説明

有機化合物を連続的に水素化する方法及び反応器

本発明は、均一系又は不均一系触媒の存在下で多相系において有機化合物を連続的に水素化する方法に関し、方法を、第1段階が、外部熱交換器を有するループ型反応器において実施され、第2段階が、制限された逆混合を有する気泡塔型反応器において実施される、2段階で実施することを特徴とする。加えて、本発明は、出発物質及び反応混合物を供給することができる、反応器領域の下側に配置された同心円状導管(2)及び上方に向けられた混合ノズル(3)、反応器から混合ポンプまで導く外部ポンプ循環系に位置する、ポンプ(4)及び熱交換器(5)も有し、並びに反応器の上側領域に取り付けられた1つ、又は1つより多いガス透過性及び液体透過性内部構造(10)を有し、水素化反応器(1)の全長と直径の比が、5:1〜100:1の範囲であり、反応器の上側領域の容量と反応器の下側領域の容量の比が、0.05:1〜10:1である、高い円柱形状の水素化反応器(1)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解又は懸濁触媒を含む多相系において有機化合物を連続的に水素化する方法であって、前記方法は2段階で実施され、その際、第1段階が、外部熱交換器を有するループ型反応器において実施され、第2段階が、制限された逆混合を有する気泡塔型反応器において実施されることを特徴とする方法に関する。本発明は、更に、本発明の2段階水素化を実施することができる反応器に関する。
【0002】
有機化合物の接触水素化は、一般に、不均一系触媒によって実施され、触媒は多くの場合に固定層として配置されている。不飽和化合物の水素化は、一般に、相当量の熱を放出し、その結果として、固定層反応器には、幾つかの場合において、熱除去のために非常に複雑な装置を備える必要がある。追加の作業が最大変換で水素化を実施することである場合、複数の冷却固定層を直列に連結する必要がある。水素化の過程において、短い稼働時間後であっても、触媒の活性及び/又は選択性が低下する場合があり、このことによって触媒の交換又は可能であれば再生が必要となる。固定層反応器において、この触媒の交換又は再生は、一般に連続稼働中に実施することができず、そのため、水素化プラントの運転停止が必要となる。
【0003】
あるいは、不均一系接触水素化は、懸濁反応の形態で実施することができ、この場合、水素化触媒は、例えば、撹拌槽型又はループ型反応器において機械的エネルギーを供給することによって懸濁される(例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry; Verlag Chemie, Electtronic Edition Release 2008, 7th Edition, chapter "Reactor Types and Their Industrial Application", page 24, Eigure 11を参照すること)。
【0004】
芳香族化合物を懸濁触媒で水素化することによる脂環式化合物の製造は、DE−C1−907294、US2,606,925、DE−A1−2132547、US4,394,522、US4,448,995又はDE−A1−3226889のような文献において多数の例が記載されている。反応の温度が異性体分布及び副産物の形成の両方に影響を及ぼしうることが、これらの例から明らかである。
【0005】
同様に、文献は水素化の多数の工業用途の例を含む。
【0006】
DE−A1−1793452は、液体反応媒質の一部を反応器から抜き取り、冷却器の中を通し、次に反応器に水素と一緒に液体表面の下に高速で戻す、接触水素化を連続的に実施する方法を記載する。そのような反応器の滞留時間分布は、完全逆混合撹拌槽型(「CSTR」)の滞留時間分布に相当する。
【0007】
DE−A1−19647126は、反応器のカスケード用の有孔板が設置された多段階気泡塔型反応器を記載する。
【0008】
EP−A2−57364は、高圧で炭素を水素化するための中間トレーが設置された反応器を開示し、中間トレーによって反応器において逆混合を防止することが意図されている。
【0009】
EP−A2−985446は、第1段階が撹拌容器で実施され、第2段階が気泡塔型反応器で実施される、グルコースを連続的に水素化してソルビトールにする2段階法を記載する。この組み合わせは、供給原料の99.1%までの変換率が可能になるように滞留時間を調整することを可能にする。
【0010】
DE−A1−10119135は、複数の懸濁反応器を直列に連結した反応器系においてジアミノジシクロヘキシルメタンを製造する連続的な方法を記載する。撹拌槽型反応器及び気泡塔型反応器の両方とも、可能な個別の反応器として記載されている。
【0011】
DE−A1−2039818は、ジアミノジフェニルメタンの2段階水素化のための方法及び反応器連結を開示する。反応は、最初に懸濁触媒により循環反応器において実施され、触媒は取り出されて循環反応器において再利用され、液体は、完全な変換のために、固定層触媒を有する第2反応器に供給される。
【0012】
引用された文書からは、有機化合物の水素化、特に芳香族化合物の水素化における温度は、副産物の形成及び異性体比の両方に影響を及ぼしうることが明らかである。温度が低すぎると、一般に反応は開始されないか又は進行が遅すぎる危険性があり、一方、過剰に高い温度は、反応の暴走までを含む望ましくない副反応の進行をもたらす可能性がある。
【0013】
水素化による変換は、加えて、特に芳香族化合物の対応する脂環式化合物への水素化の場合に最大であるべきであり、そうでなければ、未変換出発物質が、除去するのが困難であり、処理するのに扱いが困難である副産物を形成しうるので、後に続く例えば蒸留による得られた反応混合物の精製が複雑になる可能性があるからである。
【0014】
従来技術は、最初に、連続撹拌槽型反応器の滞留時間分布を有する、芳香族化合物の連続水素化のために良好な混合を有する反応器の使用を開示する。
【0015】
そのような反応器の滞留時間分布は、撹拌槽型反応器における水素化の高い変換が、バッチ式稼働によってのみ又は実質的に低流量での連続様式によってのみ達成可能であることを決定づける。撹拌槽型における熱の除去も、特に高容量の場合では、不十分な程度でしか可能ではない。
【0016】
一方、従来技術は、気泡塔型反応器を連続水素化反応器として開示する。
【0017】
逆混合を制限する内部構造を備えた気泡塔型反応器の使用は、滞留時間を延長することができ、したがってこの方法における変換を増加することができる。しかし、気泡塔型反応器における反応熱の除去は、撹拌槽型反応器と同様に限られたものである。
【0018】
撹拌槽型反応器と気泡塔型反応器の組み合わせは、連続稼働において高い変換率の達成を可能にする。しかし、反応器の主要反応部分(撹拌槽)における熱の除去についての問題は、解決されていない。加えて、そのような方法の技術的な適用は、非常に複雑であり、したがって費用がかかる。
【0019】
カスケードを形成する複数の気泡塔型反応器又は撹拌槽型反応器の直列連結は、連続稼働においてより高い変換率を達成することはできるが、発熱反応から熱を除去する問題は、この種類の反応形態によっても解決されない。加えて、方法形態の複雑さ及び幾つかの反応器を結合する場合の工業的な複雑さが増加するに従って、資本費用が増加する。
【0020】
固定触媒層によるループ型反応器と管型反応器の結合には、第1方法段階の後での懸濁触媒の技術的に複雑で経費のかかる除去を必要とする。
【0021】
したがって、本発明の目的は、有機化合物を水素化する技術的に簡単な方法を開発することであり、それによって発熱性の高い水素化を、狭い温度範囲内、高処理量及び非常に高い最終変換で連続様式により実施することも可能である。本発明の方法は、反応を確定された温度範囲内で実施することを可能にし、したがって、反応体の異性体比を制御し、望ましくない副産物の形成を防止するべきである。方法は、高い変換率を可能にして、未変換反応体の除去を簡素化するべきである。更に、方法の反応様式及び装置構成は、技術的に簡単であり、経済的に実現可能な方法で適用可能であるべきである。加えて、この方法は、触媒の交換又は再生のための反応器の望ましくない運転停止の回数を低減できるように、長期間の耐用寿命を可能にするべきである。
【0022】
この目的は、本発明によると、均一系又は不均一系触媒の存在下で多相系において有機化合物を連続的に水素化する方法であって、前記方法は2段階で実施され、その際、第1段階が、外部熱交換器を有するループ型反応器において実施され、第2段階が、制限された逆混合を有する気泡塔型反応器において実施されることを特徴とする方法によって達成される。
【0023】
本発明は、多相系において水素化を実施するのに適している。そのような多相系において、水素はガス相を構成し、一方、有機化合物は液体相に存在する。触媒を液体相に溶解することができるか又は触媒は液体相に懸濁液中の固相として存在することができる。
【0024】
本発明の方法において水素が使用される。
【0025】
水素化に使用される水素は、一般に、化学量論の条件に必要な量の1〜10倍、好ましくは1.1〜5倍の比較的多量の化学量論的過剰量で使用される。循環ガスとして反応において再利用することができる。水素は、一般に技術等級純度で使用される。水素を水素含有ガスの形態、すなわち窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン又は二酸化炭素のような他の不活性ガスとの混合物で使用することもできる。使用される水素含有ガスは、例えば改質オフガス、精油所ガスなどであることができる。しかし、好ましいことは、方法において純粋な水素又は実質的に純粋な水素を使用することである。
【0026】
本発明の方法において、追加的に、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素、炭素−窒素又は炭素−酸素結合を含む有機化合物の使用が可能である。
【0027】
そのような有機化合物の例は、水素化されてアミンになる、少なくとも1つ又は2つ以上のカルボキサミド基、ニトリル基、イミン基、エナミン基、アジド基又はオキシム基を含む化合物である。
【0028】
加えて、本発明の方法において、水素化されてアルコールになる、少なくとも1つ又は2つ以上のカルボン酸エステル基、カルボン酸基、アルデヒド基又はケト基を含む化合物が可能である。
【0029】
方法において、アルケン及び/又はアルキンのような不飽和炭素−炭素結合を有する有機化合物の使用も可能である。
【0030】
有用な有機化合物には、不飽和又は飽和の炭素環又は複素環に部分的に又は完全に変換されうる芳香族化合物又は複素環式芳香族化合物も含まれる。
【0031】
使用される有機化合物は、好ましくは芳香族化合物である。
【0032】
本発明の方法による水素化に有用な芳香族出発物質には、下記が含まれる:
アニリンのような芳香族モノアミン、異性体トルイジン、異性体キシリジン、1−又は2−アミノナフタレン、ベンジジン及び置換ベンジジン;
異性体フェニレンジアミン(o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン)のような芳香族ジアミン、2,4−ジアミノトルエン及び/又は2,6−ジアミノトルエンのような異性体トリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレンのような異性体ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン(MDA)、メタ−キシレンジアミン(MXDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン及びビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン;
ポリマーMDA(ポリメチレンポリフェニルアミン)のような芳香族ポリアミン;
安息香酸のような芳香族モノ−及びジカルボン酸及びそのエステル、異性体フタル酸及びそのエステル、好ましくはそのメチルエステル;
アントラニル酸のような芳香族アミノカルボン酸及びそのエステル;
フェノール及びビスフェノールAのような芳香族アルコール;並びに
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、異性体キシレン、インデン、テトラリン及びナフタレンのような芳香族炭化水素。
【0033】
置換芳香族化合物を使用することも方法において可能であり、芳香族環の水素化と同様に置換基の水素化も生じることができる。その例は、異性体ニトロアニリンのようなニトロ基を有する芳香族モノアミン又はアセトフェノンのような芳香族ケトン又はベンゾニトリル、トルニトリル若しくはo−アミノベンゾニトリルのような置換ニトリルである。
【0034】
加えて、本発明の方法においてピリジン、ピロール又はインドールのような芳香族窒素含有複素環を使用することが可能である。
【0035】
好ましいことは、方法において、前述の芳香族モノ−、ジ−及び/又はポリアミンのような芳香族アミンを使用することである。
【0036】
特に好ましいことは、方法において、ポリマーMDA、アニリン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン(MDA)、メタ−キシレンジアミン(MXDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン及び/又はビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタンを使用することである。とりわけ好ましいことは、方法において、アニリン、メタ−キシレンジアミン(MXDA)、ビス(4−アミノフェニル)メタン(MDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン及びビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタンを使用することである。
【0037】
芳香族アミンは、アミノ基に加えて、更なる置換基を有さない場合があるか又は1つ、又は1つより多い更なる置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ハロアルキル、シリル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシル若しくはアルコキシカルボニル置換基を有する場合がある。
【0038】
本発明の方法により得られる脂環式アミンを、界面活性剤、薬剤及び植物保護剤、安定剤、光安定剤、ポリマー、ポリアミド、イソシアネート、エポキシ樹脂用硬化剤、ポリウレタン用触媒、第四級アンモニウム化合物を製造するための中間体、可塑剤、腐蝕防止剤、合成樹脂、イオン交換体、織物用助剤、染料(Farbstoff)、加硫促進剤、乳化剤を製造するための合成単位として、並びに/又は尿素及びポリ尿素の製造用の出発物質として使用することができる。特に、アニリンの水素化により得られるシクロヘキシルアミンを腐蝕防止剤又は加硫促進剤として使用することが可能である。
【0039】
ビス(4−アミノフェニル)メタン(MDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン及び/又はビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタンの水素化生成物を、ポリアミドのモノマー単位として、エポキシ樹脂用硬化剤として又は対応するイソシアネートの製造用の出発物質として使用することができる。
【0040】
水素化は、溶媒を用いて又は用いることなく実施することができる。溶媒の使用は、有機化合物が固体形態で存在して、仮に大変な複雑さを伴うとしても、溶融体としてのみ取扱及び運搬可能である場合に有利である。使用される溶媒は、イソプロパノール、イソブタノール若しくはt−ブタノールのようなアルコール又はジエチルエーテル、グルコールジメチルエーテル、ジオキサン若しくはテトラヒドロフランのような他のものであることができる。
【0041】
しかし、使用される溶媒は、反応によって形成される最終生成物であることもできる。
【0042】
有用な溶媒には、前述の溶媒の混合物も含まれうる。
【0043】
好ましい溶媒は、イソプロパノール、イソブタノール及び/又はt−ブタノールである。特に好ましいことは、反応により形成される最終生成物を溶媒として使用することである。
【0044】
溶媒は、通常、水素化に意図される有機化合物の10〜50%(質量%)、好ましくは15〜40%、より好ましくは20〜30%の溶液が得られる量で使用される。特に好ましいことは、溶媒を使用することなく方法を実施することである。
【0045】
本発明の方法は、水素化に適した均一系又は不均一系触媒の存在下で進行する。好ましいことは、不均一系触媒の存在下で水素化を実施することである。
【0046】
有用な均一系触媒には、液体及び/又は可溶性水素化触媒、例えばウイルキンソン触媒、クラブトリー触媒又はリンドラー触媒が含まれる。
【0047】
使用される不均一系触媒は、例えば、個別の又は混合物での、白金、パラジウム、ルテニウム及びロジウムのような貴金属又はモリブデン、タングステン、クロムのような他の遷移金属であるが、特に、鉄、コバルト及びニッケルである。
【0048】
活性及び安定性を増加するために、不均一系触媒を微細分布形態で方法に使用することが可能である。
【0049】
触媒は支持物質を含むことができる。
【0050】
使用される支持物質は、典型的には、グラファイト、カーボンブラック及び/又は活性炭のような炭素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、ゼオライト、並びにアルミノケイ酸塩、及びこれらの支持物質の混合物である。
【0051】
支持物質の形状及び大きさは変わることができる。支持物質の典型的な平均粒径は、0.0001から5ミリメートルまで、好ましくは0.0005〜1mm、より好ましくは0.001〜0.5mmの範囲である。
【0052】
触媒の濃度は、使用される有機化合物の質量と使用される溶媒の質量の合計に基づいて、典型的には1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
【0053】
特定の実施態様において、芳香族化合物の水素化に使用される不均一系Ru含有触媒は、好ましくは、酸化ルテニウム水和物に基づいた触媒である。特に好ましいことは、DE−A1−2132547に開示されているRu含有触媒を使用することである。そのような好ましい触媒の製造は、例えばDE−A1−2132547の4頁〜5頁及び実施例1に詳細に記載されている。典型的には、沈殿により得られた不均一系Ru含有触媒の平均粒径は、1nm〜1μmの範囲、好ましくは3nm〜100nmの範囲である。例えば、Ruの酸化物水和物の形態で使用されるルテニウム粒子の平均粒径は、DE−A1−2132547の開示によると、4〜6nmである。
【0054】
不均一系触媒は、典型的には、使用される液体反応体又は溶媒中の触媒の懸濁液の形態で使用される。
【0055】
本発明の方法は、典型的には、1〜500barの圧力、好ましくは50〜325barの圧力、より好ましくは150〜250barの圧力で実施される。
【0056】
方法は、一般に、50〜300℃の温度で実施され、好ましくは120〜280℃の温度範囲である。
【0057】
本発明の方法は2段階で実施される。
【0058】
第1段階は、外部熱交換器を有するループ型反応器において実施される。
【0059】
ループ型反応器の例は、内部及び外部ループを有する管型反応器である。そのような反応器は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia (Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Verlag Chemie, Electronic Release 2008, 7th Edition, chapter "Stirred Tank and Loop Reactors" and chapter "Bubble Columns")に詳細に記載されている。
【0060】
ループ型反応器は、典型的には垂直の、好ましくは円筒形の管型反応器から構成される。ループ型反応器の長さと直径の比は、典型的には2:1〜100:1、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは5:1〜50:1、特に好ましくは5:1〜30:1である。
【0061】
反応体は、個別に又は混合されて管型反応器に供給される。
【0062】
反応体は、好ましくは管型反応器の下側領域から、好ましくは、ループ型反応器の下側領域に配置されている混合ノズルを介して供給される。
【0063】
用語「混合ノズル」は、慣用的な方法において、流れの方向を狭める管を意味する。
【0064】
水素ガス、溶媒に溶解されうる反応体及び触媒溶液又は触媒懸濁液は、一般に、混合ノズルにおいて密接に混合され、反応器に供給される。
【0065】
混合ノズルを1物質又は2物質ノズルとして設計することができる。1物質ノズルでは、液体反応混合物のみが噴霧され、水素は、例えば散布又は分布環により他の位置からではあるが、好ましくは液体相で反応器に供給される。この構成の有利な点は、そのような1物質ノズルの構造が簡単なことであり、欠点は、反応混合物において水素の分散が比較的不十分なことである。
【0066】
2物質ノズルでは、水素は、液体反応混合物と一緒に供給及び分散される。この実施態様において、反応混合物における水素の高度な分散が典型的に達成される。
【0067】
混合ノズルは、好ましくは2物質ノズルとして構成される。
【0068】
本出願の文脈において、2物質ノズルは、触媒粒子が液体反応混合物に懸濁されて存在するノズルも意味する。
【0069】
混合ノズルの好ましい実施態様は、図2に示され、下記に詳細に記載される。
【0070】
ループ型反応器は、一般に、外部循環系(外部ループ)を有する管型反応器として構成される。
【0071】
外部循環系を有するループ型反応器では、一般に抜取線が反応器の任意の望ましい位置、好ましくは反応器の下側領域に存在し、それを介して、反応混合物が運搬ユニットにより外側循環系の中を通って混合ノズルに戻る。
【0072】
運搬ユニットは、好ましくはポンプであり、したがって外部循環系は、典型的にはポンプ作動循環系と呼ばれる。
【0073】
ポンプの例は、遠心ポンプ又は回転羽根ポンプ若しくは歯車ポンプを含む回転ピストンポンプである。特に好ましいことは、遠心ポンプを運搬ユニットとして使用することである。
【0074】
本発明の方法において、第1段階は、外部循環を有するループ型反応器において実施され、この場合、熱交換器は、外部循環系に存在する。本発明の文脈において、そのような反応器は、外部熱交換器を有するループ型反応器と呼ばれる。
【0075】
熱交換器は、例えば、管束熱交換器、二重管熱交換器、平板熱交換器又は渦巻き式熱交換器である。反応器の設計圧力が100bar未満では、好ましくは管束熱交換器が使用され、より高い圧力では、好ましくは1つ、又は1つより多い直列連結二重管熱交換器が使用される。
【0076】
外部熱交換器を有するループ型反応器は、典型的には、反応混合物の一部が、熱交換器の中を運搬された反応混合物を冷却する外部熱交換器が存在する、外部ポンプ作動循環系を介して反応器の外側に運搬されるように稼働する。
【0077】
外部ポンプ作動循環は、一般に、いわゆる外部ループ流を生じる。その結果、第1反応段階の反応混合物は、一般に、第1段階の滞留時間が典型的には完全逆混合撹拌槽型(CSTR)に相当する高い程度で混合及び循環される。
【0078】
反応混合物は、最終的に、混合ノズルによって反応器に戻される。典型的には、新たな反応体、水素ガス及び触媒溶液又は触媒懸濁液は、ポンプ作動循環系に計量導入され、ポンプ作動循環系に既に存在している流と一緒に反応混合物として、好ましくは混合ノズルによって反応器に供給される。水素ガスも、一般に、混合ノズルに供給され、前記水素ガスは、第1及び/又は第2反応段階の下流のガス分離器で反応混合物から除去される(循環ガス)。
【0079】
好ましい実施態様において、ループ型反応器は、外部ループ流に加えて、いわゆる内部ループ流が形成されるように構成される。内部ループ流を有するループ型反応器において、同心円状で好ましくは円筒形の導管が一般に管状反応器の内部に配置され、反応器の末端部を除いて管状反応器の実質的に全長にわたって延びている。
【0080】
導管は、一般に単管として構成される。導管の長さと直径の比は、一般に5:1〜100:1、好ましくは5:1〜50:1である。
【0081】
導管の直径は、典型的には管型反応器の直径よりも小さい。導管の直径と管型反応器の直径の比は、一般に0.3:1〜0.9:1、好ましくは0.5:1〜0.7:1である。
【0082】
導管と反応器内壁の間の空間は、一般に環空間(Ringraum)と呼ばれる。
【0083】
混合ノズルは、典型的には、混合ノズルにより生じたガス/液体ジェットが導管に向けられるように配置されている。
【0084】
混合ノズルは、好ましくは、導管の下端部の下に配置され、特に導管の直径の1/8から1本の導管の直径までの間隔で離されているか又は導管の中に、数本の導管直径の深さまで埋め込まれている。
【0085】
混合ノズルにより生じたガス/液体ジェットは、導管の中に流れをもたらし(上昇流塔)、導管を出た後、液体が導管と反応器内壁の間の環空間内の混合ノズルの方向に戻るように、偏向される(下降流塔)。このことは、一般に内部ループ流を生じる。混合ノズルが管型反応器の下端部に存在する場合、内部ループ流は、典型的には、ガス浮力の利用を介して導管内に形成される気泡塔により増強される。
【0086】
内部ループ流と外部循環においてポンプ作動された反応混合物との流量比は、好ましくは2〜30:1、より好ましくは5〜20:1である。
【0087】
内部ループ流を有するループ型反応器を、2本の別個のパイプラインによって構成することもでき、この場合、上向き流は、第1パイプラインで実施され、ガスと液体はこのパイプラインの上方で分離され、液体は第2パイプラインの中を下向きに通って混合ノズルに戻される。
【0088】
熱交換器による外部ポンプ作動循環を有するループ型反応器を、熱交換器による外部ポンプ作動循環を有する撹拌槽型反応器と同様に構成することもできる。この実施態様において、上記に記載された反応体は、好ましくは、それらをポンプ作動循環系に供給し、反応混合物を混合ノズルで導入することにより供給することができる。好ましいことは、反応体を反応器の下部に供給することである。撹拌は、一般に、反応器において良好な混合を達成し、反応器の熱は、外部熱交換器を介して除去することができる。
【0089】
しかし、好ましいことは、内部ループ流を有するループ型反応器で前記方法の第1段階を実施することである。
【0090】
反応混合物の一部は、典型的には第1反応段階から第2反応段階に供給される。
【0091】
本発明によると、第2反応段階は、制限された逆混合を有する気泡塔型反応器であり、すなわちガス及び液体の循環は、この第2反応段階の滞留時間分布が管型反応器に相当するように制限されている。
【0092】
この確定された液体滞留時間は、反応の変換が実質的に完了するまで進行することを可能にする。加えて、低い反応熱しか放出されないので、更なる冷却装置は一般に第2反応段階において必要ない。
【0093】
気泡塔型反応器は、典型的には垂直の、好ましくは円筒形の管型反応器から構成される。
【0094】
気泡塔型反応器の長さと直径の比は、典型的には2:1〜100:1、好ましくは5:1〜50:1、より好ましくは10:1〜30:1である。
【0095】
方法の第2段階における気泡塔型反応器による逆混合は、好ましくは内部構造により制限される。そのような装置の組み込みは、一般に循環を制限し、したがって、ガス及び液体の逆混合を制限する。内部構造は、典型的には、ガス、液体及び溶解又は懸濁触媒から構成される多相混合物が、相の分離なしに、あるいはこの反応部分において固体の沈降及び堆積なしに一緒に流れることができるようなものである。
【0096】
気泡塔型反応器における逆混合の制限は、例えば、多様な内部構造の組み込みにより適用することができる。
【0097】
好ましい実施態様において、逆混合は、管型反応器に複数の固定トレーを組み込むことによって制限される。
【0098】
したがって、一般に、確定された反応容量を有する個別のセグメント(「区画」)が個別のトレーの間に生じる。個別のセグメントは、それぞれ、一般に単独の逆混合撹拌槽型反応器として作用する。個別のセグメントの数が連続的に増加すると、そのようなカスケードの残留時間分布は、一般に管型反応器の残留時間に近づく。トレーは、好ましくは液体透過性散布トレー(Begasungsboeden)として構成される。そのような散布トレーの例は、簡単な有孔板及びスロットトレーであり、散布ノズル又は2物質バルブを備えたシート又はトレー及び特殊構造散布トレー、例えばノズルトレー又はソーマントレー、トンネルキャップトレー又はクロスフロートレーが可能である。
【0099】
散布トレーは、好ましくは、有孔板、スロットトレー、ノズルトレー、ソーマントレー、トンネルキャップトレー又はクロスフロートレーとして構成される。散布トレーは、より好ましくは穴あきシートとして構成される。
【0100】
気泡塔型反応器の容量は、典型的には、設置されたトレーによりおよそ同じ大きさの個別のセグメントに分けられている。
【0101】
そのように形成された個別のセグメントの数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜6である。
【0102】
個別のセグメントの容量は、気泡塔型反応器の総容量に基づいて、好ましくは、それぞれの場合において5〜50%、より好ましくは10〜25%である。しかし、個別のセグメントの別の分布も、反応系及び放出される反応熱に従って可能である。
【0103】
更に好ましい実施態様において、逆混合は、気泡塔型反応器の全容量に、不規則に充填された不規則充填物、又は規則充填物(strukturierten Packung)を組み込むことによって制限される。
【0104】
不規則充填物及び規則充填物の場合、好ましいことは、液体とガス相の更なる混合をもたらし、同時に、触媒の沈降を防止するために低い液体滞留量を有する設計を選択することである。したがって、使用される材料は、一般に、最小限の多孔度を有するべきであり、同時に流れ沈静化領域を有するべきではない。固体堆積物を防止するために、表面は、例えば金属又は光沢セラミックの場合、好ましくは可能な限り平滑であるべきである。
【0105】
使用される不規則充填物は、例えば、Pall(登録商標)リング又はRascjig(登録商標)リングであることができる。使用される規則充填物の設計は、一般に、他の状況では蒸留カラムの内部構造として慣用的に使用される全ての設計であることができ、例えば、Mellapack(登録商標)、Optiflou(登録商標)、Mellagrid(登録商標)、BX(登録商標)、CY(登録商標)、Mellacarbon(登録商標)、Melladur(登録商標)、Kerapak(登録商標)型(Sulzer Chemtech)、MontzのMontz-Pak(登録商標)型及びFlexipac(登録商標)(Koch-Glitsch)である。
【0106】
第1反応段階のループ型反応器及び第2反応段階の気泡塔型反応器を、例えばパイプラインにより互いに連結している2つの空間的に離れた装置として配置することができる。
【0107】
しかし好ましい実施態様において、両方の反応段階、特にループ型反応器及び気泡塔型反応器は、1つの装置(水素化反応器)として配置される。
【0108】
この好ましい実施態様において、水素化反応器は、長い円筒形の管(高い円筒形の設計hochzylinderische Bauform)として構成される。
【0109】
管の全長と直径の比は、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは5:1〜50:1、最も好ましくは10:1〜30:1の範囲である。
【0110】
円筒管は、典型的には2つの領域に分けられている。
【0111】
水素化反応器の第1領域は、外部熱交換器を有するループ型反応器として上記に記載されたように構成される。
【0112】
水素化反応器の第2領域は、気泡塔型反応器として上記に記載されたように構成される。
【0113】
ループ型反応器の領域及び気泡塔型反応器の領域は、一般に内部構造、好ましくは散布トレー、例えば有孔板により互いに離されている。
【0114】
気泡塔型反応器の領域は、典型的には、逆混合を防止する最初に設置された要素から始まる。この場合、最初に組み込まれた要素も、気泡塔型反応器の領域に数えられる。
【0115】
逆混合を制限する最初に組み込まれた要素までの領域は、ループ型反応器の領域に指定される。
【0116】
内部構造が取り付けられ、水素化方法の第2段階が実施される反応器の上側領域の容量と、方法の第1段階が実施される反応器の下側領域の容量との比は、好ましくは0.1:1〜10:1の範囲、より好ましくは0.3:1〜2:1の範囲、最も好ましくは0.4:1〜1.5:1の範囲、特に1:1である。
【0117】
方法の第2段階が実施される反応器の上側領域の容量は、散布トレーにより個別のセグメント(区画)に分けられ、散布トレーにより分けられている個別のセグメントの1つの容量は、反応器の総容量に基づいて好ましくは5〜50%の範囲である。
【0118】
個別のセグメントの数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に2〜6である。
【0119】
とりわけ好ましい実施態様において、内部構造が取り付けられ、水素化方法の第2段階が実施される反応器の上側領域の容量と、方法の第1段階が実施される反応器の下側領域の容量との比は、0.4:1〜1.5:1の範囲、特に1:1であり、個別のセグメントの数は2〜6である。この好ましい実施態様は、第1反応段階における変換及び装填に変化がある場合でさえも、高い変換率を達成するのに十分な滞留時間を可能にする。
【0120】
本発明の方法は、ループ型反応器と気泡塔型反応器が1つの装置に統合される好ましい実施態様において、第1反応段階のループ型反応器における反応体の供給口と第2反応段階の気泡塔型反応器におけるガス液体混合物の出口との間に、最大で20Kの温度差、好ましくは10K未満の温度差が生じるように実施される。
【0121】
ループ型反応器の温度は、ポンプ循環系における冷却器の循環速度及び寸法により非常に正確に固定化することができる。
【0122】
変換率は、この反応器において、好ましくは供給される触媒の量によって調節される。気泡塔型反応器の出口において実質的に極めて完全な変換を達成するため及び反応器全体で生じる最大温度差を20K未満、好ましくは10K未満に制限するため、方法の第1段階のループ型反応器において90〜98%、好ましくは92〜98%の範囲の変換率を確立することが有利であることが見出された。
【0123】
方法の第1段階の変換率は、好ましくは、供給される触媒溶液又は触媒懸濁液の濃度により調節される。一般に、方法の第1段階の変換率は、触媒濃度が増加することにより増加しうる。
【0124】
変換は、ポンプ循環系から試料採取することにより、より好ましくは適切なオンライン分析方法により、好ましくは赤外線又は近赤外線測定によりモニターすることができる。
【0125】
第2反応段階は、一般に、反応混合物がガス浮力により生じた流れによりループ型反応器として設計された領域を通過し、気泡塔型反応器の内部構造に入るように配置されている。
【0126】
第2反応段階(気泡塔型反応器)の最上部では、液体及びガスが反応器(水素化反応器)から一緒に流出し、一般に、下流の分離容器(ガス分離器)において相互分離される。分離されたガスは、典型的には、第1反応段階の混合ノズルに戻される(循環ガス)。
【0127】
第1反応段階のループ型反応器及び第2反応段階の気泡塔型反応器を、上記に記述されたように、2つの分離した装置として配置することもできる。
【0128】
そのような代替的な実施態様において、ループ型反応器は、上記に記載されたように、外部熱交換器を有するループ型反応器として構成される。
【0129】
気泡塔型反応器は、上記に記載されたように、逆混合を制限する内部構造を有する管型反応器として構成される。
【0130】
内部ループを有するループ型反応器において、衝突プレートを、ループ型反応器の上側領域内の導管の上端部の上に配置することができる。衝突プレートは、一般に、導管に対して直角に配置され、好ましくは1〜2本の導管の直径の間隔で離されている。衝突プレートは、好ましくは円盤状であり、直径は、導管の直径よりも大きく、ループ型反応器の内径よりも小さい。厚さは一般に約5〜10mmである。衝突プレートは、典型的には、反応器の上側領域において流れを逆転させる機能を有する。
【0131】
反応段階が2つの別個の装置として構成されているこの代替的な方法変形において、水素ガス及び液体反応混合物は、典型的には、好ましくは混合ノズルによりループ型反応器に供給される。ループ型反応器の任意の点において、例えば下側領域において又はポンプ作動循環系において(しかし、反応体の計量添加の上流において)、液体反応混合物の一部は枝分かれして第2反応段階に供給される。方法の第1段階の反応混合物は、ポンプにより供給することができるが、供給は、方法の第2段階が幾分低い反応圧力で稼働し、反応混合物が圧力差の結果として方法の第2段階に運搬されるような方法で実施することもできる。
【0132】
第1段階の反応混合物は、典型的には、好ましくはノズルにより、好ましくは水素ガスと共に第2段階の気泡塔型反応器に計量導入される。しかし、水素ガスを、例えば、好ましくは気泡塔型反応器の下側領域のガス導入又は分布リングを介して別個に供給することもできる。反応体、特に水素ガスが供給される、気泡塔型反応器の下側領域には、典型的には内部構造がない。この典型的には内部構造がない領域は、典型的には、第2反応段階の気泡塔型反応器の容量の5〜50%に相当する。使用される内部構造が有孔板のようなトレーである場合、水素ガスを第1トレーの上流の反応チャンバー又は第1と第2トレーの間の反応空間に導入することができる。
【0133】
水素ガスを新たに供給することができるか又は循環ガスとして供給することができる。
【0134】
第2反応段階の最上部では、液体及びガスが気泡塔型反応器から一緒に流出し、一般に、下流の分離容器(ガス分離器)において相互分離される。分離されたガスは、典型的には、第1及び/又は第2反応段階の混合ノズルに戻される(循環ガス)。
【0135】
反応は、ループ型反応器と気泡塔型反応器が1つの装置に統合される好ましい方法の実施態様の実施と同様に、第1反応段階のループ型反応器における反応体の供給口と第2反応段階の気泡塔型反応器におけるガス液体混合物の出口との間で、最大で20Kの温度差、好ましくは10K未満の温度差が生じるように実施される。変換率は、好ましくは供給される触媒の量によって調節される。気泡塔型反応器の出口において最大変換を達成するため及び反応器全体で生じる最大温度差を20K未満、好ましくは10K未満に制限するため、方法の第1段階のループ型反応器において90〜98%、好ましくは92〜98%の範囲の変換率を確立することが有利であることが見出された。方法の第1段階の変換率は、好ましくは、供給される触媒溶液又は触媒懸濁液の濃度により調節される。一般に、方法の第1段階の変換率は、触媒濃度が増加することにより増加しうる。
【0136】
しかし、本発明の方法は、好ましくは、方法の2つの段階が1つの装置に配置されている本発明の反応器により実施される。
【0137】
したがって、本発明は、反応体及び反応混合物を供給することができる、反応器領域の下側に配置された同心円状導管(2)及び上方に向けられた混合ノズル(3)、反応器から混合ポンプまで導く外部ポンプ循環系に存在する、ポンプ(4)及び熱交換器(5)、並びに反応器の上側領域に取り付けられた1つ、又は1つより多いガス透過性及び液体透過性内部構造(10)を有し、この際、水素化反応器(1)の全長と直径の比が、5:1〜100:1の範囲であり、反応器の上側領域の容量と反応器の下側領域の容量の比が、0.05:1〜10:1である、高い円筒形の設計の水素化反応器(1)を更に提供する。
【0138】
本発明の方法の第1段階は、水素化反応器(1)の下側領域において実施され、一方、水素化方法の第2段階は、水素化反応器(1)の上側領域において実施される。
【0139】
水素化反応器(1)の下側領域には、管型反応器の内部に、管型反応器の下側領域の実質的に全長から反応器の上側領域の内部構造まで延びている同心円状の円筒形導管(2)が配置されているが、内部構造は、1〜2本の導管の直径の間隔で導管の上端部から離れている。
【0140】
導管(2)は、一般に単管として構成される。導管の長さと直径の比は、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは5:1〜25:1、最も好ましくは10:1〜20:1である。
【0141】
導管の直径と管型反応器の直径の比は、一般に0.3:1〜0.9:1、より好ましくは0.5:1〜0.7:1である。
【0142】
導管と反応器内壁の間の空間は、一般に環空間と呼ばれる。
【0143】
混合ノズル(3)は、典型的には、混合ノズルにより生じたガス/液体ジェットが導管に向けられるように配置されている。混合ノズルは、好ましくは、導管の下端部の下に配置され、特に導管の直径の1/8から1本の導管の直径までの間隔で離されているか又は導管の中に、数本の導管直径の深さまで埋め込まれている。
【0144】
混合ノズルの上端部は、好ましくは1本の導管の直径で導管に埋め込まれている。
【0145】
抜取線が水素化反応器、好ましくは反応器の下側領域に存在し、それを通して反応混合物が、ポンプ(4)により外部ポンプ作動循環系内の混合ノズル(3)に戻される。
【0146】
ポンプ(4)の例は、遠心ポンプ又は回転羽根ポンプ及び歯車ポンプを含む回転ピストンポンプである。特に好ましいことは、遠心ポンプを運搬ユニットとして使用することである。
【0147】
用語「混合ノズル」は、慣用的な方法において、流れの方向を狭める管を意味する。水素ガス、溶媒に溶解されうる反応体及び触媒溶液又は触媒懸濁液は、混合ノズルにおいて密接に混合され、反応器に供給される。
【0148】
混合ノズルを1物質又は2物質ノズルと定義することができる。
【0149】
1物質ノズルの場合では、液体反応混合物のみが噴霧され、水素は、例えば散布又は分布リングにより他の位置からではあるが、好ましくは液体相で反応器に供給される。この実施態様の有利な点は、そのような1物質ノズルの構造が簡単なことであり、欠点は、反応混合物において水素の分散が比較的不十分なことである。
【0150】
2物質ノズルの場合では、水素は、液体反応混合物と一緒に供給及び分散される。この実施態様において、反応混合物における水素の高度な分散が典型的に達成される。
【0151】
混合ノズルは、好ましくは2物質ノズルとして構成される。
【0152】
本出願の文脈において、2物質ノズルは、触媒粒子が液体反応混合物に懸濁されて存在するノズルも意味する。混合ノズルの好ましい実施態様は、図2に示され、下記に詳細に記載される。
【0153】
外側循環系には、熱交換器(5)がある。
【0154】
好ましくは、反応体の供給のために備えられる供給ライン(6、7及び8)が、外側循環系に備わっている。
【0155】
熱交換器は、例えば、管束熱交換器、二重管熱交換器、平板熱交換器又は渦巻き式熱交換器である。反応器の設計圧力が100bar未満では、好ましくは管束熱交換器が使用され、より高い圧力では、好ましくは1つ、又は1つより多い直列に連結された二重管熱交換器が使用される。
【0156】
水素化反応器の上側領域には、1つ、又は1つより多いガス透過性及び液体透過性内部構造(10)が取り付けられており、それによって上側領域は反応器の下側領域から空間的に分けられている。
【0157】
有用な内部構造には、前述の内部構造が含まれ、ガス透過性及び液体透過性内部構造(10)は、好ましくは有孔板のような散布トレーである。内部構造を、上記に記載されたように、不規則充填物又は規則充填物として構成することもできる。
【0158】
水素化反応器(1)の全長と直径の比は、好ましくは5:1〜100:1、より好ましくは5:1〜50:1、最も好ましくは10:1〜30:1の範囲である。
【0159】
長く薄い管という水素化反応器の設計は、幾つかの利点を提供する。反応技術の観点から、長い管は、上昇するガス気泡が反応器の中で比較的長い滞留時間を有し、したがって再圧縮されることなく高変換で変換されうるので有利であることが見出された。装置の観点から見ると、そのような反応器設計は、特に、円筒管からの簡単な製造という利点を提供する。高系圧の構成の場合では、更に、直径が小さいほど必要とされる壁厚の低減が大きくなる。
【0160】
内部構造が取り付けられ、水素化方法の第2段階が実施される反応器の上側領域の容量と、方法の第1段階が実施される反応器の下側領域の容量との比は、好ましくは0.05:1〜10:1の範囲、より好ましくは0.3:1〜2:1の範囲、最も好ましくは0.4:1〜1.5:1の範囲、特に1:1である。
【0161】
方法の第2段階が実施される反応器の上側領域の容量は、散布トレーにより個別のセグメント(区画)に分けられ、散布トレーにより分けられている個別のセグメントの容量は、反応器の総容量に基づいて好ましくは5〜50%の範囲である。
【0162】
個別のセグメントの数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に2〜6である。
【0163】
とりわけ好ましい実施態様において、内部構造が取り付けられ、水素化方法の第2段階が実施される反応器の上側領域の容量と、方法の第1段階が実施される反応器の下側領域の容量との比は、0.4:1〜1.5:1の範囲、特に1:1であり、セグメントの数は2〜6である。この好ましい実施態様は、第1反応段階における変換及び装填に変化がある場合であっても、高い変換率を達成するのに十分な滞留時間を可能にする。
【0164】
反応器の上側領域には、典型的には、分離器(11)で液体流/生成物流(12)とガス流に分けられる反応混合物の出口がある。典型的には水素を含むガス流を、循環ガスライン(9)を介して混合ノズル(3)に供給することができるか又はオフガス流(20)として処理のために送り出すことができる。
【0165】
装置図は、水素化反応器の好ましい実施態様及び混合ノズル(3)の好ましい実施態様を示す。
【0166】
図1は、ループ型反応器及び気泡塔型反応器が1つの装置に統合されている好ましい水素化反応器の完全な構造を示し、その構造及び機能様式を下記に説明する。
【0167】
本発明の水素化反応器(1)は、長い円筒形の管として設計され(高い円筒形の設計)、記載されているように、全長と直径の比は5:1〜100:1、好ましくは5:1〜50:1、より好ましくは10:1〜30:1の範囲である。反応器は、複数の有孔板(10)により分けられており、そのうち4枚が例に示されており、ループ型反応器の領域(最も下側のトレーの下方)の容量は、およそ50%であり、得られた上側チャンバー(気泡塔型反応器の領域)の容量は、それぞれ同じ大きさであり、示されている例ではそれぞれの場合に12.5%である。しかし、反応系及び放出される反応熱に従って、個別のセグメントの別の分布も可能である。
【0168】
反応器の下側領域には、中央に取り付けられた管、いわゆる導管(2)が配置されている。反応器の底部には、導管(2)の中に突出している散布ノズル(3)が中央に取り付けられている。
【0169】
液体は循環ポンプ(4)により反応器の下側領域から抜き取られて、冷却のため、熱交換器(5)の中を通される。熱交換器の下流では、水素ガス(6)、液体反応体(7)及び液体触媒懸濁液(8)がこの循環液に加えられる。得られた混合物は、最終的に、混合ノズル(3)により反応器に戻される。混合ノズル(3)では、循環ガス(9)が吸引され、圧縮され、液体の中に分散される。
【0170】
混合ノズル(3)の上部では、液体が、導管(2)と反応器(1)の外側ジャケットとの間の環空間から吸引され、液体ガス混合物と更に混合される。
【0171】
導管(2)の上方では、液体とガスが分離される。液体流の主要部分は導管の外側で下向きに流れ、液体の過剰部分はガスと共に有孔板(10)を上向きに通過して、気泡塔型反応器の個別のセグメントに入る。
【0172】
液体ガス混合物は反応器の最上部から出て、分離容器(11)により液体相とガス相に分離される。ガス相は、循環ガスライン(9)を介して完全若しくは部分的に混合ノズル(3)に戻されるか又は反応系(20)から除去される。液体相は、反応系から完全に抜き取られ、処理のために送り出される(12)。
【0173】
図2は混合ノズル(3)の好ましい実施態様を示す。
【0174】
液体は底部から混合ノズル(13)に入り、最初に渦巻体(15)により回転し始め、次に、第1ノズル(16)により好ましくは10〜70m/sの速度で第2チャンバー(17)に入る。このチャンバーにおいて、循環ガス(14)が液体ジェットにより吸引され、圧縮され、液体と密接に混合される。ガス液体混合物は第2ノズルを介して反応器に入り、反応器(18)から液体を吸引し、液体はガス液体混合物と一緒に膨張管(19)の中に運搬され、最終的に反応器の導管(2)の中に運搬される。
【0175】
図3は、2つの更なる実施態様を示し、そこでは垂直方法の逆混合が、ループ型反応器の上方の気泡塔型反応においてどのように制限されうるかが示されている。図1に示されている有孔板の代わりに、気泡塔型反応器の全容量を、規則充填物(21)又は不規則充填物(22)により充填することができる。
【0176】
本発明は、有機化合物を水素化する技術的に簡単な方法を構成し、それによって発熱性の高い水素化であっても、狭い温度範囲内及び非常に高い最終変換で連続様式により実施することができる。本発明の方法は、反応を確定された温度範囲内で実施することを可能にし、したがって、反応体の異性体比を制御し、望ましくない副産物の形成を防止する。方法は高い変換率を可能にし、それによって未返還反応体及び形成された反応体の除去が簡素化される。加えて、方法の反応様式及び装置構成は、技術的に簡単であり、経済的な方法で適用することができる。
【0177】
特に本発明の水素化反応器(1)には、技術的に複雑な器具、例えば撹拌機が全く必要ないことが、図1に示されている実施例によって明らかである。設計が簡単なので、この種類の反応器を特に高圧の反応において特に好ましく使用することができる。
【0178】
更にこの方法は、触媒の交換又は再生のための反応器の望ましくない運転停止の回数を低減できるので、長期間の耐用寿命を可能にし、それは、活性又は選択性が低減すると新たな触媒をプロセスに加えることができ、使用された触媒をプロセスから排出することができるからである。
【0179】
本発明の方法を以下の実施例により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】ループ型反応器及び気泡塔型反応器が1つの装置に統合されている好ましい水素化反応器の完全な構造を示す。
【図2】混合ノズル(3)の好ましい実施態様を示す。
【図3】本発明の2つの更なる実施態様を示す。
【0181】
実施例1:
実施例は、本発明の方法による連続水素化を記載する。
【0182】
使用した触媒、酸化ルテニウム(IV)水和物の製造は、減圧下での最終乾燥を省いた以外はDE2132547の実施例1に従って実施した。触媒懸濁液を製造するために、製造した(100%のルテニウム元素として計算したRuを579g含む)5,500gのフィルターケーキを撹拌容器に導入し、150kgの液体生成物混合物(水素化反応器の排出水)と密接に混合し、これにより得られた懸濁液は0.37質量%のRuを含んだ。
【0183】
水素化に使用した供給原料は、純度がおよそ99%のビス(4−アミノフェニル)メタン(4,4′−MDA)の溶融体であった。反応体は、溶媒により更に希釈することなく溶融体(融点およそ90℃)として使用した。
【0184】
水素化を連続生産プラントにより実施した。反応器を、直径が600mm及び全高が16mの直立円筒形高圧管から構成した。反応器の上部には、4枚の有孔板をそれぞれの場合に2m間隔で取り付けた。有孔板は、それぞれ直径10mmの穴を36個有した。最上段のトレーは、反応器上蓋の2m下方に存在した。反応器の下部には、長さが6.3m、直径が0.35mの導管を中央に設置し、この管の上端部を、最下段の有孔板の1m下方に取り付けた。反応器の底部には図2の多段階ノズルを中央に設置した。第1ノズルは、15mmの直径を有し、第2ノズルは33mmの直径を有した。膨張管は、最も狭い位置で40mmの直径、膨張管の出口で80mmの直径を有し、膨張管は、第2管の端部から測定して715mmの長さを有した。膨張管は、導管の中におよそ550mm突出した。
【0185】
水素化を実施する間、遠心ポンプを使用して、反応器の最下部から液体をおよそ25m/hで抜き取り、液体を熱交換器で冷却し、純粋な水素を加えた後、液体反応体及び触媒溶液をノズルに供給した(連結13)。第1ノズル(16)は減圧を生じ、したがってガスを分離器(11)から抜き取った。吸引される循環ガスの量は、およそ5000Nm/hであった。
【0186】
500kg/hで120℃の4,4′−MDAの溶融体及び6.7kg/hで触媒懸濁液を反応器に連続的に供給した。反応器の圧力は、純粋な水素をポンプ作動循環系にフラッシュすることにより、200barに調節した。反応器の温度は、反応器の底部で230℃、最下段の有孔板の下方で233℃及び反応器の最上点で238℃であった。最上部から出たガス液体混合物を分離器で分離した。得られた液体を液位調節下で抜き取り、減圧し、80℃に冷却した。分離器で得られたガスを、混合ノズル及び反応器の下部に5000Nm/hの量で完全に戻した。
【0187】
ガスクロマトグラフィーによる液体生成物混合物の分析は、以下の値を示した(濃度データ、質量%)。
【表1】

【0188】
最終生成物:ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン
中間体:(4−アミノシクロヘキシル)(4−アミノフェニル)メタン
出発物質:ビス(4−アミノフェニル)メタン
【0189】
供給原料の変換率は99.95%であり、最終生成物への選択性はおよそ90%であった。
【0190】
実施例2:
使用した反応系は実施例1に記載されたものであった。
【0191】
水素化に使用した供給原料は、およそ99%の純度を有するビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン(「o−トルイジン塩基」)の溶融体であった。反応体は、溶媒により更に希釈することなく溶融体(融点およそ160℃)として使用した。
【0192】
使用した触媒は、DE2132547の実施例1に従って製造した酸化ルテニウム(IV)水和物であった。触媒は、懸濁液に0.37質量%のRu濃度を生じるように、ここでも、反応器液体排出液に懸濁した。
【0193】
750kg/hでo−トルイジン塩基の溶融体を180℃の温度で反応器に連続的に供給し、触媒懸濁液では10kg/hであった。反応器の圧力は、純粋な水素をポンプ作動循環系に補充することにより、200barに調節した。反応器の温度は、反応器の底部で240℃、最下段の有孔板の下方で245℃及び反応器の最上点で248℃であった。最上部から出たガス液体混合物を分離器で分離した。得られた液体を液位調節下で抜き取り、減圧し、80℃に冷却した。分離器で得られたガスを、混合ノズル及び反応器の下部に5000Nm/hの量で完全に戻した。
【0194】
ガスクロマトグラフィーによる液体生成物混合物の分析は、以下の値を示した(濃度データ、質量%)。
【表2】

【0195】
最終生成物:ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン
中間体:(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン
出発物質:ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン
【0196】
供給原料の変換率は>99.9%であり、最終生成物への選択性はおよそ95%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一系又は不均一系触媒の存在下で多相系において有機化合物を連続的に水素化する方法において、前記方法は2段階で実施され、その際、
第1段階が、外部熱交換器を有するループ型反応器において実施され、
第2段階が、制限された逆混合を有する気泡塔型反応器において実施される
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記水素化が不均一系触媒の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用される有機化合物が芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1から2までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項4】
使用される芳香族化合物が、ポリマーMDA、アニリン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン(MDA)、メタ−キシレンジアミン(MXDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン及び/又はビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタンであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法の第1段階が内部ループ流を有するループ型反応器で実施されることを特徴とする、請求項1から4までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項6】
第2段階の気泡塔型反応器における逆混合が、内部構造により制限されることを特徴とする、請求項1から5までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項7】
前記内部構造が、ガス透過性及び液体透過性散布トレーであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
気泡塔型反応器が、散布トレーによって幾つかの個別のセグメントに分けられており、個別のセグメントの数が1〜20であることを特徴とする、請求項6から7までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
前記内部構造が、不規則充填物又は規則充填物であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記方法の2つの段階が1つの装置に配置されていることを特徴とする、請求項1から9までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法の第1段階のループ型反応器における反応体の供給口と、前記方法の第2段階の気泡塔型反応器におけるガス液体混合物の出口との間に、最大で20Kの温度差が生じることを特徴とする、請求項1から10までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項12】
ループ型反応器における変換率が、92〜98%であることを特徴とする、請求項1から11までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項13】
反応体及び反応混合物を供給することができる、反応器領域の下側に配置された同心円状導管(2)及び上方に向けられた混合ノズル(3)、反応器から混合ポンプまで導く外部ポンプ循環系に存在する、ポンプ(4)及び熱交換器(5)、並びに反応器の上側領域に取り付けられた1つ、又は1つより多いガス透過性及び液体透過性内部構造(10)を有し、この際、水素化反応器(1)の全長と直径の比が、5:1〜100:1の範囲であり、反応器の上側領域の容量と反応器の下側領域の容量の比が、0.05:1〜10:1であることを特徴とする、高い円筒形の設計の水素化反応器(1)。
【請求項14】
反応体の供給(6、7及び8)が外部ポンプ作動循環系に備わっていることを特徴とする、請求項13に記載の水素化反応器(1)。
【請求項15】
ガス透過性及び液体透過性内部構造(10)が散布トレー、例えば有孔板であることを特徴とする、請求項13から14までの少なくとも1項に記載の水素化反応器(1)。
【請求項16】
散布トレーにより分けられているセグメントの容量が、反応器の総容量に基づいて5〜50%の範囲であり、個別のセグメントの数が1〜20であることを特徴とする、請求項15に記載の水素化反応器(1)。
【請求項17】
反応器の上側領域の容量と反応器の下側領域の容量の比が、0.4:1〜1.5:1の範囲であり、個別のセグメントの数が2〜6であることを特徴とする、請求項16に記載の水素化反応器(1)。
【請求項18】
分離器(11)で液体流/生成物流(12)とガス流に分離される反応混合物の出口が、反応器の上側領域に存在することを特徴とする、請求項13から17までの少なくとも1項に記載の水素化反応器(1)。
【請求項19】
均一系又は不均一系触媒の存在下で多相系において有機化合物を水素化する方法において、請求項13から18までの少なくとも1項に記載の反応器で、反応を実施することを特徴とする、前記方法。
【請求項20】
界面活性剤、薬剤と植物保護剤、安定剤、光安定剤、ポリマー、ポリアミド、イソシアネート、エポキシ樹脂用硬化剤、ポリウレタン用触媒、第四級アンモニウム化合物を製造するための中間体、可塑剤、腐蝕防止剤、合成樹脂、イオン交換体、織物用助剤、染料、加硫促進剤、乳化剤を製造するための合成単位としての、並びに/又は尿素及びポリ尿素の製造用の出発物質としての、請求項1から12までの少なくとも1項又は請求項19により得られる脂環式アミンの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−523947(P2011−523947A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510949(P2011−510949)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056120
【国際公開番号】WO2009/153123
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】