映像監視システム及び方法
【課題】 複数の撮像装置を用いて広範囲を監視するとともに、容易かつ単純な通信処理工程によって撮像装置間での連携が図られる映像監視システムを提供する。
【解決手段】 撮像対象物2の動きを追尾して撮像する追尾撮像手段を有する、複数の撮像装置10、30から構成される映像監視システム1であって、撮像装置10が撮像対象物2の動きを追尾して撮像した撮像データに基づく監視範囲間移動情報を他の撮像装置30へ供給し、撮像装置10から供給された監視範囲間移動情報に応じて、他の撮像装置30が撮像対象物2の動きを追尾して撮像することを特徴とする。
【解決手段】 撮像対象物2の動きを追尾して撮像する追尾撮像手段を有する、複数の撮像装置10、30から構成される映像監視システム1であって、撮像装置10が撮像対象物2の動きを追尾して撮像した撮像データに基づく監視範囲間移動情報を他の撮像装置30へ供給し、撮像装置10から供給された監視範囲間移動情報に応じて、他の撮像装置30が撮像対象物2の動きを追尾して撮像することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象物の動きを追尾して撮像する追尾手段を有する複数の撮像装置から構成される映像監視システム及び映像監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラは、監視範囲内において不審者等を監視するため、様々な場所に設置されている。監視カメラには、監視活動を行うユーザの命令に応じて、カメラ本体を回転操作つまりパン/チルト操作して画角を移動することや、レンズのズームイン/アウト操作により撮像対象物の拡大/縮小することを行うものがある。また、監視カメラには、特許文献1に示すように、監視カメラ本体が撮像対象物の動きを検出して、検出した動きに応じて撮像対象物を追尾して撮像する、いわゆる自動追尾機能を有するものがある。さらに、特許文献2に示すように、複数の監視カメラから構成される映像監視システムは、監視範囲を様々な画角から撮像して、複数の監視カメラから得られた複数の撮像データ等を、例えば、複数の監視カメラとそれぞれ個別に接続されたホストコンピュータやサーバへ供給して、ホストコンピュータを操作するオペレータやサーバがこれらのデータに基づいて各監視カメラを連携して監視活動を行うものもある。
【0003】
【特許文献1】特開平6−217316号公報
【特許文献2】特開2005−167604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動追尾機能を有する監視カメラを単独で使用した場合には、追尾対象となる撮像対象物が、当該監視カメラの追尾可能範囲外まで移動してしまうと、それ以上追尾して撮像することができなかった。また、複数の監視カメラを用いて監視対象となる空間を様々な画角から撮像して監視を行う従来の監視カメラシステムは、個々の監視カメラが撮像した画像データを、ホストコンピュータやサーバで管理する。そして、従来の監視カメラシステムは、ホストコンピュータやサーバからの命令に応じて監視カメラ間で連携して監視活動を行っているため、その通信処理工程が複雑になる。また、通信処理工程が複雑であるため、監視カメラシステム自体の構成が大規模なものになってしまった。
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、複数の撮像装置を用いて広範囲を監視するとともに、容易かつ単純な通信処理工程によって撮像装置間での連携が図られる映像監視システム及び映像監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る映像監視システムは、所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムであって、第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成する第1の画像生成部と、上記第1の画像生成部が生成した第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出する第1の動体検出手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第1の追尾手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する第2の監視範囲へ移動するか否かを判定する第1の判定手段と、第2の撮像装置との間で通信を行う第1の通信手段とを備える第1の撮像装置と、上記第2の監視範囲を撮像して第2の監視範囲画像を生成する第2の画像生成部と、上記第2の画像生成部が生成した第2の監視範囲画像から上記画像対象物の動きを検出する第2の動体検出手段と、上記第2の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第2の追尾手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う第2の通信手段とを備える第2の撮像装置とを備え、上記第1の撮像装置は、上記判定手段により上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を上記第1の通信手段により上記第2の撮像装置へ送信し、上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを上記第2の動体検出手段により検出し、上記第2の動体検出手段により検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記第2の追尾手段により画角を移動して上記撮像対処物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の画像生成部により上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る映像監視方法は、所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムにおける映像監視方法であって、第1の撮像装置は、第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成し、生成した上記第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する上記第2の監視範囲へ移動するか否かを判定し、上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を第2の撮像装置へ送信し、上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を受信し、受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の撮像装置が撮像対象物の動きを追尾して撮像した撮像データに基づく監視範囲間移動情報を第2の撮像装置へ供給し、第1の撮像装置から供給された上記監視範囲間移動情報に応じて、第2の撮像装置が撮像対象物の動きを追尾して撮像する。
【0009】
このことにより、容易な通信処理で複数のカメラ同士が連携して、撮像対象物を広範囲に亘って追尾して撮像することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
監視カメラシステム1は、図1に示すように、カメラA10と、カメラB30と、カメラA10とカメラB30との間で通信を行う通信ケーブル3からなる。監視カメラシステム1は、カメラA10とカメラB30とを用いて、それぞれの監視範囲に侵入した不審者2の動きを検出して、不審者2を追尾して撮像する。
【0012】
カメラA10とカメラB30は、画像を撮像して監視を行うものであり、例えば、可視光により被写体像を撮像する従来の光学カメラや、夜間の監視活動を行うために赤外光により被写体像を撮像する赤外線カメラを用いればよい。ここで、カメラA10が撮像する監視範囲とカメラB30が撮像する監視範囲とは、互いに隣接しており、互いの位置関係も予め記憶しているものとする。
【0013】
監視カメラシステム1では、通信ケーブル3を介して、互いに隣接するカメラA10とカメラB30との監視範囲間を移動する不審者2を、カメラA10とカメラB10との間で連携して追尾するのに必要な監視範囲間移動情報の送受信が行われる。ここで、監視範囲間移動情報とは、例えば、カメラA10が不審者2を追尾して撮像してカメラB30の監視範囲内に侵入者が進入すると判断したときに、その判断した情報をカメラA10がカメラB30へ供給する情報である。なお、監視範囲間移動情報の詳細な説明については後述する。監視カメラシステム1では、通信ケーブルを用いた双方向での通信が必要であり、具体的には、LAN(Local Area Network)通信を行うケーブルを用いる。なお、監視カメラシステム1は、LANケーブルなどの有線の通信ケーブル3によってカメラ間での送受信を行う場合に限らず、無線LAN通信を用いるようにしてもよい。
【0014】
本実施の形態では、カメラA10が不審者2を追尾して撮像した撮像データに基づいて監視範囲間移動情報を生成して、監視範囲間移動情報を通信ケーブル3を介してカメラB30へ送信して、送信された監視範囲間移動情報に応じてカメラB30が不審者2を追尾して撮像することとする。つまり、監視カメラシステム1では、カメラB30をカメラA10の従属装置として用いる。
【0015】
なお、監視カメラシステム1は、カメラB30をカメラA10の従属装置として用いる場合に限らず、カメラA10をカメラB30の従属装置として用いるようにしてもよい。また、監視カメラシステム1は、図1に示したように、2台のカメラのみから構成される場合に限らず、3台以上の複数のカメラを用いて、各カメラ間で互いに監視範囲間移動情報の送受信を行い、それぞれのカメラでの監視範囲において不審者2を追尾して撮像するようにしても良い。また、本実施の形態では、不審者2つまり人間を監視対象とするが、これに限らず、例えば自動車などいかなるものを監視対象物としても良い。
【0016】
カメラA10は、図2に示すように、カメラ本体の底面に追尾用モータ11が設けられている。カメラA10の画角は、追尾用モータ11が回転駆動することにより移動する。本実施の形態において、追尾用モータ11は、カメラ本体を左右に回転させるいわゆるパン操作や、カメラ本体を上下に回転させるいわゆるチルト操作をカメラ本体に対して行う。ここで、カメラA10の画角は、追尾用モータ11が回転駆動する角度が制限されているので、制限された回転角度の範囲内を移動する。よって、カメラA10の監視範囲は、追尾用モータ11の回転角度内を移動する画角を重ね合わせた範囲となる。
【0017】
また、カメラA10は、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する画像生成部13と、画像生成部13が生成した画像データを記憶する画像記憶部14と、画像生成部13が生成した画像データから不審者2の動きを検出する動体検出部15と、動体検出部15が検出した不審者2の動きに応じて不審者2を追尾する処理を行う追尾処理部16と、不審者2の移動方向に応じて追尾用モータ11を回転駆動させるモータ駆動回路17と、動体検出部15と追尾処理部16とがそれぞれ検出する情報に応じて不審者2がカメラA10の監視範囲からカメラB30の監視範囲へ移動するか否かを判断する判断処理部18と、判断処理部18から供給される情報を所定の通信信号形式に変換してカメラB30へ供給する通信信号処理部19と、カメラA10全体の機能を制御するカメラA制御部20と、電力を供給する電源回路21とからなる。
【0018】
画像生成部13は、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像記憶部14と動体検出部15へ供給する。
【0019】
動体検出部15は、画像生成部13が生成した画像データにおいて、撮像時刻が前後する複数の画像フレームを比較して、被写体中に動きがある部分を検出して不審者2を特定し、その動きを検出する。また、動体検出部15は、検出した動体検出情報を追尾処理部16と判断処理部18へ供給する。
【0020】
追尾処理部16は、動体検出部15が検出した動体検出情報に応じて不審者2が移動する方向を求める。また、追尾処理部16は、追尾用モータ11の回転角度情報がモータ駆動回路16から供給され、その回転角度情報に応じて、追尾用モータ11が、画角を移動することができる限界の回転角度に達しているか否かを判断する。さらに、追尾処理部16は、追尾用モータ11が不審者2の追尾を行う限界の回転角度に達している場合、この回転角度限界情報を判断処理部18へ供給する。
【0021】
モータ駆動回路17は、追尾処理部16から供給される不審者2の移動方向に応じて、追尾用モータ11を回転させる。また、モータ駆動回路17は、追尾用モータ11の回転角度を計測し、その回転角度情報を追尾処理部16へ供給する。
【0022】
判断処理部18は、動体検出部15から供給される動体検出情報と追尾処理部16から供給される回転角度限界情報とに応じて、カメラA10が不審者2を追尾できるか否かを判断する。ここで、判断処理部18は、隣接するカメラB30の位置を予め設定記憶されているものとし、カメラA10がその監視範囲内において不審者2を追尾することができないと判断した場合、監視範囲間移動情報を通信信号処理部19へ供給する。
【0023】
カメラB30の画角は、図3に示すように、追尾用モータ31が設けられており、追尾用モータ31が回転することによって移動する。つまり、追尾用モータ31は、カメラA10と同様に、パン操作やチルト操作を行う。ここで、カメラB30の画角は、追尾用モータ31が回転駆動する角度が制限されているので、制限された回転角度の範囲内を移動する。よって、カメラB30の監視範囲は、追尾用モータ31の回転角度内を移動する画角を重ね合わせた範囲となる。
【0024】
また、カメラB30は、レンズ32が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する画像生成部33と、画像生成部33が生成した画像データを記憶する画像記憶部34と、画像生成部33が生成した画像データから不審者2の動きを検出する動体検出部35と、動体検出部35が不審者2の動きを検出した動体検出情報に応じて不審者2を追尾するための処理を行う追尾処理部36と、追尾処理部36が検出した不審者2の移動方向に応じて追尾用モータ31を回転駆動させるモータ駆動回路37と、カメラA10から供給された監視範囲間移動情報に応じて不審者2を追尾可能か否かを判断する判断処理部38と、カメラA10から供給された通信信号形式の監視範囲間移動情報に対して所定の変換を施して判断処理部38へ供給する通信信号処理部39と、カメラB30全体の機能を制御するカメラB制御部40と、電力を供給する電源回路41とからなる。
【0025】
次に、図4及び図5を参照して、カメラA10とカメラB30間で連携して不審者2の追尾を行う監視カメラシステム1のカメラ間連携追尾処理工程について説明する。
【0026】
ステップS1において、画像生成部13は、カメラA制御部20からの命令に従い、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する。また、画像生成部13は、生成した撮像データを、画像記憶部14と動体検出部15へ供給する。そして、画像記憶部14は、画像生成部13から供給された画像データを所定の記憶媒体に記憶する。なお、画像データは、画像記憶部14に記憶される場合に限らず、任意の通信手段を介してカメラA10以外の他の記憶媒体を有する情報処理装置に記憶されるようにしてもよい。
【0027】
ステップS2において、動体検出部15は、カメラA制御部20からの命令に従い、画像データから不審者2の動きの検出をする。ここで、不審者2の動きは、撮像時刻が前後する複数の画像フレームの比較により、画像データの被写体中から動きのある部分が特定されることで検出される。さらに、動体検出部15は、カメラA制御部20からの命令に従い、不審者2の動きを検出した動体検出情報を、それぞれ追尾処理部16と判断処理部18へ供給する。
【0028】
ステップS3において、追尾処理部16は、カメラA制御部20からの命令に従い、移動検出情報に応じて不審者2が移動する方向を求める。不審者2が画角上を移動している場合、追尾処理部16は、不審者2の移動方向に応じて、カメラA10の画角を移動するために適切な回転制御情報を生成してモータ駆動回路17へ供給する。また、不審者2が画角上において移動していない場合、カメラA制御部20は、処理をステップS2に戻る。
【0029】
ステップS4において、モータ駆動回路17は、カメラA制御部20からの命令に従い、追尾処理部16から出力された回転駆動情報に応じて、追尾用モータ11の回転駆動を行う。また、モータ駆動回路17は、追尾用モータ11の回転角度を計測し、その回転角度情報を追尾処理部16に供給する。このように、追尾用モータ11が回転することによって、カメラA10は、画角を移動して不審者2の動きを追尾して撮像する。
【0030】
ステップS5において、追尾処理部16は、カメラA制御部20からの命令に従い、モータ駆動回路17から供給される回転角度情報に基づいて、追尾用モータ11の回転角度が不審者2の動きを追尾して撮像できる限界に達しているか否かを判断する。追尾用モータ11が不審者2の動きを追尾する限界の回転角度であると判断すると、カメラA制御部20は、処理をステップS6へ進める。また、追尾用モータ11の駆動範囲内で不審者2の動きを追尾して撮像できると判断すると、カメラA制御部20は、ステップS1からステップS5まで処理を繰り返す。
【0031】
ステップS6において、画像生成部13は、カメラA制御部20からの命令に従い、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する。追尾用モータ11は、既に回転角度が限界に達しているため、画角を移動して不審者2を追尾することができない。よって、画像生成部13は、画角が固定された状態で画像データを生成する。
【0032】
ステップS7において、ステップS2の処理と同様に、動体検出部15は、カメラA制御部20からの命令に従い、画像データから不審者2の動きを検出する。
【0033】
ステップS8において、判断処理部18は、カメラA制御部20からの命令に従い、動体検出部15から供給される動体検出情報と追尾処理部16から供給される回転角度限界情報とに応じて、カメラA10の監視範囲から隣接するカメラB30の監視範囲へ不審者2が移動するか否かの判断を行う。不審者2がカメラA10の画角外へ移動すると判断された場合、カメラA制御部20は、処理工程をステップS9へ進める。また、不審者2がカメラA10の画角外へ移動しないと判断された場合、カメラA制御部20は、ステップS6からステップS8を繰り返す。ここで、不審者2がカメラA10の画角外へ移動するか否かの判断は、例えば、図5の(a)に示すように、カメラA10の画角右側に示された破線10aに対して、不審者2が右方向へ移動したか否かの判定指標を用いて容易に処理することができる。
【0034】
ステップS9において、判断処理部18は、カメラA制御部20からの命令に従い、カメラB30が不審者2を追尾するのに必要となる監視範囲間移動情報を作成する。さらに、作成された監視範囲間移動情報は、通信信号生成部19によって通信信号形式に変換され、図5の(b)に示すように、通信ケーブル3を介してカメラB30へ送信される。
【0035】
ここで、監視範囲間移動情報は、例えば、図6に示すように、通知先カメラ識別情報51と、発信先カメラ識別情報52と、時刻情報53と、検出された物体の情報54とからなる。本処理工程では、通知先カメラ識別情報51は、監視範囲間移動情報の送信先であるカメラB30に当たる。同様に、発信元カメラ識別情報52は、カメラA10に当たる。さらに、検出された物体の情報54は、図6に示すように、物体のサイズ54aと、物体の移動速度54bと、物体の移動方向54cと、物体の色54dと、物体の種類54e(例えば、人、自動車等)からなる。なお、監視範囲間移動情報は、必ずしも上述した項目が全て必要とは限らず、目的に応じて必要な事項を用いるようにしてよい。
【0036】
次に、カメラA10により生成された監視範囲情報がカメラB30に供給されると、カメラ間連携追尾処理工程は、カメラA10からカメラB30へ移行する。
【0037】
ステップS10において、カメラB30の通信信号処理部39は、カメラA10から通信ケーブル3を介して送信された監視範囲間移動情報を、カメラB制御部40へ通知する。その後、通信信号処理部39は、カメラB制御部40からの命令に従い、受信した監視範囲間移動情報を判断処理部38へ供給する。
【0038】
ステップS11において、判断処理部38は、カメラB制御部40からの命令に従い、通信信号処理部39から入力された監視範囲間移動情報を解析する。ここで、判断処理部38には、予めカメラA30の位置情報が設定記憶されているものとする。また、判断処理部38では、監視範囲間移動情報の「発信元カメラ情報52」や「検出された物体の情報54」などの追尾用モータ31が不審者2を追尾するのに必要な情報に応じて、カメラB30の画角を移動するのに必要となる追尾用モータ31の回転駆動情報を生成する。また、判断処理部38は、作成した回転駆動情報をモータ駆動回路37へ供給する。
【0039】
ステップS12において、モータ駆動回路37は、カメラB制御部40からの命令に従い、追尾処理部36から供給された回転駆動情報に応じて、追尾用モータ31を回転駆動させる。カメラB30は、図5の(c)に示すように、追尾用モータ31の回転駆動によって、カメラB30監視範囲内に移動してくる不審者2を捉える。また、モータ駆動回路37は、カメラB制御部40からの命令に従い、追尾用モータ31の回転角度情報を計測するとともに、その情報を追尾処理部36へ供給する。
【0040】
ステップS13において、画像生成部33は、カメラB制御部40からの命令に従い、レンズ32が捉えた被写体、つまり不審者2を撮像して画像データを生成する。また、画像生成部33は、生成した撮像データを、画像記憶部34と動体検出部35へ供給する。ここで、画像記憶部34は、画像生成部33から供給された画像データを記憶する。なお、画像データは、画像記憶部34に記憶される場合に限らず、任意の通信手段を介して、カメラB30以外の他の記憶媒体を有する情報処理装置に記憶されるようにしてもよい。
【0041】
ステップS14において、動体検出部35は、カメラB制御部40からの命令に従い、画像データから不審者2の動きを検出する。さらに、動体検出部35は、カメラB制御部40からの命令に従い、不審者2の動きを検出した動体検出情報を、追尾処理部36と判断処理部38へ供給する。
【0042】
ステップS15において、追尾処理部36は、カメラB制御部40からの命令に従い、動体検出情報に応じて、不審者2が移動する方向を検出する。図5の(e)に示すように不審者2の移動を検出した場合、追尾処理部36は、カメラA制御部40からの命令に従い、検出した不審者2の移動方向に応じてカメラB30の画角を移動するのに必要となるモータの回転制御情報を、モータ駆動回路37へ供給する。また、不審者2が移動しなかった場合、カメラA制御部20は、処理をステップS14に戻る。
【0043】
ステップS16において、モータ駆動回路37は、カメラB制御部40からの命令に従い、追尾処理部36から供給された回転駆動情報に応じて、追尾用モータ31を回転駆動する。さらに、モータ駆動回路36は、追尾用モータ31の回転角度情報を計測して、追尾処理部36を介して、追尾処理部36へ供給する。以後、カメラB10は、図5の(f)に示すように、その本体に設けられた追尾用モータ31の回転に応じて画角が変化して不審者2の動きを追尾して撮像する。
【0044】
このように、監視カメラシステム1は、カメラA10とカメラB30との間で監視範囲間移動情報を送受信することによって、容易にカメラ間で連携して不審者を追尾して撮像することができる。
【0045】
次に、監視用カメラシステム1を、具体的な監視対象となる場所で用いた適用例について、図7及び図8を参照して説明する。
【0046】
図7及び図8に示す監視対象となる場所は、十字形に交叉した道路であり、その十字路の各角に全て建物があるものとする。ここで、十字路に対して、左上、右上、右下、左下の各角に沿った建物をそれぞれ、建物61、建物62、建物63、建物64とする。また、監視カメラシステム1はカメラA10、B30から構成されるものとする。カメラA10は、建物62と対向する建物61の壁面に配置されているものとする。カメラB30は、建物62と対向する建物63の壁面に配置されているものとする。
【0047】
カメラA10は、図7の(a)に示すように、建物62と建物63との間に挟まれた道路の大部分と、建物61と建物64との間に挟まれた道路の大部分が、死角となって撮像することができない。同様に、カメラB30は、図7の(b)に示すように、建物61と建物62との間に挟まれた道路の大部分と、建物63と建物64との間に挟まれた道路の大部分が、死角となって撮像することができない。したがって、カメラA10単体又はカメラB30単体で監視を行った場合には、上述した死角となる監視対象範囲での監視ができない。
【0048】
また、カメラA10とカメラB30の2つのカメラを用いた場合には、図7の(c)に示すように、互いのカメラの死角を補間することができる。しかし、カメラA10とカメラB30との間で不審者2を追尾するための連携がなされないと、カメラの画角の方向によって不審者2を見失ってしまう可能性がある。
【0049】
一方、本実施形態の監視カメラシステム1は、カメラ間で監視範囲間移動情報の連携を行うので、不審者2がそれぞれのカメラの画角外に移動しても、監視範囲間移動情報に応じて不審者2を確実に追尾して撮像し続けることができる。例えば、図8に示すように、不審者2が建物62と建物63との間に挟まれた道路を十字分岐まで移動したあとに、建物61と建物62との間に挟まれた道路へ移動した場合には、まず、カメラB30が不審者2を追尾して撮像し、その後、カメラB30がカメラA10へ送信する監視範囲間移動情報に応じて、カメラA10が不審者2を追尾して撮像することができる。
【0050】
さらに、従来の監視カメラシステムは、カメラ間で監視範囲間移動情報を共有する際に、ホストコンピュータやサーバを介して連携を行っているが、本実施形態の監視カメラシステム1は、直接カメラ間同士で情報の連携を行っているので、システムの構成がより単純にすることができる。また、従来のホストコンピュータやサーバを介して連携を行う監視カメラシステムでは、一部のネットワークが切断された場合に、システム全体で使用不可能になる虞があるが、本実施形態の監視カメラシステム1は、一部のネットワークが切断されても、カメラ間の連係機能全体が使用不能にならない頑健性の高いシステムを構築することができる。
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態の監視カメラシステム1が有する不審者2を追尾するカメラ間が連携して追尾する機能に加え、さらに、異常検出情報に基づいたカメラ間の連携機能を用いてシステム全体の省電力化を図ることができる第2の実施形態の監視カメラシステム4について説明する。ここで、異常検出情報とは、監視範囲内に不審者が進入した情報である。
【0051】
第2の実施形態の監視カメラシステム1は、図9に示すように、カメラA100と、カメラB130と、カメラA100とカメラB130との間で情報の送受信を行う通信ケーブル3からなる第1の実施形態の監視カメラシステム1と同様な構成に加えて、さらに、監視範囲に不審者2が進入したか否かを検出するセンサが設けられた開閉センサ付ドア5を備える。ここで、開閉センサ付ドア5は、カメラA10の監視範囲内に設置されているものとする。
【0052】
開閉センサ付ドア5は、不審者2が監視範囲に進入する時のドアの開閉を通信信号で検出するセンサが設けられており、検出されたドア開閉情報を所定の通信回線を介してカメラA100に供給する。このセンサが供給する通信信号として、本実施の形態では、ドアが開いた際に+5Vの電圧信号を出力し、ドアが閉じている状態では0Vの電圧信号を出力する、簡単なON/OFF信号を用いることにする。
【0053】
通信ケーブル3は、カメラA100とカメラB130との間で、監視範囲間移動情報の送受信に加えて、開閉センサ付ドア5の開閉に応じて不審者2が監視範囲に入ったか否かを判断するドア開閉情報の送受信を行う。
【0054】
カメラB130は、監視範囲内で不審者2の監視を行う通常動作状態に対して、カメラの機能を制限することで消費電力を抑制する省電力動作状態に移行する機能を有する。
【0055】
本実施の形態では、第1の実施形態と同様に、カメラA100が不審者2を追尾して撮像した撮像データに基づいて監視範囲間移動情報を生成し、この監視範囲間移動情報を通信ケーブル3を介してカメラB130に送信して、送信された監視範囲間移動情報に応じてカメラB130が不審者2を追尾して撮像することとする。また、カメラB130は、カメラA100が供給するドア開閉情報に応じて、省電力動作状態から通常動作状態へ移行する。つまり、本実施の形態では、カメラB130をカメラA100の従属装置として用いる。
【0056】
カメラA100は、図10に示すように、第1の実施形態のカメラA10と同様な構成に加えて、さらに開閉センサ付ドア5から供給される電圧信号形式のドア開閉情報の信号処理を行う異常検出信号処理部112を備える。また、通信信号処理部109は、第1の実施形態と同様に監視範囲間移動情報を通信信号に変換してカメラB130へ供給して、ドア開閉情報に応じた起動情報をカメラB130へ供給する。
【0057】
カメラB130は、図11に示すように、第1の実施形態のカメラB30と同様な構成に加えて、省電力動作状態の時に動作が制限される省電力動作対象ブロック142を設定する。省電力動作対象ブロック142は、省電力動作状態から通常動作状態への移行に支障を来さない、カメラB130を構成する部分を設定すればよい。具体的は、通信信号処理部139と、カメラB制御部140と、電源回路141以外の図11の破線で囲まれた構成部分が省電力動作対象ブロック142に該当する。電源回路141は、カメラB制御部140からの命令に応じて、省電力対象ブロック142に該当する構成部分への供給電源を制限する。このように、カメラB130は、省電力状態となる。
【0058】
次に、図12及び図13を参照して、カメラA100とカメラB130間で連携して、カメラA100の監視範囲内に不審者2が検出されたことに応じてカメラB130を省電力動作状態から通常動作状態へ移行する監視カメラシステム4の消費電力制御処理工程について説明する。なお、以下に説明する消費電力制御処理工程において、カメラ間連携追尾処理に関する説明を省略する。
【0059】
ステップS20において、画像生成部103は、カメラA制御部110からの命令に従い、レンズ102が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する。画像生成部103は、生成した画像データを、画像記憶部104と動体検出部105に供給する。また、図13の(a)に示すように、異常検出信号処理部112は、カメラA制御部110からの命令に従い、開閉センサ付ドア5からの電圧信号の供給に待機するため通電状態に設定する。
【0060】
ステップS21において、動体検出部105は、カメラA制御部110からの命令に従い、画像データから不審者2の動きを検出する。また、開閉センサ付ドア5から+5[V]の電圧信号、つまりドアが開かれたことを通知する旨のドア開閉情報が供給されると、通信信号処理部109は、+5[V]の電圧信号を検出して、検出した旨を判断処理部108へ通知する。
【0061】
ステップS22において、判断処理部108は、カメラA制御部110からの命令に従い、動体検出部105からの画像データに基づく異常検出情報と異常検出信号処理部112から通知されるドア開閉情報とに応じて、監視範囲に不審者2が進入したか否かを判断する。カメラA制御部110は、図13の(b)に示すように、判断処理部108が監視範囲に不審者2が進入したと判断すると、処理をステップS23へ進める。このようにしてカメラA100は不審者2の追尾を開始する。一方、カメラA制御部110は、判断処理部108が監視範囲に不審者2が進入していないと判断すると、処理をステップS21に戻る。
【0062】
ステップS23において、判断処理部108は、カメラA制御部110からの命令に従い、省電力動作状態であるカメラB130が通常動作状態へ移行する起動命令情報を通信信号処理部109へ供給する。さらに、通信信号処理部109は、カメラA制御部110からの命令に従い、図13の(c)に示すように、判断処理部108から供給した起動命令情報を通信信号形式に変換するとともに、通信ケーブル3を介して、カメラB130へ送信する。
【0063】
ここで、起動命令情報がカメラA100からカメラB130へ送信されると、監視カメラシステム4の消費電力制御に関する処理工程が、カメラB130へ移行する。
【0064】
ステップS24において、カメラB130の通信信号処理部139は、通信ケーブル3を介して送信されたカメラA100からの起動命令情報を受信すると、受信した旨をカメラB制御部140へ通知する。その後、カメラB制御部140は、通信信号処理部139に対して、起動命令情報を判断処理部138へ供給させる。
【0065】
ステップS25において、判断処理部138は、カメラB制御部140からの命令に従い、起動命令情報を解析してカメラA100の監視範囲内に不審者2が進入したか否かを判断する。カメラB制御部140は、判断処理部138がカメラA100の監視範囲内に不審者2が進入したと判断すると、処理をステップS26へ進める。また、カメラB制御部130は、判断処理部138が監視範囲内に不審者2が進入していないと判断すると、処理をステップS24に戻る。
【0066】
ステップS26において、電源回路141は、カメラB制御部140からの命令に従い、省電力動作対象ブロック142に通常動作状態へ移行するための電力を供給する。
【0067】
ステップS27において、通常動作状態に必要な電力が省電力動作対象ブロック142へ供給されると、カメラB130は、図13の(d)に示すように、カメラB30の監視範囲内を撮像することができる通常動作状態へ移行する。その後、カメラB130は、カメラA100からの監視範囲間移動情報を受信すると、カメラB30の監視範囲内において不審者2を追尾して撮像する。
【0068】
なお、起動命令情報は、単にカメラB130の省電力動作対象ブロック142を起動する命令に限ったものではない。例えば、カメラB制御部140は、起動命令情報を受信した後、所定の時間待機した後に省電力動作対象ブロック142を省電力動作状態から通常動作状態へ移行するようにしてもよい。
【0069】
このように、カメラB130は、カメラA100及びカメラB130の監視範囲内に異常が生じていない時に省電力状態でありながら、異常発生時にカメラA100から供給される起動命令情報に応じて、確実に通常動作状態、つまり監視動作が可能な状態へ移行できる。したがって、カメラB130がバッテリ駆動されている場合など、使用できる電力に制限がある場合、カメラB130が異常事態に備える待機可能時間を延ばすことができる。
【0070】
なお、第2の実施形態の監視カメラシステム4は、通信ケーブル3を介して起動命令情報を送受信することにより、省電力動作状態と通常動作電力状態の移行を行う場合に限られるものではない。例えば、開閉センサ付ドア5とカメラA100との間のドア開閉情報の伝達は単純なON/OFF電圧信号で行っているので、図14に示すように、監視カメラシステム4におけるカメラA100とカメラB130との間のドア開閉情報の送受信も、通信ケーブル3の代わりに、電圧信号を単に伝達する電線5を用いるようにしてもよい。この場合、カメラA100は、図15に示すように、通信信号処理部109が起動命令情報をカメラB130へ送信する代わりに、異常検出信号処理部112が電線5を介してカメラB130へ電圧信号形式のドア開閉情報を供給すればよい。さらに、カメラB130は、図16に示すように、カメラA100から供給される電圧形式のドア開閉情報を入力して信号処理できる異常検出信号処理部143を設ければよい。このように、監視カメラシステム4は、カメラA100とカメラB130との間で、電圧信号によるドア開閉情報を電線5で伝達することで、通信ケーブル3で起動命令情報を送受信することに比べて、通信処理を単純かつ容易に行うことができる。
【0071】
また、上述した第2の実施形態の監視カメラシステム4は、開閉センサ付ドア5の検出情報と、カメラA100が行う監視対象範囲の画像データとの2つの情報に応じて異常が発生したか否かの判断を行っているが、必ずしもこのような処理方法に限ったものではない。例えば、開閉センサ付ドア5からの開閉センサ情報のみに応じて異常が発生したか否かを判断するようにしてもよい。したがって、この場合にはカメラA100は、カメラB130と同様に、開閉センサ付ドア5からの開閉情報が供給されるまで省電力状態で待機するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施形態の監視カメラシステムの構成を示した模式図である。
【図2】第1の実施形態のカメラAの構成を示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態のカメラBの構成を示したブロック図である。
【図4】第1の実施形態の監視カメラシステムのカメラ間連携追尾処理工程を示したフローチャートである。
【図5】第1の実施形態の監視カメラシステムが行うカメラ間連携追尾処理を示した模式図である。
【図6】監視範囲間移動情報の各項目を示した図である。
【図7】監視カメラシステムを具体的な監視対象範囲で適用した図である。
【図8】監視カメラシステムを具体的な監視対象範囲で適用した図である。
【図9】第2の実施形態の監視カメラシステムの構成を示した模式図である。
【図10】第2の実施形態のカメラAの構成を示したブロック図である。
【図11】第2の実施形態のカメラBの構成を示したブロック図である。
【図12】第2の実施形態の監視カメラシステムの消費電力制御に関する処理工程を示したフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の監視カメラシステムが行う消費電力制御に関する処理を示した模式図である。
【図14】第2の実施形態の監視カメラシステムの構成を示した模式図である。
【図15】第2の実施形態のカメラAの構成を示したブロック図である。
【図16】第2の実施形態のカメラBの構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
1、4 監視カメラシステム、2 不審者、3 通信ケーブル、5 電線、10、100 カメラA、30、130 カメラB、11、31、101、131 追尾用モータ、12、32、102、132 レンズ、13、33、103、133 画像生成部、14、34、104、134 画像記憶部、15、35、105、135 動体検出部、16、36、106、136 追尾処理部、17、37、017、137 モータ駆動回路、18、38、108、138 判断処理部、19、39、109、139 通信信号処理部、20、110 カメラA制御部、40、140 カメラB制御部、21、41、111、141 電源回路、112、143 異常検出信号処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象物の動きを追尾して撮像する追尾手段を有する複数の撮像装置から構成される映像監視システム及び映像監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラは、監視範囲内において不審者等を監視するため、様々な場所に設置されている。監視カメラには、監視活動を行うユーザの命令に応じて、カメラ本体を回転操作つまりパン/チルト操作して画角を移動することや、レンズのズームイン/アウト操作により撮像対象物の拡大/縮小することを行うものがある。また、監視カメラには、特許文献1に示すように、監視カメラ本体が撮像対象物の動きを検出して、検出した動きに応じて撮像対象物を追尾して撮像する、いわゆる自動追尾機能を有するものがある。さらに、特許文献2に示すように、複数の監視カメラから構成される映像監視システムは、監視範囲を様々な画角から撮像して、複数の監視カメラから得られた複数の撮像データ等を、例えば、複数の監視カメラとそれぞれ個別に接続されたホストコンピュータやサーバへ供給して、ホストコンピュータを操作するオペレータやサーバがこれらのデータに基づいて各監視カメラを連携して監視活動を行うものもある。
【0003】
【特許文献1】特開平6−217316号公報
【特許文献2】特開2005−167604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動追尾機能を有する監視カメラを単独で使用した場合には、追尾対象となる撮像対象物が、当該監視カメラの追尾可能範囲外まで移動してしまうと、それ以上追尾して撮像することができなかった。また、複数の監視カメラを用いて監視対象となる空間を様々な画角から撮像して監視を行う従来の監視カメラシステムは、個々の監視カメラが撮像した画像データを、ホストコンピュータやサーバで管理する。そして、従来の監視カメラシステムは、ホストコンピュータやサーバからの命令に応じて監視カメラ間で連携して監視活動を行っているため、その通信処理工程が複雑になる。また、通信処理工程が複雑であるため、監視カメラシステム自体の構成が大規模なものになってしまった。
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、複数の撮像装置を用いて広範囲を監視するとともに、容易かつ単純な通信処理工程によって撮像装置間での連携が図られる映像監視システム及び映像監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る映像監視システムは、所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムであって、第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成する第1の画像生成部と、上記第1の画像生成部が生成した第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出する第1の動体検出手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第1の追尾手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する第2の監視範囲へ移動するか否かを判定する第1の判定手段と、第2の撮像装置との間で通信を行う第1の通信手段とを備える第1の撮像装置と、上記第2の監視範囲を撮像して第2の監視範囲画像を生成する第2の画像生成部と、上記第2の画像生成部が生成した第2の監視範囲画像から上記画像対象物の動きを検出する第2の動体検出手段と、上記第2の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第2の追尾手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う第2の通信手段とを備える第2の撮像装置とを備え、上記第1の撮像装置は、上記判定手段により上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を上記第1の通信手段により上記第2の撮像装置へ送信し、上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを上記第2の動体検出手段により検出し、上記第2の動体検出手段により検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記第2の追尾手段により画角を移動して上記撮像対処物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の画像生成部により上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る映像監視方法は、所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムにおける映像監視方法であって、第1の撮像装置は、第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成し、生成した上記第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する上記第2の監視範囲へ移動するか否かを判定し、上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を第2の撮像装置へ送信し、上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を受信し、受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の撮像装置が撮像対象物の動きを追尾して撮像した撮像データに基づく監視範囲間移動情報を第2の撮像装置へ供給し、第1の撮像装置から供給された上記監視範囲間移動情報に応じて、第2の撮像装置が撮像対象物の動きを追尾して撮像する。
【0009】
このことにより、容易な通信処理で複数のカメラ同士が連携して、撮像対象物を広範囲に亘って追尾して撮像することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
監視カメラシステム1は、図1に示すように、カメラA10と、カメラB30と、カメラA10とカメラB30との間で通信を行う通信ケーブル3からなる。監視カメラシステム1は、カメラA10とカメラB30とを用いて、それぞれの監視範囲に侵入した不審者2の動きを検出して、不審者2を追尾して撮像する。
【0012】
カメラA10とカメラB30は、画像を撮像して監視を行うものであり、例えば、可視光により被写体像を撮像する従来の光学カメラや、夜間の監視活動を行うために赤外光により被写体像を撮像する赤外線カメラを用いればよい。ここで、カメラA10が撮像する監視範囲とカメラB30が撮像する監視範囲とは、互いに隣接しており、互いの位置関係も予め記憶しているものとする。
【0013】
監視カメラシステム1では、通信ケーブル3を介して、互いに隣接するカメラA10とカメラB30との監視範囲間を移動する不審者2を、カメラA10とカメラB10との間で連携して追尾するのに必要な監視範囲間移動情報の送受信が行われる。ここで、監視範囲間移動情報とは、例えば、カメラA10が不審者2を追尾して撮像してカメラB30の監視範囲内に侵入者が進入すると判断したときに、その判断した情報をカメラA10がカメラB30へ供給する情報である。なお、監視範囲間移動情報の詳細な説明については後述する。監視カメラシステム1では、通信ケーブルを用いた双方向での通信が必要であり、具体的には、LAN(Local Area Network)通信を行うケーブルを用いる。なお、監視カメラシステム1は、LANケーブルなどの有線の通信ケーブル3によってカメラ間での送受信を行う場合に限らず、無線LAN通信を用いるようにしてもよい。
【0014】
本実施の形態では、カメラA10が不審者2を追尾して撮像した撮像データに基づいて監視範囲間移動情報を生成して、監視範囲間移動情報を通信ケーブル3を介してカメラB30へ送信して、送信された監視範囲間移動情報に応じてカメラB30が不審者2を追尾して撮像することとする。つまり、監視カメラシステム1では、カメラB30をカメラA10の従属装置として用いる。
【0015】
なお、監視カメラシステム1は、カメラB30をカメラA10の従属装置として用いる場合に限らず、カメラA10をカメラB30の従属装置として用いるようにしてもよい。また、監視カメラシステム1は、図1に示したように、2台のカメラのみから構成される場合に限らず、3台以上の複数のカメラを用いて、各カメラ間で互いに監視範囲間移動情報の送受信を行い、それぞれのカメラでの監視範囲において不審者2を追尾して撮像するようにしても良い。また、本実施の形態では、不審者2つまり人間を監視対象とするが、これに限らず、例えば自動車などいかなるものを監視対象物としても良い。
【0016】
カメラA10は、図2に示すように、カメラ本体の底面に追尾用モータ11が設けられている。カメラA10の画角は、追尾用モータ11が回転駆動することにより移動する。本実施の形態において、追尾用モータ11は、カメラ本体を左右に回転させるいわゆるパン操作や、カメラ本体を上下に回転させるいわゆるチルト操作をカメラ本体に対して行う。ここで、カメラA10の画角は、追尾用モータ11が回転駆動する角度が制限されているので、制限された回転角度の範囲内を移動する。よって、カメラA10の監視範囲は、追尾用モータ11の回転角度内を移動する画角を重ね合わせた範囲となる。
【0017】
また、カメラA10は、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する画像生成部13と、画像生成部13が生成した画像データを記憶する画像記憶部14と、画像生成部13が生成した画像データから不審者2の動きを検出する動体検出部15と、動体検出部15が検出した不審者2の動きに応じて不審者2を追尾する処理を行う追尾処理部16と、不審者2の移動方向に応じて追尾用モータ11を回転駆動させるモータ駆動回路17と、動体検出部15と追尾処理部16とがそれぞれ検出する情報に応じて不審者2がカメラA10の監視範囲からカメラB30の監視範囲へ移動するか否かを判断する判断処理部18と、判断処理部18から供給される情報を所定の通信信号形式に変換してカメラB30へ供給する通信信号処理部19と、カメラA10全体の機能を制御するカメラA制御部20と、電力を供給する電源回路21とからなる。
【0018】
画像生成部13は、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像記憶部14と動体検出部15へ供給する。
【0019】
動体検出部15は、画像生成部13が生成した画像データにおいて、撮像時刻が前後する複数の画像フレームを比較して、被写体中に動きがある部分を検出して不審者2を特定し、その動きを検出する。また、動体検出部15は、検出した動体検出情報を追尾処理部16と判断処理部18へ供給する。
【0020】
追尾処理部16は、動体検出部15が検出した動体検出情報に応じて不審者2が移動する方向を求める。また、追尾処理部16は、追尾用モータ11の回転角度情報がモータ駆動回路16から供給され、その回転角度情報に応じて、追尾用モータ11が、画角を移動することができる限界の回転角度に達しているか否かを判断する。さらに、追尾処理部16は、追尾用モータ11が不審者2の追尾を行う限界の回転角度に達している場合、この回転角度限界情報を判断処理部18へ供給する。
【0021】
モータ駆動回路17は、追尾処理部16から供給される不審者2の移動方向に応じて、追尾用モータ11を回転させる。また、モータ駆動回路17は、追尾用モータ11の回転角度を計測し、その回転角度情報を追尾処理部16へ供給する。
【0022】
判断処理部18は、動体検出部15から供給される動体検出情報と追尾処理部16から供給される回転角度限界情報とに応じて、カメラA10が不審者2を追尾できるか否かを判断する。ここで、判断処理部18は、隣接するカメラB30の位置を予め設定記憶されているものとし、カメラA10がその監視範囲内において不審者2を追尾することができないと判断した場合、監視範囲間移動情報を通信信号処理部19へ供給する。
【0023】
カメラB30の画角は、図3に示すように、追尾用モータ31が設けられており、追尾用モータ31が回転することによって移動する。つまり、追尾用モータ31は、カメラA10と同様に、パン操作やチルト操作を行う。ここで、カメラB30の画角は、追尾用モータ31が回転駆動する角度が制限されているので、制限された回転角度の範囲内を移動する。よって、カメラB30の監視範囲は、追尾用モータ31の回転角度内を移動する画角を重ね合わせた範囲となる。
【0024】
また、カメラB30は、レンズ32が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する画像生成部33と、画像生成部33が生成した画像データを記憶する画像記憶部34と、画像生成部33が生成した画像データから不審者2の動きを検出する動体検出部35と、動体検出部35が不審者2の動きを検出した動体検出情報に応じて不審者2を追尾するための処理を行う追尾処理部36と、追尾処理部36が検出した不審者2の移動方向に応じて追尾用モータ31を回転駆動させるモータ駆動回路37と、カメラA10から供給された監視範囲間移動情報に応じて不審者2を追尾可能か否かを判断する判断処理部38と、カメラA10から供給された通信信号形式の監視範囲間移動情報に対して所定の変換を施して判断処理部38へ供給する通信信号処理部39と、カメラB30全体の機能を制御するカメラB制御部40と、電力を供給する電源回路41とからなる。
【0025】
次に、図4及び図5を参照して、カメラA10とカメラB30間で連携して不審者2の追尾を行う監視カメラシステム1のカメラ間連携追尾処理工程について説明する。
【0026】
ステップS1において、画像生成部13は、カメラA制御部20からの命令に従い、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する。また、画像生成部13は、生成した撮像データを、画像記憶部14と動体検出部15へ供給する。そして、画像記憶部14は、画像生成部13から供給された画像データを所定の記憶媒体に記憶する。なお、画像データは、画像記憶部14に記憶される場合に限らず、任意の通信手段を介してカメラA10以外の他の記憶媒体を有する情報処理装置に記憶されるようにしてもよい。
【0027】
ステップS2において、動体検出部15は、カメラA制御部20からの命令に従い、画像データから不審者2の動きの検出をする。ここで、不審者2の動きは、撮像時刻が前後する複数の画像フレームの比較により、画像データの被写体中から動きのある部分が特定されることで検出される。さらに、動体検出部15は、カメラA制御部20からの命令に従い、不審者2の動きを検出した動体検出情報を、それぞれ追尾処理部16と判断処理部18へ供給する。
【0028】
ステップS3において、追尾処理部16は、カメラA制御部20からの命令に従い、移動検出情報に応じて不審者2が移動する方向を求める。不審者2が画角上を移動している場合、追尾処理部16は、不審者2の移動方向に応じて、カメラA10の画角を移動するために適切な回転制御情報を生成してモータ駆動回路17へ供給する。また、不審者2が画角上において移動していない場合、カメラA制御部20は、処理をステップS2に戻る。
【0029】
ステップS4において、モータ駆動回路17は、カメラA制御部20からの命令に従い、追尾処理部16から出力された回転駆動情報に応じて、追尾用モータ11の回転駆動を行う。また、モータ駆動回路17は、追尾用モータ11の回転角度を計測し、その回転角度情報を追尾処理部16に供給する。このように、追尾用モータ11が回転することによって、カメラA10は、画角を移動して不審者2の動きを追尾して撮像する。
【0030】
ステップS5において、追尾処理部16は、カメラA制御部20からの命令に従い、モータ駆動回路17から供給される回転角度情報に基づいて、追尾用モータ11の回転角度が不審者2の動きを追尾して撮像できる限界に達しているか否かを判断する。追尾用モータ11が不審者2の動きを追尾する限界の回転角度であると判断すると、カメラA制御部20は、処理をステップS6へ進める。また、追尾用モータ11の駆動範囲内で不審者2の動きを追尾して撮像できると判断すると、カメラA制御部20は、ステップS1からステップS5まで処理を繰り返す。
【0031】
ステップS6において、画像生成部13は、カメラA制御部20からの命令に従い、レンズ12が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する。追尾用モータ11は、既に回転角度が限界に達しているため、画角を移動して不審者2を追尾することができない。よって、画像生成部13は、画角が固定された状態で画像データを生成する。
【0032】
ステップS7において、ステップS2の処理と同様に、動体検出部15は、カメラA制御部20からの命令に従い、画像データから不審者2の動きを検出する。
【0033】
ステップS8において、判断処理部18は、カメラA制御部20からの命令に従い、動体検出部15から供給される動体検出情報と追尾処理部16から供給される回転角度限界情報とに応じて、カメラA10の監視範囲から隣接するカメラB30の監視範囲へ不審者2が移動するか否かの判断を行う。不審者2がカメラA10の画角外へ移動すると判断された場合、カメラA制御部20は、処理工程をステップS9へ進める。また、不審者2がカメラA10の画角外へ移動しないと判断された場合、カメラA制御部20は、ステップS6からステップS8を繰り返す。ここで、不審者2がカメラA10の画角外へ移動するか否かの判断は、例えば、図5の(a)に示すように、カメラA10の画角右側に示された破線10aに対して、不審者2が右方向へ移動したか否かの判定指標を用いて容易に処理することができる。
【0034】
ステップS9において、判断処理部18は、カメラA制御部20からの命令に従い、カメラB30が不審者2を追尾するのに必要となる監視範囲間移動情報を作成する。さらに、作成された監視範囲間移動情報は、通信信号生成部19によって通信信号形式に変換され、図5の(b)に示すように、通信ケーブル3を介してカメラB30へ送信される。
【0035】
ここで、監視範囲間移動情報は、例えば、図6に示すように、通知先カメラ識別情報51と、発信先カメラ識別情報52と、時刻情報53と、検出された物体の情報54とからなる。本処理工程では、通知先カメラ識別情報51は、監視範囲間移動情報の送信先であるカメラB30に当たる。同様に、発信元カメラ識別情報52は、カメラA10に当たる。さらに、検出された物体の情報54は、図6に示すように、物体のサイズ54aと、物体の移動速度54bと、物体の移動方向54cと、物体の色54dと、物体の種類54e(例えば、人、自動車等)からなる。なお、監視範囲間移動情報は、必ずしも上述した項目が全て必要とは限らず、目的に応じて必要な事項を用いるようにしてよい。
【0036】
次に、カメラA10により生成された監視範囲情報がカメラB30に供給されると、カメラ間連携追尾処理工程は、カメラA10からカメラB30へ移行する。
【0037】
ステップS10において、カメラB30の通信信号処理部39は、カメラA10から通信ケーブル3を介して送信された監視範囲間移動情報を、カメラB制御部40へ通知する。その後、通信信号処理部39は、カメラB制御部40からの命令に従い、受信した監視範囲間移動情報を判断処理部38へ供給する。
【0038】
ステップS11において、判断処理部38は、カメラB制御部40からの命令に従い、通信信号処理部39から入力された監視範囲間移動情報を解析する。ここで、判断処理部38には、予めカメラA30の位置情報が設定記憶されているものとする。また、判断処理部38では、監視範囲間移動情報の「発信元カメラ情報52」や「検出された物体の情報54」などの追尾用モータ31が不審者2を追尾するのに必要な情報に応じて、カメラB30の画角を移動するのに必要となる追尾用モータ31の回転駆動情報を生成する。また、判断処理部38は、作成した回転駆動情報をモータ駆動回路37へ供給する。
【0039】
ステップS12において、モータ駆動回路37は、カメラB制御部40からの命令に従い、追尾処理部36から供給された回転駆動情報に応じて、追尾用モータ31を回転駆動させる。カメラB30は、図5の(c)に示すように、追尾用モータ31の回転駆動によって、カメラB30監視範囲内に移動してくる不審者2を捉える。また、モータ駆動回路37は、カメラB制御部40からの命令に従い、追尾用モータ31の回転角度情報を計測するとともに、その情報を追尾処理部36へ供給する。
【0040】
ステップS13において、画像生成部33は、カメラB制御部40からの命令に従い、レンズ32が捉えた被写体、つまり不審者2を撮像して画像データを生成する。また、画像生成部33は、生成した撮像データを、画像記憶部34と動体検出部35へ供給する。ここで、画像記憶部34は、画像生成部33から供給された画像データを記憶する。なお、画像データは、画像記憶部34に記憶される場合に限らず、任意の通信手段を介して、カメラB30以外の他の記憶媒体を有する情報処理装置に記憶されるようにしてもよい。
【0041】
ステップS14において、動体検出部35は、カメラB制御部40からの命令に従い、画像データから不審者2の動きを検出する。さらに、動体検出部35は、カメラB制御部40からの命令に従い、不審者2の動きを検出した動体検出情報を、追尾処理部36と判断処理部38へ供給する。
【0042】
ステップS15において、追尾処理部36は、カメラB制御部40からの命令に従い、動体検出情報に応じて、不審者2が移動する方向を検出する。図5の(e)に示すように不審者2の移動を検出した場合、追尾処理部36は、カメラA制御部40からの命令に従い、検出した不審者2の移動方向に応じてカメラB30の画角を移動するのに必要となるモータの回転制御情報を、モータ駆動回路37へ供給する。また、不審者2が移動しなかった場合、カメラA制御部20は、処理をステップS14に戻る。
【0043】
ステップS16において、モータ駆動回路37は、カメラB制御部40からの命令に従い、追尾処理部36から供給された回転駆動情報に応じて、追尾用モータ31を回転駆動する。さらに、モータ駆動回路36は、追尾用モータ31の回転角度情報を計測して、追尾処理部36を介して、追尾処理部36へ供給する。以後、カメラB10は、図5の(f)に示すように、その本体に設けられた追尾用モータ31の回転に応じて画角が変化して不審者2の動きを追尾して撮像する。
【0044】
このように、監視カメラシステム1は、カメラA10とカメラB30との間で監視範囲間移動情報を送受信することによって、容易にカメラ間で連携して不審者を追尾して撮像することができる。
【0045】
次に、監視用カメラシステム1を、具体的な監視対象となる場所で用いた適用例について、図7及び図8を参照して説明する。
【0046】
図7及び図8に示す監視対象となる場所は、十字形に交叉した道路であり、その十字路の各角に全て建物があるものとする。ここで、十字路に対して、左上、右上、右下、左下の各角に沿った建物をそれぞれ、建物61、建物62、建物63、建物64とする。また、監視カメラシステム1はカメラA10、B30から構成されるものとする。カメラA10は、建物62と対向する建物61の壁面に配置されているものとする。カメラB30は、建物62と対向する建物63の壁面に配置されているものとする。
【0047】
カメラA10は、図7の(a)に示すように、建物62と建物63との間に挟まれた道路の大部分と、建物61と建物64との間に挟まれた道路の大部分が、死角となって撮像することができない。同様に、カメラB30は、図7の(b)に示すように、建物61と建物62との間に挟まれた道路の大部分と、建物63と建物64との間に挟まれた道路の大部分が、死角となって撮像することができない。したがって、カメラA10単体又はカメラB30単体で監視を行った場合には、上述した死角となる監視対象範囲での監視ができない。
【0048】
また、カメラA10とカメラB30の2つのカメラを用いた場合には、図7の(c)に示すように、互いのカメラの死角を補間することができる。しかし、カメラA10とカメラB30との間で不審者2を追尾するための連携がなされないと、カメラの画角の方向によって不審者2を見失ってしまう可能性がある。
【0049】
一方、本実施形態の監視カメラシステム1は、カメラ間で監視範囲間移動情報の連携を行うので、不審者2がそれぞれのカメラの画角外に移動しても、監視範囲間移動情報に応じて不審者2を確実に追尾して撮像し続けることができる。例えば、図8に示すように、不審者2が建物62と建物63との間に挟まれた道路を十字分岐まで移動したあとに、建物61と建物62との間に挟まれた道路へ移動した場合には、まず、カメラB30が不審者2を追尾して撮像し、その後、カメラB30がカメラA10へ送信する監視範囲間移動情報に応じて、カメラA10が不審者2を追尾して撮像することができる。
【0050】
さらに、従来の監視カメラシステムは、カメラ間で監視範囲間移動情報を共有する際に、ホストコンピュータやサーバを介して連携を行っているが、本実施形態の監視カメラシステム1は、直接カメラ間同士で情報の連携を行っているので、システムの構成がより単純にすることができる。また、従来のホストコンピュータやサーバを介して連携を行う監視カメラシステムでは、一部のネットワークが切断された場合に、システム全体で使用不可能になる虞があるが、本実施形態の監視カメラシステム1は、一部のネットワークが切断されても、カメラ間の連係機能全体が使用不能にならない頑健性の高いシステムを構築することができる。
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態の監視カメラシステム1が有する不審者2を追尾するカメラ間が連携して追尾する機能に加え、さらに、異常検出情報に基づいたカメラ間の連携機能を用いてシステム全体の省電力化を図ることができる第2の実施形態の監視カメラシステム4について説明する。ここで、異常検出情報とは、監視範囲内に不審者が進入した情報である。
【0051】
第2の実施形態の監視カメラシステム1は、図9に示すように、カメラA100と、カメラB130と、カメラA100とカメラB130との間で情報の送受信を行う通信ケーブル3からなる第1の実施形態の監視カメラシステム1と同様な構成に加えて、さらに、監視範囲に不審者2が進入したか否かを検出するセンサが設けられた開閉センサ付ドア5を備える。ここで、開閉センサ付ドア5は、カメラA10の監視範囲内に設置されているものとする。
【0052】
開閉センサ付ドア5は、不審者2が監視範囲に進入する時のドアの開閉を通信信号で検出するセンサが設けられており、検出されたドア開閉情報を所定の通信回線を介してカメラA100に供給する。このセンサが供給する通信信号として、本実施の形態では、ドアが開いた際に+5Vの電圧信号を出力し、ドアが閉じている状態では0Vの電圧信号を出力する、簡単なON/OFF信号を用いることにする。
【0053】
通信ケーブル3は、カメラA100とカメラB130との間で、監視範囲間移動情報の送受信に加えて、開閉センサ付ドア5の開閉に応じて不審者2が監視範囲に入ったか否かを判断するドア開閉情報の送受信を行う。
【0054】
カメラB130は、監視範囲内で不審者2の監視を行う通常動作状態に対して、カメラの機能を制限することで消費電力を抑制する省電力動作状態に移行する機能を有する。
【0055】
本実施の形態では、第1の実施形態と同様に、カメラA100が不審者2を追尾して撮像した撮像データに基づいて監視範囲間移動情報を生成し、この監視範囲間移動情報を通信ケーブル3を介してカメラB130に送信して、送信された監視範囲間移動情報に応じてカメラB130が不審者2を追尾して撮像することとする。また、カメラB130は、カメラA100が供給するドア開閉情報に応じて、省電力動作状態から通常動作状態へ移行する。つまり、本実施の形態では、カメラB130をカメラA100の従属装置として用いる。
【0056】
カメラA100は、図10に示すように、第1の実施形態のカメラA10と同様な構成に加えて、さらに開閉センサ付ドア5から供給される電圧信号形式のドア開閉情報の信号処理を行う異常検出信号処理部112を備える。また、通信信号処理部109は、第1の実施形態と同様に監視範囲間移動情報を通信信号に変換してカメラB130へ供給して、ドア開閉情報に応じた起動情報をカメラB130へ供給する。
【0057】
カメラB130は、図11に示すように、第1の実施形態のカメラB30と同様な構成に加えて、省電力動作状態の時に動作が制限される省電力動作対象ブロック142を設定する。省電力動作対象ブロック142は、省電力動作状態から通常動作状態への移行に支障を来さない、カメラB130を構成する部分を設定すればよい。具体的は、通信信号処理部139と、カメラB制御部140と、電源回路141以外の図11の破線で囲まれた構成部分が省電力動作対象ブロック142に該当する。電源回路141は、カメラB制御部140からの命令に応じて、省電力対象ブロック142に該当する構成部分への供給電源を制限する。このように、カメラB130は、省電力状態となる。
【0058】
次に、図12及び図13を参照して、カメラA100とカメラB130間で連携して、カメラA100の監視範囲内に不審者2が検出されたことに応じてカメラB130を省電力動作状態から通常動作状態へ移行する監視カメラシステム4の消費電力制御処理工程について説明する。なお、以下に説明する消費電力制御処理工程において、カメラ間連携追尾処理に関する説明を省略する。
【0059】
ステップS20において、画像生成部103は、カメラA制御部110からの命令に従い、レンズ102が捉えた被写体を撮像して画像データを生成する。画像生成部103は、生成した画像データを、画像記憶部104と動体検出部105に供給する。また、図13の(a)に示すように、異常検出信号処理部112は、カメラA制御部110からの命令に従い、開閉センサ付ドア5からの電圧信号の供給に待機するため通電状態に設定する。
【0060】
ステップS21において、動体検出部105は、カメラA制御部110からの命令に従い、画像データから不審者2の動きを検出する。また、開閉センサ付ドア5から+5[V]の電圧信号、つまりドアが開かれたことを通知する旨のドア開閉情報が供給されると、通信信号処理部109は、+5[V]の電圧信号を検出して、検出した旨を判断処理部108へ通知する。
【0061】
ステップS22において、判断処理部108は、カメラA制御部110からの命令に従い、動体検出部105からの画像データに基づく異常検出情報と異常検出信号処理部112から通知されるドア開閉情報とに応じて、監視範囲に不審者2が進入したか否かを判断する。カメラA制御部110は、図13の(b)に示すように、判断処理部108が監視範囲に不審者2が進入したと判断すると、処理をステップS23へ進める。このようにしてカメラA100は不審者2の追尾を開始する。一方、カメラA制御部110は、判断処理部108が監視範囲に不審者2が進入していないと判断すると、処理をステップS21に戻る。
【0062】
ステップS23において、判断処理部108は、カメラA制御部110からの命令に従い、省電力動作状態であるカメラB130が通常動作状態へ移行する起動命令情報を通信信号処理部109へ供給する。さらに、通信信号処理部109は、カメラA制御部110からの命令に従い、図13の(c)に示すように、判断処理部108から供給した起動命令情報を通信信号形式に変換するとともに、通信ケーブル3を介して、カメラB130へ送信する。
【0063】
ここで、起動命令情報がカメラA100からカメラB130へ送信されると、監視カメラシステム4の消費電力制御に関する処理工程が、カメラB130へ移行する。
【0064】
ステップS24において、カメラB130の通信信号処理部139は、通信ケーブル3を介して送信されたカメラA100からの起動命令情報を受信すると、受信した旨をカメラB制御部140へ通知する。その後、カメラB制御部140は、通信信号処理部139に対して、起動命令情報を判断処理部138へ供給させる。
【0065】
ステップS25において、判断処理部138は、カメラB制御部140からの命令に従い、起動命令情報を解析してカメラA100の監視範囲内に不審者2が進入したか否かを判断する。カメラB制御部140は、判断処理部138がカメラA100の監視範囲内に不審者2が進入したと判断すると、処理をステップS26へ進める。また、カメラB制御部130は、判断処理部138が監視範囲内に不審者2が進入していないと判断すると、処理をステップS24に戻る。
【0066】
ステップS26において、電源回路141は、カメラB制御部140からの命令に従い、省電力動作対象ブロック142に通常動作状態へ移行するための電力を供給する。
【0067】
ステップS27において、通常動作状態に必要な電力が省電力動作対象ブロック142へ供給されると、カメラB130は、図13の(d)に示すように、カメラB30の監視範囲内を撮像することができる通常動作状態へ移行する。その後、カメラB130は、カメラA100からの監視範囲間移動情報を受信すると、カメラB30の監視範囲内において不審者2を追尾して撮像する。
【0068】
なお、起動命令情報は、単にカメラB130の省電力動作対象ブロック142を起動する命令に限ったものではない。例えば、カメラB制御部140は、起動命令情報を受信した後、所定の時間待機した後に省電力動作対象ブロック142を省電力動作状態から通常動作状態へ移行するようにしてもよい。
【0069】
このように、カメラB130は、カメラA100及びカメラB130の監視範囲内に異常が生じていない時に省電力状態でありながら、異常発生時にカメラA100から供給される起動命令情報に応じて、確実に通常動作状態、つまり監視動作が可能な状態へ移行できる。したがって、カメラB130がバッテリ駆動されている場合など、使用できる電力に制限がある場合、カメラB130が異常事態に備える待機可能時間を延ばすことができる。
【0070】
なお、第2の実施形態の監視カメラシステム4は、通信ケーブル3を介して起動命令情報を送受信することにより、省電力動作状態と通常動作電力状態の移行を行う場合に限られるものではない。例えば、開閉センサ付ドア5とカメラA100との間のドア開閉情報の伝達は単純なON/OFF電圧信号で行っているので、図14に示すように、監視カメラシステム4におけるカメラA100とカメラB130との間のドア開閉情報の送受信も、通信ケーブル3の代わりに、電圧信号を単に伝達する電線5を用いるようにしてもよい。この場合、カメラA100は、図15に示すように、通信信号処理部109が起動命令情報をカメラB130へ送信する代わりに、異常検出信号処理部112が電線5を介してカメラB130へ電圧信号形式のドア開閉情報を供給すればよい。さらに、カメラB130は、図16に示すように、カメラA100から供給される電圧形式のドア開閉情報を入力して信号処理できる異常検出信号処理部143を設ければよい。このように、監視カメラシステム4は、カメラA100とカメラB130との間で、電圧信号によるドア開閉情報を電線5で伝達することで、通信ケーブル3で起動命令情報を送受信することに比べて、通信処理を単純かつ容易に行うことができる。
【0071】
また、上述した第2の実施形態の監視カメラシステム4は、開閉センサ付ドア5の検出情報と、カメラA100が行う監視対象範囲の画像データとの2つの情報に応じて異常が発生したか否かの判断を行っているが、必ずしもこのような処理方法に限ったものではない。例えば、開閉センサ付ドア5からの開閉センサ情報のみに応じて異常が発生したか否かを判断するようにしてもよい。したがって、この場合にはカメラA100は、カメラB130と同様に、開閉センサ付ドア5からの開閉情報が供給されるまで省電力状態で待機するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施形態の監視カメラシステムの構成を示した模式図である。
【図2】第1の実施形態のカメラAの構成を示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態のカメラBの構成を示したブロック図である。
【図4】第1の実施形態の監視カメラシステムのカメラ間連携追尾処理工程を示したフローチャートである。
【図5】第1の実施形態の監視カメラシステムが行うカメラ間連携追尾処理を示した模式図である。
【図6】監視範囲間移動情報の各項目を示した図である。
【図7】監視カメラシステムを具体的な監視対象範囲で適用した図である。
【図8】監視カメラシステムを具体的な監視対象範囲で適用した図である。
【図9】第2の実施形態の監視カメラシステムの構成を示した模式図である。
【図10】第2の実施形態のカメラAの構成を示したブロック図である。
【図11】第2の実施形態のカメラBの構成を示したブロック図である。
【図12】第2の実施形態の監視カメラシステムの消費電力制御に関する処理工程を示したフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の監視カメラシステムが行う消費電力制御に関する処理を示した模式図である。
【図14】第2の実施形態の監視カメラシステムの構成を示した模式図である。
【図15】第2の実施形態のカメラAの構成を示したブロック図である。
【図16】第2の実施形態のカメラBの構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
1、4 監視カメラシステム、2 不審者、3 通信ケーブル、5 電線、10、100 カメラA、30、130 カメラB、11、31、101、131 追尾用モータ、12、32、102、132 レンズ、13、33、103、133 画像生成部、14、34、104、134 画像記憶部、15、35、105、135 動体検出部、16、36、106、136 追尾処理部、17、37、017、137 モータ駆動回路、18、38、108、138 判断処理部、19、39、109、139 通信信号処理部、20、110 カメラA制御部、40、140 カメラB制御部、21、41、111、141 電源回路、112、143 異常検出信号処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムにおいて、
第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成する第1の画像生成部と、上記第1の画像生成部が生成した第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出する第1の動体検出手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第1の追尾手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する第2の監視範囲へ移動するか否かを判定する第1の判定手段と、第2の撮像装置との間で通信を行う第1の通信手段とを備える第1の撮像装置と、
上記第2の監視範囲を撮像して第2の監視範囲画像を生成する第2の画像生成部と、上記第2の画像生成部が生成した第2の監視範囲画像から上記画像対象物の動きを検出する第2の動体検出手段と、上記第2の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第2の追尾手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う第2の通信手段とを備える第2の撮像装置とを備え、
上記第1の撮像装置は、上記第1の判定手段により上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を上記第1の通信手段により上記第2の撮像装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを上記第2の動体検出手段により検出し、上記第2の動体検出手段により検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記第2の追尾手段により画角を移動して上記撮像対処物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の画像生成部により上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする映像監視システム。
【請求項2】
上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出する進入検出手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う進入検出通信手段とを備える進入検出装置をさらに備え、
上記進入検出装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを上記進入検出手段により検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記進入検出通信手段により上記第1の撮像装置へ送信し、
所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行する制御を行う動作制限制御手段を上記第1の撮像装置がさらに備え、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を上記第1の通信手段により受信し、上記第1の通信手段により受信した上記進入検出情報に応じて上記動作制限制御手段により上記動作制限状態から上記所定の通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の映像監視システム。
【請求項3】
上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出する進入検出手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う進入検出通信手段とを備える進入検出装置をさらに備え、
上記進入検出装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを上記進入検出手段により検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記検出通信手段により上記第1の撮像装置へ送信し、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を上記第1の通信手段により受信して、上記進入検出情報を上記第2の通信装置へ送信し、
所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行する制御を行う動作制限制御手段を上記第2の撮像装置がさらに備え、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記進入検出情報に応じて上記動作制限制御手段により上記動作制限状態から上記通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の映像監視システム。
【請求項4】
上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出する進入検出手段を上記第1の撮像装置がさらに備え、
上記第1の撮像装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを上記進入検出手段により検出し、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第2の撮像装置へ送信し、
所定の通常動作を制限した動作制限状態と通常動作状態へ移行する制御を行う動作制限制御手段を上記第2の撮像装置がさらに備え、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記進入検出情報に応じて上記動作制限制御手段により上記動作制限状態から上記所定の通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の映像監視システム。
【請求項5】
所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムにおける映像監視方法であって、
第1の撮像装置は、第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成し、生成した上記第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する上記第2の監視範囲へ移動するか否かを判定し、上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を第2の撮像装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を受信し、受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする映像監視方法。
【請求項6】
進入検出装置により、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第1の撮像装置へ送信し、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を受信し、受信した上記進入検出情報に応じて所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の映像監視方法。
【請求項7】
進入検出装置により、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第1の撮像装置へ送信し、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を受信して、上記進入検出情報を上記第2の通信装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を受信し、受信した上記進入検出情報に応じて所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の映像監視システム。
【請求項8】
上記第1の撮像装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出し、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第2の撮像装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を受信し、受信した上記進入検出情報に応じて所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の映像監視方法。
【請求項1】
所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムにおいて、
第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成する第1の画像生成部と、上記第1の画像生成部が生成した第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出する第1の動体検出手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第1の追尾手段と、上記第1の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する第2の監視範囲へ移動するか否かを判定する第1の判定手段と、第2の撮像装置との間で通信を行う第1の通信手段とを備える第1の撮像装置と、
上記第2の監視範囲を撮像して第2の監視範囲画像を生成する第2の画像生成部と、上記第2の画像生成部が生成した第2の監視範囲画像から上記画像対象物の動きを検出する第2の動体検出手段と、上記第2の動体検出手段が検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動することにより上記撮像対象物を追尾する第2の追尾手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う第2の通信手段とを備える第2の撮像装置とを備え、
上記第1の撮像装置は、上記第1の判定手段により上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を上記第1の通信手段により上記第2の撮像装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを上記第2の動体検出手段により検出し、上記第2の動体検出手段により検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記第2の追尾手段により画角を移動して上記撮像対処物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の画像生成部により上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする映像監視システム。
【請求項2】
上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出する進入検出手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う進入検出通信手段とを備える進入検出装置をさらに備え、
上記進入検出装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを上記進入検出手段により検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記進入検出通信手段により上記第1の撮像装置へ送信し、
所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行する制御を行う動作制限制御手段を上記第1の撮像装置がさらに備え、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を上記第1の通信手段により受信し、上記第1の通信手段により受信した上記進入検出情報に応じて上記動作制限制御手段により上記動作制限状態から上記所定の通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の映像監視システム。
【請求項3】
上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出する進入検出手段と、上記第1の撮像装置との間で通信を行う進入検出通信手段とを備える進入検出装置をさらに備え、
上記進入検出装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを上記進入検出手段により検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記検出通信手段により上記第1の撮像装置へ送信し、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を上記第1の通信手段により受信して、上記進入検出情報を上記第2の通信装置へ送信し、
所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行する制御を行う動作制限制御手段を上記第2の撮像装置がさらに備え、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記進入検出情報に応じて上記動作制限制御手段により上記動作制限状態から上記通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の映像監視システム。
【請求項4】
上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出する進入検出手段を上記第1の撮像装置がさらに備え、
上記第1の撮像装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを上記進入検出手段により検出し、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第2の撮像装置へ送信し、
所定の通常動作を制限した動作制限状態と通常動作状態へ移行する制御を行う動作制限制御手段を上記第2の撮像装置がさらに備え、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を上記第2の通信手段により受信し、上記第2の通信手段により受信した上記進入検出情報に応じて上記動作制限制御手段により上記動作制限状態から上記所定の通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の映像監視システム。
【請求項5】
所定の監視範囲において撮像対象物を撮像する複数の撮像装置からなる映像監視システムにおける映像監視方法であって、
第1の撮像装置は、第1の監視範囲を撮像して第1の監視範囲画像を生成し、生成した上記第1の監視範囲画像から上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第1の監視範囲に隣接する上記第2の監視範囲へ移動するか否かを判定し、上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動すると判定した場合に上記撮像対象物が上記第1の監視範囲から上記第2の監視範囲へ移動する監視範囲間移動情報を第2の撮像装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信された上記監視範囲間移動情報を受信し、受信した上記監視範囲間移動情報に応じて上記第2の監視範囲における上記撮像対象物の動きを検出し、検出した上記撮像対象物の動きに応じて画角を移動して上記撮像対象物を追尾し、上記第2の監視範囲を撮像して上記第2の監視範囲画像を生成することを特徴とする映像監視方法。
【請求項6】
進入検出装置により、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第1の撮像装置へ送信し、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を受信し、受信した上記進入検出情報に応じて所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の映像監視方法。
【請求項7】
進入検出装置により、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出して、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第1の撮像装置へ送信し、
上記第1の撮像装置は、上記進入検出装置から送信される上記進入検出情報を受信して、上記進入検出情報を上記第2の通信装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を受信し、受信した上記進入検出情報に応じて所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の映像監視システム。
【請求項8】
上記第1の撮像装置は、上記第1の監視範囲内に上記撮像対象物が進入したことを検出し、上記撮像対象物が進入した進入検出情報を上記第2の撮像装置へ送信し、
上記第2の撮像装置は、上記第1の撮像装置から送信される上記進入検出情報を受信し、受信した上記進入検出情報に応じて所定の通常動作を制限した動作制限状態から通常動作状態へ移行することを特徴とする請求項5記載の映像監視方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−135093(P2007−135093A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327873(P2005−327873)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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