説明

有機性廃棄物供給装置

【課題】 低い消費エネルギで安定した有機性廃棄物の供給が可能な有機性廃棄物供給装置を提供する。
【解決手段】 供給装置1においては、離間部分Sをもって並設された導入ローラ13,14が離間部分Sに有機性廃棄物を導き入れる方向に回転することで、分別室2への有機性廃棄物の供給が達成される。このとき、導入ローラ13(14)に付着した回収袋等は、スクレーパ23(24)により剥ぎ取られる。そして、スクレーパ23(24)と導入ローラ13(14)の周面との間に入り込んだ回収袋等は、スクレーパ23(24)と凹部13a(14a)との協働によって切断される。このように、各導入ローラ13,14に回収袋等が絡みつくのを防止することができるため、各回転軸15,16の駆動トルクを低く設定することが可能になる。したがって、低い消費エネルギで安定した有機性廃棄物の供給が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の供給先に対して有機性廃棄物の供給を行う有機性廃棄物供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種の供給装置としては、例えば、特許文献1に記載された定量供給機がある。この定量供給機は、有機性廃棄物から異物を除去するための異物分離装置の投入口に設置されており、この投入口に有機性廃棄物を送り込むように回転する一対の回転体(突起支持体)を有している。そして、有機性廃棄物は一般的に袋詰にされて回収されるため、各回転体には、回収袋を破袋するための多数の突起が一体的に取り付けられている。これにより、有機性廃棄物が各回転体間を通過する際に回収袋が破られることとなり、異物分離装置においては、有機性廃棄物から異物である回収袋を確実に取り除くことが可能になる。
【特許文献1】特開2002−177888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の定量供給機にあっては、多数の突起によって破袋された回収袋や、或いはウェス、ビニール紐等の異物が各回転体に絡みついてしまうという課題があった。そして、絡みついた回収袋等を起因として様々な異物がさらに絡みつき、最悪の場合には、各回転体間が閉塞されて定量供給機の運転が停止してしまう事態が生じていた。このような事態を防止するためには、各回転体の駆動トルクを高く設定しておく必要があるが、この場合には、定量供給機による消費エネルギが大きくなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低い消費エネルギで安定した有機性廃棄物の供給が可能な有機性廃棄物供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る有機性廃棄物供給装置は、所定の供給先に有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給装置であって、供給先に連通する離間部分をもって並設され、離間部分に有機性廃棄物を導き入れる方向に回転する第1及び第2の導入ローラと、第1の導入ローラの周面に付着した有機性廃棄物を剥ぎ取る第1のスクレーパと、第2の導入ローラの周面に付着した有機性廃棄物を剥ぎ取る第2のスクレーパとを備え、第1の導入ローラの第1のスクレーパに対向する部分の周面には、切断刃として機能する第1の凹部が形成され、第2の導入ローラの第2のスクレーパに対向する部分の周面には、切断刃として機能する第2の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0006】
この有機性廃棄物供給装置においては、所定の供給先に連通する離間部分をもって並設された第1及び第2の導入ローラが、その離間部分に有機性廃棄物を導き入れる方向に回転することで、所定の供給先への有機性廃棄物の供給が達成される。このとき、回収袋、ウェス、ビニール紐等の異物が有機性廃棄物に含まれており、これらの回収袋等が各導入ローラに付着したとしても、各導入ローラにはスクレーパが対向して配置されているため、各導入ローラの周面に付着した回収袋等はスクレーパによって剥ぎ取られることになる。そして、スクレーパと導入ローラの周面との間に回収袋等が入り込んだとしても、各導入ローラのスクレーパに対向する部分の周面には切断刃として機能する凹部が形成されているため、スクレーパと凹部との協働によって回収袋等は切断されることになる。このように、各導入ローラに回収袋等が絡みつくのを防止することができるため、回収袋に入った有機性廃棄物によって、供給装置の離間部分や、その下部が閉塞されることがなく、安定した定量供給が可能となり、また、各導入ローラの駆動トルクを低く設定することが可能になる。したがって、低い消費エネルギで安定した有機性廃棄物の供給が可能になる。なお、単に「有機性廃棄物」といった場合は、回収袋、ウェス、ビニール紐、空き缶等の異物を含んだ状態の有機性廃棄物を意味する。
【0007】
また、第1の凹部は、第1の導入ローラの第1のスクレーパに対向する部分の周面において、第1の導入ローラの軸線回りに複数形成され、第2の凹部は、第2の導入ローラの第2のスクレーパに対向する部分の周面において、第2の導入ローラの軸線回りに複数形成されていることが好ましい。これにより、スクレーパには、導入ローラが1回転する間に切断刃として機能する凹部が複数回対向することになる。したがって、スクレーパと導入ローラの周面との間に入り込んだ回収袋等を直ちに切断することが可能になる。
【0008】
また、第1の凹部は、第1の導入ローラの第1のスクレーパに対向する部分の周面において、第1の導入ローラの軸線方向に沿って延在する溝であり、第2の凹部は、第2の導入ローラの第2のスクレーパに対向する部分の周面において、第2の導入ローラの軸線方向に沿って延在する溝であることが好ましい。これにより、導入ローラのスクレーパに対向する部分の周面においては、切断刃として機能する溝が導入ローラの軸線方向に沿って連続することになる。このような構成を採用することで、スクレーパと凹部との協働による回収袋等の切断をより確実なものとすることができる。
【0009】
また、第1の導入ローラに形成された溝は、第1の導入ローラの軸線方向に対して傾斜する方向に延在し、第2の導入ローラに形成された溝は、第2の導入ローラの軸線方向に対して傾斜する方向に延在することが好ましい。これにより、スクレーパによって導入ローラの周面に押し付けられた回収袋等には、切断刃として機能する溝が角度をもって押し当てられ、スクレーパと導入ローラの周面との間に入り込んだ回収袋等は、少しずつ連続的に切断されることになる。したがって、切断により導入ローラに生じる負荷を軽減することができ、導入ローラの駆動トルクをより低く設定することが可能になる。さらに、切断により溝やスクレーパに生じる負荷も軽減されることから、これらの破損防止や長寿命化を図れる。
【0010】
また、第1の導入ローラの周面から突出するよう設けられ、有機性廃棄物を引っ掛ける第1の爪部材と、第2の導入ローラの周面から突出するよう設けられ、有機性廃棄物を引っ掛ける第2の爪部材とを備えることが好ましい。これにより、第1及び第2の導入ローラ間の離間部分に有機性廃棄物を確実に導き入れることができ、所定の供給先に有機性廃棄物を定量的に供給することが可能になる。しかも、有機性廃棄物が袋詰にされている場合は、この爪部材によって回収袋を破袋することが可能になる。
【0011】
また、第1の爪部材は、第1の導入ローラの軸線方向に沿って複数設けられ、第2の爪部材は、第2の導入ローラの軸線方向に沿って第1の爪部材と互い違いに複数設けられ、互いに隣り合う第1の爪部材と第2の爪部材とは、第1及び第2の導入ローラの軸線方向において離間していることが好ましい。このような構成によって、例えば、空き缶等の金属製の異物が有機性廃棄物に含まれていても、この種の異物は、互いに隣り合う第1の爪部材と第2の爪部材との間を通過することになる。このように金属製の異物を通過させることができるため、爪部材等の破損防止や長寿命化を図れ、しかも、金属製の異物を潰したり、切断したりするような場合に比べ、導入ローラの駆動トルクをより低く設定することも可能になる。
【0012】
また、第1のスクレーパは、第1の導入ローラの周面に対して進退自在であり、第2のスクレーパは、第2の導入ローラの周面に対して進退自在であることが好ましい。これにより、回収袋等の厚さに応じて、スクレーパと導入ローラの周面との間の間隙を調節することが可能になる。さらに、長期間の使用によって、例えばスクレーパが変形してしまった場合には、導入ローラの周面に対するスクレーパの位置を適宜調節して、スクレーパと凹部との協働による回収袋等の切断機能を維持させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る有機性廃棄物供給装置によれば、低い消費エネルギで安定した有機性廃棄物の供給が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る有機性廃棄物供給装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、有機性廃棄物供給装置10は、分別装置1の分別室(所定の供給先)2に対して、主に回収袋に袋詰にされた生ゴミ等の有機性廃棄物を供給する装置である。
【0015】
有機性廃棄物供給装置10の説明に先立ち、分別装置1について簡単に説明する。分別装置1は、供給装置10により供給された有機性廃棄物から、回収袋、ウェス、ビニール紐、空き缶等の異物を分離して除去する装置である。図1及び図2に示すように、分別装置1の分別室2は筒形状であり、その一端部には、上方に向かって開口する投入口2aが設けられている。また、分別室2の下側周壁2bには、多数の細孔(図示せず)が設けられている。このように形成された分別室2内には、駆動モータ3により矢印A方向に回転駆動される回転軸4が掛け渡され、この回転軸4には、90度毎に回転板5が取り付けられている。各回転板5の先端部にはゴム板6が取り付けられ、回転軸4が回転した際には、各ゴム板6が下側周壁2bの内面を摺動する。
【0016】
このように構成された分別室2においては、供給装置10により投入口2aから送り込まれた有機性廃棄物が、各回転板5により分別室2内を回転させられることになる。これにより、異物が除去された有機性廃棄物は粉砕されてスラリー状となり、下側周壁2bの細孔から分別室2外に放出される。一方、有機性廃棄物に含まれていた回収袋等の異物は、分別室2内の上部空間において三ヶ月形案内翼2c及び気流により分別室2の他端側へ圧送される。
【0017】
分別室2において分別された回収袋等の異物は、図1に示すように、異物排出口7へと移送された後、必要に応じてさらに分別されて埋立或いは焼却等により処分される。一方、分別室2から放出されたスラリー状の有機性廃棄物は、分別室2の下方に設置されたスラリー移送機8により移送され、スラリー排出口9を介してスラリータンク(図示せず)に貯留される。このようにして異物が除去された有機性廃棄物は、バイオガス(メタンガス)を回収するために利用され、有機性廃棄物の資源化が図られている。
【0018】
続いて、有機性廃棄物供給装置10について詳細に説明する。図2に示すように、供給装置10は、投入口2aを覆うように分別室2に固定されたハウジング11を有し、このハウジング11の上端部には、主に回収袋に袋詰にされた生ゴミ等の有機性廃棄物が投入される受ホッパ12が取り付けられている。この受ホッパ12の下端の開口部には、投入口2aに連通する離間部分Sをもって並設された第1の導入ローラ13及び第2の導入ローラ14が臨んでいる。
【0019】
図3に示すように、第1の導入ローラ13は、軸線L1上においてハウジング11に軸支された第1の回転軸15に複数固定されている。一方、第2の導入ローラ14は、軸線L1と平行な軸線L2上においてハウジング11に軸支された第2の回転軸16に複数固定されている。図2に示すように、第1の導入ローラ13の軸穴及び第1の回転軸15の取付部15aの断面形状は正六角形状であるため、第1の導入ローラ13と第1の回転軸15との一体的な回転が確保される。同様に、第2の導入ローラ14の軸穴及び第2の回転軸16の取付部16aの断面形状は正六角形状であるため、第2の導入ローラ14と第2の回転軸16との一体的な回転が確保される。
【0020】
これらの回転軸15,16には、図3に示すように、ハウジング11の外側においてその側壁に固定されたギヤドモータ17がそれぞれ接続されている。これにより、第1の導入ローラ13は矢印B方向に回転し、第2の導入ローラ14は矢印C方向に回転することになる(図2参照)。このように、各導入ローラ13,14が受ホッパ12内の有機性廃棄物を離間部分Sに導き入れる方向に回転することで、投入口2aを介した分別室2への有機性廃棄物の供給が達成される。
【0021】
さらに、第1の回転軸15には、4つの第1の爪部材19(図3の斜線部分)と4つのスペーサ20とが第1の導入ローラ13を挟みながら軸線L1方向において交互に配置され固定されている。一方、第2の回転軸16には、4つの第2の爪部材21(図3の斜線部分)と4つのスペーサ20とが第2の導入ローラ14を挟みながら軸線L2方向において交互に配置され固定されている。
【0022】
図2に示すように、第1の爪部材19は、第1の導入ローラ13の周面から突出する鉤爪部19aを、軸線L1を中心として120度毎に3つ有している。この鉤爪部19aの先端は、第1の爪部材19の回転方向(矢印B方向)に湾曲している。一方、第2の爪部材21は、第2の導入ローラ14の周面から突出する鉤爪部21aを、軸線L2を中心として120度毎に3つ有している。この鉤爪部21aの先端は、第2の爪部材21の回転方向(矢印C方向)に湾曲している。なお、各回転軸15,16における各爪部材19,21の数量、及び各爪部材19,21における鉤爪部19a,21aの数量は、上述の数量に限定されるものではない。
【0023】
このようにして形成された第1及び第2の爪部材19,21により、図4に示すように、受ホッパ12内の有機性廃棄物Gを引っ掛けて、各導入ローラ13,14間の離間部分Sに有機性廃棄物Gを確実に導き入れることができ、分別室2に有機性廃棄物Gを定量的に供給することが可能になる。しかも、第1及び第2の爪部材19,21を設けることで、有機性廃棄物Gが収容された回収袋を破袋して分別室2に供給することができ、分別装置1においては、有機性廃棄物Gから異物である回収袋等を確実に取り除くことが可能になる。
【0024】
そして、図3に示すように、第1の回転軸15の各爪部材19と第2の回転軸16の各爪部材21とは互い違いとなるよう配置され、第1の爪部材19は第2の回転軸16の各スペーサ20にそれぞれ対向し、第2の爪部材21は第1の回転軸15の各スペーサ20にそれぞれ対向する。これにより、互いに隣り合う第1の爪部材19と第2の爪部材21とは、軸線L1(L2)方向において離間することになる。
【0025】
このような構成によって、例えば、空き缶等の金属製の異物が有機性廃棄物Gに含まれていても、この種の異物は、互いに隣り合う第1の爪部材19と第2の爪部材21との間を通過することになる。このように、金属製の異物を通過させることができるため、各爪部材19,21の破損防止や長寿命化を図れる。しかも、金属製の異物を潰したり、切断したりするような場合に比べ、第1及び第2の回転軸15,16の駆動トルクを低く設定することが可能になる。
【0026】
ここで、図5は、第1の回転軸15に対する第1の爪部材19の固定状態、及び第2の回転軸16に対する第2の爪部材21の固定状態を示す配列図であり、上段から下段へという順序で各回転軸15,16に固定されているものとする。同図に示すように、第1の爪部材19のそれぞれには、断面形状が正六角形状の軸穴が軸線L1を中心として30度ずつ位相をずらして形成されており、これにより、各爪部材19は30度ずつ位相がずれた状態で第1の回転軸15に固定される。同様に、第2の爪部材21のそれぞれには、断面形状が正六角形状の軸穴が軸線L2を中心として30度ずつ位相をずらして形成されており、これにより、各爪部材21は30度ずつ位相がずれた状態で第2の回転軸16に固定される。
【0027】
したがって、各爪部材19,21の鉤爪部19a,21aにより有機性廃棄物Gが引っ掛けられるタイミングがずらされて、第1及び第2の回転軸15,16に生じる負荷が平均化される。よって、第1及び第2の回転軸15,16の駆動トルクを低く設定することが可能になる。しかも、分別室2への有機性廃棄物Gの供給むらが抑制されて、さらなる定量供給化が促進される。また、第1及び第2の爪部材19,21の軸穴の断面形状は正六角形状であるため、第1及び第2の導入ローラ13,14と同様に、第1の爪部材19と第1の回転軸15との一体的な回転、及び第2の爪部材21と第2の回転軸16との一体的な回転が確保される。
【0028】
さらに、図2に示すように、ハウジング11には、第1の導入ローラ13のそれぞれの下方において各導入ローラ13に対向する第1のスクレーパ23と、第2の導入ローラ14のそれぞれの下方において各導入ローラ14に対向する第2のスクレーパ24とが取り付けられている。第1のスクレーパ23は、その先端が離間部分S側に傾倒した状態で、第1の導入ローラ13の周面と10μm程度の微小間隙をもって固定ボルト25により固定されている。同様に、第2のスクレーパ24は、その先端が離間部分S側に傾倒した状態で、第2の導入ローラ14の周面と10μm程度の微小間隙をもって固定ボルト25により固定されている。なお、固定ボルト25を緩めた状態において調節ボルト26を回転させれば、第1のスクレーパ23は第1の導入ローラ13の周面に対して、また、第2のスクレーパ24は第2の導入ローラ14の周面に対して進退させることができる。
【0029】
そして、図3に示すように、第1の導入ローラ13の周面には、軸線L1方向に対して傾斜する方向に延在する溝(第1の凹部)13aが軸線L1回りに多数形成されている。これらの溝13aにおいて、第1の導入ローラ13の周面とにより形成されるエッジ部分は切断刃として機能する。一方、第2の導入ローラ14の周面には、軸線L2方向に対して傾斜する方向に延在する溝(第2の凹部)14aが軸線L2回りに多数形成されている。これらの溝14aにおいても、第2の導入ローラ14の周面とにより形成されるエッジ部分は切断刃として機能する。
【0030】
上述した第1及び第2のスクレーパ23,24によって、図6に示すように、各導入ローラ13,14の周面に付着した回収袋、ウェス、ビニール紐等の異物を含んだ有機性廃棄物Gは剥ぎ取られることになる。また、図7に示すように、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の溝13aとの協働によって、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の周面との間に入り込んだ回収袋等は切断されることになる。同様に、第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の溝14aとの協働によって、第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の周面との間に入り込んだ回収袋等は切断されることになる。このようにして、第1及び第2の導入ローラ13,14に回収袋等が絡みつくのを防止することができるため、第1及び第2の回転軸15,16の駆動トルクを低く設定することが可能になる。したがって、低い消費エネルギで安定した有機性廃棄物Gの供給が可能になる。
【0031】
また、各導入ローラ13,14において、溝13aは軸線L1回りに複数形成され、溝14aは軸線L2回りに複数形成されている(図3参照)。これにより、第1のスクレーパ23には、第1の回転軸15が1回転する間に切断刃として機能する溝13aが複数回対向し、一方、第2のスクレーパ24には、第2の回転軸16が1回転する間に切断刃として機能する溝14aが複数回対向することになる。したがって、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の周面との間や、第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の周面との間に入り込んだ回収袋等を直ちに切断することが可能になる。
【0032】
また、各溝13a,14aは、軸線L1,L2方向に対して傾斜する方向に延在している(図3参照)。これにより、溝13aは、第1のスクレーパ23と対向する部分において軸線L1方向に沿って連続し、溝14aは、第2のスクレーパ24と対向する部分において軸線L2方向に沿って連続することになる。したがって、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の溝13aとの協働による回収袋等の切断、及び第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の溝14aとの協働による回収袋等の切断をより確実なものとすることができる。
【0033】
しかも、第1のスクレーパ23によって第1の導入ローラ13の周面に押し付けられた回収袋等には、切断刃として機能する溝13aが角度をもって押し当てられることになる。同様に、第2のスクレーパ24によって第2の導入ローラ14の周面に押し付けられた回収袋等には、切断刃として機能する溝14aが角度をもって押し当てられることになる。これにより、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の周面との間や、第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の周面との間に入り込んだ回収袋等は、少しずつ連続的に切断されることになる。したがって、切断により第1及び第2の回転軸15,16に生じる負荷を軽減することができ、各回転軸15,16の駆動トルクをより低く設定することが可能になる。さらに、切断により各溝13a,14aや各スクレーパ23,24に生じる負荷も軽減されることから、これらの破損防止や長寿命化を図れる。
【0034】
また、第1のスクレーパ23は、第1の導入ローラ13の周面に対して進退自在であり、第2のスクレーパ24は、第2の導入ローラ14の周面に対して進退自在である。これにより、付着する回収袋等の厚さに応じて、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の周面との間の間隙、及び第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の周面との間の間隙を調節することが可能になる。さらに、長期間の使用によって、例えば各スクレーパ23,24が変形してしまった場合には、各導入ローラ13,14の周面に対する各スクレーパ23,24の位置を適宜調節して、第1のスクレーパ23と第1の導入ローラ13の溝13aとの協働による回収袋等の切断機能、及び第2のスクレーパ24と第2の導入ローラ14の溝14aとの協働による回収袋等の切断機能を維持させることができる。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、導入ローラ13,14に溝13a,14aを形成することによって切断刃を構成したが、例えば、導入ローラに多数の断面円形状の凹部を形成することによって切断刃を構成してもよい。また、切断刃として機能する凹部は、1つであっても、スクレーパとの協働によって、スクレーパと導入ローラの周面との間に入り込んだ回収袋等を切断することができる。逆に、切断刃として機能する小さな凹部を多数形成して、導入ローラの周面をヤスリ目状にしても、スクレーパと導入ローラの周面との間に入り込んだ回収袋等を切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る有機性廃棄物供給装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示した有機性廃棄物供給装置の要部を示す断面図である。
【図3】図1に示した有機性廃棄物供給装置の要部を示す平面図である。
【図4】図1に示した有機性廃棄物供給装置において有機性廃棄物が離間部分に導き入れられている状況を示す概念図である。
【図5】第1の回転軸に対する第1の爪部材の固定状態、及び第2の回転軸に対する第2の爪部材の固定状態を示す配列図である。
【図6】図1に示した有機性廃棄物供給装置において導入ローラの周面に付着した回収袋等が剥ぎ取られている状況を示す概念図である。
【図7】図1に示した有機性廃棄物供給装置においてスクレーパと導入ローラの周面との間に入り込んだ回収袋等が切断されている状況を示す概念図である。
【符号の説明】
【0037】
2…分別室(所定の供給先)、10…有機性廃棄物供給装置、13…第1の導入ローラ、13a…溝(第1の凹部)、14…第2の導入ローラ、14a…溝(第2の凹部)、15…第1の回転軸、16…第2の回転軸、19…第1の爪部材、21…第2の爪部材、23…第1のスクレーパ、24…第2のスクレーパ、G…有機性廃棄物、L1,L2…軸線、S…離間部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の供給先に有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給装置であって、
前記供給先に連通する離間部分をもって並設され、前記離間部分に前記有機性廃棄物を導き入れる方向に回転する第1及び第2の導入ローラと、
前記第1の導入ローラの周面に付着した前記有機性廃棄物を剥ぎ取る第1のスクレーパと、
前記第2の導入ローラの周面に付着した前記有機性廃棄物を剥ぎ取る第2のスクレーパとを備え、
前記第1の導入ローラの前記第1のスクレーパに対向する部分の周面には、切断刃として機能する第1の凹部が形成され、
前記第2の導入ローラの前記第2のスクレーパに対向する部分の周面には、切断刃として機能する第2の凹部が形成されていることを特徴とする有機性廃棄物供給装置。
【請求項2】
前記第1の凹部は、前記第1の導入ローラの前記第1のスクレーパに対向する部分の周面において、前記第1の導入ローラの軸線回りに複数形成され、
前記第2の凹部は、前記第2の導入ローラの前記第2のスクレーパに対向する部分の周面において、前記第2の導入ローラの軸線回りに複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物供給装置。
【請求項3】
前記第1の凹部は、前記第1の導入ローラの前記第1のスクレーパに対向する部分の周面において、前記第1の導入ローラの軸線方向に沿って延在する溝であり、
前記第2の凹部は、前記第2の導入ローラの前記第2のスクレーパに対向する部分の周面において、前記第2の導入ローラの軸線方向に沿って延在する溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性廃棄物供給装置。
【請求項4】
前記第1の導入ローラに形成された溝は、前記第1の導入ローラの軸線方向に対して傾斜する方向に延在し、
前記第2の導入ローラに形成された溝は、前記第2の導入ローラの軸線方向に対して傾斜する方向に延在することを特徴とする請求項3に記載の有機性廃棄物供給装置。
【請求項5】
前記第1の導入ローラの周面から突出するよう設けられ、前記有機性廃棄物を引っ掛ける第1の爪部材と、
前記第2の導入ローラの周面から突出するよう設けられ、前記有機性廃棄物を引っ掛ける第2の爪部材とを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機性廃棄物供給装置。
【請求項6】
前記第1の爪部材は、前記第1の導入ローラの軸線方向沿って複数設けられ、
前記第2の爪部材は、前記第2の導入ローラの軸線方向に沿って前記第1の爪部材と互い違いに複数設けられ、
互いに隣り合う前記第1の爪部材と前記第2の爪部材とは、前記第1及び前記第2の導入ローラの軸線方向において離間していることを特徴とする請求項5に記載の有機性廃棄物供給装置。
【請求項7】
前記第1のスクレーパは、前記第1の導入ローラの周面に対して進退自在であり、
前記第2のスクレーパは、前記第2の導入ローラの周面に対して進退自在であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機性廃棄物供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−93559(P2008−93559A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277915(P2006−277915)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】