説明

有機エレクトロルミネッセンスデバイス

本発明は、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける複錯塩の使用、および帯電した金属錯体から形成されたオリゴマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、光電子部品における複錯塩に係り、特に、OLEDにおける使用のための帯電した金属錯体から形成されたオリゴマーに関する。
【0002】
現在、ディスプレイスクリーンおよび照明技術の分野において、大きな変化が明らかである。0.5mm未満の厚さを有するフラットディスプレイまたは照明領域を作製することが可能となるであろう。これらは、多くの魅惑的な特性によって区別される。したがって、例えば、エネルギー消費量が非常に低い壁紙のような照明領域を開発することが可能である。しかしながら、これまで達成されていない色忠実度、輝度および視野角独立を有し、非常に軽量で非常に低消費電力のカラーディスプレイスクリーンを製造するのが可能であることは、特に興味深い。マイクロディスプレイのようなディスプレイスクリーン、または柔軟性のない、またはフレキシブルな状態で数m2の面積を有する大型ディスプレイスクリーンのみならず、透過型または反射型ディスプレイも設計することができる。さらに、単純でコストを削減した製造プロセス、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷または真空昇華などを用いることができる。これは、従来のフラットディスプレイスクリーンと比較して、非常に安価な製造を助成するであろう。この新規な技術は、OLED、有機光発光デバイスの原理に基づく。
【0003】
このタイプの構成要素は、図1に模式的に単純化された方式で示されるように、大部分が有機層からなる。例えば5〜10Vの電圧において、負の電子が導電金属層、例えばアルミニウムカソードから薄い電子伝導層の中に出てゆき、正に帯電したアノードの方向に移動する。後者は、例えば透明であるが電導性の薄いインジウム錫酸化物(ITO)からなり、ここから正に帯電したキャリア、いわゆる正孔が有機正孔伝送層の中に移動する。正孔は、電子とは反対の方向に、より正確には負のカソードに向けて移動する。中央の層は発光層であり、これは、同様に有機または有機金属からなり、特別なエミッター分子をさらに含み、この層または近傍において、2つの電荷が再結合し、発光分子のエネルギー的に励起された状態をもたらす。励起された状態はその後、そのエネルギーを光として、例えば、青色、緑色または赤色として放出する。エミッター分子が正孔または電子伝導層の中に存在する場合には、発光層を省略することもできる。
【0004】
OLED構成要素は、イルミネーション要素のような大面積設計、またはディスプレイのための画素のような極小の設計を有することができる。高効率のOLEDの作製のための決定的な要因は、用いられる発光材料(エミッター分子)である。これらは種々の方法で達成され、純粋な有機または有機金属分子および錯体化合物が用いられる。OLEDの光収率は、有機金属物質、いわゆる三重項発光材料の場合、純粋な有機材料より著しく大きい。この特性のために、有機金属材料のさらなる開発は本質的に重要なものである。OLEDの作用は、すでに非常に頻繁に述べられている(C.Adachi,M.A.Baldo,S.R.Forrest,S.Lamansky,M.E.Thompson,R.C.Kwong,Appl.Phys.Lett.2001,78,1622;X.Yang,D.C.Muller,D.Neher,K.Meerholz,Adv.Mater.2006,18,948;J.Shinar(Ed.),Organic light−emitting devices−A survey,AIP Press,Springer,New York,2004;H.Yersin,Top.Curr.Chem.2004,241,1;H.Yersin(Ed.),Highly Efficient OLEDs with Phosphorescent Materials,Wiley−VCH,Weinheim 2008;Z.H.Kafafi,Organic Electroluminescence,Taylor&Francis,Boca Raton,2005)。デバイスの特に高い効率は、高い発光量子効率(最低の三重状態から一重項基底状態へ)を有する有機金属錯体(“有機遷移金属”錯体は、しばしば“有機金属”錯体と略される)を用いて達成することができる。これらの材料は、三重項エミッターまたは燐光エミッターとして頻繁に引用される。この発見は、しばらくの間、知られてきた(C.Adachi,M.A.Baldo,S.R.Forrest,S.Lamansky,M.E.Thompson,R.C.Kwong,Appl.Phys.Lett.2001,78,1622;X.Yang,D.C.Muller,D.Neher,K.Meerholz,Adv.Mater.2006,18,948;J.Shinar(Ed.),Organic light−emitting devices−A survey,AIP Press,Springer,New York,2004;H.Yersin,Top.Curr.Chem.2004,241,1;H.Yersin(Ed.),Highly Efficient OLEDs with Phosphorescent Materials,Wiley−VCH,Weinheim 2008)。三重項発光材料に対して、多くの保護権利がすでに適用され、または付与されており、例えば、以下を参照のこと:M.E.Thompson,P.I.Djurovich,J.Li University of Southern California,Los Angeles,CA),WO2004/017043 A2,2004;M.E.Thompson,P.I.Djurovich,R.Kwong(University of Southern California,Los Angeles,CA,Universal Display Corp,Ewing,NY),WO2004/016711 A1,2004;A.Tsuboyama,S.Okada,T.Takiguchi,K.Ueno,S.Igawa,J.Kamatani,M.Furugori,H.Iwawaki(Canon KK,Tokyo),WO03/095587 A1,2003;C.−M.Che,US2003/0205707 A1,2003;C.−M.Che,W.Lu,M.C.−W.Chan,US2002/0179885 A1,2002;J.Kamatani,S.Okada,A.Tsuboyama,T.Takiguchi,S.Igawa,US2003/186080 A1,2003;P.Stoeel,I.Bach,A.Busing(Covion Organic Semiconductors GmbH),DE10350606 A1,2005;M.Bold,C.Lennartz,M.Egen,H.−W.Schmidt,M.Thelakkat,M.Bate,C.Neuber,W.Kowalsky,C.Schildknecht(BASF AG),DE10338550 A1,2005;C.Lennartz,A.Vogler,V.Pawlowski(BASF AG),DE10358665 A1,2005;B.Hsieh,T.P.S.Thoms,J.P.Chen(Canon KK,Tokyo),US2006/989273 B2,2006;N.Schulte,S.Heun,I.Bach,P.Stoessel,K.Treacher(Covion Organic Semiconductors),WO2006/003000 A1,2006;A.Vogler,V.Pawlowski,H.−W.Schmidt,M.Thelakkat(BASF AG),WO2006/032449 A1,2006;T.K.Hatwar,J.P.Spindler,R.H.Young(Eastman Kodak Co),WO2006/028546 A1,2006。
【0005】
しかしながら、これまで知られている三重項エミッターの場合に改善の必要性が、特に、OLEDデバイスにおける発光材料の長期安定性の領域において、熱的安定性について、水および酸素への化学的安定性について、化学的変化し易さについて、適切な色純度における重要な発光色の有用性について、製造再現性について、HOMOおよびLUMOのための適切なエネルギーについて(これは正孔または電子の捕獲のために重要である)、高電流密度における高効率の達成可能性について、および/または非常に高い発光密度の達成可能性について、依然として存在する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】OLEDが作用する様子の模式的な単純化された説明。
【図2】新規物質の光学的な励起スペクトルおよび発光スペクトル。
【図3】OLEDデバイスサンプルの例。
【0007】
OLEDにおける使用のための本発明は、それゆえ、少なくとも1つの正に帯電した金属錯体と、少なくとも1つの負に帯電した金属錯体とを含むオリゴマーにかかり、ここで金属錯体は式(I):
1=[L1L2L3L4M1]n+
式(II):
2=[L5L6L7L8M2]n-
を有する:
ここで、M1およびM2は、それぞれ独立して、Ir(I),Rh(I),Pt(II),Pd(II),Au(III)から選択される金属中心を表わし、L5,L6,L7およびL8に加えてL1,L2,L3およびL4は、それぞれ独立して、同一であるか異なり、出現毎に、中性または帯電した配位子を表わし、ここで2つ以上の配位子L1,L2,L3およびL4、およびL5,L6,L7およびL8はまた、互いに連結していてもよく、n=1または2である。ここで配位子L1〜L8は、各場合において示され必要な、錯体の全体の電荷(n+またはn-)が、保持されるように選択されなければならない。
【0008】
ここでオリゴマーについて、1より大きく正に帯電した錯体、例えば少なくとも2つの、異なって正に帯電した錯体、および1より大きく負に帯電した錯体、例えば少なくとも2つの、異なって負に帯電した錯体を含むこともできる。
【0009】
上述したオリゴマーは、電子デバイスにおいて用いられる。電子デバイスは、少なくとも1つの金属または有機金属化合物、または有機配位子を含む少なくとも1つの配位化合物を含む少なくとも1つの層を含むデバイスを意味すると解される。しかしながら、構成要素はまた、無機材料または無機材料から全体的に作られた層を含むこともできる。
【0010】
電子デバイスは、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED),有機集積回路(O−IC),有機電界効果トランジスター(O−FET),有機薄膜トランジスター(O−TFT),有機発光トランジスター(O−LET),有機太陽電池(O−SC),有機光学検出器,有機感光体(photoreceptor),有機電場消光デバイス(field-quench device)((O−FQD),発光有機化学電池(LEC),有機レーザーダイオード(O−レーザー)および有機プラズモン放出デバイス(D.M.Koller et al.,Nature Photonics 2008,1−4)からなる群から選択されるが、特に好ましくは燐光OLEDである。
【0011】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、カソード、アノード、および少なくとも1つの発光層を含む。これらの層のほかに、さらなる層、例えば、各場合において、1つまたはそれ以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電荷輸送層、電荷注入層、励起子障壁層および/または電荷発生層を含むことができる。中間層、例えば、励起子障壁機能を有する層を、2つの発光層の間にさらに導入することができる。しかしながら、これらの層のそれぞれが必ずしも存在する必要はないことに留意されるべきである。ここで有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、1つの発光層または複数の発光層を含むことができる。複数の発光層が存在する場合、それらは全体で複数の発光極大を380nmと750nmとの間に有することが好ましく、全体にわたって白色発光をもたらし、すなわち、蛍光または燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層に用いられる。特に三層系がより優先され、ここで3つの層は、青色、緑色、および橙または赤色発光を示す。(基本的な構造については、例えばWO05/011013参照)。
【0012】
複錯塩に用いられる全ての錯体の共通した構造的特徴は、中心イオンMが平面四角形またはほぼ平面四角形の四配位を有することにあり、ここで、配位は、対称的でも非対称的でもよいが、非対称的な配置が好ましい。
【0013】
本発明は、強い発光(高い発光量子収率)が、平面四角形の反対に帯電した金属錯体の間における顕著な金属−金属相互作用によってのみ生じる種類の物質の使用に関する。こうして、この種類の化合物における発光をもたらす遷移は、オリゴマー中の個々の錯体の金属−金属相互作用に基づく。これは、発光が独立した中性分子に基づくこれまでの系とは、大きな違いを示す。
【0014】
平面四角形またはほぼ平面四角形の配位結合を有する反対に帯電したPt(II)、および、およびd8電子配置を有する遷移金属の第2および第3周期(Pd(II),Ir(I),Rh(I)および限られた大きさのAu(III))からの構造的に関連した錯体は、金属−金属相互作用の形成に向かう傾向を示し、トリマー、テトラマーなど、またはオリゴマーもしくは一般的な円柱構造を形成する(円柱構造、積層配置、オリゴマー、および集合体という用語は、ここで同意的に用いられる。)。この種のタイプの化合物は、強い発光を示し、これはおそらく金属−金属相互作用のみから生じる状態に起因するものであろう。
【0015】
本発明は、異なって帯電した錯体、すなわちトリマー、テトラマーなど、または一般的なオリゴマーを形成する複錯塩の、外部から気密されて覆われた光電子部品における使用に基づく。環境とガス交換が生じないように、水蒸気に対する包装の透過性は、好ましくは10-6g・m-2・d-1未満であり、酸素については、10-6cm3・m-2・d-1・bar-1未満が好ましい。
【0016】
オリゴマーという用語は、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも5つ、特に好ましくは少なくとも10、とりわけ100まで、好ましくは50までの金属錯体を有する単位を一般的に包含する。本発明の目的のために、少なくとも1つの式(I)の金属錯体と少なくとも1つの式(II)の金属錯体とを含む全ての化合物は、オリゴマーとみなされる。
【0017】
本発明において用いられるオリゴマーは、
式(I) K1=[L1L2L3L4M1]n+の金属錯体と
式(II) K2=[L5L6L7L8M2]n-の金属錯体と
(n=1,2)
から形成される。
【0018】
金属錯体の金属中心M1およびM2は、Ir(I),Rh(I),Pt(II),Pd(II)またはAu(III)から、好ましくはPt(II)およびPd(II)から独立して選択される。
【0019】
本発明において、M1=M2またはM1≠M2は可能である。任意の所望の組み合わせもまた可能であるが、ここで個々の錯体単位の電荷は、全体を合計してゼロにならなければならない。少なくとも2つの異なる金属中心を有する金属錯体を含むオリゴマー、すなわち、M1≠M2のオリゴマーが優先される。
【0020】
L1,L2,L3およびL4、およびL5,L6,L7およびL8は、それぞれ独立して、中性または帯電した配位子、特に単座配位子または多座配位子を表わす。以下の説明において、NLは中性単座配位子を表わし、ALはアニオン性単座配位子を表わす(配位子のより詳細な定義については、以下を参照。)。説明のために、一般式[L1L2L3L4M1]n+における配位子L1,L2,L3およびL4は、もう一つの一般式[L1L2L3L4M1]n+においてL1〜L4で示される配位子と同じである必要はないことに留意されるべきである。本発明において、発光を導く状態は、本質的にM−M相互作用に起因するので、配位子それ自体は発色するπ系を含む必要がない。
【0021】
本発明に用いられるオリゴマーの好ましい構造を、以下に詳細に説明する。
【0022】
一価の正におよび一価の負に帯電した平面四角形錯体から作られる円柱構造:
−K1−K2−K1−K2−K1−K2−K1
1:平面四角形の一価に正に帯電した錯体
2:平面四角形の一価に負に帯電した錯体
1=[L1L2L3L4M1(I)]+
[L1’L2’L3’L4’M1(II)]+
(第2の式における配位子は、プライム記号を付けて示され、電荷補償を達成するために、プライム記号なしの配位子以外の配位子とすることができる/しなければならない。)
2=[L5L6L7L8M2(I)]-
[L5’L6’L7’L8’M2(II)]-
ここで、M1(I)/M2(I)=Ir(I),Rh(I)
M1(II)/M2(II)=Pt(II),Pd(II)
錯体および配位子L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7およびL8およびL1’,L2’,L3’,L4’,L5’,L6’,L7’およびL8’の構造は、一般式を参照し、そして例を参照して以下に説明する。
【0023】
1=[L1L2L3L4Pt(II)]+、K2=[L5L6L7L8Pt(II)]-の複錯塩の例
成分K1=[L1L2L3L4Pt(II)]+の例:
【化1】

【0024】
ここで、ジイミンおよびカルベン配位子、基R1〜20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、“配位子および基の定義”の欄において定義される。
【化2−1】

【化2−2】

【化2−3】

【化2−4】

【0025】
成分K2=[L5L6L7L8Pt(II)]-の例:
【化3】

【0026】
これらの式は、以下でより詳細に定義される(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化4−1】

【化4−2】

【化4−3】

【0027】
1=[L1L2L3L4Pd(II)]+、K2=[L5L6L7L8Pd(II)]-の複錯塩の例
成分K1=[L1L2L3L4Pd(II)]+の例:
【化5】

【0028】
ここで、ジイミンおよびカルベン配位子、基R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、本明細書において定義されるようなものである(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化6】

【0029】
成分K2=[L5L6L7L8Pd(II)]-の例:
【化7】

【0030】
これらの式は、以下でより詳細に定義される(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化8】

【0031】
ここに示されたK1=[L1L2L3L4Pd(II)]+およびK2=[L5L6L7L8Pd(II)]-の例に加えて、上に示した全ての一価の正にまたは一価の負に帯電したPt錯体もまた用いることができるが、PtはPdにより置き換えられなければならない。
【0032】
1=[L1L2L3L4Ir(I)]+、K2=[L5L6L7L8Ir(I)]-の複錯塩の例
成分K1=[L1L2L3L4Ir(I)]+の例:
【化9】

【0033】
ここで、ジイミンおよびカルベン配位子、基R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、本明細書において定義されるようなものである(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化10】

【0034】
成分K2=[L5L6L7L8Ir(I)]-:の例:
【化11−1】

【化11−2】

【0035】
1=[L1L2L3L4Rh(I)]+、K2=[L5L6L7L8Rh(I)]-の複錯塩の例
成分K1=[L1L2L3L4Rh(I)]+の例:
【化12】

【0036】
ここで、ジイミンおよびカルベン配位子、基R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、本明細書において定義されるようなものである(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化13】

【0037】
成分K2=[L5L6L7L8Rh(I)]-の例:
【化14−1】

【化14−2】

【0038】
二価の正にまたは二価の負に帯電した平面四角形錯体から作られる円柱構造:
−K1−K2−K1−K2−K1−K2−K1
1:平面四角形の二価の正に帯電した錯体
2:平面四角形の二価の負に帯電した錯体
1=[L1L2L3L4M1(II)]2+
2=[L5L6L7L8M2(II)]2-
ここで、M1(II),M2(II)=Pt(II),Pd(II)
1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+、K2=[L5L6L7L8Pt(II)]2-の複錯塩の例
成分K1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+の例:
ここで用いられるカチオン性錯体は、例えば、α−ジイミン錯体、カルベン錯体、およびピンサー錯体、上述した錯体のようなもの、および中性配位子NL1〜NL4を有する一般の平面四角形白金錯体である。
【0039】
一般式(環CおよびDは、AおよびBに類似的に定義される(以下を参照))
【化15】

【0040】
ここで、ジイミン配位子、基R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、本明細書において定義されるようなものである(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化16−1】

【化16−2】

【化17】

【0041】
ここで、カルベン配位子、基R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、本明細書において定義されるようなものである(配位子および基の定義の欄を参照)。
【化18−1】

【化18−2】

【化18−3】

【化18−4】

【化18−5】

【化18−6】

【化18−7】

【化18−8】

【化18−9】

【0042】
成分K2=[L5L6L7L8Pt(II)]2-:の例:
用いられる錯アニオンは、好ましくは[Pt(CN)4]2-とすることができる。しかしながら、例えば[PtCl42-,[PtBr42-,[PtI4]2-,[Pt(C≡CR)4]2-,[Pt(ox)2]2-,[Pt(1,2−ジチオラート配位子)2]2-または[Pt(1,1−ジチオラート配位子)2]2-のような、M−M相互作用を促進する他の錯アニオンもまた、用いることができる。
【化19】

【0043】
146〜152は、一般式(144)および(145)の例示による一連の錯アニオンを示す:
【化20−1】

【化20−2】

【化20−3】

【0044】
1=[L1L2L3L4Pd(II)]2+、K2=[L5L6L7L8Pd(II)]2-の複錯塩の例
成分K1=[L1L2L3L4Pd(II)]2+の例:
用い得る二価の正に帯電した平面四角形のPd(II)錯体の例は、K1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+の上述した例であるが、Pt(II)はPd(II)により置き換えられなければならない。
【0045】
成分K2=[L5L6L7L8Pd(II)]2-の例:
用い得る二価の負に帯電した平面四角形のPd(II)錯体の例は、K2=[L5L6L7L8Pt(II)]2-の上述した例であるが、Pt(II)はPd(II)により置き換えられなければならない。
【0046】
種々の中心金属を有し、異なって帯電された錯体からなる複錯塩
ドープされた円柱構造
−K1−K2−K1−K2−D1−K2−K1−K2−K1
または
−K2−K1−K2−K1−D2−K1−K2−K1−K2
帯電した平面四角形のPd錯体(K1,K2)の鎖の中に低濃度で取り込まれる、帯電した平面四角形のPt錯体(D)のドーピングもまた好ましい。これは、Pt化合物の発光範囲をシフトさせることができる。Pd化合物の積層体は、ドープされたPt錯体と相互作用するマトリックスのようなものとして作用する。この原理によって、発光極大にシフトが生じる。ここでのドーピングは、一価のまたは二価の帯電した錯体(K1,K2)から作られた円柱構造に行なうことができる。
【0047】
例:
a)K1:平面四角形の一価の正に帯電したPd錯体
2:平面四角形の一価の負に帯電したPd錯体
1:平面四角形の一価の正に帯電したPt錯体
2:平面四角形の一価の負に帯電したPt錯体
b)K1:平面四角形の二価の正に帯電したPd錯体
2:平面四角形の二価の負に帯電したPd錯体
1:平面四角形の二価の正に帯電したPt錯体
2:平面四角形の二価の負に帯電したPt錯体
しかしながら、一価または二価に帯電したPd錯体を円柱構造に取り込んで、一価または二価に帯電したPt錯体を作ることもできる。これは、発光の原因であるオリゴマーのサイズを可能とし、こうして、発光波長を変えることができる。
【0048】
ドーピングの概念はまた、要素Ir(I)およびRh(I)の帯電した錯体から円柱構造を作るために、本発明において適用することができる。適切な電荷の平面四角形錯体は、ここで原因となる円柱構造にドープすることができる。
ドーピングのために用いられる錯体は、オリゴマー−マトリックス形成錯体に基づいて、最大1:3、好ましくは最大1:10、好ましくは最大1:50、特に最大1:100のモル比で、オリゴマーマトリックス中に存在することが好ましい。ドーピングのために用いられる錯体は、オリゴマーマトリックス形成錯体に基づいて、少なくとも1:100000,好ましくは少なくとも1:10000,より好ましくは少なくとも1:1000のモル比でオリゴマーマトリックス中に存在することが好ましい。
【0049】
円柱構造のドーピングのために説明される概念は、発光色を制御するために支配的に用いられ、OLED用途についての大きな重要性は、この理由のためである。青色または白色発光を生じさせることができるので、これは本発明の概念を用いることに特に当てはまる。特に、ドープされた錯体D1またはD2の限定された電荷ゆえに、−D1−D1−または−D2−D2−の隣接した配置は、本発明にかかる構造の理論において生じないという事実によって、本発明の概念は区別される。こうして、例えば好ましい青色が達成される。
【0050】
種々の金属中心を有し、一価の正に/負に、または二価の正に/または負に帯電した平面四角形錯体から作られた円柱構造:
すでに上で述べられた複錯塩に加えて、化学両論組成(アンドープ)において異なる金属中心を有する複錯塩もまた生じ得る。さらに好ましい状態において、さらなる成分がドープされる。
【0051】
−K1−K2−K1−K2−K1−K2−K1
例:
1:平面四角形の一価の正に(負に)帯電した錯体
2:平面四角形の一価の負に(正に)帯電した錯体
1=[L1L2L3L4M1(I)]+
[L1’L2’L3’L4’M1(II)]+
2=[L5L6L7L8M2(I)]-
[L5’L6’L7’L8’M2(II)]-
ここで、 M1(I)/M2(I)=Ir(I),Rh(I)
M1(II)/M2(II)=Pt(II),Pd(II)
以下の円柱構造が、例えばこれから生じる:
1=[L1L2L3L4Pt(II)]+
2=[L5L6L7L8Pd(II)]-
1=[L1L2L3L4Pd(II)]+
2=[L5L6L7L8Pd(II)]-

1=[L1L2L3L4Pt(II)]+
2=[L5L6L7L8Ir(I)]-

1=[L1L2L3L4Ir(I)]+
2=[L5L6L7L8Pt(II)]-

1=[L1L2L3L4Pt(II)]+
2=[L5L6L7L8Rh(I)]-
1=[L1L2L3L4Rh(I)]+
2=[L5L6L7L8Pt(II)]-

1=[L1L2L3L4Pd(II)]+
2=[L5L6L7L8Ir(I)]-

1=[L1L2L3L4Ir(I)]+
2=[L5L6L7L8Pd(II)]-

1=[L1L2L3L4Pd(II)]+
2=[L5L6L7L8Rh(I)]-

1=[L1L2L3L4Rh(I)]+
2=[L5L6L7L8Pd(II)]-

1=[L1L2L3L4Ir(I)]+
2=[L5L6L7L8Rh(I)]-

1=[L1L2L3L4Rh(I)]+
2=[L5L6L7L8Ir(I)]-
1:平面四角形の二価の正に(負に)帯電された錯体
2:平面四角形の二価の負に(正に)帯電された錯体
1=[L1L2L3L4M1(II)]2+
2=[L5L6L7L8M2(I)]2-
[L5’L6’L7’L8’M2(II)]2-
ここで、M2(I)=Ir(I),Rh(I)
M1(II)/M2(II)=Pt(II),Pd(II)
以下の複錯塩円柱構造が、これから生じる:
1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+
2=[L5L6L7L8Pd(II)]2-
1=[L1L2L3L4Pd(II)]2+
2=[L5L6L7L8Pt(II)]2-

1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+
2=[L5L6L7L8Ir(I)]2-

1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+
2=[L5L6L7L8Rh(I)]2-

1=[L1L2L3L4Pd(II)]2+
2=[L5L6L7L8Ir(I)]2-

1=[L1L2L3L4Pd(II)]2+
2=[L5L6L7L8Rh(I)]2-
1つの金属−錯体の組み合わせにおけるL1〜L8およびL1’〜L8’で示される配位子は、もう一つの組み合わせにおけるL1〜L8およびL1’〜L8’で示される配位子と同一である必要はない。
【0052】
さらなる組み合わせ:
円柱構造の以下のタイプもまた可能である(例):
3つ以上の異なる錯体からなる複合塩オリゴマー:
3種類の組み合わせの例:
−K1−K2−K3−K1−K2−K3−K1
1=[L1L2L3L4M1(II)]2+
2=[L5L6L7L8M2(II)]-
3=[L5L6L7L8M2(II)]-

1=[L5L6L7L8M2(II)]2-
2=[L1L2L3L4M1(II)]+
3=[L1L2L3L4M1(II)]+
1=[L1L2L3L4M1(II)]2+
2=[L5L6L7L8M2(I)]-
3=[L5L6L7L8M2(I)]-

1=[L5L6L7L8M2(II)]2-
2=[L1L2L3L4M1(I)]+
3=[L1L2L3L4M1(I)]+
L1〜L4およびL5〜L8は、それぞれ独立して、中性もしくは帯電した配位子、特に単座もしくは多座配位子を示す。配位子L1〜L8は、ここで、錯体の全体の電荷がいずれの場合でも維持される必要があるように、選択されなければならない。1つの金属−錯体の組み合わせにおいてL1〜L8およびL1’〜L8’で表わされる配位子は、もう一つの組み合わせにおいてL1〜L8およびL1’〜L8’で表わされる配位子と同一である必要はない。
【0053】
配位子および基の定義
L1〜L4,L5〜L8,L9〜L12、およびL1’〜L12’は、それぞれ独立して、中性もしくは帯電した、特に単座もしくは多座配位子を示す。配位子L1〜L12は、ここで、各場合において必要とされる錯体の全体の電荷が維持されるように、選択されなければならない。ここに述べられる全ての実施形態において、複錯塩の可溶化は特に好ましい。可溶化性を高めるために、少なくとも1つの配位子は、それゆえ、大きな有機基を有することが好ましく、特に好ましくは、1〜40個のC原子、好ましくは1〜20個のC原子を有する1つまたはそれ以上のアルキル基、および/または1つまたはそれ以上のポリシラン基(−OSiR2n−OSiR’3(ここで、n=1〜200、特にn=5〜30)、および/または1つまたはそれ以上のポリエーテル基、特に(−OCH2n−ORまたは(−OCH2CH2n−OR(ここで、n=1〜200、特にn=2〜30)、ここでRは、本明細書において定義されるとおりであり、R’は、Rについて示される意味を有することができるが、RおよびR’は、好ましくはC1〜C6のアルキル基である。
【0054】
ここで用いられる場合、配位子NL1〜NL4は、中性単座配位子である。好ましい中性配位子は、一酸化炭素,イソニトリル、例えばtert−ブチルイソニトリル、シクロヘキシルイソニトリル、アダマンチルイソニトリル、フェニルイソニトリル、メシチルイソニトリル、2,6−ジメチルフェニルイソニトリル、2,6−ジイソプロピルフェニルイソニトリル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイソニトリルなど、アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリンなど、ホスフィン、例えばトリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンなど、ホスファイト、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなど、アルシン、例えば、トリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ−tert−ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルシンなど、スチビン、例えば、トリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ−tert−ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンなど、および窒素含有へテロ環、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンなどから選択される。例えば、大きな置換基R’またはR''(R’およびR''はR1〜R20と同様に定義される)により置換されたニトリルまたはイソニトリルもまた、用いることができる。しかしながら、適切な中性配位子はまた、N,P,S,O,AsまたはSeを介して配位した化合物である。
【0055】
ここで用いられる場合、配位子AL1−AL4はアニオン性単座配位子を示す。好ましいアニオン性配位子は、水素化物、重水素化物、ハライドF,Cl,BrおよびI,アルキルアセチリド、例えばメチル−C≡C-,tert−ブチル−C≡C-など、アリールアセチリド、例えばフェニル−C≡C-,シアナイド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートなど、脂肪族もしくは芳香族アルコラート、例えばメタノラート、エタノラート、プロパノラート、イソプロパノラート、tert−ブチラート、フェノラートなど、脂肪族もしくは芳香族チオアルコラート、例えばメタンチオラート、エタンチオラート、プロパンチオラート、イソプロパンチオラート、tert−ブタンチオラート、チオフェノラートなど、アミド、例えばジメチルアミド、ジエチルアミド、ジイソプロピルアミド、モルフォライドなど、カルボキシレート、例えば、アセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ベンゾエートなど、およびアニオン性、窒素含有へテロ環、例えばピロライド、イミダゾライド、ピラゾライドからなる群から選択される。これらの基におけるアルキル基は、好ましくはC1〜C20のアルキル基、特に好ましくはC1〜C10のアルキル基、殊さら特に好ましくはC1〜C4のアルキル基である。アリール基もまた、ヘテロアリール基を意味すると解される。アリール基、アルケニル基、またはボレートは、さらに可能である。
【0056】
α−ジイミン配位子は、ここで用いられる際、五または六員環のいずれとすることもでき、その構成原子Z1〜Z12は、断片CR(X)(R(X)=R1〜R20の定義を参照のこと)またはNのいずれかであり、EはNR,OまたはSのいずれかとすることができる。この定義はまた、単位AおよびBは環を形成しないが、代わりに開いた環となる可能性を含むことを意味する。(“#”は第2の単位に結合する原子を示す):
【化21】

【0057】
ここで用いられる際、カルベン配位子という用語は、特に以下を示す:
【化22】

【0058】
シクロ金属化した配位子は、ここで用いられる場合、二座の、1価に負に帯電した配位子であり、それは
1)一方でsp2炭素原子を介して、他方で窒素原子を介して結合する。単位AおよびBは、五または六員環のいずれとすることもでき、開環していてもよい。構成原子Z1〜Z26は、断片CR(X)(R(X)=R1〜R20と同様に定義される有機基)またはNのいずれかからなり、EはNR,OまたはSのいずれかとすることができる。(“*”は、錯体結合を形成する原子を示し、“#”は第2の単位に結合する原子を示す):
【化23】

【0059】
2)一方でsp2炭素原子を介して、他方でカルベン炭素原子を介して結合する。単位Bは、五または六員環とすることができるが、開環していてもよい。構成原子Z13〜Z26は、断片CR(X)(R(X)=R1〜R20と同様の有機基,以下を参照のこと)またはNのいずれかからなり、Eは、NR,OまたはSとすることができる。(“*”は錯体結合を形成する原子を示し、“#”は第2の単位に結合する原子を示す):
【化24】

【0060】
ここで示される式において、R1〜R20,R,R’およびR''は、互いに同一でも異なっていてもよい。これらの基は、特に、H,重水素、F,Cl,Br,I,N(R21)2,CN,NO2,Si(R21)3,B(OR21)2,C(=O)R21,P(=O)(R21)2,S(=O)R21,S(=O)221,OSO221,1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R21C=CR21,C≡C,Si(R21)2,Ge(R21)2,Sn(R21)2,C=O,C=S,C=Se,C=NR21,P(=O)(R21),SO,SO2,NR21,O,SまたはCONR21により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、F,Cl,Br,I,CNまたはNO2により置き換えられてもよい)、または各場合において、1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよい、5〜60個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基、またはこれらの系の組み合わせから選択され、これらの置換基の2つまたはそれ以上は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族、および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよい。
【0061】
21は、出現毎に同一であるか異なり、H,F、または1つまたはそれ以上のH原子がFにより置き換えられてもよい、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族、および/またはヘテロ芳香族炭化水素基であり、ここで2つまたはそれ以上の置換基R21は、互いに単環もしくは多環、脂肪族もしくは芳香族の環系を形成していてもよい。
【0062】
溶解性、長い鎖を保障するために、分岐したアルキル鎖(C1〜C30)および短鎖ポリエーテル[例えば、ポリマー(−OCH2CH2O−)n,n<500]もまた、好ましい。また、アルキル鎖は、溶解性をさらに高める極性基で修飾されてもよく、例えば、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン,エーテル、ホスホン酸エステル、ホスホン酸である。
【0063】
ここで、R(X)は有機基を示し(R1〜R20の定義に類似して),これは同一であるか、互いに独立することができる。Xは連続した数であり、基Rの番号付けを果たす(例えばR(1),R(2),・・・)。有機基は、特に、R1〜R20について上で述べた基から選択することができる。
【0064】
ここで述べられるアルキル基は、特にC1〜C30の、好ましくはC1〜C20の、特に好ましくはC1〜C6のアルキル基を示す。アルキル基は、環を形成していてもよい。
【0065】
アルケニルおよびアルキニル基は、好ましくは2〜30個,特に2〜20個,とりわけ好ましくは2〜8個のC原子を有する。
【0066】
アリール基は、好ましくは5〜30個、特に5〜10個の環原子を有し、ここで、O,N,Pおよび/またはSから選択される0〜4個のヘテロ原子が存在することが好ましい。
【0067】
上で定義された一般的な用語である、α−ジイミン配位子、カルベン配位子およびシクロ金属化した配位子の配位子単位Aおよび/またはBはまた、NLおよび/またはALによって橋掛けされてもよい。
【表1】

【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0068】
CNRは、普通のイソニトリル配位子を示す。
【0069】
ここで述べられるオリゴマーは、光電子デバイス、特にOLEDにおける使用に極めて適切である。ここに述べられる全てのオリゴマーまたは円柱構造は、OLEDの製造に用いることができる。各場合に所望される発光色が、オリゴマーの適切な選択によって達成され得る。青色発光を達成するために、ドープしたオリゴマーが好ましく用いられる。
【0070】
本発明で用いられる金属錯体の反対の電荷ゆえに、静電的相互作用(イオン結合)がM−M結合の著しい安定をもたらし、そのような化合物の乏しい溶解性は、とりわけそれに起因する。この事実は、合成をかなり簡略化するものの、複錯塩は通常、それぞれ溶解する成分の組み合わせにおいて瞬時に沈殿するので、それは、より詳細な分析および種々の適用を、より難しくする。それらの低い揮発性ゆえに、真空昇華は塩のために通常は適切ではないので、薄膜の製造のための湿式化学法(例えば、スピンコート、印刷)が、OLEDのために必要とされる。しかしながら、それ自体は化合物のある程度の溶解性を必要とする。しかしながら、複錯塩が分散体として用いられる場合、あるいは拡散による導入のプロセスが選択される場合には、これは当てはまらない。(“OLEDにおける複錯塩の処理”のコメントを参照のこと。)
[L1L2L3L4Pt]2+[Pt(AL1)4]2-の発光白金複錯塩は、一般的に不溶性である。この例においては、配位子L1〜L4は中性である。L1〜L4は、互いに結合、すなわち多座配位子を形成することができる。この場合、それらは錯体を形成し、それは例えば、a)1つの二座および2つの単座配位子、b)2つの二座配位子、c)1つの三座および1つの単座配位子、またはd)1つの四座配位子のいずれかを含む。例えば、中性配位子は、α−ジイミン、例えば2,2’−ビピリジンまたは1,10−フェナントロリンのようなものとすることができ、AL1はシアナイド、クロライド、ブロマイド、またはアイオダイドイオンとすることができる。それらの優れた光物理特性ゆえに、本発明にかかるこれら複錯塩は、光電子用途(OLED)のための優れた候補である。
【0071】
処理技術としての可溶化
驚くべきことに、複錯塩は、極性溶媒中にオリゴマーとして、またはイオンとして溶解するように、ここで改良することができる。本発明の必須要件は、M−M相互作用ゆえに錯体スタック内における結合は強いものの、しかしながら、これらのスタックの間の極弱いファンデルワールス相互作用のみが本質的に存在するという事実を利用する。驚くべきことに、配位子の周辺における大きな有機基Rによる置換は、M−M相互作用を妨げないが、結晶格子としてもはや容易に整列しないように、種々のカラムの配列が崩壊する。ここでの置換は、正に帯電した錯体で、または負に帯電した単位でも行なうことができる。両方における置換もまた、可能である。溶解性は、こうして達成される。ここに示される例は、概念の一般的な妥当性を限定せずに、光電子配列における使用のために保護されるべき構成原理を説明することが意図される。
本発明にかかるオリゴマーは、また、マトリックス材料との組み合わせで用いることができる。適切なマトリックス材料は、燐光化合物のためのマトリックス材料として従来用いられているような種々のマトリックス材料である。適切なマトリックス材料は、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキサイド、または芳香族スルフォキサイドもしくはスルフォン、例えばWO04/013080,WO04/093207,WO06/005627もしくは未公開DE102008033943.1によるもの、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えばCBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO05/039246,US2005/0069729,JP2004/288381,EP1205527もしくはWO08/086851に記載されているカルバゾール誘導体、インドカルバゾール誘導体、例えば、WO07/063754またはWO08/056746によるもの、アザカルバゾール誘導体、例えば、EP1617710,EP1617711,EP1731584,JP2005/347160によるもの、バイポーラーマトリックス材料、例えばWO07/137725によるもの、シラン、例えばWO05/111172によるもの、アザボロールまたはボロン酸エステル、例えば、WO06/117052によるもの、トリアジン誘導体、例えば未公開出願DE102008036982.9,WO07/063754もしくはWO08/056746によるもの、亜鉛錯体、例えばEP652273もしくはWO09/062578によるもの、ジアザシロールまたはテトラアザシロール誘導体、例えば未公開出願DE102008056688.8によるもの、ジアザフォスフォール誘導体、例えば未公開出願DE102009022858.6によるもの、またはインデンカルバゾール誘導体、例えば未公開出願DE102009023155.2およびDE102009031021.5によるものなどである。
【0072】
例えば、優れた電力効率は、ITOアノード、正孔伝導(例えばPEDOT/PSSを含む)、本発明にかかる発光層、任意に正孔障壁層、電子伝導層、電子注入を改善するための薄膜LiFまたはCsF中間層、および金属電極(カソード)からなる典型的なOLED層構造において達成され得る。例えば、数100nmの全体の厚さを有するこれらの種々の層が適用され得る。対応するサンプルデバイスは、図3に示される。
【0073】
1.用いられる支持材料は、ガラスまたは任意の他の適切な固体またはフレキシブルな透明材料とすることができる。
【0074】
2.ITO=イリジウム錫酸化物。
【0075】
3.PEDOT/PSS=ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸。
【0076】
これは、正孔伝導材料(HTL=正孔輸送層)であり、水溶性である。
【0077】
4.発光層であり、しばしばEMLと略され、本発明にかかる発光物質を含む。化合物は、例えば適切な化学的可溶化(方法A)によって、または複錯塩分散体の混合/洗浄によって(方法B)、または拡散による導入の技術によって(方法C)錯体単位を可溶性にすることによって、有機溶媒中に溶解することができる。適切な有機溶媒を選択することによって、下層のPEDOT/PSS層の溶解を避けることができる。ここに述べられたオリゴマー円柱構造は、用途に依存するが、5wt%から100wt%の量でこの層の中に存在することが特に好ましい。本発明にかかる非可溶のオリゴマー/円柱構造もまた、エミッターマトリックス材料(例えば、PVK=ポリビニルカルバゾールまたはCBP=4,4’−ビス(9−カルバゾリル)ビフェニル)中に、分散体として導入することができる。しかしながら、それらは分散体の状態で100%の層として塗布することもできる。オリゴマー/円柱構造が十分に可溶性でない、あるいは不溶性の場合には、この製造形態が用いられ得る。
【0078】
5.ETL=電子輸送材料。例えば、蒸着により塗布され得るAlq3を用いることができる。厚さは、例えば40nmである。
【0079】
6.例えばCsFまたはLiFTを含む非常に薄い中間層は、電子注入バリアを低減して、ETL層を保護する。この層は、一般的に蒸着により塗布される。より簡素化されたOLED構造のために、ETLおよびCsF層は、任意に省略することできる。
【0080】
7.伝導性カソード層は、蒸着により塗布される。Alが例に相当する。Mg:Ag(10:1)または他の金属もまた、用いられ得る。
【0081】
デバイスにおける電圧は、例えば3〜15Vである。
【0082】
本発明のさらなる態様は光電子デバイスであり、特に発光デバイスであり、(i)アノードと、(ii)カソードと、(iii)アノードまたはカソードに直接接してまたは非接触で間に配置された発光層を含み、ここで定義されたようなオリゴマーを少なくとも1つ含む。
【0083】
本発明にかかる光電子デバイスは、湿式化学法により製造される。
【0084】
OLED中における複錯塩の処理
複錯塩は、溶解性が非常に乏しく、または不溶性でさえあるので、OLEDにおける光学的に適切な層、すなわち発光層中での複錯塩の処理/使用は、明白(単純)ではない。驚くべきことに、光電子構成部品における材料は、3つの異なる手法によってここで処理され得る:
可溶化:
成分の可溶化は塩を容易に溶解させるが、それにもかかわらず、好ましい光学特性を維持する。これは、配位子上の有機基の少なくとも1つのために、特別な実施形態を選択することによって達成される。特に、長鎖の、分岐もまた、アルキル鎖(C1〜C30)、および短鎖のポリエーテル[例えば、ポリマー(−OCH2CH2O−)n,n<500]は、溶解性を保証するために好ましく用いられ得る。アルキル鎖はまた、極性基で修飾されてもよく、例えば、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸、エーテル、ホスホン酸エステル、ホスホン酸などであり、これは溶解性におけるさらなる向上を促進する。
【0085】
分散体:
溶解性が乏しくまたは不溶性な複錯塩の本発明における使用のために、塗布は分散体、好ましくはナノ分散体の状態で行なうことができる。複錯塩のコロイド状のナノ分散体は、ポリマー溶液中に混合または洗浄して塗布され得る。ポリマー中における複錯塩の濃度は、2〜10wt%または10〜90wt%である。しかしながら、ナノ分散体、適切な媒体中に分散させたもの、として純粋な複錯塩(ポリマーなし)を塗布することも可能であり、こうして媒体の蒸発後に100%の発光層が達成される。必要であれば、複錯塩は、当業者に馴染みのある方法によって、ポリマー中に超音波処理で導入する前に、液相中に分散させることができる。さらに、複錯塩は、第1の成分の導入および第2、第3・・・成分の添加によって、超音波の作用で生成され得る。ナノ粒子の表面修飾は、当業者に知られた分散剤の添加によって任意に行なうことができる。分散剤の選択に依存して、ナノ分散体の安定性は、立体的、電気的または電気立体性のものとすることができる。特に適切な分散剤は、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ芳香族のアミン、ホスフィン、スルファイド、スルフォキサイド、スルホン酸、カルボン酸、アミノカルボン酸、およびチオカルボン酸である。特別の実施形態において、可溶化基を生じる錯体は、上述した[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][BF42,のような化合物であるが、本発明にかかる服錯塩のための分散剤として用いられ得る。ナノ分散した複錯塩は、残留している比較的粗い粒子を除去するためにマイクロ/ナノフィルターを通して濾過した後、ポリマー中に好ましく導入される。これはまた、100%の発光層としての塗布にも適用される。
【0086】
C.拡散法
ここで始めて提案された新規な拡散法は、不溶性または溶解性が乏しいオリゴマー/円柱構造の本発明にかかる使用のための発光層の製造において適切である。最初に、複錯塩の一般的に可溶性の成分が、光学的に関連したポリマー層の中に導入される。第2の成分は、その後、この層に適用される。第2の成分は、ポリマー層を通って拡散により第1の成分に移動し、ここで、不溶性のオリゴマーを形成する。所望の複錯塩濃度に達すると、第2の錯塩成分を洗浄により除去することによって、この方法は停止する。
【0087】
円柱構造を形成する複錯塩の使用によるOLEDのための本発明の利点:
効率的なOLEDの製造において生じる問題は、すでに上で述べられた。発光特性における特別な変化は、上で詳細に説明したように金属錯体の使用により達成され、その結果として、これらの不都合の多くはもはや生じない。従来のOLEDに使用されていた発光材料と比較すると、次のような利点が、本発明にかかるオリゴマー/円柱構造の使用において生じる:
i)オリゴマー/円柱構造中のM−M分離の変化の可能性、およびこれらのオリゴマー/円柱構造の平均鎖長の変化の可能性は、発光波長を、事実上は所望されるように青色から赤色のスペクトル領域に制御することを可能とする。
【0088】
ii)すでに上で説明された円柱構造のドーピングの概念(例えば、Pt錯体は、Pt錯体から作られたオリゴマー/円柱構造における濃度が低い)が用いられる場合には、青色発光はより容易に達成され得る。
【0089】
iii)さらに、複錯塩スタックの発光寿命が短くなり、これはOLEDの殊さら重要な必要性を表わす。
【0090】
iv)ここで述べられたオリゴマー/円柱構造の使用において、高い電流密度の使用が可能である。
【0091】
v)ここで用いられるオリゴマー/円柱構造は、特に高い発光量子収率を有する。
【0092】
vi)本発明にかかるオリゴマー/円柱構造は、一次元の半導体とみなすことができる。したがって、このタイプの構造は、非常に高い励起子の移動し易さを示す。
【0093】
vii)本発明に用いられるオリゴマー/円柱構造の複錯塩は、光電子デバイス中で非常に優れた電荷−キャリア移動性を有するという事実によって、さらなる本質的な特性が生じる。M-M相互作用は、HOMOをエネルギー的に高め、LUMOをエネルギー的に低める。さらに、2つの分子軌道は、分子の大きな数(オリゴマー/円柱構造の単位)にわたって、電子的に場所が移される。また、これは、正孔および電子の移動し易さにおける顕著な改善をもたらす。結果として、発光層(エミッター層、EML)は、移動性を高めるためにさらなる成分を何等必要とせず、すなわち、優れた電荷−キャリア移動性についてのマトリックスの部分的に制限された必要性は、多くの用途におけるこれら複錯塩の使用において低下し得る。こうして、効率における大きな増加、より少ない費用でのOLEDの製造を達成することができる。
viii)複錯塩が、化学的および光化学的に特に安定であり、OLED発光物質としての使用に特に適切であるという事実によって、さらなる本質的な特性が生じる。
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、それにより制限されることは意図されない。当業者は、創作力を要することなく、開示された範囲にわたる発明を実施して、こうして本発明にかかるさらなる有機エレクトロルミネッセンスデバイスを作製することができるであろう。
例:
可溶性のPt複錯塩の合成の例:
[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][Pt(CN)4
金属−金属複錯塩の可溶化の概念は、不溶性複錯塩[Pt(bpy)2][Pt(CN)4]の例を参照して説明されるであろう。各場合において、4,4’−位がCH3(CH28−アルキル基により置換されたビピリジルの特別な使用によって、非置換の不溶性化合物を可溶性にすることができる。
[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][BF42のための合成手法
【化25】

【0094】
合成は、修正された文献の手法にしたがって行なうことができる(A.Boixasse,J.Pons,X.Solans,M.Fontbardia,J.Ros,Inorg.Chim.Acta 2004,357,827参照)。
【0095】
[PtCl2(CH3CN)2](0.300g,0.862mmol)は、50mlの乾燥アセトニトリル中に、N2の下で懸濁させる。AgBF4(0.336g,1.724mmol)を加え、反応混合物を20h還流させる。沈殿したAgClを濾別し、透明無色の溶液に4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル(0.705g,1.724mmol)を加える。混合物は、次いで、さらに20h還流させる。沈殿した固体(AgClの残渣)を濾別し、透明な淡黄色の反応液をロータリーエバポレーター内で濃縮する。溶液は、フリーザー内に一晩配置し、その間、ベージュ色の固体が析出する。沈殿物を吸引により濾別し、エタノールおよびエーテルで洗浄し、次いで乾燥させる。固体は、ジクロロメタン中に溶解し、エーテルを用いて沈殿させる。微細な淡緑色の沈殿を濾別し、デシケーター内で乾燥させる。
【0096】
実験式: PtC5688428(1185.67g/mol)
元素分析:PtC5688428(1185.67g/mol)
計算値:C56.68,H7.48,N4.72
測定値:C56.68,H7.16,N4.56
質量分析:ES−MS,m/e=506.0 M2+,100%
[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][Pt(CN)4]のための合成手法
【化26】

【0097】
[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][BF42(0.0209g,0.0176mmol)、および[n−Bu4N]2[Pt(CN)4](0.0138g,0.0176mmol)は、各場合において、4mLのジクロロメタンに別個に溶解させる。次いで、2つの溶液を組み合わせる。溶媒を一晩ゆっくりと蒸発除去させ、黄色の固体が生じる。これをアセトニトリル(3ml)で洗浄し、デシケーター内で乾燥させる。
【0098】
実験式: Pt260888・CH2Cl2(1396.48g/mol)
元素分析:Pt260888・CH2Cl2(1396.48g/mol)
計算値:C54.95,H6.76,N8.54
測定値:C52.46,H6.50,N8.02
図2は、この新規物質の光学的な励起スペクトルおよび発光スペクトルを示す。
【0099】
[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][Pt(CN)2]のトルエン溶液
OLEDの製造のために、2wt%の溶液は、例えば200mgの[Pt(4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル)2][Pt(CN)4]を9.8gのアニソールに溶解させることにより調製する。
【0100】
例2:[Pd(bpy)20.9[Pt(bpy)20.1[Pt(CN)4]の調製
[Pd(2,2’−ジピリジル)2][BF42(533.1mg,0.9mmol)と[Pt(2,2’−ジピリジル)2][BF42(68.1mg,0.1mmol)との混合物を、50mlのジクロロメタン中に溶解させる。30mlのジクロロメタンに[n−Bu4N]2[Pt(CN)4](689.0mg,1.0mmol)が含まれる溶液を、強く攪拌しつつこの溶液に加え、混合物を室温で2時間攪拌する。溶媒は真空中で除去し、黄色の固体が50mのアセトニトリル中に吸収され、懸濁液は室温で12時間攪拌し、吸引により濾別して、このプロセスが3回繰り返される。最後の吸引濾過の後、生成物は、2mlのアセトニトリルで5回洗浄し、次いで、真空中で乾燥される。収率:95%。
【0101】
[Pd(bpy)20.9[Pt(bpy)20.1[Pt(CN)4]のトルエン分散液
9.8gのトルエン中に[Pd(bpy)20.9[Pt(bpy)20.1[Pt(CN)4]が含まれる200mgの懸濁液を、超音波で15h処理する。得られた分散液は、次いで濾過する。
【0102】
以下の化合物が、出発材料の適切な化学量論を用いることによって類推的に得られる:
【表3】

【0103】
Pd(bpy)20.99[Pt(bpy)20.01[Pt(CN)4]のトルエン分散液
9.8gのトルエン中に200mgの[Pd(bpy)20.9[Pt(bpy)20.1[Pt(CN)4]が含まれる懸濁液を、超音波で15時間処理する。得られた分散液は、次いで濾過する。
【0104】
以下の化合物は、文献の方法により調製され、トルエンとDMFとの混合物(1:1,v:v)中に2wt%で含まれる分散液として用いられる。
【表4】

【0105】
例10:溶液からの有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造および特性決定
LEDは、以下に概略を述べる一般的なプロセスにより作製する。これは、個々のケースにおいて、それぞれの状況に適合させなければならない(例えば、最適な効率または色を達成するために層厚の変化)。
【0106】
OLEDの作製のための一般的なプロセス:
これらの構成要素の作製は、ポリマー光発光デバイス(PLED)の作製に基づき、それはすでに文献に多数記載されている(例えば、WO2004/037887A2)。
【0107】
ここでの場合、以下のマトリックス材料または上述したマトリックス材料の組み合わせは、トルエン、シクロベンゼン、アニソールまたはDMFなどのような有機溶媒中に溶解させる。そのような溶液における典型的な固形分含有量は、10〜25g/Lの間であり、ここでデバイスのための典型的な層厚80nmは、スピンコーティングにより達成することができる。
【0108】
用いるマトリックス材料:
【化27】

【0109】
対応する複錯塩の溶液(例1参照)またはナノ分散液(例2〜9参照)は、その後、これらの溶液に加えられ、これにおいては、複錯塩に対するマトリックス材料またはマトリックス材料の組み合わせの比は、固体ベースで5wt%である。
以下の構造を有するOLEDは、上述した一般的なプロセスに類似して作製される:
PEDOT 20nm(水からスピンコートされた;PEDOTはBAYER AGから
購入;ポリ[3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン],
マトリックス+エミッター 80nm,5wt%のエミッター+95wt%のマトリック
ス材料の組み合わせ,トルエン、シクロベンゼンまたはDM
Fからスピンコートされた
Ba/Ag カソードとして10nmのBa/150nmのAg
構造化されたITO基板および、いわゆるバッファ層のための材料(PEDOT,実際にはPEDOT:PSS)は、市販されている(ITOはTechnoprintなどから、PEDOT:PSSはClevios Baytron P水性分散体としてH.C.Starckから)。発光層は、不活性雰囲気、ここではアルゴン中でスピンコートし、170℃で10分間加熱することにより乾燥させる。最後に、バリウムおよびアルミニウムを含むカソードを真空中で蒸着する。溶液処理されたデバイスは、標準の方法により特性決定される;上述のOLEDはまだ最適化されていない。
【0110】
表2は、効率および100cd/m2における電圧および色を示す。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの正に帯電した金属錯体と、少なくとも1つの負に帯電した金属錯体とを含有する、異なって帯電した金属錯体を含み、前記金属錯体は
式(I) K1=[L1L2L3L4M1]n+および
式(II) K2=[L5L6L7L8M2]n-
を有する電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
(ここで、
M1およびM2は、それぞれ、Ir(I),Rh(I),Pt(II),Pd(II)およびAu(III)から選択される金属中心を示し、
L1〜L4およびL5〜L8は、中性または帯電した配位子をそれぞれ示し、ここで、2つまたはそれ以上のL1〜L4およびL5〜L8は、互いに連結していてもよく、
n=1または2である。)
【請求項2】
オリゴマーは円柱構造−K1−K2−K1−K2
(ここで、
1は一価の正に帯電した錯体(式(I))を表わし、かつK2は一価の負に帯電した錯体(式(II))を表わす、または
1は二価の正に帯電した錯体(式(I))を表わし、かつK2は二価の負に帯電した錯体(式(II))を表わす)
を含む、または
オリゴマーは、円柱構造−K1−K2−K3−K1−K2−K3−K1
(ここで、
1は二価の正に帯電した式(I)の錯体を表わし、かつK2およびK3は、一価の負に帯電した式(II)の錯体を表わす、または
1は二価の負に帯電した錯体を表わし、かつK2およびK3は一価の正に帯電した錯体を表わす、または
1は三価の正に帯電した錯体を表わし、かつK2は二価の負に帯電した錯体を表わし、かつK3は一価の負に帯電した錯体を表わす、または
1は三価の正に帯電した錯体を表わし、K2は一価の負に帯電した錯体を表わし、かつK3は二価の負に帯電した錯体を表わす)
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
オリゴマーは、K1=[L1L2L3L4Pt(II)]+(式(I))とK2=[L5L6L7L8Pt(II)](式(II))との複錯塩であり、ここで、K1は特に下記式の1つを有し、
【化1−1】

【化1−2】

【化1−3】

【化1−4】

【化1−5】

かつ、
2は特に下記式の1つを有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイス。
【化2−1】

【化2−2】

【化2−3】

(ここで、
R1〜R20は、同一であるか異なり、出現毎に、以下の基の1つ、すなわち、H,重水素、F,Cl,Br,I,N(R212,CN,NO2,Si(R213,B(OR212,C(=O)R21,P(=O)(R212,S(=O)R21,S(=O)221,OSO221,1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐もしく環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R21により置換されていてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R21C=CR21,C≡C,Si(R212,Ge(R212,Sn(R212,C=O,C=S,C=Se,C=NR21,P(=O)(R21),SO,SO2,NR21,O,SまたはCONR21により置き換えられてもよく、そして1つ以上のH原子は、F,Cl,B
r,I,CNまたはNO2により置き換えられてもよい)、または各場合において1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよい、5〜60個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R21により置換されてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基、またはアリールへテロアリールアミノ基、または、これらの系の組み合わせであり、これらの置換基の2つまたはそれ以上は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよく、
21は、出現毎に同一であるか異なり、H,F、または1つまたはそれ以上のH原子がFにより置き換えられてもよい、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素基であり、2つまたはそれ以上の置換基R21は、互いに単環もしくは多環、脂肪族もしくは芳香族の環系を形成していてもよく、
NL1,NL2,NL3,NL4は、それぞれ同一であるか異なり、出現毎に、中性配位子、特に一酸化炭素、イソニトリル、アミン、ホスフィン、ホスファイト、アルシン、スチビン、および窒素含有へテロ環から選択され、
AL1,AL2,AL3,AL4は、それぞれ同一であるいか異なり、出現毎に、アニオン性配位子、特に、水素化物、重水素化物、ハライドF,Cl,BrおよびI,アルキルアセチリド、アリールアセチリド、アリール、アルキル、アルケニル、ボレート、シアナイド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコラート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコラート、アミド、カルボキシレート、およびアニオン、窒素含有へテロ環から選択される。)
【請求項4】
オリゴマーは、K1=[L1L2L3L4Pd(II)]+とK2=[L5L6L7L8Pd(II)]-との複錯塩であることを特徴とする請求項1〜3の一項またはそれ以上に記載の電子デバイス。
ここで、K1は特に以下の式の1つを有し、
【化3】

かつ、
2は下記式の1つを有する:
【化4】

(ここで、R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、請求項3で言及された意味を有する。)
【請求項5】
オリゴマーは、K1=[L1L2L3L4Ir(I)]+とK2=[L5L6L7L8Ir(I)]-との複錯塩であることを特徴とする請求項1〜4の1項またはそれ以上に記載の電子デバイス。
ここで、K1は特に以下から選択され、
【化5】

かつ、K2は特に以下から選択される、
【化6−1】

【化6−2】

【化6−3】

(ここで、R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、請求項3で言及された意味を有する。)
【請求項6】
オリゴマーは、K1=[L1L2L3L4Rh(I)]+とK2=[L5L6L7L8Rh(I)]-との複錯塩であることを特徴とする請求項1〜5の一項またはそれ以上に記載の電子デバイス。
ここで、K1は特に以下から選択される、
【化7】

かつ、K2は特に以下から選択され、
【化8−1】

【化8−2】

(ここで、R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、請求項3で言及された意味を有する。)
【請求項7】
オリゴマーは、K1=[L1L2L3L4Pt(II)]2+とK2=[L5L6L7L8Pt(II)]2-との複錯塩であることを特徴とする請求項1〜6の一項またはそれ以上に記載の電子デバイス。
ここで、K1は特に下記式から選択され、
【化9−1】

【化9−2】

【化9−3】

【化9−4】

【化9−5】

【化9−6】

【化9−7】

【化9−8】

【化9−9】

【化9−10】

【化9−11】

【化9−12】

かつ、
2は特に以下から選択される
【化10−1】

【化10−2】

【化10−3】

【化10−4】

(ここで、R1〜R20,NL1〜NL4およびAL1〜AL4は、請求項3で言及された意味を有する。
【請求項8】
オリゴマーは、K1=[L1L2L3L4Pd(II)]2+とK2=[L5L6L7L8Pd(II)]2-との複錯塩であることを特徴とする請求項1〜7の一項またはそれ以上に記載の電子デバイス。
【請求項9】
オリゴマー中に存在する全ての金属錯体は、同一の中心元素を有することを特徴とする請求項1〜8の一項またはそれ以上に記載の電子デバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの正に帯電した金属錯体と
少なくとも1つの負に帯電した金属錯体とを含む化合物であって、
前記金属錯体は、
式(I) K1=[L1L2L3L4M1]n+
式(II) K2=[L5L6L7L8M2]n-とを有する化合物。
(ここで、
M1およびM2は、Ir(I),Rh(I),Pt(II),Pd(II)およびAu(III)から選択される金属中心を表わし、特に、M1およびM2は特に、異なる金属中心を表わし、かつ
L1〜L4およびL5〜L8は、中性または帯電した配位子をそれぞれ表わし、ここで2つまたはそれ以上のL1〜L4およびL5〜L8は、互いに連結していてもよく、
n=1または2である。)
【請求項11】
Ir,Rh,Pt,PdおよびAuから選択される金属中心は、10〜90%の割合で化合物中に存在し、Ir,Rh,Pt,PdおよびAuから選択される少なくとも1つの金属は、これは第1金属とは異なり、10〜90%の割合で存在することを特徴とする請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Ir,Rh,Pt,PdおよびAuから選択される少なくとも3つの異なる金属中心イオンを有することを特徴とする請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
式(III)の複錯塩を少なくとも1つ含む、または式(IV)の複錯塩を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項10〜12の一項またはそれ以上に記載の化合物。
【化11】

(これにおいては、
0.00001≦x≦0.99999かつ
好ましくは、M1=Pd(II)かつM2=Pt(II))
【化12】

(これにおいては、
0.00001≦x≦0.99999かつ
好ましくはM1=Pd(II)かつM2=Pt(II))
【請求項14】
少なくとも1つの正に帯電した金属錯体と、
少なくとも1つの負に帯電した金属錯体とを含む化合物であって、
前記金属錯体は、
式(I) K1=[L1L2L3L4M1]n+
式(II) K2=[L5L6L7L8M2]n-とを有する化合物。
(ここで、
M1およびM2は、Ir(I),Rh(I),Pt(II),Pd(II)およびAu(III)から選択される金属中心を表わし、
L1〜L4およびL5〜L8は、中性または帯電した配位子をそれぞれ表わし、ここで、L1〜L4およびL5〜L8の2つまたはそれ以上は、互いに連結していてもよく、
n=1または2であり、ここで、溶解性を高めるために、1つまたはそれ以上の配位子は、大きな有機基、特に1つ以上のC1〜C40の、好ましくはC1〜C30のアルキル基、または1つまたはそれ以上のポリシロキサン基(−OSiR2−)nOSiR’3(ここで、n=1〜200,特に5〜30)、または1つまたはそれ以上のポリエーテル基(ここで、RおよびR’は、請求項3におけるR1〜R20と同じ意味を有するが、好ましくはC1〜C6のアルキル基である。)を含む。)
【請求項15】
請求項1で言及された式(I)および(II)の化合物の金属錯体塩が分散液の状態で塗布され、ここで式(I)の化合物は溶液の状態で導入され、式(II)の化合物は拡散により導入される請求項1〜9の一項またはそれ以上に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項16】
電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける請求項10〜14の1項またはそれ以上に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−506627(P2012−506627A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532513(P2011−532513)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006940
【国際公開番号】WO2010/046016
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】