説明

映像表示装置及び映像表示方法

【課題】 マルチビューコンテンツの各ビュー画面の表示位置を反映した音声システムを提供する。
【解決手段】 メインビュー画面の表示位置情報に基き、マルチチャンネル音声データを処理することにより、複数のスピーカから出力されるメインビュー音声の音量を調節し、メインビュー音声の音像の位置をメインビュー画面の中心位置に一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の映像とそれに対応する複数の音声とから構成されるマルチビューコンテンツをマルチ画面表示する際に、再生される音声の音像位置を制御した映像表示装置及び映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチビューコンテンツの配信は、日本のデジタル放送規格であるARIB規格において、マルチビューテレビ(MVTV)として運用規定されている。
【0003】
非特許文献1では、MVTVとは放送事業者の意図した複数の映像・音声の組み合わせによって、1つの放送コンテンツを構成する放送形態として定義されている。
【0004】
特許文献1には、マルチビューテレビを構成する複数の映像に係る映像信号群の構成パターンに応じて、複数の映像を1画面上に同時表示するための最適レイアウトパターンを決定することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、ディスプレイ上に表示された複数の画像の表示情報を検出し、表示状態に応じて各画像に同期した音信号の音量調節を行うことが記載されている。
【0006】
特許文献3には、複数の音声チャンネルを用いて音声が送られてくる放送において、
画面中に表示されたポインタ内の基準位置と選択された音声チャンネルポイントとの相対距離に基いて音声チャンネルの音声合成比率を決定することが記載されている。
【特許文献1】特開2004−128778号公報
【特許文献2】特開平05−019729号公報
【特許文献3】特開平08−298635号公報
【非特許文献1】ARIB TR−B14第二分冊第四編 25マルチビューテレビ(MVTV)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の映像表示装置での、マルチビューコンテンツのマルチウィンドウ(マルチ画面)表示による視聴では、各ウィンドウに表示されている映像に対応する音声が選択的に出力されていた。また複数の音声が同時に出力される場合であっても、各音声の音量のみが、画像の表示状態に応じて制御されているに過ぎなかった。即ち、従来の映像表示装置においては、1画面内での各ウインドウの表示位置とは無関係に、映像表示装置に配置されたスピーカから、各ウインドウに対応する音声が選択的又は音量調節されて出力されていた。そのため、各ウィンドウに表示される映像と対応する音声との関連性が知覚しにくく、マルチビューコンテンツとしての臨場感に欠けていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の映像表示装置は、メインビュー映像とサブビュー映像とからなる複数の映像と、前記メインビュー映像に対応するメインビュー音声と前記サブビュー映像に対応するサブビュー音声とからなる複数の音声とから構成されるマルチビューコンテンツを、前記メインビュー映像を表示するメインビュー画面と、前記サブビュー映像を表示するサブビュー画面とからなるマルチ画面で表示する映像表示装置であって、前記メインビュー音声の音像の位置が前記メインビュー画面の中心位置に対応していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マルチウィンドウ表示の各ウィンドウで表示される映像に対応する音声の音像の位置を、ウィンドウ表示画面の中心に一致させることで、映像と音声の関連性が知覚しやすい臨場感のあるマルチビューコンテンツの視聴が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施例1>
前述したARIB規格によれば、番組情報に含まれるEIT(Event Information Table)にはマルチビューコンテンツであることを示すフラグが存在する。選択した番組がマルチビューコンテンツか否かは、このフラグの有無を検出することにより決定される。同じくEITには、番組データを構成する各ストリームがメインビューのものであるかサブビューのものであるかを示すフラグも存在する。このフラグを参照することにより、マルチビューコンテンツを構成する各映像・音声がメインビューに対応する映像・音声(メインビュー映像・メインビュー音声)なのか、サブビューに対応する映像・音声(サブビュー映像・サブビュー音声)なのかが識別される。
【0011】
図1は、本発明の映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
また図2は、映像メモリ7及び音声メモリ8のバッファ構成を示すブロック図である。
【0013】
デジタル放送信号はチューナ12により受信され、復調・デマックス部10による復調・デマックス処理及びデスクランブル処理の後、映像音声ストリームとして映像音声デコーダ6に出力される。
【0014】
映像音声デコーダ6は映像音声ストリームをデコード処理する。
【0015】
デジタル放送コンテンツが、マルチビューコンテンツの場合、デコード処理された映像ストリームは、表示プロセッサ3の制御により、ビデオデータとして映像メモリ7のそれぞれのビュー映像バッファ42〜44に格納される。
【0016】
映像音声デコーダ6は、マルチビューコンテンツの複数の符号化音声ストリームを同時にデコードする。音声プロセッサ4は、デコード処理された複数の音声ストリームを、多チャンネル音声データとして音声メモリ8の該当する音声バッファ18〜20に連続的に書き込む。
【0017】
表示プロセッサ3は、映像メモリ7に格納されたビデオデータ、背景静止画像データ、文字データ、GUIデータをそれぞれ読み出して合成し、合成ビデオデータを出力する。表示部1は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ELD(Electro−luminescence Display)等の表示デバイスを有する。合成ビデオデータに基く合成映像が表示デバイス上の画面に表示される。
【0018】
表示部1の画面上には、図1に示すように、メインビュー画面が中央部に配置され、サブビュー画面が周辺部に配置されたマルチ画面として映像表示される。また、GUI画面がサブビュー画面に重ならないように周辺部に配置される。
【0019】
表示プロセッサ3は表示部1と映像メモリ7とを連携制御する。
表示プロセッサ3は、表示部1で表示される映像の表示位置情報と、その映像に対応するビデオデータの映像メモリ7のメモリアドレス情報とを関連付けてそれぞれの情報を保持している。
【0020】
表示部1の表示画面上の表示位置がメインビュー画面及びサブビュー画面の表示矩形領域の位置に対しては、表示位置情報に基いて、ビュー映像バッファ42〜44のメモリアドレスに該当するビデオデータが読み出される。メインビュー画面にはメインビュー映像が表示され、サブビュー画面にはサブビュー映像が表示される。メインビュー映像に対応した音声であるメインビュー音声と、サブビュー映像に対応した音声であるサブビュー音声とがビュー画面のレイアウトに応じてミキシングされてスピーカシステム2より出力される。
【0021】
同様に表示位置が文書画面の表示領域に対しては、グラフィックバッファ45における文字データメモリ領域のメモリアドレスに該当する文字データが読み出される。表示位置がGUI画面の表示領域に対しては、グラフィックバッファ45のGUIデータメモリ領域のメモリアドレスに該当するGUIデータが読み出される。
【0022】
表示画面上には、ビュー画面及び文書画面、GUI画面の背景として、静止画像を表示することができる。
【0023】
静止画像データは、グラフィックバッファ45における静止画像データメモリ領域から読み出される。
【0024】
表示プロセッサ3は、ビデオデータ及び文字データ、GUIデータを各々の表示位置に対応付けて合成する。
【0025】
また、ビュー画面及び文書画面、GUI画面を、背景の静止画像に所定の透過率で合成したアルファブレンド合成画像として表示画面上に映像表示することもできる。
【0026】
ビュー画面及び文書画面、GUI画面の表示位置の移動は、表示プロセッサ3内部の表示位置情報の設定情報を変更することで可能である。
【0027】
音声プロセッサ4は、スピーカシステム2と音声メモリ8を連携制御する。
【0028】
表示プロセッサ3は、表示部1で表示される映像の表示位置情報からビュー画面の表示位置情報を音声プロセッサ4に出力する。
【0029】
音声プロセッサ4は、表示プロセッサ3から取得した各ビュー画面の表示位置情報から、各ビュー画面に対応する音声の音像の定位と音量制御とを実行する。音声プロセッサ4は、音声バッファ18〜20から読み出した音声データを、音像位置情報と音量情報とに基いてミキシング処理し、スピーカシステム2へ出力する。
【0030】
各ビュー画面に対応する音像位置の移動は、音声プロセッサ4内部の音像位置情報の設定情報を変更することで可能である。ビュー画面のレイアウト変更は、瞬時に音像位置レイアウトに反映される。音声プロセッサ4は、メインビュー画面の表示位置情報から、メインビュー音声の音像の位置がメインビュー画面の中心と一致するようにミキシング条件を決定する。
【0031】
メインビュー画面が、表示画面の上部にある場合は、上部に配置されたスピーカから出力される音が、下部に配置されたスピーカから出力される音よりも大きくなるように各スピーカに出力される音量情報が設定される。
【0032】
横方向に関しても同様に、メインビュー画面の表示画面上の横位置に応じて右部に配置されたスピーカと左部に配置されたスピーカから出力される音の大きさが調整される。
【0033】
音像の位置は必ずしもメインビュー画面の中心位置に一致していなくとも、メインビュー画面の中心から所定範囲に入るように対応付けされてミキシング条件が設定されてもよい。
【0034】
また、サブビュー画面についても同様に音声処理される。音声プロセッサ4は、サブビュー画面の表示位置情報から、サブビュー音声の音像の位置がサブビュー画面の中心と一致するように、又はサブビュー画面の中心から所定範囲に入るように対応付けされてミキシング条件を決定することができる。
【0035】
メインビュー音声とサブビュー音声とは、ユーザ操作により切り換え可能に出力されてもよいし、同時に出力されてもよい。
【0036】
同時に出力される場合には、メインビュー音声の音量とサブビュー音声の音量とは、メインビュー画面の面積とサブビュー画面の面積とにそれぞれ対応付けされて出力されてもよい。即ち、面積が大きい画面に対応する音声程、大きな音量とすることができる。
【0037】
音声メモリ8(記憶手段)は、メインビュー音声の音声データを格納する音声バッファ18とサブビュー音声の音声データを格納する音声バッファ19、20とからなる。
【0038】
さらに音声バッファ18〜20は、それぞれ5チャンネルのスピーカバッファ21〜25、26〜30、31〜35からなる。即ち、メインビュー音声データとサブビュー音声データとは、それぞれチャンネル毎に格納されている。スピーカは、図3に示すように、表示部1の上下左側に配置された中高域スピーカ48、4と、上下右側に配置された中高域スピーカ50、51と、中央部下側に配置された低域スピーカ52からなる。
【0039】
それぞれのスピーカ48〜52に対応する音声データが、音声バッファ18〜20のスピーカバッファに格納されている。
【0040】
各ビュー画面に対応するビュー音声の音像の位置は、各音声バッファ内の各チャンネルに格納されている音声データの大きさ(音量)を調整して出力することで制御される。音声バッファ18〜20の音声データは出力用音声バッファ36に転送する際に、ミキシング条件に基く演算が行われ、ミキシング後の音声データがスピーカバッファ37〜41に保持される。各スピーカ48〜51からは、音声出力バッファ36内のスピーカバッファ37〜41に保持された音声データに基いた音声が出力される。
【0041】
<実施例2>
本実施例でも、映像表示装置の構成及びメモリの構成、スピーカの配置は実施例1と同様である。
【0042】
本実施例では、メインビュー音声の音像位置は、メインビュー画面の中心位置に一致させ、サブビュー音声の音像位置は、サブビュー画面の中心位置より外側に配置させる。サブビュー画面は、メインビュー画面の周辺に配置されている。
【0043】
即ち、サブビュー音声の人間の両耳への到達の時間差が大きくなるようにする。音声の両耳への到達の時間差は、表示される映像の距離感を助長するので、より臨場感に富むマルチビューコンテンツの視聴が可能となる。
【0044】
サブビュー音声の音像位置を画面の縁を越えた外側に配置させるとより効果的である。
音像位置の設定に関しては、実施例1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の映像表示装置のブロック図である。
【図2】本発明のメモリの構成を説明するための説明図である。
【図3】本発明のスピーカシステムの構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 表示部
2 スピーカシステム
3 表示プロセッサ
4 音声プロセッサ
5 メインプロセッサ
6 映像音声デコーダ
7 映像メモリ
8 音声メモリ
9 入出力プロセッサ
10 復調・デマックス
11 複合入出力装置
12 チューナ
13 不揮発記憶装置
14 放送波
15 インターネット
16 ヒューマンインターフェース
17 地域情報処理装置
18〜20 音声バッファ
21〜35 スピーカバッファ
36 音声出力バッファ
37〜41 スピーカバッファ
42〜44 各ビュー映像バッファ
45 グラフィックバッファ
46 メインCPUワークエリア
47 映像音声デコーダエリア
48 中高域スピーカ1
49 中高域スピーカ2
50 中高域スピーカ3
51 中高域スピーカ4
52 低域スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインビュー映像とサブビュー映像とからなる複数の映像と、前記メインビュー映像に対応するメインビュー音声と前記サブビュー映像に対応するサブビュー音声とからなる複数の音声とから構成されるマルチビューコンテンツを、前記メインビュー映像を表示するメインビュー画面と、前記サブビュー映像を表示するサブビュー画面とからなるマルチ画面で表示する映像表示装置であって、前記メインビュー音声の音像の位置が前記メインビュー画面の中心位置に対応していることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記サブビュー音声の音像の位置が、前記サブビュー画面の中心位置に対応していることを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記マルチ画面は、前記メインビュー画面が中央部に、前記サブビュー画面が周辺部になるように配置され、前記サブビュー音声の音像の位置が前記サブビュー画面の中心位置よりも外側に位置することを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記メインビュー音声と前記サブビュー音声とはそれぞれ切り換え可能に出力されることを特徴とする請求項1乃至3記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記メインビュー音声と前記サブビュー音声とが同時に出力されることを特徴とする請求項1乃至3記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記メインビュー音声の音量と、前記サブビュー音声の音量とは、前記メインビュー画面の面積と前記サブビュー画面の面積とにそれぞれ対応していることを特徴とする請求項5記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記複数の音声に対応した音声データを格納する記憶手段を有し、
前記記憶手段は、前記メインビュー音声に対応した音声データと、前記サブビュー音声に対応する音声データとを、各々複数のチャンネル毎に格納していることを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
【請求項8】
メインビュー映像とサブビュー映像とからなる複数の映像と、前記メインビュー映像に対応するメインビュー音声と前記サブビュー映像に対応するサブビュー音声とからなる複数の音声とから構成されるマルチビューコンテンツを、前記メインビュー映像を表示するメインビュー画面と、前記サブビュー映像を表示するサブビュー画面とからなるマルチ画面で表示する映像表示方法であって、前記メインビュー音声の音像の位置が前記メインビュー画面の中心位置に対応していることを特徴とする映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−273074(P2009−273074A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124229(P2008−124229)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】