説明

有機半導体材料の製造のための有機マトリックス材料の使用、有機半導体材料および電子部品

【課題】 高いホール導電性と熱安定性をを有する層を形成することにより、例えば有機ELのような電子部品の特性を向上させる。
【解決手段】 本発明は、有機マトリックス材料がスピロビフルオレン化合物から少くとも部分的に構成され、該有機マトリックス材料のガラス転移温度が少くとも120℃であり、該マトリックス材料の最高被占分子軌道(HOMO)が5.4eVの最大エネルギーレベルにあることで特徴付けられる、有機半導体材料を製造するための有機マトリックス材料の使用;並びに有機半導体材料および電子部品に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、有機半導体材料を製造するための有機マトリックス材料の使用、および有機マトリックス材料を含んでなる有機半導体材料、更には電子部品に関する。
【発明の背景】
【0002】
シリコン半導体のような無機半導体の場合のように、ドーピングが電気的性質、特に導電率について有機半導体を変えうることが知られている。
【0003】
この場合に、マトリックス材料中で電荷担体の形成が初期の相当低い導電性を高めており、用いられるドーパントのタイプに応じて、半導体のフェルミ準位に変化をもたらす。ドーピングは電荷輸送層の導電性を増すことで、抵抗損を減らし、こうして接点および有機層間における電荷担体の移動性に改善をもたらしているのである。
【0004】
このような有機半導体のドーピングでは、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)または2,3,5,6‐テトラフルオロテトラシアノ‐1,4‐ベンゾキノジメタン(F4‐TCNQ)のような強電子受容体が知られるようになった;M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)およびJ.Blochwitz,M.Pfeiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-732(1998)参照。電子供与体様基礎材料(ホール輸送材料)中における電子伝達プロセスの結果として、これらはホールとして知られるものを生じ、その数および移動度に応じてマトリックス材料の導電性を大なり小なり有意に変えている。
【0005】
公知のマトリックス材料は、例えば、4,4′,4″‐トリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4′,4″‐トリス(3‐メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m‐MTDATA)およびN,N,N′,N′‐テトラキス(4‐メトキシフェニル)ベンジジン(MeO‐TPD)のようなスターバースト型化合物である。
【0006】
上記の公知マトリックス材料の化学構造が以下で示されている:
【化1】

しかしながら、これらの化合物は熱不安定性であり、即ちそれらは低いガラス転移温度を有し、低温で結晶化しやすいため、最終的には不安定な電子部品になる。
【0007】
ガラス転移温度とは、溶融状態から材料の急冷時に分子の運動が動力学的理由からもはや不可能になり、熱容量または膨張率のような熱力学パラメーターが典型的液体値から典型的固体値へと突然に変化する温度である、とみなされている。有機半導体材料がこのようなマトリックス材料で用いられた場合、高い作業温度のときにこのような半導体材料の慣例的層構造で粗さの形成を防ぐためには、マトリックス材料の熱安定性が特に形態学的理由から重要である。更に、マトリックス材料内でドーパントの拡散を制限するためにも、熱安定性が重要である。
【0008】
先行技術では2,2′,7,7′‐テトラキス(N,N‐ジフェニルアミノ)‐9,9′‐スピロビフルオレン(スピロ‐TAD)のような熱安定性マトリックス材料についても開示している;しかしながら、最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギーレベルの位置のために、これはドープできないのである。
【化2】

【発明の具体的説明】
【0009】
本発明の目的は、有機半導体部品用に高いホール導電性を有したホール輸送層を与えるために、マトリックス材料が熱安定性でかつドーピング可能である、有機半導体材料を製造するための有機マトリックス材料の使用を提供することである。更に、強有機電子受容体を伴った減圧下の共蒸発により相応に高いホール導電性を有した層を与えるために、蒸着により有機マトリックス材料を適用することが可能であろう。
【0010】
本目的は、下記式(I):
【化3】

(上記式中Rはフェニル基上に存在する少くとも1つの置換基であるが、すべてのRが同時に水素であることはない)
および/または下記式(II):
【化4】

(上記式中Rは水素以外の置換基であり、R′は置換基である)
のスピロビフルオレン化合物から少くとも部分的に構成される有機マトリックス材料であって、該有機マトリックス材料のガラス転移温度が少くとも120℃であり、該マトリックス材料の最高被占分子軌道(HOMO)が5.4eVの最大エネルギーレベルにあるものによって達成される。
そのため式(I)では、フェニル基に1以上の置換基を付してもよい。
【0011】
式(I)および(II)の各RおよびまたはR′は、独立して水素、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、NH、N(CHおよびNPhからなる群より選択されるが、式(I)ですべてのRが同時に水素であることはない。
【0012】
スピロビフルオレン化合物は下記からなる群より選択されることが、特に好ましい:
【化5】

【0013】
スピロビフルオレン化合物のガラス転移温度は120℃〜250℃であり、該化合物の最高被占分子軌道は4.5eV〜5.4eV、好ましくは4.8eV〜5.2eVのエネルギーレベルにあることが、同様に好ましい。
【0014】
本目的は、本発明に従いマトリックス材料として用いられる1種以上の化合物から有機マトリックス材料が少くとも一部構成されている、有機マトリックス材料および有機ドーパントを含んでなる有機半導体材料によっても達成される。
【0015】
ドーパントが2,3,5,6‐テトラフルオロ‐7,7,8,8‐テトラシアノキノジメタンまたはその誘導体であることも、同様に好ましい。しかしながら、類似の受容体作用および同等のまたはそれより大きな分子質量を有する別なドーパントも可能である;例えば、DE10357044.6参照。ドーパント対マトリックス材料のモルドーピング比は1:1〜1:10000であることが、特に好ましい。
【0016】
本目的は、本発明に従いマトリックス材料として考えられるスピロビフルオレン化合物から少くとも一部が構成された有機マトリックス材料が用いられている電子部品によって、更に達成される。
【0017】
有機発光ダイオード(OLED)、光電池、有機太陽電池、有機ダイオードまたは有機電界効果トランジスターの形をした電子部品が最終的に提供される。
【0018】
本発明は、有機半導体材料の製造用として記載された有機マトリックス材料の使用が、有機半導体部品用の熱安定性ドープドホール輸送層をもたらすという、意外な発見に基づいている。該マトリックス材料の使用は蒸着で適用しうるホール輸送材料をもたらすため、強有機電子受容体を伴った減圧下の共蒸発により、それらは高いホール導電性を有する層を形成するのである。
【0019】
記載された有機マトリックス材料が用いられた場合、ホール輸送材料の安定で一価の正に荷電したカチオン状態が得られる。
【実施例】
【0020】

A.2,2′,7,7′‐テトラキス(N,N‐ジ‐p‐メチルフェニルアミノ)‐9,9′‐スピロビフルオレン(スピロ‐TTB)の製造
【化6】

2,2′,7,7′‐テトラブロモ‐9,9′‐スピロビフルオレン(10g、15.8mmol)、ジ‐p‐トリルアミン(14.2g、72.1mmol)およびナトリウムtert‐ブトキシド(9.6g、100mmol)を窒素下無水トルエン100ml中60℃で1時間攪拌する。次いで、トリ‐tert‐ブチルホスフィン(200mg、1.0mmol、テトラブロモスピロビフルオレンに対して6.3%)および酢酸パラジウム(II)(92mg、0.4mmol、テトラブロモスピロビフルオレンに対して2.6%)を加え、反応混合液を窒素下で加熱還流する。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中50%ヘキサン)によりモニターする。2.5時間後、反応剤はTLCでもはや検出できない。反応混合液を冷却し、水20ml中KCN100mgの溶液と混合し、60℃で更に1時間攪拌する。室温まで冷却後、各相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去する。粗生成物をジオキサンから2回再結晶化し、次いでヘキサン中少量のジクロロメタンから再結晶化し、減圧下で乾燥させる。
収量:やや緑色状の粉末15.0g(13.8mmol、理論量の87%)
H NMR(500MHz,CDCl+ヒドラジン水和物):7.40(d,1H,J=7.8),7.00(d,4H,J=8.3),6.88(d,4H,J=8.3),6.85(dd,1H,J=8.3,J=2.0),6.67(d,1H,J=2.0),2.30(s,6H).
13C NMR(127.5MHz,CDCl+ヒドラジン水和物):149.8,146.7,145.3,136.1,131.5,129.5,124.0,123.2,119.9,119.3,65.3,20.6.
【0021】
B.2,2′,7,7′‐テトラキス(N,N‐ジ‐p‐イソプロピルフェニルアミノ)‐9,9′‐スピロフルオレン(スピロ‐iPr‐TAD)の製造
4‐イソプロピルヨードベンゼン
【化7】

4‐イソプロピルアニリン(49.5g,366mmol)を蒸留水200mlに懸濁し、氷冷下で半濃硫酸200mlと徐々に混合する。次いで、温度が2℃を超えないような速度で蒸留水200ml中亜硝酸ナトリウム(25.5g,370mmol)の溶液を滴下する。滴下終了後、混合液を2℃で更に20分間攪拌する。得られた透明赤色状ジアゾニウム塩溶液を蒸留水200ml中ヨウ化カリウム(135.0g,813mmol)の溶液へフィルターを介して加える。反応混合液を80℃で1時間攪拌する。この過程で、溶液が激しくガス発生しながら黒色になり、油状有機相が分離する。冷却後、有機相を除去し、水相をエーテル100mlで4回以上抽出する。合わせた有機相を希水酸化ナトリウム溶液および蒸留水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒が除去された後、粗生成物を膜ポンプ真空下で蒸留する。やや赤色状の目的生成物は100〜105℃(15mbar)の温度で留出する。
収量:やや赤色状の液体75.3g(310mmol、理論量の83%)
H NMR(500MHz,CDCl):7.60(d,2H,J=8.3),6.98(d,2H,J=8.3),2.85(q,1H,J=6.8),1.22(d,6H,J=6.8).
13C NMR(127.5MHz,CDCl):148.4,137.3,128.6,90.6,33.7,23.8.
【0022】
N‐アセチル‐4‐イソプロピルアニリン
【化8】

無水酢酸(26.0g,254mmol)をクロロホルム80ml中4‐イソプロピルアニリン(17.2g,127mmol)の溶液にゆっくり滴下する。この過程で、反応混合液の激しい発熱が生じる。滴下終了後、混合液を室温で更に2時間攪拌する。反応混合液を濃縮乾固させ、得られた赤色状の白色固体物をヘキサンから再結晶化する。
収量:白色固体物21.1g(120mmol、理論量の94%)
H NMR(500MHz,CDCl):7.88(s,1H),7.40(d,2H,J=8.3),7.14(d,2H,J=8.3),2.86(q,1H,J=6.8),1.21(d,6H,J=6.8).
13C NMR(127.5MHz,CDCl):168.6,144.9,135.6,126.7,120.2,33.5,24.3,23.9.
融点:107℃(文献(Dyall,Aus.J.Chem.17,1964,419):104‐105℃)
【0023】
N‐アセチル‐N,N‐ジ(4‐イソプロピルフェニル)アミン
【化9】

4‐イソプロピルヨードベンゼン(29.2g,118mmol)、N‐アセチル‐4‐イソプロピルアニリン(21.0g,118mmol)、銅粉末(15.0g,237mmol)、炭酸カリウム(65.4g,474mmol)および18‐クラウン‐6(2.9g,12mmol)を1,2‐ジクロロベンゼン200ml中で加熱還流する。反応を薄層クロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン中10%THF)によりモニターする。48時間後、まだ熱い反応混合液を濾過し、フィルター残渣を十分に洗浄し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。ジクロロメタン中10%THFを用いて、粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーに付す。生成物フラクションを濃縮乾固し、ヘキサンから再結晶化し、減圧下で乾燥させる。
収量:やや褐色状の固体物14.31g(48mmol、理論量の41%)
H NMR(500MHz,CDCl):7.21(m,8H),2.90(s(br.),2H),2.04(s,3H),1.23(s(br.),12H).
【0024】
N,N‐ジ(4‐イソプロピルフェニル)アミン
【化10】

N‐アセチル‐N,N‐ジ(4‐イソプロピルフェニル)アミン(5.4g,18.4mmol)を20%水性エタノール100ml中で加熱還流する。反応を薄層クロマトグラフィーによりモニターする。30時間後、反応剤はTLCでもはや検出できない。エタノール溶液を蒸留水に注ぎ、褐色状の沈殿物を吸引濾取し、ジクロロメタンに溶解させ、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶液を濃縮し、ヘキサン中50%ジクロロメタンで短シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付す。生成物フラクションを濃縮乾固し、生成物を減圧下で乾燥させる。
収量:やや褐色状の固体物4.0g(16mmol、理論量の86%)
H NMR(500MHz,CDCl):7.12(d,4H,J=8.3),6.99(d,4H,J=8.3),5.55(s(br.),1H),2.86(q,2H,J=6.8),1.24(d,12H,J=6.8).
13C NMR(127.5MHz,CDCl):141.3,127.1,117.7,33.4,24.1.
【0025】
2,2′,7,7′‐テトラキス(N,N‐ジ‐p‐イソプロピルフェニルアミノ)‐9,9′‐スピロビフルオレン(スピロ‐iPr‐TAD)
【化11】

2,2′,7,7′‐テトラブロモ‐9,9′‐スピロビフルオレン(1.7g、2.6mmol)、N,N‐ジ‐4‐イソプロピルフェニルアミン(3.0g、12.0mmol)およびナトリウムtert‐ブトキシド(1.6g、17mmol)を窒素下無水トルエン100ml中60℃で1時間攪拌する。次いで、トリ‐tert‐ブチルホスフィン(4.8mg、0.24mmol、テトラブロモスピロビフルオレンに対して9.2%)および酢酸パラジウム(II)(27mg、0.12mmol、テトラブロモスピロビフルオレンに対して4.6%)を加え、反応混合液を窒素下で加熱還流する。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン中20%ジクロロメタン)によりモニターする。3.5時間後、反応剤はTLCでもはや検出できない。反応混合液を冷却し、水20ml中KCN100mgの溶液と混合し、60℃で更に1時間攪拌する。室温まで冷却後、各相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去する。粗生成物をジオキサンから2回再結晶化し、次いで減圧下で乾燥させる。
収量:やや黄色状の微結晶粉末2.8g(2.1mmol、理論量の81%)
H NMR(500MHz,CDCl):7.41(d,1H,J=8.3),7.05(d,4H,J=8.3),6.90(m,5H),6.72(s(br),1H),2.85(q,2H,J=6.8),1.24(d,12H,J=6.8).
13C NMR(127.5MHz,CDCl):150.7,147.5,146.3,143.3,137.2,127.6,125.3,123.8,120.8,120.7,66.2,34.1,24.8.
Tg:144℃,Tk:166℃,Tm:363℃.
【0026】
2種の有機材料スピロ‐TTBおよびスピロ‐iPr‐TADをF4‐TCNQで各々ドープし、導電率測定に付した。これらの測定では、互いに1mm離れてガラス基板に取付けられた2本の約5mm幅接点(酸化インジウムスズ,ITO製)に、ドープド層を減圧下で共蒸発により適用した。接点を電流‐電圧測定装置へ外部接続し、横方向電流を固定印加電圧で測定した。この横方向電流から、層の導電率を単純抵抗関係により計算する。導電率は下記式から求められる:
導電率=(横方向電流距離)/(幅層厚)
【0027】
図1および2は、2種のドープドマトリックス材料について、層厚に伴う横方向電流の増加を各々示している。2.5%F4‐TCNQでドープされたスピロ‐TTBの50nm厚層の導電率は約1.6E‐5S/cmであり、5%F4‐TCNQでドープされたスピロ‐iPr‐TADの50nm厚層の導電率は約8E‐7S/cmである。
【0028】
有機マトリックス材料でOLEDの形をとる本発明電子部品の一態様は、本発明に従い用いられたように製造でき、基板から発光する標準デザインの場合、以下の層配置をとる:
1.担体基板:ガラス
2.ボトム電極(アノードA):ITO
3.p‐ドープド、ホール‐注入および‐輸送層:スピロ‐TTB:F4‐TCNQ
(2.5%モルドーピング濃度)
4.バンド位置が周辺層のバンド位置と合致した材料の薄いホール側中間層
5.発光層(できれば、エミッター色素でドープする):TCTA(4,4′,4″‐
トリス(N‐カルバゾリル)トリフェニルアミン):Irppy3(fac‐トリス
(2‐フェニルピリジン)イリジウム)
6.バンド位置が周辺層のバンド位置と合致した材料の薄い電子側中間層:BPhen
(4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン)
7.p‐ドープド、電子‐注入および‐輸送層:セシウムでドープされたBPhen
(約1:1モル濃度)
8.トップ電極(カソードK):アルミニウム および
9.環境影響排除用の被覆:カバーガラス
【0029】
こうして製造された有機発光ダイオードを輝度電圧および電流効率電圧特性に関して試験し、その結果が図3で示されている。有機ホール輸送層のドーピングのおかげで、これは急勾配の電流‐電圧特性、ひいては急勾配の輝度電圧特性を示す(左手軸)。2.75Vおよび3.1Vの電圧で100cd/mおよび1000cd/mの輝度に達する。ドープドホールおよび電子輸送層と2つの中間層との理想的配置のおかげで、発光の電流効率も同様に非常に高く、広い明度範囲にわたり一定である:46cd/Aおよび45cd/A。安定なホール輸送層のおかげで、このOLEDは、光電子性質の劣化なしに、比較的高い温度(100℃以上まで)で安定的に作動しうる。
【0030】
上記の説明、請求の範囲および図面で開示された本発明の特徴は、その異なる態様で本発明の実施上、個別にまたは何らかの組合せで必須となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の別な利点および特徴は、以下の例示有機マトリックス材料の詳細な説明と、次のような添付図面から明らかとなる:
【図1】(F4‐TCNQでドープされた)有機マトリックス材料スピロ‐TTBの輸送層における、層厚に対する横方向電流の依存性を示している。
【図2】(F4‐TCNQでドープされた)有機マトリックス材料スピロ‐iPr‐TADの輸送層における、層厚に対する横方向電流の依存性を示している。
【図3】ドープド輸送層およびp‐ドーパントとして(F4‐TCNQでドープされた)スピロ‐TTBを有する有機発光ダイオードの輝度電圧および電力効率電圧特性について示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体材料を製造するための有機マトリックス材料の使用であって、有機マトリックス材料が、下記式(I):
【化1】

(上記式中Rはフェニル基上に存在する少くとも1つの置換基であるが、すべてのRが同時に水素であることはない)
および/または下記式(II):
【化2】

(上記式中Rは水素以外の置換基であり、R′は置換基である)
のスピロビフルオレン化合物から少くとも一部構成され、該有機マトリックス材料のガラス転移温度が少くとも120℃であり、該マトリックス材料の最高被占分子軌道(HOMO)が5.4eVの最大エネルギーレベルにある、使用。
【請求項2】
式(I)および式(II)の各RおよびまたはR′が、独立して、水素、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、NH、N(CHおよびNPhからなる群より選択されるが、式(I)ですべてのRが同時に水素であることはない、請求項1に記載の有機マトリックス材料の使用。
【請求項3】
スピロビフルオレン化合物が、
【化3】

【化4】

【化5】

からなる群より選択される、請求項2に記載の有機マトリックス材料の使用。
【請求項4】
スピロビフルオレン化合物のガラス転移温度が120℃〜250℃であり、該化合物の最高被占分子軌道が4.5eV〜5.4eV、好ましくは4.8eV〜5.2eVのエネルギーレベルにある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機マトリックス材料の使用。
【請求項5】
有機マトリックス材料および有機ドーパントを含んでなり、有機マトリックス材料が、請求項1〜4のいずれか一項に記載された1種以上の化合物から少くとも部分的に構成されてなる、有機半導体材料。
【請求項6】
ドーパントが2,3,5,6‐テトラフルオロ‐7,7,8,8‐テトラシアノキノジメタンまたはその誘導体である、請求項5に記載の有機半導体材料。
【請求項7】
ドーパント対マトリックス材料のモルドーピング比が1:1〜1:10000である、請求項5または6に記載の有機半導体材料。
【請求項8】
有機マトリックス材料および有機ドーパントを含んでなる有機半導体材料を含有してなり、有機マトリックス材料が、請求項1〜4のいずれか一項に記載されたスピロビフルオレン化合物から少くとも部分的に構成されている、電子部品。
【請求項9】
有機発光ダイオード(OLED)、光電池、有機太陽電池、有機ダイオードまたは有機電界効果トランジスターの形をした、請求項8に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−237552(P2006−237552A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−228491(P2005−228491)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(504432747)ノバレット、アクチェンゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】NOVALED AG
【Fターム(参考)】