説明

有機ポリマーのための溶媒移行法

有機ポリマーを一つの溶媒から別の溶媒に移行させる。第1の工程において、第1の溶媒中のポリマーの溶液を液滴に分け、水浴のような液相中に分散させ、第1の溶媒を液滴から除去して、液相中スラリーを生成させる。次に、第2の溶媒をスラリーと接触させて有機ポリマーを溶解させ、第2の溶液を生成させる。第2の溶液は液相から除去する。この方法は、ブタジエンポリマーを炭化水素溶媒から臭素化用ハロゲン化溶媒に移行させるのに特に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年8月5日に出願された米国仮出願第61/086,217号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、有機ポリマーを一つの溶媒から回収して、第2の溶媒に再溶解させる溶媒移行法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機ポリマーを一つの溶液から回収してから、第2の溶媒に再溶解させることが必要な状況が時折ある。これは、有機ポリマーを溶液重合法において製造した後、何らかの下流反応に供するケースに関連することが多い。場合によっては、2つの操作で異なる溶媒を使用することが必要である。
【0004】
このようなケースの一例は、ブタジエンポリマー又はコポリマーの重合とその後の臭素化である。重合は通常は炭化水素溶媒中で実施するのに対して、臭素化反応はハロゲン化溶媒中で行なうのが好ましい。ハロゲンは重合触媒を阻害する可能性があるので、ハロゲン化溶媒は重合工程には使用できない。臭素化ポリマーは炭化水素溶媒に難溶性であるため、炭化水素溶媒は臭素化反応に最適な溶媒ではない。取り扱い上、特定の回収工程を実施するまで、臭素化ポリマーは溶液中に保つのが好ましい。従って、ブタジエンポリマーは、重合工程で使用された炭化水素溶媒から、臭素化反応用のハロゲン化溶媒に移行させる必要がある。
【0005】
これらのような場合には、経済的観点から、可能な限り効率的に移行を行うのが望ましい。従って、移行は、迅速に且つ最小限のエネルギー消費と資本投資で行わなければならない。また、通常は2種の溶媒の二次汚染(cross-contamination)を防ぐことが必要である。
【0006】
溶媒移行を行う方法の1つは、出発溶液を熱水中に分散させることである。これにより、第1の溶媒が揮発され、ポリマーの粒子が形成される。ポリマー粒子をストリッピングして残留溶媒を除去し、乾燥させ、次いで第2の溶媒に再溶解させる。このアプローチは、エネルギーコストが高く、ストリッピング及び/又は乾燥工程中にポリマーが分解する可能性がある点で不利である。また、このアプローチは、ポリマーのガラス転移温度が低い場合にはあまり有用ではない。この場合、ポリマー粒子は軟質且つ粘着性で、乾燥時に凝集し、加工装置に付着する傾向がある。
【0007】
別のアプローチは、出発溶液をそれより揮発性の低い第2の溶媒と合してから、混合物を蒸留することである。第2の溶媒の揮発性が第1の溶媒に比べて充分に低いならば、揮発によって第1の溶媒を選択的に除去し、ポリマーを第2の溶媒中に溶解したままにすることができる。このアプローチには同様な欠点があり、特に溶媒の揮発に要するエネルギー量が大きい。また、揮発された第1の溶媒は、第2の溶媒で汚染されていることが多く、廃棄するか、又は循還させようとする場合には、さらに精製を行わなければならない。
【0008】
第2のアプローチの変形形態において、移行は、中間溶媒を用いて2工程で行う。中間溶媒を従来通り出発溶液に加え、第1の溶媒を揮発によって除去して、中間溶媒中のポリマー溶液を残す。次に、第2の溶媒を新しい溶液に加え、中間溶媒を揮発によって除去する。第2の溶媒中のポリマーの溶液が得られる。この方法では、第1の溶媒と中間溶媒との間に、次に中間溶媒と第2の溶媒との間に充分な揮発性の差が必要である。このような中間溶媒を見つけることは難しく、このアプローチは他のアプローチよりもエネルギーを更に大量に消費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、有機ポリマーの溶媒移行を実施するための効率的な方法が、特に有機ポリマーのガラス転移温度が約15℃又はそれ以下の場合に、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一面において、(1)第1の溶媒中の有機ポリマーの第1の溶液の液滴を形成し、(2)前記液滴から熱によって第1の溶媒をストリッピングして、有機ポリマーの粒子を形成せしめ、(3)前記工程(2)の前、間又は後に、前記液滴又は粒子を非溶媒液体中に浸漬せしめ、前記非溶媒液体中の前記有機ポリマーのスラリーを形成せしめ、(4)前記工程(2)及び(3)の後に、前記スラリーを第2の溶媒と接触させ、前記有機ポリマーを前記第2の溶媒中に溶解させて、第2の溶液を形成せしめ、(5)前記第2の溶液を非溶媒液体から分離することを含んでなる、第1の溶媒から第2の溶媒への有機ポリマーの移行方法である。
【0011】
好ましい方法において、非溶媒液体は水性相である。他の好ましい方法において、工程(2)は、液滴をスチームと接触させることによって実施する。
【0012】
この方法は、溶媒移行を行うための、コスト効率の良い効率的な方法である。また、この方法では、ポリマーは最高でも中高温までしか上昇せず、しかも、このような中高温での滞留時間は多くの場合、極めて短い。このため、この方法の間にポリマーが受ける熱分解の量を最小限に抑えることができる。
【0013】
この方法は、連続操作にうまく適合する。連続操作を行う場合であっても、第1の溶媒を除去した後であってスラリーを第2の溶媒と接触させる前に、スラリーを異なる装置に単に移行させることによって、第2の溶媒による第1の溶媒の汚染を容易に回避できる。このように、第1の溶媒の主要部分は、第2の溶媒とは接触しないので、汚染されない。第1の溶媒による第2の溶媒の汚染を防ぐことが必要な場合には、スラリーを第2の溶媒と接触させる前に、スラリーを熱によってストリッピングして、スラリー中に残り得る微量の第1の溶媒を揮発させることができる。一部の方法では、第2の溶媒の若干の汚染レベルは許容され得る場合がある。そのような場合、スラリーを第2の溶媒と接触させる前に微量の第1の溶媒を全て、スラリーから厳密に除去する必要はない。
【0014】
一部の態様において、本発明の方法は、ブタジエンポリマーを臭素化するためのより広範な方法の一部である。このより広範な方法は、
(a)炭化水素溶媒中のブタジエンポリマーの第1の溶液の液滴を形成せしめ;
(b)前記液滴から熱によって前記炭化水素溶媒の少なくとも95%をストリッピングして、ブタジエンポリマーの粒子及び炭化水素溶媒流を形成せしめ;
(c)前記工程(b)の前、間又は後に、前記液滴又は粒子を連続水性液相中に浸漬せしめて、前記連続水性液相中のブタジエンポリマーのスラリーを形成せしめ;
(d)前記ブタジエンポリマースラリーをハロゲン化溶媒と接触させることによって、ブタジエンポリマーをハロゲン化溶媒中に溶解させて、第2のブタジエンポリマー溶液を生成せしめ;
(e)前記第2のブタジエンポリマー溶液を前記水性液相から分離し;
(f)前記第2のブタジエンポリマー溶液を臭素化剤と接触させて、臭素化ブタジエンポリマーを生成せしめ;
(g)前記臭素化ブタジエンポリマーを前記ハロゲン化溶媒から回収し;そして
(h)前記工程(g)において回収されたハロゲン化溶媒の少なくとも一部を工程(d)に循還させる
ことを含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一態様を示す概略図である。
【図2】本発明の第2の態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法は、有機ポリマーの第1の溶媒中の溶液から出発する。有機ポリマーは、操作条件下で第1の溶媒及び第2の溶媒のいずれにも、それぞれ溶媒100重量部当たり少なくとも1重量部、好ましくは少なくとも20重量部、より好ましくは少なくとも50重量部の程度まで可溶な任意のポリマーであることができる。有機ポリマーは好ましくは非溶媒液体には実質的に不溶である、即ち非溶媒液体100部当たり5部以下、好ましくは1部以下程度までしか溶解しない。また、有機ポリマーは、溶媒交換プロセスの条件下において、第1の溶媒、第2の溶媒又は非溶媒液体のいずれとも反応性であってはならない。
【0017】
有機ポリマーは、例えば種々の型のポリエチレンポリマー及びコポリマー並びに種々の型のポリプロピレンポリマー及びコポリマーを含む種々の型のポリオレフィンポリマー又はコポリマーであることができる。有機ポリマーは、スチレンのようなビニル芳香族モノマーのポリマー又はコポリマーであることができる。有機ポリマーはポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート又はポリ尿素であることができる。種々のアクリレート及びメタクリレートモノマーのポリマー及びコポリマーを使用できる。
【0018】
有機ポリマーは、ガラス転移温度が15℃又はそれ以下、好ましくは−20℃又はそれ以下の合成ゴム材料であることができる。合成ゴムとしては、例えば種々の型の、共役ジエンのポリエーテル及びポリマー、特にブタジエンのポリマー及びコポリマーが挙げられる。本発明への使用に好ましい有機ポリマーはブタジエンホモポリマー又はブタジエン/スチレンブロックコポリマーのようなブタジエンのコポリマーである。
【0019】
有機ポリマーの出発溶液は、有機ポリマー、前記ポリマーの重合を行う溶媒及び、場合によっては、種々の型の反応副生成物を含む、溶液重合反応からの粗製反応溶液であることができ、その性質は個々の重合法によって異なるであろう。粗製反応溶液は更に他の材料、例えば未反応の出発原料及び/又は種々の理由で存在する可能性のある他の成分を含む場合がある。
【0020】
第1の溶媒は言うまでもなく、有機ポリマーの溶媒であるので、個々の有機ポリマーを念頭において選択する。また、第1の溶媒は非溶媒液体よりも揮発性が高くなければならない。第1の溶媒は好ましくは非溶媒液体と実質的に不混和性である、即ち操作条件下において第1の溶媒と非溶媒液体は、一方が他方の100部当り約5部以下、好ましくは約2部以下程度までしか互いに溶解しないのが望ましい。好ましい溶媒は100℃未満(特に80℃未満)の沸点(大気圧において)を有し、水に実質的に非混和性である。
【0021】
個々の有機ポリマーにもよるが、第1の溶媒として使用できる材料としては、テトラヒドロフランのようなエーテル;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン及び1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化アルカン;ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、イソオクタン、イソヘキサンのような脂肪族炭化水素;ベンゼン、ナフタレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;並びにブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族化合物が挙げられる。
【0022】
特に注目される粗製反応溶液の1つは、ブタジエンと少なくとも1種のビニル芳香族モノマーとのブロックコポリマー、特にスチレン/ブタジエンブロックコポリマーの非ハロゲン化非酸素化炭化水素溶媒中の溶液である。
【0023】
出発溶液を液滴の形態にし、加熱して第1の溶媒を飛ばし、非溶媒液体中に分散させて、スラリーを形成させる。これらの工程は多くの異なる方法で実施できる。場合によっては、これらの工程の2つ又はそれ以上を同時に実施することもできる。一部の態様においては、液滴は、反応溶液を直接、非溶媒液体中に分散させることによって形成する。他の態様においては、液滴を最初に形成し、次に非溶媒液体中に移行させる(第1の溶媒の除去前又は後に)。
【0024】
非溶媒液体は、溶媒移行法の条件下で有機溶媒が反応性でないもの、及び操作条件下における有機ポリマーの溶解度が非溶媒液体100部当たり約5部以下、好ましくは約2部以下であるものである。非溶媒液体は揮発性が第1の溶媒よりも低くなければならず、しかも、好ましくは第1の溶媒及び第2の溶媒のいずれとも非混和性(前記で定義した通り)である。非溶媒液体は、揮発性が第2の溶媒より高くても低くてもよい。非溶媒液体は好ましくは水、又は主に水を含む水性液体である。
【0025】
一部の態様においては、出発原料を直接、非溶媒液体中に分散させて、液滴を形成させる。非溶媒液体は連続相を形成し、出発溶液は分散相を形成する。これは、出発溶液と非溶媒液体を一緒にし、混合物に剪断力を与えることによって行うのが簡便である。種々の装置を使用でき、その選択は一般に本発明には重要でないと考えられる。出発溶液を剪断力して液滴にするのに充分な撹拌を提供するならば、撹拌槽が適当である。或いは、粗製反応混合物が液滴の形態であって、液滴を非溶媒液体に供給することもできる。その場合には、流体媒体は、液滴の合体を最小限に抑えるために撹拌しなければならない。撹拌は、所望ならば、液滴をより小さい液滴にサイズ変更する働きをすることができる。単一流体ノズル又は二流体ノズルが、粗製反応混合物の液滴を非溶媒液体中に導入するのに適当な装置である。
【0026】
出発溶液の液滴の別の形成方法は、溶液を、気体媒体中に分散された液滴を形成することである。この方法は特に連続プロセスに適する。こうして形成された液滴は、次に、液滴からの第1の溶媒の除去前または除去後に、非溶媒液体中に浸漬する。これを達成するために、種々の噴霧及び霧化技術を使用できる。微細な霧又は噴霧を形成するように設計されたノズル及びアトマイザーのような装置が適当である。所望ならば、単一流体ノズルを使用できる。この型のノズルは単一の流体(粗製反応溶液)のみをノズル先端に導き、そこで液体が気体媒体中に噴霧される。二流体ノズルも有用であり、本発明の一部の態様では好ましい。二流体ノズル設計では、粗製反応溶液と第2の流体(典型的にはスチームのような気体)が別々にノズル先端に導かれ、そこでそれらの液体が混ぜ合わされて、噴霧される。第2の流体は、粗製反応混合物を液滴中に分散させ且つ液滴をノズルから噴出させるのに使用するエネルギーを提供する。適当な二流体ノズルは、Spraying Systems,Inc.(Wheaton,Illinois USA)のような製造業者から市販されている。二流体ノズルによって生成される液滴の粒度分布は、霧化気体(及び下記のような任意のシュラウドガス(shroud gas))並びに粗製反応溶液を噴霧する相対速度を変化させることによって、変化させることができる。
【0027】
一部の態様においては、液滴を非溶媒液体と接触させる前に、液滴を気体媒体中に存在させながら、第1の溶媒の本質的に全て又は一部を噴霧液滴から揮発させる。或いは、液滴を非溶媒液体中に分散させた後に、第1の溶媒の一部又は全てを液滴から揮発させることができる。
【0028】
第1の溶媒は、液滴を第1の溶媒の少なくとも沸点(この工程中に使用される個々の圧力条件において)まで上昇させることによって揮発させる。第1の溶媒が非溶媒液体と共沸混合物を形成するならば、その場合の温度は、少なくとも共沸混合物の沸点(この場合も、使用する個々の圧力条件において)でなければならない。この温度は、使用する個々の圧力条件における非溶媒液体の沸点と同じであることができる。ある程度は、操作圧力を調整して、第1の溶媒の除去に必要な操作温度を上昇又は低下させることができる。例えば操作圧力が低いほど溶媒は低い沸点を有するので、減圧下で、このプロセスを実施すれば、より低い操作温度を使用できる。
【0029】
必要な熱は、気体媒体の加熱によって、液滴形成前の出発溶液の加熱によって又は液滴の加熱によって供給できる。或いは又は更に、これは、分散液全体を必要な温度まで加熱することによって実施できる。所望ならば、出発溶液を非溶媒液体中に分散させる前に、非溶媒液体を必要な温度まで上昇させることができる。或いは又は更に、液滴を最初に分散させ、次に分散液全体を必要な温度まで上昇させることができる。分散液全体を加熱せずに液滴を必要温度までを加熱するために、液滴の位置又はその近くでの局所的加熱のみを行うことも可能である。
【0030】
第1の溶媒を揮発させるために液滴を加熱する方法の1つは、粗製反応流体の加熱及び霧化に高温気体を用いることである。高温気体は、好ましくは前述のように二流体ノズル中で第2の流体として使用する。霧化用気体の熱エネルギーが供給し得るよりも多くの溶媒を液滴から蒸発させるのが望ましい場合には、追加高温気体をノズル先端の周囲に供給して、追加高温気体のシュラウドを形成することができる。高温シュラウド気体は、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム又はスチームを含む、臭素化ポリブタジエンポリマーと反応しない任意の気体であることができる。スチームが特に好ましい。
【0031】
分散液の好ましい加熱方法は、高温気体を分散液の液面下に導入することである。気体は、有機ポリマーと反応しない(且つ好ましくは溶媒又は非溶媒液体のいずれとも反応しない)任意の気体であることができる。気体は空気、窒素、アルゴン、ヘリウム又はスチームであることができる。特に非溶媒液体が水である場合には、その熱力学的性質及びコストの面から、スチームが特に好ましい。熱の供給に加えて、高温気体の液面下導入は、出発溶液を液滴中に分散させ且つ/又は液滴を分散させておくための追加エネルギーを提供する。
【0032】
特に効率的な方法においては、非溶媒液体を撹拌槽中に保持し、出発溶液及びスチームをいずれも非溶媒液体の液面下に導入する。2つの流体は好ましくは同時に、互いに空間的に近い位置に導入する。これにより、高温気体が、出発溶液を液滴に分けるエネルギーを供給することが可能になり、液滴の急速加熱を実現できる。更に好ましくは、2つの流体の導入は同時に、互いに空間的に近い位置で行うだけでなく、槽の高剪断領域、例えば撹拌機の先端近くでも行う。また、この配置は、出発溶液の液滴中への急速な分散及び液滴の効率的な加熱にも有利である。
【0033】
溶媒の除去につれて液滴が合体して大きい塊になることのないように、第1の溶媒の除去中に液滴に剪断力を適用する。液滴はある程度凝集して小さい凝集粒子を形成することが多いが、このようにして生成された凝集粒子が粉末又は微細な粒状材料を形成できる程度に小さければ、このような凝集は許容できる。
【0034】
第1の溶媒の除去につれて、有機ポリマーが析出し、粒子が形成される。ポリマー粒子が第1の溶媒を、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.25重量%以下しか含まないように、充分な量の第1の溶媒を除去する。本発明のためには、ポリマー粒子が溶媒を1重量%以下しか含まないならば、「本質的に全ての」第1の溶媒が除去されたとみなす。
【0035】
揮発した第1の溶媒を、得られたスラリーを含む槽から除去する。非溶媒液体からの揮発溶媒の分離には種々の気液分離技術を使用できるが、最も簡単なアプローチは、溶媒が移行でき且つ槽から溶媒を除去できるヘッドスペースを設けることである。ヘッドスペースは、揮発溶媒が凝縮することも液相中に再び入ることがない充分な温度及び圧力条件に保持する。多くの場合、非溶媒液体の一部が溶媒と同時に揮発する。揮発した非溶媒液体は、高温気体の添加の場合と同様にして、粒子からの残留溶媒の除去を助ける。この態様において、非溶媒液体の一部を揮発させる熱は、内部(例えば前述のように液面下スチームの導入によって)又は外部に適用してもよい。
【0036】
このようにして除去された第1の溶媒は、循還させることも別の方法で再利用することができる。必要ならば、第1の溶媒は、循還又は再利用の前に1つ又はそれ以上の精製工程に供することができる。例えばこの方法から除去された第1の溶媒は、ほとんどの場合、第1の溶媒と共に除去された若干量の非溶媒液体を含む。ほとんどの場合、このような非溶媒液体の少なくとも一部から第1の溶媒を分離することが必要か又は望ましいであろう。第1の溶媒及び非溶媒液体が互いに非混和性であり且つ異なる密度を有する場合には、このような分離は、蒸気(vapor)混合物を凝縮させた後にデカントするか又は非混和性液体を分離できる他の方法を用いることによって実施できる。別法として、蒸留又は他の方法を用いて、非溶媒液体から第1の溶媒を分離することもできる。このようにして分離された非溶媒液体は廃棄してもよいし、循還によって溶媒移行プロセスに戻してもよい。
【0037】
第1の溶媒を前記方法で除去した後、有機ポリマーは非溶媒液体中に粒子の形態で分散され、スラリーを形成している。溶媒移行は、有機ポリマーが第2の溶媒に溶解されるような条件下でこのスラリーを第2の溶媒と接触させることによって完了する。
【0038】
第2の溶媒は第1の溶媒とは異なるが、言うまでもなく、有機ポリマーの溶媒でもなければならない。第1の溶媒に関して記載した材料は一般に第2の溶媒としても有用である。第2の溶媒は好ましくは非溶媒液体と実質的に非混和性である、即ち操作条件下で第2の溶媒と溶媒液体とは、一方が他方の100部当たり約5部以下、好ましくは約2部以下程度までしか互いに溶解しないのが望ましい。第2の溶媒の揮発性は非溶媒液体の揮発性より高くても、低くても、ほぼ同程度であってもよい。
【0039】
特に注目される方法において、有機ポリマーは、臭素化プロセスに導入されるブタジエンホモポリマー又はコポリマーである。このような臭素化プロセスにおいて適当な溶媒は非プロトン性であり、第三炭素原子に結合した水素原子又は酸素を含まない。特に好ましい溶媒は、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン及び1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化アルカン;第三炭素原子に結合した水素原子を含まない環状アルカン;並びにハロゲン化芳香族化合物であるブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンである。有機ポリマーがブタジエンポリマー又はコポリマーである場合に特に好ましい4種の第2の溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモメタン及びブロモクロロメタンである。
【0040】
スラリーを第2の溶媒と接触させる条件は、有機ポリマーが第2の溶媒に溶解し且つ有機ポリマーがそれほど熱分解しないというものである。昇温及び撹拌はいずれも有機ポリマー粒子の急速溶解に有利であるので、いずれの条件も好ましい。温度は、一般に非溶媒液体の沸点と第2の溶媒の沸点のうちこの工程で使用する圧力条件において低い方の温度を超えないものとする。圧力はこの工程において過圧、大気圧又は減圧であることができるが、減圧は一般的に好ましくない。所望ならば、液体を沸騰させずにより高い温度を使用できるように、過圧を使用することができる。
【0041】
スラリーは、最初に生成される際には高温であるので、スラリーが冷めてしまう前に第2の溶媒をスラリーと接触させるのが効率的である。必要ならば任意の簡便な方法で追加熱を供給できる。所望ならば、第2の溶媒は加熱してから、スラリーと混合することができる。
【0042】
第2の溶媒による第1の溶媒の汚染を回避することが必要か又は望ましい場合には、スラリーを形成した槽から下流の槽にスラリーを移動させてから、スラリーを第2の溶媒と接触させるのが好ましい。そのようにして移動を行う前にスラリーから除去された第1の溶媒は、第2の溶媒との接触が全くなく、従って第2の溶媒で汚染されることがないであろう。
【0043】
スラリーが若干の残留量の第1の溶媒を含む場合には、第2の溶媒との接触前に残留量の除去が必要な場合がある。第2の溶媒が第1の溶媒で汚染されないことが重要な場合がこれに当たる。残留第1の溶媒は、種々の揮発法によってスラリーから除去できる。第1の溶媒による第2の溶媒の汚染が許容され得る場合には、スラリーを第2の溶媒と接触させる前に残留量の第1の溶媒を除去する必要はない。
【0044】
有機ポリマーが第2の溶媒中に溶解してその中に溶液を形成するまで、第2の溶媒はスラリーと接触させたままにしておく。次にこの溶液を非溶媒液体から分離して、溶媒移行を行う。
【0045】
言うまでもなく、分離方法は個々の非溶媒液体及び第2の溶媒によって異なるであろう。好ましくは、第2の溶媒と非溶媒液体は互いに実質的に非混和性であり、第2の溶媒中の有機ポリマー溶液は非溶媒液体とは異なる密度を有する。このため、混合物は相分離され、相はデカンテーション又は遠心分離法によって容易に分離させることができる。混合物から非溶媒液体を揮発させることも可能であるが、これはエネルギーを大量に消費するで、あまり好ましくない。
【0046】
非溶媒液体は回収して、本発明プロセスに循還させることができる。第2の溶媒による第1の溶媒の汚染防止が重要な場合は、非溶媒液体は何らかの適当な方法で清浄にして微量の第2の溶媒を除去してから、このプロセスに循還させることができる。しかし、溶媒交換プロセスがその一部を成すより広範な方法において非溶媒液体を更に下流に循還できるならば、微量の第2の溶媒による第1の溶媒の汚染の可能性がないので、これは非常に好ましい。
【0047】
本発明の方法の一態様を図1に図示する。ライン1は、第1の溶媒中有機ポリマーの出発溶液を運搬して、スラリー槽3に送る。高温の非溶媒液体がライン2を経て加えられる。図1に示した態様においては、スチームがライン4を経てスラリー槽3中に吹き込まれ、それを用いて、ライン1を経て供給された出発溶液が加熱及び霧化されて、スラリー槽3のヘッドスペースで出発溶液の液滴が形成される。スラリー槽3は撹拌機5又は同等の手段によって撹拌される。追加熱は、図示されていない手段を用いて、内部から又は外部からスラリー槽3に供給することができる。
【0048】
スラリー槽3のヘッドスペースにおいて形成された液滴は、スラリー槽3に含まれる非溶媒液体中に落下する。溶媒が液滴から揮発し、スラリー槽3の上部又はその近くからライン6を経て除去される。典型的には、非溶媒液体の一部が、溶媒と共にライン6を経て除去される。この混合物は任意的にスクラバー8中でスクラビングされ、任意の同伴ポリマー粒子が除去される。スクラバーは、図示していない手段によって外部から又は内部から加熱されて、スラリー槽3からの蒸気の凝縮が防止される。追加の高温非溶媒液体がライン7を経て任意的にスクラバー8に加えられて、任意的にスクラバー8によって捕捉された固形分がライン15a/15bによってスラリー槽3に戻される。揮発した溶媒の大部分はライン9を経て凝縮器10に運ばれ、そこで溶媒が凝縮される。凝縮された溶媒が依然として相当量の非溶媒液体を含む場合には、凝縮溶媒はライン11を経て任意的に分離器12に移動させることができ、そこで第1の溶媒と非溶媒液体が更に分離される。分離器12は、例えばデカンター、蒸留カラム又は他の適当な分離装置であることができる。分離された第1の溶媒は次に、再利用、更なる清浄化及び/又は循還のために、ライン13を経て除去される。分離器12において回収された非溶媒液体はスラリー槽3に循還されることができる。図示されるように、この循還はライン14及びライン15bによって行われる。
【0049】
スラリー槽3において形成されたスラリーは、ライン16を経て溶解槽17に移動させられる。第2の溶媒がライン18によって溶解槽17に導入される。溶解槽17は、好ましくは、スラリー粒子と第2の溶媒とをよく接触させるために、撹拌される。スラリー粒子は溶解槽17中で第2の溶媒に溶解する。図示した態様では、非溶媒液体と有機ポリマー溶液(第2の溶媒中)との混合物は溶解槽17からライン19を経て除去されて、分離装置20に移動させられ、そこで非溶媒液体がポリマー溶液から分離される。非溶媒液体はライン21を経て抜き取られ、ポリマー溶液はライン22を経て抜き取られる。ライン21を経て抜き取られた非溶媒液体は、スラリー槽3に循還され(必要ならば、適当な清浄化後に)、廃棄され又は何らかの下流のプロセスに循環することもできる。場合によっては、この分離を溶解槽17内で行うことが可能であり、その場合には、分離装置20は不要になり、省略できる。
【0050】
一部の態様において、本発明の方法は、ブタジエンポリマーを臭素化するためのより広範な方法の一部である。このより広範な方法は、
(a)炭化水素溶媒中のブタジエンポリマーの第1の溶液の液滴を形成せしめ;
(b)前記液滴から熱によって前記炭化水素溶媒の少なくとも95%をストリッピングして、ブタジエンポリマーの粒子及び炭化水素溶媒流を形成せしめ;
(c)前記工程(b)の前、間又は後に、前記液滴又は粒子を連続水性液相中に浸漬せしめて、前記連続水性液相中のブタジエンポリマーのスラリーを形成せしめ;
(d)前記ブタジエンポリマースラリーをハロゲン化溶媒と接触させることによって、ブタジエンポリマーをハロゲン化溶媒中に溶解させて、第2のブタジエンポリマー溶液を生成せしめ;
(e)前記第2のブタジエンポリマー溶液を前記水性液相から分離し;
(f)前記第2のブタジエンポリマー溶液を臭素化剤と接触させて、臭素化ブタジエンポリマーを生成せしめ;
(g)前記臭素化ブタジエンポリマーを前記ハロゲン化溶媒から回収し;
(h)工程(g)において回収されたハロゲン化溶媒の少なくとも一部を工程(d)に循還させる
ことを含んでなる。
【0051】
図2は、溶媒移行プロセスが臭素化プロセスと一体化された一態様を示す。この場合の有機ポリマーはブタジエンホモポリマー又はコポリマー、特にスチレン/ブタジエンブロックコポリマーである。非溶媒液体は水である。図2において、参照番号1〜22で識別される装置は、図1に関して記載した通りであり、同じ機能を果たす。図2において、分離装置20(又はポリマー溶液が溶解槽17で非溶媒液体から分離される場合には、溶解槽17)から抜き取られたポリマー溶液は、ライン22を経て反応装置23に移動させられる。第四アンモニウム又はホスホニウム三臭化物の溶液が、ライン24を経て反応装置23に導入される。ブタジエンポリマーと第四アンモニウム又はホスホニウム三臭化物は、反応装置23中で反応して、臭素化ブタジエンポリマーを生成する。臭素化反応に適当な装置は、WO2008/021417に記載されている。
【0052】
反応装置23中でおこる反応により、臭素化ブタジエンポリマー、第2の溶媒及び第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物の混合物を生成する。臭素化ブタジエンポリマーは、第2の溶媒中に部分的に又は全て溶解されるであろう。第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物は第2の溶媒にほとんど溶解しないので、水性相が存在しなければ、反応混合物から析出する傾向がある。従って、反応装置23において生成された反応混合物は通常はスラリーの形態であり、第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物、及びことによると、臭化ブタジエンポリマーの一部が第2の溶媒中に懸濁されている。
【0053】
反応混合物は第1の抽出カラム35に移動させられる(図示する通り、ライン25を経て)。第1の抽出カラム35は連続的に操作されるのが最も簡便である。1つ又はそれ以上の収容タンク(図示せず)が、上流の回分プロセスから、第1の抽出カラム35において開始する連続プロセスへの移行を容易にできる。
【0054】
臭素化ブタジエンポリマーの溶液又はスラリーは第1の抽出カラム35中で、還元剤を含む水性相によって抽出される。図示した態様においては、水が2箇所で第1の抽出カラム35に導入される。水と還元剤の溶液は、ライン34を経て導入される。更に、分離装置20(又は水が溶解槽17で有機ポリマー溶液から分離される場合には、溶解槽17)から抜き取られた水が、第1の抽出カラム35中に導入される(図示されるように、ライン21、27及び28を経て)。ライン21、27及び/又は28中で還元剤と水とを合すること、並びに水及び還元剤の全てを単一の流れで第1の抽出槽35に導入することは、本発明の範囲内である。別法として、水及び還元剤の全てがライン34を経て導入されることができ、その場合には分離槽20から得られた水はこのプロセスの別の箇所に循還される。
【0055】
図示の通り、第1の抽出カラム35は向流的に操作される。図示される配置は、第2の溶媒の密度が水の密度よりも高いことを前提としている。この場合には、臭素化ブタジエンポリマー溶液は、第1の抽出カラム35の上部近くで導入され、カラム内を下降する。水及び還元剤は第1の抽出カラム35のより下方に導入され、カラム内を上昇する。
【0056】
第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物は、第1の抽出カラム35中の水性相に移行させられ、そのようにして臭素化ブタジエンポリマーの溶液又はスラリーから除去される。還元剤は、第2の溶媒に可溶な任意の残留第四アンモニウム又はホスホニウム三臭化物を、第2の溶媒にはそれほど溶解しないが水性相にはより可溶である、対応する一臭化物塩に転化させる。これは、抽出効率を増加させ、貴重な第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物塩の高回収を確実にする。
【0057】
第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物水溶液が、第1の抽出カラム35の上部近くから抜き取られ、第2の抽出カラム37に移行させられる(図示するように、ライン36を経て)。
【0058】
第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物水溶液は、第2の抽出カラム37中で臭素及び第2の溶媒と接触させられる。図示した態様において、第2の抽出カラム37は向流的に操作され、この場合も、第2の溶媒の密度が水より高いことを前提とする。従って、第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物溶液(及び存在するならば、追加循還水)は第2の抽出カラム37の底部近くで導入される。図示されるように、臭素はライン40から加えられる。臭素は第2の溶媒中溶液として加えられることができる。第2の溶媒は第2の抽出カラム37の上部近くでライン39から加えられる。図示した態様において、新鮮な第2の溶媒は、このプロセスの下流から循還される。新鮮な第2の溶媒が水性ラフィネートと接触してから、その溶液が第2の抽出カラム37から出ていく。水性ラフィネートに同伴される微量の臭素はこのようにして新鮮な循還溶媒中に抽出される。同様に、追加の洗浄水が、好ましくは第四アンモニウム又はホスホニウム一臭化物供給材料より下方で(図示されるように、ライン26を経て)第2の抽出カラム37に加えられる。分離装置20(又は水が溶解槽17で有機ポリマー溶液から分離される場合には、溶解槽17)から抜き取られた水をこの洗浄水として使用してもよいし、或いは回収装置31からライン41を経て抜き取られた水を使用してもよい。このように水と溶媒と別々に添加することにより、水性相中に多く分配される一臭化物が、第四アンモニウム又ホスホニウム三臭化物種に効率的に転化され、今度は第2の溶媒中に多く分配される。
【0059】
その結果、第四アンモニウム又ホスホニウム三臭化物の溶液が第2の抽出カラム37中で形成される。この溶液は循還によって反応装置23に(図示されるように、ライン24を経て)戻される。
【0060】
洗浄された第2の溶媒中の臭素化ブタジエンポリマーの溶液又はスラリーが第1の抽出カラム35で形成される。この臭素化ブタジエンポリマーは、洗浄溶液又はスラリーから回収されて、固体臭素化ブタジエン生成物と溶媒流が生成される。溶媒流の全て又は一部は循還によってこのプロセスに戻すことができる。溶媒流の少なくとも一部は循還によって第2の抽出カラム37に(図示されるように、ライン33及び39を経て)、溶解槽17に(図示されるように、ライン33及び18を経て)、又は両方に戻すのが好ましい。
【0061】
図2に示すように、臭素化ブタジエンポリマーの溶液又はスラリーは第1の抽出カラム35からライン30を経て抜き取られ、回収装置31に移動させられる。臭素化ブタジエンポリマーは回収装置31中で第2の溶媒から分離されて、臭素化ブタジエンポリマー流32及び溶媒流33が生成する。回収装置31は2つ又はそれ以上の単位操作から構成することができる。
【0062】
回収装置31は、水洗工程を含むことができる。その場合には、水洗工程用の水は、分離装置20からライン21を経て抜き取られた循還水であることができる。図示するように、その水の全て又は一部はライン29を経て回収装置31に移動させられる。回収装置31から除去された水は、このプロセスの種々の箇所に循還される、例えば第1の抽出カラム35、回収装置31、第2の抽出槽37又はこのプロセスの別の水性流に戻されることができる。回収装置31から除去された水はスラリー槽3に循還させないのが好ましい。これは、循還水中に存在する可能性のある微量の第2の溶媒は次に第1の溶媒と接触すると考えられるためである。
【0063】
図1及び2は、本発明のプロセスの一部の態様の略図として記載するにすぎない。これらは、種々の好ましい又は任意的な構成を含む。示された種々の成分の設計を含む図1及び2は、特定の技術的構成又は詳細を示すことを目的としない。更に、種々のバルブ、ポンプ、加熱及び冷却装置、分析及び/又は制御装置などのような補助装置は図示されていないが、必要に応じて使用でき、又は望ましい場合があることは言うまでもない。
【0064】
本発明の方法は、前述の又は図示した構成以外の構成を含むことができる。例えば本発明のプロセスは、蓄積していく不純物をプロセスから除去するための手段として、種々のパージ流を取り去る手段を含むことができる。系からパージされた量を補充するために、新鮮な試薬又は溶媒を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1の溶媒中の有機ポリマーの第1の溶液の液滴を形成せしめ、(2)前記液滴から熱によって第1の溶媒をストリッピングして、有機ポリマーの粒子を形成せしめ、(3)前記工程(2)の前、間又は後に、前記液滴又は粒子を非溶媒液体中に浸漬せしめて、前記非溶媒液体中の前記有機ポリマーのスラリーを形成せしめ、(4)前記工程(2)及び(3)の後に、前記スラリーを第2の溶媒と接触させ、そして前記有機ポリマーを前記第2の溶媒中に溶解させて、第2の溶液を形成せしめ、そして(5)前記第2の溶液を非溶媒液体から分離することを含んでなる、第1の溶媒から第2の溶媒への有機ポリマーの移行方法。
【請求項2】
前記非溶媒液体が水である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(2)を、前記液滴をスチームと接触させることによって実施する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
連続的に操作する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記工程(3)の後に、スラリーを第2の溶媒と接触させる前に、前記スラリーを異なる装置に移動させる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
(a)炭化水素溶媒中のブタジエンポリマーの第1の溶液の液滴を形成せしめ;
(b)前記液滴から熱によって前記炭化水素溶媒の少なくとも95%をストリッピングして、ブタジエンポリマーの粒子及び炭化水素溶媒流を形成せしめ;
(c)前記工程(b)の前、間又は後に、前記液滴又は粒子を連続水性液相中に浸漬せしめて、前記連続水性液相中のブタジエンポリマーのスラリーを形成せしめ;
(d)前記ブタジエンポリマースラリーをハロゲン化溶媒と接触させることによって、ブタジエンポリマーをハロゲン化溶媒中に溶解させて、第2のブタジエンポリマー溶液を生成せしめ;
(e)前記第2のブタジエンポリマー溶液を前記水性液相から分離し;
(f)前記第2のブタジエンポリマー溶液を臭素化剤と接触させて、臭素化ブタジエンポリマーを生成せしめ;
(g)前記臭素化ブタジエンポリマーを前記ハロゲン化溶媒から回収し;そして
(h)前記工程(g)において回収されたハロゲン化溶媒の少なくとも一部を工程(d)に循還させる
ことを含んでなるブタジエンポリマーの臭素化方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−530624(P2011−530624A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522140(P2011−522140)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/052573
【国際公開番号】WO2010/017134
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】