説明

有機素材を光から保護する方法

本発明は、特に医薬品、食品、および栄養分野からの有機素材を光から保護する方法に関し、該方法は、式(1)の色素および式(2)の色素ならびにUV吸収剤、場合により更なる色素の配合物を担体材料に塗布または組み込むことと、そのように処理した担体材料を光源と保護される有機素材との間に配置することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日光(「可視光」)、そして特に人工光が引き起こす損傷から有機素材を保護する方法に関する。
【0002】
有機素材、例えば医薬、または特に食品および栄養分野からの有機素材、例えば野菜、果物、肉は、特に日光の短波長範囲(500nmまで)およびUV範囲における光照射に感受性がある有機物質を含有する。
【0003】
日光および人工光のスペクトルは異なる。例えばネオン管のスペクトルでは、250〜400nmのUVの割合は日光と比較すると小さいが、400〜500nmの吸光(約480nm(青色領域)で最大)を有する光の割合は、日光の場合よりも著しく大きい。
【0004】
多くの食料品、例えば果物、肉、牛乳、ビール、キノコは、UV光ならびに500nmまでの日光に非常に感受性があることが知られているビタミンB2を含有している。ビタミンB2は、リボフラビンの名称でも知られており、特に卵、牛乳、レバー、チーズ、および魚に高濃度で存在する。
【0005】
【化7】

【0006】
リボフラビンの光感受性が、例えば牛乳が主として光を透過しないテトラパックまたは白く着色された瓶に保管され販売される理由の1つでもある。
【0007】
光からの保護のためのUV吸収剤の使用は、食品業界ではそれ自体公知である。しかし、市販のUV吸収剤は、約300〜400nmのスペクトル範囲でのみ有効であり、同じようにクリティカルな400〜500nmのスペクトル範囲では有効でないことが示されている。
【0008】
したがって、クリティカルなスペクトル範囲全体にわたる、光の損傷作用からの有機素材のより優れた保護への要求がなお存在する。
【0009】
予期しないことに、本発明の方法が、先に述べた基準を実質的に満たすことが見出された。
【0010】
したがって、本発明は、有機素材、特に食品および栄養分野からの有機素材を光から保護する方法に関し、この方法は、担体材料に、式(1):
【0011】
【化8】

【0012】
で示される色素と、式(2):
【0013】
【化9】

【0014】
で示される色素と、UV吸収剤と、場合により更なる色素との配合物を塗布するか、または組み込むこと、および、
そのように処理された担体材料を光源と保護される有機素材との間に配置すること、
を含む。
【0015】
式(1)および(2)の色素に加えて、他の色素も本発明の配合物に存在させることができる。
【0016】
式(1)および(2)の色素ならびに式(3):
【0017】
【化10】

【0018】
で示される色素ならびにUV吸収剤の配合物が好ましい。
【0019】
担体材料と混合されるか、または担体材料に塗布されて使用する配合物の量は、幅広い範囲で変化しうる。概して、担体材料に基づいて0.001〜5重量%、特に0.01〜2重量%、とりわけ0.03〜0.5重量%の量が有利であると判明した。
【0020】
本発明の方法に適するUV吸収剤は、特に、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、置換もしくは非置換安息香酸のエステル、アクリレート、オキサミド、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、レゾルシノールのモノベンゾエートまたはホルムアミジンのクラスの化合物、ならびに25℃で1200〜1400、好ましくは1300〜1350の比重量を有する、式(4):
【0021】
【化11】

【0022】
で示されるポリエステルUV吸収剤である。
【0023】
2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールのクラスからは、例えば,2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラ−メチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’、5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソ−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換反応生成物;(R−CHCH−COO−CHCH−(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル);2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;および2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0024】
2−ヒドロキシベンゾフェノンのクラスからは、例えば、4−ヒドロキシ誘導体、4−メトキシ誘導体、4−オクチルオキシ誘導体、4−デシルオキシ誘導体、4−ドデシルオキシ誘導体、4−ベンジルオキシ誘導体、4,2’,4’−トリヒドロキシ誘導体および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体が挙げられる。
【0025】
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのクラスからは、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジンおよび2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
【0026】
オキサミドのクラスからは、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エチルオキサニリドおよび2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブトキサニリドとのその混合物、ならびにo−およびp−メトキシ−2置換オキサニリドの混合物そしてo−およびp−エトキシ−2置換オキサニリドの混合物が挙げられる。
【0027】
置換もしくは非置換安息香酸のエステルとしては、例えば、4−tert−ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートおよび2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートが挙げられる。
【0028】
アクリレートのクラスからは、例えば、エチルα−シアノ−β,β−ジ−フェニルアクリレート、イソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチルα−メトキシカルボニルシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチルα−メトキシカルボニル−p−メトキシシンナメートおよびN−(β−メトキシカルボニル−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンが挙げられる。
【0029】
モノベンゾエートレゾルシノールは、例えば、式(5):
【0030】
【化12】

【0031】
で示される化合物である。
【0032】
ホルムアミジンは、例えば、式(6):
【0033】
【化13】

【0034】
で示される化合物である。
【0035】
UV吸収剤として、例えば、米国特許第6,207,740号、国際公開公報第02/14418号、欧州特許公開第0 350 386号、米国特許第4,661,566号、米国特許第4,749,772号、および欧州特許公開第0 272 692号に記載されているような、活性メチン化合物、例えば非置換もしくは置換マロネートエステルを含む組成物も使用できる。
【0036】
以下のUV吸収剤およびその混合物も、本発明の方法において使用できる;ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−[4−(2−シアノ−3−エトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)−2−メトキシフェニル]−ω−ヒドロキシ−およびポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−[4−(2−シアノ−3−エトキシ−3−オキソ−1−プロペニル)フェニル]−ω−ヒドロキシ−。
【0037】
本発明によって使用される配合物は、好ましくは、式(7):
【0038】
【化14】

【0039】
(式中、
は、水素またはハロゲン、好ましくは塩素であり、
は、C〜C12アルキル、好ましくは、非置換であるかまたはフェニルで置換されているC〜Cアルキルであり、
は、C〜C12アルキル、好ましくは、非置換であるかまたはフェニルで置換されているC〜Cアルキルである)
で示されるUV吸収剤を含む。
【0040】
またはRとしてのC〜C12アルキルおよびC〜Cアルキルは、直鎖であるか、またはC以上で分岐される。
【0041】
本発明に従って使用される配合物は、特に、式(8)、(9)、(10)および(11):
【0042】
【化15】

【0043】
で示されるUV吸収剤1つ以上を含む。
【0044】
UV吸収剤の量は、幅広い範囲で変化しうる。担体材料の重量に基づいて、有利には0.01〜1.0重量%、特に0.02〜0.6重量%、とりわけ0.05〜0.4重量%のUV吸収剤が使用される。
【0045】
式(1)〜(11)の化合物は公知であり、公知の方法によると、本質的に公知の手法で調製できる。
【0046】
本発明の方法に適する担体材料は、一般に、ガラスあるいは高分子量有機材料で製造された透明なプラスチックフィルムまたはプラスチックシートより成る。
【0047】
プラスチックフィルムまたはプラスチックシートの製造に適する高分子量有機材料は、極く一般的にはポリマー、例えば特に、ポリエステル(PES、PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリビニルクロライド、エチル−ブチルアクリレート(EBA)、ポリビニルブチレート(PVB)、スチレン/アクリロニトリル(SAN)ならびにアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)である。
【0048】
特に好ましいのは、ポリエステル、ポリメチルメタクリレートおよびポリアミドである。とりわけ好ましいのは、テレフタル酸とグリコール、特にエチレングリコールとの重縮合により得られる線状芳香族ポリエステル、あるいはテレフタル酸と1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリブチレンテレフタレート(PBTP);またポリカーボネート、例えばα,α−ジメチル−4,4−ジヒドロキシ−ジフェニルメタンとホスゲンとから得られるもの、あるいはポリビニルクロリドおよびポリアミドをベースとするポリマー、例えばポリアミド6またはポリアミド6.6である。
【0049】
本発明の方法は例えば、押出機、ロールミルまたは混合もしくは粉砕装置を使用して、式(1)および(2)、そして場合により(3)の色素と、UV吸収剤とを、プラスチックフィルムまたはプラスチックシートを製造するために使用されるプラスチック粒子またはカラーポリマー粒子と共に混合することにより実施され、色素およびUV吸収剤が高分子量材料中に溶解または微細に分散されるという結果を伴う。本発明に従って使用される配合物の色素成分およびUV吸収剤の添加は、同時にまたは連続して行なうことができ、それらを添加する順序は要望どおりに選択される。
【0050】
上記方式で処理されたプラスチック粒子またはカラーポリマー粒子は、次に、それ自体公知の方法により加工され、フィルムまたはシートを形成するか、あるいは成形物、例えば固体もしくは液体物質用の容器、例えば飲料用または医薬製剤(例えば丸剤または滴剤)用の容器もしくは瓶を形成する。
【0051】
色素およびUV吸収剤の混合は、実際の加工工程の直前に、例えば本発明に従って使用される配合物の色素成分、粉状のUV吸収剤および粒状または粉状の高分子量有機材料、そして場合により、追加成分、例えば添加剤も押出機の取り入れゾーンに直接、連続して同時に供給することによっても実施可能であり、成分は加工の直前に混合される。しかし一般に、本発明に従って使用される配合物を高分子量有機材料中にあらかじめ混合することが好ましい。
【0052】
脆化を減少させるために、フィルム製造前にいわゆる可塑剤を高分子量化合物に組み込むことが多くの場合望ましい。可塑剤として、例えばリン酸、フタル酸またはセバシン酸のエステルが使用される。本発明の方法において、本発明に従って使用される配合物の組み込み前または組み込み後に、可塑剤をポリマー中に組み込むことができる。色の各種の色調を実現するために、高分子量有機材料に、式(1)および(2)、そして場合により(3)の色素に加えて、所望の量の更なる色素または他の着色剤も、場合により更なる添加剤、例えばフィラーまたはドライヤーと共に添加することも可能である。
【0053】
本発明の方法の更なる実施態様は、例えば本発明に従って使用される配合物を吹付けまたは塗布することにより、あるいは本発明に従って使用される配合物の色素成分およびUV吸収剤を互に独立に吹付けまたは塗布することにより、ガラスまたは事前に製造された透明プラスチックフィルムを処理することを含み、吹付けまたは塗布は任意の順序で実施される。
【0054】
本発明の方法により処理された先述の材料、特にポリエステルで作られた材料は、非常に良好な使用中の堅牢特性、例えば特に光および高温の光に対する良好な堅牢性により特徴付けられる。
【0055】
本発明は、光からの有機素材の保護における、式(1)および(2)、そして場合により(3)の色素、ならびにUV吸収剤の配合物の使用にも関する。
【0056】
光源と保護される有機素材との間に、本発明の配合物により処理した担体材料を導入するために、各種の方法が使用できる。
【0057】
保護される有機素材は例えば、本発明の配合物で処理されたプラスチックフィルムで封入することができる。本発明に従って製造されたフィルムは、例えば温室を覆うためにも使用できる。更なる可能性は、本発明の配合物を、例えば、ガラス窓、ガラス瓶、医薬製品および医薬製剤の容器またはパッケージに、プラスチック窓に、またはガラスもしくはプラスチックで作られた食器棚扉へ直接塗布すること、あるいはガラスもしくはプラスチックの窓またはガラスもしくはプラスチックで作られた食器棚扉に、本発明の配合物により処理されたプラスチックフィルムを施すことを含む。加えて、直接光源、例えばネオン管には、それへの本発明の配合物の塗布による、または本発明の配合物により処理したプラスチックフィルムの接着による仕上げを施すことができる。
【0058】
以下の実施例を、本発明を説明するために供する。別途示さない限り、部は重量部であり、パーセンテージは重量パーセンテージである。温度はセ氏度で示す。重量部と容量部の間の関係は、グラムと立方センチメートルとの間の関係と同じである。
【0059】
実施例1
ポリエステルグラニュール(PET Arnite D04−300、DSM)1200.00gを130℃で4時間予備乾燥させ、次に
式(1)の色素0.16g、
式(2)の色素0.22g、および式(11):
【0060】
【化16】

【0061】
で示されるUV吸収剤2.4gを「ローラーラック」混合装置内で60回転/分で15分間均質に混合した。
均質な混合物を、6個の加熱ゾーンを有する押出機[二軸スクリュー25mm、(Collin,D−85560,Ebesberg)]で最高温度275℃で押出して、水で冷却し、造粒機[Turb Etuve TE 25、(MAPAG AG,CH−3001,Bern)]で造粒して、次に130℃で4時間乾燥させた。
全般にわたる良好な堅牢特性、特に光および高温の光に対する非常に良好な堅牢性を有する黄褐色に着色したポリエステルグラニュールが得られ、これを公知の方法、例えば、射出成形法、ブロー成形法、押出法または圧延法により加工して、シートまたはフィルムに成形するか、あるいは成形物、例えば固体もしくは液体物質用の容器、例えば飲料用または医薬製剤(例えば丸剤または滴剤)用の容器もしくは瓶に成形した。
【0062】
実施例2
ポリエステルグラニュール(PET Arnite D04−300、DSM)1200.00gを130℃で4時間予備乾燥させ、次に
式(1)の色素0.12g、
式(2)の色素0.18g、
式(3)の色素0.15g、および
式(11)のUV吸収剤2.4gを「ローラーラック」混合装置内で60回転/分で15分間均質に混合した。
均質な混合物を、6個の加熱ゾーンを有する押出機[二軸スクリュー25mm、(Collin,D−85560,Ebesberg)]で最高温度275℃で押出して、水で冷却し、造粒機[Turb Etuve TE 25、(MAPAG AG,CH−3001,Bern)]で造粒して、次に130℃で4時間乾燥させた。
全般にわたる良好な堅牢特性、特に光および高温の光に対する非常に良好な堅牢性を有する緑色に着色したポリエステルグラニュールが得られ、これを公知の方法により加工して、シートまたはフィルムに成形するか、あるいは成形物、例えば固体もしくは液体物質用の容器、例えば飲料用または医薬製剤(例えば丸剤または滴剤)用の容器もしくは瓶に成形した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機素材、特に食品および栄養分野からの有機素材を光から保護する方法であって、
担体材料に、式(1):
【化1】


で示される色素と、式(2):
【化2】


で示される色素と、UV吸収剤と、場合により更なる色素との配合物を塗布するか、または組み込むこと、および、
そのように処理された担体材料を光源と保護される有機素材との間に配置すること、
を含む方法。
【請求項2】
式(1)および(2)の色素に加えて、式(3):
【化3】


で示される色素を使用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
UV吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールのクラス、2−ヒドロキシベンゾフェノンのクラス、置換もしくは非置換安息香酸のエステルのクラス、アクリレートのクラス、オキサミドのクラス、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのクラス、レゾルシノールのモノベンゾエートのクラス、ホルムアミジンのクラスからのUV吸収剤、または25℃で1200〜1400、好ましくは1300〜1350の比重量を有する、式(4):
【化4】


で示されるポリエステルUV吸収剤を使用することを含む、請求項1または2のいずれか記載の方法。
【請求項4】
UV吸収剤として、式(8)、(9)、(10)または(11):
【化5】


で示されるUV吸収剤を使用することを含む、請求項1または2のいずれか記載の方法。
【請求項5】
光からの有機素材の保護における、請求項1記載の式(1)および(2)の色素とUV吸収剤との配合物の使用。
【請求項6】
光からの有機素材の保護における、請求項2記載の式(1)、(2)および(3)の色素とUV吸収剤との配合物の使用。
【請求項7】
UV吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールのクラス、2−ヒドロキシベンゾフェノンのクラス、置換もしくは非置換安息香酸のエステルのクラス、アクリレートのクラス、オキサミドのクラス、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのクラス、レゾルシノールのモノベンゾエートのクラス、ホルムアミジンのクラスからのUV吸収剤、または25℃で1200〜1400、好ましくは1300〜1350の比重量を有する、式(4):
【化6】


で示されるポリエステルUV吸収剤を使用することを含む、請求項5または6のいずれか記載の使用。
【請求項8】
UV吸収剤として、式(8)、(9)、(10)または(11)のUV吸収剤を使用することを含む、請求項5または6に記載の使用。
【請求項9】
有機素材が栄養物質または食料品である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
有機素材が医薬である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−523224(P2007−523224A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546155(P2006−546155)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053418
【国際公開番号】WO2005/063592
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】