説明

有機EL装置

【課題】有機EL層の輝度寿命を延ばし、且つ赤色、緑色及び青色の光によって画像をフルカラー表示する。
【解決手段】有機EL層50B及び50Rが互いに積層されているため、有機EL装置10の動作時に有機EL層50Bに過剰に発生する正孔によって有機EL層50bが劣化することを低減できる。有機EL層50から出射されたマゼンダ光Mのうち有機EL沿い72Gから出射された青色光は、蛍光変換膜30によって緑色光Lgに変換され、カラーフィルタ22Gを介して緑色光Gがサブ画素部72Gから出射される。有機EL素子72R及び72Bから出射されたマゼンダ光Mに含まれる赤色光MR及び青色光MBは、カラーフィルタ22R及び22Bを介して赤色光R及び青色光Bを介してサブ画素部70R及び70Bから出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、画像をカラー表示可能な画像表示装置、液晶表示装置のバックライト、或いはスキャナーに用いられる白色光源に応用可能な有機EL装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有機EL装置では、青色に発光する有機EL層から出射される青色光と、この青色光を蛍光変換膜を用いて緑色光及び赤色光に変換することによって生成される赤色光及び緑色光とを用いてフルカラー表示で画像表示を行う画像表示方式が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
また、赤色、緑色及び青色の夫々に発光する有機EL材料をインクジェット法等の塗布法を用いて塗り分けることによって、各有機EL材料が塗布された領域毎に赤色、緑色及び青色の夫々の光を出射させ、フルカラー表示で画像表示を行う場合もある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−39311号公報
【特許文献2】特開2004−103534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、青色に発光する有機EL層は、輝度寿命が他の色に発光する有機EL層に比べて相対的に短い問題点があり、青色に発光する有機EL層として未だ実用に耐え得る輝度寿命を有するものが開発されていないのが実情である。
【0006】
加えて、青色光を赤色光に変換する蛍光変換膜の寿命は、青色光を緑色光に変換する蛍光変換膜に比べて相対的に短く、蛍光変換膜によって変換された赤色光の波長が、有機EL装置の動作に伴い経時的にずれてしまい、例えば青色光が赤色光ではなくオレンジ色の光に変換され、フルカラーの画像表示に適した波長を有する赤色光を生成することが難しい問題点もある。特許文献1及び2に開示された技術によれば、この問題点を十分に解消できるとは言い難い。
【0007】
また、この種の有機EL装置の夫々一例である液晶装置のバックライト或いはスキャナーの光源として用いられる白色光源から出射される白色光は、色純度の高い赤色光、緑色光及び青色光を含んでいるほうが好ましい。より具体的には、例えば、スキャナーの光源として用いられる白色光源から出射された白色光はCCD等の受光素子によって検出されるため、CCD(Charge Coupling Device)等の受光素子によって検出される赤色光、緑色光及び青色光の検出効率を高くするためには、白色光に含まれる赤色光、緑色光及び青色光の夫々の光の波長が色毎に揃っているほうがよい。
【0008】
しかしながら、赤色、緑色及び青色の夫々の光の発光ピークを有する白色光源として用いられる有機EL層の輝度寿命は短く、白色に発光し、且つ実用に耐え得る輝度寿命を有する有機EL材料は未だ開発されていないのが実情である。
【0009】
また、インクジェット法を用いて赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を用いて塗り分ける際、精度良く所定の領域に各有機EL材料を塗り分けることが製造プロセス上煩雑である。加えて、高精細な画像表示を目的として画素ピッチの微小化が進むに伴い、有機EL材料を各画素に塗り分ける精度もより高いものが要求され、製造プロセスの煩雑化はより顕著になる。
【0010】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば実用に耐え得るに十分な輝度寿命を有する有機EL層を備え、且つフルカラーの画像表示が可能な有機EL装置、及び色純度が高い赤色光、緑色光及び青色光を含む白色光を発生し、液晶装置のバックライト或いはスキャナーの白色光源に応用可能な有機EL装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に互いに積層された青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する第2有機EL層を有し、且つ第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光を出射する光源部と、前記混色光に含まれる青色光を吸収することによって緑色光を生成し、且つ該生成された緑色光を出射する蛍光変換膜と、前記混色光に含まれる青色光及び赤色光、並びに前記蛍光変換膜から出射された緑色光の夫々を選択的に透過させる複数のカラーフィルタとを備える。
【0012】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する有機EL層が互いに積層されているため、第1有機EL層を単層で形成した場合に比べて、第1有機EL層の輝度寿命を延ばすことができる。より具体的には、本発明に係る有機EL装置は、例えばその動作時に第1有機EL層に過剰な正孔が発生し易い。正孔が過剰な状態で第1有機EL層に電流を流し続けた場合、正孔が第1有機EL層の外部に流れ出し、第1有機EL層は継続して青色に発光することが困難となる。そこで、本発明の題の発明に係る有機EL装置では、第2有機EL層に積層された第2有機EL層が、第1有機EL層から流れ出す正孔が遮断し、正孔が流れ出ることによって第1有機EL層が損傷を受けることを低減できる。
【0013】
光源部は、第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を同時に出射し、これら光が混ざり合った、例えばマゼンダ色の混色光を出射する。尚、後述するように、光源部から出射された混色光から赤色光、緑色光、及び青色光の夫々の光が生成されるため、例えばインクジェット法を用いて各色に発光する有機EL材料を塗り分けることなく、基板上に第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々を平面的に連続した膜として形成しておくことができる。これにより、例えば画素のサイズが微細化され、且つ画素ピッチを狭められることによって解像度が高められた場合でも、簡便に第1有機EL層及び第2有機EL層を形成でき、且つ赤色光、緑色光及び青色光を出射できる。
【0014】
蛍光変換膜(CCM:Color Change Media)は、光源部から出射された混色光に含まれる青色光を吸収し、緑色光を出射する。より具体的には、蛍光変換膜は、例えばスチルベン系化合物及びクマリン系化合物を含んでおり、吸収した青色光のエネルギーから緑色光を生成し、生成された緑色光を出射する。
【0015】
複数のカラーフィルタは、光源部から出射された混色光に含まれる赤色光及び青色光、並びに蛍光変換膜から出射された緑色光の夫々を選択的に透過させる。ここで、“選択的に”とは、複数のカラーフィルタのうちの一つが混色光及び緑色光から赤色光を透過させ、他のカラーフィルタの夫々が、青色光及び緑色光の夫々を透過させることを意味する。複数のカラーフィルタは、例えば、赤色、緑色、及び青色の3色の光を夫々透過させるように3種類のカラーフィルタを含む。
【0016】
このように本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、複数のカラーフィルタの夫々から赤色光、緑色光及び青色光の夫々が出射されることから、青色に発光する有機EL層輝の輝度寿命を延ばしつつ、且つ青色光から赤色光を生成する蛍光変換膜を用いることなく、赤色、緑色及び青色の光の3原色を出射できる。よって、本発明の第1の発明に係る有機EL装置によれば、光源部の輝度寿命を延ばすことができ、例えば赤色光及び緑色光及び青色光を出射できる。
【0017】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記光源部は、前記基板上の画素領域に形成された画素部に含まれる複数のサブ画素部の夫々において前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の下層側に形成された陽極と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記陽極に対向するように前記複数のサブ画素部に共通に形成された陰極とを有しており、前記複数のカラーフィルタの夫々は、前記サブ画素部毎に形成されており、前記蛍光変換膜は、前記複数のサブ画素部のうち前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されていてもよい。
【0018】
この態様によれば、例えばインクジェット法を用いて複数のサブ画素部の夫々に赤色、緑色、及び青色に発光する有機EL材料を塗り分けることなく、複数のサブ画素部に共通に第1有機EL層及び第2有機EL層を形成でき、有機EL装置の製造プロセスを簡便化できる。陽極は、例えばITO等の透明導電材料を用いて形成されており、陰極は例えば蒸着法を用いて複数のサブ画素部に共通に形成される。より具体的には、第1有機EL層及び第2有機EL層の一方の面側に複数のサブ画素部に共通に、例えばAl等の導電材料が蒸着される。これら陰極及び陽極は、各サブ画素部において第1有機EL層及び第2有機EL層を介して対向しているため、例えば別途設けられた電源から供給された駆動電流が駆動回路の制御下で各陽極に供給され、各サブ画素部から赤色光、緑色光及び青色光を所定のタイミングで出射できる。これにより、赤色光、緑色光及び青色光等の光の3原色を用いたフルカラーの画像表示が可能となる。また、この態様によれば、赤色光、緑色光及び青色光を同時に出射することにより、これら3色の光を含んでなる白色光を出射で切る。
【0019】
この態様では、前記蛍光変換膜及び前記複数のカラーフィルタは、前記陽極の下層側に形成されていてもよい。
【0020】
この態様によれば、例えば陽極はITO(Indium Titan Oxide)等の光透過性を有する材料で形成されており、所謂光源部からみて基板側に各色の光を出射するボトムエミッション型の有機EL装置が構成される。
【0021】
この態様では、前記蛍光変換膜及び前記複数のカラーフィルタは、前記基板を介して前記陽極の下層側に形成されており、前記複数のカラーフィルタを透過した赤色光、緑色光及び青色光は、前記基板の下側に設けられた他の基板を介して出射されてもよい。
【0022】
この態様によれば、前記複数のカラーフィルタを透過した赤色光、緑色光及び青色光は、前記基板の下側に設けられた他の基板を介して出射されるため、この態様に係る有機EL装置はフルカラー表示が可能な画像表示装置に適していないまでも、スキャナー等の白色光源として十分適用可能である。
【0023】
本発明の第1の発明に係る有機EL装置の他の態様では、前記光源部は、前記陽極の下層側に形成されており、且つ前記混色光を前記光源部の上層側に反射する光反射膜を備えており、前記蛍光変換膜及び前記複数のカラーフィルタは、前記上層側に形成されていてもよい。
【0024】
この態様によれば、混色光が光反射膜によって光源部の上層側に反射されるため、例えば光を遮るTFT(Thin Film Transistor)等の素子、或いは配線が形成されている場合でも、上層側に赤色光、緑色光及び青色光の夫々を出射できる。したがって、この態様に係る有機EL装置は、所謂トップエミッション型の有機EL装置として構成される。
【0025】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に互いに積層された青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する第2有機EL層を有し、且つ第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光に含まれる光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光を共振させることによって、前記所定の波長において発光強度が最大となる青色光を出射する光源部と、前記所定の波長において発光強度が最大となる青色光を吸収することによって緑色光を生成し、且つ該生成された緑色光を出射する蛍光変換膜と、前記混色光に含まれる青色光及び赤色光、並びに前記緑色光の夫々を選択的に透過させる複数のカラーフィルタとを備える。
【0026】
この態様によれば、上述の有機EL装置と同様に第1有機EL層の輝度寿命を延ばすことができる。光源部は、第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光に含まれる光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光を共振させることによって、前記所定の波長において発光強度が最大となる青色光を出射する。ここで、“所定の波長”とは、蛍光変換膜が緑色光を出射するために吸収する青色光の波長であり、この波長は蛍光変換膜に含まれる蛍光変換材料によって特定される。混色光に含まれる青色光は、所定の波長以外の波長成分を含んだ光であるため、混色光をそのまま蛍光変換膜に出射した場合には、所定の波長を除いた波長成分を有する光が緑色光に変換されず、光の変換効率を高めることが困難となる。
【0027】
そこで、本発明の第2の発明に係る有機EL装置では、混色光に含まれる青色光のうち所定の波長を有する青色光、即ち蛍光変換膜に吸収される波長を有する青色光を共振させることによって、共振される前に比べて所定の波長で発光強度が最大となるように青色光の発光強度が高める。発光強度が高められた所定の波長を有する青色光は、所定の波長を中心する発光強度の波長分布が混色光に含まれる青色光に比べて急峻である。光源部が、前記所定の波長において発光強度が最大となる青色光を蛍光変換膜に出射することによって、光源部から出射された混色光に含まれる青色光を蛍光変換膜を介して緑色光に変換する光の変換効率を高めることが可能である。
【0028】
複数のカラーフィルタは、上述の有機EL装置と同様に、混色光に含まれる赤色光及び青色光、並びに蛍光変換膜から出射された緑色光の夫々を透過させる。
【0029】
このように、本発明の第2の発明に係る有機EL装置によれば、光源部の輝度寿命を延ばすことができ、且つ第1有機EL層から出射された青色光のうち所定の波長を有する青色光を共振させることによって蛍光変換膜による光変換効率を向上させることが可能であるため、例えばこれら各色の光を含んでなる白色光を効率良く長期間に亘って出射できる。
【0030】
本発明の第2の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記光源部は、前記基板上の画素領域に形成された画素部に含まれる複数のサブ画素部の夫々において前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の下層側に形成された陽極と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記陽極に対向するように前記複数のサブ画素部に共通に形成された陰極とを有しており、前記複数のカラーフィルタの夫々は、前記サブ画素部毎に形成されており、前記蛍光変換膜は、前記複数のサブ画素部のうち前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されていてもよい。
【0031】
この態様によれば、第1の発明に係る有機EL装置と同様に、例えばインクジェット法を用いて複数のサブ画素部の夫々に赤色、緑色、及び青色に発光する有機EL材料を塗り分けることなく、複数のサブ画素部に共通に第1有機EL層及び第2有機EL層を形成でき、有機EL装置の製造プロセスを簡便化できる。陽極は、例えばITO等の透明導電材料を用いて形成されており、陰極は例えば蒸着法を用いて複数のサブ画素部に共通に形成される。したがって、例えば別途設けられた電源から供給された駆動電流が駆動回路の制御下で各陽極に供給され、各サブ画素部から赤色光、緑色光及び青色光を所定のタイミングで効率良く出射できる。これにより、赤色光、緑色光及び青色光等の光の3原色を用いたフルカラーの画像表示を効率良く行うことができる。
【0032】
この態様では、前記光源部は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された光反射膜と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記光反射膜に対向するように前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されたハーフミラーとを有しており、前記光反射膜及び前記ハーフミラー間の光学長は、前記混色光に含まれる光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光が前記光反射膜及び前記ハーフミラー間で共振するように設定されてよい。
【0033】
この態様によれば、光反射膜及びハーフミラー間で所定の波長を有する青色光を共振させることが可能であり、緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部から効率良く緑色光を出射できる。即ち、光源部は、所定の波長を有する青色光を共振させる光共振器構造を有していることになる。
【0034】
光反射膜及びハーフミラー間の光学長は、混色光に含まれる光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光が光反射膜及びハーフミラー間で共振するように設定されており、より具体的には、例えば光学長は、所定の波長の半分の整数倍に設定されている。このような光学長は、互いに対向する光反射膜及びハーフミラー間の物理的距離に加え、光反射膜及びハーフミラー間に介在する、例えば第1有機EL層及び第2有機EL層の膜厚及び屈折率も考慮された上で設定されている。
【0035】
この態様では、前記陽極は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層と前記ハーフミラーとの間に形成されており、前記光反射膜は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された陰極と兼用されており、前記光学長は、前記陽極の厚みを調整することによって設定されていてもよい。
【0036】
この態様によれば、第1有機EL層及び第2有機EL層の膜厚を調整することなく、陽極の厚みを調整することによって光学長を設定できる。したがって、第1有機EL層及び第2有機EL層の形成条件を変更することなく、光学長を設定できるため、有機EL装置の製造プロセスを煩雑にすることなく、蛍光変換膜の光変換効率を向上させることが可能である。加えて、陰極を光反射膜として兼用できるため、光源部の構成を大きく変更することなく、所定の波長を有する青色光を共振させることが可能である。
【0037】
本発明の第3の発明に係る有機EL装置は上記課題を解決するために、基板と、前記基板上に互いに積層された青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する第2有機EL層を有し、且つ第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光に含まれる互いに異なる波長を有する3つの光を共振させることによって、青色光の波長帯域において互いに異なる第1波長及び第2波長の夫々で発光強度が最大となる第1の光及び第2の光、並びに赤色光の波長帯域における第3波長で発光強度が最大となる第3の光を出射する光源部と、前記第1の光を吸収することによって緑色光を生成し、且つ該生成された緑色光を出射する蛍光変換膜と、前記緑色光、前記第2の光及び前記第3の光の夫々を選択的に透過させる複数のカラーフィルタとを備える。
【0038】
この態様によれば、上述の第1及び第2の発明に係る有機EL装置と同様に第1有機EL層の輝度寿命を延ばすことができる。
【0039】
光源部は、第1有機EL層及び第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光に含まれる互いに異なる波長を有する3つの光を共振させることによって、青色光の波長帯域において互いに異なる第1波長及び第2波長の夫々で発光強度が最大となる第1の光及び第2の光、並びに赤色光の波長帯域における第3波長で発光強度が最大となる第3の光を出射する。ここで、混色光に含まれる互いに異なる波長とは、青色光の波長帯域において互いに異なる第1波長及び第2波長、並びに赤色光の波長帯域における第3波長である。これら3つの夫々の波長を有する青色光及び赤色光を共振させることによって生成された第1の光、第2の光及び第3の光は、共振させる前に混色光に含まれる状態に比べて、第1波長、第2波長及び第3波長において発光強度が最大となるように波長に対してこれら3つの波長の夫々を中心として急峻な発光強度の分布を有する。
【0040】
第1の光の波長、即ち青色光の波長帯域において互いに異なる波長の一方は、蛍光変換膜に吸収される青色光の波長であり、より詳しくは蛍光変換膜が緑色光を生成するために吸収されるべき青色光の波長である。このような波長は、蛍光変換膜を形成する蛍光変換材料によって特定されている。したがって、光源部が、混色光に含まれる青色光をそのまま蛍光変換膜に出射する場合に比べて、混色光に含まれる青色光のうち蛍光変換膜に吸収される第1波長を有する青色光を共振させておくことにより、蛍光変換膜による光変換効率を高めることが可能である。複数のカラーフィルタのうち緑色光を透過させるカラーフィルタは、例えばフルカラー表示及び白色光源に含まれる緑色光の波長として理想的な波長を有する緑色光、即ち色純度が高い緑色光のみを透過させる。
【0041】
光源部は、混色光に含まれる青色光のうち互い異なる波長の他方の波長を有する青色光を共振させた第2の光と、混色光に含まれる赤色光のうち赤色光の波長帯域における第3波長を有する赤色光を共振させた第3の光を出射する。ここで、混色光に含まれる赤色光及び青色光は、フルカラー表示及び白色光源として理想的な波長からずれた波長成分を含んでいるため、光源部からそのまま混色光を各カラーフィルタに出射した場合には、カラーフィルタを介して透過させるべき波長を除いた波長成分を有する赤色光及び青色光が無駄になってしまい、カラーフィルタを介して光源部から赤色光及び青色光を取り出す光取り出し効率を高めることが困難となる。
【0042】
そこで、カラーフィルタを介して出射すべき青色光及び赤色光の波長、即ち上述の理想的な波長において発光強度が最大となるように第2波長及び第3波長の夫々において波長に対する青色光及び赤色光の発光強度の分布を急峻にしておくことにより、最終的にカラーフィルタを介して出射される青色光及び赤色光の色純度が高めることができ、且つ光取り出し効率も高くすることが可能である。より具体的には、光源部は、共振により、混色光に含まれる青色光及び赤色光のうち不必要な波長帯の光を弱め、且つ第2波長及び第3波長の夫々を有する青色光及び赤色光の発光強度を高める。カラーフィルタを用いて余分な波長成分の光を除去することを前提にしても、光源部からカラーフィルタに出射される青色光及び赤色光の色純度が高められている分、カラーフィルタを介して出射される青色光及び赤色光の色純度は高められることになる。また、緑色光も赤色光及び青色光と同様にカラーフィルタを介して出射することを前提にしても、蛍光変換膜から色純度が高い緑色光を出射することにより、最終的にカラーフィルタを介して出射される緑色光の色純度を高めることが可能である。
【0043】
尚、“色純度”とは、赤色光、緑色光及び青色光の夫々の波長が、フルカラー表示及び白色光源に用いられる赤色光、緑色光及び青色光として理想的な波長からずれた波長成分をどれだけ含んでいるかを示す指標であり、例えば赤色光、緑色光及び青色光の夫々が、620nm、545nm及び450nmの夫々の波長において発光強度にピークを有し、且つこれらの波長からずれた波長成分が低減されているほうが色純度は高い、理想的な光といえる。
【0044】
このように本発明の第3の発明に係る有機EL装置によれば、高い光取り出し効率によって色純度が高い赤色光、緑色光及び青色光を出射でき、例えば、これら各色の光を含んでなる白色光をスキャナーの光源として用いることにより、CCD等の受光素子によって赤色光、緑色光及び青色光が効率良く受光され、読み取り性能に優れたスキャナーを提供できる。より具体的には、色純度が低い光を含む白色光をスキャナーの光源として用いた場合、CCD等の素子構造に起因して上述の理想的な波長成分からずれた波長を有する光は、CCD等の受光素子によって受光されず、結果的にスキャナーの読み取り性能を低下させてしまうためである。
【0045】
本発明の第3の発明に係る有機EL装置の一の態様では、前記光源部は、前記基板上の画素領域に形成された画素部に含まれる複数のサブ画素部の夫々において前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の下層側に形成された陽極と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記陽極に対向するように前記複数のサブ画素部に共通に形成された陰極とを有しており、前記複数のカラーフィルタの夫々は、前記サブ画素部毎に形成されており、前記蛍光変換膜は、前記複数のサブ画素部のうち前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されていてもよい。
【0046】
この態様によれば、上述の第2の発明に係る有機EL装置と同様に、例えばインクジェット法を用いて複数のサブ画素部の夫々に赤色、緑色、及び青色に発光する有機EL材料を塗り分けることなく、複数のサブ画素部に共通に第1有機EL層及び第2有機EL層を形成でき、有機EL装置の製造プロセスを簡便化できる。陽極は、例えばITO等の透明導電材料を用いて形成されており、陰極は例えば蒸着法を用いて複数のサブ画素部に共通に形成される。したがって、例えば別途設けられた電源から供給された駆動電流が駆動回路の制御下で各陽極に供給され、各サブ画素部は赤色光、緑色光及び青色光を所定のタイミングで効率良く出射できる。これにより、赤色光、緑色光及び青色光等の光の3原色を用いたフルカラーの画像表示を効率良く行うことができる。特に、この態様では、色純度が高い赤色光、緑色光及び青色光を用いて色再現性に優れたフルカラー表示を行うことが可能である。
【0047】
この態様では、前記光源部は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された光反射膜と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記光反射膜に対向するように前記複数のサブ画素部の夫々に形成された複数のハーフミラーとを有しており、前記光反射膜及び前記複数のハーフミラー間の夫々の光学長は、前記3つの光の夫々が前記第1波長、前記第2波長及び前記第3波長の夫々の波長で発光強度が最大となるように設定されていてもよい。
【0048】
この態様によれば、光反射膜及び複数のハーフミラー間で前記第1波長及び前記第2波長の夫々の波長を有する青色光と、第3波長を有する赤色光を共振させることが可能である。即ち、光源部は、前記第1波長及び前記第2波長の夫々の波長を有する青色光と、第3波長を有する赤色光を共振させる複数の光共振器構造を有していることになる。
【0049】
より具体的には、例えば複数の光共振器構造の夫々が有する光学長は、前記第1波長及び前記第2波長の夫々の波長を有する青色光と、第3波長を有する赤色光の夫々の波長の半分の整数倍に設定されている。このような光学長は、互いに対向する光反射膜及び複数のハーフミラー間の物理的距離に加え、光反射膜及び複数のハーフミラー間に介在する、例えば第1有機EL層及び第2有機EL層の膜厚及び屈折率も考慮された上で設定されている。
【0050】
この態様では、前記陽極は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層と前記複数のハーフミラーの夫々との間に形成されており、前記光反射膜は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された陰極と兼用されており、前記光学長は、前記複数の陽極の夫々の厚みを調整することによって設定されていてもよい。
【0051】
この態様によれば、第1有機EL層及び第2有機EL層の膜厚を調整することなく、陽極の厚みを調整することによって各光学長を設定できる。したがって、第1有機EL層及び第2有機EL層の形成条件を変更することなく、各光学長を設定できるため、有機EL装置の製造プロセスを煩雑にすることなく、蛍光変換膜の光変換効率を向上させることが可能である。加えて、陰極を光反射膜として兼用できるため、光源部の構成を大きく変更することなく、各光を共振させることが可能である。
【0052】
本発明の第1、第2及び第3の発明に係る有機EL装置の他の態様では、前記光源部、前記複数のカラーフィルタ及び前記蛍光変換膜は、大気に曝されないように封止されていてもよい。
【0053】
この態様によれば、例えば大気中に含まれる水分によって光源部、複数のカラーフィルタ及び蛍光変換膜が劣化することを低減でき、有機EL装置の寿命を延ばすことが可能である。
【0054】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下図面を参照しながら、本発明の第1、第2及び第3の発明に係る有機EL装置の実施形態を説明する。
【0056】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1の発明に係る有機EL装置の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。有機EL装置10は、駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式で駆動される表示装置であり、有機EL装置10が有する各画素部70はサブ画素部70R、70G及び70Bを含んで構成されている。
【0057】
有機EL装置10の画素領域110には、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各サブ画素部70R、70G、及び70Bはマトリクス状に配列され、これら3つのサブ画素部を一組として一つの画素部70が構成されている。後述するように、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々は、カラーフィルタを介して赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の各色の波長を有する光を出射する。これにより、有機EL装置10は、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150による画素部70の制御下で画像をフルカラー表示できる。加えて、有機EL装置10は、赤色光、緑色光及び青色光の夫々をサブ画素部70R、70G及び70Bから同時に出射することにより、スキャナー或いは液晶装置等の光学装置の白色光源として応用されてもよい。
【0058】
画素領域110には各データ線114に対して配列されたサブ画素部70R、70G及び70Bに対応する電源供給線117が設けられている。
【0059】
画素領域110の周辺に位置する周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。データ線駆動回路150は、画素領域110に配線されたデータ線114に画像信号を供給する。尚、走査線駆動回路130の動作とデータ線駆動回路150の動作とは、同期信号線160を介して相互に同期が図られる。電源供給線117には、外部回路から画素部70を駆動するための画素駆動用電源が供給される。図1中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72R、72G及び72Bが設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78がサブ画素部毎に設けられている。スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。駆動用トランジスタ74のドレイン電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のソース電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。尚、図1に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム方式の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能である。
【0060】
次に、図2乃至図3を参照しながら有機EL装置10の具体的な構成を説明する。図2は、有機EL装置10の概略構成を示す平面図であり、図3は図2のIII−III´線断面図である。
【0061】
図2及び図3において、有機EL装置10は、基板1上の画素領域110に形成された複数の画素部70を備えている。
【0062】
画素部70は、基板1上における画素領域110にマトリクス状に配設されている。画素部70は、図中横方向に沿って配列された3つのサブ画素部70R、70G及び70Bを一組として構成されており、画素領域110の図中縦方向及び横方向の夫々に沿って配列されている。
【0063】
図3において、有機EL装置10は、基板1、本発明の第1の発明の「光源部」の一例を構成する有機EL素子72R、72G及び72B、隔壁部47、封止部20、蛍光変換膜30、及びカラーフィルタ22を備えている。
【0064】
有機EL素子72R、72G、72Bの夫々は、有機EL層50、有機EL層50上に形成された陰極49、有機EL層50の下層側に形成された陽極34、及び隔壁部47を備えている。
【0065】
有機EL層50は、本発明の第1の発明の「第1有機EL層及び第2有機EL層」の夫々一例である有機EL層50B及び50Rを備えている。
【0066】
有機EL層50B及び50Rの夫々は、基板1上の画素領域110に形成された画素部70に含まれる3つのサブ画素部70R、70G及び70Bに共通に形成されている。より具体的に、有機EL層50B及び50Rの夫々は、サブ画素部70R、70G及び70Bに共通な一枚の膜として形成されている。有機EL層50B及び50Rは、有機EL装置10動作時に青色及び赤色の夫々の色に発光する。したがって、有機EL層50はその下側に向かって青色光及び赤色光を含むマゼンダ色の混色光(以下、マゼンダ光と称す。)を出射する。
【0067】
尚、後述するように、蛍光変換膜30と、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々が有するカラーフィルタ22とによって、有機EL層50から出射されたマゼンダ光から赤色光、緑色光、及び青色光の夫々の光が生成され、且つ出射される。したがって、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々は、基板1上に有機EL層50B及び50Rを平面的に連続した膜として形成しておくことで赤色光、緑色光及び青色光を出射できる。加えて、解像度を高めるために、画素のサイズが微細化され、且つ画素ピッチを狭められた場合でも、例えばインクジェット法を用いて各色に発光する有機EL材料をサブ画素部毎に塗り分けることなく、有機EL装置10は画像をフルカラー表示できる。また、インクジェット法を用いて各サブ画素部70に赤色、緑色及び青色の夫々の色に発光する有機EL材料を塗り分けなくても、スピンコート法等の塗布法を用いて各サブ画素部70に有機EL材料を含む塗布材料を一括で簡便に塗布することによって有機EL層50を簡便に形成できる。
【0068】
ここで、有機EL層50B及び50Rが互いに積層されているため、有機EL層50Bを単層で形成した場合に比べて、有機EL層50Bの輝度寿命を延ばすことができる。より具体的には、単一層の有機EL層50Bは、その動作時に有機EL層50Bに過剰な正孔が発生し易い。過剰な正孔が有機EL層50Bに流れ続けた場合、正孔が有機EL層50Bを突き破り、有機EL層50Bは継続して青色に発光することが困難となる。
【0069】
本実施形態の有機EL装置10では、有機EL層50Bに積層された有機EL層50Rが、有機EL層50Bに生じる過剰な正孔が有機EL層50Bを突き破ることを抑制する。したがって、有機EL層50B及び50Rを互いに積層してなる有機EL層50によれば、その動作時に有機EL層50が損傷を受けることを低減でき、有機EL層50Bの輝度寿命を延ばすことが可能である。尚、有機EL層50は発光層として機能する層だけでなく、電子注入層或いは電子輸送層等の各種層を含んでいてもよい。
【0070】
基板1は、例えばガラス基板等の光透過性を有する基板である。図1に示した駆動用トランジスタ74及びスイッチング用トランジスタ76は、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々から出射される光を遮らないよう有機EL素子72の下側の領域を避けるように形成されている。
【0071】
陽極34は、基板1上に順次形成された平坦な層間絶縁膜41、及び保護層45のうち保護層45の表面に沿って延在するように、例えばITO等の透明な導電材料によって形成されている。陽極34は、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々に有機EL層50の下層側に形成されており、有機EL層50から出射されたマゼンダ光を透過させる。したがって、有機EL装置10は、有機EL層50からみて基板1側に光が出射される、所謂ボトムエミッション型の有機EL装置である。
【0072】
陰極49は、有機EL層50を介して陽極34に対向するようにサブ画素部70R、70G及び70Bに共通に形成されている。より具体的には、陰極49は、各サブ画素部70を互いに分ける隔壁部47の表面及び有機EL層50の表面を被うように形成され、異なるサブ画素部70R、70G及び70Bの夫々が有する有機EL素子72R、72G及び72Bに共通とされる共通電極である。陰極49は、Al等の金属薄膜或いは複数の金属薄膜が積層された積層膜であり、有機EL層50から出射されたマゼンダ光を有機EL層50の上層側に透過させることなく、有機EL層50の下層側に反射する。したがって、有機EL層50から出射されたマゼンダ光は、有機EL層5の下層側にのみ出射される。
【0073】
陰極49及び陽極34は、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々において有機EL層50を介して対向している。図1に示した電源供給線117から供給された駆動電流が走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150の制御下で各陽極34に供給される。したがって、サブ画素部70R、70G及び70Bは、赤色光、緑色光及び青色光を所定のタイミングで出射できる。これにより、有機EL装置10は、赤色光、緑色光及び青色光等の光の3原色を用いたフルカラーの画像表示を行うことが可能である。
【0074】
蛍光変換膜30は、最終的にカラーフィルタ22Gを介して緑色光を出射するサブ画素部70Gに形成されている。蛍光変換膜30は、有機EL素子72Gからみて基板1側に形成されており、有機EL素子72Gから出射されるマゼンダ光に含まれる青色光を吸収することによって緑色光Lgを生成し、生成された緑色光Lgをカラーフィルタ22Gに出射する。蛍光変換膜30は、例えばスチルベン系化合物及びクマリン系化合物を含んでおり、吸収した青色光のエネルギーに応じて緑色光を生成する。
【0075】
カラーフィルタ22R、22G及び22Bの夫々は、サブ画素部70R、70G及び70Bに形成されている。カラーフィルタ22R、22G及び22Bの夫々は、有機EL素子72R、蛍光変換膜30及び有機EL素子72Bからみて基板1側に形成されており、有機EL素子72R及び72Bから出射されたマゼンダ光に含まれる赤色光、青色光、及び蛍光変換膜30から出射された緑色光Lgの夫々を透過させる。より具体的には、カラーフィルタ22Rは、マゼンダ光に含まれる赤色光及び青色光のうち赤色光のみを透過させ、カラーフィルタ22Bは、マゼンダ光に含まれる青色光のみを透過させる。カラーフィルタ22Gは、蛍光変換膜30から出射された緑色光Lgのみを透過させる。
【0076】
したがって、有機EL装置10によれば、マゼンダ光を出射する有機EL層50から複数のカラーフィルタ22R、22G及び22Bの夫々を介して赤色光、緑色光及び青色光の夫々を出射できる。これにより、青色に発光する有機EL層50Bの輝度寿命を延ばしつつ、且つ青色光から赤色光を生成する蛍光変換膜を用いることなく、赤色、緑色及び青色の光の3原色を出射できる。有機EL装置10によれば、有機EL素子72R、72G及び72Bの発光を制御することによって、例えば256色表示が可能となり、表示特性に優れたディスプレイを提供することが可能である。また、赤色光、緑色光および青色光を同時に出射する有機EL装置10が液晶装置のバックライトに応用されてもよい。このようなバックライトは白色光を長期間に亘って出射できる。
【0077】
封止板20は、ガラス等の光透過性を有する材料を用いて形成されており、水分が有機EL装置10の外部から有機EL層50に浸入することを防止する。より具体的には、封止板20は、基板1上に接着剤によって接着されており、有機EL素子72、蛍光変換膜30及びカラーフィルタ22が大気に触れないように封止する。封止板20は、例えば封止板20の周縁部にディスペンサ等の塗布手段を用いて塗布された接着剤を介して基板1に接着され、封止されている。これにより、例えば大気中に含まれる水分によって有機EL素子72、カラーフィルタ22及び蛍光変換膜30が劣化することを低減でき、有機EL装置10の寿命を延ばすことが可能である。
【0078】
(変形例1)
次に、図4を参照しながら本実施形態の有機EL装置の変形例を説明する。尚、以下の各例及び各実施形態では、上述の有機EL装置10と共通する部分について共通の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。図4は、本例の有機EL装置210の具体的な構成を示す断面図であり、図2に示したIII−III´線断面図に対応している。
【0079】
図4において、本例の有機EL装置210は、基板1を介して陽極34の下層側に形成された蛍光変換膜30及びカラーフィルタ22、並びに基板1の下側に配置された基板101を備えている。カラーフィルタ22R、22G及び22Bの夫々は、光透過性を有する基板101上に形成されている。カラーフィルタ22R、22G及び22Bを透過した赤色光R、緑色光G及び青色光Bは、基板101を介して出射される。
【0080】
有機EL装置210によれば、カラーフィルタ22R、22G及び22Bを透過した赤色光R、緑色光G及び青色光Bが基板101を介して出射されるため、フルカラー表示が可能な画像表示装置に適していないまでも、スキャナー等の白色光源としては十分適用可能である。尚、有機EL装置210では、基板1及び101、並びに基板1及び封止部20間を接着剤によって封止することにより、有機EL素子72、カラーフィルタ22及び蛍光変換膜30は大気に触れないように封止されている。
【0081】
(変形例2)
次に、図5を参照しながら本実施形態の有機EL装置の他の変形例を説明する。図5は、本例の有機EL装置310の具体的な構成を示す断面図であり、図2に示したIII−III´線断面図に対応している。
【0082】
図5において、本例の有機EL装置310は、基板1を介して陽極3の下層側に形成された蛍光変換膜30及びカラーフィルタ22、並びに基板1の下側に配置された基板101を備えている。より具体的には、蛍光変換膜30及びカラーフィルタ22は、基板1の裏面、即ち基板1を基準として有機EL素子72が配置された側の反対側の面に配置されている。有機EL装置310は、有機EL装置210と同様に、カラーフィルタ22R、22G及び22Bを透過した赤色光、緑色光及び青色光を基板101を介して出射する。
【0083】
有機EL装置310によれば、カラーフィルタ22R、22G及び22Bを透過した赤色光、緑色光及び青色光が基板101を介して出射されるため、フルカラー表示が可能な画像表示装置に適していないまでも、スキャナー等の白色光源としては十分適用可能である。尚、有機EL装置310は、基板1及び101、並びに基板1及び封止部20間を接着剤によって封止することにより、有機EL素子72、カラーフィルタ22及び蛍光変換膜30が大気に触れないように封止されている。
【0084】
(変形例3)
次に、図6を参照しながら本実施形態の有機EL装置の他の変形例を説明する。図6は、本例の有機EL装置410の具体的な構成を示す断面図であり、図2に示したIII−III´線断面図に対応している。尚、本例の有機EL装置410は、後述するように赤色光、緑色光及び青色光を基板1の上層側に出射するトップエミッション型の有機EL装置である。
【0085】
図6において、有機EL装置410は、陽極34の下層側に形成された光反射膜32を備えている。
【0086】
光反射膜32は、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々に形成されており、有機EL素子72R、72G及び72Bの夫々から出射されたマゼンダ光Mを有機EL素子72の上層側に反射する。
【0087】
蛍光変換膜30及びカラーフィルタ22は、有機EL素子72の上層側に形成されている。サブ画素部70R及70Bでは、光反射膜32によって反射されたマゼンダ光Mに含まれる赤色光及び青色光の夫々がカラーフィルタ22R及び22Bの夫々を介して図中上側に向かって赤色光R及び青色光Bとして出射される。サブ画素部70Gでは、光反射膜32によって反射されたマゼンダ光Mに含まれる青色光が蛍光変換膜30に吸収され、蛍光変換膜30から出射された緑色光Lgがカラーフィルタ22Gを介して図中上側に緑色光Gとして出射される。
【0088】
有機EL装置410によれば、有機EL素子72から出射されたマゼンダ光Mが光反射膜32によって基板1の上側に反射されるため、例えば光を遮るTFT(Thin Film Transistor)等の素子、或いは配線が基板1中に形成されている場合でも、上層側に赤色光R、緑色光G及び青色光Bを出射できる。
【0089】
尚、有機EL装置410も、有機EL装置210と同様に封止され、有機EL素子72、カラーフィルタ22及び蛍光変換膜30の劣化が抑制されている。
【0090】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の発明に係る有機EL装置の実施形態を説明する。図7は、本実施形態の有機EL装置510の具体的な構成を示す断面図であり、図2に示したIII−III´線断面図に対応している。
【0091】
図7において、有機EL装置510は、本発明の「光源部」の一例を構成する有機EL素子72R、72G及び72B、隔壁部47、封止部20、蛍光変換膜30、及びカラーフィルタ22を備えている。
【0092】
有機EL素子72R、72G及び72Bの夫々は、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々に形成されている。有機EL素子72R、72G及び72Bの夫々が有する有機EL層50は、基板1上の画素領域110に形成された画素部70に含まれるサブ画素部70R、70G及び70Bに共通に形成されている。有機EL層50は、第1実施形態と同様に、サブ画素部70R及び70Bの夫々に形成された陽極34、サブ画素部70gに形成された陽極34G、及び有機EL層50を介してこれら陽極に対向するように形成された陰極49によってマゼンダ光Mを出射する。
【0093】
緑色光を出射するための光源である有機EL素子72Gは、本発明の「光反射膜」の一例である陰極49、ハーフミラー31G及び陽極34Gを備えている。
【0094】
陰極49は、例えば蒸着法を用いて複数のサブ画素部に共通に形成されたAl等の金属薄膜である。ハーフミラー31Gは、陽極34Gの下層側に形成されている。陰極49は、有機EL層50から出射されたマゼンダ光Mをハーフミラー31Gに向かって反射する。したがって、陰極49は、本来の陰極としての機能、即ち有機EL層50を介して陽極34との間で駆動電流を流す機能に加えて、マゼンダ光を反射する機能も有している。
【0095】
陰極49及びハーフミラー31Gは、有機EL層50から出射されたマゼンダ光Mに含まれる青色光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光を共振させる。所定の波長を有する青色光は、共振によって所定の波長で発光強度が最大となった状態でハーフミラー31Gから蛍光変換膜30に出射される。
【0096】
ここで、「所定の波長」とは、蛍光変換膜30が緑色光を出射するために吸収する青色光の波長であり、この波長は蛍光変換膜30に含まれる蛍光変換材料によって特定される。マゼンダ光Mに含まれる青色光は、蛍光変換膜30が吸収する青色光の波長以外の波長成分を含んだ光であるため、マゼンダ光Mをそのまま蛍光変換膜30に出射した場合には、蛍光変換膜30が吸収する波長の青色光を除いた光が緑色光に変換されず、光の変換効率を高めることが困難となる。そこで、有機EL素子72Gは、後に詳細に説明するようにマゼンダ光Mに含まれる青色光のうち蛍光変換膜30が吸収する波長を有する青色光を共振させることによって、共振される前に比べて所定の波長において発光強度が最大となる青色光Lbgを蛍光変換膜30に出射する。蛍光変換膜30は、吸収した青色光Lbgのエネルギーから緑色光を生成し、生成した緑色光を蛍光変換膜30の下側に形成されたカラーフィルタ22Gに出射する。
【0097】
陽極34Gは、緑色光を出射するサブ画素部70Gに設けられており、赤色光及び青色光の夫々の光を出射するサブ画素部70R及び70Bに設けられた陽極34とは異なる厚みを有している。陰極49及びハーフミラー31G間の光学長は、有機EL層50から出射されたマゼンダ光Mに含まれる光のうち、青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光が陰極49及びハーフミラー31G間で共振するように陽極34Gによって設定されている。即ち、有機EL素子72Gは、所定の波長を有する青色光を共振させる光共振器構造を有している。
【0098】
ここで、陽極34G及び陰極49間に介在する有機EL層50は、例えばスピンコート法等の塗布法を用いてサブ画素部70R、70G及び70Bに共通に形成されているため、有機EL層50のうちサブ画素部70Gに延びる部分の厚みのみを調整することは、有機EL装置510の製造プロセス上困難である。そこで、有機EL装置510では、有機EL層50の下層側に形成される陽極34Gの厚みを予め調整しておくことにより、陰極49及びハーフミラー31G間の光学長を設定する。
【0099】
より具体的には、図8に示すように、陽極34Gは、サブ画素部70R及び70Bの夫々が有する陽極34と共に保護層45の表面に形成されており、例えばエッチング工程によって厚みtgが調整されている。陽極34G及び陰極49間の光学長dgは、陽極34Gの厚みに応じて決まる陰極49及びハーフミラー31G間の物理的距離に加え、陰極49及びハーフミラー31G間に介在する有機EL層50の膜厚及び屈折率を考慮した上で設定されている。陽極34G及び陰極49間の光学長dgは、所定の波長、即ち共振させるべき青色光Lbgの波長の半分の整数倍に設定されている。したがって、有機EL素子72Gは、蛍光変換膜30に向かって蛍光変換膜30が吸収する青色光Lbgを出射する。また、有機EL装置510によれば、有機EL層50の形成条件を変更することなく陽極34Gの厚みによって光学長dgを調整できるため、有機EL装置510の製造プロセスを煩雑にすることなく、蛍光変換膜30の光変換効率を向上させることが可能である。加えて、陰極49を光反射膜として兼用できるため、有機EL素子72R、72G及び72Bの構成を大きく変更する必要もない。
【0100】
また、蛍光変換膜30から出射される緑色光Lbgの波長は、蛍光変換膜30が吸収する青色光の波長によって決まるため、蛍光変換膜30から出射される緑色光の波長が、例えば545nmとなるように、ハーフミラー31G及び陰極49間で共振させる青色光の波長が設定されている。即ち、陰極49及びハーフミラー31G間の光学長dgは、蛍光変換膜30が理想的な波長を有する緑色光を出射できるように、共振させる青色光の波長に合わせて設定されていることになる。
【0101】
次に、図7及び図9を参照しながら有機EL層50で生成されたマゼンダ光M、各サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々から出射される光の波長の関係を詳細に説明する。図9は、有機EL層50から出射された光が最終的に各サブ画素部70R、70G及び70Bから出射されるまでの波長の変化を模式的に示したスペクトル図である。
【0102】
図9(a)において、有機EL層50は、青色光MB及び赤色光MBを含むマゼンダ光Mを生成する。有機EL素子72Gが有する陰極49及びハーフミラー31G間では、マゼンダ光Mに含まれる青色光MBのうち波長λb1の青色光Lbgが共振される。青色光Lbgは、マゼンダ光Mに含まれる青色光MBに比べて波長λb1において急峻な発光ピークを有する光である。
【0103】
加えて、図9(b)に示すように、青色光Lbgの波長λb1は、蛍光変換膜30が上述の理想的な緑色光λgを生成する際に吸収する光の波長に相当する。したがって、蛍光変換膜30は、青色光Lbgを吸収し、波長λgを有する緑色光Lgを生成し、緑色光Lgをカラーフィルタ22Gに出射する。
【0104】
図9(c)において、各サブ画素部70R、70G及び70Bに形成されたカラーフィルタ22R、22G及び22Bは、有機EL素子72R、72G及び72Bの夫々から出射された青色光MB、緑色光Lg及び赤色光MRのうち青色光B1、緑色光G1及び赤色光R1を透過させる。ここで、有機EL素子72R、72G及び72Bから出射された光のうち不要な波長成分を有する光がカラーフィルタ22R、22G及び22Bによって除去される。より具体的には、2カラーフィルタ2R、22G及び22Bの夫々は、波長λb、λg及びλrの夫々を有する青色光B1、緑色光G1及び赤色光R1を透過させる。
【0105】
したがって、緑色光G1は、波長λb1の青色光Lbgを蛍光変換膜30に吸収させない場合、即ち有機EL層50から出射された青色光MBをそのまま蛍光変換膜30に吸収させる場合に比べて、理想的な緑色光の波長λgの発光強度がより強められた光であり、有機EL層50が生成した青色光MBのうち波長がλgである緑色光を出射させる際に寄与しない青色光の波長成分を低減できる。したがって、有機EL素子72Gに含まれる有機EL層50において生成された青色光MBから緑色光G1を出射する際の光取り出し効率が高められる。
【0106】
このように、本実施形態の有機EL装置510によれば、蛍光変換膜30を介して効率良く色純度の高い緑色光を取り出すことができる。したがって、陽極34及び34Gに供給される駆動電流を走査線駆動回路及びデータ線駆動回路の制御下で制御することによって、色再現性に優れた高品位のフルカラー表示を行うことが可能である。また、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々から色純度に優れた赤色光、緑色光及び青色光を出射することにより高品位の白色光源を提供できる。加えて、本実施形態の有機EL装置510によれば、青色に発光する有機EL層50Bの輝度寿命は、青色に発光する有機EL層を単一層として形成した場合の輝度寿命に比べて長い。したがって、有機L装置510によれば、長期間に亘って、高品位のフルカラー表示、或いは白色光の出射が可能となる。
【0107】
尚、有機EL装置510は、第1実施形態の有機EL装置と同様に有機EL素子、蛍光変換膜及びカラーフィルタが大気に触れないように封止されている。よって、大気中に含まれる水分による有機EL層、蛍光変換膜及びカラーフィルタの劣化が低減されている。
【0108】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の発明に係る有機EL装置の実施形態を説明する。図10は、本実施形態の有機EL装置610の具体的な構成を示す断面図であり、図2に示したIII−III´線断面図に対応している。本実施形態の有機EL装置610は、サブ画素部70R、70G及び70Bにおいて互いに異なる光学長を有する光共振器構造を備えている。
【0109】
図10において、有機EL装置610は、本発明の「光源部」の一例を構成する有機EL素子72R、72G及び72B、隔壁部47、封止部20、蛍光変換膜30、及びカラーフィルタ22を備えている。
【0110】
有機EL素子72R、72G及び72Bの夫々は、ハーフミラー31R、31G及び31B、陽極34R、34G及び34B、有機EL層50、及び陰極49を備えている。
【0111】
ハーフミラー31R、31G及び31Bは、基板1上に形成された平坦な保護層45の表面に形成されている。陽極34R、34G及び34Bの夫々は、ハーフミラー31R、31G及び31Bの夫々の上に形成されている。
【0112】
有機EL層50は、サブ画素部70R、70G及び70Bに共通に形成されており、サブ画素部70R、70G及び70Bを互いに隔てる隔壁部47上と、陽極34R、34G及び34B上とに延在されている。より具体的には、青色に発光する有機EL層50B及び赤色に発光する有機EL層50Rが互いに積層されている。このような有機EL層50は、スピンコート法等の塗布法を用いて形成されており、その動作時に、青色光及び赤色光を含むマゼンダ光Mを出射する。陰極49は、サブ画素部に共通に形成されている。陰極49は、例えば蒸着法を用いて形成されたAl等の金属薄膜である。
【0113】
ハーフミラー31R、31G及び31Bと陰極49とは、各サブ画素部において互いに異なる光学長を有する光共振器構造を構成する。これにより、有機EL素子72Rは、赤色光の波長帯域における特定の波長で発光強度が最大となる、本発明の「第2の光」の一例である赤色光Lrをハーフミラー31Rを介して出射する。有機EL素子72G及び72の夫々は、青色光の波長帯域において互いに異なる波長で発光強度が最大となる、本発明の「第1の光」及び「第3の光」の夫々一例である青色光Lb1及びLbをハーフミラー31G及び31Bの夫々を介して出射する。即ち、有機EL素子72R、72G及び72Bの夫々は、有機EL層50から出射された青色光及び赤色光を含むマゼンダ光Mを出射するのではなく、これら青色光及び赤色光に含まれる特定の波長を有する3つの赤色光Lr、青色光Lb1及びLbを出射する。
【0114】
陽極34G及び陰極49間に介在する有機EL層50は、例えばスピンコート法等の塗布法を用いてサブ画素部70R、70G及び70Bに共通に形成されているため、有機EL層50のうちサブ画素部70Gに延びる部分の厚みのみを調整することは、有機EL装置510の製造プロセス上困難である。そこで、有機EL装置510では、有機EL層50の下層側に形成される陽極34R、34G及び34Bの厚みを予め調整しておくことにより、陰極49と、ハーフミラー31R、31G及び31Bとの間の光学長dr、dg及びdbを設定する。
【0115】
陽極34R、34G及び34Bは、互いに異なる厚みtr、tg及びtbを有しており、ハーフミラー31R、31G及び31Bと陰極49との間の光学長を調整する。より具体的には、陽極34R、34G及び34Bの夫々の厚みtr、tg及びtbと、有機EL層50の厚みと加えた各有機EL素子72における光学長dr、dg、及びdbの夫々は、各有機EL素子72から出射される赤色光Lr、青色光Lb1及び青色光Lbの半波長の整数倍に設定されている。したがって、有機EL層50を陽極34R、34G及び34B上に共通に形成した場合でも、有機EL装置610の設計を大きく変更することなく、且つ有機EL装置610の製造プロセスを煩雑化させることなくハーフミラー31R、31G及び31Bと陰極49との間の光学長を設定できる。尚、光学長は、第2実施形態と同様に陽極34R、34G及び34Bと陰極49との物理的距離、及び有機EL層50の屈折率及膜厚を考慮した上で設定されている。また、陰極49を光反射膜として兼用できるため、有機EL素子72R、72G及び72Bの構成を大きく変更する必要もない。
【0116】
蛍光変換膜30から出射される緑色光の波長は、蛍光変換膜30が吸収する青色光の波長によって決まるため、蛍光変換膜30から出射される緑色光の波長が、例えば545nmとなるように、陽極34G及び陰極40間で共振させる青色光の波長が設定されている。即ち、陰極49及びハーフミラー31G間の光学長は、蛍光変換膜30が理想的な波長(545nm)を有する緑色光を出射できるように、共振させる青色光の波長に合わせて設定されていることになる。
【0117】
蛍光変換膜30は、有機EL素子72Gから出射された青色光Lb1を吸収し、緑色光Lgをカラーフィルタ22Gに向かって出射する。蛍光変換膜30から出射される緑色光Lgの波長は、後述するように光の3原色を用いたフルカラー表示、或いは光の3原色によって構成される白色光に用いられる緑色光として理想的な545nmである。青色光Lb1は、蛍光変換膜30が緑色光Lgを生成する際に吸収する青色光の波長である。したがって、青色光Lb1は、蛍光変換膜30によって緑色光Lgに変換されない波長成分が低減され、且つ蛍光変換膜30によって緑色光Lgに変換される波長成分が強められている。
【0118】
カラーフィルタ22Gは、波長が545nmである緑色光Lgを透過させ、他の波長成分をカットする。したがって、有機EL素子72Gが青色光Lb1を蛍光変換膜30に出射することによって、蛍光変換膜30は高い光変換効率で色純度の高い緑色光Lgを生成できる。加えて、蛍光変換膜30が色純度の高い緑色光Lgをカラーフィルタ22Gに出射することにより、色純度の高い緑色光G2の光取出し効率を高めることが可能である。
【0119】
カラーフィルタ22R及び22Bの夫々は、有機EL素子72R及び有機EL素子72Bの夫々から出射された赤色光R2、緑色光G2及び青色光B2を透過させる。赤色光Lr及び青色光Lbは、有機EL素子72R及び72Bの夫々で共振されているため、余分な波長成分、即ち各有機EL素子で共振された光の共振波長以外の波長成分が低減されている。したがって、マゼンダ光Mに含まれる青色光及び赤色光の夫々をそのままカラーフィルタ22B及び22Rに出射する場合に比べて色純度の高い青色光B2及び赤色光R2の光取り出し効率が向上する。
【0120】
有機EL素子72R及び72Bの夫々からカラーフィルタ22R及び22Bの夫々に出射される赤色光Lr及びLbの波長は、本発明の「第2波長」及び「第3波長」の夫々一例である620nm及び450nmであり、フルカラー表示をする際に用いられる赤色光及び青色光として理想的な波長である。有機EL装置610は、波長が450nmである青色光、波長が545nmである緑色光、及び波長が620nmである赤色光をカラーフィルタ22R、22G及び22Bの夫々を介して同時に出射することにより、例えばスキャナーの白色光源として好適な白色光を出射できる。より具体的には、スキャナーが備えるCCD等の受光素子によって検出される赤色光、緑色光及び青色光の検出効率は、上述の450nm、545nm及び620nmの波長を有する赤色光、緑色光及び青色光を用いた場合に高くなる。したがって、これら3つの波長を有する青色光、緑色光及び赤色光によって構成される白色光をスキャナーで適用することによって、スキャナーの読み取り性能を高めることができ、スキャナーの色再現性を高めることを可能である。
【0121】
次に、図10及び図11を参照しながら、有機EL層50で生成されたマゼンダ光M、各サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々から出射される光の波長の関係を詳細に説明する。図11は、有機EL層50から出射された光が最終的に各サブ画素部70R、70G及び70Bから出射されるまでの波長の変化を模式的に示したスペクトル図である。
【0122】
図11(a)において、有機EL層50は、青色光MB及び赤色光MBを含むマゼンダ光Mを生成する。有機EL素子72Gが有する陰極49及びハーフミラー31G間では、マゼンダ光Mに含まれる青色光MBのうち、本発明の「第1波長」の一例である波長λb1の青色光Lbgが共振される。青色光Lbgは、マゼンダ光Mに含まれる青色光MBに比べて波長λb1において急峻な発光強度を有する光である。有機EL素子72Bが有する陰極49及びハーフミラー31B間では、マゼンダ光Mに含まれる青色光MBのうち本発明の「第2波長」の一例である波長λbの青色光Lbが共振される。有機EL素子72Rが有する陰極49及びハーフミラー31R間では、マゼンダ光Mに含まれる赤色光MRのうち、本発明の「第3波長」の一例である波長λrの赤色光Lrが共振される。
【0123】
図11(b)に示すように、青色光Lbgの波長λb1は、蛍光変換膜30が緑色光Lgを生成する際に吸収する光の波長に相当する。したがって、蛍光変換膜30は、青色光Lbgを吸収し、波長λgを有する緑色光Lgを生成し、緑色光Lgをカラーフィルタ22Gに出射する。図11(c)において、各サブ画素部70R、70G及び70Bに形成されたカラーフィルタ22R、22G及び22Bは、有機EL素子72R、蛍光変換膜30及び有機EL素子72Bの夫々から出射された赤色光Lr、緑色光Lg及び青色光Lbを透過させ、他の波長成分を有する光をカットする。したがって、有機EL素子72R、蛍光変換膜30及び有機EL素子72Bから出射された光のうち不要な波長成分を有する光がカラーフィルタ22R、22G及び22Bによって除去される。カラーフィルタ22R、22G及び22Bの夫々は、有機EL層50によって生成されたマゼンダ光Mから各色に応じて色純度が高い赤色光R2、緑色光G2及び青色光B2を出射する。
【0124】
このように、本実施形態の有機EL装置510によれば、蛍光変換膜30を介して効率良く色純度が高い赤色光、緑色光及び青色光を取り出すことができる。したがって、陽極に供給される駆動電流を走査線駆動回路及びデータ線駆動回路の制御下で制御することによって、色再現性に優れた高品位のフルカラー表示を行うことが可能である。また、サブ画素部70R、70G及び70Bの夫々から色純度に優れた赤色光、緑色光及び青色光を出射することにより高品位の白色光源を提供できる。加えて、本実施形態の有機EL装置510によれば、青色に発光する有機EL層50Bの輝度寿命は、青色に発光する有機EL層を単層として形成した場合の輝度寿命に比べて長い。したがって、有機L装置610によれば、長期間に亘って、高品位のフルカラー表示、或いは白色光の出射が可能となる。
【0125】
尚、有機EL装置510は、第1及び第2実施形態の有機EL装置と同様に有機EL素子、蛍光変換膜及びカラーフィルタが大気に触れないように封止されている。よって、大気中に含まれる水分による有機EL層、蛍光変換膜及びカラーフィルタの劣化が低減されている。
【0126】
(電子機器)
次に、上述した有機EL装置を備えた各種電子機器について説明する。
【0127】
<A:モバイル型コンピュータ>
図12を参照しながらモバイル型のコンピュータに上述した有機EL装置を適用した例について説明する。図12は、コンピュータ1200の構成を示す斜視図である。
【0128】
図12において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、図示しない有機EL装置を用いて構成された表示部1005を有する表示ユニット1206とを備えている。表示部1005は、色純度が高い赤色光、緑色光及び青色光を出射するサブ画素部を備えているため、色再現性に優れたフルカラー表示で画像を表示できる。加えて、表示部1005に含まれる有機EL層は優れた輝度寿命を有しているため、コンピュータ1200の信頼性も高められている。
【0129】
<B:携帯型電話機>
更に、上述した有機EL装置を携帯型電話機に適用した例について、図13を参照して説明する。図13は、携帯型電話機1300の構成を示す斜視図である。
【0130】
図13において、携帯型電話機1300は、複数の操作ボタン1302と共に、本発明の一実施形態である有機EL装置を有する表示部1305を備えるものである。
【0131】
表示部1305は、上述の表示部1005と同様に高品質の画像を表示することができる。また、表示部1305が備える複数の有機EL素子が夫々赤、緑、青の光の三原色の光を発光することから、表示部1305はフルカラー表示で画像表示を行うこともでき、且つ信頼性も高められ手いる。
【0132】
本発明の第1、第2及び第3に係る有機EL装置は、上述した電子機器に応用される場合に限定されるものではなく、例えば、高品位の表示が可能な、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル、及び電子ペーパなどの電気泳動装置等などの各種電子機器に応用可能である。
【0133】
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る有機EL装置10の概略構成を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III´線断面図である。
【図4】第1実施形態に係る有機EL装置の変形例1を示す断面図である。
【図5】第1実施形態に係る有機EL装置の変形例2を示す断面図である。
【図6】第1実施形態に係る有機EL装置の変形例3を示す断面図である。
【図7】第2実施形態に係る有機EL装置10の概略構成を示す断面図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】第2実施形態における光の波長の変化を模式的に示したスペクトル図である。
【図10】第3実施形態に係る有機EL装置10の概略構成を示す断面図である。
【図11】第3実施形態における光の波長の変化を模式的に示したスペクトル図である。
【図12】本発明に係る有機EL装置を備える電子機器の一例を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る有機EL装置を備える電子機器の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0135】
10、210、310、410、510、610 有機EL装置、22R、22G、22B カラーフィルタ、31R、31G、31B ハーフミラー、50、50B、50R 有機EL層、70 画素部、70R、70G、70B サブ画素部、72R、72G、72B 有機EL素子、34、34R、34G、34B 陽極、49 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に互いに積層された青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する第2有機EL層を有し、且つ前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光を出射する光源部と、
前記混色光に含まれる青色光を吸収することによって緑色光を生成し、且つ該生成された緑色光を出射する蛍光変換膜と、
前記混色光に含まれる青色光及び赤色光、並びに前記蛍光変換膜から出射された緑色光の夫々を選択的に透過させる複数のカラーフィルタとを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記基板上の画素領域に形成された画素部に含まれる複数のサブ画素部の夫々において前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の下層側に形成された陽極と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記陽極に対向するように前記複数のサブ画素部に共通に形成された陰極とを有しており、
前記複数のカラーフィルタの夫々は、前記サブ画素部毎に形成されており、
前記蛍光変換膜は、前記複数のサブ画素部のうち前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記蛍光変換膜及び前記複数のカラーフィルタは、前記陽極の下層側に形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記蛍光変換膜及び前記複数のカラーフィルタは、前記基板を介して前記陽極の下層側に形成されており、前記複数のカラーフィルタを透過した赤色光、緑色光及び青色光は、前記基板の下側に設けられた他の基板を介して出射されること
を特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記光源部は、前記陽極の下層側に形成されており且つ前記混色光を前記光源部の上層側に反射する光反射膜を備えており、
前記蛍光変換膜及び前記複数のカラーフィルタは、前記上層側に形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に互いに積層された青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する第2有機EL層を有し、且つ前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光に含まれる光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光を共振させることによって、前記所定の波長において発光強度が最大となる青色光を出射する光源部と、
前記所定の波長において発光強度が最大となる青色光を吸収することによって緑色光を生成し、且つ該生成された緑色光を出射する蛍光変換膜と、
前記混色光に含まれる青色光及び赤色光、並びに前記緑色光の夫々を選択的に透過させる複数のカラーフィルタとを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項7】
前記光源部は、前記基板上の画素領域に形成された画素部に含まれる複数のサブ画素部の夫々において前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の下層側に形成された陽極と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記陽極に対向するように前記複数のサブ画素部に共通に形成された陰極とを有しており、
前記複数のカラーフィルタの夫々は、前記サブ画素部毎に形成されており、
前記蛍光変換膜は、前記複数のサブ画素部のうち前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されていること
を特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記光源部は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された光反射膜と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記光反射膜に対向するように前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されたハーフミラーとを有しており、
前記光反射膜及び前記ハーフミラー間の光学長は、前記混色光に含まれる光のうち青色光の波長帯域に含まれる所定の波長を有する青色光が前記光反射膜及び前記ハーフミラー間で共振するように設定されていること
を特徴とする請求項7に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記陽極は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層と前記ハーフミラーとの間に形成されており、
前記光反射膜は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された陰極と兼用されており、
前記光学長は、前記陽極の厚みを調整することによって設定されていること
を特徴とする請求項8に記載の有機EL装置。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に互いに積層された青色に発光する第1有機EL層及び赤色に発光する第2有機EL層を有し、且つ前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の夫々から出射された青色光及び赤色光を含む混色光に含まれる互いに異なる波長を有する3つの光を共振させることによって、青色光の波長帯域において互いに異なる第1波長及び第2波長の夫々で発光強度が最大となる第1の光及び第2の光、並びに赤色光の波長帯域における第3波長で発光強度が最大となる第3の光を出射する光源部と、
前記第1の光を吸収することによって緑色光を生成し、且つ該生成された緑色光を出射する蛍光変換膜と、
前記緑色光、前記第2の光及び前記第3の光の夫々を選択的に透過させる複数のカラーフィルタとを備えたこと
を特徴とする有機EL装置。
【請求項11】
前記光源部は、前記基板上の画素領域に形成された画素部に含まれる複数のサブ画素部の夫々において前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の下層側に形成された陽極と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記陽極に対向するように前記複数のサブ画素部に共通に形成された陰極とを有しており、
前記複数のカラーフィルタの夫々は、前記サブ画素部毎に形成されており、
前記蛍光変換膜は、前記複数のサブ画素部のうち前記緑色光を透過させるカラーフィルタが形成されたサブ画素部に形成されていること
を特徴とする請求項10に記載の有機EL装置。
【請求項12】
前記光源部は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された光反射膜と、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層を介して前記光反射膜に対向するように前記複数のサブ画素部の夫々に形成された複数のハーフミラーとを有しており、
前記光反射膜及び前記複数のハーフミラー間の夫々の光学長は、前記3つの光の夫々が前記第1波長、前記第2波長及び前記第3波長の夫々の波長で発光強度が最大となるように設定されていること
を特徴とする請求項11に記載の有機EL装置。
【請求項13】
前記陽極は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層と前記複数のハーフミラーの夫々との間に形成されており、
前記光反射膜は、前記第1有機EL層及び前記第2有機EL層の上層側に形成された陰極と兼用されており、
前記光学長は、前記陽極の夫々の厚みを調整することによって設定されていること
を特徴とする請求項12に記載の有機EL装置。
【請求項14】
前記光源部、前記複数のカラーフィルタ及び前記蛍光変換膜は、大気に曝されないように封止されていること
を特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載の有機EL装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−115626(P2007−115626A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308652(P2005−308652)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】