここで、取り込んだ映像を相手方に送るシステムでのプライバシー保護を目的とした技術が考えられている。例えば、特許文献1では、テレビ電話システム等の映像を相手方に送信するするシステムにおいて、プライバシー保護を目的に、ユーザの姿あるいは背景領域を特定して画像処理を施す技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、ネットワークカメラ、プログラム及びネットワークシステムとして監視システムでの例をあげて、撮像対象を特定不可能あるいは特定可能となるようエンコード時の情報量を指定する方式や、MPEG方式のSNRスケーラビリティ機能を用いて再現レベルごとに再生画像の明瞭性を変える技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3、4では、画像を用いる通信方法及びその装置や画像取得システムとして、低画質化、低解像度化、二値化による個人特定保護の方法、個人識別不要状態とした画像の送信技術が開示されている。
【0006】
一方、カメラで映像を取り込む際の稼働状態の通知(インジケータ)としては、一般に、LEDや画面上の表示やアイコンによって示す方法が採用されている。例えば、特許文献5では、双方向コミュニケーション装置及び状態通知方法として、撮像が停止されたことを相手に通知する技術が開示されている。具体的には、撮像の停止を検知した場合に、インジケータとして準備した画像を映像信号入力に供給し、相手の表示部に撮像が停止されている旨を示すインジケータ画像を表示させて、映像出力側に撮像の停止を通知している。これによって、機械の故障ではなく、意図的に撮像が停止されていることを、簡単な構成で相手方に通知している。
【0007】
また、特許文献6では、警備装置が異常を検知した際に、レンズカバーの制御や、あるいはカメラ本体の取り出し、格納などを行い、完全に映像の伝送を遮断する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−174269号公報
【特許文献2】特開2006−14149号公報
【特許文献3】特許第3838506号明細書
【特許文献4】特開2002−281486号公報
【特許文献5】特開2007−13693号公報
【特許文献6】特開2006−4116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方で、被撮像側に対しても、現在映像/音声の伝送中であるかを知りたいという要求がある。例えば、テレビ会議装置が設置されている部屋に入室したときに、被撮影側で映像が伝送されていないと考えてフランクな会話をしているときに、実は相手方に伝送されていたという事態が起き得るからである。また、カメラレンズとして広角レンズや魚眼レンズが用いられている場合に、カメラの向きだけで被撮像側が撮像範囲に含まれているか否かを判断することは難しい。
【0010】
従来、状態通知のインジケータとして、LED等のランプ表示が用いられているが、その径が小さいことからカメラを視認できないような遠い場所からの確認は難しい。また、明るい環境下では点灯と消灯の区別をつけ難いことがある。
【0011】
この点、特許文献6では、異常を検知した際に完全に映像の伝送を遮断してしまう技術が記載されているが、この発明では、警報の送出や異常の検知がトリガの必須条件となっており、映像記録/通信を継続している状態で被撮影側に状態変化を通知することはできない。
【0012】
また、特許文献3では、注目領域との関連付けや、画像の開示または非開示に関する制御情報を通信する技術が開示されているが、画質の低下処理が施されていることを被撮影側に通知することはできない。
【0013】
よって、本発明は、被撮影側に、撮像した映像を相手方に伝送していない、あるいはプライバシー保護等のための画像低質化処理を施していることを容易に認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はこのような目的を達成するために成されたものである。すなわち、本発明は、映像を取り込む撮像装置と、撮像装置で取り込んだ映像を相手方に送出する送出手段と、撮像装置で取り込んだ映像を送出手段で送出するにあたり画像処理を行う画像処理手段と、撮像装置で映像を取り込みながら画像処理手段で送出手段に送る画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら送出手段での画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を撮像装置に送る検知手段と、撮像装置に設けられ、検知手段から送られる状態の変化を検知した旨の情報に基づき通知を行う通知手段とを備える映像伝送システムである。
【0015】
このような本発明では、撮像装置で映像を取り込みながら画像処理手段で送出手段に送る画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら送出手段での画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を撮像装置に設けられた通知手段によって被撮影側に的確に伝えることができるようになる。
【0016】
また、本発明は、映像を取り込む撮像装置と、撮像装置で取り込んだ映像をモニタする表示手段と、撮像装置で取り込んだ映像を相手方に送出する送出手段と、撮像装置で取り込んだ映像を送出手段で送出するにあたり画像処理を行う画像処理手段と、撮像装置で映像を取り込みながら画像処理手段で送出手段に送る画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら送出手段での画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を撮像装置に送る検知手段と、検知手段から送られる状態の変化を検知した旨の情報に基づき所定の画像情報を表示手段に表示させる通知手段とを備える映像伝送システムである。
【0017】
このような本発明では、撮像装置で映像を取り込みながら画像処理手段で送出手段に送る画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら送出手段での画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を表示手段に所定の画像情報として表示させることによって被撮影側に的確に伝えることができるようになる。
【0018】
また、本発明は、映像伝送制御装置によって相手方に送出する映像を取り込む撮像装置において、映像の取り込みを行いながら相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を映像伝送制御装置から受けて、この状態の変化を検知した旨の情報に基づき通知を行う通知手段を備えている撮像装置である。
【0019】
このような本発明では、映像の取り込みを行いながら相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を通知手段によって被撮影側に的確に伝えることができるようになる。
【0020】
また、本発明は、取り込んだ映像を相手方に送出する映像伝送システムで、所定の状態の変化を通知する状態通知方法において、撮像装置によって映像の取り込みを行う工程と、撮像装置で映像の取り込みを行いながら相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知する工程と、状態の変化を検知した旨の情報を撮像装置に送り、撮像装置でこの情報に基づく通知を行う工程とを備える状態通知方法である。
【0021】
このような本発明では、撮像装置で映像を取り込みながら相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を撮像装置に設けられた通知手段によって被撮影側に的確に伝えることができるようになる。
【0022】
また、本発明は、取り込んだ映像を相手方に送出する映像伝送システムで、所定の状態の変化を通知する状態通知方法において、撮像装置によって映像の取り込みを行い、その映像を表示手段に表示する工程と、撮像装置で映像の取り込みを行いながら相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知する工程と、状態の変化を検知した旨の情報に基づき所定の画像情報を表示手段に表示させる工程とを備える状態通知方法である。
【0023】
このような本発明では、撮像装置で映像を取り込みながら相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を表示手段に所定の画像情報として表示させることによって被撮影側に的確に伝えることができるようになる。
【0024】
ここで、画質の状態の変化は、例えば予め設定された時間の経過によって生じるものである。また、画像の空間的な画質の状態の変化としては、例えば画像の解像度の変更である。また、画像の時間的な画質の状態の変化としては、例えば画像の送出間隔の変更である。また、通知手段としては、例えば撮像装置のレンズカバーの位置であったり、撮像装置自体の動作であったりする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被撮影側に、撮像した映像を相手方に伝送していない状態や、プライバシー保護等のための画像低質化処理を施している状態であることを容易に認識させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0027】
<第1実施形態:映像伝送システム>
本実施形態に係る映像伝送システムは、撮像装置で取り込んだ映像を、所定のネットワークを介して相手方に伝送するもので、主として、撮像装置で映像を取り込みながら画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置で映像を取り込みながら画像送出の状態が変化した場合に、この状態の変化を被撮影側に通知する点に特徴がある。
【0028】
図1は、第1実施形態に係る映像伝送システムの構成を説明する図である。すなわち、本実施形態に係る映像伝送システムは、撮像装置10と映像伝送制御装置20とから構成され、撮像装置10で取り込んだ映像を、映像伝送制御装置20から所定のネットワークNを介して相手方に伝送することができるものである。なお、相手方にはネットワークNを介して送られてきた画像データを受信する画像データ受信部31およびこの画像を表示するモニタとなる画像表示部35が設けられている。
【0029】
ここで、映像伝送システムが監視装置のように一方向に映像等を伝送するものである場合には、上記撮像装置10と映像伝送制御装置20とを備える構成となるが、テレビ会議システムのような双方向コミュニケーション装置の場合には、上記撮像装置10および映像伝送制御装置20のほか、他方から送られてくる映像等を受信し、出力する構成(画像データ受信部および画像表示部)を双方で備える構成となる。なお、本実施形態では説明を分かりやすくするため、図1に示す映像伝送システムとして、一方向に映像を伝送する構成を例とする。
【0030】
撮像装置10は、相手方に伝送する映像を取り込むカメラ部11がケース100に組み込まれた構成となっている。カメラ部11には、被写体からの映像を集光するレンズ11aと、レンズ11を介して取り込んだ映像を電気信号に変換する例えばCCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサから成る撮像素子11bとを備えている。また、レンズ11は必要に応じて倍率変更できるものであったり、自動焦点合わせできるものを用いてもよい。
【0031】
ケース100には、カメラ部11に被写体からの映像を通すための開口が設けられ、この開口に合わせてカメラ部11のレンズ11aの光軸が合わせられている。また、ケース100とカメラ部11との間にはレンズカバー12が設けられている。レンズカバー12は、モータおよび歯車等の駆動機構13によって開閉可能に設けられている。
【0032】
すなわち、駆動機構13は、モータ、歯車、ラックから成り、歯車は、レンズカバーに設けられたラック(図示しない)または他の歯車(図示しない)とかみ合っており、後述するインジケータ制御部23からの信号でモータが駆動し、レンズカバー12の開閉が制御されることになる。
【0033】
この駆動機構13によってレンズカバー12が閉じるとケース100の開口が塞がって、被写体からの映像をカメラ部11に通すことができなくなる。また、レンズカバー12が閉じることによってカメラ部11のレンズ11aの表面に汚れや傷が付くことを防止できる。一方、レンズカバー12が開くと、ケース100の開口から映像を取り込むことができるようになる。
【0034】
レンズカバー12を駆動する駆動機構13は、インジケータ制御部23から送られる所定の信号によって制御され、この信号によってレンズカバー12の開閉状態や開閉位置を設定できるようになっている。
【0035】
映像伝送制御装置20は、画像処理部21、画像データ送出部22、インジケータ制御部23を備えている。画像処理部21は、レンズ部11の撮像素子11bから出力される画像データ(映像を電気信号に変換したもの)を受けて、所定の画像処理を施す。例えば、必要に応じて画像データの圧縮処理、画質調整処理を施す。ここで、画質調整処理としては、空間的または時間的な画質調整があり、空間的な画質調整として解像度変更やフィルタによるモザイク処理、空間周波数変換、二値化、時間的な画質調整として画像の送出間隔の変更(フレームレート変更)が挙げられる。
【0036】
画像データ送出部22は、画像処理部21を介して送られてきた画像データを、所定のネットワークプロトコルに準じた方式で相手方に送出する処理を行う。すなわち、必要であれば、画像データをIPパケット化などの通信プロトコルに適合した形にして送出を行う。
【0037】
インジケータ制御部23は、画像処理部21で画像データに対する画質調整処理が施され、状態が変化したことを検知する検知手段(図示せず)を備えており、この検知手段によって状態の変化を検知した際、撮像装置10のレンズカバー12の駆動機構13に検知した状態の変化に応じた信号を出力する処理を行っている。
【0038】
具体的には、撮像装置10で映像を取り込みながら画像処理部21で画像データの空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置10で映像を取り込みながら画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知して、レンズカバー12を所定量下げるよう指示を与える。
【0039】
本実施形態では、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態で、画像処理部21で画像データの低質化処理を開始した時や、撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しない状態となった時に、レンズカバー12を途中まで下げる制御を行う。
【0040】
なお、以下の説明では、撮像装置10で映像を取り込み、通常画質もしくは高画質にて映像を相手方に伝送している状態もしくはその映像を記録手段に記録している状態を「稼働状態」、撮像装置10で映像を取り込まない状態を「停止状態」、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態でありながら画像処理部21で画像データの低質化処理(例えば、撮影した映像が人物の場合、その人物を判別できない程度の画質処理:モザイク処理や解像度変換、その他フィルタリング処理、間引き等)を施す状態または撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しないか記録手段に記録しない状態を「中間状態」ということにする。
【0041】
また、インジケータ制御部22は、「稼働状態」に戻ったことを検知した場合、レンズカバー12を完全に開けるよう駆動機構13に信号を送る。この信号を受けることで駆動機構13はレンズカバー12を完全に上昇させ、ケース100の開口から映像を取り込める状態にする。一方、インジケータ制御部22は、「停止状態」を検知した場合、レンズカバー12を完全に閉じるよう駆動機構13に信号を送る。この信号を受けることで駆動機構13はレンズカバー12を完全に下降させ、ケース100の開口を塞ぐ状態とする。
【0042】
このように、インジケータ制御部22によって状態の変化に応じた態様に制御されるレンズカバー12は、本発明の通知手段としての役目を果たすことになる。つまり、通知手段は撮像装置10に設けられることで、システムの稼働状態を的確に被撮像側に伝えることができるものである。特に本実施形態では、撮像装置10によって映像が取り込まれ、相手方に伝送もしくは記録されている「稼働状態」、撮像装置10による映像の取り込みが行われない「停止状態」のほか、撮像装置10で映像は取り込まれているものの、相手方には認識されていない「中間状態」についても的確に通知できることになる。
【0043】
上記説明した本実施形態に係る映像伝送システムでは、撮像装置10と映像伝送制御装置20とが別個の構成となっているが、これらが一体となった構成も考えられる。つまり、一つの筐体に撮像装置10と映像伝送制御装置20とが組み込まれ一つの装置として構成されるものもあり、この場合には筐体が撮像装置10のケース100の役目を果たすことになる。
【0044】
なお、上記実施形態では、画像データの低質化処理を画像処理部21で行う例を示したが、画像処理部21以外での処理であってもよい。例えば、撮像装置10の焦点合わせ機構を利用し、対象物に対して焦点が合っている位置から所定量ずらすことで低質化を図るようにしてもよい。この場合、焦点合わせ機構による焦点ずらしの処理をインジケータ制御部23が検知して、状態に応じた信号を出力することになる。また、例えば、撮像装置10の絞りを開け、焦点深度を浅くして、被写体像をぼかすことで低質化を図るようにしてもよい。この場合、輪郭のぼけを画像処理部21が検知して、インジケータ制御部23に通知し、状態に応じた信号を出力することになる。
【0045】
<第1実施形態:状態通知方法>
図2は、撮像装置のレンズカバーによる状態通知方法を説明する図である。撮像装置10は、先に説明したように、ケース100の開口に合わせて内部にカメラ部11が設けられ、ケース100の開口にはレンズカバー12が駆動機構13(図1参照)によって開閉可能な状態に取り付けられている。
【0046】
ここで、カメラ部11によって映像を取り込み、通常画質もしくは高画質にて映像を相手方に伝送している状態もしくはその映像を記録手段に記録している「稼働状態」の場合、この「稼働状態」をインジケータ制御部23(図1参照)で検知すると、インジケータ制御部23は撮像装置10にレンズカバー12を全開にする旨の信号を与える。
【0047】
撮像装置10の駆動機構13は、インジケータ制御部23から全開にする旨の信号を受けると、モータを所定量駆動してレンズカバー12を全開にする。これにより、図2(a)に示すように、撮像装置10はケース100の開口が開いてカメラ部11により映像を取り込んで、相手方に伝送もしくは記録している状態であることを通知することができる。
【0048】
図2に示す撮像装置10では、ケース100が楕円形となっており、開口が中央に設けられていることから、大きな目を模した形態となっている。「稼働状態」ではレンズカバー12が完全に上昇しており、ケース100の開口から内部のレンズが見えて、目を見開いているような状態となる。被撮像側では、撮像装置10による目が見開いている状態になっていることで、システムが現在「稼働状態」になっていることを明確に認識することができる。
【0049】
次に、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態でありながら画像処理部21で画像データの低質化処理を施す状態および撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しないもしくは記録手段に記録しない「中間状態」の場合、この「中間状態」をインジケータ制御部23(図1参照)で検知すると、インジケータ制御部23は撮像装置10にレンズカバー12を一定量だけ下げる旨の信号を与える。
【0050】
撮像装置10の駆動機構13は、インジケータ制御部23から一定量だけ下げる旨の信号を受けると、モータを所定量駆動してレンズカバー12を予め設定された一定量だけ下げるようにする。ここで、レンズカバー12を下げる一定量は、レンズによる視野を妨げない範囲にする。
【0051】
これにより、図2(b)に示すように、撮像装置10はケース100の開口が一部閉じた状態となり、カメラ部11による映像の取り込みは可能ではあるものの、相手方へ映像の伝送(認識可能な状態での伝送)や映像の記録は行われていない状態であることを通知することができる。
【0052】
図2に示す撮像装置10では、大きな目を模した形態となっていることから、「中間状態」でレンズカバー12が一部閉じることで、まぶたを半分閉じているような状態となる。被撮像側では、撮像装置10によるまぶたが半分閉じているような状態になっていることで、システムが現在「中間状態」になっていることを明確に認識することができる。なお、「中間状態」を通知するため、レンズカバー12を一部閉じる動作では、レンズカバー12を一定量下げる場合のほか、レンズカバー12を一定量まで下げたり上げたりして、うたた寝しているような状態を演出してもよい。
【0053】
次に、撮像装置10で映像を取り込まない「停止状態」の場合、この「停止状態」をインジケータ制御部23(図1参照)で検知すると、インジケータ制御部23は撮像装置10にレンズカバー12を全閉にする旨の信号を与える。
【0054】
撮像装置10の駆動機構13は、インジケータ制御部23から全閉にする旨の信号を受けると、モータを所定量駆動してレンズカバー12を全閉にする。これにより、図2(c)に示すように、撮像装置10はケース100の開口が閉じた状態となり、カメラ部11により映像を取り込むことができない状態であることを通知することができる。
【0055】
図2に示す撮像装置10では、大きな目を模した形態となっていることから、「停止状態」ではレンズカバー12が完全に被せられ、目を閉じているような状態となる。被撮像側では、撮像装置10による目が閉じている状態になっていることで、システムが現在「停止状態」になっていることを明確に認識することができる。
【0056】
なお、図2に示す例では、撮像装置10の上方にのみレンズカバー12を設置しているが、下方や左右に設置しても良いし、上下など複数個所に設置してもかまわない。
【0057】
また、レンズカバー12として、「中間状態」のときのみに使用するフィルタが設けられたものと、「停止状態」のときのみ使用する光を透過しないものとの二枚のカバーを設けておき、「中間状態」のときはフィルタが設けられたカバーでレンズを覆い、フィルタ特性によって低画質化処理を行うとともに、このカバーがあることで「中間状態」であることを示すようにし、「停止状態」のときは光を透過しないカバーでレンズを覆い、映像取り込みできない状態にするとともに、このカバーがあることで「停止状態」であることを示すようにしてもよい。
【0058】
また、撮像装置10に設けられる通知手段としてのレンズカバー12は一例であり、レンズカバー12以外でシステムの状態を通知できるもの(例えば、インジケータランプ)であって、少なくとも「稼働状態」、「中間状態」、「停止状態」を知らせることができるものであればよい。
【0059】
<第2実施形態:映像伝送システム>
【0060】
図3は、第2実施形態に係る映像伝送システムの構成を説明する図である。すなわち、本実施形態に係る映像伝送システムは、撮像装置10と映像伝送制御装置20とから構成され、撮像装置10で取り込んだ映像を、映像伝送制御装置20から所定のネットワークを介して相手方に伝送することができるものである。なお、相手方にはネットワークを介して送られてきた画像データを受信する画像データ受信部31およびこの画像を表示するモニタとなる画像表示部35が設けられている。
【0061】
ここで、映像伝送システムが監視装置のように一方向に映像等を伝送するものである場合には、上記撮像装置10と映像伝送制御装置20とを備える構成となるが、テレビ会議システムのような双方向コミュニケーション装置の場合には、上記撮像装置10および映像伝送制御装置20のほか、他方から送られてくる映像等を受信し、出力する構成(画像データ受信部および画像表示部)を双方で備える構成となる。なお、本実施形態では説明を分かりやすくするため、図3に示す映像伝送システムとして、一方向に映像を伝送する構成を例とする。
【0062】
撮像装置10は、相手方に伝送する映像を取り込むカメラ部11がケース100に組み込まれた構成となっている。カメラ部11には、被写体からの映像を集光するレンズ11aと、レンズ11を介して取り込んだ映像を電気信号に変換する例えばCCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサから成る撮像素子11bとを備えている。
【0063】
また、ケース100には、インジケータ部が設けられている。インジケータ部は、ケース100に設けられた孔に合わせて内部に設けられたインジケータ・ベース部14aと、ケース100とインジケータ・ベース部14aとの間に開閉可能に設けられたインジケータ・カバー部14bと、インジケータ・カバー部14bを駆動する駆動機構13とによって構成されている。
【0064】
駆動機構13は、モータ、歯車、ラックから成り、歯車は、インジケータ・カバー部14bに設けられたラック(図示しない)または他の歯車(図示しない)とかみ合っており、インジケータ制御部23からの信号でモータが駆動し、インジケータ・カバー部14bの開閉が制御されることになる。
【0065】
この駆動機構13によってインジケータ・カバー部14bが閉じるとケース100の孔が塞がって、この孔からインジケータ・ベース部14aが見えない状態にすることができる。一方、インジケータ・カバー部14bが開くと、ケース100の孔からインジケータ・ベース部14aが見える状態にすることができる。
【0066】
インジケータ・カバー部14bを駆動する駆動機構13は、インジケータ制御部23から送られる所定の信号によって制御され、この信号によってインジケータ・カバー部14bの開閉状態や開閉位置を設定できるようになっている。
【0067】
映像伝送制御装置20は、画像処理部21、画像データ送出部22、インジケータ制御部23を備えている。画像処理部21は、レンズ部11の撮像素子11bから出力される画像データ(映像を電気信号に変換したもの)を受けて、所定の画像処理を施す。例えば、必要に応じて画像データの圧縮処理、画質調整処理を施す。ここで、画質調整処理としては、空間的または時間的な画質調整があり、空間的な画質調整として解像度変更やフィルタによるモザイク処理、空間周波数変換、二値化、時間的な画質調整として画像の送出間隔の変更(フレームレート変更)が挙げられる。
【0068】
画像データ送出部22は、画像処理部21を介して送られてきた画像データを、所定のネットワークプロトコルに準じた方式で相手方に送出する処理を行う。すなわち、必要であれば、画像データをIPパケットなどの通信プロトコルに適合した形にして送出を行う。
【0069】
インジケータ制御部23は、画像処理部21で画像データに対する画質調整処理が施され、状態が変化したことを検知する検知手段(図示せず)を備えており、この検知手段によって状態の変化を検知した際、撮像装置10の駆動機構13に検知した状態の変化に応じた信号を出力する処理を行っている。
【0070】
具体的には、撮像装置10で映像を取り込みながら画像処理部21で画像データの空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは撮像装置10で映像を取り込みながら画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知して、インジケータ・カバー部14bを所定量下げるよう指示を与える。
【0071】
本実施形態では、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態で、画像処理部21で画像データの低質化処理を開始した時や、撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しない「中間状態」となった時に、インジケータ・カバー部14bを途中まで下げる制御を行う。
【0072】
また、インジケータ制御部22は、「稼働状態」に戻ったことを検知した場合、インジケータ・カバー部14bを完全に開けるよう駆動機構13に信号を送る。この信号を受けることで駆動機構13はインジケータ・カバー部14bを完全に上昇させ、ケース100の孔からインジケータ・ベース部14aが見える状態にする。一方、インジケータ制御部22は、「停止状態」を検知した場合、インジケータ・カバー部14bを完全に閉じるよう駆動機構13に信号を送る。この信号を受けることで駆動機構13はインジケータ・カバー部14bを完全に下降させ、ケース100の孔からインジケータ・ベース部14aが見えない状態にする。
【0073】
このように、インジケータ制御部22によって状態の変化に応じた態様に制御されるインジケータ・カバー部14bは、本発明の通知手段としての役目を果たすことになる。つまり、通知手段は撮像装置10に設けられることで、システムの稼働状態を的確に被撮像側に伝えることができるものである。特に本実施形態では、撮像装置10によって映像が取り込まれ、相手方に伝送もしくは記録されている「稼働状態」、撮像装置10による映像の取り込みが行われない「停止状態」のほか、撮像装置10で映像は取り込まれているものの、相手方には認識されていない「中間状態」についても的確に通知できることになる。
【0074】
上記説明した本実施形態に係る映像伝送システムでは、撮像装置10と映像伝送制御装置20とが別個の構成となっているが、これらが一体となった構成も考えられる。つまり、一つの筐体に撮像装置10と映像伝送制御装置20とが組み込まれ一つの装置として構成されるものもあり、この場合には筐体が撮像装置10のケース100の役目を果たすことになる。
【0075】
なお、上記実施形態では、画像データの低質化処理を画像処理部21で行う例を示したが、画像処理部21以外での処理であってもよい。例えば、撮像装置10の焦点合わせ機構を利用し、対象物に対して焦点が合っている位置から所定量ずらすことで低質化を図るようにしてもよい。この場合、焦点合わせ機構による焦点ずらしの処理をインジケータ制御部23が検知して、状態に応じた信号を出力することになる。また、例えば、撮像装置10の絞りを開け、焦点深度を浅くして、被写体像をぼかすことで低質化を図るようにしてもよい。この場合、輪郭のぼけを画像処理部21が検知して、インジケータ制御部23に通知し、状態に応じた信号を出力することになる。
【0076】
<第2実施形態:状態通知方法>
図4は、撮像装置のインジケータによる状態通知方法を説明する図である。撮像装置10は、先に説明したように、ケース100の開口に合わせて内部にカメラ部11が設けられ、ケース100の孔にはインジケータ部14を構成するインジケータ・カバー部14bが駆動機構13(図3参照)によって開閉可能な状態に取り付けられている。
【0077】
ここで、カメラ部11によって映像を取り込み、通常画質もしくは高画質にて映像を相手方に伝送している状態もしくはその映像を記録手段に記録している「稼働状態」の場合、この「稼働状態」をインジケータ制御部23(図3参照)で検知すると、インジケータ制御部23は撮像装置10にインジケータ・カバー部14bを全開にする旨の信号を与える。
【0078】
撮像装置10の駆動機構13は、インジケータ制御部23から全開にする旨の信号を受けると、モータを所定量駆動してインジケータ・カバー部14bを全開にする。これにより、図4(a)に示すように、撮像装置10のインジケータ部14はケース100の孔からインジケータ・ベース部14aが見える状態となり、カメラ部11により映像を取り込んで、相手方に伝送もしくは記録している状態であることを通知することができる。
【0079】
図4に示す撮像装置10では、ケース100が動物(この例ではカエル)の形をしており、カエルの腹にあたる部分にカメラ部11の開口が設けられている。また、カエルの目の位置にインジケータ部14が設けられ、目の片方に孔が設けられていて、この孔に合わせて内部にインジケータ・ベース部14aおよび開閉可能なインジケータ・カバー部14bが設けられている。「稼働状態」ではインジケータ・カバー部14bが完全に上昇しており、カエルの目が両方とも開いているような状態となる。被撮像側では、撮像装置10によるカエルの目が開いている状態になっていることで、システムが現在「稼働状態」になっていることを明確に認識することができる。
【0080】
次に、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態でありながら画像処理部21で画像データの低質化処理を施す状態および撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しないもしくは記録手段に記録しない「中間状態」の場合、この「中間状態」をインジケータ制御部23(図3参照)で検知すると、インジケータ制御部23は撮像装置10にインジケータ・カバー部14bを一定量だけ下げる旨の信号を与える。
【0081】
撮像装置10の駆動機構13は、インジケータ制御部23から一定量だけ下げる旨の信号を受けると、モータを所定量駆動してインジケータ・カバー部14bを予め設定された一定量だけ下げるようにする。
【0082】
これにより、図4(b)に示すように、撮像装置10はケース100の孔が一部閉じた状態となり、カメラ部11による映像の取り込みは可能ではあるものの、相手方へ映像の伝送(認識可能な状態での伝送)や映像の記録は行われていない状態であることを通知することができる。
【0083】
図4に示す撮像装置10では、カエルを模した形態となっていることから、「中間状態」でインジケータ・カバー部14bが一部閉じることで、カエルの目の片方が半分閉じているような状態となる。被撮像側では、撮像装置10によるカエルの目の片方が半分閉じているような状態になっていることで、システムが現在「中間状態」になっていることを明確に認識することができる。なお、「中間状態」を通知するため、インジケータ・カバー部14bを一部閉じる動作では、インジケータ・カバー部14bを一定量下げる場合のほか、インジケータ・カバー部14bを一定量まで下げたり上げたりして、カエルがうたた寝しているような状態を演出してもよい。
【0084】
次に、撮像装置10で映像を取り込まない「停止状態」の場合、この「停止状態」をインジケータ制御部23(図3参照)で検知すると、インジケータ制御部23は撮像装置10にインジケータ・カバー部14bを全閉にする旨の信号を与える。
【0085】
撮像装置10の駆動機構13は、インジケータ制御部23から全閉にする旨の信号を受けると、モータを所定量駆動してインジケータ・カバー部14bを全閉にする。これにより、図4(c)に示すように、撮像装置10はケース100の孔が閉じた状態となり、カメラ部11により映像を取り込むことができない状態であることを通知することができる。
【0086】
図4に示す撮像装置10では、カエルを模した形態となっていることから、「停止状態」ではインジケータ・カバー部14bが完全に被せられ、カエルの目の片方を閉じているような状態となる。被撮像側では、撮像装置10によるカエルの目の片方が閉じている状態になっていることで、システムが現在「停止状態」になっていることを明確に認識することができる。
【0087】
なお、図4に示す撮像装置10の例ではカエルを模した形態となっているが、これは一例であり、インジケータ部14とカメラ部11とが別個の位置に設けられているものであればよい。また、動物に模した形態の目の動きをインジケータ部14として利用する場合、目の片方ではなく両方を用いて上記のような動作をさせてもよい。また、動物に模した形態を用いる場合、通知手段として、目・鼻・口などから構成される顔の形態の中に構成することで、人の視覚特性上認識やすい形で通知を行うことが可能となる。
【0088】
<通知手段:その1>
図5は、他の通知手段(その1)について説明する模式図である。この通知手段は、図5(a)に示すように、モニタである画像表示部25に表示される親画面の中の子画像(アイコン)によって通知を行うものである。すなわち、本実施形態の映像伝送システムの構成(図1、図3参照)では、撮像装置10で取り込んだ映像を被撮影側で参照できるよう画像表示装置25を備えている。これにより、撮像装置10で取り込んだ映像をモニタして、被撮影側がどのように映し出されているかを確認することができる。
【0089】
このような映像伝送システムにおいて、図5に示す通知手段は、システムの「稼働状態」、「中間状態」、「停止状態」の各状態に応じて予め設けられた画像情報から成るアイコンを選択的に表示するものである。
【0090】
具体的には、映像伝送システムにおけるインジケータ制御部23が、カメラ部11によって映像を取り込み、通常画質もしくは高画質にて映像を相手方に伝送している状態もしくはその映像を記録手段に記録している「稼働状態」を検知した場合、例えば、図5(b)に示すような目が見開いている形を模したアイコンを画像表示部の片隅に表示し、これを参照している被撮影側においてシステムが現在「稼働状態」になっていることを明確に認識させる。このアイコンは静止画だけではなく、動きのある画像(システムが「稼働状態」であることを視認性良く知らせるため、例えば活動的な動きのある画像)を用いてもよい。
【0091】
また、映像伝送システムにおけるインジケータ制御部23が、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態でありながら画像処理部21で画像データの低質化処理を施す状態および撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しないもしくは記録手段に記録しない「中間状態」を検知した場合、例えば、図5(c)に示すようなまぶたを半分閉じている形を模したアイコンを画像表示部の片隅に表示し、これを参照している被撮影側においてシステムが現在「中間状態」になっていることを明確に認識させる。このアイコンは静止画だけではなく、動きのある画像(システムが「中間状態」であることを視認性良く知らせるため、例えばうたた寝をしているような動きの画像)を用いてもよい。
【0092】
また、映像伝送システムにおけるインジケータ制御部23が、撮像装置10で映像を取り込まない「停止状態」を検知した場合、例えば、図5(d)に示すような目を閉じている形を模したアイコンを画像表示部の片隅に表示し、これを参照している被撮影側においてシステムが現在「停止状態」になっていることを明確に認識させる。このアイコンは静止画だけではなく、動きのある画像(システムが「停止状態」であることを視認性良く知らせるため、例えば眠っている動きの画像)を用いてもよい。
【0093】
なお、通知手段となるアイコンはアニメーションのような画像に限定されず、文字や色分けによって状態を表すようにしてもよい。また、画像表示部25とは別に低解像度のディスプレイを設置しておき、全点の点灯/消灯を切り替えてシステムの状態を通知するようにしてもよい。
【0094】
<通知手段:その2>
図6は、他の通知手段(その2)について説明する模式図である。この通知手段は、撮像装置10自体が動作することによって通知を行うものである。すなわち、この撮像装置10は、ケース100がベース101と支柱102と上部103とから構成され、支柱102の上端に上部103が取り付けられた状態で支柱102とともに上部103がベース101に対して揺動可能に取り付けられている。支柱102を揺動させるため、ベースにはモータ等の揺動機構が設けられている。
【0095】
また、上部103の中央には開口が設けられ、この開口に合わせて内部にカメラ部11が組み込まれている。さらに、上部103とカメラ部11との間にはレンズカバー12が開閉可能に設けられており、内部の駆動機構によってレンズカバー12の開閉が制御されるようになっている。
【0096】
撮像装置10に設けられる通知手段としては、このレンズカバー12の開閉とともに、ケース100の支柱102および上部103がベース101に対して揺動する状態によって実現される。すなわち、このレンズカバー12の開閉および支柱102の揺動は、本実施形態の映像伝送システムの構成(図1、図3参照)におけるインジケータ制御部23から送られる信号によって制御される。
【0097】
具体的には、映像伝送システムにおけるインジケータ制御部23が、カメラ部11によって映像を取り込み、通常画質もしくは高画質にて映像を相手方に伝送している状態もしくはその映像を記録手段に記録している「稼働状態」を検知した場合、図6に示す撮像装置10に対して、レンズカバー12を開ける信号とともに、支柱102を直立させる信号を送る。これにより、撮像装置10は、目を開いて動作している様子を表すことができ、これを参照している被撮影側においてシステムが現在「稼働状態」になっていることを明確に認識させることができる。
【0098】
また、映像伝送システムにおけるインジケータ制御部23が、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態でありながら画像処理部21で画像データの低質化処理を施す状態および撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しないもしくは記録手段に記録しない「中間状態」を検知した場合、図6に示す撮像装置10に対して、支柱102を揺動させる信号を送るとともに、この支柱102の揺動に合わせてレンズカバー12を開閉する信号を送る。
【0099】
この際、例えば支柱102が直立した位置にあるときレンズカバー12を開け、最も傾斜した位置にあるときレンズカバー12を閉じるといった動作を行う。なお、揺動の周期は一定であっても、ランダムであってもよい。また、レンズカバー12を開ける位置は必ずしも支柱102が直立した位置である必要はない。本実施形態では、支柱102が直立した位置にあるときレンズカバー12を開くものとする。このような動作によって、支柱102の揺動と連動して、レンズカバー12が開くタイミングで映像を取り込むことから、被撮影側の映像を所定の時間間隔で間引いて取り込むこと(つまり、時間的に解像度を低下させること)が可能となる。
【0100】
図6(b)で示すグラフは、縦軸を支柱の角度θ、横軸を時間tとした揺動の状態を示したものである。支柱の角度θが0度(支柱が直立している状態)のとき(図中黒丸点)、映像を取り込むようにしている。これにより、撮像素子の姿勢変化の影響が映像取得に表れないようにすることができる。
【0101】
被撮影側では、撮像装置10の支柱102の揺動とともにレンズカバー12が開閉する状態であることによって、システムが現在「中間状態」になっていることや、映像を間引いて取り込んでいることを明確に認識できることになる。
【0102】
また、映像伝送システムにおけるインジケータ制御部23が、撮像装置10で映像を取り込まない「停止状態」を検知した場合、図6に示す撮像装置10に対して、レンズカバー12を閉じる信号とともに、支柱102を直立させる信号を送る。これにより、撮像装置10は、目を閉じている様子を表すことができ、これを参照している被撮影側においてシステムが現在「停止状態」になっていることを明確に認識させることができる。なお、システムが「停止状態」になっていることをより明確に認識させるため、レンズカバー12を閉じるとともに、支柱102を所定角度傾斜させたままの状態にするよう制御してもよい。
【0103】
上記実施形態では、システムの「中間状態」を通知するにあたり、支柱102の揺動やレンズカバー12の開閉によって示す例を説明したが、これ以外にも、支柱102および上部103の回転(連続回転や往復回転)、支柱102の伸縮、支柱102は直立したままレンズカバー12を一定間隔もしくはランダムに上下させる(まばたきしているような動作)など、撮像装置10自体の動作で状態を表すことができるものであれば、どのような動きであっても可能である。
【0104】
<状態通知プログラム>
図7は、本実施形態に係る状態通知プログラムを説明するフローチャートである。この状態通知プログラムは、本実施形態に係る映像伝送システムにおける主として映像伝送制御装置で実行されるものである。また、この映像伝送制御装置が汎用のコンピュータで代用される場合には、このコンピュータで実行されることになる。以下の説明では、本実施形態の映像伝送システムにおける映像伝送制御装置が実行する場合を例とするため、図7に示されない符号は図1もしくは図3を参照するものとする。
【0105】
先ず、撮像装置10によって高画質画像の撮像および記録を実行する(ステップS1)。ここで、高画質画像とは、撮像装置10によって被撮影側の被写体が鮮明に認識できる画質(例えば、人物であれば他人との判別が十分可能な画質)のことをいう。高画質画像の撮影および記録は、撮像装置10で取り込んだ画像データを画像処理部21が高画質画像として処理および出力することによって行われる。
【0106】
次に、画像処理部21による高画質画像の処理が行われていることをインジケータ制御部23が検知すると、通知手段に対して高画質時つまり「稼働状態」の通知を行うための信号を送る(ステップS2)。これにより、先に説明したように、撮像装置10や画像表示部25が「稼働状態」であることを通知する態様となる。すなわち、撮像装置10に設けられた通知手段によって状態の通知を行ったり、画像表示部25のアイコン表示による状態の通知を行ったりする。
【0107】
次に、「稼働状態」において、予め設定した時刻に達したか、もしくは予め設定した時間を経過したかの判断を行う(ステップS3)。設定時刻に達していない、もしくは設定時間を経過していない場合はそのまま「稼働状態」を続ける。一方、設定時刻に達した、もしくは設定時間を経過した場合は、「中間状態」への移行処理を行う(ステップS4)。
【0108】
「中間状態」への移行は、撮像装置10で映像を取り込んでいる状態でありながら画像処理部21で画像データの低質化処理(例えば、撮影した映像が人物の場合、その人物を判別できない程度の画質処理:モザイク処理や解像度変換、その他フィルタリング処理、間引き等)を施す状態または撮像装置10で映像を取り込んでいるがその画像データを相手方に送出しないか記録手段に記録しない状態である。
【0109】
「中間状態」であることをインジケータ制御部23が検知すると、通知手段に対して「中間状態」の通知を行うための信号を送る(ステップS5)。これにより、先に説明したように、撮像装置10や画像表示部25が「中間状態」であることを通知する態様となる。すなわち、撮像装置10に設けられた通知手段によって状態の通知を行ったり、画像表示部25のアイコン表示による状態の通知を行ったりする。
【0110】
次に、「中間状態」において、予め設定した時刻に達したか、もしくは予め設定した時間を経過したかの判断を行う(ステップS6)。設定時刻に達していない、もしくは設定時間を経過していない場合はそのまま「中間状態」を続ける。一方、設定時刻に達した、もしくは設定時間を経過した場合は、「稼働状態」への復帰を行う。
【0111】
また、「中間状態」において、「稼働状態」への復帰要因を検出したか否かを判断する(ステップS7)。復帰要因としては、撮像装置10に設けられたマイクもしくは別途設けられたマイクによって音声を検出した場合や、撮像装置10で取り込んでいる映像の中で動体を検出した場合が挙げられる。復帰要因を検出していない場合はそのまま「中間状態」を続け、復帰要因を検出した場合には「稼働状態」への復帰を行う。
【0112】
そして、稼働停止命令を受信した場合には(ステップS8)、「停止状態」へ移行する。「停止状態」であることをインジケータ制御部23が検知すると、通知手段に対して「停止状態」の通知を行うための信号を送り、これにより、先に説明したように、撮像装置10や画像表示部25が「停止状態」であることを通知する態様となる。すなわち、撮像装置10に設けられた通知手段によって状態の通知を行ったり、画像表示部25のアイコン表示による状態の通知を行ったりする。
【0113】
<応用例>
上記説明したシステムの状態変化の要因となる画像処理は低質化だけとは限らない。例えば、取り込んだ映像の中から顔の印象を良くするため、白くとばす、目の輪郭を太くして美人顔に見せるなどの画像処理を行う際にその旨を知らせるための所定の通知を行うようにしてもよい。例えば、このような画像処理の適用時に、顔パーツに擬人化されたインジケータを制御する、あるいはアイコン表示することによって現在行われている画像処理の方法を被撮像側で分かりやすく認識させることが可能である。
【0114】
<実施効果>
例えば、撮影が長時間に及ぶテレプレゼンス監視において、低質化処理信号を受信あるいは検知した場合に、カメラのレンズを塞ぐこと、および塞いでいるかのように強調して示すことで、プライバシーに配慮した低質化された画像が送られている、もしくは映像記録が行われていないことを、撮影される側がひと目で見て判断できるとともに、プライバシー侵害に配慮していることを示し、安心感を与えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1実施形態に係る映像伝送システムの構成を説明する図である。
【図2】撮像装置のレンズカバーによる状態通知方法を説明する図である。
【図3】第2実施形態に係る映像伝送システムの構成を説明する図である。
【図4】撮像装置のインジケータによる状態通知方法を説明する図である。
【図5】他の通知手段(その1)について説明する模式図である。
【図6】他の通知手段(その2)について説明する模式図である。
【図7】本実施形態に係る状態通知プログラムを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
10…撮像装置、11…カメラ部、11a…レンズ、11b…撮像素子、12…レンズカバー、20…映像伝送制御装置、21…画像処理部、22…画像データ送出部、23…インジケータ制御部、31…画像データ受信部、35…画像表示部、N…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を取り込む撮像装置と、
前記撮像装置で取り込んだ映像を相手方に送出する送出手段と、
前記撮像装置で取り込んだ映像を前記送出手段で送出するにあたり画像処理を行う画像処理手段と、
前記撮像装置で映像を取り込みながら前記画像処理手段で前記送出手段に送る画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは前記撮像装置で映像を取り込みながら前記送出手段での画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を前記撮像装置に送る検知手段と、
前記撮像装置に設けられ、前記検知手段から送られる状態の変化を検知した旨の情報に基づき通知を行う通知手段と
を備えることを特徴とする映像伝送システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、予め設定された時間の経過によって前記画質の状態を変化させる
ことを特徴とする請求項1記載の映像伝送システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記画像の空間的な画質の状態の変化として、前記画像の解像度の変更を行う
ことを特徴とする請求項1記載の映像伝送システム。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記画像の時間的な画質の状態の変化として、画像の送出間隔の変更を行う
ことを特徴とする請求項1記載の映像伝送システム。
【請求項5】
前記通知手段は、前記撮像装置のレンズカバーの位置によって前記状態の変化を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の映像伝送システム。
【請求項6】
前記通知手段は、前記撮像装置自体の動作によって前記状態の変化を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の映像伝送システム。
【請求項7】
映像を取り込む撮像装置と、
前記撮像装置で取り込んだ映像をモニタする表示手段と、
前記撮像装置で取り込んだ映像を相手方に送出する送出手段と、
前記撮像装置で取り込んだ映像を前記送出手段で送出するにあたり画像処理を行う画像処理手段と、
前記撮像装置で映像を取り込みながら前記画像処理手段で前記送出手段に送る画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは前記撮像装置で映像を取り込みながら前記送出手段での画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を前記撮像装置に送る検知手段と、
前記検知手段から送られる状態の変化を検知した旨の情報に基づき所定の画像情報を前記表示手段に表示させる通知手段と
を備えることを特徴とする映像伝送システム。
【請求項8】
前記画像処理手段は、予め設定された時間の経過によって前記画質の状態を変化させる
ことを特徴とする請求項7記載の映像伝送システム。
【請求項9】
前記画像処理手段は、前記画像の空間的な画質の状態の変化として、前記画像の解像度の変更を行う
ことを特徴とする請求項7記載の映像伝送システム。
【請求項10】
前記画像処理手段は、前記画像の時間的な画質の状態の変化として、画像の送出間隔の変更を行う
ことを特徴とする請求項7記載の映像伝送システム。
【請求項11】
映像伝送制御装置によって相手方に送出する映像を取り込む撮像装置において、
映像の取り込みを行いながら前記相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら前記相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知した旨の情報を前記映像伝送制御装置から受けて、この状態の変化を検知した旨の情報に基づき通知を行う通知手段を備えている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
前記通知手段は、前記映像の取り込みで用いるレンズに設けられたレンズカバーの位置によって前記状態の変化を通知する
ことを特徴とする請求項11記載の撮像装置。
【請求項13】
前記通知手段は、装置自体の動作によって前記状態の変化を通知する
ことを特徴とする請求項11記載の撮像装置。
【請求項14】
取り込んだ映像を相手方に送出する映像伝送システムで、所定の状態の変化を通知する状態通知方法において、
撮像装置によって映像の取り込みを行う工程と、
前記撮像装置で映像の取り込みを行いながら前記相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら前記相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知する工程と、
前記状態の変化を検知した旨の情報を前記撮像装置に送り、当該撮像装置でこの情報に基づく通知を行う工程と
を備えることを特徴とする状態通知方法。
【請求項15】
取り込んだ映像を相手方に送出する映像伝送システムで、所定の状態の変化を通知する状態通知方法において、
撮像装置によって映像の取り込みを行い、その映像を表示手段に表示する工程と、
前記撮像装置で映像の取り込みを行いながら前記相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら前記相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知する工程と、
前記状態の変化を検知した旨の情報に基づき所定の画像情報を前記表示手段に表示させる工程と
を備えることを特徴とする状態通知方法。
【請求項16】
撮像装置で取り込んだ映像を相手方に送出する映像伝送制御装置で実行される状態通知プログラムにおいて、
前記撮像装置で映像の取り込みを行いながら前記相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら前記相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知するステップと、
前記状態の変化を検知した旨の情報に基づき前記撮像装置に所定の通知を行わせる指示を与えるステップと
を映像伝送制御装置で実行させることを特徴とする状態通知プログラム。
【請求項17】
撮像装置で取り込んだ映像を相手方に送出する映像伝送制御装置で実行される状態通知プログラムにおいて、
前記撮像装置で映像の取り込みを行いながら前記相手方に送出する画像の空間的または時間的な画質の状態が変化した場合、もしくは映像の取り込みを行いながら前記相手方への画像送出の状態が変化した場合、この状態の変化を検知するステップと、
前記状態の変化を検知した旨の情報に基づき前記撮像装置の映像を表示するため表示手段に所定の画像情報を表示させるステップと
を映像伝送制御装置で実行させることを特徴とする状態通知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−171280(P2009−171280A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7731(P2008−7731)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】