説明

映像表示装置ならびにマルチディスプレイ装置

【課題】
大型の液晶ディスプレイを用いた映像表示装置において、入射偏光板の寿命向上と光源の交換可能とすることで、高信頼性の大画面ディスプレイを実現する。
【解決手段】
本発明に係る映像表示装置は、光を放出する光源(1)と該光源から放出された光を所定の偏波成分に変換する偏光変換素子(4)と、この偏波方向が偏光された光を所定サイズの矩形状に整形する光学整形部(7)と、該矩形状の光を拡大投写する照明部(8)と、前記照明部によって拡大投写された矩形状の光の方向を変換するフレネルレンズ(9)と、その出射光を拡散する拡散部(10)と、該拡散部からの光を変調する光変調部(12)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶パネル等の光変調素子を用いて光源からの投写光を変調して映像を形成するようにした映像表示装置、ならびに、該映像表示装置を複数個、少なくとも縦または、横方向に並べ、各映像表示装置に分割した映像を表示させるマルチディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に液晶パネルを使用した映像表示装置は、小型液晶パネルを使用し、スクリーンに拡大投影する投写型液晶ディスプレイと、大型液晶パネルを使用し、パネルの背面に冷陰極管等の光源を複数個配列した、いわゆる平面タイプの直視型の液晶ディスプレイに大別することができる。
【0003】
投写型液晶ディスプレイは、光源から出射された光を赤、緑、青の3原色に色分解して入射側及び出射側に偏光板が配置された小型液晶パネルに入射し、この入射光を小型液晶パネルで変調して投写レンズで拡大し、スクリーンに投影することで映像表示を行っている。
【0004】
一般的な液晶ディスプレイの場合は、光源として、冷陰極蛍光管やLEDを使用し、これを液晶パネルの背面に複数個配置している。光源から放出された光は拡散板や輝度向上フィルムによって空間的に輝度が均一化され、入射偏光板を透過した光が液晶パネルに入射する。液晶パネルにおいて入力信号に応じて変調された光は、出射面に配置された偏光板を通過し、映像が表示される。
【0005】
投写型液晶ディスプレイおよび直視型液晶ディスプレイの従来技術の例として、例えば特許文献1、特許文献2に記載のものが知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−72162号公報
【特許文献2】特開2006−133721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記投写型液晶ディスプレイと直視型液晶ディスプレイは、それぞれ次の課題を有している。すなわち長寿命化と低コスト化である。
【0008】
例えば、投写型液晶ディスプレイにおいては、光源として高圧水銀ランプが使用されるが、その寿命は数千時間と短い。また、ランプからの高エネルギーの光が小型液晶パネルの表示面とほぼ同じ面積を有する偏光板に入射されるため、偏光板の単位面積あたりのエネルギー密度は非常に高く、偏光板の特性の劣化が早い。特許文献1は、偏光板を2枚構成にすることにより長寿命化をする技術を開示するが、近年においてはランプの高輝度化や液晶パネルの小型化に伴い偏光板へのエネルギー密度は増加傾向にあり、かかる従来技術では大幅な長寿命化は困難となる。また、投写型液晶ディスプレイでは小型液晶パネルで変調された映像光を投写レンズで拡大するため、かかる投写レンズは、画面センターから周辺に至るまで高いフォーカス性能が必要となり、特に、大画面化に対応するためには高倍率で低収差が要求され、高価となる。
【0009】
直視型液晶ディスプレイでは、例えば特許文献2のように液晶パネルの入射面側に偏光板に偏光方向が揃えられていない光が入射されるものは、偏光板で半分の光を吸収することになるため、光や温度によって偏光板が劣化しやすい。また、直視型液晶ディスプレイでは、光源として数百個から数千個のLEDや、数十本の冷陰極蛍光管が使用され、さらには、映像表示面積と略同一な面積の拡散板が数枚必要となるため、コスト的に高価になっている。また、直視型液晶ディスプレイでは、複数の画面サイズが揃えられているため、画面サイズ固有の部品が多く、異なるサイズ間で部品の共有化を図ることによる低コスト化は難しい。
【0010】
更に、直視型液晶ディスプレイでは、故障など光源に不具合が発生した場合に光源をユーザーが交換出来ないという問題を持っている。特に、直視型液晶ディスプレイをマトリックス上に配置して使用するマルチディスプレイシステムは、監視用途や制御用途で使用されることが多く、例えば光源に不具合が生じた場合に1台の液晶ディスプレイを交換する為には、設置された液晶ディスプレイを外さなければならず、交換作業が容易に行えない
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたもので、その目的は、信頼性が高く、コスト向上を抑制し、安定した性能を維持できる映像表示装置、ならびに、マルチディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる映像表示装置は、光を放出する光源と、該光源から放出された光を所定の偏波成分に変換して所定サイズの矩形状に整形し、該矩形状の光を拡大投写する照明部と、前記照明部によって拡大投写された矩形状の光の方向を変換する光線方向変換部と、前記光線方向変換部からの出射光を拡散する拡散部と、該拡散部からの光を、入力された映像信号に応じて変調する光変調部とを備えた特徴とする。
【0012】
本発明による映像表示装置は、偏光変換された光を入射偏光板に照射し、なおかつ、入射偏光板の面積は、映像表示部の面積と略同一とすることができるため、偏光板での光の吸収を少なくすることができ、長寿命化を可能とする。
【0013】
また、液晶パネルを照射する光学部品は液晶パネルを明るく照らす目的で使用する為、フォーカス性能や、収差性能を緩めることが出来、低コスト化を可能とする。
【0014】
また、映像表示部に大型の液晶パネルを使用するため、投写型表示装置において発生していた、投写レンズ性能に起因する同一映像面内のフォーカス性能ばらつきや、倍率色収差に起因する色ズレが発生しないため、高精細な映像品質を得ることができる。さらには、長期にわたる使用においても変化することがない安定性能が得られる。
【0015】
さらには、ランプに不具合が発生した場合も、交換が可能であるため、特に、マルチディスプレイのような複数の映像表示装置を使用する場合に好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、信頼性が高く、コスト向上を抑制し、かつ安定した性能を維持できる映像表示装置ならびにマルチディスプレイ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明の最良の形態について説明する。なお、本実施の形態においては、光変調部には、平面型映像表示装置の一つである液晶ディスプレイに使用されている液晶パネルを使用するものとする。また、各図において、共通な機能を有する構成要素には同一な符号を付して示し、また、繁雑さを避けるために、一度述べたものについてはその重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0018】
図1、図2、図3、図4を用いて、第1の実施例について説明する。第1の実施例は、光源として超高圧水銀ランプを用い、マルチレンズと偏光変換素子からなるインテグレータ照明系によって、光源からの光を矩形状に整形(以下、この受け以上に整形された光を「光ウィンドウ」と呼ぶ)し、光の偏光状態を所定の偏波に揃えた光を拡大投影することにより、液晶パネルを照らす照明光を形成するように構成されている。
【0019】
図1は、本実施例の光学系の構成を示す模式図である。図2は、本実施例による偏光変換素子の動作を説明する上から見た上面視の模式図である。図3は、本実施例による光ウィンドウの状態を示す照度分布のグラフである。図4は、本実施例によるフレネルレンズと拡散板の光学的機能を示す模式図である。
【0020】
図1において、光源1からは偏光方向に偏りの無い、いわゆる無偏光光が出射される。光源1から出射された無偏光光は、複数の凸レンズをマトリックス上に配置した第1のマルチレンズ2によって、複数の光束に分割される。複数の光束に分割された光は、第2のマルチレンズ3を通過し、偏光変換素子4に入射する。偏光変換素子4に入射した光は、後述するように偏光分離素子と1/2位相差板の作用によって、所定の偏波に揃えられる。偏光変換素子4を出射した光は、第1のレンズ5と第2のレンズ6によって、マルチレンズによって分割された光を光ウィンドウ形成用の光学整形板7の位置に照射される。光学整形板7は、矩形状の開口を有する枠形状を為しており、液晶パネルに拡大投影される光の大きさを規定し、さらに周辺の不要光を遮断することが可能となる。光学整形板7を通過した光は、例えば複数のレンズ素子または1以上の反射鏡あるいはこれらの組み合わせで構成された拡大光学系8によって、所定の倍率で広がる拡大光101となる。拡大光101は、光線方向をフレネルレンズ9によって、光の方向を後述する液晶パネルの方向に向けるように変換する。フレネルレンズ9を通過した光は、光の方向がパネル面の方向に強度をもった光となるため、拡散板10によって、フレネルレンズ9から出射した光の進行方向の偏りを減らした拡散光とし、入射偏光板11に入射させる。入射偏光板11は、所定の偏光光を透過し、その偏光光と直交した偏光光は吸収する作用を為す。偏光変換素子4によって偏波を揃えられた光は、複数の光学部品を通過することによって、わずかに偏光が乱れた光を含む可能性を持つ。これら所定の偏光方向と異なる偏波成分を持つ光は、不要光として作用し、コントラスト低下等の映像品質低下の原因となる。従って、これらの所定の偏光光以外の光を入射偏光板11で遮断することで偏光方向が揃った光を出射させることができる。入射偏光板11を出射した光は、液晶ディスプレイによって、図示しない駆動回路によって光変調が行われる。光変調された光は、出射偏光板13によって、不要な光が遮断され、前面保護板14を通過し、観察者に映像を提供する。
【0021】
また、前記マルチレンズには、図示しない紫外線カットのコーティングを施すことによって、光源から発せられる紫外光の遮断を可能とし、偏光板等の有機材料からなる光学要素の寿命向上を図れる。
【0022】
次に図2を用いて、本実施例の偏光変換素子の光学的機能について説明する。第1のマルチレンズ2には、複数の凸レンズ21がマトリックス状に配置されている。この第1のマルチレンズ2と対向するように、第1のマルチレンズ2から所定間隔を隔てて、第2のマルチレンズ3が配置され、同様にして複数の凸レンズ31が配されている。偏光変換素子4は、偏光分離膜41と反射膜42を有し、出射面には、1/2位相差板43を備える。第1のマルチレンズと第2のマルチレンズを通過した光46は、偏光状態に偏りの無い無偏光光である。無偏光光46は、偏光分離膜42によって、P偏光成分48が透過し、S偏光成分45は反射することで偏光分離を行う。偏光分離膜42で反射したS偏光成分45は、反射膜42によって、さらに光の進行方向を変え、偏光変換素子4の出射面に向かって進行し、S偏光光47となって、出射する。一方、偏光分離膜42を透過したP偏光成分48は、偏光変換素子出射面に配置された1/2位相差板43に入射する。1/2位相差板43は、周知のように偏光方向を90°回転させるように作用する為、入射したP偏光成分48は、1/2位相差板43によって、S偏光光44として出射する。このようにして、光の偏波を揃えることが可能となる。尚、ここでは、偏光変換素子4から出射される光をS偏光光に揃える方法を開示したが、1/2位相差板の位置を反射光45が出射する位置に設置することで、出射光がP偏光光に揃えてもよい。
【0023】
次に図3を用いて、光ウィンドウ形成用の光学整形板7における光の照度分布について説明する。図3は、光学整形板7のx方向断面71、y方向断面72上での照度を示したグラフである。グラフの横軸は測定位置、縦軸は照度比率を示しており、原点の照度を基準とした比率で表している。また、光学整形板7への到達光線範囲7Lに対して、光線の通過光線範囲7aは照度分布が一様になるように小さく設定している。図3において、x方向断面71の照度は、X1’からX1の範囲において、ほぼ、照度比率100を維持し、X1’からX2’の範囲、並びにX1からX2の範囲で照度が低下している様子が分かる。また、y方向断面72においても同様に、Y1’からY1の範囲において、ほぼ、照度比率100を維持し、Y1’からY2’の範囲、並びにY1からY2の範囲で照度が低下している。このグラフから明らかなように、光学整形板7を通過する光、すなわち通過光線範囲7aの範囲における照度は一様である。
【0024】
次に図4を用いて、拡大光を平行に戻すフレネルレンズ9の作用と拡散板の作用について説明する。ここで、フレネルレンズ9は、その主平面と直行する断面が三角プリズム形状を為したフレネルレンズ素子が、複数個、その主平面において同心円状に配列されているもものとする。もしくは、主平面と直行する断面が三角プリズム形状を為した主平面の水平または垂直方向に延びた直線状のフレネルレンズ素子が、複数個水平あるいは垂直方向に並んで配列されているものとする。図4に示すように、フレネルレンズ9に入射する光は、入射する位置に応じて、異なる角度を持っている。例えば、周辺拡大光901に対して、中間拡大光902は、フレネルレンズに入射する角度が小さい。フレネルレンズ9は光線が入射する位置に応じて、入射した光をプリズム作用によりZ方向に屈折して出射するように形成されている。フレネルレンズ9の作用は周知であるため、詳細な説明については省略する。フレネルレンズ9を出射した光は、拡散板10に入射し、光の方向を拡散し、様々な方向からの観察に対しても、一様な光に変換することが可能となる。
【0025】
このように構成することにより、図1に示したように、入射偏光板11には、偏光方向が揃い、均一性が良い光が入射することを可能とする。
【0026】
本実施例によれば、液晶パネル12の入射偏光板には、偏光方向が揃った光を入射させることができる為、偏光板で吸収される光エネルギーは大幅に低減させることができ、寿命の向上を図ることが可能となる。また、投写型表示装置に使用される小型パネルの大きさが対角サイズで1インチ程度であるのに対して、本実施例においては、50インチ以上の大型液晶パネルを使用する。従って、最終的に得られる映像の輝度が同じであるならば、液晶パネルや偏光板に照射される光のエネルギー密度は、光が照射される面積比と考えることができる為、本実施例においては、例えば1インチの小型液晶パネルに比べ2500分の1に減らすことができ、偏光板やパネルに与える光学または熱的な負荷を大幅に減らすことが出来、寿命向上を図ることが可能となる。
【0027】
また、本実施例において、拡大光学系8に要求される性能は、基本的には光学整形板7の通過光線範囲を液晶パネルの大きさに拡大することであり、従来の投写レンズに要求されたフォーカス性能や、色収差等は必要としない為、光学系を構成するレンズ枚数の低減や、レンズ形状仕様の緩和が可能となり、低コスト化を実現できる。
【0028】
また、本実施例によれば、光源は投写型表示装置と同様に、ランプのみを外部から取り出し可能な状態に設置できる為、光源に伴う不具合が発生した場合において、映像表示装置の設置環境下で簡単に交換が可能である。
【実施例2】
【0029】
次に図5と図6を用いて、第2の実施例について説明する。第2の実施例は、光源に無電極ランプを適用することにより、光源の長寿命化を実現するものである。
【0030】
図5は、本実施例における映像表示装置のうち、光源から偏光変換素子の部分を抜出したものである。また、図6は無電極ランプの光出力の経時変化を超高圧水銀ランプと比較して示したものである。
【0031】
図5において、無電極ランプ201は、プラズマ放電材料が封止されたバルブ201aと高周波信号を発生する電極201bと201cを備え、バルブ201aは誘電体材料に埋め込まれている。図示しない高周波増幅器によって発生する高周波信号は、電極201bと201c、ならびに誘電体材料によって、バルブへと導かれる。その結果、バルブ201a内部のプラズマ材料が蒸発し、プラズマが発生し、光を放射する。バルブ201aから放出された光は、レンズ202とレンズ203を透過することによって、光の放出方向が光学系に対して略平行になるように補正される。マルチレンズを出射した光の作用は実施例1と同様であるため、ここでは省略する。尚、本実施例では、バルブからの光を平行光に補正するために2枚のレンズを使用しているが、レンズ枚数、レンズ形状は限定されるものではなく、マルチレンズに光を効率良く導く形状、機能を有していればよい。
【0032】
図6において、グラフの縦軸はランプ初期に対する光出力の比率、横軸はランプの動作時間を示している。無電極ランプはバルブ内部に電極を持たない為、超高圧水銀ランプは電極の消耗に起因する出力低下を生じるのに対して、安定した出力を維持できる。本実施例においては、2万5千時間の動作時間において、超高圧水銀ランプは40%以下の出力低下を生じるのに対して、80%以上の光出力を維持している。
【0033】
本実施例によれば、超高圧水銀ランプがもつランプ寿命に対する課題を改善することができ、信頼性の高い映像表示装置を提供できる。
【実施例3】
【0034】
次に第3の実施例について、図7を用いて説明する。第3の実施例は、本実施形態に係る映像表示装置を筐体に収納した例について説明する。本実施例は、拡大光学系をレンズ系と自由曲面ミラー並びに反射ミラーによって構成している。
【0035】
図7は、光学系の概略を示す側面図である。光源から拡大光学系を構成する光学素子の一部までを含む光学アセンブリ302が配置され、光学アセンブリ302から出射した光は、自由曲面ミラー303によって光線の進行方向を変えると共に、さらに光の拡大作用をもつ。自由曲面ミラーで反射した光は、さらに反射ミラー304によって、液晶ディスプレイ301の方向に光の進行方向を変え、映像を表示する。映像表示装置を構成する部品を収納する筐体305の外形形状はマルチディスプレイを構成できるようになっている。本実施例においては、拡大光学系の一部に自由曲面ミラーを配置している。このように構成することで、レンズの枚数を減らせるだけでなく、光路長を短くすることができ、セットの薄型化を可能とする。
【実施例4】
【0036】
次に第4の実施例について、図8を用いて説明する。第4の実施例は光源として半導体レーザーを用いた例について説明する。
【0037】
半導体レーザー501は、直線偏光光である直線光を出射する。出射されたレーザー光は拡散板502に入射する。レーザー光は、拡散板502によって、直進光が様々な角度を持つ拡散光に分解し、ライトトンネル503に入射する。ライトトンネルに入射した光は、その壁面で様々な反射を生じ、出射面で一様な輝度分布をもち、出射面形状と同じ形状のラスタ光に変換される。ライトトンネル503から出射した光は、実施例1と同様に、拡大され入射偏光板に到達し、パネルによって光変調が為されて映像を表示する。
【0038】
レーザー光を使う利点は、レーザー光は単波長光であり紫外線を含んでおらず、かつ直線偏光であるため偏光変換の必要が無い等の利点がある。
【実施例5】
【0039】
次に第5の実施例について、図9と図10を用いて説明する。第5の実施例は、複数のディスプレイサイズに対応する方法として、照明系の光学要素の一部を変える手段の例を説明する。本実施例によって、様々なディスプレイサイズに対して、共通の光学要素を使用することが可能になり、低コスト化を実現することができる。
【0040】
図9はマルチレンズを使用したインテグレータ照明系の概略構成を示している。一般的に、第1のマルチレンズの一つの凸レンズの形状をX3×Y3とすると、光ウィンドウ形状X4×Y4との間には、X4=(L2/L1)×X3の関係がある。この関係から、例えば光ウィンドウのサイズを大きくする為には、X3あるいは、L2を大きくすることで実現可能となる。すなわち、拡大系の倍率が同じでも、光ウィンドウ形状のサイズを変化させることで、複数のディスプレイサイズに対応可能となることが明確である。
【0041】
次に拡大系の倍率を変える場合について説明する。図10において、拡大系はレンズの位置を変えるための移動手段を備えており、これによって、拡大率を変更可能にしている。すなわち本実施例に係る拡大系は、複数の倍率をもつことが可能ないわゆるズームレンズとしての機能を有している。第1のズームポジション601に対しては、光線602に拡大し、第2のズームポジション701に対しては、光線702に拡大することができる。このように構成することによって、多くの光学部品の共通化による低コスト化を可能とし、さらには、簡単に複数のディスプレイサイズに対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施例による光学系の構成の模式図である。
【図2】第1の実施例によるマルチレンズ、偏光変換素子の上面視図である。
【図3】第1の実施例による光ウィンドウの照度分布のグラフである。
【図4】第1の実施例によるフレネルレンズ部の側面図である。
【図5】第2の実施例による光源部の模式図である。
【図6】第2の実施例による光源の寿命を示すグラフである。
【図7】第3の実施例による映像表示装置の側面図である
【図8】第4の実施例による光源部の模式図である。
【図9】第5の実施例によるマルチレンズの凸レンズと光ウィンドウとの関係を示す図である。
【図10】第5の実施例による映像表示装置の側面図である
【符号の説明】
【0043】
1…光源、2…第1のマルチレンズ、3…第2のマルチレンズ、4…偏光変換素子、7…光学整形板、8…拡大光学系、9…フレネルレンズ、10…拡散板、11…入射偏光板、12…液晶パネル,13…出射偏光板、14…表面保護板、201…無電極ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放出する光源と、
該光源から放出された光を所定の偏波成分に変換して所定サイズの矩形状に整形し、該矩形状の光を拡大投写する照明部と、
前記照明部によって拡大投写された矩形状の光の方向を変換する光線方向変換部と、
前記光線方向変換部からの出射光を拡散する拡散部と、
該拡散部からの光を、入力された映像信号に応じて変調する光変調部とを備えた特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の映像表示装置において、前記光変調部は、画素毎に少なくとも3色のカラーフィルターを備え、それぞれの色に対して、光を変調可能な液晶パネルであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の映像表示装置において、前記照明部は、
前記光源から放出された光束を複数の光束に分割する複数の凸レンズを2次元状に配置した第一のマルチレンズ素子と、
該マルチレンズ素子に対向して設けられた第二のマルチレンズ素子とを含み、
該第二のマルチレンズ素子から出射された複数の光束を前記所定の偏光成分に変換する偏光変換素子を更に備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置において、前記偏光変換素子は、前記第二のマルチレンズからの出射光に含まれるP波またはS波の一方の偏波成分を透過する偏光分離膜と、前記P波またはS波の他方の偏波成分を反射する反射膜と、前記偏光分離膜からの出射光を前記他方の偏波成分に変換するための1/2位相差板とを備えており、
該1/2位相差板は、水晶素子によって構成されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の映像表示装置において、前記光源は白色高圧水銀ランプであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の映像表示装置において、前記光源は無電極ランプであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の映像表示装置において、前記光源は発光ダイオードであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
光を放出する光源と、
該光源から放出された光を所定サイズの矩形状に整形し、該整形された光を拡大投写する照明部と、
前記照明部によって拡大投写された前記矩形状の光の方向を変換するフレネルレンズと、
該フレネルレンズからの出射光を拡散する拡散部と、
拡散部から出射された光を、入力信号に応じて変調する光変調部とを備え、前記光源は半導体レーザーであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
複数の映像表示装置を少なくとも縦方向または横方向に配列し、マルチ画面を構成するマルチディスプレイ装置において、
該マルチディスプレイ装置を構成する各々の映像表示装置は、請求項1乃至8のいずれかに記載の映像表示装置からなることを特徴とするマルチディスプレイ装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の映像表示装置において、前記照明部は、前記矩形状の光を拡大投射するための拡大光学系と、該拡大光学系を構成する複数の光学要素の少なくとも一つの配置位置を変更可能にする移動手段とを有し、該移動手段によって前記光学要素の配置位置を変えることによって、拡大率を変更可能にしたことを特徴とする映像表示装置
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の照明部映像表示装置において、前記照明部は、前記矩形状の光を拡大投射するための拡大光学系を有し、該拡大光学系を構成する複数の光学要素の少なくとも一つのを、形状が異なる別の光学要素に置換可能にして拡大率を変更可能にしたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載の照明部映像表示装置において、前記照明部は、前記矩形状の光を得るための光学整形板と、該光学整形板の配置位置を変更可能な移動手段を有し、該移動手段によって前記光学整形板の配置位置を変えることによって、前記矩形状の光のサイズを変更可能にしたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれかに記載の照明部映像表示装置において、前記照明部を構成する光学要素の少なくとも一つを形状が異なる別の光学要素に置換可能にして前記矩形状の光のサイズを変更可能にしたことを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−139876(P2009−139876A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319058(P2007−319058)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】