説明

映像記録装置、監視システムおよび映像記録方法

【課題】市販のハードディスク装置に録画データをリアルタイムに記録する監視システムにおいて、コストの上昇を抑制しつつ、当該ハードディスク装置の寿命を延ばす。
【解決手段】監視システムの映像記録装置1に、CPU10と、ハードディスクドライブ16と、半導体メモリ17とを設ける。CPU10は、映像記録装置1の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替え、第1動作モードの間は録画データ9を第1録画データ90として半導体メモリ17にライブ記録させつつハードディスクドライブ16を停止状態とする。一方、第2動作モードの間は録画データ9を第2録画データ91としてハードディスクドライブ16にライブ記録させつつ、半導体メモリ17に格納されている第1録画データ90をハードディスクドライブ16に複写した後、半導体メモリ17から消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象エリアを監視するために、当該監視対象エリアを撮像した録画データを記録する技術に関する。より詳しくは、録画データを記録するハードディスク装置を長寿命化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラによって周囲を撮像し、得られたデジタルデータ(録画データ)をハードディスク装置に記憶させておく監視システムが知られている。このような監視システムでは、録画データはリアルタイムに取得されるため、ハードディスク装置を常時動作させつつ録画データを当該ハードディスク装置に書き込むことになり、ハードディスク装置へのアクセス時間がほぼシステムの稼働時間となる。さらに、監視システムは常に稼働しつづけているものであるから、その稼働時間は、通常、一日24時間である。すなわち、このような監視システムにおけるハードディスク装置のアクセス時間は一日24時間となる。
【0003】
一方、市販のハードディスク装置では機械的損耗や温度上昇によるディスク上の潤滑油の蒸発等の理由から、累積アクセス時間における寿命が2万時間程度となっている。すなわち、上記監視システムにおけるハードディスク装置のように、一日のアクセス時間が24時間となるような使用態様であれば、搭載されているハードディスク装置が2.2年で故障する計算となる。
【0004】
そこで、従来より、複数のハードディスク装置を設けて、時分割で停止させることにより、各ハードディスク装置のアクセス時間を抑制し長寿命化を図る技術が提案されている。このような技術が、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−250644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の技術では、一台のハードディスク装置に対して、その三倍の数の装置が必要である上に、寿命は1.5倍(上記試算では3.3年)にしかならない。一般的な電化製品の寿命としては5年程度(システムの稼働時間としては5万時間程度)が目標であり、特許文献1に記載されている技術では未だに足りないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、市販のハードディスク装置に録画データをリアルタイムに記録する監視システム(映像記録装置)において、コストの上昇を抑制しつつ、当該ハードディスク装置の寿命を延ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、録画データを記録する映像記録装置であって、録画データを取得する取得手段と、前記映像記録装置の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定するモード設定手段と、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第1録画データとしてライブ記録するメモリと、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第2録画データとしてライブ記録するハードディスク装置と、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記ハードディスク装置を停止させる停止手段と、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記メモリに記録されている第1録画データを前記ハードディスク装置に複写する複写手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る映像記録装置であって、前記モード設定手段は、前記メモリの空き領域に応じて前記第1動作モードを前記第2動作モードに切り替えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る映像記録装置であって、前記モード切替手段は、前記複写手段による前記第1録画データの前記ハードディスク装置への複写完了に応じて前記第2動作モードを前記第1動作モードに切り替えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明に係る映像記録装置であって、前記モード設定手段は、予め定められたタイムスケジュールに応じて前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、撮像によってデジタルデータを生成するデジタルカメラと、前記デジタルカメラによって生成されたデジタルデータに基づいて生成される録画データを記録する映像記録装置と、少なくとも前記映像記録装置に記録された録画データを再生する映像再生装置とを備え、前記映像記録装置は、前記録画データを取得する取得手段と、前記映像記録装置の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定するモード設定手段と、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第1録画データとしてライブ記録するメモリと、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第2録画データとしてライブ記録するハードディスク装置と、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記ハードディスク装置を停止させる停止手段と、前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記メモリに記録されている第1録画データを前記ハードディスク装置に複写する複写手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、録画データを記録する映像記録方法であって、デジタルカメラで撮像することにより録画データを取得する工程と、動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定する工程と、動作モードが第1動作モードに設定されている間において取得される録画データを第1録画データとしてメモリにライブ記録する工程と、動作モードが第2動作モードに設定されている間において取得される録画データを第2録画データとしてハードディスク装置にライブ記録する工程と、動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記ハードディスク装置を停止させる工程と、動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記メモリに記録されている第1録画データを前記ハードディスク装置に複写する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1ないし6に記載の発明では、動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定し、動作モードが第1動作モードに設定されている間において取得される録画データを第1録画データとしてメモリにライブ記録し、動作モードが第2動作モードに設定されている間において取得される録画データを第2録画データとしてハードディスク装置にライブ記録する。そして、動作モードが第1動作モードに設定されている間においてハードディスク装置を停止させ、動作モードが第2動作モードに設定されている間においてメモリに記録されている第1録画データをハードディスク装置に複写することにより、メモリを追加するだけで、ハードディスク装置のアクセス時間を抑制できるため、コストを抑制しつつ、ハードディスク装置の長寿命化を実現できる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、メモリの空き領域に応じて第1動作モードを第2動作モードに切り替えることにより、実際の稼働状況に応じてハードディスク装置を起動させることが可能となる。したがって、ハードディスク装置へのアクセス時間を効率よく抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、複写手段による第1録画データのハードディスク装置への複写完了に応じて第2動作モードを第1動作モードに切り替えることにより、実際の稼働状況に応じてハードディスク装置を停止させることが可能となる。したがって、ハードディスク装置へのアクセス時間を効率よく抑制することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、予め定められたタイムスケジュールに応じて第1動作モードと第2動作モードとを切り替えることにより、簡易な制御で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0019】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る監視システム100を示す図である。監視システム100は、映像記録装置1、複数のデジタルカメラ2(20,21,22,23)および映像再生装置3から構成される。
【0020】
図2は、本発明に係る映像記録装置1の構成を示すブロック図である。映像記録装置1は、CPU10、ROM11、RAM12、画像処理部13、操作部14、表示部15、ハードディスクドライブ16、半導体メモリ17および通信部18を備えている。また、映像記録装置1では、これらの構成がバス配線19によって互いに接続されている。
【0021】
CPU10は、ROM11に格納されたプログラムに従って動作し、RAM12を一時的なワーキングエリアとして使用しつつ、映像記録装置1の各構成を制御する。
【0022】
なお、詳細は後述するが、CPU10は、映像記録装置1の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定する機能を有している。また、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードに設定されている間においてハードディスクドライブ16を停止させる。さらに、映像記録装置1の動作モードが第2動作モードに設定されている間において半導体メモリ17に記録されている第1録画データ90をハードディスクドライブ16に複写するとともに、複写が完了した後には、当該第1録画データ90を半導体メモリ17から消去する。
【0023】
画像処理部13は、画像処理専用のハードウェア(例えば、画像処理ボード)であって、映像記録装置1の内部に収納され、バス配線19に接続されている。画像処理部13は、デジタルカメラ2を接続するための図示しないインターフェース(コネクタ等)や、デジタルカメラ2から受信するデジタルデータを受信するためのバッファメモリ(半導体メモリ)を備えている。
【0024】
画像処理部13は、当該インターフェースに接続されたデジタルカメラ2から、リアルタイムに入力されるデジタルデータをバッファメモリに格納しつつ、所定の画像処理を行ってリアルタイムに録画データ9を生成する。すなわち、本実施の形態における映像記録装置1は、デジタルカメラ2から受信するデジタルデータに基づいて画像処理部13が録画データ9を生成することにより、録画データ9を取得する。
【0025】
また、映像記録装置1は、先述のように、オペレータとの間のマンマシンインターフェースとして機能する操作部14および表示部15を備えている。操作部14は、各種ボタンやキーであり、オペレータが映像記録装置1に指示を入力するために使用される。また、表示部15は、各種ランプやLED、インジケータ等であり、主に映像記録装置1の状態を表示する。なお、映像記録装置1の表示部15は、録画データ9を表示する機能を備えた装置(例えば液晶ディスプレイやCRT等)であってもよい。すなわち、映像記録装置1が映像を再生する機能を備えていてもよい。
【0026】
ハードディスクドライブ16は、記憶装置の一種であって、磁性体を塗布したアルミニウムやガラスのディスク(プラッタ)を回転モータ(スピンドルモータ)で高速に回転させつつ、磁気ヘッドで録画データ9を読み書き(アクセス)する構造となっている。なお、以下の説明では、ハードディスクドライブ16へのアクセス時間とは、ハードディスクドライブ16において、ディスクが回転し、磁気ヘッドがディスク上にロードされた状態となっている時間を指すものとする。
【0027】
ハードディスクドライブ16は、比較的大容量のデータを記憶することが可能な記憶装置であり、監視システム100では録画データ9を記憶するために使用される。特に、CPU10の制御により、映像記録装置1の動作モードが第2動作モードに設定されている間において取得される録画データ9を第2録画データ91としてライブ記録する。
【0028】
なお、ハードディスクドライブ16としては、市場に流通している一般的なハードディスクドライブを採用することが可能である。また、例えば、フラッシュメモリを搭載した、いわゆるハイブリッドHDD等を適用してもよい。また、ハードディスクドライブ16を接続する規格としてはSCSIやIDE等を採用することができる。さらに、本実施の形態における映像記録装置1はハードディスクドライブ16を筐体内部に搭載しているが、ハードディスクドライブ16は映像記録装置1の筐体外部に専用ケーブル等で接続されていてもよい。
【0029】
半導体メモリ17は記憶装置の一種であって、本実施の形態では複数の揮発性の記憶素子からなるDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。半導体メモリ17は、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードに設定されている間において画像処理部13によって生成され取得された録画データ9を第1録画データ90としてライブ記録する。なお、本実施の形態における半導体メモリ17はDRAMであるため、映像記録装置1は、停電対策として図示しないバックアップ電源(バッテリ)を備えている。
【0030】
通信部18は、映像記録装置1をネットワーク8に接続するためのネットワークインターフェース機能を提供する。特に、通信部18は、映像再生装置3からの要求に応じて、映像記録装置1に記録された録画データ9をネットワーク8を介して映像再生装置3に送信する機能を有している。
【0031】
デジタルカメラ2は、CCD素子に代表される受光素子と、入射する光を受光素子に導く光学系(レンズやミラー等)と、受光素子によって生成された電気信号をデジタルデータとして一時的に格納するバッファメモリ(半導体メモリ)とを備える一般的なデジタルカメラとして構成されている。デジタルカメラ2は、一定間隔(本実施の形態では1秒につき1回)でバッファメモリに格納されたデジタルデータを映像記録装置1(画像処理部13)に転送する。
【0032】
映像再生装置3は、一般的なコンピュータとしての機能を備えた装置であり、ネットワーク8を介して録画データ9を映像記録装置1から受信することが可能であるとともに、受信した録画データ9を表示するディスプレイを備えている。すなわち、映像再生装置3は、少なくとも映像記録装置1に記録された録画データ9を再生する機能を有している。
【0033】
このように、監視システム100が映像再生装置3を備えているので、再生された録画データ9を確認することによってオペレータは対象物を監視することができる。なお、図1では、1つのディスプレイのみを図示しているが、映像再生装置3が備えるディスプレイの数は複数であってもよい。すなわち、デジタルカメラ20,21,22,23に対応する数のディスプレイが接続されていてもよい。一方、ディスプレイの数がデジタルカメラ2の数よりも少ない場合は、ディスプレイの画面を適宜切り替えて表示するようにしてもよい。また、映像再生装置3において再生される録画データ9はリアルタイムに取得されているものであってもよいし、過去の録画データ9であってもよい。
【0034】
以上が監視システム100の構成および機能の説明である。次に、監視システム100による録画データ9の映像記録方法を説明する。
【0035】
図3および図4は、本発明に係る映像記録方法を示す流れ図である。また、図5は、ハードディスクドライブ16および半導体メモリ17の動作状況を示す図である。
【0036】
図3に示すように、監視システム100は、運用が開始されると、まず、所定の初期設定を行う(ステップS11)。初期設定では、映像記録装置1の動作モードがCPU10によって第1動作モードに設定されるとともに、ハードディスクドライブ16が停止状態に制御される。また、後述する経過フラグの値が「0」に初期化される。
【0037】
ステップS11の初期設定が終了すると、監視システム100において、各デジタルカメラ2による撮像が開始され、それに応じて、映像記録装置1による録画データ9の記録が開始される。
【0038】
映像記録装置1は、録画データ9が取得されたか(ステップS12)、前回ステップS16でYesと判定してから周期Tが経過したか(ステップS16)を判定しつつ、各処理を実行する。言い換えれば、映像記録装置1は、時間順次に取得する録画データ9を記録しつつ、動作モードの切替と複写処理とを行う。これらの処理は、適宜、並行して実行される工程を含んでいるが、図3および図4では、図示の都合上、各工程を逐次処理的に図示する。
【0039】
なお、録画データ9が取得されたか否かの判定は、CPU10が画像処理部13を監視することにより行うことができる。すなわち、画像処理部13によって録画データ9が生成されたときが、録画データ9を取得したときに相当する。また、周期Tは、予め定められたタイムスケジュール(設定データとして例えばROM11に格納されている)に応じて決定される値であり、図5に示す例では、時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6・・・になったときにそれぞれステップS16においてYesと判定される。ただし、詳細は後述する。
【0040】
新たな録画データ9が取得されると(ステップS12においてYes)、映像記録装置1のCPU10は、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードに設定されているか否かを判定する(ステップS13)。
【0041】
動作モードが第1動作モードに設定されている場合(ステップS13においてYes)、CPU10は取得された録画データ9を第1録画データ90として半導体メモリ17にライブ記録させる(ステップS14)。すなわち、CPU10は、画像処理部13において作成された録画データ9を半導体メモリ17に転送するように制御する。これにより、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードの間に取得される録画データ9は半導体メモリ17に書き込まれ記憶される。
【0042】
一方、動作モードが第2動作モードに設定されている場合(ステップS13においてNo)、CPU10は取得された録画データ9を第2録画データ91としてハードディスクドライブ16にライブ記録させる(ステップS15)。すなわち、CPU10は、画像処理部13において作成された録画データ9をハードディスクドライブ16に転送するように制御する。これにより、映像記録装置1の動作モードが第2動作モードの間に取得される録画データ9はハードディスクドライブ16に書き込まれ記憶される。
【0043】
なお、詳細は後述するが、本実施の形態における監視システム100では、ステップS15が実行されるときまでに、ハードディスクドライブ16は停止状態から起動状態に制御されているので、ステップS15においてハードディスクドライブ16を起動させる必要はない。
【0044】
時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6・・・が到来すると、CPU10はステップS16においてYesと判定し、映像記録装置1の動作モードが第2動作モードであるか否かを判定する(ステップS21)。
【0045】
ここで、本実施の形態における監視システム100において、予め周期Tを決定しておく手法について説明する。
【0046】
監視システム100が単位時間当たりに記録しなければならない録画データ9のデータ量(記録レート)は、接続されているデジタルカメラ2の台数(一般には1ないし16台程度)、フレームレート(一般には一台のデジタルカメラ2について1ないし10コマ/秒)、画質および解像度等によって変動する。以下の説明では、記録レートとして1.2[MB/秒]を想定して評価するものとする。ただし、許容すべき最大記録レートは6[MB/秒]を目標とする。
【0047】
監視システム100のライフサイクルを、産業機器のライフサイクルの目安である「5年」とするためには、ハードディスクドライブ16に対するアクセス時間を5年で2万時間以内に抑える必要がある。したがって、一日当たり許容されるハードディスクドライブ16に対するアクセス時間は10.95時間以内である。本実施の形態における監視システム100は、ハードディスクドライブ16に対する一日当たりのアクセス時間を、余裕を設けて、8時間以内として設計する。
【0048】
システムを24時間稼働させつつハードディスクドライブを一日のうち8時間だけ駆動する手法として、24時間のうち、16時間のライブ記録を半導体メモリに行う一方で、残りの8時間のライブ記録をハードディスクドライブに行うことが考えられる。この場合、半導体メモリに記録したデータは、ハードディスクドライブに対するライブ記録が行われている間に、当該ハードディスクドライブに半導体メモリから複写することにより記憶させる。すなわち、ハードディスクドライブに対して、ライブ記録と過去のデータの複写記録とを並行して行うのである。
【0049】
このように構成する場合において、16時間連続して半導体メモリにデータを書き込み、ライブ記録のためにハードディスクドライブが起動されたときに、一挙に半導体メモリから過去データをハードディスクドライブに複写記録することが考えられる。このように構成すれば、簡易な制御でハードディスクドライブに対するアクセス時間を抑制できることが期待される。
【0050】
しかし、この場合は、16時間分のデータを、一旦、半導体メモリに格納しておく必要があり、要求される半導体メモリの容量は、67.5[GB](16[時間]×60[分/時間]×60[秒/分]×1.2[MB/秒]/1024[MB/GB])となる。さらに最大限に想定すべき記録レートは6[MB/秒]であるから、これを実現しようとすれば337.5[GB]の半導体メモリが必要となる。
【0051】
半導体メモリの価格が非常に安価であればこのようなシステム構成を採用したとしてもあまり問題とはならないかもしれない。しかし、現状の半導体メモリの市場価格から見て337.5[GB]もの半導体メモリを要するシステム構成はコストがかかりすぎるため現実的ではない。
【0052】
そこで本実施の形態における監視システム100では、一日24時間を周期3Tで時分割し、2Tの間(第1動作モードの間)に半導体メモリ17にライブ記録を行い、Tの間(第2動作モードの間)にハードディスクドライブにライブ記録を行うように構成する。すなわち、予め設定されたタイムスケジュールに応じて動作モードを交互に切り替えるように構成するのである。これにより、ハードディスクドライブ16のアクセス時間は、8時間(24[時間]×T/3T)となる。
【0053】
Tの値を大きく設定すれば、半導体メモリ17に要する容量が増加する一方で、切替頻度が低下するためハードディスクドライブ16における起動/停止の切替回数が減少する。逆に、Tの値を小さく設定すれば、半導体メモリ17に要する容量が減少する一方で、切替頻度が増加するためハードディスクドライブ16における起動/停止の切替回数が増加する。
【0054】
市販のハードディスクドライブでは、起動されるときにヘッドがディスク上にロードされ、停止するときに当該ヘッドがディスク上から退避する(アンロードされる)。すなわち、ハードディスクドライブの起動と停止とを繰り返すと、その度にヘッドのロードとアンロードとが繰り返され、駆動部の機械的消耗によりハードディスクドライブの短命化を招くこととなる。市販のハードディスクドライブ(例えば2.5インチHDD)のロード/アンロードに関する耐用回数の目安は60万回程度である。
【0055】
したがって、監視システム100では、ハードディスクドライブ16について、ロード/アンロード回数を5年間で60万回以内に抑制することも求められており、半導体メモリ17の容量を抑えるために無制限にTの値を小さく設定することはできない。また、Tの値を小さくして切替頻度が増加すると、相対的にハードディスクドライブ16におけるロード/アンロードに要する時間が増加し、データの書き込み効率が低下するという問題も生じる。
【0056】
本実施の形態における監視システム100(映像記録装置1)では、256[MB]の半導体メモリ17を採用する例について説明する。この程度の容量の半導体メモリであれば、コスト上昇は比較的低く抑えることが可能である。ただし、これ以上の容量の半導体メモリ17を採用してもよいことは当然である。
【0057】
1.2[MB/秒]の記録レートで256[MB]の半導体メモリ17にライブ記録を行うと、213秒で半導体メモリ17が一杯(空き領域がない状態)になる。すなわち、256[MB]の半導体メモリ17を用いた場合、監視システム100では、連続して半導体メモリ17にライブ記録できる時間(すなわち2T)は、213秒となる。これに基づいて、本実施の形態では、周期3Tの値を318[秒]とし、Tの値を106[秒]とする。
【0058】
以下、このように、予めタイムスケジュールとして設定されるTの値の妥当性について評価する。
【0059】
半導体メモリ17に記録される第1録画データ90は、ハードディスクドライブ16が起動されている間(T:106秒間)にハードディスクドライブ16に複写されなければならない。半導体メモリ17からハードディスクドライブ16への転送レートは63.3[MB/秒]程度(参考実測値)であるから、256[MB]のデータをハードディスクドライブ16に複写するのに要する時間は約4秒である。
【0060】
本実施の形態における監視システム100において、半導体メモリ17からハードディスクドライブ16への複写処理は、ハードディスクドライブ16へのライブ記録と並行して行われる。したがって、実際の複写処理における転送レートは63.3[MB/秒]より低下するため、4秒程度で完了するとは限らない。また、例え複写する第1録画データ90のデータサイズが同じであっても、実際の複写処理は常に同じ時間で完了するとは限らない。例えば、図5に示す時刻T2からt1までの時間は、時刻T5から時刻t2までの時間と常に同じ時間とはならない。
【0061】
しかし、並行処理が行われ、また、ある程度処理時間にバラツキが生じるとしても、106秒は4秒に対して充分な時間である。したがって、半導体メモリ17からハードディスクドライブ16への複写処理は、ハードディスクドライブ16が起動されている間に充分完了する。
【0062】
また、周期3T(318秒)のうち、T(106秒)の間だけハードディスクドライブ16が起動されるので、ハードディスクドライブ16へのアクセス時間は一日当たりほぼ8時間であり、5年間の累積アクセス時間は14600時間(8[時間/日]×365[日/年]×5[年])である。したがって、監視システム100では、5年間の累積アクセス時間を2万時間以内に抑制できる。
【0063】
また、周期3Tで1回、ロードとアンロードとが行われるので、一日当たりのロード/アンロード回数は、271.6回(24[時間/日]×60[分/時間]×60[秒/分]/318[秒/回])であり、5年間では495670回(271.6[回/日]×365[日/年]×5[年])である。したがって、監視システム100では、5年の間に行われるロード/アンロード回数は60万回以内に収まっている。
【0064】
以上のことから、本実施の形態では、半導体メモリ17として256[MB]の半導体メモリを採用するとともに、周期Tを106秒と決定する。なお、最大記録レート(6[MB/秒])を同条件で達成するためには5倍程度の容量が必要となることから、1.3[GB]程度の半導体メモリを用いればよい。この程度であればコスト的にも充分に実現可能な範囲である。
【0065】
図4に戻って、ステップS21が実行され動作モードが第2動作モードであると判定される場合とは、図5に示す例では、時刻T3,T6・・・の場合である。本実施の形態では、第2動作モードはTだけ継続した後、第1動作モードに切り替えられるようにスケジュールされている。したがって、ステップS21においてYesと判定した場合、CPU10は、動作モードを第1動作モードに切り替える(ステップS22)。
【0066】
これにより、第2動作モードは終了し、ハードディスクドライブ16へのライブ記録は停止される。そして、再度、動作モードが第2動作モードに切り替えられるまで、ハードディスクドライブ16へのライブ記録(第2録画データ91の書き込み)は行われない。また、図5に示すように、時刻T3,T6・・・までに半導体メモリ17からの第1録画データ90の複写書き込みは完了している(完了時刻は図5に示す時刻t1,t2)。したがって、ステップS22が実行された後はハードディスクドライブ16を起動しておく必要がないので、CPU10はハードディスクドライブ16を停止させる(ステップS23)。
【0067】
一方、ステップS21が実行され動作モードが第1動作モードであると判定される場合とは、図5に示す例では、時刻T1,T2,T4,T5・・・の場合である。第1動作モードは2Tだけ継続した後、第2動作モードに切り替えられるようにスケジュールされている。したがって、ステップS21においてYesと判定した場合であっても、CPU10は、動作モードを切り替えるべきでない時刻(時刻T1,T4,・・・)であるか、動作モードを切り替えるべき時刻(時刻T2,T5・・・)であるかを判定する必要がある。
【0068】
したがって、ステップS21においてNoと判定した場合、CPU10は、さらに経過フラグの値が「0」であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0069】
そして、経過フラグの値が「0」の場合(ステップS24においてYes)、未だ第1動作モードはTの間しか継続していないとみなし、第2動作モードへの切替を行うことなく、経過フラグの値に「1」をセットし(ステップS25)、図3の処理に戻る。したがって、例えば、時刻T1,T4,・・・において動作モードの切替は行われず、第1動作モードがそのまま継続される。
【0070】
一方、経過フラグの値が「1」の場合(ステップS24においてNo)、CPU10は、既に第1動作モードは2Tの間継続したとみなし、経過フラグの値に「0」をセットして初期化する(ステップS26)。そして、ハードディスクドライブ16へのライブ記録を開始する準備として、ハードディスクドライブ16を起動し(ステップS27)、動作モードを第2動作モードに切り替える(ステップS28)。したがって、例えば、時刻T2,T5,・・・においては動作モードの切替が実行されるため、第2動作モードが開始され、ハードディスクドライブ16へのライブ記録が開始される。
【0071】
ステップS28が実行されることにより、動作モードが第2動作モードに切り替えられると、CPU10は、第1動作モードの間に半導体メモリ17にライブ記録された第1録画データ90を当該半導体メモリ17から読み出し(ステップS29)、ハードディスクドライブ16に書き込む(ステップS30)。すなわち、ステップS29,S30に示す工程が、半導体メモリ17からハードディスクドライブ16に第1録画データ90を複写する処理に相当する。
【0072】
そして、ステップS29,S30の処理は、半導体メモリ17に記録されている全ての第1録画データ90に対して終了するまで継続され(ステップS31)、全データについて複写が終了すると、CPU10は半導体メモリ17に記録されている第1録画データ90を消去し(ステップS32)、図3の処理に戻る。
【0073】
このように、ハードディスクドライブ16への記録が完了し、不要となった第1録画データ90を半導体メモリ17から削除することにより、半導体メモリ17の容量を抑制することができる。なお、先述のように、ステップS29ないしS32の処理は、他の処理(主にハードディスクドライブ16へのライブ記録(ステップS15))と並行して行われる。
【0074】
以上のように、本実施の形態における映像記録装置1は、録画データ9を取得する画像処理部13と、映像記録装置1の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定するCPU10とを備えている。そして、CPU10によって、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードに設定されている間においてハードディスクドライブ16を停止させ、映像記録装置1の動作モードが第2動作モードに設定されている間において半導体メモリ17に記録されている第1録画データ90をハードディスクドライブに複写するとともに、第1録画データ90を半導体メモリ17から消去する。これにより、半導体メモリ17を追加するだけで、ハードディスクドライブ16のアクセス時間を抑制できるため、ハードディスクドライブ16の長寿命化を実現できる。
【0075】
また、CPU10は、予め定められたタイムスケジュールに応じて第1動作モードと第2動作モードとを切り替えることにより、簡易な制御で本発明を実現することが可能となる。
【0076】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、予め定められたタイムスケジュールに応じて第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるように構成していた。しかし、第1動作モードと第2動作モードとを切り替えるトリガはこれに限定されるものではない。
【0077】
図6および図7は、第2の実施の形態における映像記録方法を示す流れ図である。なお、第2の実施の形態における監視システム100の構成は、第1の実施の形態における監視システム100と同様であるので説明は省略する。
【0078】
第2の実施の形態における監視システム100は、運用が開始されると、第1の実施の形態と同様に初期設定を行う(ステップS41)。初期設定が実行されることにより、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードに設定され、ハードディスクドライブ16は停止状態に制御される。
【0079】
次に、映像記録装置1のCPU10は、半導体メモリ17の空き領域を確認しつつ(ステップS44)、当該空き領域が所定量を下回るまでステップS42ないしS44の処理を繰り返す。その間、CPU10は、録画データ9が取得されたか否かについても監視ししており(ステップS42)、録画データ9が取得された場合(ステップS42においてYes)には、取得された録画データ9を第1録画データ90として半導体メモリ17にライブ記録させる(ステップS43)。すなわち、第1動作モードが継続され、ステップS42ないしS44の処理が繰り返されると、取得された録画データ9(第1録画データ90)を格納することによって、半導体メモリ17の空き領域が減少する。
【0080】
そして、当該空き領域が所定量よりも減少したときに、CPU10はステップS44においてYesと判定し、ハードディスクドライブ16へのライブ記録を開始するための準備として、ハードディスクドライブ16を起動する(ステップS45)。
【0081】
ハードディスクドライブ16を起動させると、CPU10は、映像記録装置1の動作モードを第1動作モードから第2動作モードに切り替えて設定する(ステップS46)。すなわち、本実施の形態における映像記録装置1では、予め決められたタイムスケジュール(時刻)に応じて第1動作モードが第2動作モードに切り替えられるのではなく、半導体メモリ17の空き領域に応じて切り替える。したがって、実際の稼働状況に応じてハードディスクドライブ16を起動させることが可能となり、監視システム100が備える半導体メモリ17の容量に応じて、ハードディスクドライブ16へのアクセス時間を効率よく抑制することができる。
【0082】
また、ステップS46の処理と並行して、映像記録装置1は、半導体メモリ17からの第1録画データ90の読み出しを開始するとともに(ステップS47)、ハードディスクドライブ16への当該第1録画データ90の書き込みを開始する(ステップS48)。これにより、動作モードが第2動作モードに切り替わった後に、第1録画データ90の複写処理が開始されることとなる。なお、ステップS47,S48の処理は、半導体メモリ17に記録されている第1録画データ90の全てについて完了するまで継続される。
【0083】
複写処理が開始されると、映像記録装置1のCPU10は複写(ステップS47,S48)が終了したか否かを確認しつつ(ステップS53)、複写が終了するまでステップS51ないしS53の処理を繰り返す。その間、CPU10は、録画データ9が取得されたか否かについても監視ししており(ステップS51)、録画データ9が取得された場合(ステップS51においてYes)には、取得された録画データ9を第2録画データ91としてハードディスクドライブ16にライブ記録させる(ステップS52)。すなわち、本実施の形態における監視システム100においても、ハードディスクドライブ16に対する第2録画データ91のライブ記録と、第1録画データ90の複写書き込みとが並行して実行される。
【0084】
半導体メモリ17に格納されている第1録画データ90をハードディスクドライブ16に複写する処理が終了すると、CPU10はステップS53においてYesと判定し、半導体メモリ17に格納されている第1録画データ90を消去する(ステップS54)。さらに、CPU10は、映像記録装置1の動作モードを第2動作モードから第1動作モードに切り替えて設定し(ステップS55)、ハードディスクドライブ16を停止させる(ステップS56)。
【0085】
このように、映像記録装置1は、第1録画データ90のハードディスクドライブ16への複写完了に応じて第2動作モードを第1動作モードに切り替えることにより、実際の稼働状況に応じてハードディスクドライブ16を停止させることが可能となる。したがって、ハードディスクドライブ16へのアクセス時間を効率よく抑制することができる。
【0086】
ハードディスクドライブ16を停止させた後は、映像記録装置1のCPU10は、図6に示すステップS42に戻って処理を繰り返す。
【0087】
以上のように、第2の実施の形態における監視システム100は、第1の実施の形態における監視システム100と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、半導体メモリ17の空き領域に応じて第1動作モードを第2動作モードに切り替えることにより、実際の稼働状況に応じてハードディスクドライブ16を起動させることが可能となり、ハードディスクドライブ16へのアクセス時間を効率よく抑制することができる。
【0089】
また、第1録画データ90のハードディスクドライブ16への複写完了に応じて第2動作モードを第1動作モードに切り替えることにより、実際の稼働状況に応じてハードディスクドライブ16を停止させることが可能となる。したがって、ハードディスクドライブ16へのアクセス時間を効率よく抑制することができる。
【0090】
<3. 第3の実施の形態>
上記実施の形態では、第1録画データ90をライブ記録する構成として、映像記録装置1に専用に設けられた半導体メモリ17のみ使用する例を説明した。しかし、一般に、監視システムに採用される機器には、様々な目的で設けられた半導体メモリが多数存在しており、これらの半導体メモリの空き領域を第1録画データ90の格納先として利用することも可能である。
【0091】
図8は、第3の実施の形態における監視システム101を示す図である。図8では、上記実施の形態における監視システム100において図示を省略していた各機器が備える半導体メモリ(バッファ130,200,210,220,230)を図示している。また、第3の実施の形態における監視システム101の映像記録装置1aは、半導体メモリ17の代わりに、半導体メモリ17よりも小容量の半導体メモリ17aを備えている。
【0092】
なお、図8において、第1の実施の形態と同様の構成については、適宜、同一の符号を付し、説明を省略する。また、図8では、監視システム101が備える映像再生装置3およびネットワーク8を省略している。
【0093】
バッファ130は、映像記録装置1aの画像処理部13が備える半導体メモリであり、デジタルカメラ20,21,22,23から伝達されるデジタルデータを受信するための受信バッファ、あるいは画像処理を行う際の一時的なデータの退避場所等に使用される。
【0094】
バッファ200,210,220,230は、それぞれデジタルカメラ20,21,22,23が備える半導体メモリであり、主に、受光素子からのデータの読み出しや、映像記録装置1aへの転送前のデータの保持等に使用される。
【0095】
映像記録装置1aのCPU10は、監視システム101が備える半導体メモリ(半導体メモリ17aおよびバッファ130,200,210,220,230)の空き領域を常に監視しており、その中から、最も大きな空き領域の存在する半導体メモリを特定する機能を有している。また、そのようにして特定した半導体メモリを第1録画データ90のライブ記録先として決定し、当該半導体メモリに第1録画データ90を記憶させる。
【0096】
図9は、第3の実施の形態における監視システム101が備える各半導体メモリの動作を例示する図である。
【0097】
半導体メモリ17aは、第1録画データ90を格納するための専用の半導体メモリとして構成されており、かつ、複写処理が完了した時点で第1録画データ90が削除されている。したがって、第1動作モードが開始された直後においては最も空き領域が大きな半導体メモリとなっており、優先的に半導体メモリ17aに第1録画データ90の書き込みが行われる。そして、その後、半導体メモリ17aの空き領域が減少すると、CPU10によってバッファ130,200,210,220,230の中から、適宜、第1録画データ90の格納先が選択される。
【0098】
これにより、監視システム101全体では、上記実施の形態における監視システム100と同様に第1動作モードに滞在している間は、常に、いずれかの半導体メモリに第1録画データ90のライブ記録が行われる。なお、本実施の形態においても、複写処理が完了した時点で、すべての半導体メモリから第1録画データ90が削除される。したがって、一旦、第1録画データ90の格納場所として特定された半導体メモリも、複写処理が完了すれば開放される。
【0099】
このように、監視システム101が備える半導体メモリを有効活用することにより、専用の半導体メモリ17aの必要容量を、第1の実施の形態における半導体メモリ17に比べて抑制できる。
【0100】
なお、本実施の形態では、映像再生装置3が備える半導体メモリや、映像記録装置1のRAM12については触れていないが、これらの半導体メモリを第1録画データ90の格納場所としてもよい。
【0101】
また、図9では、半導体メモリ17a以外の半導体メモリは、それぞれ同じ時間だけライブ記録を行うように図示しているが、より詳しくは各半導体メモリの空き領域の広さに応じて、記録時間は異なる。また、必ずしも全ての半導体メモリが使用されるわけではない。すなわち、監視システム101が備える複数の半導体メモリを、第1録画データの格納先として随時割り当てる処理(ルーチングの手法)は、ここに示した例に限定されるものではない。
【0102】
また、本実施の形態における監視システム101は第1録画データ90を格納する専用の半導体メモリ17aを備えているが、監視システム101全体として充分な半導体メモリが用意できる場合には、このような専用の半導体メモリ17aを備えない構成とすることも可能である。一般に、デジタルカメラ2や画像処理部13は、随時、必要に応じて半導体メモリを追加できる構造のハードウェアとして提供されている場合が多い。したがって、映像記録装置1aに半導体メモリ17a用のスロットを設けることなく(既存のハードウェアを変更することなく)、デジタルカメラ2や画像処理部13に充分な半導体メモリを追加することによって本発明の効果を得るように構成することも可能である。
【0103】
さらに、本実施の形態における手法は、第2の実施の形態にも適用可能である。
【0104】
<4. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0105】
例えば、半導体メモリ17,17aはDRAMに限定されるものではなく、例えば、不揮発性の記憶素子から構成されるフラッシュメモリを採用してもよい。フラッシュメモリは不揮発性であるためバッテリによるバックアップを必要とせず、DRAMに比べて安価であるという利点がある。一方で、フラッシュメモリには、データの書き換え回数に制限があるため、フラッシュメモリを採用してシステムを設計する際には、この制限がボトルネックにならないように考慮する必要がある。すなわち、システムの使用状況や要求水準等に応じて、半導体メモリ17,17aとしてDRAMを採用するか、フラッシュメモリを採用するかを、適宜選択すればよい。さらに、記憶素子は半導体に限定されるものではなく、記憶素子として磁性体を使用した、いわゆるMRAM等を、半導体メモリ17,17aの代わりに用いてもよい。
【0106】
また、ネットワーク8は、イーサネット(登録商標)等の構内LANやインターネット、公衆網等を採用することができる。また、ネットワーク8は、図1に示すように、1つに統合されている必要はなく、複数種類のネットワークが相互接続されていてもよい。すなわち、映像記録装置1,1aと映像再生装置3との間のデータ通信が最低限確保されていれば、有線通信でなくても無線通信であってもよい。また、映像記録装置1,1aと映像再生装置3とが専用ケーブルで接続される形態であってもよい。
【0107】
また、監視システム100,101が備えるデジタルカメラ2の台数は、図1に示したように、4台に限定されるものではなく、1台以上備えていればよい。また、デジタルカメラ2はネットワーク8を介して映像記録装置1,1aに接続されていてもよい。さらに、映像再生装置3についても1台に限定されるものではなく、複数台の装置によって映像再生装置3の機能が提供されてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、ここに示した順序および処理内容に限定されるものではない。すなわち、同様の効果を得られるのであれば、各工程の順序および処理内容は適宜変更されてもよい。
【0109】
また、CPU10がプログラムに従って動作することにより実現される機能は、専用の論理回路によって構成されていてもよい。すなわち、これらの機能はソフトウェアで実現されるものに限定されるわけではなく、その一部または全部がハードウェアで実現されてもよい。
【0110】
また、上記実施の形態では、ハードディスクドライブ16に複写され記憶された第1録画データ90をその後半導体メモリ17,17aから適宜消去すると説明したが、後に取得される録画データ9によって上書きされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明に係る監視システムを示す図である。
【図2】本発明に係る映像記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る映像記録方法を示す流れ図である。
【図4】本発明に係る映像記録方法を示す流れ図である。
【図5】ハードディスクドライブおよび半導体メモリの動作状況を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における映像記録方法を示す流れ図である。
【図7】第2の実施の形態における映像記録方法を示す流れ図である。
【図8】第3の実施の形態における監視システムを示す図である。
【図9】第3の実施の形態における監視システムが備える各半導体メモリの動作を例示する図である。
【符号の説明】
【0112】
1,1a 映像記録装置
10 CPU
100,101 監視システム
130,200,210,220,230 バッファ
16 ハードディスクドライブ
17,17a 半導体メモリ
2,20,21,22,23 デジタルカメラ
3 映像再生装置
8 ネットワーク
9 録画データ
90 第1録画データ
91 第2録画データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
録画データを記録する映像記録装置であって、
録画データを取得する取得手段と、
前記映像記録装置の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定するモード設定手段と、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第1録画データとしてライブ記録するメモリと、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第2録画データとしてライブ記録するハードディスク装置と、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記ハードディスク装置を停止させる停止手段と、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記メモリに記録されている第1録画データを前記ハードディスク装置に複写する複写手段と、
を備えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像記録装置であって、
前記モード設定手段は、前記メモリの空き領域に応じて前記第1動作モードを前記第2動作モードに切り替えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の映像記録装置であって、
前記モード切替手段は、前記複写手段による前記第1録画データの前記ハードディスク装置への複写完了に応じて前記第2動作モードを前記第1動作モードに切り替えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の映像記録装置であって、
前記モード設定手段は、予め定められたタイムスケジュールに応じて前記第1動作モードと前記第2動作モードとを切り替えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項5】
撮像によってデジタルデータを生成するデジタルカメラと、
前記デジタルカメラによって生成されたデジタルデータに基づいて生成される録画データを記録する映像記録装置と、
少なくとも前記映像記録装置に記録された録画データを再生する映像再生装置と、
を備え、
前記映像記録装置は、
前記録画データを取得する取得手段と、
前記映像記録装置の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定するモード設定手段と、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第1録画データとしてライブ記録するメモリと、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記取得手段により取得される録画データを第2録画データとしてライブ記録するハードディスク装置と、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記ハードディスク装置を停止させる停止手段と、
前記モード設定手段により前記映像記録装置の動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記メモリに記録されている第1録画データを前記ハードディスク装置に複写する複写手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項6】
録画データを記録する映像記録方法であって、
デジタルカメラで撮像することにより録画データを取得する工程と、
動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替えて設定する工程と、
動作モードが第1動作モードに設定されている間において取得される録画データを第1録画データとしてメモリにライブ記録する工程と、
動作モードが第2動作モードに設定されている間において取得される録画データを第2録画データとしてハードディスク装置にライブ記録する工程と、
動作モードが第1動作モードに設定されている間において前記ハードディスク装置を停止させる工程と、
動作モードが第2動作モードに設定されている間において前記メモリに記録されている第1録画データを前記ハードディスク装置に複写する工程と、
を有することを特徴とする映像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−146540(P2009−146540A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324864(P2007−324864)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】