説明

有機電子デバイス

本発明には、支持体と、
活性素子を備えかつ段を有する、支持体上の有機機能性領域と、
有機機能性領域上の活性ポリマーバリヤー層と、
この場合、この活性ポリマーバリヤー層は、湿分および酸化剤を結合することができ、有機機能性領域の段を平坦化することができ、
有機機能性領域および活性ポリマーバリヤー層を包囲するキャップとを有することを特徴とする、湿分または酸化剤に敏感である有機電子デバイスが開示されている。
このような有機電子デバイスは、薄膜被包で簡単に形成させることができ、キャップおよび活性ポリマーバリヤー層の増大されたバリヤー能力のために増大された寿命をも示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
数多くの有機電子デバイス、例えば有機発光デバイス(OLEDs)、プラスチック集積回路または有機放射線センサー、例えば有機フォトトランジスターは、しばし酸化剤および湿分に対して影響を受けやすい構成成分から構成されており、湿分または酸素に晒された場合には、デバイスの性能の劣化をまねく。
【0002】
OLEDデバイスは、例えば支持体上に位置した機能性スタックを有する。この機能性スタックは、2つの導電性層の間に少なくとも1つまたはそれ以上の有機機能層を有する。導電性層は、電極(カソードおよびアノード)として機能する。電圧が電極に印加された場合には、電荷キャリヤーは、前記の電極によって機能層中に注入され、電荷キャリヤーを再び組合せながら、可視光線は、放出されうる(エレクトロルミネセンス)。通常、塩基性金属、例えばカルシウムまたはマグネシウムを有する、機能性スタックの構成成分の大部分、例えば有機機能層およびカソード層は、湿分または酸化剤、例えば酸素に対して極めて敏感である。支持体上の有機機能性スタックは、通常、キャップによって包囲されており、この場合このキャップは、例えばガラスまたはセラミックからなることができる。
【0003】
米国特許出願US2003/0038590A1には、OLEDデバイス構造体が記載されており、この場合活性OLEDピクセルは、支持体上に配置されており、カバーによって包囲されている。第IIA族の金属または第IIA族の金属酸化物、例えばカルシウム、バリウム、酸化バリウムまたは酸化カルシウムから構成されている構造化されたゲッター層は、パーマネント(permanent)を吸収するために、包囲された領域内に位置している。この常用のデバイスの1つの主要な欠点は、しばしば上面の電極層であるカソード層がゲッター材料によって被覆されていないことにある。それ故に、カソード層は、ゲッター層が存在しているという事実にも拘わらず、なお湿分または酸素と簡単に反応してデバイスの内部に浸透しうる(例えば、図1参照)。
【0004】
更に、薄膜被包の形のキャップは、有機電子デバイスのために電流の研究がなされている。有機電子デバイスは、しばしば異なる段を有する活性素子を備えた活性領域を有する。OLEDsは、例えば機能層の構造化のためおよび/またはカソード層の構造化のために、活性領域から突出している張出し断面を備えた棒材からなることができる(例えば、図2〜4参照)。前記の段は、高度に不規則な表面を生じ、この表面上では、薄膜の被包は、付着するのが困難である。
【0005】
発明の概要
それ故に、活性有機領域中への湿分または酸化剤の拡散を阻止する確実な被包を備えた有機電子デバイスが必要とされる。更に、薄膜被包の形でのキャップが簡単に有機機能性領域の上面上に発生させることができるように有機機能性領域が形成される有機電子デバイスが必要とされる。
【0006】
本発明は、基本の請求項1に記載の有機電子デバイスを備えさせることによって前記要件に適合する。更に、本発明の好ましい実施態様は、従属請求項の対象である。
【0007】
基本の請求項に記載の本発明の主要な対象は、湿分または酸化剤に敏感であり、
支持体と、
活性素子を備えかつ段を有する、支持体上の有機機能性領域と、
有機機能性領域上の活性ポリマーバリヤー層と、
この場合、この活性ポリマーバリヤー層は、湿分および酸化剤を結合することができ、有機機能性領域の段を平坦化することができ、
有機機能性領域および活性ポリマー層を包囲するキャップとを有する有機電子デバイスである。
【0008】
無機ゲッター材料を有する常用の有機電子デバイスとは異なり、本発明の有機電子デバイスは、活性的に結合することができ、それ故にパーマネント、例えば湿分および酸化剤を中和する、活性のポリマーバリヤー層を備えている。この結合は、例えばパーマネントの化学吸着または物理吸着によって行なうことができる。
【0009】
活性のポリマーバリヤー層は、ポリマーの性質のために、常用の無機ゲッター材料よりもプロセスにとって著しく簡単であり、例えば有機電子デバイスの機能性スタックの上面上の電極上に液体またはペーストとして付着させることができ、通常、有機機能性領域中に存在する段を平坦化することができる。
【0010】
前記段は、通常、機能性領域の異なる素子に帰因する。OLEDデバイスの場合の機能性領域の素子は、例えばストライプカソードとOLEDデバイスの活性のピクセル領域を定義する中空を有する層とを分離するための張出し断面を備えた棒材であることができる。張出し断面および活性ピクセルを定義する中空を有する層を備えた棒材を有するOLEDデバイスは、本明細書中で参考のために挙げた、係属されているドイツ連邦共和国特許出願公開第10133686号明細書A1中に記載されている。
【0011】
段、例えば棒材は、約3μmの高さを有することができる。それ故に、段に隣接して測定された厚さが段の高さよりも厚い活性ポリマーバリヤー層を有する有機機能性層の段を被覆し、それ故に平坦化することが可能である。更に、活性ポリマーバリヤー層の平坦化は、薄膜被包を発生させるための平面を提供する。
【0012】
活性ポリマーバリヤー層は、好ましくは分散されたシクロデキストリンを有するポリマーマトリックス、環状オレフィンコポリマー、無水物を有するポリマーマトリックスおよびこれらの混合物から選択されている。
【0013】
シクロデキストリンは、一定の酵素、例えばシクロデキストリングルコーストランスフェラーゼの作用によって形成されたα−D−グルコースの環状オリゴマーである。シクロデキストリンは、6、7または8個のα−1,4−結合グルコースモノマーから構成されており、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンとして公知である。シクロデキストリン分子は、互いに相対的に特殊な方法で配向されており、したがって連続的なチャンネルは、シクロデキストリンの結晶格子内で形成されている。このチャンネルは、特異的な体積の大きな中空の内部を有し、それ故に浸透物、例えばガス分子を結合することができる。更に、浸透物は、例えばグルコース部分での6番目の炭素の位置での第1ヒドロキシル基および前記分子の2番目および3番目の炭素の位置での第2ヒドロキシル基によってシクロデキストリン分子に供給結合されていてよい。また、前記ヒドロキシル基は、シクロデキストリンの可溶性、相容性および熱安定性を変えるために他の基によって代替されていてもよい。また、ヒドロキシル基の置換基は、シクロデキストリンの結合強さと潜在的な浸透物の結合強さとの間にある値に結合強さを調節するために使用されてもよい。それ故に、シクロデキストリンは、例えば湿分または酸化剤を永続的に中和することができる。好ましくは、シクロデキストリンは、ポリマーマトリックス、例えばポリプロピレン中に分散されている。
【0014】
環状オレフィンコポリマーは、例えば押出によって配合される2つの成分を有することができる。1つの成分は、例えば酸化可能なポリマー、例えばポリ(エチレン/メチルアクリレート/シクロヘキセニル−メチルアクリレート)(EMCM)であることができる。第2の成分は、例えば光開始剤および触媒、例えば遷移金属触媒から構成されている。2つの成分は、UV照射への露光下に活性化されていてよい所謂酸素スカベンジング系を形成することができる。更に、前記ポリマーの環状オレフィン基は、開環反応または芳香化反応により、例えば酸素分子と化学的に反応させることができる。
【0015】
別の実施態様において、活性ポリマーバリヤー層は、無水物を有するポリマーマトリックスであってもよい。無水物は、好ましくはそれぞれの有機酸から水を除去することによって形成させることができる炭酸無水物である。それ故に、前記無水物は、湿分、例えば水分子を極めて効果的に結合させることができる。酸無水物の好ましい例は、有機酸の酸無水物、例えば無水マレイン酸である。この酸無水物は、好ましくはポリマーマトリックス、例えばポリスチレンに共有結合されている。また、酸化剤または湿分の異なる型のために最適なバリヤー性能を保証するために、シクロデキストリンと環状オレフィンコポリマーと環状オレフィン無水物との混合物を使用することもできる。
【0016】
また、液状の結晶性ポリマーを活性ポリマーバリヤー層として使用することも可能である。前記ポリマーは、液晶と同じ性質を示し、しばしば芳香族ジカルボン酸および芳香族ジアミンまたはフェノールを重縮合することによって合成される。
【0017】
好ましくは、活性ポリマーバリヤー層は、湿分および酸化剤を化学的に結合させることができ、したがって永続的に結合させることができる。化学結合は、最適な吸収を保証し、湿分および酸化剤を中和する。
【0018】
好ましくは、活性ポリマーバリヤー層の中程度の厚さは、約1〜10μmである。この厚さは、被覆に十分であり、それ故に機能性領域の異なる素子に帰因する有機機能性領域中での大部分の段を平坦化する。
【0019】
本発明の有機電子デバイスの支持体は、ガラス、金属、ポリマーおよびセラミックから選択されている。ガラス支持体は、例えば所謂直下型(bottom-emitting)OLEDデバイスに好ましく、有機機能性スタックによって発生される光は、支持体を通して放出される。
【0020】
有機機能性スタックを包囲するキャップは、例えばポリマー、金属、セラミックおよびガラスまたはこれらの組合せ物のような材料を有することができる。このキャップは、活性ポリマーバリヤー層とセラミックバリヤー層のバリヤーアセンブリを有することもできる(例えば、図4参照)。
【0021】
本発明の有機電子デバイスの別の好ましい実施態様において、キャップは、キャップと有機機能性領域との間にキャビティーを備えている。この場合には、活性ポリマーバリヤー層は、キャップが有機機能性領域と接触することを避けるのに十分な厚さを維持することができる。これは、活性ポリマーバリヤー層がキャップと有機機能性領域との間に位置し、それ故にキャップを引き戻すことができる1種の安全帯域を備え、それ故に有機機能性領域の任意の損傷を回避させることを意味する。有利に活性ポリマーバリヤー層は、本質的にキャビティーを充填する(例えば、図2参照)。これは、キャップ、例えば透明のガラスキャップが活性ポリマーバリヤー層上に取り付けられ、それ故に活性ポリマーバリヤー層によって支持されることを意味する。このような配置もよりいっそう安定したキャップを備えている。
【0022】
このキャップは、セラミックバリヤー層を有することもでき、このセラミックバリヤー層は、有機機能性領域の段を平坦化する活性ポリマーバリヤー層上に位置している。このようなセラミックバリヤー層は、湿分および酸化剤が外側の環境から有機電子デバイスの内部に浸透することを物理的に回避することができる。この実施態様において、セラミックバリヤー層の欠陥を通して浸透する残留湿分および残留酸化剤は、吸収されることができ、下方に存在する活性ポリマーバリヤー層の活性ポリマー材料によって中和されていてよい。セラミックバリヤー層は、通常、1〜250ナノメートルの厚さを有する。それ故に、セラミックバリヤー層を活性ポリマーバリヤー層上に発生させることによって、薄膜被包を本発明による有機電子デバイス上に形成させることが可能である。厚さ1μmの活性ポリマーバリヤー層上に配置された10−3g/(m/日)の拡散速度を有するセラミックバリヤー層は、第1の浸透分子がかかる薄膜被包によって包囲された有機機能性領域に到達しうる10.000時間前に導かれうる。
【0023】
本発明の1つの好ましい実施態様において、セラミックバリヤー層は、金属窒化物、金属酸化物および金属オキシ窒化物から選択されている。これら金属窒化物、金属酸化物または金属オキシ窒化物の金属構成成分は、好ましくはアルミニウムおよびシリコンから選択されている。このセラミックバリヤー層は、ガスまたは液体を浸透させるために極めて良好な物理的バリヤーを備えていてよい。前記の材料以外に、主に無機化合物および非金属化合物または無機要素および非金属要素からなる他のセラミック材料を使用することができる。
【0024】
別の実施態様において、支持体またはキャップおよび活性ポリマーバリヤー層は、透明である。支持体、例えばガラスが透明であるような有機光デバイス、所謂直下型(bottom-emitting)OLEDデバイスが形成されてよい場合には、発生された光は、支持体を通して目視することができる。キャップおよび活性ポリマーバリヤー層が透明であるような他の場合、所謂トップエミッション型OLEDまたはTOLEDsが形成されうる場合には、有機機能性領域によって放出される光は、キャップおよびポリマーバリヤー層を通過することができる。
【0025】
本発明の別の実施態様によれば、キャップは、まさに1つのセラミックバリヤー層を有するのではなく、付加的なポリマーバリヤー層と付加的なセラミックバリヤー層との交互のアセンブリを有している。このようなアセンブリは、極めて高いバリヤー能力を示し、例えばまさに10−6g/(m/日)までの湿分および酸素に対する浸透率を示す。
【0026】
別の実施態様において、本発明による有機電子デバイスは、さらに湿分および酸化剤を結合することができる少なくとも1つの付加的な活性ポリマーバリヤー層および少なくとも1つのセラミックバリヤー層を有する付加的なバリヤースタックを有している。例えば、このようなバリヤースタックは、可撓性のポリマー支持体上の可撓性の有機電子デバイスにとって極めて有用である。この可撓性のポリマー支持体は、通常、1g/(m/日)を上廻る範囲内で水蒸気および酸化剤に対して極めて高い浸透率を示す。この場合、殊にバリヤースタックが可撓性の支持体を通して浸透する大部分の湿分および酸素を吸収するために支持体と有機機能性領域との間に配置されている場合には、バリヤースタックは、湿分および酸化剤に対して付加的なバリヤーを備えていてよい(例えば、図4参照)。
【0027】
支持体と有機機能性領域との間に配置された付加的なバリヤースタックの場合には、有機機能性領域は、好ましくはバリヤースタック上に位置している。更に、バリヤースタックの少なくとも1つの付加的な活性ポリマーバリヤー層は、有利に有機機能性領域に隣接して位置し、バリヤースタックのセラミックバリヤー層の凸凹を平坦化する。通常、セラミックバリヤー層は、約25nm未満 rmsの凸凹を示し、この場合この凸凹は、有機機能性領域の敏感な構成成分をも損傷しうる。それ故に、有機機能性領域とセラミックバリヤー層との間に活性ポリマーバリヤー層を配置することは、有用である(例えば、図3参照)。
【0028】
可撓性の支持体の場合、この支持体は、有利にポリマー、例えばポリエーテルスルホン(PES)またはポリエチレンテレフタレート(PET)からなる。本発明の別の好ましい変法において、支持体それ自体は、活性ポリマーバリヤー層である。通常、可撓性の有機電子デバイスのポリマー支持体は、セラミックバリヤー層または活性ポリマーバリヤー層よりも著しく厚手である。可撓性のポリマー支持体は、通常、約100〜200μmの厚さを有する。それ故、湿分および酸化剤スカベンジング材料、例えばシクロデキストリン、環状オレフィンコポリマーまたは無水物は、有利にポリマー支持体に同時押出され、したがってポリマー支持体それ自体は、活性ポリマーバリヤー層として機能することができる。このような支持体は、著しい厚さのために極めて高いバリヤー能力を示す(例えば、図4参照)。
【0029】
支持体が活性ポリマーバリヤー層として機能する場合には、セラミックバリヤー層は、有利に支持体上に配置されており、支持体をデバイスの外側の環境から保護する。このようなセラミックバリヤー層は、大部分の湿分および酸化剤を活性ポリマーバリヤー支持体との接触から回避させることができる(例えば、図4参照)。
【0030】
有機機能性領域は、第1の導電性層、第1の導電性層上の有機機能層およびこの機能層上の第2の導電性層のスタックから構成されていてよく、この場合有機機能性層は、少なくとも1つの有機エレクトロルミネセンス層を有している。このような有機機能性スタックを有する電子デバイスは、有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)を形成する。
【0031】
第1の導電性層と第2の導電性層との間の有機機能性層は、有機放射線検出層であってもよく、したがって電子デバイスは、有機放射線検出デバイス、例えば有機ソーラー電池を提供する。また、有機機能性スタックは、有機導電性材料を有する所謂プラスチック集積回路を形成することができる。
【0032】
次に、本発明をよりいっそう詳細に図によって説明する。全ての図は、まさに説明の目的だけのために表わされた略図である。
【0033】
発明を実施するための最良の形態
図1は、米国特許出願US2003/0038590A1中の実施例の記載と同様のパターン化されたゲッター層を有する常用の有機エレクトロルミネセンスデバイスを示す断面図である。2つの導電性層の間に挟まれた有機機能性層を有する機能性スタック5は、支持体1上に位置しており、キャップ10および封止領域20によって包囲されている。リングの形で機能性スタック5を側方に取り囲むパターン化されたゲッター層15は、包囲された領域内に位置している。キャップとゲッター層との間には、間隙dが存在し、この間隙は、ゲッター層によって吸収されることなく、矢印12によって示されているように、封止領域20を通して酸素および湿分を浸透させることができる。
【0034】
図2は、本発明による有機電子デバイス、OLEDデバイス、を示す断面図である。平行なストライプの形の第1の導電性層25は、支持体20上に位置している。張出断面を備えた棒材40は、第1の導電性層25上に配置されている。有機機能性層30は、第1の導電性層25上で2つの隣接した棒材40間の間隙中に付着されている。第1の導電性層25のストライプに対して垂直方向に走るストライプの形の棒材40によって構造化されている第2の導電性層35は、有機機能性領域の全面積に亘って導電性材料の連続的な被膜を付着させることによってエレクトロルミネセンス形成させることができる。この連続的な被膜は、ストライプ35を形成する棒材の張出断面で破断している。導電性層25、35および棒材40とともに有機機能性層30を有する有機機能性スタックの配置は、有機機能性領域中で異なる段を生じる。この段は、有機機能性領域の全体に配置された素子に亘って付着された活性ポリマーバリヤー支持体45によって被覆され、平坦化されている。キャップ50、例えばガラスは、全部の有機機能性領域および活性ポリマーバリヤー層45を包囲している。好ましくは、活性ポリマーバリヤー層45は、キャップ50をも支持し、キャップと有機機能性スタックとの接触を回避させる。接触パッド26は、デバイスの外側から第1の導電性層25を電気的接触させる程度に存在していてよい。
【0035】
図3は、本発明による可撓性の有機OLEDデバイスの別の実施態様を示す。2つの活性ポリマーバリヤー層65および75ならびに1つのセラミックバリヤー層70から構成されているバリヤースタック80は、可撓性のポリマー支持体60上に位置している。互いに垂直方向に走るストライプの形の2つの導電性層85および95ならびに1つの有機機能性層90からなる有機機能性領域は、バリヤースタック80の上面上に位置している。有機機能性領域は、OLEDデバイスの活性ピクセルを定義する中空82を備えた層81をも有する。付加的に、カソードストライプを分離するための張出部分を備えた棒材83は、中空層81の上面上に位置している。有機機能性スタック、中空層81および棒材83の前記の完全な配置は、活性ポリマーバリヤー層100によって被覆され、平坦化されている。本発明のOLEDデバイスの前記変形において、キャップ105は、セラミックバリヤー層から構成されている。2つのセラミックバリヤー層105および70は、凸凹を有し、この凸凹は、セラミック層に対してぎざぎざした線によって略示されている。活性ポリマーバリヤー層100または75は、有機機能性領域に対する何らかの損傷を回避させる2つのセラミックバリヤー層の凸凹を付加的に平坦化するために、それぞれのセラミックバリヤー層と有機機能性領域との間に位置している。また、第1の導電性層85への外部からの電気的接触を可能にする接触パッド86が存在している。
【0036】
図4は、本発明による別のOLEDデバイスを示す断面図である。第1の導電性層210、有機機能性層215および棒材225とともに第2の導電性層220からなる有機機能性領域は、活性ポリマーバリヤー層である可撓性の支持体200上に位置している。この活性ポリマーバリヤー層の支持体は、支持体の表面上に位置したセラミックバリヤー層205によって外側の環境から保護されている。有機機能性領域の段は、活性ポリマーバリヤー層230によって平坦化されている。この活性ポリマーバリヤー層の上面上には、セラミックバリヤー層235、活性ポリマーバリヤー層240および別のセラミックバリヤー層245のアセンブリが配置されている。
【0037】
本発明の範囲は、図示された実施態様に限定されるものではない。実際に、バリヤースタック中でのセラミックバリヤー層および活性ポリマーバリヤー層の順序に特に関連する変形は、可能である。更に、図示された素子を除外して他の段は、本発明によるデバイスの活性ポリマーバリヤー層によって平坦化されていてよい。
【0038】
本発明は、特許請求の範囲に述べられた任意の特徴の全ての組合せを含む特徴のそれぞれの組合せが特許請求の範囲に明示されていなくとも、それぞれの新規の特徴および特許請求の範囲に述べられた任意の特徴の全ての組合せを含む特徴のそれぞれの組合せによって実施される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】常用の電子デバイスを示す略図。
【図2】本発明による有機電子デバイスを示す略図。
【図3】本発明による有機電子デバイスの別の実施態様を示す略図。
【図4】本発明による有機電子デバイスの別の変形を示す略図。
【符号の説明】
【0040】
1、200 支持体、 5 機能性スタック、 10 キャップ、 12 矢印、 15 ゲッター層、 20 封止領域(図1)、 20 支持体(図2)、 25、210 第1の導電性層、 26 接触パッド、 30、215 有機機能性層、 35、220 第2の導電性層、 40、225 棒材、 45 活性ポリマーバリヤー支持体、 50、105 キャップ、 60 可撓性のポリマー支持体、 65、75、230、240 活性ポリマーバリヤー層、 70、205、235、245 セラミックバリヤー層、 80 バリヤースタック、 81 中空層、 82 中空、 83 棒材、 85、95 導電性層、 86 接触パッド、 90 有機機能性層、 100 活性ポリマーバリヤー層、 d 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿分または酸化剤に敏感である有機電子デバイスにおいて、
支持体と、
活性素子を備えかつ段を有する、支持体上の有機機能性領域と、
有機機能性領域上の活性ポリマーバリヤー層と、
この場合、この活性ポリマーバリヤー層は、湿分および酸化剤を結合することができ、有機機能性領域の段を平坦化することができ、
有機機能性領域および活性ポリマー層を包囲するキャップとを有することを特徴とする、湿分または酸化剤に敏感である有機電子デバイス。
【請求項2】
活性ポリマーバリヤー層が次の材料:
分散されたシクロデキストリンを有するポリマーマトリックス、
環状オレフィンコポリマーおよび
無水物を有するポリマーマトリックスから選択されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
活性ポリマーバリヤー層の中程度の厚さが有機機能性領域の段の高さよりも厚い、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
活性ポリマーバリヤー層の厚さが約1〜10μmである、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
活性ポリマーバリヤー層が湿分および酸化剤を化学的に結合することができる、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
支持体が次の材料:
ガラス、金属、ポリマーおよびセラミックから選択されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
キャップが
ポリマー、
金属、
セラミックおよび
ガラスの群から選択された材料からなる、請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
キャップが有機機能性領域上のキャップ間にキャビティを備え、
活性ポリマーバリヤー層は、キャップが有機機能性領域と接触することを避けるのに十分な厚さを維持している、請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
活性ポリマーバリヤー層が本質的にキャビティを充填している、請求項8記載のデバイス。
【請求項10】
キャップが活性ポリマーバリヤー層上に位置しているセラミックバリヤー層を有している、請求項1記載のデバイス。
【請求項11】
セラミックバリヤー層が金属、窒化物、金属酸化物および金属オキシ窒化物から選択されている、請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
金属がAlおよびSiから選択されている、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
支持体または
キャップおよび活性ポリマーバリヤー層が透明である、請求項1記載のデバイス。
【請求項14】
キャップがポリマーバリヤー層とセラミックバリヤー層のアセンブリである、請求項10記載のデバイス。
【請求項15】
バリヤースタックが
湿分および酸化剤を結合することができる、少なくとも1つの付加的な活性ポリマーバリヤー層および
少なくとも1つのセラミックバリヤー層から構成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項16】
バリヤースタックが支持体と有機機能性領域との間に配置されている、請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
有機機能性領域がバリヤースタック上に位置しており、
バリヤースタックの少なくとも1つの付加的な活性ポリマーバリヤー層が有機機能性領域に隣接し、バリヤースタックのセラミックバリヤー層の凸凹を平坦化している、請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
支持体が可撓性であり、ポリマーからなる、請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
支持体が活性ポリマーバリヤー層である、請求項17記載のデバイス。
【請求項20】
セラミックバリヤー層が支持体上に配置されており、支持体をデバイスの外側の環境から保護している、請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
有機機能性領域が第1の導電性層、第1の導電性層上の有機機能層およびこの機能層上の第2の導電性層からなる層のスタックである、請求項1記載のデバイス。
【請求項22】
有機機能性領域が第1の導電性層、第1の導電性層上の有機機能層およびこの機能層上の第2の導電性層からなる層のスタックであり、
この有機機能層が有機放射線センサーを形成する、少なくとも1つの有機放射線検出層を有する、請求項1記載のデバイス。
【請求項23】
有機機能性領域がプラスチック集積回路を有している、請求項1記載のデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2006−526264(P2006−526264A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508229(P2006−508229)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005841
【国際公開番号】WO2004/107470
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Wernerwerkstrasse 2, D−93049 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】