説明

有機圧電材料、超音波振動子、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置

【課題】圧電特性及び取扱性に優れた有機圧電材料、および、それらを用いた超音波振動子、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】有機圧電材料は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む少なくとも二種の結合を有するマクロモノマーとポリウレアの重合反応により形成された重合体であって、ガラス転移温度が100〜180℃の範囲内である重合体を含有し、有機圧電材料の電気機械結合定数が、0.20以上であり、電極を形成して受信用超音波振動子に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電特性および取扱性に優れた有機圧電材料、それを用いた超音波振動子、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子は、非破壊検査装置の他、医療用の超音波診断装置として急速に利用が高まっている。例えば超音波内視鏡等の探触子は、超音波トランスデューサから高周波の音響振動を被検体内に放射し、反射して戻ってきた超音波を超音波トランスデューサで受信し、わずかな界面特性の違いによって異なる情報を処理することにより、生体内部の断面像を得るものである。
【0003】
近年では、この超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。このハーモニックイメージング技術は、(1)基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、(2)周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、(3)近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および、(4)焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きく取れることなどの様々な利点を有しており、高精度な診断を可能としている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような超音波探触子には、超音波を発生させる圧電体が使われている。従来、圧電体としては、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbOなどの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O系などの焼結体を分極処理した、いわゆる無機材質の圧電セラミックスが広く利用されている。
【0005】
これに対して、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリ尿素のような有機系高分子物質を利用した有機圧電体(「圧電高分子材料」、「ポリマー圧電物質」ともいう。)も開発されている(例えば特許文献2参照)。この有機圧電体は、セラミックス圧電体と比較して、可撓性が大きく、薄膜化、大面積化、長尺化が容易で任意の形状、形態のものを作ることができる、誘電率εが小さく、静水圧電圧出力係数(g定数)は極めて大となるので感度特性に優れる、さらに低密度、低弾性であるため、効率のよいエネルギー伝播が可能である、等の特性を有する。
【0006】
しかしながらで有機圧電材料は、耐熱性が低く高い温度ではその圧焦電特性を失うほか、弾性スティフネスなどの物性も大きく減じるため使用できる温度域に限界があった。
【0007】
このような限界に対して、ウレア結合から構成されるポリウレア樹脂組成物は、ウレア結の双極子モーメントが大きく、樹脂としての温度特性に優れるため、有機圧電材料として種々の検討が行われてきた。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のようなジイソシアネート化合物と4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)のようなジアミン化合物を同時に蒸発させてポリ尿素膜を形成する、いわゆる蒸着重合法が開示されている(特許文献3及び4参照)。しかしながら、これらに記載されている蒸着重合法で作製するポリウレア樹脂組成物は、生成するオリゴマー又は高分子量体の分子量が不均一であるため、分極処理を施しながら高分子量化を行った場合、配向が十分でない状態でポリウレア樹脂組成物が形成される。このため、ウレア結合の双極子モーメントを十分に活用できず、有機圧電材料としては、更なる改善が求められていた。
【0008】
一方、溶液重合法で重合度の高いポリウレア樹脂組成物を合成した場合、生成した樹脂組成物は弾性率が低く、強固な樹脂となってしまうため、膜物性や取り扱い性の改善が求められていた。
【0009】
しかしながら、ポリ尿素の場合、ウレア基の水素結合が強固であるため、溶解性は非常に悪く、また剛直性が高いため、取り扱い性が極端に悪く、有機圧電膜を製造するにはその製造方法が、蒸着重合法に限られる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−276478号公報
【特許文献2】特開平6−216422号公報
【特許文献3】特開平2−284485号公報
【特許文献4】特開平5−311399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、圧電特性及び取扱性に優れた有機圧電材料を提供することである。更に、それらを用いた超音波振動子、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0013】
1.窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む少なくとも二種の結合を有するマクロモノマーとポリウレアの重合反応により形成された重合体であって、ガラス転移温度が100〜180℃の範囲内である重合体を含有したことを特徴とする有機圧電材料。
【0014】
2.前記重合体が、その主鎖に脂肪族環を有することを特徴とする前記1に記載の有機圧電材料。
【0015】
3.前記マクロモノマーの化学構造における末端の少なくとも一箇所が、重合性官能基であることを特徴とする前記1又は前記2に記載の有機圧電材料。
【0016】
4.前記有機圧電材料の電気機械結合定数が、0.20以上であることを特徴とする前記1から前記3のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
【0017】
5.前記有機圧電材料が、電場、又は電場と磁場の併用により分極処理が施されていることを特徴とする前記1から前記4のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
【0018】
6.前記1から前記4のいずれか一項に記載の有機圧電材料と電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
【0019】
7.前記6に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
【0020】
8.前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする前記7に記載の超音波探触子。
【0021】
9.前記7又は前記8に記載の超音波探触子を具備することを特徴とする超音波医用画像診断装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明の上記手段により、圧電特性および取扱性に優れた有機圧電材料を提供することができる。更に、それらを用いた超音波振動子、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置を提供することができる。
【0023】
すなわち、作用機構的観点から説明するならば、有機圧電材料は、双極子配向が精密になされていることが重要であるが、それは分極処理により達成される。また、超音波振動子という観点では、経時安定性、熱安定性が重要であり、有機圧電材料の熱物性が重要となる。振動子は駆動させることにより60〜80℃まで発熱するため、当該材料自身はその温度で使用され続けても品質を保証する必要がある。圧電材料のガラス転移温度(Tg)を規定することにより、より安定性の高い圧電材料の提供が可能となる。
【0024】
Tgが低い材料ほど、分極処理効果が高いが、Tgが低いために分極(配向)を維持することが難しい。材料のTgが100〜180℃になるように設計する(若しくは、この範囲にある材料を選択する。)と、高い分極効果が得られ、熱安定性と両立可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】超音波医用画像診断装置の主要部の構成を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の有機圧電材料は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む少なくとも二種の結合を有するマクロモノマーとポリウレアの重合反応により形成された重合体であって、ガラス転移温度が100〜180℃の範囲内である重合体を含有したことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項9に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0027】
本発明の実施態様としては、本発明の効果の観点から、前記重合体が、その主鎖に脂肪族環を有することが好ましい。また、前記マクロモノマーの化学構造における末端の少なくとも一箇所が、重合性官能基であることが好ましい。さらに、前記有機圧電材料の電気機械結合定数が、0.20以上であることが好ましい。
【0028】
本発明においては、当該有機圧電材料が、電場、又は電場と磁場の併用により分極処理が施されていることが好ましい。
【0029】
本発明の有機圧電材料は、超音波振動子に好適に用いることができる。また、当該超音波振動子は、超音波探触子に好適に用いることができる。この場合、当該超音波振動子は、受信用超音波振動子であることが好ましい。
【0030】
上記超音波探触子は、超音波医用画像診断装置に好適に用いることができる。
【0031】
以下、本発明とその構成要素、及び発明を実施するための最良の形態・態様等について詳細な説明をする。
(有機圧電材料を構成する化合物)
本発明の有機圧電材料は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む少なくとも二種の結合を有するマクロモノマーとポリウレアの重合反応により形成された重合体であって、ガラス転移温度が100〜180℃の範囲内である重合体を含有したことを特徴とする。
【0032】
以下において、当該有機圧電材料を構成する化合物について説明する。
【0033】
《マクロモノマー》
本願において、「マクロモノマー」とは、分子鎖の末端の少なくとも一箇所に、イソシアネート基、活性水素を有する基又はビニル基等の重合可能な重合性官能基を有し、ウレア結合(−NRCONR−)、チオウレア結合(−NRCSNR−)、ウレタン結合(−OCONR−)、チオウレタン結合(−SCONR−)、エステル結合(−COO−)、チオエステル結合(−COS−)、エーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、アミド結合(−CONR−)、チオアミド結合(−CSNR−)、スルホンアミド結合(−SONR−)、スルホンジアミド結合(−NRSONR−)及びカーボネート結合(−OCOO−)から選ばれる2個以上の結合を有する化合物のことをいう。
【0034】
なお、本願において、「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む結合」とは、ウレア結合、チオウレア結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、スルフィド結合、アミド結合、チオアミド結合、スルホンアミド結合、スルホンジアミド結合又はカーボネート結合から選ばれる少なくとも結合をいう。
【0035】
本発明においては、当該マクロモノマーの化学構造における末端の少なくとも一箇所が、重合性官能基であることが好ましい。ここで、「重合性官能基」とは、イソシアナート基、イソチオシアナート基、活性水素基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれる官能基である。
【0036】
本願においては、「ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、チオアミド結合、」におけるRおよびRは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
【0037】
本発明に係るマクロモノマーは、大きな双極子モーメントを有するウレア結合又はチオウレア結合又はスルホンジアミド結合を有していることが好ましい。すなわち、本発明に係るマクロモノマーは、反応性基を有するモノマーを逐次縮合させることにより、双極子モーメントを有する複数の結合及び連結基を導入することができるため、従来では困難だった樹脂組成物の溶解性や剛直性の調整が原料の選択により可能となる。又、マクロモノマーを原料とすることで、残モノマーの影響を排除できるため、圧電材料としての耐熱性及び圧電特性を著しく向上させることができる。
【0038】
なお、「ウレア結合」は、一般式:−NRCONR−で表される。又、「チオウレア結合」は、一般式:−NRCSNR−で表される。又、「スルホンジアミド結合」は、一般式:−NRSONR−で表される。
【0039】
ここで、R及びRは、各々独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
【0040】
ウレア結合又はチオウレア結合は、如何なる手段を用いて形成されても良いが、イソシアネートとアミン、イソチオシアネートとアミンとの反応で得ることができる。又、1,3−ビス(2−アミノエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシメチル)チオウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)チオウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)チオウレア等の様に、末端にヒドロキシル基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物を原料としてマクロモノマーを合成しても良い。
【0041】
原料として使用するイソシアネート又はイソチオシアネート(以下、イソ(チオ)シアネートと称す)は、分子内にイソ(チオ)シアネート基を2つ以上有するポリイソ(チオ)シアネートであれば特に構わないが、アルキルポリイソ(チオ)シアネート又は芳香族ポリイソ(チオ)シアネートが好ましく、アルキルジイソ(チオ)シアネート又は芳香族ジイソ(チオ)シアネートが更に好ましい。又、原料として、非対称ジイソ(チオ)シアネート(例えば、p−イソシアネートベンジルイソシアネート等)を併用しても良い。
【0042】
アルキルポリイソ(チオ)シアネートとは、複数のイソ(チオ)シアネート基が全てアルキル鎖を介して存在している化合物であり、例えば、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソチオシアネート等が挙げられる。
【0043】
芳香族ポリイソ(チオ)シアネートとは、複数のイソ(チオ)シアネート基が全て芳香族環と直接結合している化合物であり、例えば、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、2,6−トリレンジイソチオシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソチオシアナート等が挙げられる。
【0044】
原料として使用するアミンは、分子内にアミノ基を2つ以上有するポリアミンが好ましく、ジアミンが最も好ましい。ポリアミンとして、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、3,6−ジアミノアクリジン、アクリフラビン、アクリジンイエロー、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4−(フェニルジアゼニル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、6−クロロ−2,4−ジアミノピリミジン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。これらのポリアミンにホスゲン、トリホスゲン又はチオホスゲンを反応させて、ポリイソ(チオ)シアネートを合成し、マクロモノマーの原料として用いても良く、これらのポリアミンを鎖伸長剤として用いても良い。
【0045】
マクロモノマーを合成する際、アミノ基とヒドロキシル基の反応性の差を利用することにより、定序性の高いマクロモノマー合成することができる。このため、マクロモノマーは少なくとも1つのウレタン結合またはチオウレタン結合を有することが好ましい。ウレタン結合は、ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応で、またチオウレタン結合は、チオール基とイソシアネート基との反応で得ることができるが、ヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリオール、アミノアルコール、アミノフェノール、アルキルアミノフェノール等を挙げることができる。好ましくはポリオール又はアミノアルコールであり、更に好ましくはアミノアルコールであり、チオール基を有する化合物としては、ポリチオール、アミノメルカプタン、アミノチオフェノール、アルキルアミノチオフェノール等を挙げることができる。好ましくはポリチオール又はアミノメルカプタンであり、更に好ましくはアミノメルカプタンである。
【0046】
ポリオールは、分子内に少なくとも2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、好ましくはジオールである。ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)等を挙げることができる。
【0047】
アミノアルコールは、分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物であり、例えば、アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール等を挙げることができる。又、これらのヒドロキシル基を有する化合物は、鎖伸長剤として用いても良い。
【0048】
ポリチオールは、分子内に少なくとも2つ以上のチオール基を有する化合物であり、好ましくはジチオールである。ポリチオールとして、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、3,7−ジチア−1,9−ノナンジチオール、1,4−シクロヘキサンジメチルメルカプタン等を挙げることができる。
【0049】
アミノメルカプタンは、分子内にアミノ基とチオール基を有する化合物であり、例えば、2−アミノエタンチオール、3−アミノ−1−プロパンチオール、2−(2−アミノエトキシ)エタンチオール、2−アミノ−1,3−プロパンジチオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジチオール、1,3−ジアミノ−2−プロパンチオール等を挙げることができる。又、これらのチオール基を有する化合物は、鎖伸長剤として用いても良い。
【0050】
マクロモノマーは、分子量として400〜10,000を有するが、逐次合成の段階で2量体や3量体が生成するため、分子量分布を有していても良い。分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と称す。)の測定によって得られる重量平均分子量であり、好ましくは400〜5000であり、更に好ましくは400〜3000である。分子量分布は、1.0〜6.0が好ましく、更に好ましくは1.0〜4.0であり、特に好ましくは1.0〜3.0である。
【0051】
なお、分子量及び分子量分布の測定は、下記の方法・条件等に準拠して行うことができる。
【0052】
溶媒 :30mM LiBr in N−メチルピロリドン
装置 :HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel SuperAWM−H×2本(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度 :1.0g/L
注入量 :40μl
流量 :0.5ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=580〜2,560,000までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
【0053】
本発明においては、マクロモノマーを重合することにより、圧電特性を有する樹脂組成物が得られるため、マクロモノマー末端の少なくとも一方が、イソシアナート基、活性水素を有する基、ビニル基、アクリロイル基又はメタアクリロイル基であることが好ましい。活性水素を有する基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イミノ基又はチオール基が挙げられるが、好ましくは、アミノ基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基であり、更に好ましくは、アミノ基又はヒドロキシル基である。
【0054】
マクロモノマー又は重合した樹脂組成物の配向性を向上させるために、マクロモノマーの部分構造として、その主鎖に脂肪族環を有することが好ましい。
【0055】
好ましい脂肪族環としては、下記構造の脂肪族環が挙げられる。なお、本発明はこれに限定されない。アスタリスク(*)は、結合点を表す。
【0056】
【化1】

【0057】
【化2】

【0058】
《マクロモノマーの合成》
マクロモノマーは、活性水素を有する化合物を出発原料とし、ポリイソ(チオ)シアネートと活性水素を有する化合物を交互に縮合させていく方法、ポリイソ(チオ)シアネートを出発原料とし、活性水素を有する化合物とポリイソ(チオ)シアネートを交互に縮合させていく方法で合成することができる。
【0059】
活性水素を有する化合物は、前述で挙げた、末端にヒドロキシル基、チオール基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物、ポリアミン、ポリオール、ポリチオール、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノフェノール、アミノチオフェノール、アルキルアミノフェノール、アルキルアミノチオフェノール等が挙げられる。出発原料としては、末端にヒドロキシル基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物又はポリアミンが好ましく、芳香族縮環構造を有するポリアミンが更に好ましい。交互に縮合させていく工程に用いる場合は、アミノアルコール又はポリオールが好ましい。
【0060】
ポリイソ(チオ)シアネートを出発原料とした場合、出発原料としては、芳香族縮環構造を有するポリイソ(チオ)シアネートが好ましい。活性水素を有する化合物と縮合させて、末端に活性水素を有する化合物合成しても良く、特開平5−115841号公報に記載の方法で、ジアミンを形成させても良い。
【0061】
又、末端に活性水素を有するマクロモノマーに、3−クロロ−1−ブテン、アリルクロライド、塩化アクリロイル又は塩化メタアクリロイル等を反応させることにより、末端にビニル基、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を有するマクロモノマーを合成することができる。
【0062】
ポリイソ(チオ)シアネートと活性水素を有する化合物の反応において、末端の少なくとも一方をイソシアネート基とする場合、ポリイソ(チオ)シアネートは活性水素を有する化合物に対する使用量は、1倍モル〜10倍モルが好ましく、更に好ましくは1倍モル〜5倍モルであり、更に好ましくは1〜3倍モルである。
【0063】
ポリイソ(チオ)シアネートと活性水素を有する化合物の反応において、末端の少なくとも一方を活性水素とする場合、活性水素を有する化合物はポリイソ(チオ)シアネートに対する使用量は、1倍モル〜10倍モルが好ましく、更に好ましくは1倍モル〜5倍モルであり、更に好ましくは1〜3倍モルである。
【0064】
縮合させる反応温度は、できるだけ低い方が好ましく、−40〜60℃、好ましくは−20〜30℃であり、より好ましくは−10〜10℃である。また、反応温度は、反応開始から終了まで一定の温度で行ってもよく、初期に低温で行いその後、温度上げてもよい。
【0065】
反応に用いる溶媒は、目的の樹脂組成物が高極性であることと、重合を効率的に進行させるため、高極性溶媒を用いる必要がある。例えば、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の高極性非プロトン溶媒を選択することが好ましいが、反応基質及び目的物が良好に溶解しさえすればシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの溶媒であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
【0066】
ウレタン結合またはチオウレタン結合の生成を効率よく進行させるため、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アルキルアミン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−エンなどの縮環アミン類、DBTL、テトラブチルスズ、トリブチルスズ酢酸エステルなどのアルキルスズ類等、公知のウレタン結合生成触媒を用いることができる。
【0067】
触媒の使用量は、効率のよい反応及び反応操作を考慮して、モノマー基質に対して0.1〜30mol%用いるのが好ましい。
【0068】
マクロモノマーは、縮合工程毎に単離を行っても良く、ワンポットで合成しても良いが、末端が活性水素を有する化合物を形成時に単離精製を行うことが好ましい。
【0069】
マクロモノマーの精製は、如何なる手段を用いても良いが、再沈による精製が好ましい。再沈の方法は、特に限定されないが、マクロモノマーを良溶媒に溶解した後、貧溶媒に滴下して析出させる方法が好ましい。
【0070】
ここでいう「良溶媒」とは、マクロモノマーが溶解する溶媒であれば、如何なる溶媒でも構わないが、好ましくは極性溶媒であり、具体的には、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の高極性非プロトン溶媒を挙げることができる。
【0071】
又、「貧溶媒」とは、マクロモノマーが溶解しない溶媒であれば、如何なる溶媒でも構わないが、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を挙げることができる。
【0072】
以下に、マクロモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。
【0073】
【化3】

【0074】
【化4】

【0075】
【化5】

【0076】
【化6】

【0077】
【化7】

【0078】
【化8】

【0079】
【化9】

【0080】
本発明においては、上記の主鎖に脂肪族環を有するマクロモノマー以外に、下記のマクロモノマーを併用しても良い。
【0081】
【化10】

【0082】
【化11】

【0083】
【化12】

【0084】
【化13】

【0085】
【化14】

【0086】
【化15】

【0087】
【化16】

【0088】
【化17】

【0089】
【化18】

【0090】
【化19】

【0091】
【化20】

【0092】
【化21】

【0093】
【化22】

【0094】
【化23】

【0095】
【化24】

【0096】
【化25】

【0097】
【化26】

【0098】
《マクロモノマーの合成例》
〔合成例1:マクロモノマー(A−2)の合成〕
窒素雰囲気下、1,3−di(thiophen−2−yl)−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[c]thiophene−5,6−diamine 33.3gと、3−メルカプトプロピルアミン 18.2g、トリエチルアミン17.8gをTHF500mlに溶解し、0℃で塩化スルフリル 27.0gをゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行った。その後THF100mlに溶解し、1,3−プロパンジイソシアネート 25.2gをTHF500mlに溶解させた溶液に0℃のもと滴下し、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。その後減圧乾燥し、A−2中間体1を85.7g得た。一方、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン 28.4gとトリエチルアミン 17.8gをTHF500mlに溶解し、0℃でアクリロイルクロライド 18.1gを滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行い、A−2中間体2を40.7g得た。そしてTHF300mlに溶解したA−2中間体1に、THF200mlに溶解したA−2中間体2を0℃のもと滴下し、室温で3時間反応させた。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行い、A−2を120.8g得た。1H−NMRにより、目的物であることを確認した。
【0099】
〔合成例2:マクロモノマー(A−14)の合成〕
窒素雰囲気下、4,4−メチレンジアニリン 19.8gをTHF200mlに溶解し、THF100mlに溶解した1,3−シクロヘキサンジイソシアネート 33.2gの溶液を0℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。続けて0℃まで冷却し、3−アミノ−1−プロパノール 15.0gを滴下し、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行った。その後THF300mlに溶解し、THF150mlに溶解した1,3−ジイソシアナトベンゼン 32.0gを0℃のもと滴下し、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行い、A−14を85.1g得た。1H−NMRにより、目的物であることを確認した。
【0100】
〔合成例3:マクロモノマー(A−26)の合成〕
窒素雰囲気下、4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン) 26.2gをTHF200mlに溶解し、THF100mlに溶解したtert−ブチル 2−(2−ヒドロキシエチル)エチルカルバメート 20.5gの溶液を0℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。続けて0℃まで冷却し、ジエチレングリコール 10.6gを滴下し、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。その後0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸5.0gを混合し、2時間反応させた。応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行った。A−26を45.1g得た。1H−NMRにより、目的物であることを確認した。
【0101】
〔合成例4:マクロモノマー(M−8)の合成〕
窒素雰囲気下、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート 85.27gをTHF850mlに溶解し、0℃で2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン 5.0gをTHF50mlに溶解し、ゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌した後、室温で更に2時間攪拌を行った。反応溶液中の溶媒を減圧濃縮で2/3留去した後、酢酸エチル−ヘプタンの混合溶媒を用いて再沈し、上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行うことにより、マクロモノマー(M−8)を20.0g得た。1H−NMRにより、目的物であることを確認した。
【0102】
〔合成例5:マクロモノマー(M−15)の合成〕
ジエチルアミン40gとTHF50mlを混合し、THF50mlに溶解した9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート 20gを室温で滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌した後、析出物をろ取し、THFで洗浄を行った。
【0103】
続いて、得られた化合物 30gと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン 180gを混合し、120℃で加熱を行った。留出物を除去し、留出物が無くなったところで、減圧条件下で留出物が無くなるまで減圧留去を行った。得られた残渣をTHFで洗浄し、十分に乾燥させることにより、1,1′−(9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(3−(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)ウレア)を得た。
【0104】
窒素雰囲気下、p−イソシアネートベンジルイソシアネート 7gをジメチルスルホキシド70mlに溶解し、反応溶液を0℃に冷却した。ジメチルスルホキシド30mlに溶解した1,1′−(9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(3−(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)ウレア) 3gをゆっくりと滴下し、滴下終了後、0℃で1時間攪拌を行った。徐々に温度を上昇させ、室温で1時間反応を行った後、酢酸エチルを用いて再沈を行った。上澄みをデカントで除去した後、減圧乾燥を行うことにより、マクロモノマー(M−15)を6.5g得た。GPC測定による重量平均分子量は810であり、分子量分布は1.6であった。
【0105】
〔合成例6:マクロモノマー(M−31)の合成〕
窒素雰囲気下、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート5.0gをTHF50mlに溶解し、0℃でTHF30mlに溶解した3−アミノプロパノール3.2gをゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃で1時間攪拌し、溶液(A)を得た。
【0106】
1,3−フェニレンジイソシアネート13.0gをTHF65mlに溶解し、反応溶液を70℃に加温しながら、溶液(A)を滴下した。滴下終了後、70℃で5時間攪拌した後、反応液の溶媒量を減圧下で3/2まで濃縮した。残渣に酢酸エチル−ヘプタンの混合液を加えて攪拌し、デカントで上澄みを除去し、減圧乾燥させることにより、マクロモノマー(M−31)を12.5g得た。GPC測定による重量平均分子量は750であり、分子量分布は2.0であった。
【0107】
〔合成例7:マクロモノマー(M−35)の合成〕
窒素雰囲気下、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート5.0gをTHF50mlに溶解し、室温でTHF30mlに溶解した2−(2−アミノエトキシ)エタノール10.0gをゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で3時間攪拌した。残渣を濃縮後、再結晶を行うことにより、マクロモノマー(M−35)を9.2g得た。1H−NMRにより、目的物であることを確認した。
【0108】
本発明の有機圧電材料の構成材料としての有機高分子材料(以下「高分子材料」ともいう。)としては、従来、圧電材料として用いられている種々の有機高分子材料をも用いることができる。すなわち、本発明の有機圧電材料が、ポリフッ化ビニリデンを主成分とする高分子材料又はポリフッ化ビニリデンを主成分とする高分子材料を含有する複合材料により形成される態様も好ましい。
【0109】
例えば、典型的な材料として、良好な圧電特性、入手容易性等の観点から、フッ化ビニリデンを主成分とする有機高分子材料を用いることができる。
【0110】
具体的には、大きい双極子モーメントをもつCF基を有する、ポリフッ化ビニリデンの単独重合体又はフッ化ビニリデンを主成分とする共重合体であることが好ましい。
【0111】
なお、共重合体における第二組成分としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロパン、クロロフルオロエチレン等を用いることができる。
【0112】
例えば、フッ化ビニリデン/3フッ化エチレン共重合体の場合、共重合比によって厚さ方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化すので、前者の共重合比が60〜99モル%であること、更には、70〜95モル%であることが好ましい。
【0113】
なお、フッ化ビニリデンを70〜95モル%にして、パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロアルコキシエチレン、パーフルオロヘキサエチレン等を5〜30モル%にしたポリマーは、送信用無機圧電素子と受信用有機圧電素子との組み合わせにおいて、送信基本波を抑制して、高調波受信の感度を高めることができる。
【0114】
上記高分子圧電材料は、セラミックスからなる無機圧電材料に比べ、薄膜化できることからより高周波の送受信に対応した振動子にすることができる点が特徴である。
【0115】
《溶媒》
本発明で重合時に使用し得る溶媒としては、一般的に高分子材料合成に使用されている溶媒が使用でき、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサンなどを挙げることができるがこの限りではない。
【0116】
(ポリウレア)
本発明の有機圧電材料は、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む少なくとも二種の結合を有する前記マクロモノマーとポリウレアの重合反応により形成された重合体で構成されることを特徴とする。
【0117】
本発明において用いられる好ましいポリウレアとしては、下記一般式(UP1)で表される構造を有するポリウレアであることが好ましい。
【0118】
〈一般式(UP1)で表される構造を有するポリウレア〉
【0119】
【化27】

【0120】
上記一般式(UP1)において、R及びRは、各々独立に、アルキレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表すが、RとRが同時に水素原子となる場合は除く。
【0121】
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等が挙げられる。
【0122】
アリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、3,3′−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基、メチレンビスフェニル基、フルオレニル基、等が挙げられる。
【0123】
ヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、トリアジン環、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される、2価の基等が挙げられる。
【0124】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0125】
アリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
【0126】
ヘテロアリール基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等が挙げられる。
【0127】
nは、10〜30であることが好ましい。
【0128】
本発明においては、前記一般式(UP1)が、下記一般式(UP2)で表される態様であることが好ましい。
【0129】
【化28】

【0130】
上記一般式(UP2)において、R及びRは、各々独立に、アルキレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基を表す。Rは、メチル基、エチル基、又はプロピル基である。なお、R及びRは、一般式(UP1)におけるR及びRと同義である。
【0131】
《ポリウレアの合成》
一般式(UP1)で表される構造を有するポリウレアは、RとRを備えた2置換アミン化合物とRとRを備えた2置換アミン化合物にカルボニル基、またはチオカルボニル基を導入するカップリング剤を反応させる方法、RとRを備えた2置換アミン化合物に、Rを有するイソシアネート化合物もしくはRを有するイソチオシアネート化合物を反応させる方法、RとRを備えた2置換アミン化合物に、Rを有するイソシアネート化合物もしくはRを有するイソチオシアネート化合物を反応させる方法により合成することができる。
【0132】
出発原料は、前述で挙げた、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基により置換されたアミン化合物、イソシアネート化合物、イソチオシアネート化合物である。
【0133】
とRを備えた2置換アミン化合物とRとRを備えた2置換アミン化合物にカルボニル基、またはチオカルボニル基を導入するカップリング剤を反応させる方法で合成する場合、RとRを備えた2置換アミノ基を2つ有する化合物とRとRを備えた2置換アミノ基を2つ有する化合物のカップリングでもよいし、RとRを備えた2置換アミノ基とRとRを備えた2置換アミノ基を1つずつ有する化合物のカップリングでも構わない。
【0134】
使用できるカップリング剤としては、カルボニル基またはチオカルボニル基を導入できる化合物であり、具体的にはホスゲン、チオホスゲン、1,1′−カルボニルジイミダゾール、1,1′−チオカルボニルジイミダゾール、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカルボノチオエート、ジフェニルカルボノチオエート、炭酸ビス(トリクロロメチル)、チオ炭酸ビス(トリクロロメチル)、等を挙げることができる。
【0135】
カップリング剤の使用量は、アミン化合物1当量に対し、1.1〜1.5当量使用することが好ましい。更に好ましくは、1.1〜1.2当量である。
【0136】
カップリングさせる反応温度は、使用するカップリング剤にもよるが、できるだけ低い方が好ましく、−40〜60℃、好ましくは−20〜30℃であり、より好ましくは−10〜10℃である。また、反応温度は、反応開始から終了まで一定の温度で行ってもよく、初期に低温で行いその後、温度上げてもよい。
【0137】
一方、RとRを備えた2置換アミン化合物に、Rを有するイソシアネート化合物もしくはRを有するイソチオシアネート化合物を反応させる方法、RとRを備えた2置換アミン化合物に、Rを有するイソシアネート化合物もしくはRを有するイソチオシアネート化合物を反応させる方法する場合、アミン化合物は、RとRを備えた2置換アミノ基を2つ有する化合物、RとRを備えた2置換アミノ基を2つ有する化合物、RとRを備えた2置換アミノ基とRとRを備えた2置換アミノ基を1つずつ有する化合物が使用できる。またイソシアネート化合物は、Rを有するジイソシアネート化合物もしくはRを有するジイソチオシアネート化合物、Rを有するジイソシアネート化合物もしくはRを有するジイソチオシアネート化合物が使用できる。
【0138】
重付加させる反応温度は、使用する化合物にもよるが、できるだけ低い方が好ましく、−40〜60℃、好ましくは−20〜30℃であり、より好ましくは−10〜10℃である。また、反応温度は、反応開始から終了まで一定の温度で行ってもよく、初期に低温で行いその後、温度上げてもよい。
【0139】
反応に用いる溶媒は、目的の樹脂組成物が高極性であることと、重合を効率的に進行させるため、高極性溶媒を用いる必要がある。例えば、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の高極性非プロトン溶媒を選択することが好ましいが、反応基質及び目的物が良好に溶解しさえすればシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの溶媒であってもよく、これらを混合して用いてもよい。
【0140】
ポリウレアの精製は、如何なる手段を用いても良いが、再沈による精製が好ましい。再沈の方法は、特に限定されないが、ポリウレアを良溶媒に溶解した後、貧溶媒に滴下して析出させる方法が好ましい。
【0141】
ここで言う「良溶媒」とは、マクロモノマーが溶解する溶媒であれば、如何なる溶媒でも構わないが、好ましくは極性溶媒であり、具体的には、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N−メチルピロリドン)等の高極性非プロトン溶媒を挙げることができる。
【0142】
又、「貧溶媒」とは、マクロモノマーが溶解しない溶媒であれば、如何なる溶媒でも構わないが、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を挙げることができる。
【0143】
以下に、ポリウレアの具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。
【0144】
【化29】

【0145】
【表1】

【0146】
前記一般式(UP1)で表される構造を有するポリウレアを含有する有機圧電材料における当該高分子材料の含有率は、質量比で50〜100%であり、より好ましくは70〜100%である。
【0147】
使用条件は、前述の質量比の範囲において混合する材料と相分離を起こさない当該高分子材料を選択する。
【0148】
電気機械結合定数が0.2以上である用にするための調整方法は、当該高分子材料を含有する有機圧電材料からフィルムを作製し、そのフィルムに対し、延伸処理、アニール処理、分極処理などを施すことで得られる。アニール処理と分極処理を併用してもよい。
【0149】
延伸処理の場合、2〜5倍に延伸することが望ましい。延伸時の温度は、有機圧電材料の物性にもよるが、20〜150℃で延伸することが好ましく、40〜120℃がより好ましい。なお、アニール処理の場合、融点以下で行う必要がある。
【0150】
分極処理の場合、直流コロナ放電処理、交流印加処理など公知の種々の方法を用いることができる。
【0151】
〈その他併用可能な有機高分子材料〉
本発明においては、種々の有機高分子材料を用いることができるが、当該有機高分子材料の双極子モーメント量を増加させる作用を有する電子吸引性基を持つ重合性化合物により形成した有機高分子材料であることが好ましい。このような有機高分子材料であれば、双極子モーメント量を増加させる作用を有することから、有機圧電材料(膜)として用いた場合、優れた圧電特性を得ることができる。
【0152】
なお、本願において、「電子吸引性基」とは、電子吸引性の度合いを示す指標としてハメット置換基定数(σp)が0.10以上である置換基をいう。ここでいうハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
【0153】
例えば、σpの値が0.10以上の置換基または原子としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルチオメチル、トリフルオロメタンスルホニルメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族、芳香族もしくは芳香族複素環アシル基(例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル)、脂肪族・芳香族もしくは芳香族複素環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、置換アリール基(例えばペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル)、芳香族複素環基(例えば2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンズチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アシロキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)などが挙げられる。
【0154】
本発明に用いることができる化合物の具体例としては、以下の化合物、もしくはその誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4′−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジシクロヘキシルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−t−ブチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−シクロヘキシルアニリン)、4,4′−メチレンビス(3,5−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,5−ジメチルアニリン)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)トルエン、4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジクロロアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジブロモアニリン)、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノオクタフルオロジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルジスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、4,4′−ジアミノスチルベン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4′−ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,3′−ジアミノベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′−ジヒドロキシベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−5,5′−ジメチルベンジジン、4,4″−ジアミノ−p−ターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、3,3′−ジメチルナフチジン、2,7−ジアミノカルバゾール、3,6−ジアミノカルバゾール、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ジアミノペンタン、1.6−ジアミノヘキサン、1,7−ジミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−1:4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジメチルアミノ−3,3′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−5,5′−ジエチル−3,3′−ジフルオロベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラフルオロベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジブロモジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルジスルフィド、4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラフルオロジフェニルジスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−クロロ−5−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノ−3−ブロモフェニル)スルホキシド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロプロパン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ジアニリン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(2,6−ジクロロアニリン)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)マロン酸ジエチル、2,2−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)マロン酸ジエチル、4−(ジp−アミノフェニルメチル)ピリジン、1−(ジp−アミノフェニルメチル)−1H−ピロール、1−(ジp−アミノフェニルメチル)−1H−イミダゾール、2−(ジp−アミノフェニルメチル)オキサゾール等のジアミン化合物とそれら誘導体と、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジシクロヘキシルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−エチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−t−ブチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−シクロヘキシルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(3,5−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジメチルフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,5−ジメチルフェニルイソシアナート)、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−イソシアナートフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−イソシアナートフェニル)トルエン、4,4′−メチレンビス(2,6−ジクロロフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2−クロロフェニルイソシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,3−ジブロモフェニルイソシアナート)、m−キシリレンジイソシアナート、4,4′−ジイソシアナート−3,3′−ジメチルビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、1,3−ビス(2−イソシアナート−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,7−フルオレンジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアン酸、3,3′−ジクロロベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアン酸、5,5′−ジエチル−3,3′−ジフルオロベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアン酸、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−イソシアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−イソシアネートフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−イソシアネートフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジフルオロ−4−イソシアネートフェニル)エーテル、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジブロモ−4−イソシアネートフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアネートフェニル)ジスルフィド、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルホン、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−イソシアネートフェニル)スルホキシド、1,1−ビス(4−イソシアネートフェニル)シクロプロパン、1,1−ビス(4−イソシアネートフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−イソシアネートフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−イソシアネートフェニル)シクロヘキサン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(イソシアネートベンゼン)、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(1−イソシアネート−2−クロロベンゼン)、2,2−ビス(4−イソシアネートフェニル)マロン酸ジエチル、2,2−ビス(3−クロロ−4−イソシアネートフェニル)マロン酸ジエチル、4−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)ピリジン、1−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)−1H−ピロール、1−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)−1H−イミダゾール、2−(ジp−イソシアネートフェニルメチル)オキサゾール等のジイソシアネート化合物とそれら誘導体と、4,4′−ジフェニルメタンジイソチオシアナート、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソチオシアナート)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルイソチオシアナート)、1,3−ビス(イソチオシアナートメチル)シクロヘキサン、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソチオシアン酸、3,3′−ジフルオロベンゾフェノン−4,4′−ジイソチオシアン酸、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−イソチオシアネートフェニル)プロパン、ビス(4−イソチオシアネートフェニル)エーテル、ビス(4−イソチオシアネートフェニル)スルホン、ビス(4−イソチオシアネートフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−イソチオシアネートフェニル)スルホキシド、1,1−ビス(4−イソチオシアネートフェニル)シクロプロパン、1,1−ビス(4−イソチオシアネートフェニル)シクロオクタン、4,4′−(シクロヘキシルメチレン)ビス(イソチオシアネートベンゼン)、2,2−ビス(4−イソチオシアネートフェニル)マロン酸ジエチル、1−(ジp−イソチオシアネートフェニルメチル)−1H−ピロール、2−(ジp−イソチオシアネートフェニルメチル)オキサゾール等のジイソチオシアネート化合物とそれら誘導体である。
【0156】
以下、本発明において用いることができる有機高分子材料について更に詳細な説明をする。
【0157】
本発明においては、有機圧電材料を構成する有機高分子材料が、ウレア結合もしくはチオウレア結合を有する化合物を構成成分として含有することが好ましく、当該化合物が、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物もしくはこれらの化合物の誘導体を原料として形成されものであることも好ましい。
【0158】
【化30】

【0159】
(式中、R11及びR12は、各々独立に水素原子、アルキル基、3〜10員の非芳香族環基、アリール基、またはヘテロアリール基を表し、これらの基は更に置換基を有しても良い。R21〜R26は、各々独立に水素原子、アルキル基、電子吸引性基を表す。)
【0160】
【化31】

【0161】
(式中、R13は、各々独立にカルボキシル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基を表し、これらの活性水素は、更にアルキル基、3〜10員の非芳香族環基、アリール基、またはヘテロアリール基等で置換されてもよく、また、R13は、カルボニル基、スルホニル基、チオカルボニル基、スルホン基を表し、これらの置換基は、水素原子、アリール基、またはヘテロアリール基を結合する。R21〜R26は上記一般式(1)のR21〜R26と同義の基を表す。)
【0162】
【化32】

【0163】
(式中、Yは、各々独立にケト基、オキシム基、置換ビニリデン基を表し、R21〜R26は、上記一般式(1)のR21〜R26と同義の置換基を表す。)
好ましい例としては、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物若しくはこれらの化合物の誘導体を挙げることができる。
【0164】
《一般式(1)で表される化合物》
一般式(1)で表される化合物としては、2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジニトロフルオレン、2,7−ジアミノ−3,4,5、6−テトラクロロフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジフルオロフルオレン、2,7−ジアミノ−9−(n−ヘキシル)フルオレン、9、9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−ベンジルフルオレン、9,9−ビスフェニル−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−メチルフルオレン、9,9−ビス(3,4−ジクロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−クロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(メチルオキシエチル)−2,7−ジアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジメチル−9−アミノメチルフルオレン、などが挙げられるがこの限りではない。
【0165】
《一般式(2)で表される化合物》
一般式(2)で表される化合物としては、2,7−ジアミノ−9−フルオレンカルボン酸、2,7−ジアミノ−9−フルオレンカルボキシアルデヒド、2,7−ジアミノ−9−ヒドロキシフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジフルオロ−9−ヒドロキシフルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジブロモ−9−メルカプトフルオレン、2,7,9−トリアミノフルオレン、2,7−ジアミノ−9−ヒドロキシメチルフルオレン、2,7−ジアミノ−9−(メチルオキシ)フルオレン、2,7−ジアミノ−9−アセトキシフルオレン、2,7−ジアミノ−3,6−ジエチル−9−(パーフルオロフェニルオキシ)フルオレン、2,7−ジアミノ−4,5−ジフルオロ−9−(アセトアミド)フルオレン、2,7−ジアミノ−N−イソプロピルフルオレン−9−カルボキシアミド、2,7−ジアミノ−4,5−ジブロモ−9−メチルスルフィニルフルオレン、などが挙げられるがこの限りではない。
【0166】
《一般式(3)で表される化合物》
一般式(3)で表される化合物としては、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレノン、2,7−ジアミノ−9−ベンジルフルオレノン、9,9−ビスフェニル−2,7−ジアミノフルオレノン、2,7−ジアミノ−9−メチルフルオレノン、9,9−ビス(3,4−ジクロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレノン、9,9−ビス(3−メチル−4−クロロフェニル)−2,7−ジアミノフルオレノン、9−ヘキシリデン−2,7−ジアミノ−4,5−ジクロロフルオレン、1−(2,7−ジアミノ−9−フルオレニリデン)−2−フェニルヒドラジン、2−((2,7−ジアミノ−1,8−ジメチル−9−フルオレニリデン)メチル)ピリジン、などが挙げられるがこの限りではない。
【0167】
本発明においては、例えば、上記フルオレン例示化合物を脂肪族若しくは芳香族のジオール、ジアミン、ジイソシアネート、ジイソチオシアネートなどと反応させてポリウレア若しくはポリウレタン構造等を形成してから下記一般式(4)〜(6)で表される化合物、もしくはそれらより形成される高分子量体と混ぜて複合材料とすることもできる。
【0168】
【化33】

【0169】
(式中、Raは、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは、結合しうる炭素以外の原子、もしくはなくてもよい。nはXの原子価−1以下の整数を表す。)
一般式(4)で表される化合物で表される化合物としては、p−アセトキシスチレン、p−アセチルスチレン、p−ベンゾイルスチレン、p−トリフルオロアセチルスチレン、p−モノクロロアセチルスチレン、p−(パーフルオロブチリルオキシ)スチレン、p−(パーフルオロベンゾイルオキシ)スチレン、S−4−ビニルフェニルピリジン−2−カルボチオエート、及びN−(4−ビニルフェニル)ピコリナミド、などが挙げられるがこの限りではない。
【0170】
【化34】

【0171】
(式中、Rbは、各々独立に電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは結合しうる炭素以外の原子、又はなくてもよい。nはXの原子価−1以下。)
一般式(5)で表される化合物としては、p−トリフルオロメチルスチレン、p−ジブロモメチルスチレン、p−トリフルオロメトキシスチレン、p−パーフルオロフェノキシスチレン、p−ビス(トリフルオロメチル)アミノスチレン、及びp−(1H−イミダゾリルオキシ)スチレン、などが挙げられるがこの限りではない。
【0172】
【化35】

【0173】
(式中、Rcは、各々独立に電子吸引性基を含むアルキル基、電子吸引性基を含むアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。Xは結合しうる炭素以外の原子、又はなくてもよい。nはXの原子価−1以下の整数を表す。)
一般式(6)で表される化合物としては、p−(メタンスルホニルオキシ)スチレン、p−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スチレン、p−トルエンスルホニルスチレン、p−(パーフルオロプロピルスルホニルオキシ)スチレン、p−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)スチレン、及び(4−ビニルフェニル)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、などが挙げられるがこの限りではない。
【0174】
なお、本発明においては、エチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、4,4−メチレンビスフェノールなどのアルコール化合物等、さらにアミノ基と水酸基の両方を有するエターノルアミン、アミノブチルフェノール、4−(4−アミノベンジル)フェノール(ABP)などのアミノアルコール類、アミノフェノール類等も用いることができる。
【0175】
(有機圧電膜)
本発明に係る有機圧電膜は、上記圧電材料を用いて、溶融法、流延法など従来公知の種々の方法で作製することができる。
【0176】
本発明においては、有機圧電膜の作製方法として、基本的には、上記高分子材料等の溶液を基板上に塗布し、乾燥して得る方法、又は上記高分子材料の原料化合物を用いて従来公知の溶液重合塗布法などにより高分子膜を形成する方法を採用することができる。
【0177】
溶液重合塗布法の具体的方法・条件については、従来公知の種々の方法等に従って行うことができる。例えば、原料の混合溶液を基板上に塗布し、減圧条件下である程度乾燥後(溶媒を除去した後)、加熱し、熱重合し、その後又は同時に分極処理をして有機圧電膜を形成する方法が好ましい。
【0178】
なお、圧電特性を上げるには、分子配列を揃える処理を加えることが有用である。手段としては、延伸製膜、分極処理などが挙げられる。
【0179】
延伸製膜の方法については、種々の公知の方法を採用することができる。例えば、上記有機高分子材料をエチルメチルケトン(MEK)などの有機溶媒に溶解した液をガラス板などの基板上に流延し、常温にて溶媒を乾燥させ、所望の厚さのフィルムを得て、このフィルムを室温で所定の倍率の長さに延伸する。当該延伸は、所定形状の有機圧電膜が破壊されない程度に一軸・ニ軸方向に延伸することができる。延伸倍率は2〜10倍、好ましくは2〜6倍である。
【0180】
(分極処理)
本発明に係る分極処理における分極処理方法としては、従来公知の直流電圧印加処理、交流電圧印加処理又はコロナ放電処理等の方法が適用され得る。
【0181】
例えば、コロナ放電処理法による場合には、コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
【0182】
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択することが好ましい。高電圧電源の電圧としては−1〜−20kV、電流としては1〜80mA、電極間距離としては、1〜10cmが好ましく、印加電圧は、0.5〜2.0MV/mであることが好ましい。
【0183】
電極としては、従来から用いられている針状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電極が好ましいが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0184】
本発明の有機圧電材料は、コロナ放電により分極処理を施す場合においては、当該有機圧電材料の第1の面上に接するように平面電極を設置し、かつ前記第1の面に対向する第2の面側に円柱状のコロナ放電用電極を設置して、コロナ放電による分極処理が施されることが好ましい。
【0185】
当該分極処理は、水・酸素に起因する材料表面の酸化を防ぎ、圧電性を損なわないため等の理由から、窒素もしくは希ガス(ヘリウム、アルゴン等)気流下、質量絶対湿度が0.004以下の環境中で施される態様が好ましい。特に窒素気流下が好ましい。
【0186】
また、前記第1面上に接するように設置された平面電極を含む有機圧電材料、もしくは第2の面側に設けられた円柱状のコロナ放電用電極の少なくとも一方が、一定の速度で移動しながらコロナ放電が施されることが好ましい。
【0187】
なお、本願において、「質量絶対湿度」とは、乾き空気の質量mDA[kg]に対して湿り空気中に含まれる水蒸気(water vapor)の質量がm[kg]であるとき、下記式で定義される比SH(Specific humidity)をいい、単位は[kg/kg(DA)]で表される(DAはdry air の略)。但し、本願においては、当該単位を省略して表現する。
【0188】
(式):SH=m/mDA[kg/kg(DA)]
ここで、水蒸気を含む空気を「湿り空気」といい、湿り空気から水蒸気を除いた空気を「乾き空気(dry air)」という。
【0189】
なお、窒素もしくは希ガス(ヘリウム、アルゴン等)気流下での質量絶対湿度の定義は、上記の空気の場合に準じ、乾き気体の質量mDG[kg]に対して湿り気体に含まれる水蒸気の質量がm[kg]であるとき、上記式に準じて定義される比SHをいい、単位は[kg/kg(DG)]で表される(DGはdry gasの略)。但し、本願においては、当該単位を省略して表現する。
【0190】
また、「設置」とは、予め別途作製された既存の電極を有機圧電材料面上に接するように設け置くこと、又は電極構成材料を有機圧電材料面上に蒸着法等により付着させ、当該面上において電極を形成することをいう。
【0191】
なお、本発明の有機圧電材料により形成される有機圧電膜は、その形成過程において電場中で形成されること、すなわち、当該形成過程において分極処理を施すことが好ましい。このとき磁場を併用しても良い。
【0192】
本発明に係るコロナ放電処理法では、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
【0193】
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択することが好ましいが、高電圧電源の電圧としては正電圧・負電圧ともに1〜20kV、電流としては1〜80mA、電極間距離としては、0.5〜10cmが好ましく、印加電界は、0.5〜2.0MV/mであることが好ましい。分極処理中の有機圧電材料もしくは有機圧電膜は、50〜250℃が好ましく、70〜180℃がより好ましい。
【0194】
コロナ放電に使用する電極としては、分極処理を均一に施すために、上記のように円柱状の電極を用いることを要する。
【0195】
なお、本願において、円柱状の電極の円の直径は、0.1mm〜2cmであることが好ましい。当該円柱の長さは、分極処理を施す有機圧電材料の大きさに応じて適切な長さにすることが好ましい。例えば、一般的には、分極処理を均一に施す観点から、5cm以下であることが好ましい。
【0196】
これらの電極は、コロナ放電を行う部分では張っていることが好ましく、それらの両端に一定の加重をかける、もしくは一定の加重をかけた状態で固定するなどの方法で実現できる。また、これらの電極の構成材料としては、一般的な金属材料が使用可能だが、特に金、銀、銅が好ましい。
【0197】
前記第1の面上に接するように設置する平面電極は、均一な分極処理を行うためには有機圧電材料に均一に密着していることが好ましい。すなわち平面電極が施された基板上に有機高分子膜または有機圧電膜を形成した後にコロナ放電を行うことが好ましい。
【0198】
なお、本発明に係る超音波振動子の製造方法としては、有機圧電(体)膜の両面に設置される電極の形成前、片側のみ電極形成後又は両側に電極形成後のいずれかで分極処理する態様の製造方法であることが好ましい。また、当該分極処理が、電圧印加処理であることが好ましい。
【0199】
本発明では、塗布した塗布膜に磁場をかけつつ溶液中の溶媒を除去する方法も取り得る。ここで、「磁場をかけつつ溶媒を除去する」とは、溶媒を除去する工程の間に磁場をかける工程を有することである。溶媒を除去する工程における溶媒の除去は、連続的であっても、断続的であってもよい。溶媒の除去が断続的の場合、磁場をかける工程は、溶媒が除去されている間であってもよいし、溶媒が除去されず中断されている間であってよい。
【0200】
使用する溶媒と、乾燥温度にもよるが、概ね塗布直後1分後から磁場をかけることが好ましい。塗布直後すぐの場合、塗布液の拡散による流動配向が磁場配向に勝るためであり、それ以上遅くなると乾燥が進み、粘性上昇により配向が阻害されるためである。
【0201】
磁場をかける時間としては、塗布膜が完全に乾燥するまでの時間が好ましい。
【0202】
磁場の磁束密度としては、塗布膜の均一性の点で、1〜30Tが好ましく、5〜20Tが特に好ましい。
【0203】
本発明においては、磁場をかけることで、芳香環の配向性をたかめ、芳香環に結合する官能基の配向を制御することができる。そのため磁場の方向はマクロモノマーの構造により、塗布膜に対し垂直に書けるのが好ましい場合と、水平に書ける場合が好ましい場合の2通りある。
【0204】
なお、本発明においては、前記有機圧電材料が、上記のように、電場又は電場と磁場の併用により分極処理が施されていることが好ましい。
【0205】
(基板)
基板としては、本発明に係る有機圧電体膜の用途・使用方法等により基板の選択は異なる。本発明においては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板又はフィルムを用いることができる。また、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素等で覆ったものでもよい。またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、希土類のハロゲン化物の単結晶の板又はフィルムでもかまわない。また基板自体使用しないこともある。
【0206】
(超音波振動子)
本発明に係る超音波振動子は、本発明の有機圧電材料を用いて形成した有機圧電膜を用いたことを特徴とする。当該超音波振動子は、超音波送信用振動子と超音波送信用振動子を具備する超音波医用画像診断装置用探触子(プローブ)に用いられる超音波受信用振動子とすることが好ましい。
【0207】
なお、一般に、超音波振動子は膜状の圧電材料からなる層(又は膜)(「圧電膜」、「圧電体膜」、又は「圧電体層」ともいう。)を挟んで一対の電極を配設して構成され、複数の振動子を例えば1次元配列して超音波探触子が構成される。
【0208】
そして、複数の振動子が配列された長軸方向の所定数の振動子を口径として設定し、その口径に属する複数の振動子を駆動して被検体内の計測部位に超音波ビームを収束させて照射すると共に、その口径に属する複数の振動子により被検体から発する超音波の反射エコー等を受信して電気信号に変換する機能を有している。
【0209】
以下、本発明に係る超音波受信用振動子と超音波送信用振動子それぞれについて詳細に説明する。
【0210】
〈超音波受信用振動子〉
本発明に係る超音波受信用振動子は、超音波医用画像診断装置用探触子に用いられる超音波受信用圧電材料を有する振動子であって、それを構成する圧電材料が、本発明の有機圧電材料を用いて形成した有機圧電膜を用いた態様であることが好ましい。
【0211】
なお、超音波受信用振動子に用いる有機圧電材料ないし有機圧電膜は、厚み共振周波数における比誘電率が10〜50であることが好ましい。比誘電率の調整は、当該有機圧電材料を構成する化合物が有する前記置換基R、CF基、CN基のような極性官能基の数量、組成、重合度等の調整、及び上記の分極処理によって行うことができる。
【0212】
なお、本発明の受信用振動子を構成する有機圧電体膜は、複数の高分子材料を積層させた構成とすることもできる。この場合、積層する高分子材料としては、上記の高分子材料の他に下記の比誘電率の比較的低い高分子材料を併用することができる。
【0213】
なお、下記の例示において、括弧内の数値は、高分子材料(樹脂)の比誘電率を示す。
【0214】
例えば、メタクリル酸メチル樹脂(3.0)、アクリルニトリル樹脂(4.0)、アセテート樹脂(3.4)、アニリン樹脂(3.5)、アニリンホルムアルデヒド樹脂(4.0)、アミノアルキル樹脂(4.0)、アルキッド樹脂(5.0)、ナイロン−6−6(3.4)、エチレン樹脂(2.2)、エポキシ樹脂(2.5)、塩化ビニル樹脂(3.3)、塩化ビニリデン樹脂(3.0)、尿素ホルムアルデヒド樹脂(7.0)、ポリアセタール樹脂(3.6)、ポリウレタン(5.0)、ポリエステル樹脂(2.8)、ポリエチレン(低圧)(2.3)、ポリエチレンテレフタレート(2.9)、ポリカーポネート樹脂(2.9)、メラミン樹脂(5.1)、メラミンホルムアルデヒド樹脂(8.0)、酢酸セルロース(3.2)、酢酸ビニル樹脂(2.7)、スチレン樹脂(2.3)、スチレンブタジェンゴム(3.0)、スチロール樹脂(2.4)、フッ化エチレン樹脂(2.0)等を用いることができる。
【0215】
なお、上記比誘電率の低い高分子材料は、圧電特性を調整するため、或いは有機圧電体膜の物理的強度を付与するため等の種々の目的に応じて適切なものを選択することが好ましい。
【0216】
〈超音波送信用振動子〉
本発明に係る超音波送信用振動子は、上記受信用圧電材料を有する振動子との関係で適切な比誘電率を有する圧電体材料により構成されることが好ましい。また、耐熱性・耐電圧性に優れた圧電材料を用いることが好ましい。
【0217】
超音波送信用振動子構成用材料としては、公知の種々の有機圧電材料及び無機圧電材料を用いることができる。
【0218】
有機圧電材料としては、上記超音波受信用振動子構成用有機圧電材料と同様の高分子材料を用いることできる。
【0219】
無機材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、ニオブ酸タンタル酸カリウム[K(Ta,Nb)O]、チタン酸バリウム(BaTiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、又はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)等を用いることができる。尚、PZTはPb(Zr1−nTi)O(0.47≦n≦1)が好ましい。
【0220】
〈電極〉
本発明に係る圧電(体)振動子は、圧電体膜(層)の両面上又は片面上に電極を形成し、その圧電体膜を分極処理することによって作製されるものである。有機圧電材料を使用した超音波受信用振動子を作製する際には、分極処理を行う際に使用した前記第1面の電極をそのまま使用してもよい。当該電極は、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などを主体とした電極材料を用いて形成する。
【0221】
電極の形成に際しては、まず、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成した後、上記金属元素を主体とする金属及びそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、蒸着法その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する。これらの電極形成はスパッタ法以外でも微粉末の金属粉末と低融点ガラスを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
【0222】
さらに、圧電体膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、圧電体膜を分極することで圧電素子が得られる。
【0223】
(超音波探触子)
本発明に係る超音波探触子は、超音波画像診断装置の主要構成部品であって、超音波を発生するとともに、超音波ビームを送受信する機能を有するものである。当該超音波探触子の内部の構成は、種々の態様を採り得るが、一般的構成としては、先端(被検体である生体に接する面)部分から「音響レンズ」、「音響整合層」、「超音波振動子(素子)」、「バッキング」という順に並置された態様の構成を採り得る。
【0224】
本発明に係る超音波探触子は、超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備する超音波医用画像診断装置用探触子(プローブ)であり、受信用振動子として、本発明に係る上記超音波受信用振動子を用いることを特徴とする。
【0225】
本発明においては、超音波の送受信の両方をひとつの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて探触子内に構成される。
【0226】
送信用振動子を構成する圧電材料としては、従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
【0227】
本発明に係る超音波探触子においては、送信用振動子の上もしくは並列に本発明の超音波受信用振動子を配置することができる。
【0228】
より好ましい実施形態としては、超音波送信用振動子の上に本発明の超音波受信用振動子を積層する構造が良く、その際には、本発明の超音波受信用振動子は他の高分子材料(支持体として上記の比誘電率が比較的低い高分子(樹脂)フィルム、例えば、ポリエステルフィルム)の上に添合した形で送信用振動子の上に積層してもよい。その際の受信用振動子と他の高分子材料と合わせた膜厚は、探触子の設計上好ましい受信周波数帯域に合わせることが好ましい。実用的な超音波医用画像診断装置および生体情報収集に現実的な周波数帯から鑑みると、その膜厚は、40〜150μmであることが好ましい。
【0229】
なお、当該探触子には、バッキング層、音響整合層、音響レンズなどを設けても良い。また、多数の圧電材料を有する振動子を2次元に並べた探触子とすることもできる。複数の2次元配列した探触子を順次走査して、画像化するスキャナーとして構成させることもできる。
【0230】
(音響レンズ)
本発明に係る音響レンズは、屈折を利用して超音波ビームを集束し分解能を向上するために配置されている。本発明にいては、当該音響レンズの被検体表面に近い領域に、励起光を照射することにより発光する物質すなわち発光物質が添加されていることを特徴とする。
【0231】
当該音響レンズは、超音波を収束するとともに、生体とよく密着して生体の音響インピーダンス(密度×音速;(1.4〜1.6)×10kg/m・sec)と整合させ、超音波の反射を少なくしうること、レンズ自体の超音波減衰量が小さいことが必要条件とされている。
【0232】
すなわち、超音波ビームを集束するため人体と接触する部分に、従来ゴム等の高分子材料をべースにして作られた音響レンズが設けられている。ここに用いられるレンズ材料としては、その音速が人体のそれより十分小さくて、減衰が少なく、又、音響インピーダンスが人体の皮膚の値に近いものが望まれる。レンズ材が、音速が人体のそれより十分小さければ、レンズ形状を凸状となすことができ、診断を行う際に滑りが良くなり、安全に行えるし、また、減衰が少なくなれば、感度良く超音波の送受信が行え、さらに、音響インピーダンスが人体の皮膚の値に近いものであれば、反射が小さくなり、換言すれば、透過率が大きくなるので、同様に超音波の送受信感度が良くなるからである。
【0233】
本発明において、音響レンズを構成する素材としては、従来公知のシリコンゴム、フッ素シリコンゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のホモポリマー、エチレンとプロピレンとを共重合させてなるエチレン−プロピレン共重合体ゴム等の共重合体ゴム等を用いることができる。これらのうち、シリコン系ゴムを用いることが好ましい。
【0234】
本発明に使用されるシリコン系ゴムとしては、シリコンゴム、フッ素シリコンゴム等が挙げられる。就中、レンズ材の特性上、シリコンゴムを使用することが好ましい。シリコンゴムとは、Si−O結合からなる分子骨格を有し、そのSi原子に複数の有機基が主結合したオルガノポリシロキサンをいい、通常は、その主成分はメチルポリシロキサンで、全体の有機基のうち90%以上はメチル基である。メチル基に代えて水素原子、フェニル基、ビニル基、アリル基等を導入したものも使用することができる。当該シリコンゴムは、例えば、高重合度のオルガノポリシロキサンに過酸化ベンゾイルなどの硬化剤(加硫剤)を混練し、加熱加硫し硬化させることにより得ることができる。必要に応じてシリカ、ナイロン粉末等の有機又は無機充填剤、硫黄、酸化亜鉛等の加硫助剤等を添加してもよい。
【0235】
本発明に使用されるブタジエン系ゴムとしては、ブタジエン単独またはブタジエンを主体としこれに少量のスチロールまたはアクリロニトリルが共重合した共重合ゴム等が挙げられる。就中、レンズ材の特性上、ブタジエンゴムを使用することが好ましい。ブタジエンゴムとは、共役二重結合を有するブタジエンの重合により得られる合成ゴムをいう。ブタジエンゴムは、共役二重結合を有するブタジエン単独が1,4又は1.2重合することにより得ることができる。ブタジエンゴムは、硫黄等により加硫させたものが使用できる。
【0236】
本発明に係る音響レンズにおいては、シリコン系ゴムとブタジエン系ゴムとを混合し加硫硬化させることにより得ることができる。例えば、シリコンゴムとブタジエンゴムとを適宜割合で混練ロールで混合し、過酸化ベンゾイルなどの加硫剤を添加し、加熱加硫し架橋(硬化)させることにより得ることができる。その際に、加硫助剤として、酸化亜鉛を添加することが好ましい。酸化亜鉛は、レンズ特性を落とさずに、加硫促進を促し、加硫時間を短縮できる。他に、着色剤や音響レンズの特性を損なわない範囲内で他の添加剤を添加してもよい。シリコン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、その音響インピーダンスが人体に近似しているとともに、その音速が人体より小さく、減衰が少ないものを得るには、通常、1:1が好ましいが、当該混合割合は適宜変更可能である。
【0237】
なお、本発明においては、上記シリコン系ゴム等のゴム素材をベース(主成分)として、音速調整、密度調整等の目的に応じ、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機充填剤や、ナイロンなどの有機樹脂等を配合することもできる。
【0238】
(バッキング層)
本発明においては、超音波振動子の背面に配置し、後方への超音波の伝搬を抑制することを目的としてバッキング層を備えることも好ましい。これにより、パルス幅を短くすることができる。
【0239】
(音響整合層)
音響整合層(「λ/4層」ともいう。)は、振動子と生体間の音響インピーダンス差を少なくし、超音波を効率よく送受信するために多層配置される。
【0240】
(超音波医用画像診断装置)
本発明に係る上記超音波探触子は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。図1に、本発明の実施形態の超音波医用画像診断装置の主要部の構成の概念図を示す。
【0241】
この超音波医用画像診断装置は、患者などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する圧電体振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている。また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各圧電体振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えている。
【0242】
更に、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備えている。また当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波医用画像診断装置全体の制御を行う制御回路を備えている。
【0243】
制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。そして、超音波探触子の各圧電体振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
【0244】
なお、上記送受信回路が「電気信号を発生する手段」に相当し、画像データ変換回路が「画像処理手段」に相当する。
【0245】
上記のような超音波診断装置によれば、本発明の圧電特性及び耐熱性に優れかつ高周波・広帯域に適した超音波受信用振動子の特徴を生かして、従来技術と比較して画質とその再現・安定性が向上した超音波像を得ることができる。
【実施例】
【0246】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0247】
(実施例1):末端にアミノ基を有するポリウレアの合成(1)
ジアミン0.085モル、炭酸アンモニウム0.085モル及びトリフェニルホスフィン0.175モルをピリジン500mlに加え攪拌した。反応溶液を70℃に昇温し、ヘキサクロロエタン0.175モルを添加後、70℃のまま24時間攪拌を行った。反応溶液を、メタノール−アセトン1:1の混合溶媒に添加し、析出物をろ取した。析出物を水、メタノールで順次洗浄し、減圧乾燥を行うことにより、末端にアミノ基を有するポリウレアを得た。
【0248】
得られたポリウレアと使用したジアミンを下記に示す。
【0249】
〈PU−2〉
重量平均分子量13,00分子量分布1.8
4,6−diamino−3,4,5,6−tetrahydro−2H−cyclopenta[d]thiazol−2−one
〈PU−3〉
重量平均分子量10,000、分子量分布2.1
5,6−difluoro−2,3−dihydro−1H−indene−1,3−diamine
〈PU−4〉
重量平均分子量8,000、分子量分布1.5
6,7−diamino−5,6,7,8−tetrahydronaphthalene−2,3−dicarbonitrile
本実施例において、重量平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は下記の要領で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出した。測定条件は以下の通りである。
【0250】
溶媒 :30mMLiBr in N−メチルピロリドン
装置 :HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel SuperAWM−H×2本(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度 :1.0g/L
注入量 :40μl
流量 :0.5ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=580〜2,560,000までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
【0251】
(実施例2):末端にアミノ基を有するポリウレアの合成(2)
窒素雰囲気下、ジイソシアネートを10倍量のNMPに溶解し、0℃に冷却した。ジイソシアネートの2倍モルのジアミンを10倍量のNMPに溶解し、反応溶液に添加した。0℃で1時間攪拌した後、反応溶液を室温まで戻し、更に3時間攪拌を行った。反応溶液を酢酸エチル−ヘプタンに滴下し、上澄みをデカントで取り除いた。残渣を酢酸エチルで洗浄することにより、末端にアミノ基を有するポリウレアを得た。得られたポリウレアと使用した原料を下記に示す。
【0252】
〈PU−6〉
重量平均分子量6,000、分子量分布2.0
1,3−di(thiophen−2−yl)−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[c]thiophene−5,6−diamine
1,3−di(thiophen−2−yl)−4,5,6,7−tetrahydrobenzo[c]thiophene−5,6−diisocyanate
〈PU−11〉
重量平均分子量5,000、分子量分布2.2
1,2,3,4−tetrahydropentalene−1,3−diamine
1,2,3,4−tetrahydropentalene−1,3−diisothiocyanate
〈PU−12〉
重量平均分子量6,000、分子量分布1.6
4,6−diamino−3,4,5,6−tetrahydro−2H−cyclopenta[d]thiazol−2−one
4,6−diisothiocyanate−3,4,5,6−tetrahydro−2H−cyclopenta[d]thiazol−2−one
〈PU−18〉
重量平均分子量8,000、分子量分布1.8
1,1,3,3−tetrafluorooctahydro−1H−isochromene−5,7−diamine
1,1,3,3−tetrafluorooctahydro−1H−isochromene−5,7−diisothiocyanate
(実施例3):末端にイソチオシアネート基を有するポリウレアの合成
窒素雰囲気下、ジアミンを10倍量のNMPに溶解し、0℃に冷却した。ジアミンの2倍モルのジイソチオシアネートを10倍量のNMPに溶解し、反応溶液に添加した。0℃で1時間攪拌した後、反応溶液を室温まで戻し、更に3時間攪拌を行った。反応溶液を酢酸エチル−ヘプタンに滴下し、上澄みをデカントで取り除いた。残渣を酢酸エチルで洗浄することにより、末端にイソシアネート基を有するポリウレアを得た。得られたポリウレアと使用した原料を下記に示す。
【0253】
〈PU−13〉
重量平均分子量7,000、分子量分布2.4
5,6−difluoro−2,3−dihydro−1H−indene−1,3−diamine
5,6−difluoro−2,3−dihydro−1H−indene−1,3−diisothiocyanate
(実施例4):末端にヒドロキシ基を有するポリウレアの合成
窒素雰囲気下、ジアミンを10倍量のNMPに溶解し、0℃に冷却した。ジアミンの2倍モルのジイソチオシアネートを10倍量のNMPに溶解し、反応溶液に添加した。0℃で1時間攪拌した後、反応溶液を室温まで戻し、更に3時間攪拌を行った。反応溶液を酢酸エチル−ヘプタンに滴下し、上澄みをデカントで取り除いた。残渣を酢酸エチルで洗浄することにより、末端にイソチオシアネート基を有するポリチオウレアを得た。さらに、窒素雰囲気下、該ポリチオウレアを10倍量のNMPに溶解し、0℃に冷却した。ジイソチオシアネートの2倍モルのジオールを10倍量のNMPに溶解し、反応溶液に添加した。0℃で1時間攪拌した後、反応溶液を室温まで戻し、更に3時間攪拌を行った。反応溶液を酢酸エチル−ヘプタンに滴下し、上澄みをデカントで取り除いた。残渣を酢酸エチルで洗浄することにより、末端にヒドロキシ基を有するポリチオウレアを得た。得られたポリチオウレアと使用した原料を下記に示す。
【0254】
〈PU−14〉
重量平均分子量17,000、分子量分布2.4
5,6−difluoro−2,3−dihydro−1H−indene−1,3−diamine
5,6−difluoro−2,3−dihydro−1H−indene−1,3−diisothiocyanate
(実施例5):樹脂組成物膜の作製(1)
窒素雰囲気下、ポリウレアまたはポリチオウレアをNMPに溶解し、反応液を0℃に冷却した。ポリウレアの重量平均分子量に対して当モルのマクロモノマーをNMPに溶解し、反応液に添加した。添加後、0℃で1時間攪拌した後、内温を徐々に70℃まで昇温し、更に3時間攪拌を行った。得られた反応液をメタノールに滴下し、上澄みをデカンで除去し、真空乾燥させることにより、樹脂組成物−1〜9を得た。重量平均分子量及び分子量分布は、GPCの測定を上記と同様に行い、ポリスチレン換算で求めた。
【0255】
これらの得られた樹脂組成物を、あらかじめ表面にアルミ蒸着済みの25μmのポリイミドフィルムに、1%の重合度500のポリビニルアルコールのメタノール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに成るように塗布乾燥を行った基盤上に、乾燥膜圧が7μmになるように塗布乾燥を行った。次に、このようにして樹脂組成物の膜が形成された基板の表面にアルミ電極を蒸着で取り付けたあとで、高圧電源装置HARB−20R60(松定プレシジョン(株)製)を用いて、100MV/mの電場を印加した状態で、200℃まで5℃/minの割合で上昇し、200℃で15分間保持したあとで電圧は印加したままで室温まで徐冷し、ポーリング処理を施し樹脂組成物膜−1〜9を作製した。なお、当該樹脂組成物膜は電極を具備しているので超音波振動子と使用可能のものである。以下同様。
【0256】
(比較例1):比較樹脂組成物膜−1の作製
実施例4の樹脂組成物膜−5で使用したマクロモノマーと同じ原料である、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールを1:2のモル比で使用し、以下の操作を行った。
【0257】
窒素雰囲気下、ポリウレア(PU−1)をNMPに溶解し、反応液を0℃に冷却した。PU−1の重量平均分子量に対して当モルの9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、2倍モルの2−(2−アミノエトキシ)エタノールを夫々NMPに溶解し、反応液へ同時に添加した。添加後、0℃で1時間攪拌した後、内温を徐々に70℃まで昇温し、更に3時間攪拌を行った。NMPに不溶な成分をろ過で除いた後、反応液をメタノールに滴下し、上澄みをデカンで除去した。残渣を真空乾燥させることにより、比較樹脂組成物−1を得た。重量平均分子量及び分子量分布は、GPCの測定を上記と同様に行い、ポリスチレン換算で求めた。
【0258】
得られた樹脂組成物を、あらかじめ表面にアルミ蒸着済みの25μmのポリイミドフィルムに、1%の重合度500のポリビニルアルコールのメタノール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに成るように塗布乾燥を行った基盤上に、乾燥膜圧が7μmになるように塗布乾燥を行った。次に、このようにして樹脂組成物の膜が形成された基板の表面にアルミ電極を蒸着で取り付けたあとで、高圧電源装置HARB−20R60(松定プレシジョン(株)製)を用いて、100MV/mの電場を印加した状態で、200℃まで5℃/minの割合で上昇し、200℃で15分間保持したあとで電圧は印加したままで室温まで徐冷し、ポーリング処理を施し比較樹脂組成物膜−1を作製した。
【0259】
(比較例2):比較樹脂組成物膜−2の作製
マクロモノマーとして、分子量2,000のポリエチレングリコール(PEG2,000)を使用し、実施例4と同様の操作で比較樹脂組成膜−2を作製した。
【0260】
(比較例3):比較樹脂組成物膜−3の作製
窒素雰囲気下、二塩化テレフタロイルをNMPに溶解させ、反応液を0℃に冷却した。二塩化テレフタロイルと当モルの3,5−ジアミノ安息香酸を溶解したNMPを加え、反応液を室温まで戻して1時間攪拌した。更に同量の二塩化テレフタロイルをNMPに溶解して添加し、15分間攪拌を行うことにより、末端基が酸ハライドを有するポリアミド(A)のNMP溶液を得た。
【0261】
ポリアミド(A)のNMP溶液を0℃に冷却し、NMPに溶解したマクロモノマー(M−38)を添加した。添加後、0℃で1時間攪拌した後、内温を徐々に70℃まで昇温し、更に3時間攪拌を行った。得られた反応液をメタノールに滴下し、上澄みをデカンで除去し、真空乾燥させることにより、比較樹脂組成物−3を得た。
【0262】
得られた樹脂組成物を、あらかじめ表面にアルミ蒸着済みの25μmのポリイミドフィルムに、1%の重合度500のポリビニルアルコールのメタノール溶液を乾燥膜圧が0.1μmに成るように塗布乾燥を行った基盤上に、乾燥膜圧が7μmになるように塗布乾燥を行った。次に、このようにして樹脂組成物の膜が形成された基板の表面にアルミ電極を蒸着で取り付けたあとで、高圧電源装置HARB−20R60(松定プレシジョン(株)製)を用いて、100MV/mの電場を印加した状態で、200℃まで5℃/minの割合で上昇し、200℃で15分間保持したあとで電圧は印加したままで室温まで徐冷し、ポーリング処理を施し比較樹脂組成物膜−3を作製した。
【0263】
(比較例4):比較樹脂組成物膜−4の作製
実施例3のポリウレア(PU−57)に使用した2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの代わりに2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを用いた以外は、同様の操作を行い、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン(A)を得た。
【0264】
得られたポリウレタン(A)をポリウレアの代わりとして使用し、実施例4と同様の操作により比較樹脂組成物膜−4を得た。
【0265】
(実施例6):樹脂組成物膜の評価
得られた上記各種樹脂組成物膜を超音波振動子として、共振法にて圧電性の評価を室温と、100℃まで加熱した状態で行った。なお圧電特性は、PVDF膜の室温で測定した時の値を100%とした相対値として示す。
【0266】
上記測定結果等をまとめて表2に示す。
【0267】
【表2】

【0268】
表2に示した結果から明らかなように、本発明の、ポリウレアとマクロモノマー用いて形成された樹脂組成物より形成された有機圧電体膜の圧電特性は、比較例に比べ優れていることが分かる。
【0269】
(実施例7)
(超音波探触子の作製と評価)
〈送信用圧電材料の作製〉
成分原料であるCaCO、La、BiとTiO、及び副成分原料であるMnOを準備し、成分原料については、成分の最終組成が(Ca97La03)Bi01Ti15となるように秤量した。次に、純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い仮焼物を作製した。次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。微粉砕においては、微粉砕を行う時間および粉砕条件を変えることにより、それぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉末を得た。それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。次に、上記の成形体を焼成した。最終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。なお、焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
【0270】
〈受信用積層振動子の作製〉
前記実施例1において作製した有機圧電体膜と厚さ50μmのポリエステルフィルムをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた積層振動子を作製した。その後、上記と同様に分極処理をした。
【0271】
次に、常法に従って、上記の送信用圧電材料の上に受信用積層振動子を積層し、かつバッキング層と音響整合層を設置し超音波探触子を試作した。
【0272】
なお、比較例として、上記受信用積層振動子の代わりに、ポリフッ化ビニリデン共重合体のフィルム(有機圧電体膜)のみを用いた受信用積層振動子を上記受信用積層振動子に積層した以外、上記超音波探触子と同様の探触子を作製した。
【0273】
次いで、上記2種の超音波探触子について受信感度と絶縁破壊強度の測定をして評価した。
【0274】
なお、受信感度については、5MHzの基本周波数fを発信させ、受信2次高調波fとして10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めた。受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
【0275】
絶縁破壊強度の測定は、負荷電力Pを5倍にして、10時間試験した後、負荷電力を基準に戻して、相対受信感度を評価した。感度の低下が負荷試験前の1%以内のときを良、1%を超え10%未満を可、10%以上を不良として評価した。
【0276】
上記評価において、本発明に係る受信用圧電(体)積層振動子を具備した超音波探触子は、比較例に対して約1.2倍の相対受信感度を有しており、かつ絶縁破壊強度は良好であることを確認した。すなわち、本発明の超音波受信用振動子は、図1に示したような超音波医用画像診断装置に用いる探触子にも好適に使用できることが確認された。
【符号の説明】
【0277】
1 受信用圧電材料(膜)
2 支持体
3 送信用圧電材料(膜)
4 バッキング層
5 電極
6 音響レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子のうちのいずれかの原子を含む少なくとも二種の結合を有するマクロモノマーとポリウレアの重合反応により形成された重合体であって、ガラス転移温度が100〜180℃の範囲内である重合体を含有したことを特徴とする有機圧電材料。
【請求項2】
前記重合体が、その主鎖に脂肪族環を有することを特徴とする請求項1に記載の有機圧電材料。
【請求項3】
前記マクロモノマーの化学構造における末端の少なくとも一箇所が、重合性官能基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機圧電材料。
【請求項4】
前記有機圧電材料の電気機械結合定数が、0.20以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
【請求項5】
前記有機圧電材料が、電場、又は電場と磁場の併用により分極処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機圧電材料。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機圧電材料と電極とを有することを特徴とする超音波振動子。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波振動子を具備することを特徴とする超音波探触子。
【請求項8】
前記超音波振動子が、受信用超音波振動子であることを特徴とする請求項7に記載の超音波探触子。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の超音波探触子を具備することを特徴とする超音波医用画像診断装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−219483(P2010−219483A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67681(P2009−67681)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】