説明

映像表示装置および映像表示方法

【課題】被写体に関連する関連情報を被写体の映像に重畳表示する映像表示装置において、被写体と関連情報との表示位置の乖離を抑制する。
【解決手段】映像表示装置100は、映像データサーバ装置200が供給する、被写体の映像および時間情報を含む映像データを取得する映像データ取得部103と、メタデータサーバ装置300が供給する、時間情報を含み、被写体に関連するメタデータを取得するメタデータ取得部101と、メタデータから生成された、被写体に関連する関連情報を、被写体の映像に重畳した重畳映像を生成するオーバレイ部104と、メタデータに含まれる時間情報と映像データに含まれる時間情報とに基づいて、メタデータサーバ装置300に対してメタデータの供給の遅れをフィードバックする乖離度情報を生成し、被写体のメタデータを供給したメタデータサーバ装置300に送る乖離度算出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に関連する関連情報を被写体の映像に重畳表示する、映像表示装置および映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視等の用途において、撮影された被写体の映像に、その被写体に関連する関連情報を重畳表示する映像表示装置が実用化されてきた。このような映像表示装置の一例として、被写体の映像に、その被写体の関連情報である移動軌跡を動線として重畳表示するものがあった。
【0003】
また、被写体の映像と、その被写体の関連情報である位置情報とを表示する映像表示装置として、被写体の映像と被写体の位置情報を、それぞれ別のサーバ装置から入力して重畳表示するものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−192988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、被写体の映像に、その被写体の関連情報である移動軌跡を動線として重畳表示した場合に、以下のような課題が生じる可能性があった。特許文献1に開示の技術は、被写体の映像と位置情報を別々のサーバ装置から受信するため、サーバ装置の処理能力等により遅延が発生し、映像中の被写体の位置と被写体の移動軌跡を示す動線の位置とが乖離して表示される可能性があった。そして、この映像中の被写体と動線との表示位置の乖離は、重畳表示された映像を見るユーザに違和感を生じさせる一因となっていた。
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明は、被写体に関連する関連情報を被写体の映像に重畳表示する映像表示装置において、被写体と関連情報との表示位置の乖離を抑制できる映像表示装置および映像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像表示装置は、同一対象について、映像データサーバ装置から対象の映像データを、メタデータサーバ装置から対象に関連するメタデータを、それぞれ別々に取得する映像表示装置であって、映像データサーバ装置が供給する、被写体の映像および時間情報を含む映像データを取得する映像データ取得部と、少なくとも1つのメタデータサーバ装置が供給する、時間情報を含み、被写体に関連するメタデータを取得するメタデータ取得部と、メタデータから生成された、被写体に関連する関連情報を、被写体の映像に重畳した重畳映像を生成するオーバレイ部と、メタデータに含まれる時間情報と映像データに含まれる時間情報とに基づいて、メタデータサーバ装置に対してメタデータの供給の遅れをフィードバックするための乖離度情報を生成し、乖離度情報を、被写体のメタデータを供給したメタデータサーバ装置に送る乖離度算出部とを備える。
【0008】
また、本発明の映像表示方法は、同一対象について、映像データサーバ装置から対象の映像データを、メタデータサーバ装置から対象に関連するメタデータを、それぞれ別々に取得する映像表示装置を用いた映像表示方法であって、映像データサーバ装置が供給する、被写体の映像および時間情報を含む映像データを取得するステップと、少なくとも1つのメタデータサーバ装置が供給する、時間情報を含み、被写体に関連するメタデータを取得するステップと、メタデータから生成された、被写体に関連する関連情報を、被写体の映像に重畳した重畳映像を生成するステップと、メタデータに含まれる時間情報と映像データに含まれる時間情報とに基づいて、メタデータサーバ装置に対してメタデータの供給の遅れをフィードバックするための乖離度情報を生成するステップと、乖離度情報を、被写体のメタデータを供給したメタデータサーバ装置に送るステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被写体に関連する関連情報を被写体の映像に重畳表示する映像表示装置において、被写体と関連情報との表示位置の乖離を抑制し、ユーザに違和感を生じさせにくい映像表示装置および映像表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における映像表示装置の概念を説明するための、映像表示装置が表示する映像の一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における映像表示装置が表示する空間の座標系を説明するための図
【図3】本発明の実施の形態1における、映像表示装置を含む映像監視システムの構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1における、メタデータサーバ装置から映像表示装置に送られるメタデータの構成を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における、乖離度を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態1における、映像表示装置の乖離度算出部からメタデータサーバ装置に対して送られる乖離度情報の構成を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における映像表示装置の動作を示すフローチャート
【図8】本発明の実施の形態1における乖離度算出部の詳細構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態1における、閾値記憶部に記憶されている乖離度閾値の一例について説明するための図
【図10】本発明の実施の形態1における、乖離度通知部が記憶するテーブルの一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態1における、乖離度算出処理を詳細に説明するためのフローチャート
【図12】本発明の実施の形態1における移動速度量の算出方法について説明するための図
【図13】本発明の実施の形態1におけるカメラ制御情報の構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1における映像表示装置の概念を説明するための、映像表示装置が表示する映像の一例を示す図である。
【0012】
本実施の形態の映像表示装置は、同一対象について、映像データサーバ装置から対象の映像データを、メタデータサーバ装置からその対象に関連するメタデータを、それぞれ別々に取得する。本実施の形態の映像表示装置は、映像データサーバ装置から取得した映像データ、および、メタデータサーバ装置から取得したメタデータを用いて、図1に示す映像(以下、重畳映像と記す)を表示する。図1に示す重畳映像10は、映像データサーバ装置が供給する映像データの映像に映った被写体1,4,7に関連する関連情報として、その移動軌跡を示す動線3,6,9を重畳表示したものである。ここで、映像とは、カメラが撮影した静止画像(フレーム)を時系列に連続させて構成した情報である。被写体1,4,7の関連情報である移動軌跡を示す動線は、メタデータサーバ装置から供給されるメタデータから生成される。メタデータサーバ装置から供給されるメタデータは、被写体1,4,7の識別情報および位置情報等の被写体1,4,7に関連する情報、ならびに時間情報等を含む。
【0013】
本実施の形態では、被写体1,4,7として、人物を想定して説明する。被写体1,4,7は、それぞれ携帯装置を所持している。メタデータサーバ装置は、被写体1,4,7の所持する携帯装置を測位することによって、被写体1,4,7の位置情報を取得する。メタデータサーバ装置は、各携帯装置と通信を行い、電波の方向や信号レベル等を計測することによって、各携帯装置の測位を逐次行う。メタデータサーバ装置は、測位結果から各携帯装置の位置を示す位置情報を生成する。位置情報は、図2に示したように、空間の横方向をX軸、奥行きをY軸、高さをZ軸とする直交座標系(X,Y,Z)で算出される。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態1における映像表示装置が表示する空間の座標系を説明するための図であり、この直交座標系をグローバル座標系と記す。なお、メタデータサーバ装置は、携帯装置との通信で計測された信号レベルの強弱によって、位置情報の尤度を生成して、メタデータに含めることもできる。
【0015】
本実施の形態では、被写体1,4,7が、携帯装置を被写体1,4,7の中心位置、人物であれば胸の位置に所持しているものとして説明する。携帯装置を胸の位置に所持することで、腕等への装着に比べて、被写体1,4,7の移動に伴う不必要な揺れによる測位への悪影響を抑制することができる。なお、本発明は、被写体1,4,7が携帯装置を所持する場所を胸の位置に限定されるものではない。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態1における、映像表示装置100を含む映像監視システム500の構成を示すブロック図である。
【0017】
図3に示したように、映像監視システム500は、メタデータサーバ装置300、映像データサーバ装置200、映像表示装置100、および表示装置600を含む。映像表示装置100は、メタデータサーバ装置300、映像データサーバ装置200、および表示装置600に接続されている。これらの接続は、例えばTCP/IP等の通信プロトコルを用いた有線または無線のネットワークを用いることができ、また、USB等のコンピュータ用インタフェースを用いることもできる。また、映像表示装置100と表示装置600との接続は、映像用インタフェースを用いることができる。なお、映像表示装置100と接続されるメタデータサーバ装置300は複数であってもよい。
【0018】
メタデータサーバ装置300は、被写体1,4,7それぞれが所持する携帯装置301,302,303を測位し、その結果から位置情報を生成する。続いて、メタデータサーバ装置300は、生成した位置情報を、携帯装置を所持する被写体を識別する識別情報(オブジェクトID)および測位した時刻を表す時間情報(タイムスタンプ(TSm))等と共に、メタデータとして映像表示装置100に供給する。本実施の形態において、オブジェクトIDは、携帯装置の識別情報(ID)を用いるものとする。携帯装置301〜303は、例えば、無線ICタグ、GPS端末等を用いることができる。携帯装置301〜303にGPS端末を用いた場合、メタデータサーバ装置300は、GPS端末から取得した位置情報をそのままメタデータに含めることができる。
【0019】
図4は、本発明の実施の形態1における、メタデータサーバ装置300から映像表示装置100に供給されるメタデータの構成を示す図である。図4に示したように、メタデータ40は、メタデータサーバ装置識別情報41、メタデータの時間情報(TSm)42、オブジェクト数43、およびオブジェクト情報44を含む。
【0020】
メタデータサーバ装置識別情報41は、メタデータサーバ装置300を識別するための識別情報(ID)である。メタデータの時間情報(TSm)42は、携帯装置301〜303を測位した時刻である。オブジェクト数43は、メタデータ中に含まれるオブジェクト情報の数である。本実施の形態において、オブジェクト数43は、「3」とする。オブジェクト情報44には、携帯装置を所持する被写体(オブジェクト)を識別するための識別情報であるオブジェクトID45と、それぞれの位置情報46との組が、オブジェクト数43だけ含まれているものとする。本実施の形態において、オブジェクトIDは、被写体が所持する携帯装置の識別情報(ID)を用いるが、被写体の識別情報を用いることも可能である。
【0021】
なお、メタデータ40は、位置情報を取得・生成できたオブジェクトのみ、オブジェクト情報44を含んでもよい。また、メタデータサーバ装置300は、位置情報の取得・生成処理が可能な最大のオブジェクトの数だけの領域をあらかじめ確保し、位置情報が取得・生成できたかどうかの結果を含め、全てのオブジェクトのオブジェクト情報44を含んでもよい。メタデータ40は、位置情報を取得・生成できたオブジェクトのオブジェクト情報44のみを含めることにより、データ量を低減することができる。また、メタデータ40は、全てのオブジェクト数43だけの領域をあらかじめ確保することで、データのサイズを固定長とすることができ、データ処理負荷の軽減が期待できる。
【0022】
図3に戻って、映像データサーバ装置200は、カメラ400によって撮影された被写体1,4,7が映った映像を取得し、映像が撮影された時刻を表す時間情報(TSv)を付した映像データとして映像表示装置100に供給する。映像データは、時系列に、被写体1,4,7が映ったフレームと、フレームが撮影された時刻を示す時間情報(TSv)とを含む。
【0023】
映像表示装置100は、映像データサーバ装置200から映像データを、メタデータサーバ装置300からメタデータ40を、それぞれ取得する。続いて、映像表示装置100は、被写体1,4,7の映った映像に、メタデータ40から生成された、被写体1,4,7の関連情報である移動軌跡を示す動線3,6,9を、重畳した重畳映像10を生成し、表示装置600に送る。また、映像表示装置100は、重畳映像10上の被写体1,4,7の表示位置と被写体1,4,7の動線3,6,9の表示位置との乖離度を算出し、算出した結果を含む乖離度情報を生成する。乖離度の詳細については、後述する。さらに、映像表示装置100は、生成した乖離度情報を、被写体1,4,7のメタデータを供給したメタデータサーバ装置300へ送る。
【0024】
次に、映像表示装置100の構成について説明する。
【0025】
図3における映像表示装置100は、メタデータ取得部101、乖離度算出部102、映像データ取得部103、オーバレイ部104、および出力部105を備える。
【0026】
メタデータ取得部101は、メタデータサーバ装置300が供給する、時間情報(TSm)を含む、被写体1,4,7に関連するメタデータ40を取得する。メタデータ取得部101は、取得したメタデータ40を、乖離度算出部102およびオーバレイ部104に送る。
【0027】
映像データ取得部103は、映像データサーバ装置200が供給する、被写体1,4,7の映像および時間情報(TSv)を含む映像データを取得して、オーバレイ部104に送る。また、映像データ取得部103は、映像データに含まれる時間情報(TSv)を乖離度算出部102に送る。
【0028】
乖離度算出部102は、映像データ取得部103から取得した映像データに含まれる時間情報(TSv)と、メタデータ取得部101から取得したメタデータ40に含まれる時間情報(TSm)とに基づいて、乖離度情報を生成する。乖離度情報は、メタデータサーバ装置300に対して、メタデータの供給の遅れをフィードバックするための情報である。乖離度算出部102は、生成した乖離度情報を、被写体1,4,7のメタデータ40を供給したメタデータサーバ装置300にフィードバックする。また、乖離度算出部102は、乖離度情報を生成するために、被写体1,4,7の表示位置と動線3,6,9の表示位置との間の乖離度を算出する。
【0029】
ここで、乖離度について説明する。図5は、本発明の実施の形態1における、乖離度を説明するための図である。図5において、重畳映像21,22,23には、被写体1とその移動軌跡を示す動線3が表示され、重畳映像21,22,23の順に表示されるものとする。時刻Tにおいて表示される重畳映像21では、被写体1と動線3とが繋がって表示されている。しかし、時刻T,Tにおいて表示される重畳映像22,23では、被写体1は移動しているが、動線3の位置は重畳映像21と変化せず、被写体1に追従していない。すなわち、重畳映像22,23において、被写体1と動線3との間は乖離しており、この度合いを乖離度とする。
【0030】
このような乖離は、携帯装置301〜303の増加等により、メタデータサーバ装置300におけるメタデータ40の生成処理の負荷増大等に伴うメタデータ生成処理の遅れ、または、メタデータ40の伝送遅延等が、原因となり得る。これら処理の遅れ等に起因して、メタデータサーバ装置300から供給されるメタデータ40の到着が、映像データサーバ装置200から供給される映像データよりも遅延すると、前述の乖離が発生する。図5に示す大きな乖離は、重畳映像21,22,23を見たユーザに、被写体1は動いているのに、動線3は追従していないという違和感を生じさせる可能性がある。なお、乖離度算出部102における、乖離度のより詳細な算出方法については、後述する。
【0031】
続いて、乖離度算出部102は、算出した乖離度の値に応じて、メタデータサーバ装置300からのメタデータ40の供給に遅れが発生していることを、メタデータサーバ装置300に対してフィードバックするための乖離度情報を生成する。そして、乖離度算出部102は、乖離度情報をメタデータサーバ装置300に対してフィードバックする。図6は、本発明の実施の形態1において、映像表示装置100の乖離度算出部102からメタデータサーバ装置300に対して送られる乖離度情報の構成を示す図である。図6に示したように、乖離度情報60は、メタデータサーバ装置識別情報61、映像データの時間情報(TSv)62、メタデータの時間情報(TSm)63、優先オブジェクト情報64、および生成頻度調整情報65を含む。
【0032】
メタデータサーバ装置識別情報61は、乖離度情報60を送るメタデータサーバ装置300を識別するための識別情報(ID)である。映像データの時間情報(TSv)62は、乖離度を算出した映像データに含まれる時間情報である。メタデータの時間情報(TSm)63は、乖離度を算出したメタデータ40に含まれる時間情報である。
【0033】
優先オブジェクト情報64は、乖離度情報60をフィードバックされたメタデータサーバ装置300が、乖離度を抑制するための処理の一つとして、複数の被写体1,4,7のうち、優先的にメタデータ40を生成する被写体の情報を示す。つまり、優先オブジェクト情報64は、複数の携帯端末301〜303のうち、メタデータサーバ装置300で優先的にメタデータを生成すべき携帯装置の情報を示すものである。優先オブジェクト情報64は、あらかじめ管理者によって乖離度(後述する乖離度合いレベル情報)の値ごとに、少なくとも1つのオブジェクトID66(携帯装置を所持する被写体の識別情報)をメタデータ生成の優先度の高い順に並べたものである。乖離度算出部102は、乖離度合いレベル情報の値に応じて優先的にメタデータ40を生成するオブジェクトを選出する。なお、優先オブジェクト情報64に記述のない場合は、優先設定がないものとする。このように、優先オブジェクト情報64を含む乖離度情報60を送ることにより、メタデータサーバ装置300は、全ての携帯装置ではなく、管理者によって重要と考えられるオブジェクトのメタデータ40を優先的に生成することができる。
【0034】
生成頻度調整情報65は、メタデータサーバ装置300におけるメタデータ40の生成頻度の情報を示す。生成頻度調整情報65としては、例えばメタデータサーバ装置300が携帯装置301〜303の測位結果の全てからメタデータを生成する場合を「100%」として、それに対する比率で表現することができる。例えば、生成頻度調整情報65が「50%」の場合には、携帯装置301〜303の測位結果からのメタデータの生成を、2回に1回の頻度とすることを意味するものとする。なお、生成頻度調整情報65は、時間(例えば「100msec」)等を用いて表現することも可能である。このように、生成頻度調整情報65を含む乖離度情報60を受信したメタデータサーバ装置300は、負荷増大等による処理遅延に対して、メタデータ生成の頻度を下げる調整により、メタデータ生成の遅延を解消することが出来る。また、乖離度算出部102は、メタデータの到着の遅延が解消したと判断したときには、生成頻度調整情報65の値を大きくし、メタデータサーバ装置300でのメタデータ生成の頻度を初期状態に戻す等の調整も可能である。
【0035】
なお、乖離度情報60は、図6に示した構成とは異なる構成も可能で、例えば、乖離度の度合いを示す乖離度合いレベル情報を、乖離度情報としてメタデータサーバ装置300に送ることもできる。乖離度合いレベル情報としては、例えば、被写体と動線の乖離が無い場合を値「0」とし、乖離が発生している場合は、その度合いに応じてあらかじめ規定した範囲の値(例えば、0〜10)で表現することができる。なお、乖離度合いレベル情報は、乖離が無い場合とある場合の2値で表現してもよい。
【0036】
図3に戻って、映像表示装置100のオーバレイ部104は、映像データ取得部103から映像データを取得し、メタデータ取得部101からメタデータ40を取得する。続いて、オーバレイ部104は、メタデータ取得部101から取得したメタデータ40から生成された、被写体1,4,7に関連する関連情報である動線3,6,9を、映像データ中の被写体の映像に重畳した重畳映像10を生成する。そして、オーバレイ部104は、生成した重畳映像10を出力部105に送る。
【0037】
出力部105は、オーバレイ部104から取得した重畳映像10を表示装置600に送り、表示装置600は、出力部105から取得した重畳映像10を表示する。
【0038】
なお、映像表示装置100は、表示装置600を内蔵する構成であってもよい。
【0039】
次に、映像表示装置100の動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態1における映像表示装置100の動作を示すフローチャートである。
【0040】
まず、ステップS701において、メタデータ取得部101がメタデータサーバ装置300からメタデータ40を取得し、映像データ取得部103が映像データサーバ装置200から映像データを取得する。
【0041】
次に、ステップS702において、乖離度算出部102は、メタデータ取得部101からメタデータ40を、映像データ取得部103から映像データの時間情報(TSv)62を、それぞれ取得する。次に、乖離度算出部102は、取得したメタデータ40と映像データの時間情報(TSv)62とを用いて乖離度を算出する。
【0042】
ステップS703において、乖離度算出部102は、前記ステップS702の乖離度算出の結果に基づいて乖離度情報60を生成し、メタデータサーバ装置300へ送る。
【0043】
ステップS704において、オーバレイ部104は、メタデータ取得部101からメタデータを取得し、携帯装置301〜303の位置情報(グローバル座標系)をフレームの画像座標系へ座標変換処理する。
【0044】
ここで、フレームの画像座標系とは、フレーム全体を対象とする2次元の座標系である。また、フレームの画像座標系は、フレームの左上隅を原点(0,0)として、原点から右方向に進む座標軸をX軸、原点から下方向に進む座標軸をY軸とし、単位はpixelで表現される座標系である。なお、原点はフレームの左上隅以外の任意の位置とすることができる。携帯装置301〜303の位置情報をフレームの画像座標系に座標変換するには、カメラ400の焦点距離や画素ピッチ等の情報、グローバル座標系におけるカメラ400の撮影方向である視線方向、および、配置位置等の情報が必要である。これらの情報は、オーバレイ部104にあらかじめ与えられているものとする。本実施の形態においては、X軸はカメラ400の視線方向と垂直に交わり、Y軸はカメラ400の視線方向と平行であるとして説明する。
【0045】
続いて、オーバレイ部104は、座標変換処理された位置情報を、被写体1,4,7の移動軌跡を示す動線3,6,9を構成する情報として、メモリ等を用いて一定量(例えば100個)保持する。そして、オーバレイ部104は、映像データ取得部103から取得した映像データの時間情報(TSv)62までの動線3,6,9をメモリから読み出し、映像データのフレームの該当する座標位置に描画を行って重畳映像10を生成する。
【0046】
ステップS705において、オーバレイ部104は、生成した重畳映像10を出力部105へ送る。続いて、出力部105は、重畳映像10を表示装置600へ送る。表示装置600は、重畳映像10をディスプレイ等で表示する。
【0047】
ステップS705が終了すると、ステップS701に戻り処理を継続する。
【0048】
なお、映像表示装置100の動作は、ステップS702からS703までの一連の処理と、ステップS704からS705までの一連の処理との順序を入れ替えることも可能である。
【0049】
次に、乖離度算出部102の構成および乖離度の算出方法について、さらに詳細に説明する。図8は、本発明の実施の形態1における乖離度算出部102の詳細構成を示すブロック図である。乖離度算出部102は、メタデータ記憶部110、移動速度量計算部111、乖離度検知部112、閾値記憶部113、および乖離度通知部114を有する。
【0050】
メタデータ記憶部110は、メタデータ取得部101からメタデータ40を取得して記憶する。
【0051】
移動速度量計算部111は、メタデータ記憶部110が取得したメタデータ40に含まれる位置情報等に基づいて、各被写体1,4,7が重畳映像10上で次に移動すると予測される量(移動速度量と記し、詳細は後述)をそれぞれ計算する。そして、移動速度量計算部111は、最も大きい値を有する被写体の移動速度量(V’)を乖離度検知部112へ送る。最も大きい値の移動速度量(V’)を有する被写体が、最も被写体と動線との乖離度が大きくなると推測されることから、移動速度量計算部111は、もっとも大きい値の移動速度量(V’)を有する被写体の情報のみを送る。これにより、乖離度検知部112は、移動速度量計算部111から送られた被写体に関する処理を行うだけで済む。
【0052】
乖離度検知部112は、移動速度量計算部111から取得した移動速度量(V’)に基づいて、閾値記憶部113から乖離度閾値(Tthd)を選択し、取得する。また、乖離度検知部112は、映像データ取得部103から取得した映像データの時間情報(TSv)62と、メタデータ記憶部110から取得したメタデータの時間情報(TSm)42とを比較する。そして、乖離度検知部112は、その差分が乖離度閾値(Tthd)を超過しているかどうかを判定し、その判定結果に基づいた乖離度合いレベル情報を算出する。続いて、乖離度検知部112は、判定を行ったメタデータを供給したメタデータサーバ装置識別情報、映像データの時間情報(TSv)およびメタデータの時間情報(TSm)とともに乖離度合いレベル情報を乖離度通知部114へ送る。
【0053】
図9は、本発明の実施の形態1における、閾値記憶部113に記憶されている乖離度閾値(Tthd)の一例について説明するための図である。閾値記憶部113は、映像監視システム500の管理者等が任意に設定することができ、移動速度量(V’)91ごとの乖離度閾値(Tthd)92を記憶している。移動速度量(V’)が小さいと、TSvとTSmとの差分が小さいうちは重畳映像10上の被写体の位置と動線の位置との乖離度は小さいため、重畳映像10を見るユーザは、違和感を生じにくいと推定される。逆に、移動速度量(V’)が大きいと、TSvとTSmとの差分が小さくても乖離が大きくなりやすく、ユーザは違和感を生じやすいと推定される。このため、閾値記憶部113は、移動速度量(V’)91の大きさに応じて乖離度閾値(Tthd)92を設定している。
【0054】
図8に戻って、乖離度通知部114は、乖離度検知部112から、乖離度合いレベル情報、メタデータの時間情報(TSm)42、映像データの時間情報(TSv)62、およびメタデータサーバ装置識別情報61を取得する。続いて、乖離度通知部114は、乖離度合いレベル情報に対応する乖離度情報60を生成する。具体的には、乖離度通知部114は、あらかじめ管理者などが任意に設定した優先オブジェクト情報64、生成頻度調整情報65から、乖離度合いレベル情報に応じた値を選択し、乖離度情報60を生成する。そして、乖離度通知部114は、生成した乖離度情報60をメタデータサーバ装置300へ送る。
【0055】
図10は、本発明の実施の形態1における、乖離度通知部114が記憶するテーブルの一例を示す図であり、乖離度合いレベル情報93の値に対応した生成頻度調整情報94および優先オブジェクト情報95が記憶されている。乖離度通知部114は、図10のテーブルを用いて、乖離度合いレベル情報93の値に対応した生成頻度調整情報94および優先オブジェクト情報95を選択することができる。
【0056】
次に、乖離度算出処理について、詳細に説明する。
【0057】
本実施の形態の映像表示装置100においては、映像データとメタデータ40とが、それぞれ別のサーバ装置から送られる。本実施の形態の映像データに含まれる映像には、どの部分の画素が被写体1,4,7であるかを示す情報は含まれないものとする。よって、映像表示装置100は、取得した映像に表示された被写体1,4,7の位置と、取得したメタデータ40から生成した動線3,6,9を表示する位置との距離を、座標系の異なるため位置情報から算出することは難しい。
【0058】
そこで、本実施の形態では、重畳映像上の被写体1,4,7の表示位置と動線3,6,9の表示位置との乖離度を、乖離の発生要因であるメタデータ40の到着の遅延の大きさから判定するため、映像データとメタデータとの時間差を用いる。つまり、メタデータの時間情報(TSm)と映像データの時間情報(TSv)とを比較し、その差分が大きくなれば、メタデータ40の到着に遅延が発生して、被写体1,4,7と動線3,6,9とが乖離していると推定する。
【0059】
また、被写体1,4,7と動線3,6,9との乖離度は、重畳映像10における被写体1,4,7の移動方向や速度等によって、その見え方が変化する。よって、映像表示装置100は、取得したメタデータ40から被写体1,4,7ごとにその移動方向や移動の大きさ(速度)を算出し、さらに重畳映像10を見るユーザの視線、すなわちカメラ400の視線方向も考慮して乖離度を算出する。
【0060】
図11は、本発明の実施の形態1における、乖離度算出処理を詳細に説明するためのフローチャートである。
【0061】
まず、ステップS901において、乖離度検知部112は、映像データ取得部103から最も新しい映像データの時間情報(TSv)を取得する。また、乖離度検知部112は、メタデータ記憶部110から、メタデータ記憶部110が記憶しているメタデータ40の中で最も新しいメタデータの時間情報(TSm)を取得する。
【0062】
図12は、本発明の実施の形態1における移動速度量(V’)の算出方法について説明するための図であり、以下のステップS902〜S904は図11と図12を併用し、被写体1,7について説明する。
【0063】
ステップS902において、移動速度量計算部111は、メタデータ記憶部110から最新の時間情報TSmを有するメタデータ40と、そのひとつ前の時間情報TSm−1を有するメタデータ40とを取得する。
【0064】
続いて、移動速度量計算部111は、最新のメタデータ40に含まれている被写体1,7の位置情報(グローバル座標系)を、フレームの画像座標系(X,Yの2次元座標系)に座標変換処理する。この座標変換処理は、図7のステップS704において、オーバレイ部104が被写体1,4,7の位置情報をフレームの画像座標系に座標変換する処理と同様に行うことができる。
【0065】
図12は、移動速度量計算部111において被写体1,7の位置情報を座標変換した、最新の時間情報TSmおよびそのひとつ前の時間情報TSm−1のフレームの画像座標を示す。具体的には、時間情報TSmにおける被写体1の、フレームの画像座標系に座標変換した後の画面上の位置をP1m、被写体7の画面上の位置をP7mとしてそれぞれ示す。また、図12では、時間情報TSm−1における、重畳映像10上の被写体1の画面上の位置をP1m−1,被写体7の位置をP7m−1として示す。
【0066】
次に、移動速度量計算部111は、被写体1,7ごとに座標変換処理を行い、時間情報TSmにおける画面上の位置P1m,P7mと、時間情報TSm−1における画面上の位置P1m-1,P7m-1との座標間の距離を算出する。座標間の距離は、被写体1,7ごとに、最も新しいメタデータ取得間隔あたりの移動方向と移動の大きさ(速度)を表す移動ベクトルV(i=1,2,3,,, オブジェクトID)で表される。また、移動ベクトルViは、被写体1の移動ベクトルをV、被写体7の移動ベクトルをVとして図12に示される。
【0067】
ステップS903において、移動速度量計算部111は、時間情報TSmにおける被写体1,7の位置P1m,P7mから、それぞれの移動ベクトルVの量だけ移動したと推定した時間情報TSm+1における画像上の位置を算出する。算出した時間情報TSm+1における画像上の位置は、被写体1の画像上の位置をP1m+1、被写体7の画像上の位置をP7m+1として図12に示される。位置P1m+1,P7m+1は、時間情報TSmの次の時間情報を有するメタデータを取得した場合に、各被写体1,7が移動していると推定される位置である。
【0068】
ここで、図12の重畳映像10における、被写体1,7の表示位置と動線3,9の表示位置との乖離度は、被写体1,7と動線3,9とが離れる程、より大きくなる。
【0069】
しかし、被写体1,7の移動方向によって、被写体1,7と動線3,9とがどちらも同じ距離離れていても、乖離度の見え方は異なる。例えば、図12の被写体7は、カメラ400の視線方向に平行に直進してくる場合を想定する。この場合、動線9の延長線上には被写体7の頭部等が存在するので、たとえ動線9と、被写体7の胸の位置とが大きく乖離していたとしても、実際には胸から頭部までの画面上の距離を差し引いた距離だけ乖離しているように見える。一方、被写体1は、カメラ400の視線方向に対して垂直な方向に移動する場合を想定する。この場合には、前述の場合と比較して、乖離を差し引く被写体1の領域が少ないため、被写体1と動線4との距離の大きさが、被写体7と動線9との距離と同じであっても、重畳映像10上では、より大きく乖離が発生しているように見える。つまり、図12に示す重畳映像10は、被写体1,7の移動方向により、乖離の見え方が異なることを示している。
【0070】
一例として、図12において、被写体1と被写体7の移動ベクトルVの大きさが同じであって、動線3,9が遅延によりP1m,P7mの位置で止まってしまった場合を想定する。この場合には、被写体7と動線9との乖離度よりも、被写体1と動線3との乖離度の方が大きく見えることになる。
【0071】
本実施の形態の移動速度量計算部111は、上述した被写体1,7の移動方向を考慮した乖離度を算出するために、図12にα,αとして示す、ベクトルである移動速度量補正値を用いて移動速度量V’,V’を算出する。移動速度量補正値αは、あらかじめ管理者が被写体1,7の進行方向ごとに登録するか、あるいは、被写体1,7の進行方向に応じて演算できるように数式化してもよい。本実施の形態では、被写体7がカメラ400の視線方向と同一方向に移動する場合には、最大の移動速度量補正値αをとるものとする。一方、被写体1がカメラ400の視線方向と垂直方向に移動する場合には、最小の移動速度量補正値αをとるものとする(α<α)。また、被写体1,7がカメラ400の視線方向に対して所定の角度で移動する場合には、移動速度量補正値は、αからαまでの間の値をとるものとする。
【0072】
移動速度量計算部111は、被写体1,7の移動方向を考慮した乖離度を算出する。具体的には、移動速度量計算部111は、位置P1m,P7mよりそれぞれの移動ベクトルV分だけ移動した位置P1m+1,P7m+1から、移動速度量補正値α,αを差し引く。そして、移動速度量計算部111は、その差し引いた位置と位置P1m,P7mとの座標間のベクトルを被写体1,7の移動速度量V’,V’として算出する。
【0073】
なお、カメラ400からの距離の違いにより、重畳映像10中の被写体1,7の大きさや被写体1,7の映る領域(遠距離では全身が映り、近距離では頭頂部が映るが足元は映らない等)が変わることによっても、乖離度の見え方は異なる。映像表示装置100は、これらの現象を利用して、移動速度量補正値αを定めることも可能である。
【0074】
ステップS904において、移動速度量計算部111は、被写体1,7の表示位置と動線3,9の表示位置との乖離が最も大きいと予測される被写体を特定する。このために、移動速度量計算部111は、移動速度量V’,V’の中から最も大きな値を有する被写体を選出し、その移動速度量を乖離度検知部112に送る。図12に示した例では、移動速度量V’が最も大きくなるため、移動速度量V’のベクトル量を乖離度検知部112へ送る。乖離度検知部112は、移動速度量V’のベクトル量に応じた乖離度閾値(Tthd)を閾値記憶部113から取得する。
【0075】
ステップS905において、乖離度検知部112は、ステップS901にて取得した、メタデータの時間情報TSmと映像データの時間情報TSvとの差分を算出する。そして、乖離度検知部112は、その差分がステップS904で取得した乖離度閾値(Tthd)を超過したと判断した場合に、重畳映像10上の被写体の位置と動線の位置との間で乖離が発生したと判断し、ステップS906に進む。また、超過していない場合には、乖離度検知部112は、乖離が発生していない、または発生していた乖離が復旧したと判断し、ステップS907へ進む。
【0076】
ステップS906においては、乖離が発生した場合の処理として、乖離度検知部112は、時間情報TSmとTSvとの差分に応じて、乖離度、具体的には乖離度合いレベル情報を算出する。乖離度検知部112は、算出した乖離度合いレベル情報を、判定対象となったメタデータの時間情報TSmと映像データの時間情報TSv、およびメタデータサーバ装置識別情報61と合わせて乖離度通知部114へ送る。
【0077】
ステップS907においては、乖離が発生していない、または発生していた乖離が復旧した場合の処理として、乖離度検知部112は、乖離度合いレベル情報を「0」として乖離度通知部114へ送る。乖離度検知部112は、乖離度合いレベル情報と合わせて、判定対象となったメタデータの時間情報TSmと映像データの時間情報TSv、およびメタデータサーバ装置識別情報61を乖離度通知部114へ送る。
【0078】
ステップS908において、乖離度通知部114は、乖離度検知部112から取得した情報を用いて、乖離度情報60を生成する。乖離度検知部112から取得した情報は、乖離度合いレベル情報、メタデータの時間情報(TSm)63、映像データの時間情報(TSv)62、およびメタデータサーバ装置識別情報61を含む。具体的には、乖離度通知部114は、図10に示したテーブルに基づいて、優先オブジェクト情報95、生成頻度調整情報94から、乖離度合いレベル情報93に対応する情報を選出して、乖離度情報60を生成する。乖離度通知部114は、生成した乖離度情報60を、メタデータサーバ装置300が複数存在する場合には、メタデータ装置識別情報61によって識別されたメタデータサーバ装置300へ送る。
【0079】
乖離度情報60を受信したメタデータサーバ装置300は、映像表示装置100から取得した乖離度情報60の内容に応じて、メタデータ生成の負担を低減するための処理を行うことにより、メタデータ供給の遅延を回復することができる。
【0080】
例えば、乖離度情報60の生成頻度調整情報65に応じて、メタデータサーバ装置300は、携帯装置301〜303の測位結果からメタデータ40を生成する頻度を下げる変更を行うことができる。また、メタデータサーバ装置300は、乖離度情報60中の映像データの時間情報(TSv)62およびメタデータの時間情報(TSm)63に基づいて、両時間情報の間のメタデータ40を優先的に生成することもできる。また、メタデータサーバ装置300は、優先オブジェクト情報64に基づいて、指定されたオブジェクトについてメタデータ40を優先的に生成することも可能である。
【0081】
なお、乖離度通知部114は、図6に示した乖離度情報60に、乖離度合いレベル情報93を含めて送ることも可能である。この場合、メタデータサーバ装置300は、乖離度情報60に含まれる各種情報に指定された複数の処理を全て行うか、一部を行うかを、乖離度合いレベル情報93の内容に応じて判断することができる。また、乖離度通知部114は、乖離度合いレベル情報93を乖離度情報60として送信することもできる。この場合、メタデータサーバ装置300が図10に示したテーブルを有する構成とすれば、映像表示装置100から優先オブジェクト情報64等を送らずに、メタデータサーバ装置300側でメタデータ生成負担を低減する処理を行える。
【0082】
さらに、メタデータサーバ装置300は、取得した乖離度情報60の内容に基づいて警告メッセージを生成して、管理者等に通知したり、乖離度情報60の内容等をログとして記録したりする機能を有してもよい。
【0083】
ここで、映像表示装置100からメタデータサーバ装置300へ乖離度情報60を送っても、メタデータ供給の遅延解消に時間がかかると乖離度算出部102が判断した場合について説明する。このような場合には、オーバレイ部104が、重畳映像10上に表示する擬似的な動線(推定動線)を生成することも可能である。オーバレイ部104は、図11のステップS903において算出した位置P1m,P7mから、それぞれの移動ベクトルVの量だけ移動した位置P1m+1,P7m+1に向かう推定動線を生成し、重畳映像10に表示する。これにより、乖離度の復旧が長期化した場合でもユーザの違和感を低減させることができる。
【0084】
なお、この場合の推定動線は、メタデータサーバ装置300から供給されたメタデータ40に基づいて作成された、通常の動線と区別がつくように、表示方法を変更することが望ましい。具体的には、推定動線の表示パターンを通常の動線とは変更したり(例えば、連続線を点線に変更する等)、色を変えたりする等の方法が考えられる。これにより、乖離度の復旧が長期化していることをより明確に表示し、別の手段の復旧方法の実施をユーザに促すことができる。また、メタデータ供給の遅延が乖離度情報60のフィードバック等により回復したと乖離度算出部102が判断した場合には、推定動線を通常の動線に切替えることも可能である。
【0085】
以上述べたように、本実施の形態の映像表示装置100は、映像データの時間情報(TSv)とメタデータの時間情報(TSm)との比較に基づいて、メタデータ40の供給に遅延が発生したかを判断する。そして、映像表示装置100は、メタデータサーバ装置300に対して、メタデータ40の供給に遅延が発生していることをフィードバックし、その要因となり得るメタデータ生成の負担を低減させるための処理を促すことができる。これにより、メタデータ供給の遅延を抑制し、被写体1,4,7の表示位置と動線3,6,9の表示位置との乖離を抑制できるので、重畳映像10を監視しているユーザに生じる違和感を小さくすることができる。
【0086】
なお、映像表示装置100は、ユーザが重畳映像10上で違和感を生じるような、大きな乖離が発生する場合にのみ、メタデータサーバ装置300に対するフィードバックを行うようにすることもできる。これにより、より効率よくメタデータ生成の遅れを低減させることが可能である。
【0087】
また、本実施の形態においては、カメラが固定式であり、その視線方向等のパラメータは定まっており、乖離度算出部102やオーバレイ部104にパラメータが記憶されているものとして説明を行った。しかしながら、本発明はカメラを固定式に限定されるものではない。例えば、カメラは、固定式ではなく、撮影領域や視線方向等を変更できる可動式カメラを用いることもできる。この場合、映像表示装置100は、カメラからその制御情報を取得するカメラ制御情報管理部を有する構成とする。そして、カメラ制御情報管理部は、取得したカメラの制御情報を、オーバレイ部104および乖離度算出部102に送る構成とすればよい。
【0088】
図13は、本発明の実施の形態1におけるカメラの制御情報の構成の一例を示す図である。図13に示したように、カメラの制御情報は、カメラ識別情報、視線方向情報、カメラ視点情報、および画角情報を含む。カメラ識別情報は、カメラを識別するための識別情報(ID)である。視線方向情報は、カメラが撮影している方向であり、ベクトル値もしくは注視点の位置座標であり、映像監視システム500で共通の空間座標系を用いることができる。カメラ視点情報は、カメラの配置された位置であり、映像監視システム500で共通の空間座標系を用いることができる。画角情報は、配置されたカメラの撮影範囲を示し、水平方向、垂直方向の角度で表すことができる。
【0089】
なお、本実施形態では、重畳映像10に表示される被写体1,4,7の関連情報として、メタデータの位置情報を用いて算出した動線を用いて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、関連情報は、被写体1,4,7の位置情報の尤度を数値で表示したり、動線の太さや色の濃淡等を変更したりすることにより、被写体1,4,7の位置情報の正確さを表示することもできる。
【0090】
また、本実施の形態においては、被写体として人物を想定して説明を行ったが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、被写体としての対象は、動物、車両、または荷物等を対象として映像監視システム500を構成することも可能である。
【0091】
被写体が人物、動物の場合は、メタデータに、脈拍、心拍数、体温等の生体情報、およびそれらの生体情報から生成する人物や動物の体調や活動量に関する情報等を含め、関連情報として重畳映像10に表示することも可能である。
【0092】
また、被写体が車両の場合には、メタデータに、車両の車種、ナンバープレートの番号、エンジン回転数、バッテリーのエネルギー残量等の情報を含め、関連情報として重畳映像10に表示することも可能である。
【0093】
さらに、被写体が荷物の場合には、メタデータに、荷物に含まれる品物の種類や数量等を含め、関連情報として重畳映像10に表示することも可能である。
【0094】
また、乖離度通知部114からメタデータサーバ装置300に送られる乖離度情報60は、メタデータ40に含まれる情報のうち、どの種別の情報を優先的に処理するかを指示する優先データ種別情報を含んでもよい。乖離度情報60は、このような優先データ種別情報を乖離度情報に含むことによっても、前述の優先オブジェクト情報64および生成頻度調整情報65と同様に、メタデータサーバ装置300のメタデータ生成の負荷を調整することができる。
【0095】
なお、本実施の形態においては、被写体の位置情報を、メタデータサーバ装置300が、携帯装置との通信によって生成するものとして説明を行ったが、位置情報を他の手段によって生成することも可能である。例えば、カメラ400が撮影した映像をメタデータサーバ装置300が取得し、映像を構成するフレームに対する画像処理によって、被写体の位置情報を生成することも可能である。このような構成によれば、被写体が携帯装置を所持していない場合でも、位置情報を生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上述べたように、本発明によれば、被写体に関連する関連情報を被写体の映像に重畳表示する映像表示装置において、被写体と関連情報との乖離を抑制し、ユーザに違和感を生じさせにくい映像表示が可能である。よって、本発明は、人体、動物、車両等の監視装置や、動物の生態調査システム、病院や介護施設等での健康管理支援システム、店舗等における顧客動向を調査するマーケティングシステム等として有用である。
【符号の説明】
【0097】
1,4,7 被写体
3,6,9 動線
10,21,22,23 重畳映像
100 映像表示装置
101 メタデータ取得部
102 乖離度算出部
103 映像データ取得部
104 オーバレイ部
105 出力部
110 メタデータ記憶部
111 移動速度量計算部
112 乖離度検知部
113 閾値記憶部
114 乖離度通知部
200 映像データサーバ装置
300 メタデータサーバ装置
301,302,303 携帯装置
400 カメラ
500 映像監視システム
600 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一対象について、映像データサーバ装置から前記対象の映像データを、メタデータサーバ装置から前記対象に関連するメタデータを、それぞれ別々に取得する映像表示装置であって、
前記映像データサーバ装置が供給する、被写体の映像および時間情報を含む前記映像データを取得する映像データ取得部と、
少なくとも1つの前記メタデータサーバ装置が供給する、時間情報を含み、前記被写体に関連する前記メタデータを取得するメタデータ取得部と、
前記メタデータから生成された、前記被写体に関連する関連情報を、前記被写体の映像に重畳した重畳映像を生成するオーバレイ部と、
前記メタデータに含まれる時間情報と前記映像データに含まれる時間情報とに基づいて、前記メタデータサーバ装置に対して前記メタデータの供給の遅れをフィードバックするための乖離度情報を生成し、前記乖離度情報を、前記被写体のメタデータを供給した前記メタデータサーバ装置に送る乖離度算出部と、
を備えた映像表示装置。
【請求項2】
前記乖離度情報は、前記メタデータサーバ装置における前記メタデータの生成頻度の情報を含む請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記メタデータサーバ装置から、複数の前記被写体に関連するメタデータが供給され、
前記乖離度情報は、前記複数の被写体のうち、前記メタデータサーバ装置において優先的に前記メタデータを生成する被写体の情報を含む請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記乖離度算出部は、
前記メタデータ取得部が取得した、位置情報を含む前記メタデータに基づいて、前記被写体の移動速度量を計算する移動速度量計算部と、
前記移動速度量計算部で計算された前記被写体の移動速度量に基づいて選択された乖離度閾値を用いて、前記メタデータに含まれる時間情報と前記映像データに含まれる時間情報との差分と、前記乖離度閾値とを比較して乖離度合いレベル情報を算出する乖離度検知部と、
前記乖離度検知部で算出された前記乖離度合いレベル情報に対応する前記乖離度情報を生成し、前記メタデータサーバ装置に送る乖離度通知部と、
を含む請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記メタデータ取得部は、複数の前記被写体のメタデータを取得し、
前記移動速度量計算部は、前記複数の被写体それぞれの移動速度量を計算し、前記乖離度検知部は、前記複数の被写体のうち、最も移動速度量の大きな被写体の移動速度量を用いて、前記乖離度情報を算出する請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記移動速度量計算部は、前記被写体の重畳映像における移動方向に応じて、前記移動速度量を補正する請求項5に記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記関連情報が、前記被写体の移動軌跡を示す動線であり、
前記乖離度算出部が、メタデータ供給の遅延解消に時間がかかると判断した場合に、前記オーバレイ部は、擬似的な推定動線を生成し、前記重畳映像に表示する請求項4に記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記乖離度算出部が、前記メタデータ供給の遅延が回復したと判断した場合に、前記オーバレイ部は、前記推定動線を前記メタデータから生成された前記動線に切り替える請求項7に記載の映像表示装置。
【請求項9】
前記被写体の映像を撮影したカメラの制御情報を取得するカメラ制御情報管理部を備え、
前記オーバレイ部は、前記カメラの制御情報に基づいて、前記メタデータに含まれる位置情報を前記被写体の移動軌跡を示す動線に座標変換する請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項10】
同一対象について、映像データサーバ装置から前記対象の映像データを、メタデータサーバ装置から前記対象に関連するメタデータを、それぞれ別々に取得する映像表示装置を用いた映像表示方法であって、
前記映像データサーバ装置が供給する、被写体の映像および時間情報を含む映像データを取得するステップと、
少なくとも1つの前記メタデータサーバ装置が供給する、時間情報を含み、前記被写体に関連する前記メタデータを取得するステップと、
前記メタデータから生成された、前記被写体に関連する関連情報を、前記被写体の映像に重畳した重畳映像を生成するステップと、
前記メタデータに含まれる時間情報と前記映像データに含まれる時間情報とに基づいて、前記メタデータサーバ装置に対して前記メタデータの供給の遅れをフィードバックするための乖離度情報を生成するステップと、
前記乖離度情報を、前記被写体のメタデータを供給した前記メタデータサーバ装置に送るステップと、
を備えた映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−197365(P2011−197365A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63799(P2010−63799)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】