説明

有機化合物

本発明は、一般式(I)


(式中、Rは明細書に記載した意味を有する。)
の化合物、およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩、その製造方法、これらの化合物の医薬として、特にレニン阻害剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規置換4−フェニルピペリジン類、その製造方法および該化合物の医薬としての、特にレニン阻害剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
医薬として使用するためのピペリジン誘導体は、例えばWO97/09311から既知である。しかしながら、特にレニン阻害に関して、非常に強力な成分に対する要求が存在し続けている。この状況で、良好な経口バイオアベイラビリティをもたらす化合物の薬物動態学的特性、および/またはその全体的安全性プロファイルの改善が最優先である。良好なバイオアベイラビリティに至る特性は、例えば、吸収増加、代謝安定性または溶解度、または最適化親油性である。良好な安全性プロファイルに至る特性は、例えば、チトクロムP450酵素のような薬物代謝酵素に対する選択性増加である。
【発明の概要】
【0003】
発明の詳細な記載
本発明は、それ故、一般式
【化1】

〔式中、
はC1−8−アルカノイルオキシ、C1−8−アルカノイルオキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−カルボニルアミノ、C1−8−アルコキシカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、C0−8−アルキルカルボニルアミノ、C0−8−アルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、O−C1−8−アルキル化カルボキシル、O−C1−8−アルキル化カルボキシル−C1−8−アルキル、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ−C1−8−アルキル、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ−カルボニルアミノ、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノカルボニル−アミノ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C0−8−アルキルカルボニル−C0−8−アルキルアミノ、ヘテロシクリル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C0−8−アルキル−カルボニル−C1−8−アルキル、シクロアルキル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ、シクロアルキル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ−C1−8−アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシ置換C1−8−アルキル、所望によりN−モノ−、−ジ−または−トリ−C1−8−アルキル化またはヘテロシクリル−置換されていてよいウレイドまたは所望によりN−モノ−、−ジ−または−トリ−C1−8−アルキル化またはヘテロシクリル−置換されていてよいウレイド−C1−8−アルキルであり、ここで、上記ヘテロシクリルおよびシクロアルキル基は置換されていないかまたは置換されている。〕
置換4−フェニルピペリジン類、およびその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0004】
0−8−アルキル基と記載した上記(および下記)における“C−アルキル”の意味は、結合または、末端に位置するならば、水素原子である。
【0005】
ここで使用するC1−8−アルカノイルオキシは、C0−7−アルキルカルボニルオキシ、例えばホルミルオキシ、アセチルオキシ、n−プロピオニルオキシ、イソプロピオニルオキシ、n−ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、sec−ブチリルオキシおよびtert−ブチリルオキシである。C1−8−アルキルの例は、各々メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルである。C1−8−アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシのような基である。C1−8−アルコキシカルボニルアミノの例は、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノ、sec−ブトキシカルボニルアミノおよびtert−ブトキシカルボニルアミノのような基である。O−C1−8−アルキル化カルボキシルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルのような基である。C0−8−アルキルカルボニルアミノの例は、例えばホルミルアミノ、アセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ、イソプロピオニルアミノ、n−ブチルカルボニル−アミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノおよびtert−ブチルカルボニルアミノである。所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノの例は、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノイソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、ジ−tert−ブチルアミノである。所望によりN−モノ−、−ジ−または−トリ−C1−8−アルキル化またはヘテロシクリル−置換ウレイドの例は、ウレイド、1−メチル−ウレイド、3−メチル−ウレイド、トリメチル−ウレイド、1−エチル−ウレイド、3−エチル−ウレイド、トリエチル−ウレイド、1−エチル−3−メチル−ウレイド、3−エチル−1−メチル−ウレイド、1−ヘテロシクリル−ウレイド、3−ヘテロシクリル−ウレイド、トリ−ヘテロシクリル−ウレイド、1−ヘテロシクリル−S−メチル−ウレイドのような基である。
【0006】
用語ヘテロシクリルは、1〜4個の窒素および/または1個または2個の硫黄または酸素原子を有する3−8員単環式の、飽和および不飽和のヘテロ環式基、例えば所望により置換されていてよい、N−結合した飽和N含有C3−8−ヘテロシクリルを意味する。ヘテロシクリル基は、例えば、C1−8−アルコキシ、C1−8−アルキル、所望によりエステル化カルボキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲン−置換C1−8−アルコキシまたはハロゲン−置換C1−8−アルキルで1回または2回置換されているように、1回以上置換されていてよい。
【0007】
かかるヘテロシクリル基の例は、イミダゾリル、モルホリニル、オキセタニル、オキシラニル、ピラゾリル、ピリジル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、チアゾリル、トリアゾリルである。
【0008】
所望により置換されていてよい、N−結合した飽和N含有C3−8−ヘテロシクリル、好ましくは所望により置換されていてよい、N−結合した飽和N含有C5−6−ヘテロシクリルの例は、所望により置換ピロリジニルまたはピペリジニルである。N−結合した飽和N含有ヘテロシクリルの好ましい置換基は、例えばC1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはハロゲンである。
ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。
【0009】
シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を有する飽和環状炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルを意味し、置換されていなくても、またはC1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、所望によりハロゲンで置換されていてよいC1−8−アルキルまたはハロゲンで1回または2回置換されていてもよい。
直鎖は、文献で直線状とも非分枝鎖とも呼ばれることがある。
【0010】
塩は、主に式(I)の化合物の薬学的に許容されるまたは非毒性塩である。用語“薬学的に許容される塩”は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような無機または有機酸との塩を包含する。
【0011】
塩形成基を有する化合物の塩は、特に酸付加塩、塩基との塩、または、複数の塩形成基の存在下では、ある場合はまた混合塩または分子内塩である。
【0012】
かかる塩は、例えば、酸性基、例えばカルボキシルまたはスルホニル基を有する式(I)の化合物から形成され、例えば、適当な塩基との塩、例えば元素周期表のIa、Ib、IIaおよびIIb属の金属由来の非毒性金属塩、例えばアルカリ金属、特にリチウム、ナトリウム、またはカリウム、塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウムまたはカルシウム塩、およびまた亜鉛塩および有機アミン類、例えば所望によりヒドロキシ−置換されていてよいモノ−、ジ−またはトリアルキルアミン類、特にモノ−、ジ−またはトリ(低級アルキル)アミン類、または4級アンモニウム塩基、例えばメチル−、エチル−、ジエチル−またはトリエチルアミン、モノ−、ビス−またはトリス(2−ヒドロキシ(低級アルキル))アミン類、例えばエタノール−、ジエタノール−またはトリエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンまたは2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、N,N−ジ(低級アルキル)−N−(ヒドロキシ(低級アルキル))アミン、例えばN,N−ジ−N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはN−メチル−D−グルカミン、または4級水酸化アンモニウム類、例えばテトラブチルアンモニウムヒドロキシドと形成される塩を含むアンモニウム塩である。塩基性基、例えばアミノ基を有する式(I)の化合物は、例えば適当な無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸(1個または両方のプロトンが置換)、リン酸(1個以上のプロトンが置換)、例えばオルトリン酸またはメタリン酸、またはピロリン酸(1個以上のプロトンが置換)、または有機カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸またはN−置換スルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、およびまたアミノ酸、例えば上記アルファ−アミノ酸、およびまたメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、2−または3−ホスホグリセラート、グルコース6−ホスフェート、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメート類の形成を伴う)または他の酸性有機化合物、例えばアスコルビン酸との酸付加塩を形成し得る。酸性基および塩基性基を有する式(I)の化合物は分子内塩も形成し得る。
【0013】
得られた塩は、当分野で既知の方法により、酸付加塩は、例えば、形成される無機塩が不溶性であり、故に、反応平衡により分離される適当な溶媒中で他の酸の適当な金属塩、例えばナトリウム、バリウムまたは銀塩で処理することにより、そして塩基性塩は、遊離酸の放出および塩再形成により他の塩に変換してよい。
【0014】
式(I)の化合物は、その塩を含み、水和物の形でも得られ、または結晶化に使用した溶媒を含み得る。
単離および精製のために、薬学的に適当ではない塩も用途があるかもしれない。
【0015】
式(I)の化合物はまた、1個以上の原子が、その安定な、非放射性同位体で;例えば水素原子が重水素で置換されている、化合物も含む。
【0016】
式(I)の化合物はまた、酸素(ヒドロキシル縮合)および/または窒素のような1個所以上の部位でニトロソ化されている化合物も包含する。本発明のニトロソ化化合物は、当業者に既知の慣用法を使用して製造できる。例えば、ニトロソ化化合物の既知方法は、WO2004/098538A2に記載されている。
【0017】
式(I)の化合物はまた、硝酸エステル含有リンカーが存在する酸素および/または窒素に結合するように1個所以上で変換されている化合物も含む。好ましい誘導体は、式(I)のRにおけるピペリジン窒素原子または側鎖窒素原子のいずれかが、硝酸−エステル含有リンカー、例えば>N−C(O)−L−ONOまたは>NC(O)−O−L−ONO(式中、Lはリンカー、例えばC1−8−アルキルまたはアリール−C1−8−アルキルである)を有するアミドまたはカルバメート基のいずれかに変換されている、化合物である。さらに好ましい誘導体は、式(I)のRにおけるヒドロキシル基の酸素原子が、硝酸−エステル含有リンカー、例えば−O−(C=O)−L−ONOまたは−O−(C=O)−O−L−ONO(式中、Lはリンカー、例えばC1−8−アルキルまたはアリール−C1−8−アルキルである)を有するエステルまたは炭酸エステル基のいずれかに変換されている、化合物である。かかる本発明の化合物の“ニトロ誘導体”は、当業者に既知の慣用法を使用して製造できる。例えば、化合物をそのニトロ誘導体に変換する既知方法は、WO2007/045551A2に記載されている。
【0018】
式(I)の化合物は、少なくとも4個の不斉炭素原子を有し、それ故に、光学的に純粋なジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物またはメソ化合物の形態であり得る。本発明は、全てのこのような形態を含む。ジアステレオマー混合物、ジアステレオマーラセミ体またはジアステレオマーラセミ体の混合物は、慣用法で、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、HPLCなどにより分離してよい。
【0019】
式(I)の化合物はまた光学的に純粋な形態でも製造し得る。アンチポードへの分離はそれ自体既知の方法により、好ましくは合成の初期段階に、光学活性酸、例えば(+)−または(−)−マンデル酸との塩形成およびジアステレオマー塩の分別結晶により、または好ましくは相対的に後の段階でキラル助剤構成要素、例えば(+)−または(−)−カンファノイルクロライドでの誘導体化、およびクロマトグラフィーおよび/または結晶化によるジアステレオマー産物の分離および続くキラル助剤を得るための結合の開裂により行うことができる。純粋なジアステレオマー塩および誘導体を、存在するピペリジンの絶対配置について、慣用の分光法で決定するために分析してよく、単一結晶上のX線分光学が特に適切な方法を構成する。
【0020】
式(I)の化合物の個々のキラル中心の配置について、選択的に倒置することが可能である。例えば、求核性置換基、例えばアミノまたはヒドロキシルを担持する不斉炭素原子の配置を、適当であれば結合した求核性置換基の適当な離核性(nucleofugic)脱離基への置換後、二次元求核性置換および元の置換基を導入する試薬との反応により倒置でき、またはヒドロキシル基を有する炭素原子の配置は、欧州特許出願EP−A−0236734に準じた方法で酸化および還元により倒置できる。また有利なのは、ヒドロキシル基の反応性官能基修飾およびその後の配置の倒置を伴うヒドロキシルによる置換である。
【0021】
下記化合物群は排他的と見なすべきではなく、むしろ、これらの化合物群の一部を、実際的な方法で互いに、または上記の定義で置き換えてまたは除いてよく、例えば一般的な定義をより具体的な定義に置き換え得る。これらの定義は、例えば、原子の通常の原子価のような一般的な化学原則に従い正当である。
【0022】
式(I)の化合物は、文献に記載された製造方法に準じる方法で製造できる。類似の製造方法が、例えばWO97/09311に記載されている。具体的な製造方法の詳細は実施例に見ることができる。
【0023】
本発明のさらなる局面は、本発明の次の置換4−フェニルピペリジン類と密接に関係する中間体である:
a)(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび
b)(R)−2−エトキシ−プロパン−1−オール
【0024】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩の好ましい群は、
がヒドロキシルまたはヒドロキシ−置換C1−8−アルキル、より好ましくはヒドロキシルまたはヒドロキシ−置換C1−4−アルキル、さらに好ましくは直鎖オメガ−ヒドロキシ置換C1−4−アルキルである化合物である。
【0025】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩のさらに好ましい群は、
がC1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキルまたはC1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ、より好ましくはC1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシ−C1−4−アルキルまたはC1−4−アルコキシ−C1−4−アルコキシ、さらに好ましくは直鎖C1−4−アルコキシ、直鎖C1−4−アルコキシ−直鎖C1−4−アルキルまたは直鎖C1−4−アルコキシ−直鎖C1−4−アルコキシ、最も好ましくは直鎖C1−4−アルコキシまたは直鎖C1−4−アルコキシ−直鎖C1−4−アルコキシである化合物である。
【0026】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩のさらに好ましい群は、
がC1−8−アルカノイルオキシまたはC1−8−アルカノイルオキシ−C1−8−アルキル、より好ましくはC1−4−アルカノイルオキシまたはC1−4−アルカノイルオキシ−C1−4−アルキル、さらに好ましくは直鎖C1−4−アルカノイルオキシである、化合物である。
【0027】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩のさらに好ましい群は、
がC0−8−アルキルカルボニルアミノまたはC0−8−アルキルカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、より好ましくはC0−3−アルキルカルボニルアミノまたはC0−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−4−アルキル、さらに好ましくは直鎖C0−3−アルキルカルボニルアミノである化合物である。
【0028】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩のさらに好ましい群は、
が所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノまたは所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ−C1−8−アルキル、より好ましくは所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−4−アルキル化されていてよいアミノまたは所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−4−アルキル化されていてよいアミノ−C1−4−アルキル、さらに好ましくは所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−4−アルキル化されていてよいアミノである化合物である。
【0029】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩のさらに好ましい群は、
が所望により置換されていてよいヘテロシクリル、より好ましくは所望により置換されていてよいN−結合した飽和N含有C3−8−ヘテロシクリル、特に好ましくは所望により置換されていてよいN−結合した飽和N含有C5−6−ヘテロシクリルである化合物である。
【0030】
式(I)の化合物およびその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩のさらに好ましい群は、
がヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−2−アルキル、C1−2−アルコキシ、2−メトキシ−エトキシ、アセチルオキシ、C0−2−アルキル−カルボニルアミノ、C0−2−モノアルキルアミノ、N−結合ピロリジニル、N−結合ピペリジニルまたはN−結合ピロリジニル−カルボニル−C1−2−アルキルである化合物である。
【0031】
は、非常に好ましくはヒドロキシ、メトキシ、2−メトキシ−エトキシ、アセチルオキシ、C0−2−アルキルカルボニルアミノ、C1−2−モノアルキルアミノ、N−結合ピロリジニルまたはN−結合ピペリジニルである。
【0032】
ここに記載の化合物のプロドラッグ誘導体は、インビボで使用したときに、化学的または生理学的過程により元の化合物を遊離する誘導体である。プロドラッグは、例えば生理学的pHに到達したときに、または酵素変換により元の化合物に変換され得る。可能性のあるプロドラッグ誘導体の例は、自由に利用可能なカルボン酸のエステル類や、チオール類、アルコール類またはフェノール類のS−およびO−アシル誘導体(該アシル基は本明細書で定義の通りである)である。好ましい誘導体は、生理学的媒体中の加溶媒分解により元のカルボン酸に変換される薬学的に許容されるエステル誘導体、例えば、低級アルキルエステル類、シクロアルキルエステル類、低級アルケニルエステル類、ベンジルエステル類、単または二置換低級アルキルエステル類、例えば低級オメガ−(アミノ、モノ−またはジアルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−アルキルエステル類または例えば低級アルファ−(アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはジアルキルアミノカルボニル)−アルキルエステル類であり;簡便には、ピバロイルオキシメチルエステル類および同様なエステル類がこのように使用される。
【0033】
遊離化合物、プロドラッグ誘導体および塩化合物の密接な関係のために、本発明の特定の化合物はまた可能であり、適切であるならば、そのプロドラッグ誘導体および塩形態も含む。
【0034】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、天然酵素レニンに対する阻害効果を有する。後者は腎臓を通過して血液に入り、そこでアンギオテンシノーゲンの開裂を引き起こし、デカペプチドであるアンギオテンシンIを形成し、それが続いて肺、腎臓および他の臓器でオクタペプチドであるアンギオテンシンIIに開裂される。アンギオテンシンIIは、動脈の収縮により直接的に、および副腎から、細胞外液量の増加と関連するナトリウムイオンを遊離するホルモンアルドステロンを遊離することにより間接的に血圧を上昇させる。この上昇は、アンギオテンシンII自体のまたは、開裂産物としてそれから形成されるヘプタペプチドであるアンギオテンシンIIIの効果に起因し得る。レニンの酵素活性の阻害剤はアンギオテンシンIの形成の減少をもたらし、その結果、形成されるアンギオテンシンIIの量が少ない。この活性ペプチドホルモンの濃度減少が、レニン阻害剤の血圧低下効果の直接の原因である。
【0035】
レニン阻害剤の効果は、とりわけ、種々の系(ヒト血漿、精製ヒトレニンと合成または天然レニン基質)におけるアンギオテンシンIの形成の減少が測定されるインビトロ試験の手段で実験的に検出される。Nussberger et al. (1987) J. Cardiovascular Pharmacol., Vol. 9, pp. 39-44の次のインビトロ試験をとりわけ使用する。この試験は、ヒト血漿におけるアンギオテンシンIの形成を測定する。形成されたアンギオテンシンIの量を続くラジオイムノアッセイで決定する。アンギオテンシンIの形成に対する阻害剤の効果は、種々の濃度のこのような物質の添加によりこのシステムで試験される。IC50を、アンギオテンシンIの形成を50%減少させる特定の阻害剤の濃度として定義する。本発明の化合物は、本インビトロ系で、約10−6〜約10−10mol/lの最少濃度で阻害効果を示す。
【0036】
本発明の実例である実施例1および2の化合物は、アンギオテンシンI形成を、約0.1−100●10−9mol/lの範囲のIC50値で阻害する。
【0037】
レニン阻害剤は、塩枯渇動物における血圧低下をもたらす。ヒトレニンは、多種のレニンと異なる。ヒトレニンの阻害剤は、ヒトレニンと霊長類レニンが酵素活性領域で実質的に相同であるため、霊長類(マーモセット、Callithrix jacchus)を使用して試験する。とりわけ次のインビボ試験を用いる:試験化合物を、意識があり、拘束されておらず、その通常のケージに居る体重約350gの両方の性別の正常血圧マーモセットで試験する。血圧および心拍数を、下行大動脈のカテーテルで測定し、無線で記録する。レニンの内因性遊離を、1週間の減塩食とフロセミド(5−(アミノスルホニル)−4−クロロ−2−[(2−フラニルメチル)アミノ]安息香酸)(5mg/kg)の1回の筋肉内注射の組み合わせにより刺激する。フロセミド注射16時間後、試験を、皮下針の手段により大腿動脈に直接的に、または懸濁液または溶液として胃への強制喫食により投与し、血圧および心拍数に対するその効果を試験する。本発明の化合物は、約0.003〜約0.3mg/kgの静脈内(i.v.)投与量で、および約0.3〜約30mg/kgの経口投与量で、記載のインビボ試験で血圧低下効果を有する。
【0038】
ここに記載の化合物の血圧低下効果は、次のプロトコールを使用してインビボで試験できる:
試験は、ヒトアンギオテンシノーゲンおよびヒトレニンの両方を過発現し、その結果高血圧を発症する、5〜6週齢の雄ダブルトランスジェニックラット(dTGR)で行う(Bohlender J. et al., J. Am. Soc. Nephrol. 2000;11: 2056-2061)。このダブルトランスジェニックラット種は、一方が内因性プロモーターを伴うヒトアンギオテンシノーゲンおよび他方が内因性プロモーターを伴うヒトレニンのための2種のトランスジェニック種の交配により産生した。いずれの一トランスジェニック種とも高血圧ではなかった。ダブルトランスジェニックラットは、雄雌両方とも、重篤な高血圧(平均収縮期圧、約200mmHg)を発症し、処置しなければ55日の中央値の後に死亡する。ヒトレニンをラットで試験できるという事実は、このモデルの独特な特徴である。年齢を適合させたSprague-Dawleyラットは、非高血圧コントロール動物として役立つ。動物を処置群に分け、試験物質または媒体(コントロール)を種々の処置期間与える。経口投与のための適用用量は0.5〜100mg/kg体重の範囲であり得る。試験を通して、動物に標準餌および水道水を自由に与える。収縮期および拡張期血圧、および心拍数を、動物の自由な、拘束されない動きを可能にする、腹部大動脈に埋め込んだトランスデューサーの手段により遠隔的に測定する。
【0039】
ここに記載の化合物の腎臓損傷(タンパク尿)に対する効果は、次のプロトコールを使用してインビボで試験できる:
試験は、4週齢の、上記の通りの雄ダブルトランスジェニックラット(dTGR)で行う。動物を処置群に分け、試験物質または媒体(コントロール)を7週間毎日与える。経口投与のための適用用量は0.5〜100mg/kg体重の範囲であり得る。試験を通して、動物に標準餌および水道水を自由に与える。動物を、アルブミン、多尿、ナトリウム排泄増加、および尿浸透圧を、24時間排泄された尿で決定するために、定期的に代謝ケージに入れる。試験の最後に、動物を殺し、腎臓および心臓を摘出して、秤量し、免疫組織学的試験をしてよい(線維症、マクロファージ/T細胞浸潤など)。
【0040】
ここに記載の化合物のバイオアベイラビリティは、次のプロトコールを使用してインビボで試験できる:
試験は、試験の間中、動くことができる、予めカテーテルを挿入した(頚動脈)雄ラット(300g±20%)で行う。化合物を別々の動物の組に静脈内および経口(強制喫食)で投与する。経口投与のための適用用量は0.5〜50mg/kg体重の範囲であり得る;静脈内投与のための適用用量は0.5〜20mg/kg体重の範囲であり得る。血液サンプルを、化合物投与前およびその後24時間間隔で、自動化サンプリング装置(AccuSampler, DiLab Europe, Lund, Sweden)を使用してカテーテルを通して採血する。化合物の血漿レベルを、認められたLC−MS分析法を使用して決定する。薬物動態学的分析を、各投与経路について全ての血漿濃度を時点の全部で平均化後に血漿濃度−時間曲線上で行う。計算すべき典型的薬物動態学的パラメータは:最高濃度(Cmax)、最高濃度までの時間(tmax)、0時から最後に定量可能な濃度の時点までの曲線下面積(AUC0−t)、0時から無限までの曲線下面積(AUC0−inf)、消失速度定数(K)、終末半減期(t1/2)、絶対的経口バイオアベイラビリティまたは吸収画分(F)、クリアランス(CL)、および終末期の分布容積(Vd)を含む。
【0041】
5種の主要な代謝CYP450酵素であるCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4は、ヒトにおける薬剤代謝活性の95%以上を担う。
【0042】
インビトロ薬物代謝を評価する目的は:
(1)試験化合物およびその代謝物に作用する全ての主要な代謝経路を、形成された中間体の代謝にかかる特異的酵素の同定および中間体の解明を含め、決定すること;および
(2)試験薬の他の薬物の代謝に対する影響および他の薬物の試験薬の代謝における影響を調査し、予測すること
である。
【0043】
肝臓代謝についてのほとんど完全な像は、補助因子が自己充足(self-sufficient)され、関連酵素の自然配向および位置が保存されている無傷の肝臓系(例えば肝細胞、ミクロソーム)で得ることができる。しかしながら、多くの化合物を同時に試験しなければならないとき、より単純なスクリーニングツールが遊離である。一般的CYP450のためのcDNAはクローン化されており、組み換えヒト酵素タンパク質が種々の細胞で発現されている。これらの組み換え酵素の使用は、速く特異的酵素阻害活性を評価するおよび/またはミクロソームにおいて同定された結果を確認する優れた方法を提供する。
【0044】
ここに記載した化合物の代謝特性(ヒトチトクロムP450アイソフォームに対する阻害定数)は、次のプロトコールを使用してインビボで試験できる:
CYP450酵素に対する阻害活性を試験するために、酵素反応を種々の濃度の試験化合物(連続希釈)の存在下にモニターし、最大酵素活性(コントール:試験化合物なし)と比較する。原則として、阻害は3つの異なる機構により起こり得る:(1)競合的阻害、(2)非競合的阻害、および(3)機構に基づく阻害。いずれの場合も、阻害強度は試験化合物の濃度に依存する。CYP450酵素活性を一定範囲の試験化合物濃度で試験することにより、最大の半分の酵素阻害が観察される試験化合物濃度(IC50濃度)を同定する。
【0045】
スクリーニング目的で、試験化合物の阻害能を、上記の主要な5種のCYPアイソフォームの全てについて利用可能な、直ぐに使用できるキット(CYP450ハイスループット阻害剤スクリーニングキット、例えばCYP1A2/CEC, #459500, BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ USA)で試験できる。かかるキットで、昆虫細胞で発現させた組み換えヒトCYP450アイソフォームを、種々の濃度の試験化合物存在下、アイソフォーム特異的、蛍光性基質とインキュベートする。酵素活性は、この蛍光性基質を蛍光色素産物に変換し、その濃度を蛍光分光光度計で測定する。蛍光は、酵素活性に直接引例する。CYP450ハイスループット阻害剤スクリーニングキットを使用した典型的標準アッセイにおいて、グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/NADP/NADPH産生系および適当な蛍光性基質:例えば3−シアノ−7−エトキシクマリン(CYP1A2)を含む、リン酸緩衝液(50mM、pH7.4)中、化合物を2nMから33μM濃度範囲で試験する。コントロール阻害剤として、次の物質を使用できる:フラフィリン(CYP1A2)、スルファフェナゾール(CYP2C9)、トラニルシプロミン(CYP2C19)、キニジン(CYP2D6)およびケトコナゾール(CYP3A4)。
【0046】
反応を2.5nM(最終濃度)CYP450アイソザイムの添加により開始させ、37℃で15〜45分間インキュベートし、次いで187.5mM トリス−ヒドロキシ−アミノメタン塩基/アセトニトリル(20/80、v/v)の添加により停止させる。
次いで、産生された蛍光色素の量を、適当な励起および放出波長設定:例えば410nm励起および460nm放出波長(CYP1A2)の蛍光分光学で測定する。
【0047】
あるいはおよび/または補完的に、R. L. Walsky and R. S. Obach in Validated assay for human cytochrome p450 activities; Pharmacokinetics, Pharmacodynamics, and Drug Metabolism, Pfizer, Groton, Connecticut; Drug Metabolism and Disposition: (2004)32, 647-660に記載のヒト肝臓ミクロソーム(例えばBD Biosciences, #452161)をCYPアイソフォーム特異的標準基質(例えばCYP3A4/5のためにミダゾラム)と組み合わせて使用するアッセイを使用できる。試験化合物がCYP3A酵素活性を阻害するか否かを決定するために、例えば、種々の濃度の試験化合物存在下のヒト肝臓ミクロソームによるミダゾラムのヒドロキシル化をモニターする。ヒドロキシ−ミダゾラム産生は酵素活性に直接比例し、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析で決定できる。加えて、ミクロソームアッセイを、ミクロソームの標準基質添加前の試験化合物との15分間プレインキュベーションをせずに、またはして、行うことができる。P450酵素を不可逆性に修飾する可能性のある試験化合物またはその代謝物は、プレインキュベーション後により強い効果を有する。
【0048】
ヒト肝臓ミクロソームアッセイを使用した典型的標準アッセイにおいて、化合物を、NADPH産生系(グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、NADP、NADPH)および10μM基質(例えばCYP3A4/5についてミダゾラム)および0.1mg/mLミクロソームタンパク質を含むリン酸緩衝液(100mM リン酸カリウム、3.3mM MgCl、pH7.4)中、10nM〜50μM濃度範囲で試験する。コントロール阻害剤として、上記と同じ物質を使用できる(例えばケトコナゾール(CYP3A4/5))。化合物のプレインキュベーションを望むならば、基質以外の全てのアッセイ要素を混合し、15分間、37℃でインキュベートする。その期間の後、基質をアッセイ混合物に添加し、次いで37℃でのインキュベーションを15分間続ける。プレインキュベーションをしないならば、全てのアッセイ要素を同時に添加し、次いで37℃で15分間インキュベーションする。酵素反応の停止を、HCOOH/アセトニトリル/HO(4/30/66、v/v/v)溶液の添加により達成する。次いで、サンプルを冷蔵庫(4±2℃)で1時間±10分間インキュベートして、タンパク質沈降を増やす。LC/MSMSでの分析の直前に、サンプルを3,500gで60分間、4℃で遠心分離して、沈殿したタンパク質を分離する。上清をアセトニトリル/水(50/50、v/v)と混合し、次いで化合物含量についてLC/MSMSで直接分析する。
【0049】
次いで、いずれかの実験方法からのデータの評価を、下記の通り行う:特異的化合物濃度での残存活性分対化合物濃度の関数としてのコントロール活性を使用して、IC50値を計算する。これを実験データセットに対する4−パラメータロジスティック関数に適合させることにより行う。
【0050】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、例えば医薬組成物の形で、医薬として使用できる。医薬組成物は経腸的に、例えば経口で、例えば錠剤、コーティング(lacquered)錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の形で、経鼻的に、例えば経鼻スプレーの形で、直腸に、例えば坐薬の形で、または経皮的に、例えば軟膏またはパッチの形、眼科的に、例えば溶液、懸濁液、軟膏、ゲルの形で、肺に、例えば肺エアロゾルの形でまたは他の粘膜組織に投与できる。しかしながら、例えば注射溶液の形での、非経腸的投与、例えば、筋肉内または静脈内投与も可能である。
【0051】
錠剤、コーティング錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセルは、式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を薬学的に不活性無機または有機賦形剤と加工することにより製造できる。例えば錠剤、糖衣錠剤および硬ゼラチンカプセルに使用できるこのタイプの賦形剤は、ラクトース、メイズデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩等である。
【0052】
軟ゼラチンカプセルに適当な賦形剤は、例えば、植物油、蝋、脂肪、半固体および液体ポリオール等である。
溶液およびシロップの製造に適当な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース等である。
【0053】
注射溶液に適当な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、胆汁酸、レシチン等である。
坐薬に適当な賦形剤は、例えば、天然または硬化油、蝋、脂肪、半液体または液体ポリオール等である。
【0054】
本医薬組成物は、さらに、防腐剤、可溶化剤、増粘物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、芳香剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、コーティング剤または抗酸化剤も含み得る。他の治療的に価値のある物質も含み得る。
【0055】
本発明は、さらに、高血圧、心不全、緑内障、心筋梗塞、腎不全、糖尿病性腎症および再狭窄(restenoses)の処置または予防における式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0056】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩はまた、1種以上の心血管活性を有する薬剤、例えばアルファ−およびベータブロッカー、例えばフェントラミン、フェノキシベンズアミン、プラゾシン、テラゾシン、トラジン、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、チモロール、カルテオロールなど;血管拡張剤、例えばヒドララジン、ミノキシジル、ジアゾキシド、ニトロプルシド、フロセキナンなど;カルシウムアンタゴニスト、例えばアムリノン、ベンシクラン、ジルチアゼム、フェンジリン、フルナリジン、ニカルジピン、ニモジピン、ペルヘキシリン、ベラパミル、ガロパミル、ニフェジピンなど;ACE阻害剤、例えばシラザプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリルなど;カリウムアクティベーター、例えばピナシジル;抗セロトニン作動剤、例えばケタンセリン;トロンボキサン合成酵素阻害剤;中性エンドペプチダーゼ阻害剤(NEP阻害剤);アンギオテンシンIIアンタゴニスト;および利尿剤、例えばヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、アセタゾラミド、アミロライド、ブメタニド、ベンズチアジド、エタクリン酸、フロセミド、インダクリノン、メトラゾン、スピロノラクトン、トリアムテレン、クロルタリドンなど;交感神経遮断剤、例えばメチルドーパ、クロニジン、グアナベンズ、レセルピン;およびヒトおよび動物における糖尿病または腎臓障害、例えば急性または慢性腎不全に関連する高血圧、心不全または血管障の処置に適切な他の薬剤と組み合わせて投与もできる。かかる組み合わせは、別々に、または複数の成分を含む製品で使用できる。
【0057】
式(I)の化合物と組み合わせて使用できるさらなる物質は、WO02/40007の1頁(およびそこに詳述された選択物および実施例)のクラス(i)から(ix)の化合物の化合物およびWO03/027091の20〜21頁に記載された物質である。
【0058】
投与量は広範囲で変化してよく、もちろん、各症例における個々の状態に適合させなければならない。一般に、成人(70kg)あたり経口投与に適切な1日投与量は、好ましくは、例えば等量であり得る1〜3個の投与量に分割して約3mg〜約3g、好ましくは約10mg〜約1g、例えば約300mgであり、小児は通常年齢および体重に合わせて減少させた投与量を投与される。
【0059】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、意図する治療効果が持続する限り、またはさらなる治療的介入が必要ではない限り、1回または数回の種々の投与間隔でも投与できる。
【実施例】
【0060】
次の実施例は本発明を説明する。全ての温度は摂氏で、圧力はmbarで記載する。特記しない限り、反応をRTで行う。略語“Rf=xx(A)”は、例えばRfが、溶媒系Aでxxであることが判明したことを意味する。複数の溶媒の互いの量の比率は常に体積部で記載する。最終生成物および中間体の化学名は、化学構造に基づき、AutoNom 2000(Automatic Nomenclature)プログラムの助けをかりて作成している。
【0061】
薄層クロマトグラフィー溶離剤系:
A ジクロロメタン−メタノール−25%濃アンモニア=200:20:1
B ジクロロメタン−メタノール−25%濃アンモニア=200:10:1
C ジクロロメタン−メタノール−25%濃アンモニア=200:30:1
D ジクロロメタン−メタノール−25%濃アンモニア=100:10:1
【0062】
Hypersil BDS C-18(5um)でのHPLC勾配;カラム:4×125mm
I 90%水/10%アセトニトリルから0%水/100%アセトニトリルを5分間+2.5分間(1.5ml/分)
II 95%水/5%アセトニトリルから0%水/100%アセトニトリルを30分間+5分間(0.8ml/分)
0.1%トリフルオロ酢酸含有
【0063】
次の略語を使用する:
【表1】

【表2】

【0064】
一般法A:(N−BOC脱保護)
20mmolのTFAを、6mlのCHCl中の1mmolの“N−BOC誘導体”の溶液に、アルゴン下、0℃で添加する。2−8時間撹拌後、反応混合物を、カニューレを介して氷冷1M 水性NaHCO溶液にゆっくり添加する。30分間撹拌後、相を分離する。水性相をCHCl(2×)で抽出する −− 合わせた有機相を連続的に氷冷1M 水性NaHCO溶液および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から得る。
【0065】
一般法B:(水素化)
15mlのMeOH中の1mmolの“基質”溶液を、100−200mgの10%Pd/Cの存在下、15−20℃で、2−20時間にわたり水素化する。反応混合物を濾過により浄化し、濾液を蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から得る。
【0066】
一般法C:(O−アルキル化I)
1.2mmolのNaH(油中60%分散)および0.1mmolのテトラブチルアンモニウムアイオダイドを、−10℃で撹拌しながら、2.0mlのDMF中の1mmolの“アルコール”および1.1mmolの“ベンジルハライド”の溶液に添加する。反応混合物を−10℃で1時間、およびRTで18時間撹拌する。混合物を水性NaHCO溶液に注ぎ、TBME(2×)で抽出する。有機相を連続的にHOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させる。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から得る。
【0067】
一般法G:(トシル化)
15mlのCHCl中の12mmolのp−トルエンスルホニルクロライドの溶液を、0℃で、90mlのCHCl中の10mmolの“アルコール”、15mmolのEtN、1mmolの4−ジメチルアミノピリジンの溶液に添加する。反応混合物をRTで2−18時間撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、続いてHOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から得る。
【0068】
一般法J:(BH還元)
3mlのTHF中の1mmolの“基質”の溶液を、2.0−6.0mmolのボラン−テトラヒドロフラン錯体(THF中1M)と混合し、RTで1−3時間撹拌する(変換をHPLCまたはTLCで確認)。反応混合物を3.0−6.0mmolのMeOHと混合し、蒸発させる。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により残渣から得る。
【0069】
一般法L:(水素化)
15mlのMeOH中の1mmolの“基質”の撹拌している溶液に、100−200mg Pd/C 10%を添加し、反応混合物を15−20℃で水素化する。反応混合物を濾過し、減圧下濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得る。
【0070】
一般法N(アルコール脱シリル化)
5mlのTHF中の1mmolの“シリルエーテル”の溶液を1.5−2.0mmolのテトラブチルアンモニウムフルオライド(THF中1M溶液)と混合し、溶液をRTで1−2時間撹拌する。次いで反応溶液をHOで希釈し、TBME(2×)で抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発させる。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により残渣から得る。
【0071】
実施例1
{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イル}−メタノール
一般法Aに従い、1mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0072】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Nに従い、0.95mmolの(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して、粗表題化合物を黄色油状物として得る。Rf=0.06(EtOAc/ヘプタン1:1);Rt=5.10(勾配I)。
【0073】
b)(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Cに従い、1.25mmolの(3R,4R,5S)−4−(4−クロロメチル−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピル−シラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび1.57mmolの(R)−2−エトキシ−プロパン−1−オールを使用して、表題化合物を明黄色油状物として得る。Rf=0.38(EtOAc/ヘプタン1:1)。
【0074】
c)(3R,4R,5S)−4−(4−クロロメチル−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1.32mmolのメタンスルホニルクロライドを、10mlのCHCl中の1.23mmolの(3R,4R,5S)−4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、1.45mmolのEtNおよび0.086mmolのテトラブチルアンモニウムクロライドの混合物にRTで添加する。16時間後、反応混合物をCHClで希釈し、飽和水性NaHCOおよび塩水で連続的に希釈する。合わせた水性相をCHClで抽出する −− 合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。粗表題化合物を褐色−橙色油状物として得る。Rf=0.40(EtOAc/ヘプタン1:1)。
【0075】
d)(3R,4R,5S)−4−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Jに従い、1mmolの(3R,4R,5S)−4−(4−カルボキシ−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピル−シラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して、表題化合物を粘性の黄色−褐色油状物として得る。Rf=0.20(EtOAc/ヘプタン1:1);Rt=31.34(勾配II)。
【0076】
e)(3R,4R,5S)−4−(4−カルボキシ−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4.30mmolのNaOHを、10mlのTHFおよび10mlのHO中の1.05mmolの(3R,4R,5S)−4−(4−メトキシカルボニル−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルに添加する。得られた反応混合物を90℃で16時間撹拌し、次いでRTに冷却する。HOで希釈し、4N 水性HClで酸性化(pH3)後、混合物をTBME(2×)で抽出する −− 合わせた有機相を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。粗表題化合物を粘性褐色油状物として得る。Rf=0.24(EtOAc/ヘプタン2:1+1滴のギ酸);Rt=6.71(勾配I)。
【0077】
f)(3R,4R,5S)−4−(4−メトキシカルボニル−フェニル)−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Cに従い、1.14mmolの(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−4−(4−メトキシ−カルボニル−フェニル)−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび1.20mmolの6−ブロモメチル−4−(3−メトキシ−プロピル)−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン[911705-42-5]を使用して、粗表題化合物を粘性褐色油状物として得る。Rf=0.28(EtOAc/ヘプタン1:1);Rt=7.33(勾配I)。
【0078】
g)(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−4−(4−メトキシカルボニル−フェニル)−5−トリイソプロピルシラニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
2.79mmolのイミダゾールおよび1.29mmolのクロロ−トリイソプロピル−シランを、5mlのDMF中の1.03mmolの(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−4−(4−メトキシ−カルボニル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの溶液に添加する。RTで16時間撹拌後、反応混合物をTBMEおよび2N HClに分配する。有機相を連続的にHOおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から無色油状物として得る。Rf=0.48(EtOAc/ヘプタン1:1);Rt=6.68(勾配I)。
【0079】
h)(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−4−(4−メトキシカルボニル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
155mlのDMF、115mlのMeOH、2.23mmolの1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンおよび2.23mmolの酢酸パラジウム(II)を、アルゴン下、オートクレーブに入れる。反応混合物をRTで20分間撹拌する。次いで、48.69mmolの(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび98.8mmolのトリエチルアミンを添加し、オートクレーブに5バールの一酸化炭素を充填する。次いで、反応混合物を5バールの圧力下、70℃で4時間撹拌する。RTに冷却後、さらに酢酸パラジウム(II)(2.23mmol)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(2.23mmol)をそれぞれ4時間および8時間後に添加し、次いで反応混合物を5バールの一酸化炭素下、70℃で撹拌する。反応溶液をRTに冷却し、蒸発により濃縮する。表題化合物を残渣からフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により粘性褐色油状物として得る。Rf=0.14(EtOAc/ヘプタン2:1);Rt=3.35(勾配I)。
【0080】
i)(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−4−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
61.13mmolのEtNを、120mlのCHCl中の57.67mmolの(3R,4R,5S)−3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[303043-57-4]および59.40mmolのN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドの混合物に0℃で滴下する。16時間、RTで撹拌後、反応混合物をCHClで希釈し、1M 水性NaCO溶液および塩水で連続的に希釈する。合わせた水性相をCHClで抽出する −− 合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物を残渣からフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により薄黄色泡状物として得る。Rf=0.50(EtOAc/ヘプタン3:1);Rt=4.42(勾配I)。
【0081】
j)(R)−2−エトキシ−プロパン−1−オール
17.1mmolのリチウムボロハイドライドを、20mlのEtO中の11.0mmolの(R)−2−エトキシ−プロピオン酸メチルエステルの溶液に、Ar下、0℃で少しずつ添加する。1時間、0℃および18時間、RTで撹拌後、反応混合物をゆっくり氷冷飽和水性NHCl溶液に注ぐ。相を分離し、次いで水性相をCHCl(5×)で抽出する −− 合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する(35℃、300mbar)。粗表題化合物を、わずかに濁った黄色−褐色油状物として得る。Rf=0.30(ペンタン/EtO 1:1)。
【0082】
k)(R)−2−エトキシ−プロピオン酸メチルエステル
28.5mmolの酸化銀を、50mlのEtO中の14.25mmolのメチル−(R)−ラクテート[17392-83-5]および28.5mmolのヨウ化エチルの激しく撹拌している溶液に、Ar下、RTで添加する。反応フラスコをアルミニウムホイルで包み、遮光する。16時間後、さらに14.25mmolのヨウ化エチルおよび14.25mmolの酸化銀を反応混合物に添加する。20時間後、反応を、フィルターケーキの洗浄に最初にEtO、次いでCHClを使用してHyflo(登録商標)での濾過により浄化する。合わせた濾液を蒸発により濃縮する(35℃、300mbar)。表題化合物を残渣からフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により明黄色油状物として得る。Rf=0.35(ペンタン/EtO 4:1)。
【0083】
実施例2
酢酸(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチルエステル
一般法Aに従い、(3S,4R,5R)−3−アセトキシメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0084】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3S,4R,5R)−3−アセトキシメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
0.89mmolのアセチルクロライドを、7mlのCHCl中の0.81mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1a)および0.97mmolのEtNの溶液に、アルゴン下、0℃で添加する。1時間後、反応混合物をCHClで希釈し、飽和水性NaHCO溶液および塩水で連続的に洗浄する。合わせた水性相をCHClで抽出する −− 合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から得て、それをRf値に基づき同定する。
【0085】
実施例3
6−{(3R,4R,5S)−5−メトキシメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−ピペリジン−3−イルオキシメチル}−4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン
一般法Aに従い、(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−メトキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0086】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−メトキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
2.568mmolのヨウ化メチルを、0.642mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1a)および0.963mmolのNaH(油中60%分散)の懸濁液に、アルゴン下、0℃で添加する。1時間、0℃および1時間、RTで撹拌後、反応混合物をTBMEおよび飽和水性NaHCO溶液に分配する。水性層をTBME(2×)で抽出する −− 合わせた有機層をHOおよび塩水で連続的に洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0087】
実施例3に記載の方法に従い、次の化合物を類似の方法で製造する:
6−[(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−(2−メトキシ−エトキシメチル)−ピペリジン−3−イルオキシメチル]−4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン
工程aにおいて1−ブロモ−2−メトキシ−エタン(ヨウ化メチルの代わり)および1当量のテトラブチルアンモニウムアイオダイドを使用して。
【0088】
実施例5
2−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イル}−エタノール
一般法Aに従い、(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0089】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Jに従い、(3S,4R,5R)−3−カルボキシメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0090】
b)(3S,4R,5R)−3−カルボキシメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4mlのEtOHおよび4mlの2N NaOH中の1mmolの(3S,4R,5R)−3−シアノメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ(ethox)−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、85℃で一夜加熱する。反応混合物をRTに冷却し、1N HCl溶液の添加により酸性化し、EtOAcで抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0091】
c)(3S,4R,5R)−3−シアノメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
3mlのDMSO中の1mmolの(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−(トルエン−4−スルホニルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの溶液に、10mmolのナトリウムシアニドを添加し、混合物を50℃で4時間加熱する。反応混合物をHOで希釈し、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0092】
d)(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−(トルエン−4−スルホニルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Gに従い、0.93mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1a)を使用して、粗表題化合物を黄色−橙色油状物として得る。Rf=0.20(EtOAc/ヘプタン1:1);Rt=5.96(勾配I)。
【0093】
実施例6
C−{(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イル}−メチルアミン
一般法Aに従い、(3R,4R,5R)−3−アミノメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0094】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3R,4R,5R)−3−アミノメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Lに従い、0.83mmolの(3S,4R,5R)−3−アジドメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して、粗表題化合物を薄黄色油状物として得る。Rf=0.03(CHCl/MeOH/NH 200:10:1);Rt=4.51(勾配I)。
【0095】
b)(3S,4R,5R)−3−アジドメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4.57mmolのナトリウムアジドを、5mlの1,3−ジメチル−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オン(DMPU)中の0.91mmolの(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−(トルエン−4−スルホニルオキシメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例5d)の溶液に、アルゴン下、50℃で添加する。2時間後、反応混合物をRTに冷却し、TBMEで希釈し、HO(2×)および塩水で連続的に洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から薄黄色油状物として得る。Rf=0.27(EtOAc/ヘプタン1:1);Rt=5.98(勾配I)。
【0096】
N−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−ホルムアミド
一般法Aに従い、1.21mmolの(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ホルミルアミノメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0097】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ホルミルアミノメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1.4mmolの4−ニトロフェニルホルメート(formiate)を、10mlのCHCl中の1mmolの(3R,4R,5R)−3−アミノメチル−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(実施例6a)の溶液に、アルゴン下添加し、続いて1mmolのEtNを添加する。60分後、反応混合物を蒸発させる。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0098】
実施例8
N−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−アセトアミド
一般法Aに従い、1.21mmolの(3R,4R,5R)−3−(アセチルアミノ−メチル)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して、表題化合物を粘性の暗黄色油状物として得る。Rf=0.05(CHCl/MeOH/NH 200:20:1);Rt=3.66(勾配I)。
【0099】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3R,4R,5R)−3−(アセチルアミノ−メチル)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
実施例2aに準じて、(3R,4R,5R)−3−アミノメチル−4−[4−((R)−2−エトキシプロポキシ−メチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例6a)およびアセチルクロライドを使用して、表題化合物を残渣からフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により黄色油状物として得る。Rf=0.12(EtOAc);Rt=4.87(勾配I)。
【0100】
実施例8に記載した方法に従い、次の化合物を類似の方法で製造する:
N−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド
工程aにおいてプロピオニルクロライドをアセチルクロライドの代わりに使用して。
【0101】
実施例10
{(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−メチル−アミン
8mlのTHF中の1mmolのN−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−ホルムアミド(実施例7)の溶液を2mmolのLiAlH(THF中1M)と混合し、RTで13時間撹拌し(変換をHPLCまたはTLCで確認)、次いで反応混合物を40℃で2時間加熱する。反応混合物を飽和水性NaHCO溶液に注ぎ、TBME(3×)で抽出する。合わせた有機相をHOおよび塩水で洗浄し、真空で蒸発させる。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)により残渣から得て、Rf値に基づき同定する。
【0102】
実施例10に記載した方法に従い、次の化合物を類似の方法で製造する:
11 {(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−エチル−アミン
N−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−ホルムアミド(実施例7)の代わりにN−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イルメチル}−アセトアミド(実施例8)から出発して。
【0103】
実施例12
6−{(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−ピロリジン−1−イルメチル−ピペリジン−3−イルオキシメチル}−4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン
一般法Aに従い、1.21mmolの(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−ピロリジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0104】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3R,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−ピロリジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
5mlのTHF中の1mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ホルミル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの溶液に、1.2mmolのピロリジン、1.1mmolの酢酸および1.5mmolのナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを添加する。反応混合物を5時間撹拌し、氷HO混合物に注ぐ。混合物をTBME(3×)で抽出する。合わせた有機相をHOおよび塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0105】
b)(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ホルミル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
1mlのDMSOおよび5mlのCHCl中の1mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例1a)の溶液に、0℃で、5mmolのEtNおよび3mmolのピリジン・三酸化硫黄錯体を添加する。反応混合物をさらに3時間、この温度で撹拌し、次いでRTに温め、RTで5時間撹拌し、水で希釈し、1N KHSOの添加により酸性化し、続いてEtOで抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)で精製して、表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0106】
実施例12に記載した方法に従い、次の化合物を類似の方法で製造する:
13 6−{(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−ピペリジン−1−イルメチル−ピペリジン−3−イルオキシメチル}−4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン
ピペリジンをピロリジンの代わりに使用して。
【0107】
実施例14
3−{(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−3−イル}−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン
一般法Aに従い、1mmolの(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシプロポキシ−メチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−(3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0108】
出発物質を次の通り製造する:
a)(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−(3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
一般法Bに従い、1mmolの(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシプロポキシ−メチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル−メトキシ]−5−((E)−3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロペニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して表題化合物を得て、それをRf値に基づき同定する。
【0109】
b)(3R,4R,5S)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−5−((E)−3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロペニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
5ml MeOH中の1mmolの(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ホルミル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(実施例12b)および1.1mmolの(2−オキソ−2−ピロリジン−1−イル−エチル)−トリフェニル−ホスホニウムクロライドの溶液に、1.05mmolのNaOCHを添加する。反応混合物をRTで一夜撹拌する。反応混合物を0.1N HClおよびHOの添加によりクエンチする。相を分離し、有機相を飽和水性NaHCO溶液および塩水で洗浄する。合わせた水性相をTBMEで抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発により濃縮する。表題化合物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO 60F)の手段により残渣から得て、それをRf値に基づき同定する。
【0110】
c)(2−オキソ−2−ピロリジン−1−イル−エチル)−トリフェニル−ホスホニウムクロライド
5mlのCHCN中の1mmolの2−クロロ−1−ピロリジン−1−イル−エタノン[20266-00-6]の溶液を1mmolのトリフェニルホスフィンで処理する。混合物を3時間、70℃に加熱し、次いでRTに冷却する。溶媒を蒸発させて、粗塩を次工程に使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、
はC1−8−アルカノイルオキシ、C1−8−アルカノイルオキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、C1−8−アルコキシカルボニル−アミノ、C1−8−アルコキシカルボニルアミノ−C1−8−アルキル、C0−8−アルキルカルボニルアミノ、C0−8−アルキル−カルボニルアミノ−C1−8−アルキル、O−C1−8−アルキル化カルボキシル、O−C1−8−アルキル化カルボキシル−C1−8−アルキル、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ−C1−8−アルキル、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ−カルボニルアミノ、所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−8−アルキル化されていてよいアミノ−カルボニルアミノ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ、ヘテロシクリル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C0−8−アルキル−カルボニル−C1−8−アルキル、シクロアルキル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ、シクロ−アルキル−C0−8−アルキル−カルボニル−C0−8−アルキルアミノ−C1−8−アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシ置換C1−8−アルキル、所望によりN−モノ−、−ジ−または−トリ−C1−8−アルキル化またはヘテロシクリル−置換されていてよいウレイド、または所望によりN−モノ−、−ジ−または−トリ−C1−8−アルキル化またはヘテロシクリル−置換されていてよいウレイド−C1−8アルキルであり、ここで、上記ヘテロシクリルおよびシクロアルキル基は置換されていないかまたは置換されている。〕
の化合物、そのプロドラッグ、そのニトロソ化(nitosated)または硝酸エステル誘導体またはその塩、好ましくはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
がヒドロキシルまたは直鎖オメガ−ヒドロキシ置換C1−4−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がC1−4−アルコキシ、C1−4−アルコキシ−C1−4−アルキルまたはC1−4−アルコキシ−C1−4−アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が直鎖C1−4−アルコキシ、直鎖C1−4−アルコキシ−直鎖−C1−4−アルキルまたは直鎖C1−4−アルコキシ−直鎖C1−4−アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がC0−3−アルキルカルボニルアミノまたはC0−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−4−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−4−アルキル化されていてよいアミノまたは所望によりN−モノ−またはN,N−ジ−C1−4−アルキル化されていてよいアミノ−C1−4−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が所望により置換されていてよい、N−結合した飽和N含有C5−6−ヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がヒドロキシ、ヒドロキシ−C1−2−アルキル、C1−2−アルコキシ、2−メトキシ−エトキシ、アセチルオキシ、C0−2−アルキルカルボニルアミノ、C0−2−モノアルキルアミノ、N−結合ピロリジニル、N−結合ピペリジニルまたはN−結合ピロリジニル−カルボニル−C1−2−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
化合物:
(3S,4R,5R)−4−[4−((R)−2−エトキシ−プロポキシメチル)−フェニル]−3−ヒドロキシメチル−5−[4−(3−メトキシ−プロピル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イルメトキシ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル。
【請求項10】
化合物:
(R)−2−エトキシ−プロパン−1−オール。
【請求項11】
医薬、特に高血圧、心不全、緑内障、心筋梗塞、腎不全、糖尿病性腎症および再狭窄(restenoses)の処置または予防用医薬の製造のための、請求項1から8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物のおよび所望により1種以上の心血管活性を有する薬剤を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2011−506287(P2011−506287A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536447(P2010−536447)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066747
【国際公開番号】WO2009/071606
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】