説明

映像音声処理装置および映像音声処理方法

【課題】電源を投入してから音声が出力されるまでの出音時間を短縮する。
【解決手段】テレビジョン受像機1の電源がONとされると、放送信号処理部12、音声信号処理部14およびシステムコントローラ17の電源がONとなり、放送信号処理部12およびシステムコントローラ17が起動開始する。システムコントローラ17は、起動完了すると、音声信号処理部14にリセット信号を送信する。音声信号処理部14は、リセット信号に基づき起動開始する。システムコントローラ17は、演算プログラムや演算係数データなどの各種データを音声信号処理部14に送信する。音声信号処理部14は、各種データに基づき設定を行い、起動が完了する。放送信号処理部12は、起動完了すると出音設定情報を音声信号処理部14に送信する。音声信号処理部14は、出音設定情報に基づき出音設定を行い、音声信号に対して信号処理を施して音声を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像および音声を出力する映像音声処理装置および映像音声処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機などの音声信号を出力可能な映像音声処理装置には、音声信号の音量調節機能や周波数特性を調整するためのイコライジング機能、サラウンドなどの音響効果付加機能などの各種機能が搭載されており、従来から、これらの機能を実行するために音声信号処理デバイスが用いられている。
【0003】
特に、近年では、ディジタルテレビジョン放送による高音質化や、放送およびテレビジョン受像機外部入力のマルチチャンネル化に対応するため、音声信号処理デバイスとしてDSP(Digital Signal Processor)が使用されている。このような音声信号処理デバイスは、汎用性をもたせてより柔軟な演算処理を行ったり、演算係数の調整や更新を容易とするため、主記憶装置として揮発性メモリであるSRAM(Static Random Access Memory)などが用いられている。
【0004】
また、従来のテレビジョン受像機では、音声信号処理デバイスを動作させるためのマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数のデータなどの各種データを、不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの外部記憶装置に予め記憶させ、音声信号処理デバイス自身によって外部記憶装置から読み出し、主記憶装置に記憶するようにしていた。
【0005】
しかしながら、この場合、テレビジョン受像機に外部記憶装置を設ける必要があるため、コストが増加してしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、最近では、音声信号処理デバイスの外部に設けられたマイクロコンピュータに各種データを予め記憶させ、音声信号処理デバイスを動作させる際に、マイクロコンピュータが音声信号処理デバイスに対して各種データを送信するようにしている。こうすることにより、各種データを記憶させておくための外部記憶装置を設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0007】
このように、テレビジョン受像機における各種処理をマイクロコンピュータを用いて制御する技術が下記の特許文献1に記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−81921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、従来のテレビジョン受像機100の一例の構成について、図6を参照して概略的に説明する。以下では、地上ディジタルテレビジョン放送を受信可能なテレビジョン受像機100を例にとって説明する。従来のテレビジョン受像機100は、図6に示すように、放送受信チューナ111、放送信号処理部112、映像信号処理部113、音声信号処理部114、表示部115、音声出力部116およびシステムコントローラ117を備える。
【0010】
放送受信チューナ111は、UHF(Ultra High Frequency)アンテナ102を介して受信した地上ディジタルテレビジョン放送の電波から、後述するシステムコントローラ117の制御に基づき所定の変調信号を選局し、所定の信号処理を施してMPEG−2システムズ(Moving Picture Experts Group-2 Systems)に規定されるトランスポートストリーム(TS;Transport Stream)を取得し、放送信号処理部112に供給する。
【0011】
放送信号処理部112は、TSパケットのフィルタリングを行い、多重されたTSから必要なストリームを取り出す。そして、ストリームに含まれる映像データ、音声データおよび付加データに対して、それぞれのデータに応じた復号処理を施し、映像信号、音声信号および付加データを出力する。復号された映像信号および付加データが映像信号処理部113に供給され、音声信号が音声信号処理部114に供給される。
【0012】
また、放送信号処理部112は、図示しないマイクロコンピュータ、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備え、音声信号処理を実行するためのマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの音声信号処理部114を動作させるために必要な各種データがROMに記憶されている。ROMに記憶された各種データは、音声信号処理部114に供給される。
【0013】
映像信号処理部113は、放送信号処理部112から供給されたディジタルテレビジョン放送の映像信号に対して所定の信号処理を施すとともに、映像信号および付加データに対して、例えばOSD(On Screen Display)処理を施して合成し、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示部115に表示させる。
【0014】
音声信号処理部114は、例えばDSPであり、図示しない演算器、制御プロセッサ、ROMおよびRAMを備える。音声信号処理部114は、放送信号処理部112から供給されたマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの各種データに基づき、放送信号処理部112から供給された音声信号に対して所定の信号処理を施し、音声信号を加工して出力する。そして、音声信号処理部114は、信号処理を施した音声信号を音声出力部116に供給し、スピーカなどの音声出力部116で出力する。
【0015】
システムコントローラ117は、例えばマイクロコンピュータであり、図示しないROMに予め格納されたプログラムに従い、図示しないRAMをワークメモリとして各部を制御する。
【0016】
次に、従来のテレビジョン受像機100における音声出力の動作について説明する。図7は、テレビジョン受像機100において音声を出力する際の動作についての一例を示す。また、図8は、放送信号処理部112、音声信号処理部114およびシステムコントローラ117の間で送受信が行われる信号の一例を示す。
【0017】
ステップS101において、ユーザによってテレビジョン受像機100の電源がONとされると、ステップS102、S103およびS104で、放送信号処理部112内のマイクロコンピュータ、音声信号処理部114およびシステムコントローラ117にそれぞれ電源が供給されてONとなる(時刻t0”)。
【0018】
ステップS105およびS106において、放送信号処理部112内のマイクロコンピュータおよびシステムコントローラ117が起動処理を開始する(時刻t1”)。ステップS107において、システムコントローラ117は、起動処理を完了する(時刻t2”)。また、ステップS108において、放送信号処理部112内のマイクロコンピュータが起動完了し、音声信号処理部114に対するデータ転送が可能となると、音声信号処理部114に対してリセット信号を送信する。
【0019】
ステップS109において、音声信号処理部114は、放送信号処理部112からのリセット信号に基づき起動処理を開始する。音声信号処理部114が起動処理を開始すると、放送信号処理部112は、音声信号処理部114に対してマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの各種データを送信する。音声信号処理部114は、シリアルポートをスレーブ状態で起動し、放送信号処理部112からの各種データを受信し、音声信号処理部114内に設けられたRAMに順次書き込む(時刻t3”)。
【0020】
音声信号処理部14は、受信すべき全てのデータを受け取ると、受信データに基づき各種設定を行い、必要であれば受信プログラムで再起動し、ステップS110において起動処理を完了する。そして、音声信号処理部114は、放送信号処理部112内のマイクロコンピュータからの出音設定を待つ。
【0021】
そして、放送信号処理部112は、音声信号処理部114に対して出音設定情報を送信する。ステップS111において、音声信号処理部114は、放送信号処理部112からの出音設定情報に基づき出音設定を行い、出音設定に基づき音声信号に対して所定の信号処理を施し、ステップS112において、テレビジョン受像機100から音声が出力される(時刻t4”)。
【0022】
上述したように、マイクロコンピュータから音声信号処理部に対してマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの各種データを送信する場合には、電源を投入して起動処理を行い、起動処理が完了した後に各種データの送信処理を行うことになる。
【0023】
また、各種データの送信処理には、例えば、一般的なファーストモードIC(Inter Integrated Circuit)バスによって300kbit/s程度のデータ転送が行われ、各種データの送信処理に2〜3秒程度の時間を要する。そのため、テレビジョン受像機の起動時間が長くなってしまい、ユーザは、テレビジョン受像機の電源を投入してから視聴可能となるまでにしばらく待たなければならないという問題点があった。
【0024】
したがって、この発明の目的は、電源を投入してから音声が出力されるまでの出音時間を短縮することができる映像音声処理装置および映像音声処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、映像および音声を出力する映像音声処理装置において、入力されたトランスポートストリームから映像データおよび音声データを取得し、映像データおよび音声データをそれぞれ復号して映像信号および音声信号を出力する第1のプロセッサと、音声信号に対して所定の信号処理を施す音声信号処理部と、所定の信号処理を実行するための各種データを記憶する記憶部を備え、音声信号処理部における処理を制御する、第1のプロセッサと比較して起動時間が短い第2のプロセッサとを有し、第1のプロセッサの起動処理が行われている間に、第2のプロセッサから音声信号処理部に対して記憶部に記憶された各種データが送信されることを特徴とする映像音声処理装置である。
【0026】
また、第2の発明は、映像および音声を出力する映像音声処理方法において、入力されたトランスポートストリームから映像データおよび音声データを取得し、映像データおよび音声データをそれぞれ復号して映像信号および音声信号を第1のプロセッサから出力するステップと、音声信号に対して所定の信号処理を施す音声信号処理ステップと、所定の信号処理を実行するための各種データを記憶部に記憶し、音声信号処理ステップにおける処理を、第1のプロセッサと比較して起動時間が短い第2のプロセッサで制御するステップとを有し、第1のプロセッサの起動処理が行われている間に、音声信号処理ステップにおける所定の信号処理のための各種データが第2のプロセッサから送信されることを特徴とする映像音声処理方法である。
【0027】
上述したように、第1および第2の発明では、入力されたトランスポートストリームから映像データおよび音声データを取得し、映像データおよび音声データをそれぞれ復号して映像信号および音声信号を出力する第1のプロセッサの起動処理が行われている間に、第1のプロセッサと比較して起動時間が短い第2のプロセッサから音声信号処理部に対して、記憶部に記憶された所定の信号処理を実行するための各種データが送信されるようにしているため、音声信号処理部における信号処理のための設定時間分が短縮される。
【発明の効果】
【0028】
この発明は、第1のプロセッサが起動処理を行っている間に、第1のプロセッサと比較して起動時間が短い第2のプロセッサが音声信号処理を行うための各種データを音声信号処理部に対して送信するようにしているため、映像音声処理装置の電源を投入してから音声が出力されるまでの出音時間を短縮することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の実施の一形態について、図面を参照して説明する。この発明の実施の一形態では、映像音声処理装置の各部に設けられた複数のマイクロコンピュータを用いて並列的に処理を行うことにより、映像音声処理装置の電源を投入してから音声を出力するまでの出音時間を短縮するようにしている。以下では、映像音声処理装置として、テレビジョン放送を受信可能なテレビジョン受像機を例にとって説明する。
【0030】
テレビジョン受像機1は、図1に示すように、放送受信チューナ11、放送信号処理部12、映像信号処理部13、音声信号処理部14、表示部15、音声出力部16およびシステムコントローラ17を備える。
【0031】
放送受信チューナ11は、VHF/UHF(Very High Frequency / Ultra High Frequency)アンテナ2およびBS/CS(Broadcasting Satellite / Communication Satellite)アンテナ3が接続され、放送設備から送信されたディジタルテレビジョン放送およびアナログテレビジョン放送の電波を受信する。放送受信チューナ11は、受信したディジタルテレビジョン放送の電波から、後述するシステムコントローラ17の制御に基づき所定の周波数の変調信号を選局し、復調や誤り訂正などの所定の信号処理を施してMPEG−2システムズ(Moving Picture Experts Group-2 Systems)に規定されるトランスポートストリーム(TS;Transport Stream)を取得し、放送信号処理部12に供給する。
【0032】
また、放送受信チューナ11は、受信したアナログテレビジョン放送の電波から、後述するシステムコントローラ17の制御に基づき所定の周波数の信号を選択し、選択されたアナログ信号に対して映像中間周波増幅やAM(Amplitude Modulation)検波などの所定の信号処理を施し、映像信号を抽出するとともに、音声中間周波増幅やFM(Frequency Modulation)検波などの所定の信号処理を施して音声信号を抽出する。そして、抽出された映像信号および音声信号を映像信号処理部13および音声信号処理部14にそれぞれ供給する。
【0033】
放送信号処理部12は、放送受信チューナ11から供給されたTSパケットのヘッダ部に格納されたPID(Packet IDentification)の値に基づきフィルタリングを行い、多重されたTSから必要なストリームを取り出す。そして、ストリームに含まれる映像データ、音声データおよび付加データに対して、それぞれのデータに応じた復号処理を施し、映像信号、音声信号および付加データを出力する。復号された映像信号および付加データが映像信号処理部13に供給され、音声信号が音声信号処理部14に供給される。
【0034】
また、放送信号処理部12は、図示しない第1のプロセッサとしてのマイクロコンピュータ、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備え、音声信号処理部14に対して出音設定を行うように制御する。放送信号処理部12内に設けられた第1のプロセッサとしてのマイクロコンピュータは、起動処理を開始すると、様々な処理を行うための設定を行う。このとき、マイクロコンピュータは、設定に時間を要するため、起動時間が長い。ここで、起動時間は、起動処理を開始してから完了するまでの時間を示し、例えば、テレビジョン受像機1の電源がONとされることによってマイクロコンピュータの電源がONとされてから、動作の開始が可能となるまでの時間とする。なお、ROMおよびRAMは、例えば放送信号処理部12の外部に設けるようにしてもよい。
【0035】
映像信号処理部13は、放送信号処理部12から供給されたディジタルテレビジョン放送の映像信号に対して所定の信号処理を施すとともに、映像信号および付加データに対して、例えばOSD(On Screen Display)処理を施して合成し、表示部15に表示させる。また、映像信号処理部13は、放送受信チューナ11から供給されたアナログテレビジョン放送の映像信号に対して色復調などの信号処理を施し、輝度信号および色差信号を取り出し、表示部15に表示させる。表示部15としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)が用いられる。
【0036】
音声信号処理部14は、例えばDSP(Digital Signal Processor)であり、図示しない演算器、制御プロセッサ、ROMおよびRAMを備える。音声信号処理部14は、後述するシステムコントローラ17から供給されたマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの音声信号処理部14を動作させるために必要な各種データに基づき、放送受信チューナ11や放送信号処理部12、音声入力端子18から供給された音声信号に対して所定の信号処理を施し、音声信号を加工して出力する。なお、供給された音声信号がアナログ信号の場合には、DSPの内部または外部に設けられたA/D(Analog/Digital)コンバータによりディジタルの音声信号に変換する。
【0037】
そして、音声信号処理部14は、信号処理を施した音声信号を音声出力部16または音声出力端子19に供給し、音声出力部16で出力したり音声出力端子19を介して外部に出力する。音声出力部16は、例えばスピーカであり、音声信号処理部14から供給された音声信号を増幅して出力する。
【0038】
システムコントローラ17は、例えば、第2のプロセッサとしてのマイクロコンピュータであり、図示しないROMに予め格納されたプログラムに従い、図示しないRAMをワークメモリとして各部を制御する。第2のプロセッサであるシステムコントローラ17は、第1のプロセッサである放送信号処理部12内のマイクロコンピュータと比較して起動時間が短い。
【0039】
システムコントローラ17は、テレビジョン受像機1に設けられた図示されない操作部に対するユーザの操作や音声信号の状態変化に応じて音声信号処理部14を制御し、音声信号処理を実行するためのマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの各種データがROMに記憶されている。ROMに記憶された各種データは、音声信号処理部14に供給される。
【0040】
次に、この発明の実施の一形態によるテレビジョン受像機1における音声出力の動作について説明する。図2は、テレビジョン受像機1において音声を出力する際の動作についての一例を示す。また、図3は、放送信号処理部12、音声信号処理部14およびシステムコントローラ17の間で送受信が行われる信号の一例を示す。
【0041】
図2に示すように、ステップS1において、ユーザによってテレビジョン受像機1の電源がONとされると、ステップS2、S3およびS4で、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータ、音声信号処理部14およびシステムコントローラ17にそれぞれ電源が供給されてONとなる(時刻t0)。なお、テレビジョン受像機1がスタンバイ状態の場合、システムコントローラ17は、常に給電状態にある。
【0042】
ステップS5およびS6において、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータおよびシステムコントローラ17が起動処理を開始する(時刻t1)。ステップS7において、システムコントローラ17は、起動処理を完了し(時刻t2)、音声信号処理部14に対するデータ転送が可能となると、シリアルポートをスレーブ状態にして音声信号処理部14に対してリセット信号を送信する。
【0043】
ステップS8において、音声信号処理部14は、システムコントローラ17からのリセット信号に基づき起動処理を開始する。音声信号処理部14が起動処理を開始すると、システムコントローラ17は、音声信号処理部14に対してマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの各種データを送信する。音声信号処理部14は、シリアルポートをマスタ状態で起動し、システムコントローラ17からの各種データを受信し、音声信号処理部14内に設けられたRAMに順次書き込む(時刻t3)。
【0044】
音声信号処理部14は、受信すべき全てのデータを受け取ると、受信データに基づき各種設定を行い、必要であれば受信プログラムで再起動し、ステップS9において起動処理を完了する。そして、音声信号処理部14のシリアルポートをスレーブ状態に切り替えて放送信号処理部12内のマイクロコンピュータからの出音設定を待つ。なお、このとき、例えば出音可能であることを示すRdy信号を放送信号処理部12内のマイクロコンピュータに対して送信するようにしてもよい。
【0045】
ステップS10において、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータの起動処理が完了すると、放送信号処理部12は、音声信号処理部14に対して出音設定情報を送信する。ステップS11において、音声信号処理部14は、放送信号処理部12からの出音設定情報に基づき出音設定を行う。そして、ステップS12において、音声信号処理部14は、出音設定に基づき音声信号に対して所定の信号処理を施し、テレビジョン受像機1から音声が出力される(時刻t4)。
【0046】
次に、この発明の実施の一形態の変形例について説明する。この発明の実施の一形態の変形例では、放送信号処理部から音声信号処理部に対する制御をシステムコントローラを介して行うようにした。この発明の実施の一形態の変形例による映像音声処理装置は、図1に示す上述の実施の一形態による映像音声処理装置1における放送信号処理部12およびシステムコントローラ17の動作以外は、同様の構成で実現可能である。したがって、ここでは、この実施の一形態と同様の部分については同一の符号を付し、放送信号処理部12およびシステムコントローラ17の動作以外については、説明を省略する。
【0047】
放送信号処理部12は、自身の起動処理が完了して音声を出力する際に、システムコントローラ17に対して出音命令を送信する。システムコントローラ17は、放送信号処理部12から受信した出音命令に基づき、音声信号処理部14に対して出音設定を行うように制御する。
【0048】
次に、この発明の実施の一形態の変形例によるテレビジョン受像機1における音声出力の動作について説明する。図4は、テレビジョン受像機1において音声を出力する際の動作についての一例を示す。また、図5は、放送信号処理部12、音声信号処理部14およびシステムコントローラ17の間で送受信が行われる信号の一例を示す。
【0049】
図4に示すように、ステップS21において、ユーザによってテレビジョン受像機1の電源がONとされると、ステップS22、S23およびS24で、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータ、音声信号処理部14およびシステムコントローラ17にそれぞれ電源が供給されてONとなる(時刻t0’)。なお、テレビジョン受像機1がスタンバイ状態の場合、システムコントローラ17は、常に給電状態にある。
【0050】
ステップS25およびS26において、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータおよびシステムコントローラ17が起動処理を開始する(時刻t1’)。ステップS27において、システムコントローラ17は、起動処理を完了し(時刻t2’)、音声信号処理部14に対するデータ転送が可能となると、シリアルポートをマスタ状態として音声信号処理部14に対してリセット信号を送信する。
【0051】
ステップS28において、音声信号処理部14は、システムコントローラ17からのリセット信号に基づき起動処理を開始する。音声信号処理部14が起動処理を開始すると、システムコントローラ17は、音声信号処理部14に対してマイクロプログラムや演算プログラム、演算係数データなどの各種データを送信する。音声信号処理部14は、シリアルポートをスレーブ状態で起動し、システムコントローラ17からの各種データを受信し、音声信号処理部14内に設けられたRAMに順次書き込む(時刻t3’)。
【0052】
音声信号処理部14は、受信すべき全てのデータを受け取ると、受信データに基づき各種設定を行い、必要であれば受信プログラムで再起動し、ステップS29において起動処理を完了する。そして、音声信号処理部14は、システムコントローラ17からの出音設定を待つ。なお、このとき、例えば出音可能であることを示すRdy信号をシステムコントローラ17に対して送信するようにしてもよい。
【0053】
ステップS30において、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータの起動処理が完了すると、放送信号処理部12は、システムコントローラ17に対して出音命令を送信する。システムコントローラ17は、放送信号処理部12から受信した出音命令に基づき、音声信号処理部14に対して出音設定情報を送信する。
【0054】
ステップS31において、音声信号処理部14は、システムコントローラ17からの出音設定情報に基づき出音設定を行う。そして、ステップS32において、音声信号処理部14は、出音設定に基づき音声信号に対して所定の信号処理を施し、テレビジョン受像機1から音声が出力される(時刻t4’)。
【0055】
このように、この発明の実施の一形態および実施の一形態の変形例では、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータに比べて起動時間が短いシステムコントローラ17を用いて並列的に処理を行い、放送信号処理部12内のマイクロコンピュータが起動処理を行っている間に、システムコントローラ17によって各種データの送信を行うことにより、従来と比べて、音声信号処理部14における各種データに基づく信号処理のための設定時間分を短縮している。そのため、テレビジョン受像機1の電源を投入してから音声を出力するまでの出音時間を短縮することができる。
【0056】
また、この発明の実施の一形態および実施の一形態の変形例では、音声信号処理部14を動作させるために必要な各種データをシステムコントローラ17から受信するようにしているため、音声信号処理部14に各種データを格納しておくための大容量のROMやEEPROMなどの外部記憶装置を設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0057】
以上、この発明の実施の一形態および実施の一形態の変形例について説明したが、この発明は、上述したこの発明の実施の一形態および実施の一形態の変形例に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。この発明の実施の一形態および実施の一形態の変形例では、映像音声処理装置としてテレビジョン受像機を例にとって説明したが、これはこの例に限られない。例えば、DVD(Digital Versatile Disc)やHDD(Hard Disc Drive)などの記録媒体に記録された音声信号を再生するような再生装置を用いて音声信号を再生する場合についても、上述の音声出力の処理方法を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施の一形態によるテレビジョン受像機の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の一形態によるテレビジョン受像機において音声を出力する際の動作についての一例を示す略線図である。
【図3】放送信号処理部と音声信号処理部とシステムコントローラとの間の信号の流れを説明するための略線図である。
【図4】この発明の実施の一形態の変形例によるテレビジョン受像機において音声を出力する際の動作についての一例を示す略線図である。
【図5】放送信号処理部と音声信号処理部とシステムコントローラとの間の信号の流れを説明するための略線図である。
【図6】従来のテレビジョン受像機の一例の構成を示すブロック図である。
【図7】従来のテレビジョン受像機において音声を出力する際の動作についての一例を示す略線図である。
【図8】放送信号処理部と音声信号処理部とシステムコントローラとの間の信号の流れを説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0059】
1 テレビジョン受像機
11 放送受信チューナ
12 放送信号処理部
13 映像信号処理部
14 音声信号処理部
15 表示部
16 音声出力部
17 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像および音声を出力する映像音声処理装置において、
入力されたトランスポートストリームから映像データおよび音声データを取得し、上記映像データおよび音声データをそれぞれ復号して映像信号および音声信号を出力する第1のプロセッサと、
上記音声信号に対して所定の信号処理を施す音声信号処理部と、
上記所定の信号処理を実行するための各種データを記憶する記憶部を備え、上記音声信号処理部における処理を制御する、上記第1のプロセッサと比較して起動時間が短い第2のプロセッサと
を有し、
上記第1のプロセッサの起動処理が行われている間に、上記第2のプロセッサから上記音声信号処理部に対して上記記憶部に記憶された各種データが送信される
ことを特徴とする映像音声処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像音声処理装置において、
上記起動時間は、電源がONとされてから動作を開始するまでの時間である
ことを特徴とする映像音声処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像音声処理装置において、
上記第1のプロセッサは、放送信号処理部である
ことを特徴とする映像音声処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の映像音声処理装置において、
上記第2のプロセッサは、システムコントローラである
ことを特徴とする映像音声処理装置。
【請求項5】
映像および音声を出力する映像音声処理方法において、
入力されたトランスポートストリームから映像データおよび音声データを取得し、上記映像データおよび音声データをそれぞれ復号して映像信号および音声信号を第1のプロセッサから出力するステップと、
上記音声信号に対して所定の信号処理を施す音声信号処理ステップと、
上記所定の信号処理を実行するための各種データを記憶部に記憶し、上記音声信号処理ステップにおける処理を、上記第1のプロセッサと比較して起動時間が短い第2のプロセッサで制御するステップと
を有し、
上記第1のプロセッサの起動処理が行われている間に、上記音声信号処理ステップにおける上記所定の信号処理のための各種データが上記第2のプロセッサから送信される
ことを特徴とする映像音声処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−5242(P2009−5242A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166238(P2007−166238)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】