説明

暖炉型暖房機

【課題】暖房の強弱に関わらず所望の大きさの火炎を得ることができ、室内が目標室温となった後にも暖炉としての高い視覚的印象を得ることができる暖炉型暖房機を提供する。
【解決手段】暖房機本体1に、バーナ7を収容する燃焼筐6と、燃焼筐6内部の火炎を目視可能とする窓部9,10を設ける。バーナ7の火炎の大きさを設定する火炎設定手段38と、設定された大きさの火炎となるようにバーナ7の燃焼量を制御する燃焼量制御手段33と、バーナ7の燃焼熱を放熱する放熱手段と、バーナ7の燃焼量が過剰のときその過剰分に相当する放熱量が得られるように放熱手段を制御する放熱制御手段34とを設ける。放熱手段は、暖房機本体1の内部で燃焼排気の熱を循環水に吸熱させる吸熱用熱交換器20と、循環水路21内の循環水を循環ポンプ26により循環させ、暖房機本体1の外部で循環水を放熱する放熱用熱交換器22及び放熱ファン27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナの燃焼熱を用いて暖房を行なうと同時にバーナが形成する火炎を目視可能としてその火炎により暖炉としての視覚的印象が得られるようにした暖炉型暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、暖炉型暖房機として、燃焼筐内にセラミックス等の耐火材で形成された擬似薪とバーナとを配設し、バーナを燃焼させたときの火炎を擬似薪の周囲に立ち昇らせることで、あたかも擬似薪が燃えているような視覚的印象を使用者に与えるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の暖炉型暖房機においては、燃焼筐からの燃焼排気を流す暖房用熱交換器を備え、暖房用熱交換器の外表面に接して暖められた空気を室内に送り出す温風ファンを備えることで、室内を温風により暖める暖房機能が付加されている。そして、こうした暖房機能では、使用者により目標室温が設定可能となっており、室内の温度を検出する室温検出手段の検出温度が目標室温となるようにバーナの燃焼量が制御される。具体的には、室内の温度が比較的低いときにはバーナの燃焼量が大となり、室内の温度が上昇して目標室温に近づくに従ってバーナの燃焼量が減少する。
【0003】
一方、暖炉型暖房機では、暖炉としての高い視覚的印象を得るために、バーナの火炎が大きい状態を維持することが望ましい。しかし、バーナの燃焼量が目標室温に応じて制御されていると、室内の温度が十分に上昇して目標室温となるとバーナの燃焼量が減少してバーナの火炎が小さくなったり、場合によってはバーナが消火するため、暖炉としての視覚的印象が得られなくなる不都合があった。
【特許文献1】実公平5−37129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる不都合を解消して、本発明は、暖房の強弱に関わらず所望の大きさの火炎を得ることができ、室内が目標室温となった後にも暖炉としての高い視覚的印象を得ることができる暖炉型暖房機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明は、バーナを収容した燃焼筐が収容された暖房機本体を備え、該暖房機本体に設けられたガラス張りの窓部を介して燃焼筐内部の火炎が目視可能とされ且つバーナの燃焼熱により暖房を行なう暖炉型暖房機において、使用者が目標室温を設定するための室温設定手段と、室温を検出する室温検出手段と、使用者がバーナの火炎の大きさを設定するための火炎設定手段と、該火炎設定手段により設定された大きさの火炎となるようにバーナの燃焼量を制御する燃焼量制御手段と、バーナの燃焼熱を放熱する放熱手段と、該放熱手段を制御する放熱制御手段とを備え、前記放熱手段は、暖房機本体内部からその外部に延出して放熱用の循環水が循環する循環水路と、暖房機本体の内部に位置する循環水路に接続されて循環水により燃焼排気からの吸熱を行なう吸熱用熱交換器と、暖房機本体の外部に位置する循環水路に接続されて外気により循環水の放熱を行なう放熱用熱交換器と、該放熱用熱交換器に外気を送る放熱ファンと、前記循環水路の循環水を循環させる循環ポンプとを備え、前記放熱制御手段は、前記燃焼量制御手段により制御されたバーナの燃焼量が前記目標室温に対して過剰であるとき、前記循環水を介してバーナの燃焼量の過剰分に相当する放熱量が得られるように前記放熱ファン及び前記循環ポンプを制御することを特徴とする。
【0006】
火炎設定手段により大きい火炎が設定されたとき、燃焼量制御手段は、設定された大きな火炎に応じてバーナの燃焼量を大きくする制御を行なう。これにより、バーナからは大きな火炎が形成される。一方、放熱手段においては、循環水が循環ポンプにより循環水路に沿って循環され、放熱ファンにより放熱用熱交換器に外気が送られる。このとき、目標室温に対して室温が低く、目標室温と室温との差が大きい場合には、放熱手段による放熱を行なわない。これにより、吸熱用熱交換器におけるバーナの燃焼により得られる熱の吸熱が抑えられ、バーナの燃焼熱による暖房が十分に行なわれて、目標室温に向かって室内温度を速やかに上昇させることができる。それと同時に、バーナからは大きな火炎が形成されて暖炉としての高い視覚的印象を得ることができる。
【0007】
そして、火炎設定手段により大きい火炎が設定されて、燃焼量制御手段によりバーナの燃焼量を大きくする制御が行なわれているにもかかわらず、室温が目標室温と一致或いは目標室温の近傍となった場合には、バーナの燃焼量が過剰となる。このときには、前記放熱制御手段は、バーナの燃焼量の過剰分を放熱させるべく、放熱手段による放熱量が大となるように放熱制御手段が前記放熱ファン及び循環ポンプを制御する。
【0008】
これにより、吸熱用熱交換器への吸熱が大となり、暖房に用いられるバーナの燃焼熱が低く抑えられる。一方、バーナの燃焼量は変わらず大きな火炎が形成された状態が維持されるので、暖炉としての高い視覚的印象を得ることができる。
【0009】
なお、放熱制御手段による制御においては、例えば、放熱ファンの回転数を増減することで放熱用熱交換器における循環水の冷却度合いを調節することができ、循環ポンプの流量を増減することで放熱用熱交換器における循環水の放熱効率を調節することができる。
【0010】
また、本発明において、前記放熱手段は、吸熱用熱交換器から放熱用熱交換器に向かう循環水の温度を検出する第1循環水温検出手段と、放熱用熱交換器から吸熱用熱交換器に向かう循環水の温度を検出する第2循環水温検出手段とを備え、前記放熱制御手段は、第1循環水温検出手段の検出温度と第2循環水温検出手段の検出温度とに基づいて、前記バーナの燃焼量の過剰分に相当する放熱量が得られるように前記放熱ファン及び前記循環ポンプを制御することを特徴とする。
【0011】
吸熱用熱交換器から放熱用熱交換器に向かう循環水の温度を所定の温度に維持するとき、放熱用熱交換器から吸熱用熱交換器に向かう循環水の温度は、放熱ファンの回転数及び循環ポンプの流量に応じて低下する。従って、吸熱用熱交換器から放熱用熱交換器に向かう循環水の温度と放熱用熱交換器から吸熱用熱交換器に向かう循環水の温度との差は、放熱手段における吸熱量に相当する。そこで、放熱制御手段により、第1循環水温検出手段の検出温度と第2循環水温検出手段の検出温度とに基づいて前記放熱ファン及び循環ポンプを制御することで、バーナの燃焼量の過剰分に相当する熱量を精度良く放熱させることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記吸熱用熱交換器と前記放熱用熱交換器との間の前記循環水路に、前記循環水を熱源として室内を暖房する床暖房パネルを接続することにより、前記放熱手段の吸熱用熱交換器により加熱された循環水を床暖房として用いることができる。この場合には、バーナの燃焼により得られる熱は床暖房に用いられる。そして、バーナの燃焼量が過剰であるときには、床暖房パネルからの放熱量を放熱手段による放熱量の一部として前記放熱制御手段による前記放熱ファン及び循環ポンプの制御を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】

本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の暖炉型暖房機の概略構成を示す説明図、図2は運転制御ユニットによる暖炉型暖房機の作動の一例を示すフローチャート、図3は他の実施形態の概略構成を示す説明図である。
【0014】
本実施形態による暖炉型暖房機Aは、図1に示すように、暖房機本体1と、室外機2と、床暖房パネル3と、リモートコントローラ4(以下、リモコン4という。)とによって構成されている。
【0015】
暖房機本体1は、外装ケース5と、外装ケース5内に設けた燃焼筐6とを備えている。燃焼筐6の内部にはバーナ7が設けられており、バーナ7の火炎が接触する位置にはセラミックス等の耐火材で形成された擬似薪8が配置されている。燃焼筐6の前面にはガラス張りの第1窓部9が形成されており、外装ケース5の前面パネル5aには、第1窓部9に対応する位置に、ガラス張りの第2窓部10が形成されている。これによって、暖房機本体1の前方から燃焼筐6の内部が目視でき、バーナ7を燃焼させたときに、あたかも擬似薪8が燃えているような暖炉としての視覚的印象を得ることができる。
【0016】
また、外装ケース5の内部において、燃焼筐6の上方には暖房用熱交換器11が配置されている。暖房用熱交換器11は、燃焼筐6に接続された連通管12を介して内部に燃焼筐6からの燃焼排気が流入する。暖房用熱交換器11には、家屋の壁Wを貫通して屋外に延びる排気ダクト13が接続されており、排気ダクト13には、燃焼筐6から暖房用熱交換器11を経た燃焼排気を強制的に排出する排気ファン14が設けられている。燃焼筐6の底部側には給気ダクト15が接続されており、排気ファン14の吸引力により屋外の空気が給気ダクト15を介して燃焼筐6の内部に強制的に供給される。
【0017】
また、外装ケース5には空気取入れ口16及び送風口17が開設されている。空気取入れ口16と送風口17との間には、室内空気が流動する室内空気流路18が形成されている。室内空気流路18の内部には、暖房用熱交換器11が配設されており、その上方には温風ファン19が配設されている。温風ファン19により、空気取入れ口16から吸込まれた室内空気が、送風口17から室内に送り出される。その間、室内空気流路18を流動する室内空気は、暖房用熱交換器11の外表面に接して燃焼排気熱により暖められ、これによってバーナ7の燃焼熱による温風暖房機能を得ることができる。
【0018】
更に、燃焼筐6の内部には、その上部側(連通管12の上流側)に吸熱用熱交換器20が配設されている。吸熱用熱交換器20には、循環水が循環する循環水路21が接続されている。循環水路21は暖房機本体1から延出して、更に、家屋の壁Wを貫通して屋外に延びており、後述するように、屋外に設置された室外機2の放熱用熱交換器22に接続されている。また、循環水路21には、温水を熱源として室内を暖房する床暖房パネル3が接続されている。更に詳しくは、循環水路21は、吸熱用熱交換器20の出口に接続された循環水用往き管21aと、吸熱用熱交換器20の入口に接続された循環水用戻り管21bとで構成されている。床暖房パネル3は、その入口に接続された床暖房用往き管3aと、出口に接続された床暖房用戻り管3bとを備えている。そして、循環水用往き管21aには第1三方弁23を介して床暖房用往き管3aが接続され、循環水用戻り管21bには第2三方弁24を介して床暖房用戻り管3bが接続されていることによって、後述の室外機2の放熱用熱交換器22と床暖房パネル3とが並列に接続された状態に構成されている。そして、第1三方弁23の作動により、循環水用往き管21aの循環水の導通を維持して床暖房用往き管3aを遮断することができ、第2三方弁24の作動により、循環水用戻り管21bの循環水の導通を維持して床暖房用戻り管3bを遮断することができる。また、外装ケース5に位置する循環水路21の循環水用戻り管21bには、シスターン25と循環ポンプ26とが設けられており、循環ポンプ26によって、循環水路21内の循環水が強制的に循環される。床暖房パネル3により、吸熱用熱交換器20で加熱された循環水を熱源として室内を暖房することができ、これによってバーナ7の燃焼熱による床暖房機能を得ることができる。
【0019】
室外機2は、屋外に設置されており、放熱用熱交換器22と、放熱用熱交換器22に外気を送る放熱ファン27とを備えている。放熱ファン27は、その回転数が増減可能であり、回転数を増加させるに伴い放熱用熱交換器22における循環水の放熱量を増加させることができるようになっている。なお、前述した循環ポンプ26も、循環水の流量が増減可能であり、循環水の流量を増加させるに伴い放熱用熱交換器22における循環水の放熱量を増加させることができるようになっている。
【0020】
なお、本実施形態においては、前記循環水路21、前記吸熱用熱交換器20、前記放熱用熱交換器22、前記放熱ファン27、及び前記循環ポンプ26によって本発明の放熱手段を構成している。
【0021】
そして、暖房機本体1の外装ケース5内には、運転制御ユニット28やバーナ7用のバルブユニット29から成る制御機器が配置され、更に、暖房機本体1には、空気取入れ口16から吸込まれる室内空気の温度を検出する室温センサ30(室温検出手段)、循環水用往き管21a内の循環水の温度を検出する第1水温センサ31(第1循環水温検出手段)、及び、循環水用戻り管21b内の循環水の温度を検出する第2水温センサ32(第2循環水温検出手段)がそれぞれ配設されている。室温センサ30、第1水温センサ31、及び第2水温センサ32による各検出温度データは、運転制御ユニット28に入力される。
【0022】
運転制御ユニット28は、バルブユニット29によりバーナ7の燃焼量を制御する燃焼量制御部33(燃焼量制御手段)と、放熱ファン27及び循環ポンプ26を制御する放熱制御部34(放熱制御手段)とを備え、更に図示しないが、温風ファン19や床暖房の第1三方弁23及び第2三方弁24等の制御を行なう他の複数の制御部を備えている。
【0023】
また、リモコン4は、使用者が操作する複数の操作スイッチを備え、主なものとして、暖炉型暖房機Aの運転のON/OFFを行なう運転スイッチ35、床暖房の運転のON/OFFを行なう床暖房スイッチ36、目標室温を設定する室温設定スイッチ37(室温設定手段)、バーナ7の火炎の大きさを設定する火炎設定スイッチ38(火炎設定手段)を備えている。使用者によるリモコン4の操作信号は運転制御ユニット28に入力される。
【0024】
次に、運転制御ユニット28による暖炉型暖房機Aの作動の一例を説明する。図2を参照して、使用者により運転スイッチ35がON操作されると、STEP1においてバルブユニット29からの燃料供給によりバーナ7の燃焼が開始され、次いで、STEP2で暖房運転が開始される。即ち、STEP2においては、温風ファン19が作動して温風暖房が開始され、このとき、床暖房スイッチ36によって床暖房がONされる或いはされていると、第1三方弁23及び第2三方弁24により、循環水路21と床暖房パネル3とが導通状態とされ、床暖房も開始される。また、STEP2においては、循環ポンプ2の駆動を開始する。
【0025】
続いて、STEP3へ進み、使用者によって火炎の大きさが設定さているか否かを判断する。火炎の大きさが設定されていない場合には、STEP4へ進む。火炎の大きさは火炎設定スイッチ38の操作によって使用者が設定するものである。STEP4では、室温センサ30の検出温度が目標室温になるまで暖房運転が続けられる。目標室温は室温設定スイッチ37の操作によって使用者が設定するものである。
【0026】
なお、STEP4では、使用者によって火炎の大きさが設定されていない状態なので、目標室温に近づくに従ってバーナ7の燃焼量を減少させる等の制御を燃焼量制御部33により行なうようにしてもよい。また、第1水温センサ31の検出温度が高温となったときに循環ポンプ26による循環水量を大とする制御を行なうことが好ましい。これにより、吸熱用熱交換器の内部での循環水の沸騰を確実に防止することができる。
【0027】
そして、STEP4において、室温センサ30の検出温度が目標室温になると、STEP5へ進んで暖房運転を停止させる。次いで、STEP6において室温センサ30の検出温度が目標室温より所定温度α低下したとき(例えば、目標室温−5℃に低下したとき)、STEP7へ進んで暖房運転を再開させ、その後、運転スイッチ35がOFF操作されない限りSTEP3へ戻る。
【0028】
なお、STEP5においては暖房運転を停止させずに、例えば、バーナ7の燃焼及び温風ファン19の回転数を低く抑えて室温を保持させる保温運転を行なうようにしてもよく、この場合には、STEP7において、バーナ7の燃焼及び温風ファン19の回転数を高くして通常の暖房運転に戻すようにしてもよい。
【0029】
一方、STEP2からSTEP3へ進んだとき、使用者によって火炎の大きさが設定さている場合にはSTEP8へ進む。STEP8では、設定火炎(火炎設定スイッチ38の操作によって使用者が設定した火炎の大きさ)となるようにバーナ7の燃焼量が燃焼量制御部33によって制御される。ここで、火炎設定スイッチ38により最も大きな火炎が設定されている場合には、バーナ7の燃焼量が大となり、暖炉としての高い視覚的印象をえることができる。
【0030】
次いで、STEP9では、室温センサ30の検出温度が目標室温になるまで設定火炎によるバーナ7の燃焼によって暖房運転が続けられる。そして、室温センサ30の検出温度が目標室温になるとSTEP10へ進み、バーナ7の燃焼排気から過剰な熱量を放熱させる動作を行なう。図1を参照して詳しく説明すれば、放熱制御部34により放熱ファン27と循環ポンプ26とが制御され、吸熱用熱交換器20を介して加熱された循環水が放熱用熱交換器22へ送られて放熱ファン27により放熱(冷却)される。これにより、暖房用熱交換器11の上流側でバーナ7の燃焼排気の温度を低下させることができ、室温が目標室温になったときにその後のバーナ7の燃焼量が過剰であっても、設定火炎を得るためのバーナ7の燃焼量を維持しながら室温の過上昇を防止することができる。なお、STEP10に進んだ際には、放熱動作の一部として、温風暖房と床暖房との両方を停止させること、床暖房を停止させずに温風暖房の温風ファン19の回転数を低下させること、及び、床暖房を停止させて温風暖房の温風ファン19の回転数を低下させること、の何れかを選択することができる。
【0031】
続いて、STEP11において室温センサ30の検出温度が目標室温より所定温度α低下したとき(例えば、目標室温−5℃に低下したとき)、STEP12へ進んで放熱動作を停止させる。その後、運転スイッチ35がOFF操作されない限りSTEP3へ戻る。
【0032】
ここで、STEP10における具体的な放熱制御の一例を挙げる。なお、暖炉の火炎が最大に設定されているときにバーナ7の燃焼排気から得られる熱量が6kw/hであり、温風ファン19による暖房能力(放熱能力)が0〜6kw/hであり、放熱ファン27及び循環ポンプ26による前記放熱手段の放熱能力が0〜6kw/hであり、更に、床暖房パネル3の放熱能力が2kw/hであるとして説明する。また、床暖房の運転時には吸熱用熱交換器20から循環水用往き管21aを経て床暖房用往き管3aへ向かう循環水の温度(第1水温センサ31の検出温度)は60℃に制御され、床暖房の停止時には循環水用往き管21a内の循環水の温度(第1水温センサ31の検出温度)は80℃に制御されるものとする。
【0033】
室温センサ30の検出温度が目標室温になったことにより、温風暖房と床暖房との両方を停止させた場合、バーナ7の燃焼排気における過剰分の熱量は6kw/hである。そこで、循環ポンプ26による循環水の流量を毎分2リットルに制御し、第1水温センサ31の検出温度が80℃となり且つ第2水温センサ32の検出温度が約37℃となるように放熱ファン27を制御する。これにより吸熱用熱交換器20による燃焼排気からの吸熱量が6kw/hとなり、同時に放熱用熱交換器22による放熱量が6kw/hとなるので、バーナ7の燃焼排気における過剰分を放熱することができ、暖房を行なわずに暖炉の火炎が最大となっている状態とすることができる。
【0034】
室温センサ30の検出温度が目標室温になったことにより、床暖房を停止させずに温風暖房の温風ファン19の回転数を低下させてその放熱量を2kw/hとした場合(実際には暖房を弱運転している状態)、床暖房パネル3の放熱能力が2kw/hなので、バーナ7の燃焼排気における過剰分の熱量は2kw/hである。そこで、循環ポンプ26による循環水の流量を毎分2リットルに制御し、第1水温センサ31の検出温度が60℃となり且つ第2水温センサ32の検出温度が約31.5℃となるように放熱ファン27を制御する。これにより吸熱用熱交換器20による燃焼排気からの吸熱量が4kw/hとなり(床暖房パネル3における放熱能力2kw/hを含む)、そのうち放熱用熱交換器22による放熱量が2kw/hとなるので、バーナ7の燃焼排気における過剰分を放熱することができ、暖房を弱運転しつつ暖炉の火炎が最大となっている状態とすることができる。
【0035】
また、室温センサ30の検出温度が目標室温になったことにより、床暖房を停止させずに温風暖房の温風ファン19を停止させた場合(温風暖房機能を停止させた状態)、床暖房パネル3の放熱能力が2kw/hなので、バーナ7の燃焼排気における過剰分の熱量は4kw/hである。そこで、循環ポンプ26による循環水の流量を毎分2リットルに制御し、第1水温センサ31の検出温度が60℃となり且つ第2水温センサ32の検出温度が約31.5℃となるように放熱ファン27を制御する。このときの放熱ファン27の回転数は、上述した床暖房と同時に温風暖房を行なう場合(床暖房を停止させずに温風暖房の温風ファン19の回転数を低下させてその放熱量を2kw/hとした場合)に比べて大となる。これにより吸熱用熱交換器20による燃焼排気からの吸熱量が4kw/hとなり、同時に放熱用熱交換器22による放熱量が4kw/hとなるので、バーナ7の燃焼排気における過剰分を放熱することができ、暖房を弱運転しつつ暖炉の火炎が最大となっている状態とすることができる。
【0036】
また、室温センサ30の検出温度が目標室温になったことにより、床暖房を停止させ、温風暖房の温風ファン19の回転数を低下させてその放熱量を3kw/hとした場合(温風暖房のみで弱運転している状態)、バーナ7の燃焼排気における過剰分の熱量は3kw/hである。そこで、循環ポンプ26による循環水の流量を毎分1リットルに制御し、第1水温センサ31の検出温度が80℃となり且つ第2水温センサ32の検出温度が約37℃となるように放熱ファン27を制御する。これにより吸熱用熱交換器20による燃焼排気からの吸熱量が3kw/hとなり、同時に放熱用熱交換器22による放熱量が3kw/hとなるので、バーナ7の燃焼排気における過剰分を放熱することができ、暖炉の火炎が最大となっている状態とすることができる。
【0037】
以上のように、放熱制御部34により、第1水温センサ31の検出温度と第2水温センサ32の検出温度と基づいて、バーナ7の燃焼量の過剰分に相当する放熱量が得られるように放熱ファン27の回転数及び循環ポンプ26の流量を制御することで、暖房を弱運転としても暖炉の火炎を大きくすることができ、室度が目標温度になっても、暖炉としての高い視覚的印象を維持することができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、第1水温センサ31の検出温度と第2水温センサ32の検出温度とに基づく放熱制御を一例として挙げたが、これに限るものではなく、例えば、運転制御ユニット28に、バーナ7の燃焼量の過剰分(放熱手段により必要となる放熱量)と、放熱ファン27の回転数と、循環ポンプ26の流量との関係を示すデータテーブルを設け、放熱制御部34によりデータテーブルを参照して放熱ファン27の回転数及び循環ポンプ26の流量を制御するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態においては、室外機2の放熱用熱交換器22と床暖房パネル3とが並列に接続された状態に構成されたものを示したが、これ以外に、図3に示す暖炉型暖房機Bのように構成することが可能である。即ち、この暖炉型暖房機Bは、床暖房パネル3を四方弁39を介して循環水用往き管21aに接続することで、室外機2の放熱用熱交換器22と床暖房パネル3とが直列に接続された状態に構成されている。これによれば、シスターン25と循環ポンプ26とを室外機2に設けることができ、暖房機本体1をコンパクトに形成することができて有利である。そして、図3に示す暖炉型暖房機Bにおいても、放熱制御部34により放熱ファン27の回転数及び循環ポンプ26の流量を制御することで、前述した実施形態による暖炉型暖房機Aと同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、上記の実施形態において説明した暖炉型暖房機A及び暖炉型暖房機Bは、バーナ7の燃焼熱による暖房機能として、温風暖房機能と床暖房機能との両方を備えるものであるが、本発明の暖炉型暖房機は、それに限るものではなく、温風暖房機能と床暖房機能との何れか一方の暖房機能のみを備える構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態の暖炉型暖房機の概略構成を示す説明図。
【図2】運転制御ユニットによる暖炉型暖房機の作動の一例を示すフローチャート。
【図3】本発明の他の実施形態の概略構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0042】
A,B…暖炉型暖房機、1…暖房機本体、3…床暖房パネル、6…燃焼筐、7…バーナ、9…第1窓部(窓部)、10…第2窓部(窓部)、20…吸熱用熱交換器、21…循環水路、22…放熱用熱交換器、26…循環ポンプ、27…放熱ファン、30…室温センサ(室温検出手段)、31…第1水温センサ(第1循環水温検出手段)、32…第2水温センサ(第2循環水温検出手段)、33…燃焼量制御部(燃焼量制御手段)、34…放熱制御部(放熱制御手段)、37…室温設定スイッチ(室温設定手段)、38…火炎設定スイッチ(火炎設定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを収容した燃焼筐が収容された暖房機本体を備え、該暖房機本体に設けられたガラス張りの窓部を介して燃焼筐内部の火炎が目視可能とされ且つバーナの燃焼熱により暖房を行なう暖炉型暖房機において、
使用者が目標室温を設定するための室温設定手段と、室温を検出する室温検出手段と、使用者がバーナの火炎の大きさを設定するための火炎設定手段と、該火炎設定手段により設定された大きさの火炎となるようにバーナの燃焼量を制御する燃焼量制御手段と、バーナの燃焼熱を放熱する放熱手段と、該放熱手段を制御する放熱制御手段とを備え、
前記放熱手段は、暖房機本体内部からその外部に延出して放熱用の循環水が循環する循環水路と、暖房機本体の内部に位置する循環水路に接続されて循環水により燃焼排気からの吸熱を行なう吸熱用熱交換器と、暖房機本体の外部に位置する循環水路に接続されて外気により循環水の放熱を行なう放熱用熱交換器と、該放熱用熱交換器に外気を送る放熱ファンと、前記循環水路の循環水を循環させる循環ポンプとを備え、
前記放熱制御手段は、前記燃焼量制御手段により制御されたバーナの燃焼量が前記目標室温に対して過剰であるとき、前記循環水を介してバーナの燃焼量の過剰分に相当する放熱量が得られるように前記放熱ファン及び前記循環ポンプを制御することを特徴とする暖炉型暖房機。
【請求項2】
前記放熱手段は、吸熱用熱交換器から放熱用熱交換器に向かう循環水の温度を検出する第1循環水温検出手段と、放熱用熱交換器から吸熱用熱交換器に向かう循環水の温度を検出する第2循環水温検出手段とを備え、
前記放熱制御手段は、第1循環水温検出手段の検出温度と第2循環水温検出手段の検出温度と基づいて、前記バーナの燃焼量の過剰分に相当する放熱量が得られるように前記放熱ファン及び前記循環ポンプを制御することを特徴とする請求項1記載の暖炉型暖房機。
【請求項3】
前記吸熱用熱交換器と前記放熱用熱交換器との間の前記循環水路に、前記循環水を熱源として室内を暖房する床暖房パネルが接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の暖炉型暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−92356(P2009−92356A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266288(P2007−266288)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】