説明

暖房機の燃焼量調節方法

【課題】暖房機の室内温度制御に最適な燃焼量調節方法に関する。
【解決手段】室内温度検出手段9と温度設定手段10の信号に基づいてポンプ3と燃焼用送風機4とを制御してバーナ2の燃焼量の調節を行う燃焼制御手段には、バーナ2の燃焼量として複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5を備え、その燃焼量調節段階N1〜N5の燃焼量の変化を燃焼量変更ポイントPにおいて実施する。室内温度検出手段9の室内温度RTが温度設定手段10の設定温度STよりも高い燃焼量変更ポイントPでは、燃焼量調節段階N1〜N5を1段階低くし、室内温度RTが設定温度STよりも低い燃焼量変更ポイントPでは、燃焼量調節段階N1〜N5を1段階高く制御する。燃焼量変更ポイントPは、バーナ2の運転開始から最初に室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STに一致した時と、前回の燃焼量変更ポイントPから設定時間tが経過した時とに定められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は暖房機の室内温度制御に最適な暖房機の燃焼量調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
暖房機には熱源であるバーナとその燃焼制御手段を備え、また、室内温度検出手段と、期待する室内温度を設定する温度設定手段とを備え、燃焼制御手段は室内温度検出手段で検出した室内温度が、予め温度設定手段で設定した設定温度に維持されるようにバーナの燃焼量を調節するものがある。
そして、この燃焼量が無段階で連続的に制御できるバーナにあっては、室内温度との温度差を常時検出しており、この温度差が広がる時には徐々に燃焼量を低下させ、温度設定手段で設定した室内温度以下を検出した時には燃焼量を少し増加して燃焼を継続し、やがて、暖房機を使用する室内において、室内温度の維持に最適となる燃焼量によって燃焼を継続している。
【0003】
バーナの燃焼量の変更システムとして、自然給気式のブンゼンバーナであれば燃料流量の変更に空気量が自動的に追従できるから、無段階に連続的な燃焼量変更が可能である。しかし、この自然給気式では燃焼空気流路のフィルターに少し埃が付着しただけでも燃料流量と供給空気量とのバランスが壊れて不完全燃焼を起こす恐れがあるから、最近では強制的に燃焼用送風機で供給空気量を供給するものが多くなってきた。
この場合、無段階に連続的に燃焼量変更を可能にするためには、無数の燃料流量に対応する燃焼用送風機の回転数を定めなければならないから、非常に複雑な制御が要求され、最近では無段階でリニアに燃焼量を変更する方式に変えて、複数段階の燃量流量とこれに対応する燃焼用送風機の回転数を定めることによってバーナの燃焼量制御を行うものが多くなってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自然給気式のブンゼンバーナのように燃焼量がリニアに変更できる時には、室内温度を常時監視していて室内温度の変化を検出して燃焼量の変更を行っており、設定温度との差が大きくなった時には燃焼量の変化の割合を大きく設定し、設定温度との差が小さい時には燃焼量の変化の割合を小さく設定するといった燃焼量の変更を頻繁に行っている。そして、このときの燃焼量はリニアに変化できるから、暖房する室内の温度条件も燃焼量に比例して変化して、室内全体の温度がスムーズに変化するようになり、やがて、バーナの燃焼量は暖房する室内の温度が設定温度を維持する燃焼量に収斂して、室内温度が安定する。
【0005】
しかし、複数段階の燃量流量とこれに対応する送風空気量を備えた燃焼制御手段を備えたバーナでは、燃焼制御手段は設定温度と室内温度の変化を常時監視していて、一定の温度差を確認すると燃焼段階による燃焼量を上昇又は下降することになる。このときのバーナは燃焼量調節段階が少ないから、リニアに燃焼量を変化させる時のように温度変化が少し認められた段階で燃焼量の変更を行う時には燃焼量の変化が大きくなり過ぎるから、例えば室内温度が前回よりも0.5度や、1.0度変化したときに燃焼量の変更を行う制御を実施することになる。そして、この制御によると室内温度は設定温度の付近で常に上昇または下降を繰り返す変化を続けることになる。
特に、バーナの燃焼量の変化に連続性がなく、室内温度の上昇又は下降に対応させて燃焼量を段階的に変化させるものでは、変化した燃焼量によって室内温度が安定する前に次の燃焼量の変更指示が出ることが多く、このことも室内温度が安定しない理由になっている。
このため、従来では温度設定手段で設定した温度に正確に一致しなくとも、ある程度の幅を考慮して安定しているとみなし、特別にこの問題に着目することはなかった。
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0006】
この発明は、暖房する室内の温度がリニアに変化できる燃焼量変更機構を持つバーナのように、変化の少ない室内温度制御を可能とする燃焼量調節方法に係るもので、
枠体1内にバーナ2と、このバーナ2に燃料を供給するポンプ3と、このバーナ2に燃焼空気を送る燃焼用送風機4とを設け、
室内温度RTを検出する室内温度検出手段9と、室内温度RTを設定する温度設定手段10と、運転スイッチ11の信号に基づいて前記ポンプ3と燃焼用送風機4とを制御してバーナ2の運転の制御と燃焼量の調節を行う燃焼制御手段12とを備え、
該燃焼制御手段12は前記室内温度検出手段9と温度設定手段10からの信号を用いて燃焼中のバーナ2の燃焼量を可変する暖房機であって、
前記燃焼制御手段12には前記バーナ2の燃焼量として、大燃焼量・小燃焼量・その間の燃焼量による複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5を備え、
その燃焼量調節段階N1〜N5の燃焼量の変化は燃焼量変更ポイントPにおいて実施され、室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STよりも高い燃焼量変更ポイントPでは、複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5を1段階低くし、室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STよりも低い燃焼量変更ポイントPでは、複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5を1段階高く制御しており、
前記燃焼量変更ポイントPは、前記バーナ2の運転開始から最初に室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STに一致した時と、前回の燃焼量変更ポイントPから設定時間tが経過した時とに定められることを特徴とする。
【0007】
このように、バーナ2の燃焼量の調節に際して、新たに「燃焼量変更ポイントP」なる概念を取り入れて、燃焼量変更ポイントPでは原則として、複数段階からなる燃焼量調節段階N1〜N5は2段飛びなどの変更を認めることなく、1段階ごとの燃焼量の調節に留めている。
従来のように、設定温度STからの温度差dによる離開温度D1・D2・・によって燃焼量変更ポイントPが定まる時には、特に、狭い室内を暖房する時でバーナ2の燃焼量が大発熱量のときには、室内温度RTが設定温度STに至ってからも燃焼量の減少が追いつかずに、室内温度RTが上昇を続けることがあり、このような時には、バーナ2による発熱と室内からの熱の逸散とが、設定温度STよりもかなり高い温度でバランスして、設定温度STよりも高い室内温度RTを維持する時がある。(図3のラインA参照)
【0008】
このため、この燃焼量変更ポイントPの設定は、従来のように設定温度STと検出した室内温度RTとの差が、予め設定した温度差d毎に定まる離開温度D1・D2・・の時に決めるのではなく、バーナ2によって暖房する室内温度RTが、最初に温度設定手段10の設定温度STに一致した時と、前回の燃焼量変更ポイントPから設定時間tが経過した時とで定まるようにしてある。
そして、燃焼量変更ポイントPにおける燃焼量変更が、増加側に変更するか、減少側に変更するかの選択情報として、室内温度RTが設定温度STに対してプラスかマイナスかによって決定するようにしているから、燃焼量を変更する設定時間tは、暖房すべき部屋の大きさとバーナ2の最大発熱量との関係によって、実験によって最適値を選択すれば、例えば図3の温度チャートにおいて室内温度RTを示すラインBに示すように、設定温度STに対する室内温度RTの誤差を最小に留める温度制御ができるようになった。
【0009】
このことは、図3の温度チャートにおける室内温度RTを示すラインAが従来の温度差d毎に定まる離開温度D1・D2・・の時に燃焼量変更ポイントPを定めた時のものであるから、ラインAとラインBとを比較すれば明らかである。
また、バーナ2は燃焼量の変更が行なわれてから設定時間tの間は決定した燃焼量調節段階N1〜N5の一つを維持して燃焼を続けるから、室内温度RTの上昇・下降の状態が安定するまでは同じ燃焼状態が続いており、設定時間tが経過した次の燃焼量変更ポイントPでは安定した室内温度RTに基づいて、燃焼量調節段階N1〜N5を一つ変更した燃焼量に切り換わるから、室内温度RTの大きなばらつきは発生しにくくなった。
【0010】
この設定時間tを決定した時の室内の条件と大きく違った、例えば狭い部屋で暖房機が使用される時には室内温度RTの上昇が急になることがある。
この時の対応として、図4の温度チャートにおける室内温度RTを示すラインのように、前記燃焼制御手段12は、室内温度検出手段9で検出した室内温度RTと前記温度設定手段10の設定温度STとの離開状態を、予め設定した温度差dによる複数の離開温度D1・D2・・によって判断しており、前記燃焼量変更ポイントPは、前記設定時間tと前記離開温度D1・D2・・とによって定められることを特徴とする。
このため、例えば使用する部屋の大きさに対応する燃焼量よりも大きな燃焼量調節段階N5・N4によって室内の暖房をしている間は、設定時間tに到達する前に温度差dによる離開温度D1に到達し、この離開温度D1が燃焼量変更ポイントPになるから、設定時間tよりも早めに燃焼量の減少が実現できた。
やがて、複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5が、低い燃焼量の段階に至ってからは、使用する部屋の大きさにバーナ2の燃焼量が対応できるようになり、前回の燃焼量変更ポイントPから設定時間tが経過した時が次の燃焼量変更ポイントPになる。このため、室内温度RTが温度設定手段10で設定した設定温度STから大きくばらつくことなく安定した温度が維持できるようになった。
【0011】
あらかじめ期待する室内温度RTを決める温度設定手段10の働きは、設定温度STに室内温度RTを一致させるためのものであり、一般的な概念として設定温度STと室内温度RTとのプラス・マイナスの差が、或る一定の幅に維持できれば良しとする考え方があり、このように或る一定の幅に室内温度RTが維持できれば良しとするならば、最近の省エネルギーの考えから見て、この一定の幅の間の中でもなるべく低い温度が維持されたほうが良いことは明らかである。
この対応として、図5の温度チャートにおける室内温度RTを示すラインのように、前記燃焼制御手段12は、室内温度検出手段9で検出した室内温度RTと前記温度設定手段10の設定温度STとの離開状態を、予め設定した温度差dによる複数の離開温度D1・D2・・によって判断しており、前記温度設定手段10の設定温度STよりも低い室内温度RTの時における前記燃焼量変更ポイントPは、前記離開温度D1・D2・・の時にも設定され、前記設定時間tの時の燃焼量変更ポイントPにおける燃焼量変更を無視している。
【0012】
このため、室内温度RTが温度設定手段10の設定温度STよりも低い時における動作として、前回の燃焼量変更ポイントPから設定時間tが経過した時で、室内温度RTが設定温度ST付近に維持されている時の燃焼量変更ポイントPにおける燃焼量変更は無視され、予め設定した温度差dによる離開温度D1まで室内温度RTが低下したときに設定される燃焼量変更ポイントPになって、バーナ2の燃焼量調節段階N1〜N5は燃焼量が増加方向に変更されることになる。
このように、室内温度RTが温度設定手段10の設定温度STよりも低い間の燃焼量が変更できる実質的な燃焼量変更ポイントPは離開温度D1・D2・・になるから、バーナ2の燃焼量が増加方向に変更する機会は非常に少なく、室内温度RTは温度設定手段10の設定温度STよりもやや低い温度を長時間保持されやすく、省エネルギーの暖房が可能になった。
【0013】
暖房機を使用する部屋が非常に狭い時には、離開温度D1・D2・・によって定められる燃焼量変更ポイントPは、最初に室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STになって燃焼量の変更が行われてから、短時間で到達する場合がある。
しかし、燃焼量を変更したバーナ2の短時間の運転では、室内全体の各部の温度の中に高温部や低温部が残ってバラついている場合があり、正確な室内温度RTの検出が期待できないから、この対応として、図6の温度チャートにおける室内温度RTを示すラインのように、前記燃焼制御手段12は、直近の燃焼量変更を行った燃焼量変更ポイントPからの時間として燃焼継続時間tkを定めており、前記燃焼制御手段12は、前記離開温度D1・D2・・によって設定する前記燃焼量変更ポイントPが前記燃焼継続時間tk内に該当する時において、前記離開温度D1・D2・・で定める前記燃焼量変更ポイントPを前記燃焼継続時間tkに変更する。
【0014】
このため、室内温度RTと設定温度STとの差が離開温度D1・D2・・に到達した時点で、まだ燃焼継続時間tkになっていない時には、離開温度D1・D2・・の代りにその後の燃焼継続時間tkになったときを燃焼量変更ポイントPとしている。
そして、この離開温度D1・D2・・の代りに燃焼継続時間tkが選択されて、燃焼継続時間tkになって、室内のバラついていた高温部と低温部が均一化してからも、室内温度RTと設定温度STとの差が離開温度D1・D2・・以上になっておれば、燃焼量調節段階N1〜N5をこの燃焼継続時間tkの時点で1段階低く設定することになる。
また、この離開温度D1・D2・・の代りに燃焼継続時間tkが選択されている時で、燃焼継続時間tkになる前に、室内のバラついていた高温部と低温部が均一化して、室内温度RTと設定温度STとの差が離開温度D1・D2・・に到達しなくなれば、燃焼量変更ポイントPとなるべき離開温度D1・D2・・が消滅することになるから、この時は燃焼継続時間tkになっても燃焼量変更ポイントPは発生せず、その後に発生する前回の燃焼量変更ポイントPから経過した前記設定時間tが次の燃焼量変更ポイントPとなる。
従って、室内温度RTの安定が期待できない燃焼継続時間tkの間は、室内温度RTに基づいた燃焼量変更ポイントPが設定されないから、正確な室内温度RTの制御が期待できるようになった。
【0015】
暖房機は主として使用される室内の大きさに見合った最大燃焼量と最小燃焼量を定めており、最大燃焼量によって急速に部屋の暖房を行って室内温度RTを高め、その後は最小燃焼量に移行して設定温度ST付近で室内温度RTを維持することになる。そして、室内温度RTが安定状態になってからも設定時間tごとに燃焼量調節段階N1〜N5を1段階ごとに上下を繰り返すことは、室内温度RTの変動要因になり易い。
このため、前記設定時間tの決定に際しては、常に一定の時間にセットされるものの他に、前記燃焼量変更ポイントPを定める前記設定時間tは可変時間となっており、その設定時間tは、複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5に対応して定められた時間になっている。
例えば、室内の急速暖房を期待する燃焼量の大きな燃焼量調節段階N4・N5については設定時間tを短く設定し、室内温度RTが安定した時の燃焼状態である燃焼量調節段階N2・N1については設定時間tを長く設定している。このように設定時間tを可変することによって、バーナ2の燃焼量が抑えられた時には燃焼量変更が頻繁に起こらなくなり、室内温度RTの変動をより少なくでき、安定した室内温度RTが維持できるようになった。
【0016】
また、室内温度を安定させるための設定時間tを変化させる方法として、前記燃焼量変更ポイントPを定める前記設定時間tは可変時間となっており、その設定時間tは、室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STに一致した時の最初の設定時間tを短い時間に設定し、前回の燃焼量変更ポイントPからの経過時間である燃焼継続時における設定時間tを、長い時間に設定する。
即ち、部屋の暖房を開始したときはバーナ2の発熱量を高く設定して、素早く温度設定手段10の設定温度STに室内温度RTを近づける必要があり、室内温度RTが設定温度STに一致して燃焼量調節段階N1〜N5を一段階下げても、この時の燃焼量調節段階N1〜N5は室内温度RTが安定した時のバーナ2の燃焼量よりも高い燃焼量調節段階N1〜N5の中の一つが選択されている可能性が高い。
このため、暖房する部屋の室内温度RTが安定した時の燃焼量変更ポイントPを定める設定時間tよりも、室内温度RTが前記温度設定手段10の設定温度STに一致した時から定まる最初の設定時間tを短く設定して、最初は素早く燃焼量調節段階N1〜N5の変更を行うことによって、室内温度RTが設定温度STから離れにくくなり、暖房する部屋の室内温度RTを短い時間で設定温度STに収斂させ、設定温度STが維持できるようになった。
【0017】
暖房する室内の大きさが、使用する暖房機の能力と違った状態で使用される時があり、この時は前記燃焼量調節段階N1〜N5の最大燃焼量が選択されても室内温度RTが設定温度STに到達しない、又は到達した後に室内の仕切り扉が開け放たれて暖房する空間が広くなり、その後最大燃焼量が選択されても室内温度RTが上昇してこない時がある。また、暖房する部屋が狭い時には前記燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量が選択されても室内温度RTが上昇を続けることがある。
この時、前記燃焼量変更ポイントPは設定時間tごとに発生するから、暖房する室内の大きさと使用する暖房機の能力とが違った時の対応方法として、前記燃焼量変更ポイントPにおける、前記燃焼量調節段階N1〜N5の最大燃焼量からの燃焼量増加要求に対する燃焼量変更は無視すると共に、前記燃焼制御手段12は、前記温度設定手段10の設定温度STよりも高い温度の最高室内温度RThを定めており、前記燃焼量変更ポイントPにおける、前記燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量からの燃焼量減少要求に対して、前記最高室内温度RThよりも室内温度RTが低いときの燃焼量変更は無視し、前記最高室内温度RThよりも室内温度RTが高い時の燃焼量変更ポイントPでは、バーナ2の運転を停止もしくは前記燃焼量調節段階N1〜N5から外れた微小燃焼量運転に設定することを特徴としている。
【0018】
このため、暖房中の室内の仕切り扉が開け放たれて暖房機の暖房能力が不足するようになれば、最初に室内温度RTが設定温度STに到達しない時と同様に燃焼量調節段階N1〜N5の最大燃焼量による燃焼が維持できるようになった。
また、狭い部屋で大きな暖房能力のある暖房機を使用した時には、燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量が選択されても室内温度RTが上昇を続けることになるが、あらかじめ最高室内温度RThを設定しておくことで、この最高室内温度RThまでは燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量による燃焼を継続できるようにし、この最高室内温度RThに到達してからはバーナ2の運転を停止することで室内温度RTが異常に上昇することを防ぐことができる。
また、バーナ2が液体燃料を利用する時によく発生する現象であるが、バーナ2の特性として低温度の燃焼空気がバーナ2に供給される時には燃料の供給量を小さくし過ぎると燃焼が安定せず不完全燃焼を起こし、この燃焼量をいつでも利用できる燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量として設定できない場合がある。しかし、高温度の燃焼空気がバーナ2に供給されるときには、燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量以下の微小燃焼量でも安定燃焼が可能になるときがあり、このようなバーナ2を選択した時には前記最高室内温度RThを微小燃焼が保証できる温度以上に設定しておくことで、燃焼量調節段階N1〜N5の最小燃焼量による燃焼を継続すると共に、暖房中の室内温度RTがこの最高室内温度RThに到達してからは、バーナ2の運転を停止する代りに、前記燃焼量調節段階N1〜N5から外れた微小燃焼量による運転を行うことで、室内温度RTが異常に上昇することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施例を示す図によってこの構成を説明すると、1は温風暖房機の枠体、2は枠体1内に配置したバーナ、18は燃焼用空気が送られる風胴、19は風胴18内に設置された有底筒形のポット、19aは風胴18から燃焼用空気が供給できるようにポット19の側壁に設けた多数の小径空気孔であり、前記バーナ2の本体は風胴18とポット19によって構成される。4はポット19に燃焼用空気を供給するための燃焼用送風機であり、燃焼用送風機4によって圧送された燃焼用空気は風胴18に送られ、小径空気孔19aの位置と大きさにより適切に制御されてポット19内に供給される。
【0020】
20はポット19に供給する燃料が送られる油受皿、3は油受皿20の上面に取付けた電磁ポンプで構成するポンプ、21はポット19とポンプ3との間に設けた燃料パイプ、22は燃料パイプ21のポット19内に伸ばした先端で構成する送油ノズルであり、前記風胴18とポット19の側壁とを貫通するようにポット19内部に伸ばした送油ノズル22から燃料がポット19の底面に供給される。
【0021】
23はポット19の側壁からポット19の底面と間隔を介して取付けた予熱兼用の点火ヒータ、24はポット19内に設置された助燃部材、8はポット3上方に配置された燃焼室であり、ポット19内に供給された燃料は、点火ヒータ23や燃焼熱で高温となっているポット19の底面で気化し、初期燃焼を開始しながら小径空気孔19aから供給される燃焼用空気の流れと助燃部材24の働きで混合し、燃焼室8内で完全燃焼するものである。
【0022】
5は枠体1を前後に貫通して燃焼室8を取り囲むように配置された送風経路、6は送風経路5の後方に設置された対流用送風機、7は送風経路5の前方に設置された吹出口であり、前記燃焼室8は送風経路5内に開口し、その燃焼室8で完全燃焼した燃焼ガスは送風経路5に送られ、前記対流用送風機6によって取り込まれた室内空気と燃焼ガスとが送風経路5内で混合され、吹出口7より温風として吹出されるものである。
【0023】
また、25は枠体1の表面に設置された操作盤、11は操作盤25に設けられた運転スイッチ、図2に示すブロック図における12は枠体1内に設置されたコンピュータシステムで構成してCPU・ROM・RAM・I/O装置などで動作している燃焼制御手段であり、前記運転スイッチ11の入/切信号は燃焼制御手段12に送られ、該燃焼制御手段12は運転スイッチ11の信号に基づいてポンプ3、燃焼用送風機4、点火ヒータ23、対流用送風機6の入/切などを指示し、温風暖房機の運転を制御している。
【0024】
また、9は枠体1の後方に設置された温度センサで構成する室内温度検出手段、10は操作盤25上に設けたボタンで操作されて使用者が所望する温度を記憶する温度設定手段であり、温度設定手段10で設定されて記憶されている温度データと、室内温度検出手段9よりもたらされる現在の室内の温度データを前記燃焼制御手段12にて比較し、設定温度STの方が室内温度RTよりも高い場合には、ポンプ3の流量及び燃焼用送風機4の回転数を増加することによってバーナ2の燃焼量を増加させ、室内温度RTの方が設定温度STよりも高い場合には、ポンプ3の流量及び燃焼用送風機4の回転数を減少することによってバーナ2の燃焼量を減少させており、室内温度RTの数値を設定温度STの数値に近づけるように制御を行うものである。
【0025】
この発明は室内温度検出手段9によって検出した室内温度RTを温度設定手段10によってセットされた設定温度STにできるだけ近い温度で安定させることができる温度制御方法を提案するものである。
選択するバーナ2の燃焼量を変更させる仕組みは、燃焼量が最小燃焼状態から最大燃焼状態まで無段階に変化するものではなく、最小燃焼状態と最大燃焼状態とその間のいくつかの燃焼状態からなる複数個の燃料流量を定め、この燃料流量に対応する燃焼用送風機4の回転数を設定することによって、複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5が決められており、室内温度RTと設定温度STとの差が接近して安定した室内温度RTが維持できるように、ある燃焼量調節段階Nxから異なる燃焼量調節段階Nxに段階的にバーナ2の燃焼量を変化させている。
この発明は燃焼量を段階的に変化させる時を燃焼量変更ポイントPとして認識し、この燃焼量変更ポイントPの設定の仕方に特徴があり、この燃焼量変更ポイントPでは燃焼量調節段階N1〜N5が隣接する段階に1段階ずつ、燃焼量を上昇もしくは下降する変更ができるようになっている。
【0026】
暖房中のバーナ2の燃焼量を変更する目的は、室内温度検出手段9が検出した室内温度RTを、温度設定手段10で設定した設定温度STに一致させることにあるから、従来では複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5による燃焼量調節を行うバーナ2においても、前回燃焼量を変更した時の温度と室内温度RTとの差を監視し、一定の温度差dに広がったときに燃焼量を変更させる、即ち、一定の温度差dに広がったときを燃焼量変更ポイントPとするものである。
そして、設定温度STに対して室内温度RTが高い時にはバーナ2の燃焼量を下降させ、設定温度STに対して室内温度RTが低い時にはバーナ2の燃焼量を上昇させる制御を行い、この温度差dによって定まる燃焼量変更ポイントPで燃焼量の変更を繰り返すことによって、室内温度RTを設定温度STに接近させることができる。
【0027】
しかし、この従来の温度制御方法では、ある燃焼量調節段階N1〜N5のなかの特定の段階の燃焼量で発生する熱量と、暖房する室内から逸散する熱量とが殆ど同じになると、室内温度RTが一定の温度差dによる燃焼量変更ポイントPとなるべき複数の離開温度D1・D2・・の一つと一致する状態になりにくく、室内温度RTが設定温度STからかなり外れた状態で安定してしまうことが確認できた。(図3のラインA参照)
このような状態が継続していても、やがて室内温度RTが前記離開温度D1・D2・・の一つと一致して燃焼量の変更が行われ、室内温度RTが設定温度STに収斂して期待した室内温度RTの状態に移行できる。しかし、この移行過程での室内温度RTの安定が設定温度STよりも高いときに発生した時には、室内は必要以上の暖房が長時間に亘って継続するから暖房エネルギーは大きなロスが発生しており、特に省エネルギーの要求が強くなった今日の趨勢に合致しなくなっている。
【0028】
即ち、室内温度RTの変化の状態を示す図3の温度チャートに示すように、最初は室内温度検出手段9で検出した室内温度RTが温度設定手段10で定めた設定温度STと一致した時にバーナ2の燃焼量変更が行われる。
そして、その後の燃焼量の変更は、従来の仕組みでは、この燃焼量を変更した時の温度である設定温度STから、予め設定した温度差d毎に離れた複数の離開温度D1・D2・・に室内温度RTが該当した時に、バーナ2は燃焼量調節段階N1〜N5を低下させる燃焼量の変更を行っており、このときの状態はラインAによって表される。
これに対して、本願発明の制御システムでは、従来の設定温度STと室内温度RTとの違いに着目してバーナ2の燃焼量を変更するのではなく、バーナ2の燃焼時間に着目して、前回の燃焼量を変更した時から設定時間tが経過すれば、室内温度RTと設定温度STとの差に係わらず、強制的に燃焼量を1段階変更するものであり、このときの状態は図3の温度チャートのラインBによって表される。
この図から明らかなように設定温度STから温度差dだけ離れた従来の離開温度D1に至らない間に何回もの燃焼量変更ポイントPを設定することができ、室内温度RTは設定温度STから大きく外れることはなく、室内温度RTが設定温度ST付近に安定するようになった。
【0029】
今までの室内温度RTと設定温度STとの関係は、室内温度検出手段9が暖房機の枠体1の外周のどこかに取り付けられており、この部分の温度が室内温度RTであると認識しているから、室内の各所の温度を測定してその平均をとった時の実際の室内温度RTと一致することは稀で、結局、検出した室内温度RTと設定温度STとの関係は、ある程度の誤差を持っているものとの認識があった。
このため、室内温度検出手段9で測定した室内温度RTが設定温度STよりも2〜3℃程度離れていても、その部屋にいる人にとって許容の範囲と考えられており、従来のリニアに燃焼量の変更ができるバーナ2による温度制御の方式を、複数段階の燃焼量調節段階N1〜N5によって燃焼量を変更するバーナ2にそのまま踏襲しても、使用者には違和感がなく、この温度制御の方式が当たり前と感じて実施され続けてきた。
このように、使用者が実際の使用に際して、設定温度STと本当の室内温度RTとの差が2〜3℃程度離れていても感じないのであれば、設定温度STよりも実際の室内温度RTが常に2〜3℃程度低くとも、使用者はその温度に満足しながら、実際のバーナ2の燃料消費量が少なく、省エネルギーの暖房が実現できる可能性がある。
上記の本願発明の制御方法では、燃焼量変更ポイントPが温度差dではなく設定時間tによって定められたから、少なくとも、室内温度RTが設定温度STから高くなる方向への変動を大幅に抑えることができるようになり、バーナ2の燃料消費量を削減することができた。
【0030】
上記の本願発明の実施例に関連して、図3の温度チャートにおいて、前記設定時間tは固定した時間ではなく、可変時間を選択することも有効である。
即ち、前記バーナ2の運転開始から最初に室内温度RTが設定温度STに一致してから、次の燃焼量ポイントPに至る最初の設定時間tを最短の設定時間として、その後の設定時間tが長くなるように変更することは、室内温度RTの安定化のために有効な手段である。
【0031】
この設定時間tの定め方について、室内温度RTが設定温度STに最初に一致するまでの燃焼量調節段階N1〜N5は発熱量の大きな燃焼量調節段階N4・N5が選択され、急速な室内温度RTの上昇が行なわれるので、第1の実施例は、室内温度RTが設定温度STに最初に一致してから次の燃焼量変更ポイントPまでの設定時間を、燃焼が継続している時の設定時間tよりも短くなるように設定している。このため、室内温度RTが安定したと思われる時の設定時間tが長くなるので、室内温度RTが安定しやすい効果を得ることができた。
【0032】
また、この設定時間tの定め方について、室内温度RTが設定温度STに最初に一致するまでの燃焼量調節段階N1〜N5は発熱量の大きな燃焼量調節段階N4・N5などが選択され、室内温度RTが安定化してからは燃焼量調節段階N3・N2・N1が選択される可能性が高い。
このため、第2の実施例として、燃焼量調節段階N3・N2・N1が選択されている時の設定時間tを燃焼量調節段階N4・N5が選択されたときよりも長くすることは有効な方法であり、室内温度RTが設定温度STに近い時に選択される燃焼量調節段階N3・N2・N1において燃焼量変更ポイントPの発生が少なくなり、頻繁にバーナ2の燃焼量が変更しないから、室内温度RTが安定しやすくなる。
【0033】
暖房機における暖房出力はバーナ2の最大発熱量によって決まっており、使用するバーナ2の発熱量から暖房する室内の大きさが設定されるものである。そして、普及した暖房機の種別から圧倒的に可搬式の暖房機が多いことも事実であり、設計時に予定した広さ以外の室内で暖房機が頻繁に使用されており、このことから、暖房機の室温制御には暖房機の暖房出力と室内の広さがマッチしていない所で使用された時の対策も必要となる場合が多い。
【0034】
前記設定時間tの長さを燃焼量調節段階N1〜N5に対応させて決める時において、暖房機の暖房能力にあった部屋で使用されることを前提として設計時に定められているが、上記のように暖房機が予定した広さの部屋で使われない時もあり、特に狭い部屋で使われる時などでは、燃焼量調節段階N1〜N5のなかで燃焼量の小さい燃焼量調節段階Nxが選択されても室内温度RTが上昇を続けることも考えられる。
このような状態は好ましい状態ではないので、速やかに燃焼量調節段階N1〜N5のなかで更なる燃焼量の少ない燃焼量調節段階Nxを選択したいが、燃焼量の少ない燃焼量調節段階N1〜N2に対応する設定時間tを長くした時には、バーナ2の燃焼量が低くなりにくくなっている。
このため、室内温度RTが設定温度STから外れた特定温度差を定め、この特定温度差よりも大きな差が発生した時には、燃焼量調節段階N1〜N5に対応する設定時間tが選択されず、短い一定の時間、例えば運転開始時の燃焼量変更ポイントPからの設定時間tが選択できるようにすることは、暖房機の使用環境を変化させても室内温度RTが設定温度ST付近に安定し易くなる。
そして、通常の使用のように特定温度差に至らない時において、燃焼量調節段階N1〜N5に対応する設定時間tを選択し、燃焼量調節段階N3・N2・N1が選択されている時の設定時間tを燃焼量調節段階N4・N5が選択されたときよりも長くしてもよい。
【0035】
図4に示す温度チャートは、暖房機が予定した室内よりも狭い室内で使用された時に対応した実施例に係るものであり、最初に室内温度RTが設定温度STに一致した時から設定時間tだけ経過した時には、室内温度RTと設定温度STとの温度の差が大きくなっていることがある。
このため、この実施例における燃焼量変更ポイントPは、前記設定時間tの他に、室内温度検出手段9で検出した室内温度RTと温度設定手段10の設定温度STとの離開状態が、予め設定した温度差dによる複数の離開温度D1・D2・・に合致した時にも燃焼量変更ポイントPとしている。
図4に示すように、本来の燃焼量変更ポイントPは室内温度RTが設定温度STに至った時から設定時間tだけ経過した時であるが、実際の室内は温度の上昇が早く設定時間tに至る前に予め設定した温度差dを越えてしまう場合がある。このときは設定時間tに至る前の温度差dの離開温度D1になった時を最初の燃焼量変更ポイントPとして、燃焼量を燃焼量調節段階N4から燃焼量調節段階N3に変更している。
その後、室温の上昇が緩やかになって、次の離開温度D2に至る前に前回の燃焼量調節ポイントPから設定時間tが経過した時には、この設定時間tによって次の燃焼量変更ポイントPが定まり、燃焼量を燃焼量調節段階N3から燃焼量調節段階N2に変更する。
従って、室内温度RTが設定温度STよりも大きく高くなりそうな時には、燃焼量変更ポイントPが早めに設定できるようになり、室内温度RTが設定温度STよりも大きく外れることのない温度制御が前記燃焼制御手段12によって行なわれるようになった。
【0036】
この室内温度RTと設定温度STとを比較して、予め設定した温度差dごとに定める離開温度D1・D2・・によって前記燃焼量変更ポイントPを定める方法は、暖房の開始のときに実行され、燃焼が継続してからはこの方法による燃焼量変更ポイントPの設定をやめても良い。
例えば、狭い部屋で暖房機が使用されたときでは、最初に室内温度RTが設定温度STになったときから設定時間tになる前に離開温度D1・D2・・によって前記燃焼量変更ポイントPが定まるが、その後、離開温度D1・D2・・に代って設定時間tによって前記燃焼量変更ポイントPが定まってからは、暖房機の運転の開始から連続して行ってきた室内温度検出手段9の検知動作を中止して、離開温度D1・D2・・によって前記燃焼量変更ポイントPを定める方法を停止することができる。
従って、常に二つの設定方法で燃焼量変更ポイントPを定める必要がなくなり、暖房中の温度制御はタイマーを使った設定時間tによる制御だけとなり、この設定時間tの時だけ室内温度検出手段9を作動すればよいので、制御が簡単になると共に省エネルギーの制御が実現できる。
【0037】
使用者が従来の温度制御と同等な温度制御であると認識する範囲内において、バーナ2の燃焼量を抑えた状態で暖房を継続できれば、省エネルギーの暖房が期待できる。このため、室内温度RTが設定温度STよりも高いときには、設定温度STから離れないように温度制御することは重要である。一方、室内温度RTが設定温度STよりも低いときには、設定温度STよりも低い状態のまま長時間経過することは、省エネルギーの暖房のためには有効である。
【0038】
バーナ2の燃焼が継続している時に、前回の燃焼量変更ポイントPからの経過時間が設定時間tとなれば燃焼量変更ポイントPが設定され、この動作と一緒に予め設定した温度差dによる複数の離開温度D1・D2・・に合致した時にも燃焼量変更ポイントPが設定される温度制御が行なわれる場合、室内温度RTが温度設定手段10の設定温度STよりも低くなった時に前記設定時間tになれば、その時の燃焼量変更ポイントPでは燃焼量調節段階N1〜N5は燃焼量を増加させることになり、室内温度RTは上昇して設定温度STよりも高くなる。
しかし、この図5の実施例では、室内温度RTが設定温度ST以下の時において、設定時間tによって設定される燃焼量変更ポイントPでは、燃焼量変更が無視され、そのままの燃焼量調節段階N2を継続して室内温度RTは下がり続けている。やがて、室内温度RTが設定温度STから低温側への離開温度D1・D2・・になった時が新たな燃焼量変更ポイントPになって、バーナ2は発熱量を燃焼量調節段階N2から燃焼量調節段階N3に増加させている。
このため、設定温度STからの温度差dによる離開温度D1・D2・・付近を室内温度RTは長時間に渡って維持するから、バーナ2の発熱量は抑制することができ、室内温度RTは許容される低温度が維持されるから、省エネルギーの効果がより高まるものである。
【0039】
この制御では、室内温度RTが設定温度STよりも低くなると、設定時間tを定める内蔵タイマーは作動状態になっても、このタイミングで温度制御の動作は行なわれず、室内温度検出手段9が作動して室内温度RTと設定温度STとの比較を行って、離開温度D1・D2・・のときを燃焼量変更ポイントPとして燃焼量が変更されるものである。このため、実質的な温度制御は離開温度D1・D2・・による制御のみになるから、暖房機の運転に使われる燃焼制御手段12おいて、温度制御にかかる制御を少なくすることができた。
なお、使用される部屋が暖房機の暖房能力と一致せずに、室内温度RTが下がり続けるときには、使用者が室温の下がり過ぎに気がつくことが多くなるので、例えば、設定温度STから或る温度低下した最低温度を定め、室内温度RTとの温度差がこの最低温度よりも広がった時には、前記設定時間tによる燃焼量変更ポイントPによる燃焼量の変更を有効にすれば実際の使用勝手が良くなる。
【0040】
室内温度RTの実際の状態は、暖房機の枠体1の正面の吹出口7から吹出す温風によって空気が攪拌され、バーナ2の燃焼量調節段階N1〜N5の燃焼量を1段階ずつ変更している暖房機にとって、この燃焼量の変更が直ちに室内温度RTの上昇または下降に反映されず、暫くこの変更後の燃焼量で燃焼を継続することによって、室内空気の攪拌が進行して平均の室内温度RTが上昇または下降して安定することになる。
図6に示す実施例では、実際に燃焼量を変更した燃焼量変更ポイントPからの経過時間として、燃焼継続時間tkを定めている。
この燃焼継続時間tkは、燃焼量を変更したバーナ2によって暖房される室内において、室内温度検出手段9で検出した温度が、室温制御のための温度として適用可能になるための時間に設定しており、この燃焼継続時間tkは、バーナ2の変更した発熱量によって室温が完全に安定となるまで待つのが本来の考えであるが、室温制御において、前記するように使用者が体感として容認できる、または気付かない範囲の室温のばらつきはかなり広いことが知られており、実際に使用した感覚で、例えば燃焼量調節段階N1〜N5における変更する実質的な発熱量の差に関係するが、燃焼継続時間tkを2分とか3分に設定しても実際に使用する室内温度制御として特に問題がない場合もあり、好ましい実施例として2分以上に定めている。
【0041】
暖房機が予定する広さの室内と比べて、特に狭い室内で暖房機を使用したときには、室内温度RTの上昇が急に行なわれ、前回の実際に燃焼量を変更した燃焼量変更ポイントPから短時間で、前記離開温度D1・D2・・によって設定する燃焼量変更ポイントPに到達する時があるが、このときには前記燃焼継続時間tkを考慮して、図6の実施例に示すように、離開温度D1で設定しようとする燃焼量変更ポイントPが、この燃焼継続時間tk内に存在する時には、この離開温度D1・D2・・で定めるはずの燃焼量変更ポイントPを燃焼継続時間tkにおいて定めるように変更している。
このとき、遅らせた結果室内空気の攪拌が進んで、燃焼継続時間tkにおいて室内温度検出手段9で検出した室内温度RTが、燃焼量変更ポイントPを設定する離開温度D1・D2・・以下になってしまっている時には、燃焼継続時間tkが燃焼量変更ポイントPになることはなく、次に室内温度RTが離開温度D1・D2・・に該当した時、もしくは設定時間tになった時が、燃焼量変更ポイントPとなる。
このように、離開温度D1・D2・・によって燃焼量変更ポイントPを設定する時には、異常に早く燃焼量の変更要求が求められる時があるが、このときは、燃焼継続時間tkまで燃焼量の変更を遅らせることによって、期待した室内温度制御が可能になる。
なお、この燃焼継続時間tkの考え方は、前記設定時間tを設定する時にも反映されるべきであり、当然、最短の設定時間tはこの燃焼継続時間tkに一致するか、それよりも長い時間に設定されている。
【0042】
暖房機の多くは可搬式の暖房機であるために、使用される部屋はその暖房機の暖房能力に合わないところで使用される場合もあり、室内温度RTを設定温度STに近づけた状態で使用するための温度制御は、予定外の広さの部屋で使用されることを念頭において、検討したほうが良い。
例えば、暖房機が予定する部屋より大きな部屋や、仕切戸を暖房中に開け放して2部屋を同時に暖房するようになった時には、前記燃焼量変更ポイントPになる度に燃焼量の増加要求が出てくる。そして、このときには最大燃焼量の燃焼量調節段階N5が選択されているにもかかわらず、更なる燃焼量の増加要求になることがある。
この発明の実施例では燃焼量変更ポイントPにおいて、最大燃焼量である燃焼量調節段階N5を選択しているにも係わらず、燃焼量増加要求があった時にはこの燃焼量の変更要求を無視して、燃焼量調節段階N5の燃焼量を継続して選択している。
【0043】
一方、暖房機が予定する部屋より小さな部屋で使用された時には、室内温度RTが設定温度STよりも高くなって、前記燃焼量変更ポイントPになる度に燃焼量の減少要求があり、このときは最小燃焼量の燃焼量調節段階N1が選択されても更に燃焼量の減少要求になることがある。そして、この場合には、室内温度RTが上昇を続ける懸念があり、何らかの対応が必要である。
図7の実施例では、バーナ2が最小燃焼量の燃焼量調節段階N1で燃焼中に燃焼量変更ポイントPが設定された時を示しており、当然室内温度RTは設定温度STよりも高いから、燃焼量の減少要求となる。この実施例では、既に最小燃焼量の燃焼量調節段階N1が選択されているから、これ以上の燃焼量減少要求に対応できず、この燃焼量の変更要求を無視して、燃焼量調節段階N1の燃焼量を継続して選択している。
この燃焼量変更ポイントPから設定時間tが経過して次の燃焼量変更ポイントPになったときも同様に燃焼量の変更要求を無視することになる。
このように最小燃焼量の燃焼量調節段階N1による燃焼でも室内温度RTが上昇を続けるから、新たに前記燃焼制御手段12は、設定温度STよりも高い温度の最高室内温度RThを定めており、室内温度RTがこの最高室内温度RThよりも高くなってしまったときには、バーナ2の運転を強制的に停止させている。
この強制的にバーナ2の運転が停止してしまった時には警報器を作動することも有効な手段であり、使用者に異常な状態での使用を知らせることができる。また、警報を発生してからバーナ2は特別な操作をしない限り再使用ができないようにすることができる。また、室内温度RTが設定温度STよりも低くなってから自動的に再度暖房運転を開始できるようにしても良い。
【0044】
最高室内温度RThを複数の離開温度D1・D2・・の延長上の例えば離開温度Dnと一致させておき、離開温度D1・D2・・によって燃焼量変更ポイントPが定まる時には、最高室内温度RThの時にバーナ2の運転が停止することになる。
また、燃焼量変更ポイントPが設定時間tのみによって定まる温度制御の時には、燃焼量変更ポイントPにおいて室内温度検出手段9が作動して、室内温度RTが最高室内温度RThよりも高い時にバーナ2の運転が停止することになる。
したがって、暖房される室内は最高室内温度RTh以上に上昇することはなくなり、バーナ2が燃焼を続けて、火災などの異常事態の発生を回避できる。また、暖房機の運転が停止するから、バーナ2はいたずらに燃料の消費を続けることがなく、省エネルギーの制御が可能となる。
【0045】
上記のようにバーナ2の運転を停止した後の制御動作として、室内温度RTが設定温度STよりも低くなってから自動的に再度暖房運転を開始できるようにして、暖房運転を継続する制御方法では、バーナ2の運転の停止や運転の開始時に不完全燃焼を起こすことがあり、この場合、暖房する室内に異臭を放散して使い勝手の点で優れているが、暖房機として好ましくはない。
一般に、バーナ2が液体燃料を利用する時によく発生する現象であるが、バーナ2の特性として低温度の燃焼空気がバーナ2に供給される時には燃料の供給量を小さくし過ぎると燃焼が安定せず不完全燃焼を起こして、暖房する室内に悪臭や不完全燃焼ガスを放出して暖房機として使用できなくなることがある。
このため、このような現象が発生しないように、バーナ2の燃焼量として、低温空気でも完全燃焼できる比較的大きな燃焼量を最低燃焼量に定める時がある。このようなバーナ2では、上記のように室内温度RTが高温の最高室内温度RTh付近の時にはバーナ2の供給する燃焼空気の温度も高く、最小燃焼量の燃焼量調節段階N1以下の微小燃焼量でも安定した燃焼が継続できるものとなる。
この種のバーナ2が使用されている時には、燃焼量変更ポイントPにおいて暖房中の室内温度RTがこの最高室内温度RThに到達したときには、バーナ2の運転停止に代えて、前記燃焼量調節段階N1〜N5から外れた微小燃焼量による運転を行うことが可能になる。そして、この微小燃焼量でバーナ2が燃焼続けるときにおいて、室内温度RTが低下して、設定温度ST以下になれば、再びバーナ2は燃焼量調節段階N1の燃焼量に復帰することになるが、バーナ2は消火と点火を繰り返さないから、暖房する室内に悪臭を放散することはない。
なお、この微小燃焼量でバーナ2が燃焼続けるときにおいて、次回の燃焼量変更ポイントPになっても室内温度RTが低下せず、まだ、最高室内温度RThを維持している時には、バーナ2の運転を停止することになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施例を示す暖房機の断面図である。
【図2】この発明の実施例を示すブロック図である。
【図3】この発明の制御状態を示す温度チャートである。
【図4】この発明の他の実施例を示す制御状態を示す温度チャートである。
【図5】この発明の他の実施例を示す制御状態を示す温度チャートである。
【図6】この発明の他の実施例を示す制御状態を示す温度チャートである。
【図7】この発明の他の実施例を示す制御状態を示す温度チャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 枠体
2 バーナ
3 ポンプ
4 燃焼用送風機
9 室内温度検出手段
10 温度設定手段
11 運転スイッチ
12 燃焼制御手段
RT 室内温度
N1〜N5 燃焼量調節段階
P 燃焼量変更ポイント
ST 設定温度
t 設定時間
d 温度差
D1・D2・・ 離開温度
tk 燃焼継続時間
RTh 最高室内温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内にバーナと、このバーナに燃料を供給するポンプと、このバーナに燃焼空気を送る燃焼用送風機とを設け、
室内温度を検出する室内温度検出手段と、室内温度を設定する温度設定手段と、運転スイッチの信号に基づいて前記ポンプと燃焼用送風機とを制御してバーナの運転の制御と燃焼量の調節を行う燃焼制御手段とを備え、
該燃焼制御手段は前記室内温度検出手段と温度設定手段からの信号を用いて燃焼中のバーナの燃焼量を可変する暖房機であって、
前記燃焼制御手段には前記バーナの燃焼量として、大燃焼量・小燃焼量・その間の燃焼量による複数段階の燃焼量調節段階を備え、
その燃焼量調節段階の燃焼量の変化は燃焼量変更ポイントにおいて実施され、室内温度が前記温度設定手段の設定温度よりも高い燃焼量変更ポイントでは、複数段階の燃焼量調節段階を1段階低くし、室内温度が前記温度設定手段の設定温度よりも低い燃焼量変更ポイントでは、複数段階の燃焼量調節段階を1段階高く制御しており、
前記燃焼量変更ポイントは、前記バーナの運転開始から最初に室内温度が前記温度設定手段の設定温度に一致した時と、前回の燃焼量変更ポイントから設定時間が経過した時とに定められることを特徴とする暖房機の燃焼量調節方法。
【請求項2】
前記燃焼制御手段は、室内温度検出手段で検出した室内温度と前記温度設定手段の設定温度との離開状態を、予め設定した温度差による複数の離開温度によって判断しており、
前記燃焼量変更ポイントは、前記設定時間と前記離開温度とによって定められることを特徴とする請求項1に記載の暖房機の燃焼量調節方法。
【請求項3】
前記燃焼制御手段は、室内温度検出手段で検出した室内温度と前記温度設定手段の設定温度との離開状態を、予め設定した温度差による複数の離開温度によって判断しており、
前記温度設定手段の設定温度よりも低い室内温度の時における前記燃焼量変更ポイントは、前記離開温度の時にも設定され、前記設定時間の時の燃焼量変更ポイントにおける燃焼量変更は無視されることを特徴とする請求項1又は2に記載の暖房機の燃焼量調節方法。
【請求項4】
前記燃焼制御手段は、直近の燃焼量変更を行った燃焼量変更ポイントからの時間として燃焼継続時間を定めており、
前記燃焼制御手段は、前記離開温度によって設定する前記燃焼量変更ポイントが前記燃焼継続時間内に該当する時において、前記離開温度で定める前記燃焼量変更ポイントを前記燃焼継続時間に変更することを特徴とする請求項2又は3に記載の暖房機の燃焼量調節方法。
【請求項5】
前記燃焼量変更ポイントを定める前記設定時間は可変時間となっており、
その設定時間は、複数段階の燃焼量調節段階に対応して定められた時間であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の暖房機の燃焼量調節方法。
【請求項6】
前記燃焼量変更ポイントを定める前記設定時間は可変時間となっており、
その設定時間は、室内温度が前記温度設定手段の設定温度に一致した時の最初の設定時間を短い時間に設定し、前回の燃焼量変更ポイントからの経過時間である燃焼継続時における設定時間を、長い時間に設定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の暖房機の燃焼量調節方法。
【請求項7】
前記燃焼量変更ポイントにおける、前記燃焼量調節段階の最大燃焼量からの燃焼量増加要求に対する燃焼量変更は無視すると共に、
前記燃焼制御手段は、前記温度設定手段の設定温度よりも高い温度の最高室内温度を定めており、
前記燃焼量変更ポイントにおける、前記燃焼量調節段階の最小燃焼量からの燃焼量減少要求に対して、前記最高室内温度よりも室内温度が低いときの燃焼量変更は無視し、前記最高室内温度よりも室内温度が高い時の燃焼量変更ポイントでは、バーナの運転を停止もしくは前記燃焼量調節段階から外れた微小燃焼量運転に設定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の暖房機の燃焼量調節方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−133548(P2009−133548A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310238(P2007−310238)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】