説明

有機半導体ポリマー、有機半導体材料用組成物および光電池

【課題】光電変換効率、耐久性、特に酸素存在下での耐久性に優れ、しかもセルサイズを大きくした場合においても光電変換効率の低下が少ない有機半導体ポリマー有機半導体ポリマー、有機半導体材料用組成物、光電池およびポリマーを提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される構造単位を有することを特徴とする有機半導体ポリマー、有機機半導体材料用組成物、光電池およびポリマー。


式中、XはSi、SまたはOを表し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。pは0、1または2を表す。ここで、XとRとの間の結合は、XがSiである場合は単結合であり、XがSであるとき、二重結合である。またXがOである場合、pは0である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体ポリマー、有機半導体材料用組成物および光電池に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体ポリマーは、有機エレクトロニクス分野において近年盛んに研究が行われており、電気を流すと発光する有機エレクトロルミネッセンス素子、光照射で発電する有機光電変換素子、電流量や電圧量を制御する有機薄膜トランジスタ素子等に使用される。このような素子では、無機半導体材料と同様、電子供与材料であるp型導電性・半導体材料と電子受容材料であるn型導電性・半導体材料を組み合わせた有機半導体材料が使用される。
近年、石油等の化石エネルギーでは大気中への二酸化炭素を放出することから、温暖化抑制による地球環境保全のため、太陽電池への需要が高まっている。有機光電変換素子を使用する有機太陽電池には、湿式である色素増感太陽電池(グレッツェルセル)と全固形型である有機薄膜太陽電池が知られている。後者は電解液を使用しないため、この電解液の蒸発や液漏れを考慮する必要がなく、柔軟性をもたせることが可能であり、太陽電池の構造や製造が前者より簡便となる。
【0003】
しかしながら、有機薄膜太陽電池の光電変換効率はいまだ不十分である。光電変換効率は短絡電流(Jsc)×開放電圧(Voc)×曲線因子(FF)で算出されるが、この効率を高めるためには、短絡電流の向上に加え、開放電圧の向上も必要となる。短絡電流の向上には、高い溶解性とキャリア移動性の有機半導体材料(例えば、フルオレン構造やシラフルオレン構造の化合物)を使用すること、また、開放電圧はp型導電性・半導体材料のHOMO準位とn型導電性・半導体材料のLUMO準位との差分と関係しているといわれており、この差分を大きくすると開放電圧は向上する。さらに、有機太陽電池の場合、効率を向上させるためには太陽光のより長い波長領域(650〜800nm)から多くの光を吸収するのが効率的である。このため、狭いバンドギャップ化が望まれている。有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、発光効率、すなわち有機エレクトロルミネッセンス照明の電力効率のさらなる向上が期待されている。
一方、電子供与材料であるp型導電性・半導体材料としての有機半導体ポリマーの研究は盛んに行なわれている。例えば、特許文献1では特定のシクロペンタジチアゾール構造のポリマーが、特許文献2では特定のシラシクロペンタジチオフェン構造のポリマーが、それぞれ提案されているが、いずれも変換効率が必ずしも十分でなく、これらのポリマーは耐久性、特に酸素存在下での耐久性の点で満足できるものでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/067023号パンフレット
【特許文献2】特表2010−507233公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、光電変換効率、耐久性、特に酸素存在下での耐久性に優れ、しかもセルサイズを大きくした場合においても光電変換効率の低下が少ない有機半導体ポリマーを提供することにある。特に、本発明においては、光電変換効率を向上させるために行う狭いバンドキャップ化と耐久性の向上の両立を課題とし、光電変換効率のセルサイズ依存性を低減する有機半導体ポリマーを提供することにある。さらに本発明の課題は、このような有機半導体ポリマーを含む有機半導体材料用組成物、該ポリマーまたは該組成物を有する光電池(特に有機薄膜太陽電池)を提供することにある。さらに本発明の別の課題として、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機薄膜トランジスタ素子等の有機エレクトロデバイス他に有用なポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を達成するため、鋭意検討を行った結果、有機半導体ポリマーの光電変換効率の向上、特に酸素を含む大気下における耐久性の向上のために有機半導体ポリマーのHOMO準位に着目し、このようなポリマー構造の化合物を種々検討することにより、特定の構造を有する有機半導体ポリマーが、光電池の狭いバンドギャップ化における吸収波長の長波化と耐久性の向上の両立を達成できることを見出した。特に、光電変換効率と耐久性との両立は、3つの環の縮合配置と種類が重要であり、チアゾール構造を特定元素で連結することにより、深いHOMO準位とすることが可能になり、しかもセルサイズの依存性による光電変換効率の低下防止に対しては、これは明らかではないが、推察するに当該発明の構造を取ることによって、ポリマー分子間のπ−πスタッキング性が向上し、広いセル面積において好ましい分子配列を取り易くなったと思われ、結果として広い領域で効率的な電池特性を発現することを見出したものである。
本発明はこの知見に基づきなされたものである。
以下の手段で前述の本発明の課題がいずれも達成できた。
【0007】
<1>下記一般式(I)で表される構造単位を有することを特徴とする有機半導体ポリマー。
【0008】
【化1】

【0009】
式中、XはSi、SまたはOを表し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。pは0、1または2を表す。ここで、XとRとの間の結合は、XがSiである場合は単結合であり、XがSであるとき、二重結合である。またXがOである場合、pは0である。なお、pが2のとき、2個のRは同じでも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
<2>前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−1)で表される構造単位であることを特徴とする<1>に記載の有機半導体ポリマー。
【0010】
【化2】

【0011】
式中、R1’およびR1”は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基を表す。ここで、R1’およびR1”は互いに結合して環を形成してもよい。
<3>前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−2)で表される構造単位であることを特徴とする<1>に記載の有機半導体ポリマー。
【0012】
【化3】

【0013】
式中、p’は0、1または2を表す。
<4>前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−3)で表される構造単位であることを特徴とする<1>に記載の有機半導体ポリマー。
【0014】
【化4】

【0015】
<5>前記有機半導体ポリマーが共重合体であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマー。
<6>前記有機半導体ポリマーが、さらに下記一般式(II)で表される構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマー。
【0016】
【化5】

【0017】
式中、ZおよびZは各々独立にS、O、SeまたはTeを表し、YはC(R21)またはNを表す。RおよびR21はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
<7>前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマーとn型有機半導体化合物を含有することを特徴とする有機半導体材料用組成物。
<8>前記n型有機半導体化合物が、フラーレンもしくはその誘導体であることを特徴とする<7>に記載の有機半導体材料用組成物。
<9>前記フラーレンもしくはその誘導体が、フェニル−C61−酪酸エステル、ジフェニル−C62−ビス(酪酸エステル)、フェニル−C71−酪酸エステル、フェニル−C85−酪酸エステルまたはチエニル−C61−酪酸エステルであることを特徴とする<8>に記載の有機半導体材料用組成物。
<10>前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を有することを特徴とする光電池。
<11>第一の電極と第二の電極の間に、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を含有する層を有することを特徴とする光電池。
<12>前記第一の電極と、前記有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を含有する層との間に、ホール輸送層を有することを特徴とする<11>に記載の光電池。
<13>前記第二の電極と、前記有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を含有する層との間に、電子輸送層を有することを特徴とする<11>または<12>に記載の光電池。
<14>前記第一の電極が透明電極であることを特徴とする<11>〜<13>のいずれか1項に記載の光電池。
<15>前記第二の電極が金属電極であることを特徴とする<11>〜<14>のいずれか1項に記載の光電池。
<16>下記一般式(I)で表される構造単位を有することを特徴とするポリマー。
【0018】
【化6】

【0019】
式中、XはSi、SまたはOを表し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。pは0、1または2を表す。ここで、XとRとの間の結合は、XがSiである場合は単結合であり、XがSであるとき、二重結合である。またXがOである場合、pは0である。なお、pが2のとき、2個のRは同じでも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
<17>前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−1)で表される構造単位であることを特徴とする<16>に記載のポリマー。
【0020】
【化7】

【0021】
式中、R1’およびR1”は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基を表す。ここで、R1’およびR1”は互いに結合して環を形成してもよい。
<18>前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−2)で表される構造単位であることを特徴とする<16>に記載のポリマー。
【0022】
【化8】

【0023】
式中、p’は0、1または2を表す。
<19>前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−3)で表される構造単位であることを特徴とする<16>に記載のポリマー。
【0024】
【化9】

【0025】
<20>前記ポリマーが共重合体であることを特徴とする<16>〜<19>いずれか1項に記載のポリマー。
<21>前記ポリマーが、さらに下記一般式(II)で表される構造単位を有する共重合体であることを特徴とする<16>〜<19>のいずれか1項に記載のポリマー。
【0026】
【化10】

【0027】
式中、ZおよびZは各々独立にS、O、SeまたはTeを表し、YはC(R21)またはNを表す。RおよびR21はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、光電変換効率、耐久性、特に酸素存在下での耐久性に優れ、しかもセルサイズを大きくした場合においても光電変換効率の低下が少ない有機半導体ポリマー、該有機半導体ポリマーを含む有機半導体材料用組成物、該ポリマーまたは該組成物を有する光電池(特に有機薄膜太陽電池)、およびポリマーを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者等は、有機半導体ポリマーの効率の向上、特に耐久性の向上のために有機半導体ポリマーのHOMO準位に着目し、このようなポリマー構造の化合物を種々検討することにより、有機半導体ポリマーのHOMO準位が太陽電池のVoc(開放電圧)と関係し、このHOMO準位が低いほどVocが向上すること、また、有機半導体ポリマーは一般的に酸化され劣化しやすい傾向にあるが、そのエネルギー準位を低くすることで、大気中の酸素等による酸化安定性が向上することを確認した。そして、特定の構造を有する有機半導体ポリマーが、光電池の狭いバンドギャップ化における吸収波長の長波化、と耐久性の向上の両立を達成できることを見出した。
本発明の有機半導体ポリマーを含む光電池は、光電変換効率、耐久性、特に酸素存在下での耐久性に優れ、しかもセルサイズを大きくした場合においても光電変換効率の低下が少ない。
<本発明の一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー>
最初に、本発明の下記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーを説明する。
【0030】
【化11】

【0031】
式中、XはSi、SまたはOを表し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。pは0、1または2を表す。ここで、XとRとの間の結合は、XがSiである場合は単結合であり、XがSであるとき、二重結合である。またXがOである場合、pは0である。なお、pが2のとき、2個のRは同じでも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、本発明の一般式(I)で表される構造単位を有する有機半導体ポリマーを詳細に説明する。
【0032】
XはSi、SまたはOを表す。XはSiまたはSが好ましく、Siがより好ましい。Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。
【0033】
におけるアルキル基は、置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。
におけるシクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基で、好ましくは炭素数3〜30のシクロアルキル基であり、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられる。
におけるアリール基は、置換もしくは無置換のアリール基で、好ましくは、炭素数6〜30のアリール基であり、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルが挙げられる。
【0034】
における芳香族へテロ環基は、置換もしくは無置換の芳香族へテロ環基で、好ましくは炭素数0〜30であり、5員環または6員環が好ましく、これらの環は、脂環、芳香環、ヘテロ環および芳香族へテロ環で縮環されていてもよく、芳香族へテロ環基におけるヘテロ環としては、例えば、フラン環、ピロール環、ピリジン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリン環が挙げられる。
【0035】
におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族へテロ環基は、上述のように置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の、置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基およびアニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、チオアシルオキシ基、(アルキルチオ)カルボニル基、(アリールチオ)カルボニル基、(アリールチオ)チオカルボニル基、(アルキルチオ)チオカルボニル基、チオアシルチオ基、カルバモイル基、アリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基およびシリル基が挙げられる。
また、これらの置換基は更に置換されていても良い。その際、置換基の例としては、上述の置換基を挙げることができる。
【0036】
これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族へテロ環基が有してもよい置換基のうち、電子吸引性の基が好ましく、ハメット則におけるσ値が0以上の基が好ましい。ハメット則におけるσ値は、J. A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,McGraw−Hill(1979年)、「化学の領域増刊」,122号,96〜103頁,南江堂(1979年)に記載されている。これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族へテロ環基が有してもよい置換基のうち、さらに好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30で、例えばメトキシ、エトキシ、イソブトキシ、n−オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30で、例えばフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、n−デシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは、炭素数1〜30で、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ)、アシル基(好ましくは、炭素数1〜30で、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソブチリル、ピバロイル、アクリロイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフトイル、フロイル、チエノイル、ニコイノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30で、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30で、例えばフェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル)、
【0037】
アシルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30で、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基を含み、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ、アクリロイルオキシ、オレオイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、フロイルオキシ、チエノイルオキシ、ニコイノイルオキシ)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30のアリールスルホニル基で、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、n−オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、ナフタレンスルホニル)、シアノ基、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30で、例えばフェノキシカルボニルオキシ、4−メチルフェノキシカルボニルオキシ、ナフチルオキシカルボニルオキシ)、アルコキシチオカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30で、メトキシチオカルボニル、エトキシチオカルボニル、2−エチルヘキシルオキシチオカルボニル、n−ドデシルオキシチオカルボニル)、アリールオキシチオカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30で、例えばフェニルオキシチオカルボニル、3−メチルフェニルオキシチオカルボニル、ナフチルオキシチオカルボニル)、(アルキルチオ)カルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30で、例えば(メチルチオ)カルボニル、(エチルチオ)カルボニル、(イソプロピルチオ)カルボニル、(2−エチルへキシルチオ)カルボニル)、(アリールチオ)カルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30で、(フェニルチオ)カルボニル、(ナフチルチオ)カルボニル)、チオアシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30で、チオホルミルオキシ基、アルキルカルボチオニルオキシ基、アリールカルボチオニルオキシ基、ヘテロ環カルボチオニルオキシ基を含み、例えば、チオホルミルオキシ、チオアセチルオキシ、チオプロピオニルオキシ、チオイソブチリルオキシ、チオピバロイルオキシ、チオアクリロイルオキシ、チオオレオイルオキシ、チオベンゾイルオキシ、チオナフトイルオキシ、チオフロイルオキシ、チオチエノイルオキシ、チオニコイノイルオキシ)、
【0038】
(アルキルチオ)チオカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30で、例えば(メチルチオ)チオカルボニル、(エチルチオ)チオカルボニル、(2−エチルヘキシルチオ)チオカルボニル)、(アリールチオ)チオカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30で、(フェニルチオ)チオカルボニル、(ナフチルチオ)チオカルボニル)およびチオアシルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30で、チオホルミルチオ基、アルキルカルボチオニルチオ基、アリールカルボチオニルチオ基、ヘテロ環カルボチオニルチオ基を含み、例えば、チオホルミルチオ、チオアセチルチオ、チオプロピオニルチオ、チオイソブチリルチオ、チオピバロイルチオ、チオアクリロイルチオ、チオオレオイルチオ、チオベンゾイルチオ、チオナフトイルチオ、チオフロイルチオ、チオチエノイルチオ、チオニコイノイルチオ)から選択される置換基である。
pが2のとき、2個のRが互いに結合して環を形成した場合、その環構造としては、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基が挙げられ、これらについては上述したRと同様のものが例示される。
本発明においてRはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基が好ましく、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
【0039】
一般式(I)で表される構造単位は、以下の一般式(I−1)、(I−2)または(I−3)で表される構造単位が好ましい。
【0040】
【化12】

【0041】
式中、R1’およびR1”は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基を表す。ここで、R1’およびR1”は一般式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲もRと同じである。
1’およびR1”は互いに結合して環を形成してもよい。R1’およびR1”が互いに結合して環を形成した場合、その環構造としては、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基が挙げられ、これらについては上述したRと同様のものが例示される。
【0042】
【化13】

【0043】
式中、p’は0、1または2を表す。p’は0または2が好ましく、0がより好ましい。
【0044】
【化14】

【0045】
上記一般式(I−1)〜(I−3)で表される構造単位のうち、一般式(I−1)または(I−2)で表される構造単位が好ましく、一般式(I−1)で表される構造単位が最も好ましい。
本発明の有機半導体ポリマーは、少なくとも前記一般式(I)で表される構造単位を有するものであるが、前記一般式(I)で表される構造単位の一種からなるホモポリマーであっても、一般式(I−1)〜(I−3)のいずれかの構造単位同士の組み合わせのコポリマーであっても、一般式(I)以外の構造単位とのコポリマーであっても構わない。
コポリマーである場合、本発明の一般式(I)で表される構造単位以外の構造単位としては一般式(I)で表される構造単位と、互いにπ電子共役系でこれらの構造単位が連結するものが用いられる。このような構造単位はπ電子共役系で共役でき、共役系がポリマー分子全体に広がるものであればどのような構造単位でも構わない。
【0046】
コポリマーを形成する本発明の一般式(I)で表される構造単位以外の構造単位としては、シラシクロペンタジチオフェン構造単位、シクロペンタジチアゾール構造単位、ベンゾチアジアゾール構造単位、チアジアゾロキノキサリン構造単位、シクロペンタジチオフェン構造単位、酸化シクロペンタジチオフェン構造単位、ベンゾイソチアゾール構造単位、ベンゾチアゾール構造単位、酸化チオフェン構造単位、チエノチオフェン構造単位、酸化チエノチオフェン構造単位、ジチエノチオフェン構造単位、酸化ジチエノチオフェン構造単位、テトラヒドロイソインドール構造単位、フルオレン構造単位、フルオレノン構造単位、チアゾール構造単位、セレノフェンもしくはチオフェン構造単位、シロール構造単位、チアゾロチアゾール部分、チエノチオフェン構造単位、ナフトチアジアゾール構造単位、チエノピラジン構造単位、オキサゾール構造単位、イミダゾール構造単位、ピリミジン構造単位、ベンゾオキサゾール構造単位、ベンゾイミダゾール構造単位、チエノチアゾール構造単位およびシクロペンタジピリジン構造単位が挙げられる。
これらの構造単位は、好ましくは、さらに一般式(1)〜(36)または後述の一般式(II)で表すことができる。
【0047】
【化15】

【0048】
【化16】

【0049】
【化17】

【0050】
【化18】

【0051】
一般式(1)〜(36)において、R11、R12およびR18は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。R13〜R17は各々独立に、水素原子または置換基を表し、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアルキルもしくはアリールスルホニル基が好ましい。XおよびYは各々独立に、CH、OまたはSを表す。YはSまたはSeを表す。
【0052】
11、R12、R18およびR13〜R17におけるアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基は一般式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。R11、R12、R18およびR13〜R17におけるヘテロ環基、アルコキシ基またはアリールオキシ基、R13〜R17におけるハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアルキルもしくはアリールスルホニル基は、Rのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族へテロ環基が有してもよい置換基で挙げたハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアルキルもしくはアリールスルホニル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
これらの中でも、(1)、(2)、(3)、(12)、(14)、(20)、(22)、(25)、(27)、(35)表される構造単位および下記に示す一般式(II)で表される構造単位が好ましく、(1)、(20)、(25)で表される構造単位および下記に示す一般式(II)で表される構造単位がより好ましい。
【0053】
本発明の一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーが共重合体である場合、本発明の一般式(I)で表される構造単位と下記一般式(II)で表される構造単位との共重合体が特に好ましい。
【0054】
【化19】

【0055】
式中、ZおよびZは各々独立にS、O、SeまたはTeを表し、YはC(R21)またはNを表す。RおよびR21はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
RおよびR21における置換基としては、Rにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族へテロ環基が有してもよい置換基が挙げられる。
Rは、好ましくは、アルキル基、−SO、−CN、−NO、−P(=O)(OR22)(OR23)または−C(R24)=C(CN)であり、さらに好ましくは−SO、−CN、−NO、−P(=O)(OR22)(OR23)または−C(R24)=C(CN)である。ここで、Xは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または−NR25(R26)を表す。R21〜R26は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基を表す。なお、R25とR26が互いに結合して環を形成してもよい。pは1または2を表す。
【0056】
21〜R26におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基はRにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基および芳香族へテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
およびZはS、OまたはSeが好ましく、SまたはOがより好ましく、Sが最も好ましい。YはCHまたはNが好ましく、Nがより好ましい。
Rは−SOが好ましく、Xは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基がより好ましく、アルキル基、アリール基がさらに好ましい。
pが2が好ましい。
21〜R26やXは、得られたポリマー膜の熱安定性に優れることから、ビニル基やアリル基等の二重結合、アセチレン基、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテルを含まないものがより好ましい。
【0057】
以下に、本発明の一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0058】
【化20】

【0059】
【化21】

【0060】
【化22】

【0061】
【化23】

【0062】
【化24】

【0063】
本発明の一般式(I)で表される構造単位は、クロスカップリング反応等、例えば、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,p.866(1979)やAngew.Chem.Int.Ed.25,p.508(1986)等に記載の方法(Suzuki反応や、Yamamoto反応、Heck反応、Stille反応、Sonogashira−Hagihara反応、Kumada−Corriu反応、Riecke反応、McCullogh反応等またはこの方法に準じて容易に合成することができる。ここで、原料の有機スズ化合物は、例えば、Chem.Lett.1977,p.301、等に記載の方法で容易に合成でき、また、コポリマーの原料とコポリマー化は、同様に、Synthetic Communications,Vol.11,No.7,p.513(1981)、Makromoleculare Chemistry,Rapid Communications,Vol.12,p.489(1992)、Polymer,Vol.38,p.1221(1997)に記載の方法もしくはこれに準じた方法で容易に合成することができる。
【0064】
<有機半導体ポリマー>
本発明の前記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーは、有機半導体ポリマーとして有用である。有機半導体ポリマーとは、半導体としての性質を示すことが可能な有機化合物のポリマーであり、本発明のポリマーは、とりわけp型有機半導体ポリマーとして有用である。なお、ポリマーを含むp型有機半導体化合物は、一般的に最高被占軌道(HOMO)準位が4.5〜6.0eVのπ電子共役系化合物である。
有機半導体ポリマーは有機エレクトロニクス分野で使用される、電気を流すと発光する有機エレクトロルミネッセンス素子、光照射で発電する有機光電変換素子、電流量や電圧量を制御する有機薄膜トランジスタ素子、電気化学センサー、プリンタブル回路等で利用される。本発明においては、光電池、特に有機薄膜太陽電池で使用するのが好ましい。
【0065】
<有機半導体材料用組成物>
本発明の有機半導体材料用組成物に関して説明する。
本発明の前記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーは、p型有機半導体ポリマーとして有用であり、本発明の有機半導体材料用組成物は、この一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーとn型半導体化合物を含有するが、特に本発明においてはn型有機半導体化合物を含有することが好ましい。また、必要によっては、一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー以外のp型有機半導体化合物、半導体以外の化合物(例えば、その他のp型半導体化合物として、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)や、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン(MEH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、ポリ[(9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,8−ジイル)](F8BT)等が例示され、半導体以外の化合物としては、後述するポリエステル系樹脂やメタクリル樹脂等の他のポリマー)を含有してもよい。組成物の質量を100としたとき、一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーを10〜90、n型有機半導体化合物を10〜90、一般式(I)で表される構造単位を有するポリマー以外のp型有機半導体化合物を0〜50、半導体以外の化合物を0〜50含有する。
【0066】
(n型有機半導体化合物)
n型有機半導体化合物としては、特に限定されないが、一般的に、その最低空軌道(LUMO)準位が3.5〜4.5eVであるようなπ電子共役系化合物であり、例えば、フラーレンもしくはその誘導体、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体化合物の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
【0067】
これらのn型有機半導体化合物のうち、本発明の一般式(I)で表される構造単位を有する有機半導体ポリマー(p型有機半導体化合物)と高速かつ効率的に電荷分離ができるためフラーレンもしくはその誘導体が好ましく、フラーレンもしくはその誘導体がより好ましい。
フラーレンやその誘導体としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C84フラーレン、C240フラーレン、C540フラーレン、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
【0068】
フラーレン誘導体としては、フェニル−C61−酪酸エステル、ジフェニル−C62−ビス(酪酸エステル)、フェニル−C71−酪酸エステル、フェニル−C85−酪酸エステルまたはチエニル−C61−酪酸エステルが好ましく、上記の酪酸エステルのアルコール部分の好ましい炭素数は1〜30、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜4、最も好ましくは1である。
【0069】
好ましいフラーレン誘導体を例示すると、フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)、フェニル−C61−酪酸n−ブチルエステル([60]PCBnB)、フェニル−C61−酪酸イソブチルエステル([60]PCBiB)、フェニル−C61−酪酸n−ヘキシルエステル([60]PCBH)、フェニル−C61−酪酸n−オクチルエステル([60]PCBO)、ジフェニル−C62−ビス(酪酸メチルエステル)(ビス[60]PCBM)、フェニル−C71−酪酸メチルエステル([70]PCBM)、フェニル−C85−酪酸メチルエステル([84]PCBM)、チエニル−C61−酪酸メチルエステル([60]ThCBM)、C60ピロリジントリス酸、C60ピロリジントリス酸エチルエステル、N−メチルフラロピロリジン(MP−C60)、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸t−ブチルエステル、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレンが挙げられる。
【0070】
本発明の有機半導体材料用組成物には、本発明の前記一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーとともに、他のp型半導体化合物(例えば、縮合多環芳香族低分子化合物、オリゴマーまたはポリマー)を含有してもよい。
【0071】
p型半導体化合物である縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
【0072】
また、上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol.127,4986頁(2005年)、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123,9482頁(2001年)、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130,2706頁(2008年)等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、特開2008−16834号公報等に記載のポルフィリン系化合物等が挙げられる。
【0073】
p型半導体化合物である共役系ポリマーやオリゴマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka,Japan,1225頁(2007年)に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,vol.5,328頁(2006年)に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開2008/000664号パンフレットに記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,4160頁(2007年)に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6,497頁(2007年)に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー等のポリマーが挙げられる。また、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン等のオリゴマーも挙げられる。
【0074】
(光電変換層)
本発明の有機半導体材料用組成物は、光電変換層(特にバルクへテロ結合層)の塗工用組成物として好ましく使用される。電子供与材料であるp型有機半導体化合物と電子受容材料であるn型半導体化合物の混合比は光電変換効率が最も高くなるように調整されるが、通常は、質量比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20の範囲から選ばれる。このような混合層の形成方法は、例えば、共蒸着法が用いられる。あるいは、両方の有機材料に共通する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有するためには、塗布法が好ましい。
ここで、光電変換層における電子供与領域(ドナー)と電子受容領域(アクセプター)の相分離促進、光電変換層に含まれる有機材料の結晶化、電子輸送層の透明化などを目的として、種々の方法で加熱処理(アニール)しても良い。蒸着等の乾式製膜法の場合は、例えば、製膜中の基板温度を50℃〜150℃に加熱する方法がある。印刷や塗布等の湿式製膜法の場合は、塗布後の乾燥温度を50℃〜150℃とする方法などがある。また、後の工程、例えば、金属負極の形成が終了した後に50℃〜150℃に加熱しても良い。相分離が促進されることで、キャリア移動度が向上し、高い光電変換効率を得ることができることがある。
【0075】
<光電変換素子、光電池>
以下、本発明の一般式(I)で表される構造単位のポリマー、本発明の有機半導体材料用組成物を使用する光電変換素子、該光電変換素子の代表例である光電池によって説明する。
光電池、特に有機薄膜太陽電池では、本発明の有機半導体材料用組成物を前述の光電変換層、特に好ましくはバルクへテロ結合層として使用する。
光電池は、特に有機薄膜太陽電池は、一般に、p−i−n三層構造を有するp−i−n接合型有機薄膜太陽電池とバルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池に分類され、本発明においてはそのいずれでも構わないが、高い発電効率が容易に得られることから、バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池に特に好ましく適用される。
【0076】
光電池は、光電変換層、特にバルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池におけるバルクへテロ接合層は本発明の有機半導体材料用組成物を使用して層を形成するが、この光電変換層は単一層で構成されても、電子供与化合物であるp型半導体化合物と電子受容化合物であるn型半導体化合物の種類、混合比を変えた複数の層で構成されてもよい。
この光電変換層は、第一の電極と第二の電極の間に設けられる。本発明においては、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設けるのが好ましく、また第二の電極と光電変換層の間に電子輸送層を設けることが好ましく、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設け、かつ光電変換層と第二の電極の間に電子輸送層を設けるのが特に好ましい。
これらのホール輸送層や電子輸送層を設けることにより、光電変換層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となる。
【0077】
(電極)
本発明に関わる光電変換素子においては、少なくとも第一の電極と第二の電極を有する。第一の電極と第二の電極は、いずれか一方が正極で、残りが負極となる。また、タンデム構成をとる場合には中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。なお、本発明においては主に正孔(ホール)が流れる電極を正極と称し、主に電子が流れる電極を負極と称す。また透光性があるかどうかといった機能面から、透光性のある電極を透明電極と称し、透光性のない電極を対電極または金属電極と称す。通常、正極は透光性のある透明電極であり、負極は透光性のない対電極または金属電極であるが、第一の電極と第二の電極の両方を透明電極とすることもできる。
【0078】
(第一の電極)
第一の電極は、正極であり、太陽電池の場合、好ましくは可視光から近赤外光(380〜800nm)の光を透過する透明電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。またポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性ポリマー等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて正極とすることもできる。なお、光透過性が要求されない場合は、ニッケル、モリブデン、銀、タングステン、金などの金属材料によって正極を形成してもよい。透明な太陽電池とする場合は、正極の透過率は、太陽電池に使用する厚さ(例えば、0.2μmの厚さ)で、波長380nm〜800nm領域における平均光透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。
【0079】
(第二の電極)
本発明の第二の電極は負極であり、標準電極電位が正値である金属負極である。
負極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。負極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。負極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
【0080】
負極の導電材として金属材料を用いれば負極側に到達した光は反射されて第一の電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。また、負極は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い負極を塗布法により形成でき好ましい。
また、負極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の負極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記正極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性負極とすることができる。
【0081】
(ホール輸送層)
本発明においては、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設けるのが好ましい。
ホール輸送層を形成する導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジアゾール等や、これら導電骨格を複数有するポリマー等が挙げられる。
これらのなかではポリチオフェンおよびその誘導体が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチエノチオフェンが特に好ましい。これらのポリチオフェンは導電性を得るために、通常、部分酸化されている。導電性ポリマーの電気伝導率は部分酸化の程度(ドープ量)で調節することができ、ドープ量が多いほど電気伝導率が高くなる。部分酸化によりポリチオフェンはカチオン性となるので、電荷を中和するための対アニオンを要する。そのようなポリチオフェンの例としては、ポリスチレンスルホン酸を対イオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)やp−トルエンスルホン酸を対アニオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−TsO)が挙げられる。
【0082】
ホール輸送層には、所望の導電性を損なわない範囲であれば、他のポリマーが添加されても良い。他のポリマーは塗布性を向上させる目的や膜強度を高める目的で添加される。他のポリマーの例としては、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂や、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール等の親水性ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは膜強度を高めるために架橋しても良い。
【0083】
また、ホール輸送層には、国際公開2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物等を用いることができる。なお、光電変換層に用いられるn型半導体化合物のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有するホール輸送層には、光電変換層で生成した電子を正極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。このようなホール輸送層は、電子ブロック層とも称し、このような機能を有するホール輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン、酸化バナジウム等の金属酸化物等を用いることができる。また、光電変換層に用いたp型半導体化合物単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。光電変換層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
ホール輸送層の厚みは、10nm〜500nmが好ましく、さらに20〜200nmであることがさらに好ましい。
【0084】
(電子輸送層)
本発明においては、第二の電極と光電変換層の間に電子輸送層を設けることが好ましく、第一の電極と光電変換層の間にホール輸送層を設け、かつ光電変換層と第二の電極の間に電子輸送層を設けるのが特に好ましい。
電子輸送層に用いることのできる電子輸送材料としては、前記の光電変換層で挙げた電子受容材料であるn型半導体化合物および、ケミカルレビュー第107巻,953〜1010頁(2007年)にElectron−Transporting and Hole−Blocking Materialsとして記載されているものが挙げられる。本発明においては、無機塩や無機酸化物を使用することが好ましい。無機塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が好ましい。各種金属酸化物は安定性が高い電子輸送層の材料として好ましく利用され、例えば、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化ルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化バリウムが挙げられる。これらのうち比較的に安定な酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛がより好ましい。電子輸送層の膜厚は0.1〜500nmであり、好ましくは0.5〜300nmである。電子輸送層は、塗布などによる湿式製膜法、蒸着やスパッタ等のPVD法による乾式製膜法、転写法、印刷法など、いずれによっても好適に形成することができる。
【0085】
なお、光電変換層に用いられるp型半導体化合物のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔(ホール)を負極側には流さないような整流効果を有する、正孔(ホール)ブロック機能が付与される。より好ましくは、n型半導体化合物のHOMO準位よりも深い材料を電子輸送層として用いることである。また、電子を輸送する特性から、電子移動度の高い化合物を用いることが好ましい。このような電子輸送層は、正孔(ホール)ブロック層とも称し、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体化合物、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、光電変換層に用いたn型半導体化合物単体からなる層を用いることもできる。
【0086】
(支持体)
本発明の光電池を構成する支持体は、その上に少なくとも第一の電極(正極)、光電変換層、第二の電極(金属負極)、より好ましい態様では、第一の電極(正極)、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、第二の電極(金属負極)を形成して保持することができるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチックフィルムなど、目的に応じて適宜選択しうる。
以下、支持体の代表的な例としてプラスチックフィルム基板について説明する。
【0087】
プラスチックフィルム基板の材質、厚み等に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光透過性を有する有機薄膜太陽電池とする場合には、光、例えば、400nm〜800nmの波長範囲の光に対する透過性に優れることが好ましい。
光透過率は、JIS K7105に記載された方法、すなわち積分球式光透過率測定装置を用いて全光透過率及び散乱光量を測定し、全光透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
【0088】
支持体に用いうるプラスチックフィルムの素材としては、具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0089】
プラスチックフィルム基板は、耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上、及び、線熱膨張係数が40ppm・K−1以下の少なくともいずれかの物性を満たす耐熱性を有し、さらに、前記したように露光波長に対し高い透明性を有する素材により成形されることが好ましい。
なお、プラスチックフィルムのTg及び線膨張係数は、JIS K7121に記載のプラスチックの転移温度測定方法、及び、JIS K7197に記載のプラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法により測定され、本発明においては、この方法により測定した値を用いている。
【0090】
プラスチックフィルム基板のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような耐熱性に優れる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン製ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)、ポリイミド等が挙げられ(括弧内はTgを示す)、これらは本発明における基材として好適である。なかでも、特に透明性が求められる用途には、脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
【0091】
支持体として用いるプラスチックフィルムは、光に対して透明であることが求められる。より具体的には、400nm〜800nmの波長範囲の光に対する光透過率は、通常80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
プラスチックフィルムの厚みに関して特に制限はないが、典型的には1μm〜800μmであり、好ましくは10μm〜300μmである。
【0092】
プラスチックフィルムの裏面(正極を設置しない側の面)には、公知の機能性層を設けても良い。機能層の例としては、ガスバリア層、マット剤層、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層等が挙げられる。このほか、機能性層に関しては特開2006−289627号公報の段落番号〔0036〕〜〔0038〕に詳しく記載されている。
【0093】
(易接着層/下塗り層)
プラスチックフィルム基板の表面(正極を形成する側の面)は、密着性向上の観点から、易接着層もしくは下塗り層を有していてもよい。易接着層もしくは下塗り層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
易接着層もしくは下塗り層の形成には、各種の親水性下塗ポリマーが用いられる。本発明に使用する親水性下塗ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエステル、塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体などのラテックスポリマー、ポリアクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体等が例示される。
易接着層もしくは下塗り層の乾燥後の塗布膜厚は、50nm〜2μmの範囲であることが好ましい。なお、支持体を仮支持体として用いる場合には、支持体表面に易剥離性処理を施すことも可能である。
【0094】
(機能性層)
支持体の裏面側(正極を形成しない面側)には機能性層を設けてもよい。例えば、ガスバリア層、マット剤層、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層、易接着層等が挙げられる。このほか、機能性層に関しては特開2006−289627号公報の段落番号〔0036〕〜〔0038〕に詳しく記載されており、ここに記載の機能性層を目的に応じて設けてもよい。
【0095】
<再結合層>
本発明に係る太陽電池は複数の光電変換層を積層した、いわゆるタンデム型構成を採っても良い。タンデム型構成は直列接続型であっても、並列接続型であっても良い。
2層の光電変換層を有するタンデム型の素子では、2層の光電変換層の間に再結合層が設けられる。再結合層の材料としては、導電材料の超薄膜が用いられる。好ましい導電材料としては、金、銀、アルミニウム、白金、酸化チタン、酸化ルテニウム等が挙げられる。これらのうち、比較的に安価で安定な銀が好ましい。再結合層の膜厚は0.01〜5nmであり、0.1〜1nmが好ましく、0.2〜0.6nmが特に好ましい。再結合層の形成方法については特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等のPVD法で形成することができる。
【0096】
<その他の半導体層>
必要に応じて、正孔(ホール)阻止層、励起子拡散防止層等の補助層を有していてもよい。なお、本発明において、第一の電極と第二の電極(正極と金属負極)の間に形成された、光電変換層、ホール輸送層、ホール注入層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層、ホール阻止層、励起子拡散防止層等の層を有してもよく、電子または正孔(ホール)を輸送する層の総称として、「半導体層」の言葉を用いる。
【0097】
<保護層>
本発明に係る光電池は、保護層によって被覆されていてもよい。保護層に含まれる材料としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO)、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等の金属酸化物、窒化珪素(SiN)等の金属窒化物、窒化酸化珪素(SiO)等の金属窒化酸化物(金属酸化窒化物)、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化アルミニウム、弗化カルシウム等の金属弗化物、ダイヤモンド状炭素(DLC)、などの無機材料が挙げられる。有機材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリパラキシリレン、ポリビニルアルコール等のポリマーが挙げられる。これらのうち、金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物やDLCが好ましく、珪素、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物が特に好ましい。保護層は単層でも多層構成であっても良い。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法などのPVD法や、原子層堆積法(ALD法またはALE法)を含む各種CVD法、塗布法、印刷法、転写法を適用できる。本発明においては、保護層が導電性層として使用されてもよい。
【0098】
<ガスバリア層>
水分子や酸素分子など活性因子の浸透を阻止する目的の保護層を特にガスバリア層ともいい、本発明に係る光電池、特に有機薄膜太陽電池はガスバリア層を有することが好ましい。ガスバリア層は、水分子や酸素分子等の活性因子を遮断する層であれば、特に制限はないが、保護層として先に例示した材料が通常利用される。これらは純物質でもよいし、複数組成からなる混合物や傾斜組成でもよい。これらのうち、珪素、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物が好ましい。
【0099】
ガスバリア層は単層でも、複数層でも良い。有機材料層と無機材料層の積層でも良く、複数の無機材料層と複数の有機材料層の交互積層でも良い。有機材料層は平滑性があれば特に制限はないが、(メタ)アクリレートの重合物からなる層などが好ましく例示される。無機材料層は、上述の保護層材料が好ましく、珪素、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物が特に好ましい。
【0100】
無機材料層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常は5〜500nmであり、好ましくは10〜200nmである。無機材料層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、米国特許出願公開2004/0046497号明細書に開示してあるようにポリマーからなる有機材料層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
【0101】
本発明に係る光電池の厚さは特に限定されないが、光透過性を有する有機薄膜太陽電池とする場合は、50μm〜1mmであることが好ましく、100μm〜500μmであることがより好ましい。
【0102】
本発明に係る光電池を用いて太陽光発電用モジュールを作製する場合、濱川圭弘著、「太陽光発電 最新の技術とシステム」、シーエムシー出版(平成12年)等の記載を参酌することができる。
【0103】
本発明の一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーに対し、光電池について説明してきたが、いくつかの実施形態では、本発明の一般式(I)で表される構造単位を有するポリマーを、その他の素子およびシステムに使用することができる。例えば、電界効果トランジスタ、光検出器(例えば、赤外光検出器)、光起電力検出器、撮像素子(例えば、カメラまたは医用画像撮影システムのRGB撮像素子)、発光ダイオード(LED)(例えば、有機LED、または赤外もしくは近赤外LED)、レーザー素子、変換層(例えば、可視発光を赤外発光に変換する層)、電気通信用の増幅器兼放射器(例えば、ファイバ用ドープ剤)、記憶素子(例えば、ホログラフィック記憶素子)、並びにエレクトロクロミック素子(例えば、エレクトロクロミックディスプレイ)のような好適な有機半導体素子に、これらのポリマーを使用することができる。
【実施例】
【0104】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1(ポリマー1の合成)
下記スキームに従い、化合物1−Cを合成し、この化合物1−Cからポリマー1を合成した。
【0105】
【化25】

【0106】
窒素雰囲気下、化合物(1−A)(Organic Letters,第12巻,5478−5481ページ(2010年)に記載の化合物5の合成法に従って合成した)3.2gを乾燥テトラヒドロフラン(THF)50mLに溶解し、内温−80℃以下に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)6.9mLを内温−80℃以下で滴下し、30分間撹拌した。これにジクロロジヘキシルシラン1.39mLを内温−80℃以下で滴下し、この温度で1時間保持した後、ゆっくりと室温まで昇温させた。12時間後に飽和重曹水50mLと酢酸エチル50mLを加え、静置して水層を除去し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させてから溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物(1−B)を得た。収量1.6g(収率47%)。
化合物(1−B)1.35gを乾燥THF27mLに溶解し、N−ブロモコハク酸イミド0.73gを添加し、得られた反応液を室温で4時間反応させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物(1−C)を得た。収量0.94g(収率90%)。
【0107】
窒素雰囲気下、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)0.44g、1,5−シクロオクタジエン0.75mL、2,2’−ビピリジル0.27gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10mLに懸濁させ、これに化合物(1−C)0.71gをDMF 5mLに溶かしたものを滴下し、60℃で24時間撹拌した。2mol/L塩酸5mLとメタノール10mL混合液に得られた反応液を滴下し、得られた固体を2mol/L塩酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水溶液、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液、メタノールで洗浄した後に、固体をソックスレー抽出器に移してアセトンで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して、ポリマー1を得た。収量0.47g。
ポリマー1をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は22,000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.45であった。また、クロロベンゼンに溶解したポリマー1をガラス基板にスピンコート塗布し、その塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=670nmであった。なお、吸収スペクトルの測定は分光光度計(島津製作所UV−3600型)を用いた。
【0108】
実施例2(ポリマー2の合成)
下記スキームに従い、化合物(2−C)を合成し、この化合物2−Cからポリマー2を合成した。
【0109】
【化26】

【0110】
ジクロロジヘキシルシラン1.39mLをジクロロジ(2−エチルヘキシル)シラン1.63gに変更したこと以外は実施例1と同様にして化合物(2−B)を合成した。1.6g(収率47%)。なおジクロロジ(2−エチルヘキシル)シランはJournal of the American Chemical Society,130巻,16144−16145ページ(2008年)に記載の化合物2の合成法に従って合成した。
【0111】
化合物(1−B)1.35gを化合物(2−B)1.46gに変更したこと以外は実施例1と同様にして化合物(2−C)を合成した。収量1.1g(収率95%)。
化合物(1−C)0.71gを化合物(2−C)0.79gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマー2を合成した。収量0.50g
ポリマー2をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は21,000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.53であった。同様に、ポリマー2の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=680nmであった。
【0112】
実施例3(ポリマー3の合成)
下記スキームに従い、化合物(3−E)を合成し、この化合物3−Eからポリマー3を合成した。
【0113】
【化27】

【0114】
化合物(3−A)を用いて、Justus Liebigs Annalen der Chemie,512巻,136−156ページ(1934年)に記載の方法に従い化合物(3−B)を合成した。Journal of Heterocyclic Chemistry,20巻,113−119ページ(1983年)に記載の方法を参考にして化合物(3−C)を合成した。Journal of Heterocyclic Chemistry,20巻,113−119ページ(1983年)に記載の方法を参考にして化合物(3−D)を合成した。Bioscience,Biotechnology,Biochemistry,57巻,1561−1562ページ(1993年)に記載の方法を参考にして化合物(3−E)を合成した。
化合物(1−C)0.71gを化合物(3−E)0.48gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマー3を合成した。収量0.24g
ポリマー3をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は17,000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.51であった。同様に、ポリマー3の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=630nmであった。
【0115】
実施例4(ポリマー4の合成)
下記スキームに従い、化合物4−Eからポリマー4を合成した。
【0116】
【化28】

【0117】
化合物(3−E)を用いて、Tetrahedron Letters,47巻,2009−2012ページ(2006年)を参考にして化合物(4−A)を合成した。
化合物(1−C)0.71gを化合物(4−A)0.51gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマー4を合成した。収量0.26g
ポリマー4をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は18,500、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.47であった。同様に、ポリマー4の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=630nmであった。
【0118】
実施例5(ポリマー5の合成)
下記スキームに従い、化合物5−Aからポリマー5を合成した。
【0119】
【化29】

【0120】
化合物(3−E)を用いて、Tetrahedron Letters,47巻,2009−2012ページ(2006年)を参考にして化合物(5−A)を合成した。
化合物(1−C)0.71gを化合物(5−A)0.53gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマー5を合成した。収量0.29g
ポリマー5をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は17,300、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.43であった。同様に、ポリマー5の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=620nmであった。
【0121】
実施例6(ポリマー6の合成)
下記スキームに従い、化合物6−Dからポリマー6を合成した。
【0122】
【化30】

【0123】
化合物(6−A)を用いて、Journal of Organic Chemistry,62巻,4088−4096ページ(1997年)に記載の方法に従い化合物(6−B)を合成した。Helvetica Chimica Acta,85巻,4485−4517ページ(2002年)およびCollection of Czachoslovak Chemical Communications,51巻,1678−1684ページ(1986年)に記載の方法を参考にして化合物(6−C)を合成した。Bioscience,Biotechnology,Biochemistry,1993年、57巻,1561−1562ページ記載の方法を参考にして化合物(6−D)を合成した。
化合物(1−C)0.71gを化合物(6−D)0.46gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマー6を合成した。収量0.23g
ポリマー6をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は16,500、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.51であった。同様に、ポリマー2の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=710nmであった。
【0124】
実施例7(ポリマー7の合成)
以下のようにして、ポリマー7を合成した。
【0125】
【化31】

【0126】
化合物(1−C)0.12g、化合物(7−A)(国際公開第2008/067023号パンフレットの実施例1に記載の方法で合成した)0.15g、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)2.1mg、トリフェニルホスフィン4.2mg、Aliquat336 35mgをトルエン20mLとTHF15mLに溶解し、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液2mLを添加した。溶液を脱気してから窒素置換し、90℃で48時間反応させた。得られた反応液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノールで洗浄し、アセトンで洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、0.45μmフィルターで濾過して、溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエンに溶解させてジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液と混合し、窒素雰囲気下80℃で12時間撹拌した。静置後に水層を除去し、有機層にイオン交換水を加えて撹拌してから静置後に水層を除去し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させてから溶媒を減圧留去し、得られた固体をソックスレー抽出器に移してメタノールで12時間抽出しさらにアセトンで12時間抽出した。固体を減圧乾燥させることで、ポリマー7を得た。収量0.16g
ポリマー7をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は19,100、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.42であった。同様に、ポリマー7の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=640nmであった。
【0127】
実施例8(ポリマー8の合成)
以下のようにして、ポリマー8を合成した。
【0128】
【化32】

【0129】
化合物(7−A)0.15gを化合物(8−A)(国際公開第2003/074533号パンフレットの実施例17に記載の方法で合成した)0.08gに変えたこと以外は実施例7と同様にしてポリマー8を合成した。収量0.10g
ポリマー8をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は23,100、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.45であった。同様に、ポリマー8の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=630nmであった。
【0130】
実施例9(ポリマー9の合成)
以下のようにして、ポリマー9を合成した。
【0131】
【化33】

【0132】
化合物(1−C)0.26gおよび化合物(9−A)(特表2010−507233号公報の実施例1に記載の方法で合成した)0.35gを脱水トルエン12mLに溶解し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)12.55mgおよびトリフェニルホスフィン28.80mgを添加した。溶液を脱気した後窒素置換して、120℃で48時間反応させた。得られた反応液を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノールで洗浄し、アセトンで洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、0.45μmフィルターで濾過して、溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエンに溶解させてジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液と混合し、窒素雰囲気下80℃で12時間撹拌した。静置後に水層を除去し、有機層にイオン交換水を加えて撹拌してから静置後に水層を除去し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させてから溶媒を減圧留去し、得られた固体をソックスレー抽出器に移してメタノールで12時間抽出しさらにアセトンで12時間抽出した。固体を減圧乾燥させることで、ポリマー9を得た。収量0.34g
ポリマー9をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は19,700、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.48であった。同様に、ポリマー9の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=620nmであった。
【0133】
実施例10(ポリマー10の合成)
以下のようにして、ポリマー10を合成した。
【0134】
【化34】

【0135】
化合物(9−A)0.35gを化合物(10−A)(国際公開第2010/062948号パンフレットの14ページに記載の方法で合成した)0.26gに変えたこと以外は実施例9と同様にしてポリマー10を合成した。収量0.26g
ポリマー10をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は18,600、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.39であった。同様に、ポリマー10の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=510nmであった。
【0136】
実施例11(ポリマー11の合成)
下記のScheme 1のように単量体11−13の合成を行い、この単量体11−13からポリマー11を合成した。
【0137】
【化35】

【0138】
(中間体11−2の合成)
エタノール250mlに111.3gの化合物1および38.1gのチオ尿素を加え、2時間加熱還流した。反応液を氷水に注加し、10%水酸化ナトリウム水溶液を弱アルカリ性になるまで添加し、酢酸エチルで抽出した。飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒から晶析して、100.2gの中間体11−2を得た。収率82.0%。
(中間体11−3の合成)
アセトニトリル1lに塩化銅(II)56.5gを加え、亜硝酸イソアミル44.5gを室温にて添加した。30℃まで昇温した後、30〜32℃にて92.8gの中間体11−2を1時間かけて添加した。40℃に昇温して2時間反応した後、水に注加し、酢酸エチルを添加した。セライトを通してろ過した後、分液し、有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、71.8gの中間体11−3を得た。収率71.7%。
【0139】
(中間体11−4の合成)
アセトン250mlに水冷下、22.1gの中間体11−3、12.3gのn−オクタンチオールおよび23.1gの炭酸カリウムを添加し、室温にて6時間反応した。氷水に注加し、酢酸エチルおよび次亜塩素酸ナトリウム水溶液5mlを添加した。分液後、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、30.6gの中間体11−4を得た。収率97.7%。
(中間体11−5の合成)
乾燥THF300mlに、4.56gの水素化アルミニウムリチウムを添加し、氷−アセトンの冷媒で冷却しながら5℃以下にて、29.9gの中間体4を乾燥THF100mlに溶解した溶液を45分かけて滴下した。5℃以下にて15分反応した後、アセトン50mlを17℃以下にて5分かけて滴下した。室温にて10分攪拌した後、1規定塩酸水50mlを水冷下、15分かけて滴下した。室温にて30分攪拌した後、酢酸エチルおよびヘキサンを添加し、セライトを通してろ過した後、分液し、有機層を水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、19.1gの中間体11−5を得た。収率82.3%。
【0140】
(中間体11−6の合成)
トルエン200mlに17.4gの中間体11−5およびピリジン1.5mlを添加し、氷−アセトンの冷媒で冷却しながら4℃以下にて、13.1mlの塩化チオニルをトルエン100mlに溶解した溶液を25分かけて滴下した。7℃以下にて1時間反応した後、氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。分液し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、18.2gの中間体11−6を得た。収率92.8%。
(中間体11−7の合成)
アセトン200mlに、16.3gの中間体11−6および50mlの1規定塩酸水を添加し、3時間加熱還流した。さらに20mlの1規定塩酸水を添加し、5.5時間加熱還流した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、15.4gの中間体11−7を得た。収率100%。
【0141】
(中間体11−8の合成)
アセトン200mlに、15.1gの中間体11−7および6.3gのチオ酢酸ナトリウムを添加し、室温にて1時間攪拌した。水に注加し、酢酸エチルで抽出した。分液し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、14.9gの中間体11−8を得た。収率87.5%。
(中間体11−9の合成)
トルエン150mlに13.9gの中間体11−8およびピリジン1.0mlを添加し、氷−アセトンの冷媒で冷却しながら5℃以下にて、4.4mlの塩化チオニルをトルエン50mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した。5℃以下にて1時間反応した後、氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。分液し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、14.1gの中間体11−9を得た。収率96.5%。
【0142】
(中間体11−10の合成)
アセトン200mlに、13.2gの中間体11−9を添加し、窒素気流下、氷−アセトンの冷媒で冷却しながら0℃以下にて、7.4mlの28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を10分かけて滴下した。5℃以下にて30分攪拌した後、水に注加し、酢酸エチルで抽出した。分液し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、8.53gの中間体11−10を得た。収率82.3%。
(中間体11−11の合成)
トルエン100mlに8.04gの中間体11−10を添加し、室温にて6.81gのDDQを10分かけて添加した。2時間加熱還流した後、氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。分液し、有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、6.56gの中間体11−11を得た。収率82.2%。
【0143】
(中間体11−12の合成)
クロロホルム100mlに5.75gの中間体11−11を添加し、氷冷下7.59gのm−CPBAを30分かけて添加した。室温に昇温し3時間攪拌した後、氷水に注加し、クロロホルムで抽出した。分液し、有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4.87gの中間体11−12を得た。収率76.7%。
(中間体11−13の合成)
クロロホルム100mlに4.76gの中間体11−12を添加し、氷冷下5.87gのN−ブロモスクシンイミドを30分かけて添加した。室温に昇温し1時間攪拌した後、氷水に注加し、クロロホルムで抽出した。分液し、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、6.54gの中間体11−13を得た。収率91.8%。
【0144】
(ポリマー11の合成)
【0145】
【化36】

【0146】
化合物(1−C)を用いて、US2008/0121281A1号公報の実施例1を参考にして化合物(11−A)を合成した。
化合物(1−C)0.12gを中間体11−13、0.11gに、化合物(7−A)0.15gを化合物(11−A)0.10gに変えたこと以外は実施例7と同様にしてポリマー11を合成した。収量0.10g
ポリマー11をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は20,300、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.47であった。同様に、ポリマー11の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=690nmであった。
【0147】
実施例12(ポリマー12の合成)
以下のようにして、ポリマー12を合成した。
【0148】
【化37】

【0149】
化合物(12−B)を化合物12−Aを使用し、米国公開特許第2009/0326187A1号明細書に記載の方法で合成した)から公知の方法に従って合成した。
化合物(7−A)0.15gを化合物(12−B)0.11gに変えたこと以外は実施例7と同様にしてポリマー12を合成した。収量0.10g
ポリマー12をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は19,500、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.49であった。同様に、ポリマー12の塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=680nmであった。
【0150】
ここで、ポリマー1は例示ポリマーA−1、ポリマー2は例示ポリマーA−6、ポリマー3は例示ポリマーA−16、ポリマー4は例示ポリマーA−23、ポリマー5は例示ポリマーA−17、ポリマー6は例示ポリマーA−24、ポリマー7は例示ポリマーB−9、ポリマー8は例示ポリマーB−1、ポリマー9は例示ポリマーB−11、ポリマー10は例示ポリマーB−12、ポリマー11は例示ポリマー10、ポリマー12は例示ポリマーB−9である。
【0151】
(比較ポリマーの合成)
比較ポリマーA〜Dを以下のようにして合成した。
【0152】
【化38】

【0153】
比較ポリマーAの合成
国際公開第2008/067023号パンフレット(p12〜13)に記載の方法で、以下のシクロペンタジチアゾールの比較ポリマーAを合成した。
比較ポリマーAをGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は18,300、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.44であった。同様に、比較ポリマーAの塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=660nmであった。
【0154】
比較ポリマーBの合成
特表2010−507233号公報の実施例1に記載の方法で、以下の比較ポリマーBを合成した。
比較ポリマーBをGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は22,000、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.47であった。同様に、比較ポリマーBの塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=580nmであった。
【0155】
比較コポリマーCの合成
国際公開第2008/067023号パンフレット(p12〜13)に記載の方法で右記構造の比較コポリマーCを合成した。
比較コポリマーCをGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は21,600、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.43であった。同様に、比較ポリマーBの塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=660nmであった。
【0156】
比較コポリマーDの合成
特表2010−507233号公報の実施例3に記載の例と同様の方法で右記構造の比較コポリマーDを合成した。
比較コポリマーDをGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は19,100、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.38であった。同様に、比較ポリマーBの塗膜の吸収スペクトルを測定した結果、λmax=570nmであった。
【0157】
(光電池の作成)
ポリマー1〜12および比較ポリマーA〜Dを使用して、以下の手順にてガラスITO基板上に光電池を形成した。
清浄かつUVオゾン処理したITOガラス基板上に、ホール輸送層として使用するPEDOT:PSS(H.C.Stark社CleviosP VP AI4083)層をスピンコートし、120℃×15分間乾燥させた。
引き続き、ポリマー1〜12および比較ポリマーA〜Dの各p型半導体ポリマーとPC61BM(Solenne社製[60]PCBM)との混合物(質量比1:1)をo−ジクロロベンゼンに溶解させた後、上記PEDOT:PSS層の上にスピンコートし、120℃で15分間乾燥させ、光電変換層を形成させた。
さらに、この光電変換層上にチタンイソプロポキシド(シグマアルドリッチ社製)の脱水エタノール溶液(2質量%)をスピンコートし、室温で1時間乾燥させ酸化チタン層の電子輸送層を形成させた。
その後、アルミニウムの高真空蒸着により上部電極を形成させることにより、光電池素子とした。
この際、用いるガラスITO基板のサイズ、ITOと蒸着アルミニウムのパターンサイズを変えることによって、2mm□の素子と20mm□の2種類の素子を作成した。
【0158】
(光電池の評価)
1)素子の電流密度−電圧(J−V)特性
上記のようにして作製したそれぞれの2mm□素子および20mm□素子を以下のようにして性能評価した。
得られた素子を窒素雰囲気下(酸素濃度1ppm以下、水分濃度1ppm以下)で、ケースレー社(Keithley)製SMU2400型I−V測定装置を用いて、素子の電流密度−電圧(J−V)特性を評価した。オリエル(Oriel)社製太陽光シミュレータからの濾波キセノン灯光を使用して、100mW/cmのAM1.5Gスペクトルに近づけた。上記装置にて、出力された短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)および発電効率(η)を下記表1に記載した。
【0159】
2)大気放置での発電効率の保持率
上記で得られた2mm□素子を遮光した大気(23℃、50%RH)下に72時間曝し、その後、上記1)と同様にして素子の電流密度−電圧(J−V)特性を評価した。
これらの結果を下記表1にまとめて示した。
【0160】
【表1】

【0161】
この結果、本発明の有機半導体ポリマーを用いた太陽電池素子は、発電効率ηが高く、大気放置後の発電効率の保持率が高く、さらに、素子サイズを大きくした時の発電効率の低下が少ないことがわかる。
一方、比較例の有機半導体ポリマーを用いた太陽電池素子は、変換効率ηが低く、大気放置後に変換効率ηが低下しやすく、また、素子サイズを大きくした際の発電効率の低下が大きいことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される構造単位を有することを特徴とする有機半導体ポリマー。
【化1】

式中、XはSi、SまたはOを表し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。pは0、1または2を表す。ここで、XとRとの間の結合は、XがSiである場合は単結合であり、XがSであるとき、二重結合である。またXがOである場合、pは0である。なお、pが2のとき、2個のRは同じでも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
【請求項2】
前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−1)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体ポリマー。
【化2】

式中、R1’およびR1”は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基を表す。ここで、R1’およびR1”は互いに結合して環を形成してもよい。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−2)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体ポリマー。
【化3】

式中、p’は0、1または2を表す。
【請求項4】
前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−3)で表される構造単位であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体ポリマー。
【化4】

【請求項5】
前記有機半導体ポリマーが共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマー。
【請求項6】
前記有機半導体ポリマーが、さらに下記一般式(II)で表される構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマー。
【化5】

式中、ZおよびZは各々独立にS、O、SeまたはTeを表し、YはC(R21)またはNを表す。RおよびR21はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマーとn型有機半導体化合物を含有することを特徴とする有機半導体材料用組成物。
【請求項8】
前記n型有機半導体化合物が、フラーレンもしくはその誘導体であることを特徴とする請求項7に記載の有機半導体材料用組成物。
【請求項9】
前記フラーレンもしくはその誘導体が、フェニル−C61−酪酸エステル、ジフェニル−C62−ビス(酪酸エステル)、フェニル−C71−酪酸エステル、フェニル−C85−酪酸エステルまたはチエニル−C61−酪酸エステルであることを特徴とする請求項8に記載の有機半導体材料用組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を有することを特徴とする光電池。
【請求項11】
第一の電極と第二の電極の間に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を含有する層を有することを特徴とする光電池。
【請求項12】
前記第一の電極と、前記有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を含有する層との間に、ホール輸送層を有することを特徴とする請求項11に記載の光電池。
【請求項13】
前記第二の電極と、前記有機半導体ポリマーまたは有機半導体材料用組成物を含有する層との間に、電子輸送層を有することを特徴とする請求項11または12に記載の光電池。
【請求項14】
前記第一の電極が透明電極であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の光電池。
【請求項15】
前記第二の電極が金属電極であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の光電池。
【請求項16】
下記一般式(I)で表される構造単位を有することを特徴とするポリマー。
【化6】

式中、XはSi、SまたはOを表し、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基または酸素原子を表す。pは0、1または2を表す。ここで、XとRとの間の結合は、XがSiである場合は単結合であり、XがSであるとき、二重結合である。またXがOである場合、pは0である。なお、pが2のとき、2個のRは同じでも異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
【請求項17】
前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−1)で表される構造単位であることを特徴とする請求項16に記載のポリマー。
【化7】

式中、R1’およびR1”は各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または芳香族へテロ環基を表す。ここで、R1’およびR1”は互いに結合して環を形成してもよい。
【請求項18】
前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−2)で表される構造単位であることを特徴とする請求項16に記載のポリマー。
【化8】

式中、p’は0、1または2を表す。
【請求項19】
前記一般式(I)で表される構造単位が、下記一般式(I−3)で表される構造単位であることを特徴とする請求項16に記載のポリマー。
【化9】

【請求項20】
前記ポリマーが共重合体であることを特徴とする請求項16〜19いずれか1項に記載のポリマー。
【請求項21】
前記ポリマーが、さらに下記一般式(II)で表される構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載のポリマー。
【化10】

式中、ZおよびZは各々独立にS、O、SeまたはTeを表し、YはC(R21)またはNを表す。RおよびR21はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。

【公開番号】特開2012−214635(P2012−214635A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80999(P2011−80999)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】