説明

映像音声復調回路、テレビ受像機、テレビ受信チューナ及び動画再生装置

【課題】映像表示部において映像表示の遅延が生じる場合でも、視聴者が視聴の際に感じる違和感を抑えることが可能となる映像音声復調回路を提供する。
【解決手段】同期制御回路46は、映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出し、導き出された映像遅延量を映像遅延回路43に設定し、導き出された音声遅延量に、遅延量設定回路12から入力された映像表示部7において生じる映像表示の遅延量を加算した音声遅延量を音声遅延回路45に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ受像機、テレビ受信チューナ及び動画再生装置などに用いられる映像音声復調回路に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送では、映像、音声がそれぞれカメラ、マイクロホンという別々の入力装置により信号に変換され、映像信号及び音声信号は変調されて電波として送信される。受信側のテレビ受像機では、放送波から映像信号及び音声信号を取り出し、映像信号は、アナログ方式のテレビ受像機であればブラウン管、またはデジタル方式のテレビ受像機であれば液晶ディスプレイを使って光として視聴者の視覚に届けられる。また、音声信号はスピーカから音として視聴者の聴覚に届けられる(従来のテレビ受像機としては例えば特許文献1〜5を参照)。
【0003】
このように、テレビ放送システムにおいては、映像信号、音声信号のそれぞれは、元は同時に発生する現象であるにもかかわらず、その入力装置、出力装置、またそれぞれの方式が異なることから、相互に別々に処理されて、視聴者に届く仕組みとなっている。
【0004】
このように送信側、受信側の双方において別々に処理される映像信号及び音声信号には互いの同期をとるための同期信号が組み込まれて送信され、受信側で映像信号及び音声信号のタイミングを合わせて出力するような仕組みが用いられるのが通常である。
【0005】
近年普及しているデジタル方式のテレビ放送においては、放送波のデータ伝送効率を高めるために、映像信号、音声信号ともにデータ圧縮を行っているが、映像信号の方が音声信号よりもデータ量が多いため、データ圧縮に要する時間が長くなる傾向があり、デジタル方式のテレビ受像機では、放送波より同期信号を取り出して映像信号及び音声信号の同期をとることが、従来のアナログ方式のテレビ受像機に比べて重要となっている。
【0006】
映像信号及び音声信号の同期をとるためには、復調回路において復調後の映像信号、音声信号が同時に出力されるように、復調回路内部での遅延量を調整する方法が取られている。このような方法を用いる従来の一般的なテレビ受像機のブロック図を図17に示す。
【0007】
図17に示すテレビ受像機101は、RF受信回路103と、映像音声復調回路104と、システム制御回路105と、操作ボタン106と、映像表示部107と、音声処理回路110と、スピーカ111と、を備えている。RF受信回路103には、外部のアンテナ102が接続される。なお、音声処理回路とスピーカとから音声出力部が構成される。
【0008】
テレビ受像機101の視聴者は、操作ボタン106を使って電源入切、チャンネル切換や音量調節などのテレビ受像機101の操作を行う。これら操作を行った結果は、操作信号として操作ボタン106からシステム制御回路105に送られる。
【0009】
システム制御回路105は、各制御信号により、RF受信回路103、映像音声復調回路104、映像表示部107及び音声処理回路110をそれぞれ制御することにより、テレビ受像機101全体を制御する。
【0010】
RF受信回路103は、アンテナ102で受けた電波より所望の周波数の放送波を取り出し、映像・音声のデータを含んだ搬送信号を取り出す。映像音声復調回路104は、上記搬送信号から映像信号及び音声信号を取り出す。
【0011】
映像表示部107は、映像処理回路108と液晶パネル109とを有している。映像処理回路108は、映像音声復調回路104にて取り出された映像信号を受け取り、その映像信号に基づき液晶パネル109の各画素を駆動する駆動信号を生成する。液晶パネル109は、映像処理回路108が生成した駆動信号により各画素を駆動され、視聴者に対して映像を表示する。
【0012】
音声処理回路110は、映像音声復調回路104にて取り出された音声信号を受け取り、その音声信号に基づきスピーカ111を駆動する駆動信号を生成する。スピーカ111は、音声処理回路110が生成した駆動信号により駆動され、音声を出力する。
【0013】
図17に示すテレビ受像機101において映像信号及び音声信号の同期をとるための仕組みを以下説明する。映像音声復調回路104の内部構成を示すブロック図を図18に示す。
【0014】
映像音声復調回路104は、搬送信号を受け取り、映像信号及び音声信号を出力する。映像音声復調回路104は、分離回路1041と、映像復調回路1042と、映像遅延回路1043と、音声復調回路1044と、音声遅延回路1045と、同期制御回路1046と、を有している。
【0015】
分離回路1041は、搬送信号を映像データと音声データとに分離する。映像復調回路1042は、映像データを復調して映像信号を出力すると共に、映像データから映像同期信号を取り出す。映像同期信号は同期制御回路1046に入力される。音声復調回路1044は、音声データを復調して音声信号を出力すると共に、音声データから音声同期信号を取り出す。音声同期信号は同期制御回路1046に入力される。
【0016】
同期制御回路1046は、映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出す。映像遅延量と音声遅延量は各々、映像復調回路1042の後段に配置された映像遅延回路1043と音声復調回路1044の後段に配置された音声遅延回路1045のそれぞれに導かれる。
【0017】
映像遅延回路1043は、映像復調回路1042から出力される映像信号に映像遅延量に基づく遅延をかけて映像信号を映像処理回路108に出力する。音声遅延回路1045は、音声復調回路1044から出力される音声信号に音声遅延量に基づく遅延をかけて音声信号を音声処理回路110に出力する。
【0018】
このような同期制御回路1046、映像遅延回路1043及び音声遅延回路1045の一連の動作により、送信側において設定された同期信号に基づいて、受信側で映像信号及び音声信号の出力タイミングを合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2005−260653号公報
【特許文献2】特開2007−243563号公報
【特許文献3】特開平9−247564号公報
【特許文献4】特開平6−284488号公報
【特許文献5】特開平4−132487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、デジタル方式のテレビ受像機では、映像の表示に液晶パネルなどが使用されているが、近年では、液晶の駆動周波数を高めた2倍速表示または4倍速表示といった高機能な液晶パネルが使用される場合や、または3D表示などの新しい技術が採用された映像処理回路が使用される場合が増えてきている。
【0021】
映像処理回路(図17でいえば映像処理回路108に相当)は、入力された映像信号を液晶パネルを駆動する信号に変換しつつ液晶パネルに映像を表示させるが、上記のような高機能な液晶パネルを駆動する場合では、入力された映像信号を元に補間により元々の映像信号に存在しなかった画像を計算で求める。
【0022】
例えば図19は、インターレース方式の場合の映像信号を模式的に示したもので、元の映像信号では、33msecに1枚の画像が送られており、1秒間に30コマの画像により動画を構成している。ここで映像の動きをなめらかに見せるために、上述した2倍速表示という表示方法がある。この表示方法は、送られてくる1秒間に30コマの元の画像から、1秒間に60コマの画像に変換することによって、2倍速表示を行うものである。
【0023】
「1秒間に60コマ」の画像は、1枚目と2枚目の中間に相当する、元の映像信号には存在しなかった画像を計算で求めることにより作り出される。例えば図19において、1枚目の画像1と、その33msec 後の2枚目の画像2のデータから、これらの中間(画像1から見て16.7msec 後)に相当する画像1’を補間計算により求める。その後も同様に、中間に相当する画像を補間計算で求めて表示することにより、2倍速表示が可能となる。
【0024】
このような補間を行った場合、画像1と、その33msec後の画像2を使って中間(画像1から見て16.7msec 後)の画像1’を計算することになるため、画像2のタイミング以降でないと画像1’は表示できない。従って、補間後の映像信号の表示は、元の映像信号に比べて最低でも16.7ms 遅れることになる。
【0025】
また、補間計算の元になる画像の数を増やすほど、計算の精度が高くなり、補間した画像の解像度を上げることが可能になるが、計算に使う画像の枚数を増やすことは、さらに補間後の映像信号の表示が遅延する結果につながる。
【0026】
図17に示した従来のテレビ受像機101では、映像音声復調回路104内部(図18)において遅延量を調整することで、復調後の映像信号、音声信号が映像音声復調回路104から同時に出力されるようにしているが、上記のような映像表示部107内部で映像表示に遅延が発生するような映像処理回路108を使用している場合は、スピーカ111から出力される音声が聴こえてから遅れて映像が見えることとなる。
【0027】
光速のほうが音速よりも圧倒的に速いことから、通常の自然界で起きる事象では、光(映像)の方が先に到達し、音がそれよりも遅れて到達する。人は生まれた時から、映像が先に届き、音声が後から届く、という世界に存在しており、そのことを違和感なく知覚している。従って、映像表示の遅延が生じる映像処理回路108を用いた従来のテレビ受像機101を使用することにより生じる、音声が先に聴こえ、映像が後から見えるという現象に対して、視聴者は極端に違和感を感じることとなる。
【0028】
また、特許文献1には、モニター部の映像表示とスピーカからの音声出力との同期をとるようにしたテレビ受像機が開示されているが、モニター部における映像処理回路が上記のように映像表示の遅延を生じさせるものであった場合は考慮されておらず、この場合、スピーカから出力される音声が聴こえてから遅れて映像が見えることになってしまう。従って、視聴者は極端に違和感を感じることとなる。
【0029】
上記問題点を鑑み、本発明は、映像表示部において映像表示の遅延が生じる場合でも、視聴者が視聴の際に感じる違和感を抑えることが可能となる映像音声復調回路、及びこれを備えたテレビ受像機、テレビ受信チューナ及び動画再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するために本発明の映像音声復調回路は、映像データを復調して映像信号を出力する映像復調回路と、
音声データを復調して音声信号を出力する音声復調回路と、
前記映像復調回路により出力された映像信号を遅延させて映像表示部に出力する映像遅延回路と、
前記音声復調回路により出力された音声信号を遅延させて音声出力部に出力する音声遅延回路と、
映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出す同期制御回路と、を備え、
前記映像遅延回路は、前記導き出された映像遅延量を前記同期制御回路から設定され、
前記音声遅延回路は、前記導き出された音声遅延量に、遅延量設定回路から入力された前記映像表示部において生じる映像表示の遅延量及び/または当該遅延量よりも大きな遅延量を加算した音声遅延量を前記同期制御回路から設定される構成としている。
【0031】
このような構成によれば、映像表示部において映像表示の遅延が生じる場合でも、その遅延量だけ音声信号が映像信号に比して遅延されて音声出力部に出力されるので、映像表示と音声出力とがほぼ同タイミングとなり、視聴者にとって視聴の違和感を抑えたものとすることが可能となる。また、映像表示部において映像表示の遅延が生じる遅延量よりも大きな遅延量を加算した音声遅延量を用いる場合は、音声出力が映像表示に比してより遅れるが、視聴者にとっては単に離れて視聴していると感じるだけであり、やはり違和感を抑えた視聴が可能となる。
【0032】
また、上記構成において、前記遅延量設定回路から入力される遅延量は、操作部の操作により可変設定されてもよい。
【0033】
また、上記構成において、人感センサー回路によって視聴者の存在を確認された場合に、距離測定回路により測定された前記視聴者までの距離と、音速とに基づいて前記遅延量設定回路から入力される遅延量が算出され、当該算出の際、前記距離が長くなるほど前記遅延量は大きく算出されてもよい。
【0034】
また、本構成において、 前記距離測定回路により測定された前記視聴者までの距離と、音速とに基づいて前記遅延量設定回路から入力される遅延量が算出される際に、前記映像表示部に表示される画面が大きい場合、前記音速を実際の値より大きな値とし、前記映像表示部に表示される画面が小さい場合、前記音速を実際の値より小さな値としてもよい。
【0035】
また、上記構成において、前記映像表示部から読み出された前記映像表示部において生じる映像表示の遅延量に基づき前記遅延量設定回路から遅延量が入力されるようにしてもよい。
【0036】
また、上記いずれかの構成の映像音声復調回路は、テレビ受像機搭載用の映像音声復調回路であって、前記映像データ及び前記音声データは、搬送信号から取り出され、前記映像表示部及び前記音声出力部は、前記テレビ受像機に設けられるものであってもよい。
【0037】
また、本発明のテレビ受像機は、本構成の映像音声復調回路と、受信した放送波から搬送信号を取り出す受信回路と、映像表示部と、音声出力部と、を備えた構成としている。
【0038】
また、上記いずれかの構成の映像音声復調回路は、テレビ受信チューナ搭載用の映像音声復調回路であって、前記映像データ及び前記音声データは、搬送信号から取り出され、前記映像表示部及び前記音声出力部は、前記テレビ受信チューナに外部接続されたテレビ受像機に設けられるものであってもよい。
【0039】
また、本発明のテレビ受信チューナは、本構成の映像音声復調回路と、受信した放送波から搬送信号を取り出す受信回路と、を備えた構成としている。
【0040】
また、上記いずれかの構成の映像音声復調回路は、動画再生装置搭載用の映像音声復調回路であって、前記映像データ及び前記音声データは、再生信号から取り出され、前記映像表示部及び前記音声出力部は、前記動画再生装置に外部接続されたテレビ受像機に設けられるものであってもよい。
【0041】
また、本発明の動画再生装置は、本構成の映像音声復調回路と、再生信号を記録媒体から取り出す再生部と、を備えた構成としている。
【発明の効果】
【0042】
本発明によると、映像表示部において映像表示の遅延が生じる場合でも、視聴者が視聴の際に感じる違和感を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に係るテレビ受像機のブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る映像音声復調回路の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るテレビ受像機の一部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るテレビ受像機の一部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るテレビ受像機に外部入力端子を設けた例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るテレビ受信チューナのブロック図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る映像音声復調回路の内部構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るテレビ受信チューナの一部構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係るテレビ受信チューナの一部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係るテレビ受像機に外部入力端子及び外部接続端子を設けた例を示すブロック図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係るテレビ受信チューナの一部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係るDVD再生装置のブロック図である。
【図13】本発明の第8実施形態に係る映像音声復調回路の内部構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第9実施形態に係るDVD再生装置の一部構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第10実施形態に係るDVD再生装置の一部構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第11実施形態に係るDVD再生装置の一部構成を示すブロック図である。
【図17】従来のテレビ受像機のブロック図である。
【図18】従来のテレビ受像機における映像音声復調回路の内部構成を示すブロック図
【図19】2倍速表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0045】
<テレビ受像機に係る実施形態>
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るテレビ受像機のブロック図を図1に示す。図1に示すテレビ受像機1は、RF受信回路3と、映像音声復調回路4と、システム制御回路5と、操作ボタン6と、映像処理回路8及び液晶パネル9を有した映像表示部7と、音声処理回路10と、スピーカ11と、遅延量設定回路12と、を備えている。
【0046】
テレビ受像機1の視聴者は、操作ボタン6を使用して電源入切、チャンネル切換や、音量調節などの、テレビ受像機1の操作を行う。これら操作を行った結果は、操作信号として操作ボタン6からシステム制御回路5に送られる。
【0047】
システム制御回路5は、各制御信号により、RF受信回路3、映像音声復調回路4、映像表示部7及び音声処理回路10をそれぞれ制御することにより、テレビ受像機1全体を制御する。
【0048】
RF受信回路3は、アンテナ2で受けた電波より所望の周波数の放送波を取り出し、映像・音声のデータを含んだ搬送信号を取り出す。映像音声復調回路4は、上記搬送信号から映像信号と音声信号を取り出す。このとき、音声信号の出力タイミングは、遅延量設定回路12により設定される遅延量により制御される。
【0049】
映像表示部7における映像処理回路8は、映像音声復調回路4にて取り出された映像信号を受け取り、その映像信号に基づき液晶パネル9の各画素を駆動する駆動信号を生成する。液晶パネル9は、映像処理回路8が生成した駆動信号により各画素を駆動され、視聴者に対して映像を表示する。
【0050】
音声処理回路10は、映像音声復調回路4にて取り出された音声信号を受け取り、その音声信号に基づきスピーカ11を駆動する駆動信号を生成する。スピーカ11は、音声処理回路10が生成した駆動信号により駆動され、音声を出力する。
【0051】
映像音声復調回路4の内部構成を示すブロック図を図2に示す。映像音声復調回路4は、搬送信号を受け取り、映像信号及び音声信号を出力する。映像音声復調回路4は、分離回路41と、映像復調回路42と、映像遅延回路43と、音声復調回路44と、音声遅延回路45と、同期制御回路46と、を有している。
【0052】
分離回路41は、搬送信号を映像データと音声データとに分離する。映像復調回路42は、映像データを復調して映像信号を出力すると共に、映像データから映像同期信号を取り出す。映像同期信号は同期制御回路46に入力される。音声復調回路44は、音声データを復調して音声信号を出力すると共に、音声データから音声同期信号を取り出す。音声同期信号は同期制御回路46に入力される。
【0053】
同期制御回路46は、映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出す。
【0054】
また、テレビ受像機1に使用される映像表示部7において生じる映像表示の遅延量が遅延量設定回路12から同期制御回路46に導かれる。この遅延量は、例えば上述したような映像処理回路8での画像補間処理により生じるものである。
【0055】
同期制御回路46から映像遅延回路43に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0056】
一方、同期制御回路46から音声遅延回路45に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、遅延量設定回路12から入力された遅延量を加算した値である。
【0057】
これにより、音声復調回路44から音声遅延回路45を介して出力される音声信号は、映像復調回路42から映像遅延回路43を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路12から入力された遅延量だけ遅れて出力されることになる。しかし、遅延量設定回路12から入力された遅延量は、映像表示部7において生じる映像表示の遅延量そのものであり、映像表示部7(液晶パネル9)にて表示される映像と、音声処理回路10を介してスピーカ11から出力される音声のタイミングはほぼ同じタイミングとなる。
【0058】
従って、本実施形態においては、映像表示の遅延量の大きな映像表示部7を使用した場合でも、音声信号の出力を映像表示部7で生じる遅延量だけ遅らせることによって、映像表示と音声出力の同期をとり、映像音声を違和感なく視聴可能とする。
【0059】
また、遅延量設定回路12から同期制御回路46に入力させる遅延量を、テレビ受像機1に使用される映像表示部7において生じる映像表示の遅延量よりも大きな遅延量としてもよい。
【0060】
このようにした場合、音声遅延回路45から出力される音声信号は、映像遅延回路43から出力される映像信号よりもさらに遅れて出力されることとなり、音声処理回路10を介したスピーカ11からの音声出力が映像表示部7での映像表示に比してさらに遅れる結果となる。
【0061】
通常の自然界で起きる事象は、光(映像)の方が先に到達し、音がそれよりも遅れて到達する。例えば、常温での音速を約340m/sec、光速を約3x108m/sec として計算すると、ある事象が起きて、3.4m 離れたところでその事象を見た人の耳には、音は10msec 遅れて届いていることになる。人にとって、映像が先に届き、音声が後から届くことは自然なことであって、距離の離れたところで起こっている事象であれば、映像と音の到達時間差が大きくなることを人は経験的に知覚している。
【0062】
従って、映像表示部7での映像表示に比したスピーカ11からの音声出力の遅延量が大きいということは、視聴者にとってみれば、単に「少し離れて見ている」と錯覚するだけであり、非常に自然な視聴と受け取ることが可能となる。
【0063】
(第2実施形態)
上記第1実施形態の変形例としての第2実施形態に係るテレビ受像機の一部構成を示すブロック図を図3に示す。本実施形態では、音声遅延回路45’に設定する音声遅延量を、操作ボタン6’及びシステム制御回路5’経由で視聴者が外部から設定可能としている。
【0064】
操作ボタン6’が操作されると、操作信号がシステム制御回路5’に送られ、システム制御回路5’は送られた操作信号に応じた遅延量を遅延量設定回路12’に通知する。遅延量設定回路12’は、通知された遅延量を同期制御回路46’に入力させる。ここで、遅延量は、映像表示部7’において生じる映像表示の遅延量以上の値とする。
【0065】
例えば、複数の操作ボタン6’のそれぞれに異なった遅延量が割り当てられ、操作された操作ボタン6’に応じた遅延量がシステム制御回路5’から遅延量設定回路12’に通知されるようにすればよい。または、例えば操作ボタン6’を上下キーとして構成し、操作ボタン6’が押されるたびに遅延量を増加または減少させるようにしてもよい。
【0066】
同期制御回路46’により映像遅延回路43’に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0067】
一方、同期制御回路46’から音声遅延回路45’に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、遅延量設定回路12’から入力された遅延量を加算した値である。
【0068】
これにより、音声復調回路44’から音声遅延回路45’を介して出力される音声信号は、映像復調回路42’から映像遅延回路43’を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路12’から入力された遅延量だけ遅れて出力される。遅延量設定回路12’から入力された遅延量は、視聴者が操作ボタン6’を操作して設定したものであり、映像表示部7’において生じる映像表示の遅延量以上の値である。従って、映像表示部7’での映像表示と音声処理回路10’を介したスピーカ11’からの音声出力がほぼ同タイミングとなる、もしくは音声出力が遅れるという結果となり、映像音声を違和感なく、且つ視聴者が所望する距離感で視聴可能とする。
【0069】
(第3実施形態)
上記第2実施形態の変形例としての第3実施形態に係るテレビ受像機の一部構成を示すブロック図を図4に示す。本実施形態に係るテレビ受像機では、人感センサー回路13と距離測定回路14を設け、音声遅延回路45’’に設定する遅延量を人感センサー回路13及び距離測定回路14の検出結果に基づいて可変設定する。
【0070】
システム制御回路5’’は、人感センサー回路13の感知信号に基づき、「視聴者が存在する」と判断した場合に、距離測定回路14が検出した距離データに基づき、テレビ受像機と視聴者の距離を取得する。システム制御回路5’’は、取得した距離に基づき、遅延量設定回路12’’を介して同期制御回路46’’に設定する遅延量を計算する。
【0071】
例えば、テレビ受像機と視聴者の距離に対する音の伝達所要時間を音速に基づき計算し、計算された伝達所要時間に映像表示部7’’において生じる映像表示の遅延量を加算した値を同期制御回路46’’に設定する遅延量とする。
【0072】
具体的には例えば、距離データから得られたテレビ受像機と視聴者の距離が 10m であった場合、音が 10m を伝達する所要時間を 10(m) / 340 (m/s)= 29.4msec と計算し、映像表示部7’’において生じる映像表示の遅延量にこの値を加算して遅延量を求める。
【0073】
同期制御回路46’’により映像遅延回路43’’に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0074】
一方、同期制御回路46’’から音声遅延回路45’’に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、システム制御回路5’’より遅延量設定回路12’を介して入力された遅延量を加算した値である。
【0075】
これにより、音声復調回路44’’から音声遅延回路45’’を介して出力される音声信号は、映像復調回路42’’から映像遅延回路43’’を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路12’から入力された遅延量だけ遅れて出力される。遅延量設定回路12’から入力された遅延量は、例えば音の伝達所要時間に映像表示部7’’において生じる映像表示の遅延量を加算した値である。
【0076】
従って、音声処理回路10’を介したスピーカ11’からの音声出力は、映像表示部7’’での映像表示に比して、テレビ受像機と視聴者の距離に応じた遅延量だけ遅れることとなる。これにより、視聴者がテレビ受像機を離れて見ているときは、音がより遅れて聴こえ、近くでテレビ受像機を見ているときは、音の遅れはそれほど大きくない、という結果となり、視聴者としては、離れて見ている、近くで観ている、という錯覚をより強く知覚することができる。
【0077】
なお、本実施形態において、遅延量の計算に表示画面の大きさを考慮することも可能である。操作ボタン6’’から設定する設定項目として「画面大」「画面小」を設けておき、「画面大」が選択された場合は、音速を実際の値よりも大きめの値として音の伝達所要時間を計算することで遅延量を求める。一方、「画面小」が選択された場合は、音速を実際の値よりも小さめの値として音の伝達所要時間を計算することで遅延量を求める。
【0078】
「画面大」が選択された場合は、音はそれほど遅れて聴こえない結果となり、視聴者は近くで見ているという感覚を得やすくなる。一方、「画面小」が選択された場合は、音はより遅れて聴こえる結果となり、視聴者は遠くで見ているという感覚を得やすくなる。
【0079】
<テレビ受信チューナに係る実施形態>
図5のように、上記第1実施形態に係るテレビ受像機1(図1)が外部入力端子15を備えていて(テレビ受像機1’とする)、外部入力端子15に接続された外部機器16から入力される映像信号及び音声信号が映像・音声同時タイミングを前提としたものであった場合は、映像表示部7による映像表示遅延に対する音声のタイミング補正を働かせることができない。つまり、スピーカ11からの音声出力に遅れて映像が表示され、視聴者が極端に違和感を感じることとなる。そこで、テレビ受像機ではなく、外部機器16側にも音声遅延を設定する仕組みを設けることが考えられる。ここでは、外部機器16として、テレビ受信チューナを使用する場合の実施形態について説明する。
【0080】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係るテレビ受信チューナのブロック図を図6に示す。図6に示すテレビ受信チューナ17は、RF受信回路19と、映像音声復調回路20と、システム制御回路21と、操作ボタン22と、遅延量設定回路23と、を備えている。
【0081】
テレビ受信チューナ17を使用して視聴する視聴者は、操作ボタン22を使用して電源入切、チャンネル切換などの、テレビ受信チューナ17の操作を行う。これら操作を行った結果は、操作信号として操作ボタン22からシステム制御回路21に送られる。
【0082】
システム制御回路21は、各制御信号により、RF受信回路19及び映像音声復調回路20をそれぞれ制御することにより、テレビ受信チューナ17全体を制御する。
【0083】
RF受信回路19は、アンテナ18で受けた電波より所望の周波数の放送波を取り出し、映像・音声のデータを含んだ搬送信号を取り出す。映像音声復調回路20は、上記搬送信号から映像信号と音声信号を取り出す。このとき、音声信号の出力タイミングは、遅延量設定回路23により設定される遅延量により制御される。
【0084】
映像音声復調回路20から出力される映像信号及び音声信号は、テレビ受像機1’(図5)の外部入力端子15に入力される。映像表示部7における映像処理回路8は、外部入力端子15から映像信号を受け取り、その映像信号に基づき液晶パネル9の各画素を駆動する駆動信号を生成する。液晶パネル9は、映像処理回路8が生成した駆動信号により各画素を駆動され、視聴者に対して映像を表示する。
【0085】
音声処理回路10は、外部入力端子15から音声信号を受け取り、その音声信号に基づきスピーカ11を駆動する駆動信号を生成する。スピーカ11は、音声処理回路10が生成した駆動信号により駆動され、音声を出力する。
【0086】
映像音声復調回路20の内部構成を示すブロック図を図7に示す。映像音声復調回路20は、搬送信号を受け取り、映像信号及び音声信号を出力する。映像音声復調回路20は、分離回路201と、映像復調回路202と、映像遅延回路203と、音声復調回路204と、音声遅延回路205と、同期制御回路206と、を有している。
【0087】
分離回路201は、搬送信号を映像データと音声データとに分離する。映像復調回路202は、映像データを復調して映像信号を出力すると共に、映像データから映像同期信号を取り出す。映像同期信号は同期制御回路206に入力される。音声復調回路204は、音声データを復調して音声信号を出力すると共に、音声データから音声同期信号を取り出す。音声同期信号は同期制御回路206に入力される。
【0088】
同期制御回路206は、映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出す。
【0089】
また、テレビ受像機1’(図5)に使用される映像表示部7において生じる映像表示の遅延量が遅延量設定回路23から同期制御回路206に導かれる。この遅延量は、例えば上述したような映像処理回路8での画像補間処理により生じるものである。
【0090】
同期制御回路206から映像遅延回路203に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0091】
一方、同期制御回路206から音声遅延回路205に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、遅延量設定回路23から入力された遅延量を加算した値である。
【0092】
これにより、音声復調回路204から音声遅延回路205を介して出力される音声信号は、映像復調回路202から映像遅延回路203を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路23から入力された遅延量だけ遅れて出力されることになる。しかし、遅延量設定回路23から入力された遅延量は、映像表示部7(図5)において生じる映像表示の遅延量そのものであり、映像表示部7(液晶パネル9)にて表示される映像と、音声処理回路10を介してスピーカ11から出力される音声のタイミングはほぼ同じタイミングとなる。
【0093】
従って、本実施形態においては、テレビ受信チューナ17の接続先であるテレビ受像機1’(図5)において映像表示の遅延量の大きな映像表示部7を使用した場合でも、音声信号の出力を映像表示部7で生じる遅延量だけ遅らせることによって、映像表示と音声出力の同期をとり、映像音声を違和感なく視聴可能とする。
【0094】
ところで、本実施形態に係るテレビ受信チューナ17に接続されるテレビ受像機1’(図5)は、1種類とは限らず、どのようなテレビ受像機が接続されるかは分からない。さらに、テレビ受像機1’の映像表示部7で生じる映像表示の遅延量はテレビ受像機個々によって異なる。そこで、遅延量設定回路23により設定する遅延量は、或る程度大きな値としておくことが考えられる。例えば、テレビ受信チューナ17に接続されることが想定される各種のテレビ受像機1’のうち最も映像表示部7で生じる映像表示の遅延量が大きなテレビ受像機1’での映像表示の遅延量を、遅延量設定回路23により設定する遅延量とすればよい。
【0095】
これにより、映像表示部7での映像表示の遅延量が遅延量設定回路23により設定される遅延量よりも小さいテレビ受像機1’がテレビ受信チューナ17に接続された場合は、スピーカ11からの音声出力が映像表示部7での映像表示に比して遅れる結果となるが、視聴者からすれば、単に「離れて映像を見ている」と錯覚するだけであり、違和感を感じることはない。
【0096】
(第5実施形態)
上記第4実施形態の変形例としての第5実施形態に係るテレビ受信チューナの一部構成を示すブロック図を図8に示す。本実施形態では、音声遅延回路205’に設定する音声遅延量を、操作ボタン22’及びシステム制御回路21’経由で視聴者が外部から設定可能としている。詳細については先に説明した第2実施形態と同様であるので、ここでは詳述を省く。本実施形態によれば、テレビ受信チューナに接続されたテレビ受像機1’(図5)において、映像表示部7での映像表示とスピーカ11からの音声出力がほぼ同タイミングとなる、もしくは音声出力が遅れるという結果となり、映像音声を違和感なく、且つ視聴者が所望する距離感で視聴可能とする。
【0097】
(第6実施形態)
上記第5実施形態の変形例としての第6実施形態に係るテレビ受信チューナの一部構成を示すブロック図を図9に示す。本実施形態に係るテレビ受信チューナでは、人感センサー回路24と距離測定回路25を設け、音声遅延回路205’’に設定する遅延量を人感センサー回路24及び距離測定回路25の検出結果に基づいて可変設定する。詳細については先に説明した第3実施形態と同様であるので、ここでは詳述を省く。本実施形態によれば、テレビ受信チューナに接続されたテレビ受像機1’(図5)において、音声処理回路10を介したスピーカ11からの音声出力は、映像表示部7での映像表示に比して、テレビ受信チューナと視聴者の距離に応じた遅延量だけ遅れることとなる。これにより、視聴者がテレビ受像機を離れて見ているときは、音がより遅れて聴こえ、近くでテレビ受像機を見ているときは、音の遅れはそれほど大きくない、という結果となり、視聴者としては、離れて見ている、近くで観ている、という錯覚をより強く知覚することができる。
【0098】
なお、本実施形態において、遅延量の計算に表示画面の大きさを考慮することも可能である。テレビ受信チューナに接続されるテレビ受像機1’(図5)の表示画面の大きさを操作ボタン22’’により選択可能とし、表示画面の大小に応じて異なる遅延量を設定する。詳細については先に説明した第3実施形態と同様であるので、詳述は省く。「画面大」が選択された場合は、テレビ受信チューナに接続されたテレビ受信機1’において、映像表示部7に表示される画面が大きめとなり、音はそれほど遅れて聴こえない結果となり、視聴者は近くで見ているという感覚を得やすくなる。一方、「画面小」が選択された場合は、映像表示部7に表示される画面が小さめとなり、音はより遅れて聴こえる結果となり、視聴者は遠くで見ているという感覚を得やすくなる。
【0099】
(第7実施形態)
上記第4実施形態で述べたように、テレビ受信チューナ17(図6)に接続するテレビ受像機1’(図5)は1種類とは限らず、どのようなテレビ受像機が接続されるかは分からない。さらに、テレビ受像機で生じる映像表示の遅延量は、テレビ受像機個々によって異なる。
【0100】
そこで、図10に示すように、テレビ受像機1’’の映像表示部7において生じる映像表示の遅延量を外部機器16’(テレビ受信チューナ等)が読み出せるようテレビ受像機1’’に外部接続端子151を設け、外部機器16’が映像表示部7における映像表示の遅延量を外部接続端子151を介して映像表示部7から読み出すことが考えられる。
【0101】
ここで、外部機器16’の一例としての第7実施形態に係るテレビ受信チューナの一部構成を示すブロック図を図11に示す。本実施形態に係るテレビ受信チューナの構成は、基本的には上記第4実施形態に係るテレビ受信チューナ(図6、図7)と同様の構成としているが、異なる点は遅延量読み出し回路26を設けていることである。
【0102】
遅延量読み出し回路26は、テレビ受像機1’’(図10)の映像表示部7から外部接続端子151を介して映像表示部7における映像表示の遅延量を読み出し、読み出した遅延量を遅延量設定回路23’’’を介して同期制御回路206’’’に設定する。
【0103】
同期制御回路206’’’から映像遅延回路203’’’に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0104】
一方、同期制御回路206’’’から音声遅延回路205’’’に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、遅延量設定回路23’’’から入力された遅延量を加算した値である。
【0105】
これにより、音声復調回路204’’’から音声遅延回路205’’’を介して出力される音声信号は、映像復調回路202’’’から映像遅延回路203’’’を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路23’’’から入力された遅延量だけ遅れて出力される。遅延量設定回路23’’’から入力された遅延量は、読み出した映像表示部7における映像表示の遅延量である。従って、テレビ受像機1’’(図10)において、音声処理回路10を介したスピーカ11からの音声出力は、映像表示部7での映像表示とほぼ同タイミングとなる。
【0106】
結果として、視聴者は、映像と音声の同期がとれた状態で視聴が可能となる。また、本実施形態に係るテレビ受信チューナに、映像表示部7での映像表示の遅延量が異なるどのようなテレビ受像機1’’を接続したとしても、常に映像と音声の同期がとれた状態での視聴が可能となる。
【0107】
<動画再生装置に係る実施形態>
(第8実施形態)
ここでは、テレビ受像機1’に接続される外部機器16(図5)として、動画再生装置の一例であるDVD再生装置を使用する場合の実施形態について説明する。
【0108】
本発明の第8実施形態に係るDVD再生装置のブロック図を図12に示す。図12に示すDVD再生装置27は、光ピックアップ29を有した光ディスク駆動機構28と、映像音声復調回路30と、システム制御回路31と、操作ボタン32と、遅延量設定回路33と、を備えている。
【0109】
DVD再生装置27による再生映像音声を視聴する視聴者は、操作ボタン32を使用して電源入切、再生、再生停止などのDVD再生装置27の操作を行う。これら操作を行った結果は、操作信号として操作ボタン32からシステム制御回路31に送られる。
【0110】
システム制御回路31は、各制御信号により、光ディスク駆動機構28及び映像音声復調回路30をそれぞれ制御することにより、DVD再生装置27全体を制御する。
【0111】
光ディスク駆動機構28は、光ピックアップ29で光ディスク(DVD)に記録された信号を読み出し、映像・音声のデータを含んだ再生信号を取り出す。映像音声復調回路30は、上記再生信号から映像信号と音声信号を取り出す。このとき、音声信号の出力タイミングは、遅延量設定回路33により設定される遅延量により制御される。
【0112】
映像音声復調回路30から出力される映像信号及び音声信号は、テレビ受像機1’(図5)の外部入力端子15に入力される。映像表示部7における映像処理回路8は、外部入力端子15から映像信号を受け取り、その映像信号に基づき液晶パネル9の各画素を駆動する駆動信号を生成する。液晶パネル9は、映像処理回路8が生成した駆動信号により各画素を駆動され、視聴者に対して映像を表示する。
【0113】
音声処理回路10は、外部入力端子15から音声信号を受け取り、その音声信号に基づきスピーカ11を駆動する駆動信号を生成する。スピーカ11は、音声処理回路10が生成した駆動信号により駆動され、音声を出力する。
【0114】
映像音声復調回路30の内部構成を示すブロック図を図13に示す。映像音声復調回路30は、再生信号を受け取り、映像信号及び音声信号を出力する。映像音声復調回路30は、分離回路301と、映像復調回路302と、映像遅延回路303と、音声復調回路304と、音声遅延回路305と、同期制御回路306と、を有している。
【0115】
分離回路301は、再生信号を映像データと音声データとに分離する。映像復調回路302は、映像データを復調して映像信号を出力すると共に、映像データから映像同期信号を取り出す。映像同期信号は同期制御回路306に入力される。音声復調回路304は、音声データを復調して音声信号を出力すると共に、音声データから音声同期信号を取り出す。音声同期信号は同期制御回路306に入力される。
【0116】
同期制御回路306は、映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出す。
【0117】
また、テレビ受像機1’(図5)に使用される映像表示部7において生じる映像表示の遅延量が遅延量設定回路33から同期制御回路306に導かれる。この遅延量は、例えば上述したような映像処理回路8での画像補間処理により生じるものである。
【0118】
同期制御回路306から映像遅延回路303に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0119】
一方、同期制御回路306から音声遅延回路305に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、遅延量設定回路33から入力された遅延量を加算した値である。
【0120】
これにより、音声復調回路304から音声遅延回路305を介して出力される音声信号は、映像復調回路302から映像遅延回路303を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路33から入力された遅延量だけ遅れて出力されることになる。しかし、遅延量設定回路33から入力された遅延量は、映像表示部7(図5)において生じる映像表示の遅延量そのものであり、映像表示部7(液晶パネル9)にて表示される映像と、音声処理回路10を介してスピーカ11から出力される音声のタイミングはほぼ同じタイミングとなる。
【0121】
従って、本実施形態においては、DVD再生装置27の接続先であるテレビ受像機1’(図5)において映像表示の遅延量の大きな映像表示部7を使用した場合でも、音声信号の出力を映像表示部7で生じる遅延量だけ遅らせることによって、映像表示と音声出力の同期をとり、映像音声を違和感なく視聴可能とする。
【0122】
ところで、本実施形態に係るDVD再生装置27に接続されるテレビ受像機1’(図5)は、1種類とは限らず、どのようなテレビ受像機が接続されるかは分からない。さらに、テレビ受像機1’の映像表示部7で生じる映像表示の遅延量はテレビ受像機個々によって異なる。そこで、遅延量設定回路33により設定する遅延量は、或る程度大きな値としておくことが考えられる。例えば、DVD再生装置27に接続されることが想定される各種のテレビ受像機1’のうち最も映像表示部7で生じる映像表示の遅延量が大きなテレビ受像機1’での映像表示の遅延量を、遅延量設定回路33により設定する遅延量とすればよい。
【0123】
これにより、映像表示部7での映像表示の遅延量が遅延量設定回路33により設定される遅延量よりも小さいテレビ受像機1’がDVD再生装置27に接続された場合は、スピーカ11からの音声出力が映像表示部7での映像表示に比して遅れる結果となるが、視聴者からすれば、単に「離れて映像を見ている」と錯覚するだけであり、違和感を感じることはない。
【0124】
(第9実施形態)
上記第8実施形態の変形例としての第9実施形態に係るDVD再生装置の一部構成を示すブロック図を図14に示す。本実施形態では、音声遅延回路305’に設定する音声遅延量を、操作ボタン32’及びシステム制御回路31’経由で視聴者が外部から設定可能としている。詳細については先に説明した第2実施形態と同様であるので、ここでは詳述を省く。本実施形態によれば、DVD再生装置に接続されたテレビ受像機1’(図5)において、映像表示部7での映像表示とスピーカ11からの音声出力がほぼ同タイミングとなる、もしくは音声出力が遅れるという結果となり、映像音声を違和感なく、且つ視聴者が所望する距離感で視聴可能とする。
【0125】
(第10実施形態)
上記第9実施形態の変形例としての第10実施形態に係るDVD再生装置の一部構成を示すブロック図を図15に示す。本実施形態に係るDVD再生装置では、人感センサー回路34と距離測定回路35を設け、音声遅延回路305’’に設定する遅延量を人感センサー回路34及び距離測定回路35の検出結果に基づいて可変設定する。詳細については先に説明した第3実施形態と同様であるので、ここでは詳述を省く。本実施形態によれば、DVD再生装置に接続されたテレビ受像機1’(図5)において、音声処理回路10を介したスピーカ11からの音声出力は、映像表示部7での映像表示に比して、DVD再生装置と視聴者の距離に応じた遅延量だけ遅れることとなる。これにより、視聴者がテレビ受像機を離れて見ているときは、音がより遅れて聴こえ、近くでテレビ受像機を見ているときは、音の遅れはそれほど大きくない、という結果となり、視聴者としては、離れて見ている、近くで観ている、という錯覚をより強く知覚することができる。
【0126】
なお、本実施形態において、遅延量の計算に表示画面の大きさを考慮することも可能である。DVD再生装置に接続されるテレビ受像機1’(図5)の表示画面の大きさを操作ボタン32’’により選択可能とし、表示画面の大小に応じて異なる遅延量を設定する。詳細については先に説明した第3実施形態と同様であるので、詳述は省く。「画面大」が選択された場合は、音はそれほど遅れて聴こえない結果となり、視聴者は近くで見ているという感覚を得やすくなる。一方、「画面小」が選択された場合は、音はより遅れて聴こえる結果となり、視聴者は遠くで見ているという感覚を得やすくなる。
【0127】
(第11実施形態)
ここでは、上述した外部機器16’(図10)の一例としての第11実施形態に係るDVD再生装置の一部構成を示すブロック図を図16に示す。本実施形態に係るDVD再生装置の構成は、基本的には上記第8実施形態に係るDVD再生装置(図12、図13)と同様の構成としているが、異なる点は遅延量読み出し回路36を設けていることである。
【0128】
遅延量読み出し回路36は、テレビ受像機1’’(図10)の映像表示部7から外部接続端子151を介して映像表示部7における映像表示の遅延量を読み出し、読み出した遅延量を遅延量設定回路33’’’を介して同期制御回路306’’’に設定する。
【0129】
同期制御回路306’’’から映像遅延回路303’’’に設定される映像遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した映像遅延量そのものである。
【0130】
一方、同期制御回路306’’’から音声遅延回路305’’’に設定される音声遅延量は、映像同期信号と音声同期信号に基づき、映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように導き出した音声遅延量に、遅延量設定回路33’’’から入力された遅延量を加算した値である。
【0131】
これにより、音声復調回路304’’’から音声遅延回路305’’’を介して出力される音声信号は、映像復調回路302’’’から映像遅延回路303’’’を介して出力される映像信号に比べて、遅延量設定回路33’’’から入力された遅延量だけ遅れて出力される。遅延量設定回路33’’’から入力された遅延量は、読み出した映像表示部7における映像表示の遅延量である。従って、テレビ受像機1’’(図10)において、音声処理回路10を介したスピーカ11からの音声出力は、映像表示部7での映像表示とほぼ同タイミングとなる。
【0132】
結果として、視聴者は、映像と音声の同期がとれた状態で視聴が可能となる。また、本実施形態に係るDVD再生装置に、映像表示部7での映像表示の遅延量が異なるどのようなテレビ受像機1’’を接続したとしても、常に映像と音声の同期がとれた状態での視聴が可能となる。
【0133】
なお、上記各実施形態では、動画再生装置としてDVD再生装置を一例に挙げたが、動画再生装置としてはブルーレイディスク再生装置であってもよいし、録画機能を備えた録画再生装置であっても構わない。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 テレビ受像機
2 アンテナ
3 RF受信回路
4 映像音声復調回路
5 システム制御回路
6 操作ボタン
7 映像表示部
8 映像処理回路
9 液晶パネル
10 音声処理回路
11 スピーカ
12 遅延量設定回路
13 人感センサー回路
14 距離測定回路
15 外部入力端子
16 外部機器
17 テレビ受信チューナ
18 アンテナ
19 RF受信回路
20 映像音声復調回路
21 システム制御回路
22 操作ボタン
23 遅延量設定回路
24 人感センサー回路
25 距離測定回路
26 遅延量読み出し回路
27 DVD再生装置
28 光ディスク駆動機構
29 光ピックアップ
30 映像音声復調回路
31 システム制御回路
32 操作ボタン
33 遅延量設定回路
34 人感センサー回路
35 距離測定回路
36 遅延量読み出し回路
151 外部接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを復調して映像信号を出力する映像復調回路と、
音声データを復調して音声信号を出力する音声復調回路と、
前記映像復調回路により出力された映像信号を遅延させて映像表示部に出力する映像遅延回路と、
前記音声復調回路により出力された音声信号を遅延させて音声出力部に出力する音声遅延回路と、
映像同期信号と音声同期信号に基づき映像信号と音声信号の出力タイミングが同じになるように、映像遅延量と音声遅延量をそれぞれ導き出す同期制御回路と、を備え、
前記映像遅延回路は、前記導き出された映像遅延量を前記同期制御回路から設定され、
前記音声遅延回路は、前記導き出された音声遅延量に、遅延量設定回路から入力された前記映像表示部において生じる映像表示の遅延量及び/または当該遅延量よりも大きな遅延量を加算した音声遅延量を前記同期制御回路から設定される、ことを特徴とする映像音声復調回路。
【請求項2】
前記遅延量設定回路から入力される遅延量は、操作部の操作により可変設定されることを特徴とする請求項1に記載の映像音声復調回路。
【請求項3】
人感センサー回路によって視聴者の存在を確認された場合に、距離測定回路により測定された前記視聴者までの距離と、音速とに基づいて前記遅延量設定回路から入力される遅延量が算出され、当該算出の際、前記距離が長くなるほど前記遅延量は大きく算出されることを特徴とする請求項1に記載の映像音声復調回路。
【請求項4】
前記距離測定回路により測定された前記視聴者までの距離と、音速とに基づいて前記遅延量設定回路から入力される遅延量が算出される際に、前記映像表示部に表示される画面が大きい場合、前記音速を実際の値より大きな値とし、前記映像表示部に表示される画面が小さい場合、前記音速を実際の値より小さな値とすることを特徴とする請求項3に記載の映像音声復調回路。
【請求項5】
前記映像表示部から読み出された前記映像表示部において生じる映像表示の遅延量に基づき前記遅延量設定回路から遅延量が入力されることを特徴とする請求項1に記載の映像音声復調回路。
【請求項6】
テレビ受像機搭載用の映像音声復調回路であって、前記映像データ及び前記音声データは、搬送信号から取り出され、前記映像表示部及び前記音声出力部は、前記テレビ受像機に設けられるものである、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の映像音声復調回路。
【請求項7】
請求項6に記載の映像音声復調回路と、受信した放送波から搬送信号を取り出す受信回路と、映像表示部と、音声出力部と、を備えたことを特徴とするテレビ受像機。
【請求項8】
テレビ受信チューナ搭載用の映像音声復調回路であって、前記映像データ及び前記音声データは、搬送信号から取り出され、前記映像表示部及び前記音声出力部は、前記テレビ受信チューナに外部接続されたテレビ受像機に設けられるものである、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の映像音声復調回路。
【請求項9】
請求項8に記載の映像音声復調回路と、受信した放送波から搬送信号を取り出す受信回路と、を備えたことを特徴とするテレビ受信チューナ。
【請求項10】
動画再生装置搭載用の映像音声復調回路であって、前記映像データ及び前記音声データは、再生信号から取り出され、前記映像表示部及び前記音声出力部は、前記動画再生装置に外部接続されたテレビ受像機に設けられるものである、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の映像音声復調回路。
【請求項11】
請求項10に記載の映像音声復調回路と、再生信号を記録媒体から取り出す再生部と、を備えたことを特徴とする動画再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−17106(P2013−17106A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149701(P2011−149701)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】