説明

映像監視システム

【目的】監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに監視を行う映像監視システムを提供する。
【構成】カメラ映像をもとに動き検出したターゲットの映像を自動追尾して拡大表示する自動追尾機能と、オペレータが全体映像上で指定したターゲットの映像を自動追尾して拡大表示する指定追尾機能と、オペレータが全体映像上で指定する位置を追随するように追尾して拡大表示するマニュアル追尾機能と、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能と、オペレータが全体映像上でターゲットを指定し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するホームポジション機能とを有し、状況に応じて設定される各機能の優先度に従ってターゲットの映像を選択し、自動的に表示形式を切替えてターゲットの映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に表示した映像をもとに、監視カメラで撮影した領域を監視する映像監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視カメラと表示装置を備えた撮影監視システムが、商業分野や金融機関等において、防犯等の目的のため、広く利用されている。
そして、撮影カメラから入力される映像をもとに、監視領域の全体映像と、この全体映像中にあるターゲットの拡大映像を取得し、監視精度を高めたいといった要求がある。
従来技術では、監視領域全体の映像を取得するための広角カメラを設置するとともに、監視領域内の一区画についての拡大映像を取得するためのカメラを監視領域内の各区画(複数)に設置し、広角カメラで撮影した全体映像に基づいて着目したい部分があれば、その区画に設置されたカメラで撮影した拡大映像を取得し、監視領域全体の映像と、ターゲットの拡大映像とを取得するといった、複数カメラによる撮影監視システムが用いられていた。
しかし、複数のカメラを必要とする撮影監視システムでは、装置コスト、設置工事、メンテナンス、カメラ設置スペースなどの問題を抱えており、シンプルな構成が求められていた。
【0003】
そして近年、高解像度CCDカメラの出現により、1台の高解像度・広角カメラで高解像度の広角映像を取得することが可能となり、1台のカメラから取得した高解像度の映像から、目的とする領域の映像(ターゲットの映像)を切り出してモニタに拡大表示する技術が開発された。(例えば、特許文献1を参照)
【特許文献1】特願2002−167310
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視カメラから入力された高解像度の全体映像に基づいて、ターゲットの拡大映像をモニタに表示する場合、検出したターゲットの位置情報(アドレス)に基づいて全体映像から部分的に映像を切り出し、ターゲットの拡大映像をモニタに表示する。
従って、モニタに表示された映像を観察する監視者が、監視領域の異常を的確に把握するためには、全体映像から状況に合わせて的確にターゲットを検出し、その拡大映像をモニタに表示することが望まれている。またモニタを観察する監視者の負担を軽減するために、検出したターゲットの位置を容易に把握できるように表示することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、この発明は、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域の全体映像をモニタの全体映像表示領域に表示するとともに、全体映像中のターゲットの拡大映像をモニタの拡大映像表示領域に表示する映像監視システムであって、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、動き検出したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示する自動追尾機能と、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上で指定したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示する指定追尾機能と、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、モニタに表示された映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上で経時的に指定する位置を、オペレータの指定に追随して一定時間またはその指定がなくなるまで追尾し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するマニュアル追尾機能と、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能と、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上でターゲットを指定し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するホームポジション機能とを有し、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能を使用するにあたって、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに動き検出したターゲットの位置を検出し、この動き検出したターゲットの位置を包含する範囲内において、オートパン機能による拡大表示を行うものである。
【0006】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0007】
図1は、この発明の実施形態による映像監視システムのブロック図を示すものである。
この実施例では、4台のカメラ1a〜1dを使用して監視領域全体を撮影し、各映像を連結することによって監視領域全体のカメラ映像を取得した。
各カメラ1a〜1dで撮影した映像は、それぞれA/D変換器2a〜2dに入力された後、同期メモリ3a〜3dに入力され、その後、連結部4に入力される。そして、連結部4において各カメラ映像を連結し、監視領域全体のカメラ映像を取得する。
【0008】
監視領域全体のカメラ映像はフレームメモリ5に入力されるとともに、表示映像設定部6に入力され、この表示映像設定部6で、フレームメモリ5に格納されているカメラ映像から目的に応じたターゲットの映像を切り出し、D/A変換器9を介してモニタ10に入力する。
つまり、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像から、監視領域の全体映像を読み出す(切り出す)とともに、全体映像中から目的とする領域(以下、ターゲットという)の映像を読み出す(切り出す)ことによって、監視領域の全体映像と、ターゲットの拡大映像とをモニタに表示できるように構成した。
【0009】
なおこの実施例ではカーソルポジションレジスタ7及びカーソル表示部8を設け、拡大表示されるターゲットの映像(フレームメモリ5に格納されている映像から切り出した映像)の位置を、監視領域全体を表示する全体映像中でカーソル表示するように構成した。
そして、モニタに監視領域の全体映像とターゲットの拡大映像を同時に表示するにあたって、カーソルポジションレジスタ7において、カーソルの表示/非表示を設定するとともに、カーソル表示の種類や色を設定し、その設定に基づいてカーソル表示部8で、全体映像中のターゲットの位置にカーソルを表示し、拡大表示されたターゲットの全体映像中の位置を容易に把握できるようにした。
【0010】
図2は、広域の監視領域を撮影するためのカメラ配置の例を示すものである。
図2(a)に示すカメラの配置例では、4台のカメラ(撮影画角30°)1a〜1dを扇状に配置して撮影し、連続性がある(互いに隣合う)4つのカメラ映像C1〜C4を取得する。そして前記各カメラ映像C1〜C4を連結部4に入力して映像を連結し、広域の監視領域全体のカメラ映像(撮影画角120°)を取得する。
【0011】
図2(b)に示すカメラの配置例では、扇状に配置した2台のカメラ(撮影画角30°)1a及び1bをグループ化し、連続性がある(互いに隣合う)2つのカメラ映像C5及びC6を取得するとともに、扇状に配置した2台のカメラ(撮影画角30°)1c及び1dをグループ化し、連続性がある(互いに隣合う)2つのカメラ映像C7及びC8を取得し、これらのカメラ映像C5〜C8をそれぞれ連結部4に入力する。そして各カメラ映像C5〜C8を連結した全体映像を取得するとともに、前記の全体映像について、カメラ1a及び1bで撮影したカメラ映像C5及びC6と、カメラ1c及び1dで撮影したカメラ映像C7及びC8とに、それぞれグループ化し、これらグループ化したカメラ映像(映像画角60°)毎に区別して扱うように構成した。
【0012】
なお1台のカメラで監視領域全体を撮影し、このカメラ映像をもとに表示映像設定部6がフレームメモリ5から映像を読み出し(切り出し)、モニタに表示するように構成してもよい。
【0013】
続いて、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像をもとに、モニタにターゲットの拡大映像を表示する方法について図3を参照して説明する。
図3は、この発明の実施形態による表示映像設定部6のブロック図を示すものである。
【0014】
この実施例による映像監視システムは、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、前記カメラ映像からターゲットの映像を切り出して拡大表示するものであって、監視領域の全体映像と、用途に応じたターゲットの拡大映像とを、モニタに同時に表示するものである。
【0015】
この実施例によれば、(1)監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内に設定したセンスエリア内で動き検出したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域(ターゲット)の映像を全体映像から切り出して拡大表示する自動追尾機能と、(2)監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内全体から動き検出したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域(ターゲット)の映像を全体映像から切り出して拡大表示する自動追尾機能と、(3)監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上で指定したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域(ターゲット)の映像を全体映像から切り出して拡大表示する指定追尾機能と、(4)監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、モニタに表示された映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上で経時的に指定する位置を、オペレータの指定に追随して一定時間またはその指定がなくなるまで追尾し、その領域(ターゲット)の映像を全体映像から切り出して拡大表示するマニュアル追尾機能とを有する。
【0016】
また、(5)監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように一定区画を経時的に移動させ、その巡回する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能と、(6)監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上でターゲットを指定し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するホームポジション機能とを有する。
【0017】
図3に示す実施形態において、第1動き検出部11は、オペレータが設定したセンスエリア内で動き検出する。監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタの全体映像表示領域に全体映像を表示し、この全体映像をもとに、オペレータが前記映像内の任意の区画をセンスエリアとして設定し(図6を参照)、第1動き検出部11は、前記カメラ映像をもとにセンスエリア内で動き検出を行い、動き検出したターゲットの数とその位置を検出する。
第2動き検出部12は、監視領域全体を撮影したカメラ映像の全体で動き検出を行い、動き検出したターゲットの数とその位置を検出する。
指定追尾設定部13は、マウスやキーボードやボタンなどの指示装置を用いてオペレータがモニタに表示された全体映像中にターゲットを指定した場合、そのターゲットの位置を検出する。
マニュアル追尾設定部14は、マウスやキーボードやボタンなどの指示装置を用いてオペレータがモニタに表示された全体映像中にターゲットを指定した場合、そのターゲットの位置をオペレータの指示に追随して検出する。
【0018】
検出したターゲットの数と位置の情報は、検出手段毎に追尾優先度判定部17に入力される。追尾優先度判定部17では、優先度設定部15で設定した優先順位に従ってターゲットを選択し、第1動き検出部11、第2動き検出部12、指定追尾設定部13で検出したターゲットのうち優先順位の高いターゲットを、それぞれ自動追尾部18a、18bで自動追尾する。またマニュアル追尾部14でターゲットを検出した場合、マニュアル追尾部19において、オペレータによる指示に追随してマニュアル追尾する。
【0019】
この実施例では、優先度設定部15において、第1動き検出部11、第2動き検出部12、指定追尾設定部13、マニュアル追尾設定部14の順に優先順位を設定した。また第1動き検出部11、第2動き検出部12、指定追尾設定部13から入力されたそれぞれのターゲットから、前記優先順位に従って2つのターゲットを選択し、自動追尾するように構成した。つまりセンスエリア内の動き検出を行う第1動き検出部11で動き検出されない場合は、監視領域の映像全体から動き検出を行う第2動き検出部12で検出したターゲットが選択される。
そして第1及び第2自動追尾部18a,18bを設け、追尾優先度判定部17で選択した2つのターゲットについて、優先順位が一番目のターゲットを第1自動追尾部18aで自動追尾し、優先順位が2番目のターゲットを第2自動追尾部18bで自動追尾するように設定した。
【0020】
なお監視領域全体(映像全体)で動き検出する第2動き検出部12の作動(使用/未使用)を制御し、監視領域全体から動き検出する第2動き検出部12を使用せず、オペレータが監視領域の映像(全体映像)をもとに設定したセンスエリア内で動き検出したターゲットが検出されない場合、指定追尾設定部13で指定したターゲットを選択するように構築してもよい。
【0021】
第1及び第2自動追尾部18a,18bでは、ターゲットが動き検出されてから一定時間、または動き検出しなくなるまで、ターゲットの自動追尾を継続する。
なお自動追尾したターゲットの動きが検出されなくなるまでターゲットを自動追尾する場合において、この実施例では、ターゲットが動き検出されなくなってから一定時間経過まではそのターゲットの自動追尾を継続し、一旦動き検出されなくなっても、動き検出されなくなってから一定時間経過前に動き検出された場合は、そのターゲットの自動追尾を継続して行う。
第1及び第2自動追尾部18a,18bでは、自動追尾したターゲットの動き検出が継続している場合は、動き検出したターゲットの位置情報を第1または第2切り出しカウンタ20a,20bに入力し、自動追尾したターゲットの動きが検出されなくなった場合は、動き検出されなくなってから一定時間経過までのあいだ、最後に動き検出したターゲットの位置情報を切り出しカウンタ20a,20bに入力する。そして上記のターゲットの位置情報をもとに、自動追尾したターゲットの映像が、フレームメモリ5に格納されているカメラ映像から切り出される。
【0022】
第1及び第2自動追尾部18a,18bで自動追尾したターゲットの位置情報は、それぞれ第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bに入力され、第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bにおいて、位置情報と表示サイズに応じてターゲット映像の切り出し範囲が設定され、この切り出し範囲(読み出しアドレス)に基づいて、フレームメモリ5(図1を参照)に格納されたカメラ映像から、ターゲットの映像を切り出し、モニタにターゲットの自動追尾映像を拡大表示する。
【0023】
この実施例では、第1及び第2自動追尾部18a,18bにおいて、2つのターゲットを自動追尾する場合、第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bで切り出したターゲットの映像を拡大表示するため、モニタの拡大映像表示領域を分割して、2つの追尾画面を設定するように構築した。
また第1及び第2自動追尾部18a,18bにおいて、2つのターゲットを自動追尾する場合、各ターゲットの位置関係(左右関係)にあわせて2つの追尾画面に並列表示するため、第1及び第2自動追尾部18a,18bで自動追尾した各ターゲットの位置情報を表示位置判定部26に入力し、ターゲットの位置判定を行った。
また2つのターゲットを自動追尾する場合、互いのターゲットが近接したときに、モニタの拡大映像表示領域に設定された2つの追尾画面を結合し、2つのターゲットを包括して表示するため、表示位置判定部26に入力された各ターゲットの位置情報(第1及び第2自動追尾部18a,18bで自動追尾した各ターゲットの位置情報)を追尾画面判定部27に入力し、追尾画面の結合・分割を判定した。
【0024】
なお図3に示す実施形態では、自動追尾映像による映像監視だけではなく、アラーム等による警告を行うための追尾ターゲット検出部33を設けた。
例えば、図4に示す映像監視システムによる監視方法のように、監視領域全体を4台のカメラ1a〜1dで撮影したカメラ映像をもとに監視領域を監視するとともに、グループ化した2台のカメラ1a及び1bで撮影した特定区域に進入したターゲットを優先して監視する場合、前記特定区域内(グループ化したカメラ1a及び1bで撮影したカメラ映像)で動き検出したターゲットを自動追尾し、自動追尾したターゲットの拡大映像をモニタに表示するとともに、アラームを鳴らすように構成した。
この実施例では、カメラ映像をもとに特定区域の入口にセンスエリアを設定し(オペレータが映像内にセンスエリアを設定し)、このセンスエリアを通過して特定区域内にターゲットが進入し、第1動き検出部11によって前記ターゲットが検出され、第1または第2自動追尾部18a,18bでターゲットを自動追尾した場合、前記ターゲットの特定区域への進入をアラーム等を鳴らして監視者等に警告するため、第1または第2自動追尾部18a,18bによってターゲットを自動追尾しているあいだ、追尾ターゲット検出部33では検出信号を出力し、アラームを鳴らすように構成した。なおこの実施例では、グループ化したカメラ1a及び1bで撮影した特定区域の映像内でのみターゲットを自動追尾するように構成した。
【0025】
マニュアル追尾部19でマニュアル追尾したターゲットの位置情報は、第3切り出しカウンタ20cに入力され、第3切り出しカウンタ20cにおいて、前記位置情報と表示サイズに応じてターゲット映像の切り出し範囲が設定され、この切り出し範囲(読み出しアドレス)に基づいて、フレームメモリ5(図1を参照)に格納されたカメラ映像から、ターゲットの映像を切り出し、モニタにターゲットのマニュアル追尾映像を拡大表示する。
【0026】
さらに図3に示す実施形態では、オートパンカウンタ21でオートパン機能の設定を行い、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能を備える。
この実施例では、オートパンカウンタ21に、オートパン機能による移動パターンやその速度を設定することによって、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の位置情報(例えば一定区画の中心座標)を決定する。そしてこの位置情報は、第4切り出しカウンタ20dに入力され、第4切り出しカウンタ20dにおいて、位置情報と表示サイズに応じてオートパンによる映像の切り出し範囲が設定され、この切り出し範囲(読み出しアドレス)に基づいて、フレームメモリ5(図1を参照)に格納されたカメラ映像から映像を切り出し、オートパン機能による監視領域内の巡回移動映像をモニタに拡大表示する。
【0027】
すなわちオートパンカウンタ21から第4切り出しカウンタ20dに入力される位置情報は、オートパンカウンタ21に設定した移動パターンや移動速度によって決定される。そしてオートパンカウンタ21に設定した移動パターンによって、例えば、移動方向を折り返して巡回移動させ、右端から左端に向かって移動するとともに、左端で方向転換して左端から右端に向かって移動し、さらに右端で方向転換して右端から左端に向かって再び移動する一定区画の映像をモニタに拡大表示することや、例えば、一方向の移動を繰返すことによって巡回移動させ、左端から右端への一方向、若しくは右端から左端への一方向を、繰返して移動する一定区画の映像をモニタの拡大映像表示領域に拡大表示することができる。
【0028】
なお、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能は、カメラ映像中の特定の範囲を除外し、除外しない範囲内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するように設定してもよい。
【0029】
例えば、図2(b)に示すように、グループ化したカメラ1a及び1bと、グループ化したカメラ1c及び1dとを使用して監視領域を撮影した場合において、グループ化したカメラ1a及び1bで撮影したカメラ映像C5及びC6の範囲を除外し、グループ化したカメラ1c及び1dで撮影したカメラ映像C7及びC8の範囲内で、経時的に巡回移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するように設定してもよい。
【0030】
さらに、カメラ映像全体を動き検出する第2動き検出部12で検出したターゲットの位置を求め、動き検出した全てのターゲットの位置を包含する範囲を求め、この範囲内で、経時的に巡回移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するように設定してもよい。
【0031】
またこの実施例では、オペレータが任意に設定した範囲内で動き検出する第3動き検出部16を設け、前記第3動き検出部16による動き検出が、オートパン判定部28に設定した閾値を超える場合は、第1及び第2動き検出部11,12で検出したターゲットを自動追尾する自動追尾機能を使用せず、オートパン機能による自動巡回移動映像を切り出して拡大表示するようにした。
【0032】
図5に示すように、モニタに表示された全体映像をもとにオペレータが設定した任意の範囲を第3動き検出部16で動き検出し、前記設定範囲に多数の人が存在して多くの動きが検出された場合、自動追尾機能によって検出したターゲットの拡大映像を優先して表示するのではなく、監視領域全体を巡回移動する一定区画の拡大映像を表示する。これによって監視領域内に多くの動きが検出されたときに、監視領域全体を見渡すようにして監視することができる。
この実施例では、第3動き検出部で動き検出するにあたって、第1及び第2自動追尾部18a,18bで自動追尾したターゲットの映像範囲(自動追尾による切り出し範囲)を除いて動き検出した。
そして前記設定範囲において多数の動きが検出され、オートパン判定部28に設定した閾値を超えた場合、自動追尾機能によるターゲットの拡大表示を使用せず、オートパン機能による拡大表示を優先的に選択するように表示領域判定部30を設定し、この表示領域判定部30の情報に基づいて表示制御部31でマルチプレクサ32を制御して、フレームメモリ5からの映像の切り出しを制御した。
【0033】
監視領域内に多数の人が存在する場合、自動追尾機能によって検出したターゲットの拡大映像を表示するのではなく、監視領域全体を巡回移動するように一定区画の拡大映像を表示することによって、監視領域全体を見渡すことができる。
【0034】
さらに図3に示す実施形態では、監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに監視領域の全体映像をモニタに表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上でホームポジションとしてターゲットを指定し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するホームポジション機能を備える。
この実施例では、マウスやキーボードやボタンなどの指示装置を用いてオペレータがモニタの全体映像表示領域に表示された全体映像をもとにホームポジションとしてモニタ(全体映像)上でターゲットを指定した場合、そのホームポジション(ターゲット)の位置(例えば、オペレータが指定した位置座標)をホームポジションレジスタ22で検出する。
そしてこの位置情報は、第5切り出しカウンタ20eに入力され、第5切り出しカウンタ20eにおいて、位置情報と表示サイズに応じてホームポジション機能による映像の切り出し範囲が設定され、この切り出し範囲(読み出しアドレス)に基づいて、フレームメモリ5(図1を参照)に格納されたカメラ映像から映像を切り出し、監視領域内に設定したホームポジションの映像をモニタに拡大表示する。
【0035】
なおこの実施例では、ホームポジションレジスタ22において、表示優先度の高い第1ホームポジションと、表示優先度の低い第2ホームポジションとを設定できるように構成した。すなわち、ホームポジション(ターゲット)の映像を全体映像から切り出して拡大表示するにあたって、ホームポジションレジスタ22では、モニタに常に表示していたい位置を第1ホームポジションとして設定し、前記第1ホームポジションの拡大映像を優先して表示する。また第1ホームポジションの設定がない場合に、自動追尾機能や指定追尾機能やマニュアル追尾機能やオートパン機能によって切り出した映像よりも、表示優先度の低いホームポジション(ターゲット)の映像を第2ホームポジションとして設定し、自動追尾機能や指定追尾機能やマニュアル追尾機能やオートパン機能の各機能でターゲットを検出しなかった場合は、前記第2ホームポジションとして設定したターゲットの拡大映像を表示する。
【0036】
第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bには、第1及び第2自動追尾部18a,18bで自動追尾したターゲットの位置情報と、追尾画面判定部27で算出した表示サイズが入力され、第3ないし第5切り出しカウンタ20c〜20eには、マニュアル追尾部19、オートパンカウンタ21、ホームポジションレジスタ22で検出したターゲットの位置情報と、表示フレーム判定部23で算出した表示サイズが入力される。そして前記位置情報と表示サイズに基づいて、各切り出しカウンタ20a〜20eで各切り出し範囲を設定し、各切り出しカウンタ20a〜20eは、前記切り出し範囲(読み出しアドレス)をもとに、フレームメモリ5に格納されているカメラ映像からターゲットの映像を部分的に切り出し(読み出し)、モニタの拡大映像表示領域に各ターゲットの拡大映像を表示する。
また第6切り出しカウンタ20fには、モニタの全体映像表示領域に監視領域の全体映像を表示するための表示サイズが入力され、第6切り出しカウンタ20fは、フレームメモリ5に格納されているカメラ映像から監視領域全体を切り出す(読み出す)とともに、前記表示サイズに基づいて、モニタの全体映像表示領域に全体映像を表示する。
【0037】
第1ないし第5切り出しカウンタ20a〜20eに入力される表示サイズは、表示フレーム判定部23及び追尾画面判定部27で算出される。
表示フレーム判定部23には、予め拡大映像表示領域全体のサイズが入力されており、この拡大映像表示領域全体のサイズと、自動追尾機能などの各機能で検出したターゲットの数とに基づいて、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の各機能で検出したターゲットの表示サイズを算出する。なお、自動追尾機能及び指定追尾機能によって検出したターゲット(つまり第1及び第2自動追尾部で追尾したターゲット)の表示サイズは、前記表示フレーム判定部23で算出した表示サイズと、表示位置判定部26で検出したターゲットの位置関係(近接/離隔)とに基づいて算出され、第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bに入力される。
【0038】
図3に示す実施形態では、表示フレーム判定部23は、第1及び第2自動追尾部18a,18b、マニュアル追尾部19で追尾したターゲットの数にあわせて拡大映像表示領域を分割し、その分割数に基づいて表示サイズを算出するように構成した。つまり表示フレーム判定部23は、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能の各機能で検出したターゲットの数に基づいて画面分割数を決め、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の各機能で検出したターゲットの表示サイズを算出した。
【0039】
この実施例では、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能の各機能でターゲットが検出され、第1及び第2自動追尾部18a,18bまたはマニュアル追尾部19でターゲットを追尾した場合は、追尾したターゲットの数にあわせて拡大映像表示領域を分割する。
そして第1及び第2自動追尾部18a,18bまたはマニュアル追尾部19で追尾したターゲットが存在しない場合は、拡大映像表示領域を分割せず、オートパン機能若しくはホームポジション機能によるターゲットの拡大映像を拡大映像表示領域に表示する。なお、オートパン機能とホームポジション機能の両方でターゲットを検出した場合は、表示項目判定部25に設定した優先度に従って、優先度の高いターゲットの映像を優先して表示する。
【0040】
また表示フレーム判定部23において、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能の各機能で検出したターゲットの数に基づいて、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の各機能で検出したターゲットの表示サイズを算出する場合、常にモニタに表示したい第1ホームポジションをホームポジションレジスタ22で設定したときは、第1及び第2自動追尾部18a,18bまたはマニュアル追尾部19で追尾したターゲットの数に、第1ホームポジションとして設定したターゲットの数を加えた数で、モニタの拡大映像表示領域を分割し、第1ホームポジションと追尾したターゲットの映像を表示するように構成してもよい。
【0041】
さらに、表示フレーム判定部23で表示サイズを算出するにあたって、第1及び第2自動追尾部18a,18b、マニュアル追尾部19で追尾したターゲットの数だけでなく、オートパンカウンタ21やホームポジションレジスタ22で検出したターゲットの数を表示フレーム判定部23に入力し、これらターゲットの総数に基づいて表示サイズを算出するように構成し、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の各機能で検出したターゲットの数にあわせて拡大映像表示領域を分割し、各機能で検出したターゲットを表示するように構成してもよい。
【0042】
なお、表示フレーム判定部23で算出した表示サイズは表示領域判定部30に入力され、表示領域判定部30でモニタ画面を構築するにあたって、自動追尾機能などの各機能で検出したターゲットの数にあわせて拡大映像表示領域を分割するようにモニタ画面を構築する。
これによってよって、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の各機能で検出したターゲットの拡大映像を、モニタの拡大映像表示領域を分割した画面にそれぞれ表示することができる。
【0043】
さらにこの実施例では、表示領域判定部30でモニタ画面を構築するにあたって、拡大映像表示領域の分割数(画面分割数)に上限を設けた。
表示フレーム判定部23に上限値を設定し、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能の各機能で検出したターゲットの総数が前記上限を超えた場合は、前記上限値をもとに表示サイズを算出し、この表示サイズと画面分割数をもとに表示領域判定部30でモニタ画面を構築し、拡大映像表示領域を上限値で分割するようにした。また表示優先度設定部24によって、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の各機能の表示優先順位を表示項目判定部25に設定し、表示項目の優先順位が設定された表示項目判定部25に、表示フレーム判定部23で設定した画面分割数を入力した。
そして、前記表示項目判定部25に設定した優先順位と、表示項目判定部25に入力された画面分割数とに基づいて、表示制御部31でマルチプレクサ32を制御した。つまりマルチプレクサ32において、優先順位を高く設定した表示項目の映像を切り出すための切り出しカウンタを優先して選択し、選択した切り出しカウンタによってフレームメモリ5のカメラ映像から切り出し、ターゲットの映像を拡大表示した。
【0044】
例えば、表示優先度設定部24で、ホームポジションレジスタ22で設定した第1ホームポジション、第1及び第2自動追尾部18a,18bで自動追尾したターゲット、マニュアル追尾部19で追尾したターゲット、オートパンカウンタ22で設定したオートパン、ホームポジションレジスタ22で設定した第2ホームポジションの順序で表示項目の優先順位を設定するとともに、表示フレーム判定部23に設定した拡大映像表示領域の分割上限値を「2」と設定した場合、表示フレーム判定部23で検出したターゲットの総数が2つを超えると、表示フレーム判定部23は、画面分割数の上限値を表示項目判定部25に入力し、さらに画面の分割数(上限値)にあわせて算出した表示サイズを表示領域判定部30と、第3ないし第5切り出しカウンタ20c〜20eに入力する。なお第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bには、画面の分割数(上限値)にあわせて算出した表示サイズとターゲットの位置情報をもとに、追尾画面設定部27で算出した表示サイズを入力する。
【0045】
そして表示領域判定部30は画面分割数と表示サイズに基づいて、図6に示すように、全体映像を表示するための全体映像表示領域とターゲットの拡大映像を表示するための拡大映像表示領域を設定するとともに、前記拡大映像表示領域を2分割したモニタ画面を構築する。また表示制御部31は、表示領域判定部30に入力された情報に基づいてマルチプレクサ32を制御し、マルチプレクサ32は、表示項目判定部25に設定された表示項目優先順位をもとに2つの切り出しカウンタを選択し、選択した切り出しカウンタによってフレームメモリ5に格納されているカメラ映像からターゲットの映像を部分的に切り出す。
【0046】
さらにこの実施例では、第3動き検出部16において、オペレータが任意に設定した範囲内で動き検出を行い、この動き検出がオートパン判定部28に設定した閾値(例えば「4」)を超える場合は、第1及び第2動き検出部11,12で検出したターゲットを自動追尾する自動追尾機能を使用せず、オートパン機能を優先して使用するように構成した。
【0047】
なお図3に示す実施形態では、モニタに監視領域の全体映像を表示するにあたって、前記全体映像の表示/非表示を設定するための全体映像設定部29を設け、全体映像設定部29において全体映像を表示すると設定した場合、その情報が表示領域判定部30に入力され、表示制御部31はこの情報に基づいてマルチプレクサ32を制御し、マルチプレクサ32で第6切り出しカウンタ20fを選択し、この第6切り出しカウンタ20fによってフレームメモリ5に格納されているカメラ映像から監視領域全体の映像を切り出し、モニタに設定した全体映像表示領域に監視領域の全体映像を表示した。
【0048】
すなわち表示領域判定部30は、表示項目判定部25から入力された表示項目と、表示フレーム判定部23や追尾画面判定部27から入力された表示サイズと、オートパン判定部28から入力された情報と、全体映像設定部29から入力された情報とに基づいて、モニタ画面を構築し、さらにモニタ画面の構築情報に基づいて表示制御部31はマルチプレクサ32を制御する。
【0049】
図7は、表示領域判定部30におけるモニタ画面の構築例を示すものである。
図7(a)に示すモニタ画面は、全体映像を表示するための全体映像表示領域と、ターゲットの拡大映像を表示するための拡大映像表示領域を設定するとともに、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能の各機能で検出したターゲットの数(2つ)にあわせて前記拡大映像表示領域を2つに分割し、上記各機能で検出したターゲットの拡大映像を表示したものである。
なお拡大映像表示領域の画面分割数に上限を設けた場合、前記上限値を超えるターゲットが検出された場合は、上限値で拡大映像表示領域を分割してモニタ画面を構築するとともに、表示項目判定部25に設定された表示項目の優先順位とオートパン判定部28の情報をもとに表示制御部31がマルチプレクサ32を制御して、優先順位の高い切り出しカウンタを選択し、画面分割数にあわせて算出した表示サイズに基づいてターゲットの映像を切り出し、拡大映像表示領域に各ターゲットの拡大映像を表示する。なお自動追尾機能や指定追尾機能で検出したターゲットの映像は、追尾画面判定部27で算出した表示サイズに基づいて切り出され、2つのターゲットが近接した場合は、拡大映像表示領域に設定された結合画面に2つのターゲットを包含した映像が拡大表示される。
【0050】
また表示領域判定部30においてモニタ画面を構築するにあたって、図7(b)に示すようにモニタの拡大映像表示領域を分割し、自動追尾機能で検出したターゲットの映像を表示するための表示位置(表示区画)と、指定追尾機能で検出したターゲットの映像を表示するための表示位置(表示区画)と、マニュアル追尾機能で検出したターゲットの映像を表示するための表示位置(表示区画)と、オートパン機能で検出した一定区画の映像を表示するための表示位置(表示区画)と、ホームポジション機能で設定したターゲットの映像を表示するための表示位置(表示区画)とをそれぞれ設定し、機能毎に設定した各表示位置に、各機能で検出したターゲットの拡大映像をそれぞれ表示するようにモニタ画面を構築してもよい。
また表示領域判定部30において、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能の機能毎に設定した表示位置をさらに分割し、各機能で検出した複数のターゲットをそれぞれの表示位置に表示するようにモニタ画面を構築してもよい。
また機能毎に設定した表示位置の分割数に上限を設け、前記各機能で検出したターゲットの数が前記分割数の上限を超えた場合は、機能毎に設定した表示位置を上限値で分割するとともに、優先度に従って機能毎にターゲットを選択するように、表示フレーム判定部23と表示項目判定部25とを設定してもよい。
【0051】
以上説明したように、この実施例では表示領域判定部30でモニタ画面を構築し、この情報をもとに表示制御部31がマルチプレクサ32を制御する。また第1ないし第6切り出しカウンタ20a〜20fに入力した表示サイズに基づいて映像の切り出し範囲を設定するとともに、表示制御部31によって制御されるマルチプレクサ32で選択した切り出しカウンタによって、フレームメモリ5に格納されているカメラ映像から映像を切り出し(読み出し)、モニタの全体映像表示領域に監視領域の全体映像を表示するとともに、拡大映像表示領域にターゲットの拡大映像を表示する。
つまり表示制御部31による制御によって、モニタの拡大映像表示領域には各機能で検出したターゲットの拡大映像が自動的に表示形式を切替えて表示される。
【0052】
第1切り出しカウンタ20aには、第1自動追尾部18aで自動追尾したターゲットの位置情報と、追尾画面判定部27で算出した表示サイズ情報とが入力され、これらの情報に基づいて、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像からの映像切り出し範囲を決定する。
第2切り出しカウンタ20bには、第1自動追尾部18bで自動追尾したターゲットの位置情報と、追尾画面判定部27で算出した表示サイズ情報とが入力され、これらの情報に基づいて、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像からの映像切り出し範囲(読み出しアドレス)を決定する。
【0053】
第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bでは、自動追尾したターゲットの外接矩形の中心のX座標および外接矩形上端のY座標からなる位置情報を取得し、前記位置情報と表示サイズに基づいて切り出し範囲(読み出しアドレス)を設定する。これによって、ターゲットの上半身の映像が途切れることなく、自動追尾したターゲットの映像を拡大表示することができる。
また、自動追尾した2つのターゲットが近接し、追尾画面判定部27で画面の結合が設定された場合は、2つのターゲットの位置情報(ターゲットの外接矩形の中心のX座標および外接矩形上端のY座標)について、各X座標の中点座標(X座標)と、各Y座標のうち大きい方の座標(Y座標)とからなる位置情報を取得し、この位置情報と結合画面の表示サイズに基づいて、第1または第2切り出しカウンタ20a,20bのどちらか一方で、切り出し範囲(読み出しアドレス)を設定する。なお近接した2つのターゲットが離隔し、追尾画面判定部27で画面の分割が設定された場合は、自動追尾したターゲットの外接矩形の中心のX座標および外接矩形上端のY座標からなるそれぞれの位置情報と、追尾画面の表示サイズに基づいて、第1及び第2切り出しカウンタ20a,20bのそれぞれで、切り出し範囲(読み出しアドレス)を設定する。
【0054】
第3切り出しカウンタ20cには、マニュアル追尾部19で追尾したターゲットの位置情報と、表示フレーム判定部23で算出した表示サイズ情報とが入力され、これらの情報に基づいて、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像からの映像切り出し範囲を決定する。第3切り出しカウンタ20cでは、モニタに表示された全体映像に基づいてマウスやキーボードやボタンなどの指示装置を用いてオペレータが指定した領域の全体映像中の位置座標を取得し、全体映像中の前記位置座標を中心とした一定の範囲を切り出すように、表示サイズに基づいて切り出し範囲(読み出しアドレス)を設定する。
【0055】
第4切り出しカウンタ20dには、オートパンカウンタ21で設定した一定区画(巡回区画)の位置情報と、表示フレーム判定部23で算出した表示サイズ情報とが入力され、これらの情報に基づいて、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像からの映像切り出し範囲を決定する。第4切り出しカウンタ20dでは、オートパンカウンタ21で設定された位置座標を取得し、全体映像中の前記位置座標を中心とした一定の範囲(一定区画)を切り出すように、表示サイズに基づいて切り出し範囲(読み出しアドレス)を設定する。
【0056】
第5切り出しカウンタ20eには、ホームポジションレジスタ22で設定したホームポジションの位置情報と、表示フレーム判定部23で算出した表示サイズ情報とが入力され、これらの情報に基づいて、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像からの映像切り出し範囲を決定する。モニタに表示された全体映像に基づいてマウスやキーボードやボタンなどの指示装置を用いてオペレータが指定した領域の全体映像中の位置座標を取得し、全体映像中の前記位置座標を中心とした一定の範囲を切り出すように、表示サイズに基づいて切り出し範囲(読み出しアドレス)を設定する。
【0057】
第1ないし第5切り出しカウンタ20a〜20eによる情報は、表示制御部31によって制御されているマルチプレクサ32に入力され、表示項目の優先順位や画面分割数に基づいてマルチプレクサ32で切り出しカウンタが選択され、選択した切り出しカウンタによる切り出し範囲(読み出しアドレス)をもとに、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像から部分的に映像を切り出し(図1を参照)、この部分的に切り出した映像をモニタに拡大表示する。
【0058】
またこの実施例では、第6切り出しカウンタ20fにおいて全体映像の表示サイズを予め設定(入力)しておき、この第6切り出しカウンタ20fによる情報を表示制御部31によって制御されているマルチプレクサ32に入力する。そして全体映像を表示する場合は、マルチプレクサ32で第6切り出しカウンタ20fを選択し、この第6切り出しカウンタ20fの情報をもとに、フレームメモリ5に格納されたカメラ映像から監視領域全体の映像を切り出し(図1を参照)、モニタの全体映像表示領域に全体映像を表示する。
【0059】
なお図6に示すように、自動追尾機能、指定追尾機能、マニュアル追尾機能、オートパン機能、ホームポジション機能によって検出したターゲットの拡大映像と、監視領域の全体映像とを同時に表示するにあたって、各機能によって検出したターゲットの映像を切り出した位置を全体映像中にカーソル表示するとともに、前記機能毎にカーソルを区別してカーソル表示をすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態による映像監視システムのブロック図。
【図2】カメラの配置例を示す図。
【図3】この発明の実施形態による表示映像設定部のブロック図。
【図4】この発明の映像監視システムによる監視方法の実施例を説明する図。
【図5】第3動き検出部による動き検出を説明する図。
【図6】本発明の映像監視システムによる表示方法を説明する図。
【図7】モニタ画面の構築例を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1a〜1d カメラ
2a〜2d A/D変換器
3a〜3d 同期メモリ
4 連結部
5 フレームメモリ
6 表示映像設定部
7 カーソルポジションレジスタ
8 カーソル表示部
9 D/A変換器
10 モニタ
11 第1動き検出部
12 第2動き検出部
13 指定追尾設定部
14 マニュアル追尾設定部
15 優先度設定部
16 第3動き検出部
17 追尾優先度判定部
18a,18b 第1,第2自動追尾部
19 マニュアル追尾部
20a〜20f 第1〜第6切り出しカウンタ
21 オートパンカウンタ
22 ホームポジションレジスタ
23 表示フレーム判定部
24 表示優先度設定部
25 表示項目判定部
26 表示位置判定部
27 追尾画面判定部
28 オートパン判定部
29 全体映像設定部
30 表示領域判定部
31 表示制御部
32 マルチプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域の全体映像をモニタの全体映像表示領域に表示するとともに、全体映像中のターゲットの拡大映像をモニタの拡大映像表示領域に表示する映像監視システムであって、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、動き検出したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示する自動追尾機能と、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上で指定したターゲットを一定時間または動き検出しなくなるまで自動追尾し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示する指定追尾機能と、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、モニタに表示された映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上で経時的に指定する位置を、オペレータの指定に追随して一定時間またはその指定がなくなるまで追尾し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するマニュアル追尾機能と、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能と、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとにモニタに全体映像を表示し、この全体映像をもとにオペレータがモニタ(全体映像)上でターゲットを指定し、その領域の映像を全体映像から切り出して拡大表示するホームポジション機能とを有し、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに、監視領域内を巡回するように経時的に移動する一定区画の映像を切り出して拡大表示するオートパン機能を使用するにあたって、
監視領域全体を撮影したカメラ映像をもとに動き検出したターゲットの位置を検出し、この動き検出したターゲットの位置を包含する範囲内において、オートパン機能による拡大表示を行うことを特徴とする映像監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−230024(P2006−230024A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141373(P2006−141373)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【分割の表示】特願2003−403520(P2003−403520)の分割
【原出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】