説明

映像提供システム

【課題】コンテンツ映像の人の動きを左右正確に真似易くさせることが可能な映像提供システムを提供する。
【解決手段】映像提供システム1は、サーバ10、カメラ30、表示モニタ40、及び映像制御部50を備えている。サーバ10はコンテンツ映像の人の動きを表す映像を記憶したものである。カメラ30はユーザを撮影するものである。表示モニタ40はコンテンツ映像とカメラ30により撮影されたユーザの映像とを共に表示するものである。また、映像制御部60は、コンテンツ映像の人の映像を撮影したときの撮影方向にあわせて表示モニタ40に表示させるコンテンツ映像の人の映像について反転処理及び非反転処理を切り替えると共に、カメラ30による撮影によって得られた映像をコンテンツ映像の人の映像と同期させて反転及び非反転処理を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容室などにおいて鏡の代わりにスクリーンを置き、美容等を受ける利用者の正面像、背面像、左右側面像、上面像、又は斜視像などを選択的にスクリーン上に表示させる映像提供システムが知られている。このシステムによれば、利用者はスクリーンに正対した状態で自己をあらゆる方向から確認できるため、体勢に無理なく確認することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−15080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、ダンスや着付けのDVDやビデオなど、ユーザ教育用の映像を記録した記録媒体が販売されている。そこで、特許文献1に示すようにユーザ自身の映像をスクリーンに表示させる技術に加えて、教育用の映像を共にスクリーン上に表示させることにより、ユーザがダンスや着付けの先生を真似易くする試みをしようとしても、以下のような問題がある。
【0004】
一般に、ユーザ教育用の映像では、ダンスや着付けの指導員などコンテンツ映像内の人が正面から撮影される場合が多く、映像が画面に表示される場合には、コンテンツ映像内の人の右側が画面の左側に表示されてしまう。これにより、ユーザは左右が分かり難く、コンテンツ映像内の人を真似難くなってしまう。また、コンテンツ映像内の人の映像は背面から撮影される場合もあり、この場合にはコンテンツ映像内の人の右側が画面の右側に表示され、正面から撮影された場合と左右が逆になる。これにより、ユーザは一層左右が分かり難くなってしまう。
【0005】
なお、この問題は、ユーザが、ユーザ教育用の映像を記録した記録媒体に記憶される映像を見る場合に限らず、単に、テレビで放映される歌手の振り付けなどを見て、真似しようとする場合にも生じるものである。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、コンテンツ映像の人の動きを左右正確に真似易くさせることが可能な映像提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る映像提供システムは、撮影された人の動きを表すコンテンツ映像をユーザに対して提供する映像提供システムであって、ユーザを撮影する撮影手段と、コンテンツ映像と撮影手段により撮影されたユーザの映像とを共に表示する表示手段と、表示手段に表示させる映像について左右の反転処理及び非反転処理の一方の処理を施して映像表示させる映像制御手段と、を備え、映像制御手段は、コンテンツ映像の人を撮影したときの撮影方向にあわせて表示手段に表示させるコンテンツ映像の人の映像について反転処理及び非反転処理を切り替えると共に、撮影手段による撮影によって得られた映像をコンテンツ映像の人の映像と同期させて反転及び非反転処理を切り替える。
【0008】
この映像提供システムによれば、映像制御手段は、コンテンツ映像の人の映像を撮影したときの撮影方向にあわせてコンテンツ映像の人の映像について反転処理及び非反転処理を切り替える。このため、コンテンツ映像の人の映像を撮影したときにコンテンツ映像の人を正面から撮影した場合、表示手段においてそのまま表示するとコンテンツ映像の人の右手は表示手段の左側に位置してしまうが、反転処理に切り替えることで、コンテンツ映像の人の右手を表示手段の右側に位置させることができる。また、コンテンツ映像の人の映像を撮影したときにコンテンツ映像の人を背面から撮影した場合、コンテンツ映像の人の右手は表示手段の右側に位置するため、反転処理を施すことなく非反転処理、すなわち、そのまま表示することにより、コンテンツ映像の人の右手を表示手段の右側に位置させることができる。このように、撮影方向にあわせてコンテンツ映像の人の映像について反転・非反転を切り替えることで、ユーザにとって左右が分かり易い映像を提供することができる。加えて、表示手段は、コンテンツ映像の人の映像とユーザの映像とを共に表示するため、コンテンツ映像の人との一致度合いをユーザ自らが観察できると共に、ユーザ映像についても反転・非反転を切り替えて、コンテンツ映像の人の映像とユーザ映像との左右が逆となってしまう事態も防止することができる。従って、コンテンツ映像の人の動きを左右正確に真似易くさせることができる。
【0009】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、映像制御手段は、表示手段に表示させるコンテンツ映像の人の映像と、撮影手段による撮影によって得られたユーザの映像とが同じ大きさとなるように調整する調整表示手段をさらに備えることが好ましい。
【0010】
この映像システムによれば、コンテンツ映像の人の映像と、撮影手段による撮影によって得られた映像とが同じ大きさとなるように調整するため、コンテンツ映像の人とユーザとが同じ大きさで表示され、ユーザがコンテンツ映像の人との一致度合いを認識しやすくなる。従って、一層コンテンツ映像の人の動きを真似易くさせることができる。
【0011】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、映像制御手段は、コンテンツ映像の人の映像についてズーム状態を判断し、判断したズーム状態にあわせて撮影手段による撮影によって得られた映像をズーム状態とし、表示手段に表示させることが好ましい。
【0012】
この映像提供システムによれば、コンテンツ映像の人の映像のズーム状態にあわせてユーザ映像をズーム状態とし、表示手段に表示させるため、例えばコンテンツ映像の人の手にズームされたような場合に、ユーザのみが全身映ってしまう状態などのアンバランスさを解消し、一層ユーザにコンテンツ映像の人を真似易くさせることができる。
【0013】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、表示手段はそれぞれ異なる表示形態により映像表示する複数の表示部を有し、映像表示の対象を複数の表示部のいずれとするかを設定する設定手段をさらに備え、映像制御手段は、設定手段により設定された表示部に対して、コンテンツ映像の人の映像の反転処理及び非反転処理、並びに、撮影手段による撮影によって得られた映像の反転処理及び非反転処理の制御を行うことが好ましい。
【0014】
この映像システムによれば、例えば表示モニタと、プロジェクタによって投射される映像光によって映像を投影するスクリーンとの複数の表示部がある場合に、設定手段により設定された表示部に対して、反転処理及び非反転処理の制御を行う。このため、ユーザにとって使い易い表示部によって表示は行われることとなる。すなわち、ユーザは、例えば手先など細かい映像に関して表示モニタ(一般的にスクリーンよりも小さい)にて表示させ、着付けやダンスなど体全体の映像に関してスクリーン(一般的に表示モニタよりも大きい)投影にて表示させることができる。これにより、ユーザは、コンテンツ映像の人を一層見やすくなり、一層ユーザにコンテンツ映像の人を真似易くさせることができる。
【0015】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、撮影手段は、ユーザの正面からユーザを撮影する正面撮影手段と、ユーザの背面からユーザを撮影する背面撮影手段と、を有し、映像制御手段は、コンテンツ映像の人が正面から撮影されている場合に、正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を表示手段に表示させ、コンテンツ映像の人が背面から撮影されている場合に、背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を表示手段に表示させることが好ましい。
【0016】
この映像提供システムによれば、映像制御手段は、コンテンツ映像の人が正面から撮影されている場合に、正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を表示手段に表示させ、コンテンツ映像の人が背面から撮影されている場合に、背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を表示手段に表示させる。このため、コンテンツ映像の人の正面と背面とが切り替わって撮影されていた映像についても、ユーザ映像をコンテンツ映像の人の映像に左右一致させ、一層ユーザにコンテンツ映像の人を真似易くさせることができる。
【0017】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、表示手段に映像光を投影させてコンテンツ映像及び撮影手段により撮影された映像を表示させる投射手段をさらに備え、表示手段の正面に投射手段が配置され、投射手段により投影させられた映像を表示手段の正面側に位置するユーザに視認させる場合において、映像制御手段は、正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させて投射手段から投射させ、背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させずに投射手段から投射させることが好ましい。
【0018】
この映像提供システムによれば、映像制御手段は、正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させて投射手段から投射させ、背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させずに投射手段から投射させる。このため、ユーザは、正面から撮影された映像について鏡像のように分かり易く把握することができ、背面から撮影された映像については左右が逆にならず分かり易くさせることができる。
【0019】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、表示手段に映像光を投影させてコンテンツ映像及び撮影手段により撮影された映像を表示させる投射手段をさらに備え、表示手段の背面に投射手段が配置され、投射手段により投影させられた映像を表示手段の正面側に位置するユーザに視認させる場合において、映像制御手段は、正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させずに投射手段から投射させ、背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させて投射手段から投射させることが好ましい。
【0020】
この映像提供システムによれば、映像制御手段は、正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させずに投射手段から投射させ、背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させて投射手段から投射させる。このため、ユーザは、正面から撮影された映像について鏡像のように分かり易く把握することができ、背面から撮影された映像については左右が逆にならず分かり易くさせることができる。
【0021】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、コンテンツ映像の人の映像と撮影手段により撮影されたユーザの映像とを並べて共に表示する通常モードと、コンテンツ映像の人の映像と撮影手段により撮影されたユーザの映像とを重ねて共に表示するマッチングモードとを切替可能な切替手段をさらに備え、映像制御手段は、切替手段によって切り替えられたモードに応じて、表示手段に表示させることが好ましい。
【0022】
この映像提供システムによれば、コンテンツ映像の人の映像とユーザの映像とを並べて共に表示する通常モードと、コンテンツ映像の人の映像とユーザの映像とを重ねて共に表示するマッチングモードとを切替可能となっているため、ユーザにとってコンテンツ映像の人を真似易いモードを選択できることとなり、一層ユーザにコンテンツ映像の人を真似易くさせることができる。
【0023】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、コンテンツ映像は、当該コンテンツ映像の人を撮影したときの撮影方向を示す撮影方向情報を有し、映像制御手段は、撮影方向情報にあわせて表示手段に表示させるコンテンツ映像の人の映像について反転処理及び非反転処理を切り替えることが好ましい。
【0024】
この映像提供システムによれば、コンテンツ映像は、当該コンテンツ映像の人を撮影したときの撮影方向を示す撮影方向情報を有し、映像制御手段は、撮影方向情報にあわせて表示手段に表示させるコンテンツ映像の人の映像を反転処理及び非反転処理を切り替える。このため、映像制御手段は、撮影方向を演算等により判断することなく、撮影方向情報に従って、反転及び非反転を切り替えることができる。従って、処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができる。
【0025】
また、本発明に係る映像提供システムにおいて、コンテンツ映像に対して、撮影方向情報を書き込み可能な書込手段をさらに備えることが好ましい。
【0026】
この映像提供システムによれば、コンテンツ映像に対して、撮影方向情報を書き込み可能な書込手段をさらに備えるため、予め撮影方向情報を有したDVD等に限らず、市販のDVD等についても処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る映像提供システムよれば、コンテンツ映像の人の動きを左右正確に真似易くさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る映像提供システムの一例を示す構成図である。映像提供システム1は、撮影された人(以下指導員と称する)の動きを表すコンテンツ映像をユーザHに対して提供するものであって、サーバ10と、選択部20と、カメラ(撮影手段)30と、表示モニタ(表示手段)40と、映像制御部(映像制御手段)50と、切替部(切替手段)60と、書込部(書込手段)70とを備えている。なお、以下の説明において指導員とは、ダンスや着付けの先生などであるが、この指導員は、人に限らず、人を模したアニメ等であってもよい。
【0029】
サーバ10は、コンテンツ映像を記憶したものである。このサーバ10は、各家庭の宅内に設置されていてもよいし、映像提供サービスを行っている宅外の施設等に設置されていてもよい。また、サーバ10は、指導員の動きを表す映像の他に、その映像が撮影されたときの撮影方向を示す撮影方向情報、及び、その映像がズーム状態を示すズーム状態情報を記憶している。
【0030】
選択部20は、ユーザHが表示モニタ40に表示させたい映像を選択するものである。この選択部20によって映像が選択されると、サーバ10は、選択された映像を抽出し、その映像情報と撮影方向情報とズーム状態情報とを映像制御部30に送信することとなる。
【0031】
カメラ30は、ユーザHを撮影するものである。このカメラ30は、ユーザHの正面からユーザHを撮影する正面カメラ(正面撮影手段)31と、ユーザHの背面からユーザHを撮影する背面カメラ(背面撮影手段)32とからなっており、表示モニタ40に正対するユーザHを前後から撮影可能となっている。
【0032】
表示モニタ40は、サーバ10に記憶された映像、すなわちコンテンツ映像と、カメラ30により撮影されたユーザHの映像とを共に表示するものである。
【0033】
映像制御部50は、表示モニタ40に表示させる映像について左右の反転処理及び非反転処理の一方の処理を施して映像表示させるものである。この映像制御部50は、映像選択部51と、反転処理部52と、ズーム状態判断部53と、映像処理部(調整表示手段)54とを備えている。
【0034】
映像選択部51は、正面カメラ31及び背面カメラ32に撮影された映像のうち、いずれの映像を表示モニタ40に表示させるかを選択するものである。この映像選択部51は、サーバ10から送信される撮影方向情報に従って映像を選択する。すなわち、映像選択部51は、指導員の映像が正面から撮影されている場合、正面カメラ31からの映像を選択し、指導員の映像が背面から撮影されている場合、背面カメラ32からの映像を選択する。
【0035】
反転処理部52は、映像選択部51によって選択された映像と、サーバ10から送信された指導員の映像とについて、左右の反転処理及び非反転処理の一方の処理を施すものである。ここで、反転処理とは、映像の上下中心線を対象に映像データを入れ替える処理であり、非反転処理とは、映像データの入れ替えを行わない処理をいう。
【0036】
具体的に、反転処理部52は、サーバ10に記憶された指導員の映像を撮影したときの撮影方向にあわせて、表示モニタ40に表示させる指導員の映像を反転処理又は非反転処理する。この際、反転処理部52は、指導員の映像が撮影されたときの撮影方向を示す撮影方向情報に従って、指導員の映像を反転処理又は非反転処理する。以下、具体的に説明する。
【0037】
反転処理部52は、指導員が正面から撮影されている場合、表示モニタ40に左右が逆となるように表示させる(反転処理)。通常であれば、指導員の映像を正面から撮影した場合、左右逆とせずに表示モニタ40に表示すると指導員の右手は表示モニタ40の左側に位置してしまう。ところが、左右を逆に表示することで、指導員の右手を表示モニタ40の右側に位置させることができ、ユーザHに分かり易い映像を提供することができる。
【0038】
また、反転処理部52は、指導員が背面から撮影されている場合、表示モニタ40に左右が逆とならないように表示させる(非反転処理)。通常、指導員を背面から撮影した場合、左右を逆としなければ、指導員の右手は表示モニタ40の右側に位置する。このため、反転処理部52は、指導員の映像をそのまま表示モニタ40に表示することで、ユーザHに分かり易い映像を提供することができる。
【0039】
さらに、反転処理部52は、このような反転処理及び非反転処理を切替可能となっており、指導員の映像の切り替わりに応じて、反転処理を施すか、非反転処理を施すかを切り替え可能となっている。従って、指導員が正面から撮影される映像と背面から撮影される映像とが混在する映像についても、順次反転処理及び非反転処理を切り替えることで、本実施形態に係る映像提供システム1は、ユーザHに分かり易い映像を提供することができるようになっている。
【0040】
加えて、反転処理部52は、ユーザHの映像を指導員の映像と同期(すなわち左右一致)させて反転処理及び非反転処理を切り替える。具体的に指導員が正面から撮影されている場合、反転処理部52は、正面カメラ31によって撮影されたユーザHの映像を反転させて表示モニタ40に表示させる(反転処理)。これにより、ユーザHは、自己の映像を鏡像のように確認できる。また、ユーザHの左右と指導員の左右とが一致し、ユーザHは、指導員との一致度合いをユーザH自らが観察することができる。
【0041】
一方、指導員が背面から撮影されている場合、反転処理部52は、背面カメラ32によって撮影されたユーザHの映像を反転させずに表示モニタ40に表示させる(非反転処理)。これにより、ユーザHの左右と指導員の左右とが一致し、ユーザHは、指導員との一致度合いをユーザH自らが観察することができる。
【0042】
ズーム状態判断部53は、サーバ10に記憶された指導員の映像のズーム状態を判断するものである。具体的にズーム状態情報は、指導員の映像のどの箇所がズームされたか、及び、ズーム度合いはどの程度あるかの情報を有している。このため、ズーム状態判断部53は、ズーム状態情報を入力し、指導員の映像のどの箇所がズームされたか、及び、ズーム度合いはどの程度あるかを判断することとなる。また、ズーム状態判断部53は、判断したズーム状態の情報を映像処理部54に送信する構成となっている。
【0043】
映像処理部54は、上記のように、反転処理部52によって反転及び非反転させられた映像を映像表示させるものである。さらに、映像処理部54は、ズーム状態判断部53によって判断されたズーム状態に応じて、カメラ30によって撮影された映像をズーム状態とし、表示モニタ40に表示させる。すなわち、映像処理部54は、ズーム状態判断部53によって判断されたズーム状態に応じて、カメラ30によって撮影された映像の一部を抽出してこれを拡大し、その映像の情報を表示モニタ40に提供し、映像表示させるものである。
【0044】
加えて映像処理部54は、表示モニタ40に表示させる指導員の映像と、カメラ30による撮影によって得られたユーザHの映像が同じ大きさとなるように調整する調整表示機能を有している。このため、両者の映像は大きさが一致することとなり、ユーザHにとって分かり易くなる。
【0045】
切替部60は、通常モードとマッチングモードとを切替可能なものである。通常モードとは、サーバ10により記憶された映像とカメラ30により撮影されたユーザHの映像とを並べて共に表示するモードである。また、マッチングモードとは、サーバ10により記憶された映像とカメラ30により撮影されたユーザHの映像とを重ねて共に表示するモードである。この切替部60によって切り替えられたモードに応じて、映像処理部54は、映像を表示モニタ40に表示させることとなる。
【0046】
書込部70は、サーバ10に記憶された指導員の動きを表す映像に、その映像の撮影方向情報及びズーム状態情報を書き込み可能なものである。このような書込部70を備えることにより、予め撮影方向情報やズーム状態情報を有した映像に限らず、通常の映像についても撮影方向情報及びズーム状態情報を記憶させることができる。
【0047】
このように、映像提供システム1では、指導員の映像を撮影したときの撮影方向にあわせて、表示させる指導員の映像について反転処理及び非反転処理を切り替える。このため、指導員の映像を撮影したときに指導員を正面から撮影した場合、表示モニタ40においてそのまま表示すると指導員の右手は表示モニタ40の左側に位置してしまうが、反転処理に切り替えることで、指導員の右手を表示モニタ40の右側に位置させることができる。また、指導員の映像を撮影したときに指導員を背面から撮影した場合は、表示モニタ40において指導員の右手は表示モニタ40の右側に位置するため、反転処理を施すことなく非反転処理、すなわち、そのまま表示することにより、指導員の右手を表示モニタ40の右側に位置させることができる。このように、撮影方向にあわせて指導員の映像について反転・非反転を切り替えることで、ユーザHにとって左右分かり易い指導員の映像を提供することができる。加えて、表示モニタ40は、指導員の映像とユーザHの映像とを共に表示するため、指導員との一致度合いをユーザH自らが観察できると共に、ユーザ映像についても反転・非反転を切り替えて、指導員の映像とユーザ映像との左右が逆となってしまう事態も防止することができる。従って、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0048】
図2は、各映像の詳細を示す説明図である。なお、図2の説明において、ユーザHは右腕を肩の高さまで上げているものとする。
【0049】
まず、図2に示すように、ユーザHが右腕を上げている場合、ユーザHの右腕は正面カメラ31の撮像範囲の左側に向けて伸びていることとなる。このため、正面カメラ31によって撮影された映像を表示モニタ40に表示すると、表示モニタ40には、ユーザHの左腕があがったように表示される。これにより、表示映像を視認するユーザHにとっては左右が分かり難くなってしまう。このため、映像提供システム1は、表示モニタ40に表示させる映像を反転させる反転処理を実行することとなる。これにより、本実施形態では、ユーザHの右腕が表示モニタ40の右側に表示されることとなる。
【0050】
また、図2に示すように、映像提供システム1は、指導員の映像についても反転処理を実行する。指導員が右腕を上げている場合、このまま表示モニタ40に指導員の映像を表示してしまうと、ユーザHには左腕があがったように見えてしまう。このため、映像提供システム1は、指導員の映像についても反転処理を実行することとなる。これにより、本実施形態では、指導員の右腕が表示モニタ40の右側に表示されることとなる。
【0051】
以上により、指導員が右腕を上げている場合、指導員の右腕はユーザHの右側に表示され、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。また、ユーザHの映像についても、鏡像のように表示されるため、ユーザHにとって分かり易く、且つ、指導員の映像と一致するため、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0052】
ここで、上記説明は、指導員の映像が正面から撮影されている場合であるが、背面から撮影されている場合には、以下のようになる。
【0053】
図2に示すように、ユーザHが右腕を上げている場合、ユーザの右腕は背面カメラ32の撮像範囲の右側に向けて伸びたものとなる。このため、このまま表示モニタ40にユーザHの映像を表示すれば、右腕が表示モニタ40の右側に表示され、ユーザHにとって分かり易い映像を提供することができる。従って、映像提供システム1は、表示モニタ40に表示させる映像を反転させない非反転処理を実行する(すなわちそのまま出力する)こととなる。同様に、映像提供システム1は、指導員の映像についても非反転処理を実行する。
【0054】
これにより、上記と同様に、ユーザHにとって分かり易く、且つ、指導員の映像とユーザHの映像とが一致するため、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0055】
次に、本実施形態に係る映像提供システム1の動作を、フローチャートを参照して詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る映像提供システム1の動作を示すフローチャートである。
【0056】
まず、ユーザHによってコンテンツ映像の選択操作がされると、選択部20は、サーバ10に対してコンテンツ映像を選択する(S1)。その後、サーバ10は、選択されたコンテンツ映像と対応して撮影方向情報及びズーム状態情報が記憶されているか否かを判断する(S2)。撮影方向情報及びズーム状態情報が記憶されていると判断した場合(S2:YES)、処理はステップS5に移行する。
【0057】
撮影方向情報及びズーム状態情報が記憶されていないと判断した場合(S2:NO)、サーバ10は映像制御部50に書込指示を行う(S3)。これにより、表示モニタ40上に、撮影方向情報及びズーム状態情報を書き込む旨の情報が表示されることとなり、ユーザHは、撮影方向情報及びズーム状態情報を書き込むこととなる。
【0058】
書き込み処理は、以下のようにして行われる。まず、サーバ10は、選択されたコンテンツ映像を映像制御部50に送信し、映像制御部50は、その映像を表示モニタ40に表示させる。ユーザHは、この表示を参照しつつ、撮影方向を示す撮影方向情報、及び、ズーム状態を示すズーム状態情報を、映像毎に記憶させていくこととなる。そして、書込終了後、ユーザHは、これらの情報をサーバ10に返信し、サーバ10はこれらの情報をコンテンツ映像と対応付けて記憶することとなる。なお、映像がDVD等の記録媒体に記憶されている場合、サーバ10は、撮影方向情報及びズーム状態情報を記録媒体自体に記憶させてもよい。
【0059】
次いで、サーバ10は、書き込み完了か否かを判断する(S4)。書き込み完了でないと判断した場合(S4:NO)、書き込みが完了するまで、この処理が繰り返される。一方、書き込み完了であると判断した場合(S5)、サーバ10は、コンテンツ映像(撮影方向情報及びズーム状態情報を含むもの)を映像制御部50に送信する。そして、カメラ30は、撮影を開始する(S6)。
【0060】
その後、映像選択部51及び反転処理部52は、撮影方向情報を読み込む(S7)。これにより、映像選択部51は、正面カメラ31又は背面カメラ32からの映像のうち、いずれか一方を選択する(S8)。また、反転処理部52は、カメラ30からの映像と、サーバ10からの映像とについて、反転処理又は非反転処理を実行する。
【0061】
さらに、ズーム状態判断部53は、ズーム状態情報を読み込む(S9)。そして、ズーム状態判断部53は、ズーム状態を判断し、判断したズーム状態の情報を映像処理部54に送信する。そして、映像処理部54は、切替部60から表示モードの情報を読み込む(S10)。その後、映像処理部54は、反転処理部52、ズーム状態判断部53及び切替部60からの情報に従った映像情報を表示モニタ40に送信する。この際に、映像処理部54は、指導員の映像とユーザHの映像との大きさを一致させる。以上により、表示モニタ40には、撮影方向情報、ズーム状態情報及び表示モードの情報に従って、ユーザH及び指導員の映像が表示される(S11)。加えて両者の大きさは一致することとなる。
【0062】
その後、映像制御部50は、コンテンツ映像が終了したか否かを判断する(S12)。コンテンツ映像が終了していないと判断した場合(S12:NO)、処理はステップS7に移行する。一方、コンテンツ映像が終了したと判断した場合(S12:YES)、カメラ30は撮影を終了し、図3に示す処理は終了する。
【0063】
このようにして、第1実施形態に係る映像提供システム1によれば、映像制御部54は、指導員の映像を撮影したときの撮影方向にあわせて指導員の映像について反転処理及び非反転処理を切り替える。このため、指導員の映像を撮影したときに指導員を正面から撮影した場合、表示モニタ40においてそのまま表示すると指導員の右手は表示モニタ40の左側に位置してしまうが、反転処理に切り替えることで、指導員の右手を表示モニタ40の右側に位置させることができる。また、指導員の映像を撮影したときに指導員を背面から撮影した場合、指導員の右手は表示モニタ40の右側に位置するため、反転処理を施すことなく非反転処理、すなわち、そのまま表示することにより、指導員の右手を表示モニタ40の右側に位置させることができる。このように、撮影方向にあわせて指導員の映像について反転・非反転を切り替えることで、ユーザHにとって左右が分かり易い指導員の映像を提供することができる。加えて、表示モニタ40は、指導員の映像とユーザの映像とを共に表示するため、指導員との一致度合いをユーザH自らが観察できると共に、ユーザ映像についても反転・非反転を切り替えて、指導員の映像とユーザ映像との左右が逆となってしまう事態も防止することができる。従って、指導員の動きを左右正確に真似易くさせることができる。
【0064】
また、指導員の映像と、カメラ30による撮影によって得られた映像とが同じ大きさとなるように調整するため、指導員とユーザHとが同じ大きさで表示され、ユーザHが指導員との一致度合いを認識しやすくなる。従って、一層指導員の動きを真似易くさせることができる。
【0065】
また、指導員の映像のズーム状態にあわせてユーザ映像をズーム状態とし、表示モニタ40に表示させるため、例えば指導員の手にズームされたような場合に、ユーザHのみが全身映ってしまう状態などのアンバランスさを解消し、一層ユーザHに指導員を真似易くさせることができる。
【0066】
また、映像制御部54は、指導員が正面から撮影されている場合に、正面カメラ31により撮影されたユーザHの映像を表示モニタ40に表示させ、指導員が背面から撮影されている場合に、背面カメラ32により撮影されたユーザHの映像を表示モニタ40に表示させる。このため、指導員の正面と背面とが切り替わって撮影されていた映像についても、ユーザ映像を指導員の映像に左右一致させ、一層ユーザHに指導員を真似易くさせることができる。
【0067】
また、指導員の映像とユーザHの映像とを並べて共に表示する通常モードと、指導員の映像とユーザHの映像とを重ねて共に表示するマッチングモードとを切替可能となっているため、ユーザHにとって指導員を真似易いモードを選択できることとなり、一層ユーザHに指導員を真似易くさせることができる。
【0068】
また、コンテンツ映像は、指導員の映像を撮影したときの撮影方向を示す撮影方向情報を有し、映像制御部54は、撮影方向情報にあわせて表示モニタ40に表示させる指導員の映像を反転処理及び非反転処理を切り替える。このため、映像制御部54は、撮影方向を演算等により判断することなく、撮影方向を示す情報に従って、反転及び非反転を切り替えることができる。従って、処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができる。
【0069】
また、サーバ10により記憶されたコンテンツ映像に対して、撮影方向情報を書き込み可能な書込部70をさらに備えるため、予め撮影方向情報を有したDVD等に限らず、市販のDVD等についても処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができる。
【0070】
次に、本発明に係る第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る映像提供システム2は、第1実施形態のものと同様であるが、一部構成及び映像処理の方法が異なっている。図4は、第2実施形態に係る映像提供システム2の構成図である。
【0071】
図4に示すように、第2実施形態に係る映像提供システム2は、表示モニタ40に代えて、スクリーン(表示手段)80を有している。さらに、第2実施形態に係る映像提供システム2は、プロジェクタ(投射手段)90を備えている。
【0072】
スクリーン80は、映像光が投射されることにより、表面に映像を映し出すものである。プロジェクタ90は、スクリーン80に向けて映像光を出力するものであり、スクリーン80に映像光を投影させて指導員の映像及びカメラ30により撮影されたユーザHの映像を表示させる構成となっている。
【0073】
なお、映像提供システム2の詳細処理は図3に示したものと同様である。また、反転処理及び非反転処理については、図5に示すようになっている。
【0074】
図5は、第2実施形態に係る各映像の詳細を示す説明図である。なお、図5の説明において、ユーザHは右腕を肩の高さまで上げているものとする。
【0075】
まず、図5に示すように、ユーザHが右腕を上げている場合、ユーザHの右腕は正面カメラ31の撮像範囲の左側に向けて伸びていることとなる。このため、正面カメラ31によって撮影された映像をプロジェクタ90によってスクリーン80に投影すると、スクリーン80には、ユーザHの左腕があがったように表示される。これにより、表示映像を視認するユーザHにとっては左右が分かり難くなってしまう。このため、映像提供システム2は、スクリーン80に投影させる映像を反転させる反転処理を実行することとなる。具体的に映像提供システム2は、プロジェクタ90からの投射光を左右反転させる。これにより、本実施形態では、ユーザHの右腕がスクリーン80の右側に表示されることとなる。
【0076】
また、図5に示すように、映像提供システム2は、指導員の映像についても反転処理を実行する。指導員が右腕を上げている場合、このまま表示モニタ40に指導員の映像を表示してしまうと、ユーザHには左腕があがったように見えてしまう。このため、映像提供システム1は、指導員の映像についても反転処理を実行することとなる。これにより、本実施形態では、指導員の右腕が表示モニタ40の右側に表示されることとなる。
【0077】
以上により、指導員が右腕を上げている場合、指導員の右腕はユーザHの右側に表示され、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。また、ユーザHの映像についても、鏡像のように表示されるため、ユーザHにとって分かり易く、且つ、指導員の映像と一致するため、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0078】
ここで、上記説明は、指導員の映像が正面から撮影されている場合であるが、背面から撮影されている場合には、以下のようになる。
【0079】
図5に示すように、ユーザHが右腕を上げている場合、ユーザの右腕は背面カメラ32の撮像範囲の右側に向けて伸びたものとなる。このため、このままスクリーン80にユーザHの映像を表示すれば、右腕がスクリーン80の右側に表示され、ユーザHにとって分かり易い映像を提供することができる。従って、映像提供システム2は、スクリーン80に表示させる映像を反転させない非反転処理を実行する(すなわちそのまま出力する)こととなる。同様に、映像提供システム2は、指導員の映像についても非反転処理を実行する。
【0080】
これにより、上記と同様に、ユーザHにとって分かり易く、且つ、指導員の映像とユーザHの映像とが一致するため、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0081】
このようにして、第2実施形態に係る映像提供システム2によれば、第1実施形態と同様に、一層指導員の動きを左右正確に真似易くさせることができる。また、処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができると共に、市販のDVD等についても処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができる。
【0082】
さらに、第2実施形態によれば、映像制御部50は、正面カメラ31により撮影されたユーザHの映像を反転させてプロジェクタ90から投射させ、背面カメラ32により撮影されたユーザHの映像を反転させずにプロジェクタ90から投射させる。このため、ユーザHは、正面から撮影された映像について鏡像のように分かり易く把握することができ、背面から撮影された映像については左右が逆にならず分かり易くさせることができる。
【0083】
次に、本発明に係る第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る映像提供システム3は、第2実施形態のものと同様であるが、一部構成及び映像処理の方法が異なっている。図6は、第3実施形態に係る映像提供システム3の構成図である。
【0084】
図6に示すように、第3実施形態に係る映像提供システム3は、スクリーン80及びプロジェクタ90を有している点で第2実施形態と同様であるが、第3実施形態においてプロジェクタ90は、スクリーン80の背面に設けられている。このため、プロジェクタ90からの映像光は、スクリーン80に投射され、投射された映像光の一部がスクリーン80の反対面に映し出されることにより、映像が表示されることとなる。
【0085】
また、第3実施形態に係る映像提供システム3は、処理内容が図3に示したものと同様であるが、プロジェクタ90をスクリーン80の背面に設置しているため、映像光の投射について一部異なっている。
【0086】
図7は、第3実施形態に係る各映像等の詳細を示す説明図である。なお、図7の説明において、ユーザHは右腕を肩の高さまで上げているものとする。
【0087】
まず、図7に示すように、ユーザHが右腕を上げている場合、ユーザHの右腕は正面カメラ31の撮像範囲の左側に向けて伸びていることとなる。プロジェクタ90からの映像光についても右腕は左側に位置することとなる。このため、スクリーン80の表側から見た映像では、ユーザHの右腕は左側に伸びることとなる。ところが、本実施形態では、プロジェクタ90はスクリーン80の背面(すなわち裏側)に設置されており、ユーザHは、スクリーン80の正面側(すなわち表側)から映像を視認する。よって、ユーザHがスクリーン80の表側から見た映像については、ユーザHの右腕は右側に伸びることとなる。
【0088】
このため、プロジェクタ90からそのまま映像光を投射すれば、右腕がスクリーン80の右側に表示され、ユーザHにとって分かり易い映像を提供することができる。従って、映像提供システム3は、プロジェクタ90から投射させる映像光を反転させない非反転処理を実行する(すなわちそのまま出力する)こととなる。
【0089】
また、指導員の映像についても同様に非反転処理する。すなわち、指導員が右腕を上げている場合、指導員の右腕は、プロジェクタ90からの映像光の左側に位置することとなり、スクリーン80に投影されたときには、指導員の右腕はスクリーン80の右側に位置することとなる。よって、本実施形態において映像提供システム3は、プロジェクタ90から投射させる映像光を反転させない非反転処理を実行することとなる。
【0090】
以上により、指導員の映像は、指導員が右腕を上げている状態のときに、ユーザHの右側に表示され、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。また、ユーザHの映像についても、鏡像のように表示されるため、ユーザHにとって分かり易く、且つ、指導員の映像と一致するため、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0091】
一方、ユーザHが背面から撮影されている場合には、以下のようになる。まず、図7に示すように、ユーザHが右腕を上げている場合、ユーザHの右腕は背面カメラ31の撮像範囲の右側に向けて伸びていることとなる。このため、スクリーン80の表側から見た映像では、ユーザHの右腕は右側に伸びることとなる。ところが、本実施形態では、プロジェクタ90はスクリーン80の裏側に設置されており、ユーザHは、スクリーン80の表側から映像を視認する。よって、ユーザHがスクリーン80の表側から見た映像については、ユーザHの右腕は左側に伸びることとなる。
【0092】
このため、背面カメラ32によって撮影された映像をプロジェクタ90によってスクリーン80に投影すると、スクリーン80には、ユーザHの左腕があがったように表示される。これにより、表示映像を視認するユーザHにとっては左右が分かり難くなってしまう。このため、映像提供システム3は、スクリーン80に投影させる映像を反転させる反転処理を実行することとなる。具体的に映像提供システム3は、プロジェクタ90からの投射光を左右反転させる。これにより、本実施形態では、ユーザHの右腕がスクリーン80の右側に表示されることとなる。
【0093】
また、指導員の映像についても同様に反転処理する。すなわち、指導員が右腕を上げている場合、映像光を反転状態で投射することにより、指導員の右腕は映像光の左側に位置することとなり、スクリーン80に投影されたときには、ユーザHの右腕はスクリーン80の右側に位置することとなる。
【0094】
これにより、ユーザHの右側に表示され、ユーザHは指導員の動きを左右正確に真似易くなる。
【0095】
このようにして、第3実施形態に係る映像提供システム3によれば、第2実施形態と同様に、一層指導員の動きを左右正確に真似易くさせることができる。また、処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができると共に、市販のDVD等についても処理速度の低下を抑制してスムーズに流れる映像を提供することができる。
【0096】
さらに、第3実施形態では、映像制御部50は、正面カメラ31により撮影されたユーザHの映像を反転させずにプロジェクタ90から投射させ、背面カメラ32により撮影されたユーザHの映像を反転させてプロジェクタ90から投射させる。このため、ユーザHは、正面から撮影された映像について鏡像のように分かり易く把握することができ、背面から撮影された映像については左右が逆にならず分かり易くさせることができる。
【0097】
以上、本発明に係る映像提供システムを実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0098】
例えば、本実施形態において映像はサーバ10に記憶されているが、これに限らず、DVDやビデオに記憶されているものであってもよい。
【0099】
また、映像は、ダンスや着付けの指導員が映るものに限らず、単に、一般のプロモーションビデオ等であってもよい。
【0100】
また、コンテンツ映像は、テレビ映像など記録媒体等に記録されたものに限るものではない。
【0101】
さらに、上記実施形態では表示モニタ40及びスクリーン80を表示手段として例示したが、表示手段はこれに限られるものではなく、他のものであってもよいし、これらを組み合わせてもよい。すなわち、表示手段はそれぞれ異なる表示形態により映像表示する複数の表示部(表示モニタ40やスクリーン80)を有し、映像表示の対象を複数の表示部のいずれとするかを設定する設定手段をさらに備えていてもよい。この場合、映像制御部50は、設定手段により設定された表示部40,80に対して、指導員の映像の反転処理及び非反転処理、並びに、前記撮影手段による撮影によって得られた映像の反転処理及び非反転処理の制御を行うこととなる。これにより、ユーザHにとって使い易い表示部40,80によって表示は行われることとなる。すなわち、ユーザHは、例えば手先など細かい映像に関して表示モニタ(一般的にスクリーンよりも小さい)40にて表示させ、着付けやダンスなど体全体の映像に関してスクリーン(一般的に表示モニタよりも大きい)80への投影にて表示させることができる。これにより、ユーザHは、指導員を一層見やすくなり、一層ユーザに指導員を真似易くさせることができる。
【0102】
また、スクリーン80は、壁面であっても天井であってもよい。
【0103】
また、上記実施形態において反転処理及び非反転処理は、反転処理部52によって行われているが、これに限らず、第1実施形態では表示モニタ40の内部において反転・非反転されてもよいし、第2及び第3実施形態ではプロジェクタ90の内部において反転・非反転されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施形態に係る映像提供システムの一例を示す構成図である。
【図2】各映像の詳細を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係る映像提供システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る映像提供システムの構成図である。
【図5】第3実施形態に係る各映像等の詳細を示す説明図である。
【図6】第3実施形態に係る映像提供システムの構成図である。
【図7】第3実施形態に係る各映像等の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0105】
1〜3 映像提供システム
10 サーバ(記憶手段)
20 選択部
30 カメラ(撮影手段)
31 正面カメラ(正面撮影手段)
32 背面カメラ(背面撮影手段)
40 表示モニタ(表示手段)
50 映像制御部(映像制御手段)
51 映像選択部
52 反転処理部
53 ズーム状態判断部
54 映像処理部(調整表示手段)
60 切替部(切替手段)
70 書込部(書込手段)
80 スクリーン(表示手段)
90 プロジェクタ(投射手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された人の動きを表すコンテンツ映像をユーザに対して提供する映像提供システムであって、
ユーザを撮影する撮影手段と、
コンテンツ映像と前記撮影手段により撮影されたユーザの映像とを共に表示する表示手段と、
前記表示手段に表示させる映像について左右の反転処理及び非反転処理の一方の処理を施して映像表示させる映像制御手段と、を備え、
前記映像制御手段は、前記コンテンツ映像の人を撮影したときの撮影方向にあわせて前記表示手段に表示させる前記コンテンツ映像の人の映像について反転処理及び非反転処理を切り替えると共に、前記撮影手段による撮影によって得られた映像を前記コンテンツ映像の人の映像と同期させて反転及び非反転処理を切り替える
ことを特徴とする映像提供システム。
【請求項2】
前記映像制御手段は、前記表示手段に表示させる前記コンテンツ映像の人の映像と、前記撮影手段による撮影によって得られたユーザの映像とが同じ大きさとなるように調整する調整表示手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の映像提供システム。
【請求項3】
前記映像制御手段は、前記コンテンツ映像の人の映像についてズーム状態を判断し、判断したズーム状態にあわせて前記撮影手段による撮影によって得られた映像をズーム状態とし、前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の映像提供システム。
【請求項4】
前記表示手段はそれぞれ異なる表示形態により映像表示する複数の表示部を有し、
前記映像表示の対象を前記複数の表示部のいずれとするかを設定する設定手段をさらに備え、
前記映像制御手段は、前記設定手段により設定された表示部に対して、前記コンテンツ映像の人の映像の反転処理及び非反転処理、並びに、前記撮影手段による撮影によって得られた映像の反転処理及び非反転処理の制御を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の映像提供システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、ユーザの正面からユーザを撮影する正面撮影手段と、ユーザの背面からユーザを撮影する背面撮影手段と、を有し、
前記映像制御手段は、前記コンテンツ映像の人が正面から撮影されている場合に、前記正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を前記表示手段に表示させ、前記コンテンツ映像の人が背面から撮影されている場合に、前記背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の映像提供システム。
【請求項6】
前記表示手段に映像光を投影させて前記コンテンツ映像及び前記撮影手段により撮影された映像を表示させる投射手段をさらに備え、
前記表示手段の正面に前記投射手段が配置され、前記投射手段により投影させられた映像を前記表示手段の正面側に位置するユーザに視認させる場合において、前記映像制御手段は、前記正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させて前記投射手段から投射させ、前記背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させずに前記投射手段から投射させる
ことを特徴とする請求項5に記載の映像提供システム。
【請求項7】
前記表示手段に映像光を投影させて前記コンテンツ映像及び前記撮影手段により撮影された映像を表示させる投射手段をさらに備え、
前記表示手段の背面に前記投射手段が配置され、前記投射手段により投影させられた映像を前記表示手段の正面側に位置するユーザに視認させる場合において、前記映像制御手段は、前記正面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させずに前記投射手段から投射させ、前記背面撮影手段により撮影されたユーザの映像を反転させて前記投射手段から投射させる
ことを特徴とする請求項5に記載の映像提供システム。
【請求項8】
前記コンテンツ映像の人の映像と前記撮影手段により撮影されたユーザの映像とを並べて共に表示する通常モードと、前記コンテンツ映像の人の映像と前記撮影手段により撮影されたユーザの映像とを重ねて共に表示するマッチングモードとを切替可能な切替手段をさらに備え、
前記映像制御手段は、前記切替手段によって切り替えられたモードに応じて、前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の映像提供システム。
【請求項9】
前記コンテンツ映像は、当該コンテンツ映像の人を撮影したときの撮影方向を示す撮影方向情報を有し、
前記映像制御手段は、前記撮影方向情報にあわせて前記表示手段に表示させる前記コンテンツ映像の人の映像について反転処理及び非反転処理を切り替える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の映像提供システム。
【請求項10】
前記コンテンツ映像に対して、前記撮影方向情報を書き込み可能な書込手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項9に記載の映像提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−159030(P2009−159030A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331983(P2007−331983)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】