木製トラス骨組部材
【課題】比較的簡単な構成で、グローブへ緊締状態にて接合することが容易であって、組み付け構築作業を迅速且つ低コストにて行うことができる木製トラス骨組部材を提供することを課題とする。
【解決手段】木口中心部から内に延びるオネジ杆挿入孔2を穿設した木製トラス材1を設け、その幅方向一側面から他側面に延びてオネジ杆挿入孔2に直交するメネジ筒挿入孔3、4を設け、メネジ筒挿入孔3、4内に、挿入時においてオネジ杆挿入孔2と連通状態となるネジ穴8、9を形成したメネジ筒6、7を嵌装し、また、オネジ杆挿入孔2内に、オネジ杆5を挿入し、その挿入端側をネジ穴8、9にねじ込むことによってオネジ杆5とメネジ筒6、7とが連結されて、オネジ杆5のオネジ杆挿入孔2からの抜け、並びに、メネジ筒6、7のメネジ筒挿入孔3、4からの抜けが防止され、オネジ杆5のオネジ杆挿入孔2からの突出端部にグローブ12が組み付けられて成る。
【解決手段】木口中心部から内に延びるオネジ杆挿入孔2を穿設した木製トラス材1を設け、その幅方向一側面から他側面に延びてオネジ杆挿入孔2に直交するメネジ筒挿入孔3、4を設け、メネジ筒挿入孔3、4内に、挿入時においてオネジ杆挿入孔2と連通状態となるネジ穴8、9を形成したメネジ筒6、7を嵌装し、また、オネジ杆挿入孔2内に、オネジ杆5を挿入し、その挿入端側をネジ穴8、9にねじ込むことによってオネジ杆5とメネジ筒6、7とが連結されて、オネジ杆5のオネジ杆挿入孔2からの抜け、並びに、メネジ筒6、7のメネジ筒挿入孔3、4からの抜けが防止され、オネジ杆5のオネジ杆挿入孔2からの突出端部にグローブ12が組み付けられて成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木製トラス骨組部材、より詳細には、体育館、大型展示場、公的施設等の大空
間を有するトラスドーム等の建築物を構築するための立体トラス、ラチス梁等に用いる部
材で、トラス材として木材を用いた木製トラス骨組部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体育館、大型展示場、公的施設等の大空間を有する建築物のドーム屋根等を構築するた
めに、立体トラスが用いられる。立体トラスは、各節点がピン結合され、各部材が三角形
を構成するような骨組で、立体に形成されたもので、従来そのトラス材としては、鉄骨材
が用いられることが多かった(例えば、特開平7−82794号公報及び特開平8−30
2811号公報)。
【0003】
然るに、近時、鉄骨材の代わりに、人に安らぎを与える木材をトラス材とした木製トラ
スが実用化されてきている。この木製トラスは、木製トラス材30の両端に、グローブジ
ョイント31に結合するための金物32を固定した構成単位を、多数連結して構築される
(図10参照)。
【0004】
例えば上記金物32は、木製トラス材30の端部両側面に形成される切り込み33に嵌
着される挟持部34と、挟持部の中央部に設けられて、木製トラス材30の中央部に形成
されるスリット35に挿入される長尺の挿入部36と、挟持部34の挿入部36と反対側
に、スリーブ37を備えた継手結合手段38を設置して成る。
【0005】
挿入部36には2個のピン孔が透設され、木製トラス材30には、ピン孔に連通するピ
ン挿通孔39が貫設され、ピン挿通孔39からピン孔を通してピンを打ち込み、エポキシ
樹脂を加圧注入してピンを固定することにより、金物32を木製トラス材30の端部に固
定する。
【0006】
【特許文献1】特開平7−82794号公報
【特許文献2】特開平8−302811号公報
【特許文献3】特開2003−301525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の木製トラス材接合方法の場合はピン挿通孔とピン孔にピンを打ち込み、これ
を樹脂を注入して固定していたが、その場合、ピン挿通孔とピン孔を合致させることが容
易ではなく、作業に手間がかかり、コスト的にも問題があった。
【0008】
そこで本発明は、比較的簡単な構成で、グローブへ緊締状態にて接合することが容易で
あって、組み付け構築作業を迅速且つ低コストにて行うことができる木製トラス骨組部材
を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、木口中心部から内に延びる適宜深さ
のオネジ杆挿入孔を穿設した木製トラス材を設け、前記木製トラス材に、その幅方向一側
面から他側面に延びて前記オネジ杆挿入孔に直交するメネジ筒挿入孔を少なくとも1つ設
け、前記メネジ筒挿入孔内に、挿入時において前記オネジ杆挿入孔と連通状態になるよう
にネジ穴を形成したメネジ筒を嵌装し、また、前記オネジ杆挿入孔内に、少なくとも両端
部にオネジを切ったオネジ杆を挿入し、その挿入端側を前記ネジ穴にねじ込むことによっ
て前記オネジ杆と前記メネジ筒とが連結されて、前記オネジ杆の前記オネジ杆挿入孔から
の抜け、並びに、前記メネジ筒の前記メネジ筒挿入孔からの抜けが防止され、前記オネジ
杆の前記オネジ杆挿入孔からの突出端部にグローブが組み付けられて成る木製トラス骨組
部材である。
【0010】
前記メネジ筒挿入孔を複数設ける場合は、それぞれ穿孔向きを変えることが好ましい。
また、前記グローブの組み付けは、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の
端部を締込みナットにねじ込み、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出す
る短ボルトの端部をねじ込むことによって行う。
【0011】
前記グローブの組み付けは、一半部と他半部とでねじ切り方向を逆にした締込みナットを用いて行い、その緊締は、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部を締込みナットの一端部に少しねじ込み、また、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出する短ボルトを少しねじ込んだ後、前記締込みナットを一方向に回すことによって行うことができる。
【0012】
また、前記グローブの組み付けは、締込みナットに短ボルトをその一部を露出させてね
じ込んでおき、前記締込みナットの前記短ボルト固定側と反対の側を、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部にねじ込み、次いで、前記締込みナットから突出する短ボルトの先端を前記グローブに当接させて前記締込みナットを回すことにより、前記短ボルトを前記グローブにねじ込んでいくことによって行うこともある。
【0013】
更に、好ましい実施形態においては、前記締込みナットの外側面から、先端が前記締込みナット内の前記オネジ杆又は前記短ボルトに当たるように、回り止めネジがねじ込まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述したとおりであって、比較的簡単な構成で、メネジ筒挿入孔にメネジ筒を装入し、そのネジ穴にオネジ杆挿入孔から挿入したオネジ杆をねじ込むことによりオネジ杆を固定することができ、また、オネジ杆とグローブの連結を、締付けナットの単一締付け動作で行うことができ、以て木製トラス材をグローブへ緊締状態にて容易に接合できるので、施工作業を容易、迅速且つ低コストにて行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態につき、添付図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係る木製トラス骨組部材の構成を示す分解図で、図中1は木製トラス材であって、通例断面が四角形の棒材であるが、断面形状はそれに限らず、円形や六角形等であってもよい。
【0016】
木製トラス材1には、その両端面(木口)の中央部からオネジ杆挿入孔2が適宜深さ穿設される。また、木製トラス材1には、その幅方向一側面から他側面に抜けて、オネジ杆挿入孔2と直交するメネジ筒挿入孔3、4が、1個又は複数貫設される。メネジ筒挿入孔3、4を複数設ける場合は、それぞれ穿孔角度を変えることが好ましい。図示した例では、2つのメネジ筒挿入孔3、4が90度向きを変えて穿設されている。メネジ筒挿入孔3、4の径は、オネジ杆挿入孔2内に差し込まれるオネジ杆5の径よりも大となるように設計される。
【0017】
オネジ杆挿入孔2内に挿入されるオネジ杆5は、その一端部が露出する状態にされる。また、メネジ筒挿入孔3、4には、それぞれメネジ筒6、7が嵌装される。メネジ筒6、7には、それぞれその一側面から他側面に抜けるネジ穴8、9が形成される。ネジ穴8、9の径は、オネジ杆5の径に対応させる。メネジ筒6、7の高さは、木製トラス材1の幅径と同じかそれよりも小となるようにし、メネジ筒挿入孔3、4への挿入時に、木製トラス材1からはみ出ないようにする。
【0018】
オネジ杆5を木製トラス材1に取り付けるに当っては、先ずメネジ筒挿入孔3、4内にメネジ筒6、7を挿入し、次いで、オネジ杆挿入孔2内にオネジ杆5を挿入し、その先端を手前側のメネジ筒6のネジ穴8にねじ込んでいく。その際、必要に応じてメネジ筒6を、適宜手段で浮上状態にする。そして、オネジ杆5がメネジ筒6を突き抜けた後、更に螺進させて先端を奥側のメネジ筒7のネジ穴9にねじ込み、同様にメネジ筒7を貫通させる。かくしてオネジ杆5はメネジ筒6、7に確固と固定され、オネジ杆挿入孔2から抜けなくなる。
【0019】
上記固定状態において、オネジ杆5の端部はオネジ杆挿入孔2から少し突出するように設定され、該突出部10に、締込みナット(高ナット)11を介してグローブ12が取り付けられる。グローブ12は複数のメネジ孔13を有する一般的なもので、メネジ孔13に短ボルト14の一半部がねじ込まれ、短ボルト14の他半部が締込みナット11にねじ込まれる。
【0020】
かくして締込みナット11を締め付け方向に回転させると、オネジ杆5と短ボルト14とが互いに締込みナット11内に引き込まれて緊締状態になり、逆に緩め方向に回転させると、オネジ杆5と短ボルト14とが互いに離れて緊張が緩むことになる。なお、木製トラス材1の端面(木口)保護のため、木口に木口プレート15を固定しておくことが好ましい。木口プレート15の中心には、オネジ杆5を挿通させるための円孔が形成される。
【0021】
上記構成の本発明に係る木製トラス骨組部材の組み付け手順をより詳細に説明すると、先ず、締込みナット11を、オネジ杆5の木製トラス材1から突出している突出部10にねじ付ける(図2)。そのねじ付けは、強く行う必要はない。そして、メネジ孔13の1つに短ボルト14の一部をネジ込んだグローブ12の当該短ボルト14の先端を、締込みナット11の開口に当接させる。その際、締込みナット11の開口端部を外開きテーパにしておくと、短ボルト14の先端を締込みナット11の開口内に進入させて螺合させることが容易となる。
【0022】
その状態で締込みナット11を適量回し、短ボルト14が締込みナット11に確実に螺合したことを確認した後(図3)、締込みナット11を、グローブ12に当たるまで締め込んで、締め付け完了となる(図4)。なお、必要に応じ、締込みナット11にその外側面から回り止めネジ(ビス)16を、先端がオネジ杆5に強く当たるまでねじ込むことにより、締込みナット11とオネジ杆5との間のガタ付きを防止することができる(図5)。
【0023】
上記実施形態においては、短ボルト14は予めグローブ12にねじ付けられていたが、図6乃至図8に示す実施形態においては、短ボルト14は予め締込みナット11の方にねじ付けられ、回り止めネジ16によって固定される。
【0024】
この実施形態の場合は、先ず短ボルト14が取り付けられた締込みナット11を、木製トラス材1から突出しているオネジ杆5の突出部10にねじ付ける(図7)。次いで、グローブ12を短ボルト14の露出部に当接させ、締込みナット11を回してそれと一体の短ボルト14をグローブ12のメネジ孔にねじ込んでいく。その際、グローブ12にねじ込まれる量と締込みナット11から抜けていく量とは反比例するので、締込みナット11がグローブ12に接するまで締め込んだ際に、締込みナット12とオネジ杆5の掛かりしろが十分確保されるように設定する必要がある。
【0025】
更に別の実施形態においては、締込みナット11の一半部と他半部とが、逆ねじに螺刻される(図9)。この場合、締込みナット11の一端にオネジ杆5の突出端部を少しねじ込み、その他端にグローブ12の短ボルト14を少しねじ込む。その状態で締込みナット11を回すと、ターンバックルと同様の作用にて、オネジ杆5と短ボルト14が締込みナット11内に引き込まれて緊張する。また、締込みナット11を逆方向に回すと、オネジ杆5と短ボルト14が共に締込みナット11から出ていき、次第に緊張状態が緩んでいく。
【0026】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る木製トラス骨組部材の一実施形態の構成を示す分解図である。
【図2】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第1を示す図である。
【図3】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第2を示す図である。
【図4】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第3を示す図である。
【図5】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第4を示す図である。
【図6】本発明に係る木製トラス骨組部材の他の実施形態の構成を示す分解図である。
【図7】図6に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第1を示す図である。
【図8】図6に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第2を示す図である。
【図9】本発明に係る木製トラス骨組部材の更に他の実施形態の構成を示す分解図である。
【図10】従来の木製トラス骨組部材の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 木製トラス材
2 オネジ杆挿入孔
3、4 メネジ筒挿入孔
5 オネジ杆
6、7 メネジ筒
8、9 ネジ穴
10 突出部
11 締込みナット
12 グローブ
13 メネジ孔
14 短ボルト
15 木口プレート
16 回り止めネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は木製トラス骨組部材、より詳細には、体育館、大型展示場、公的施設等の大空
間を有するトラスドーム等の建築物を構築するための立体トラス、ラチス梁等に用いる部
材で、トラス材として木材を用いた木製トラス骨組部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体育館、大型展示場、公的施設等の大空間を有する建築物のドーム屋根等を構築するた
めに、立体トラスが用いられる。立体トラスは、各節点がピン結合され、各部材が三角形
を構成するような骨組で、立体に形成されたもので、従来そのトラス材としては、鉄骨材
が用いられることが多かった(例えば、特開平7−82794号公報及び特開平8−30
2811号公報)。
【0003】
然るに、近時、鉄骨材の代わりに、人に安らぎを与える木材をトラス材とした木製トラ
スが実用化されてきている。この木製トラスは、木製トラス材30の両端に、グローブジ
ョイント31に結合するための金物32を固定した構成単位を、多数連結して構築される
(図10参照)。
【0004】
例えば上記金物32は、木製トラス材30の端部両側面に形成される切り込み33に嵌
着される挟持部34と、挟持部の中央部に設けられて、木製トラス材30の中央部に形成
されるスリット35に挿入される長尺の挿入部36と、挟持部34の挿入部36と反対側
に、スリーブ37を備えた継手結合手段38を設置して成る。
【0005】
挿入部36には2個のピン孔が透設され、木製トラス材30には、ピン孔に連通するピ
ン挿通孔39が貫設され、ピン挿通孔39からピン孔を通してピンを打ち込み、エポキシ
樹脂を加圧注入してピンを固定することにより、金物32を木製トラス材30の端部に固
定する。
【0006】
【特許文献1】特開平7−82794号公報
【特許文献2】特開平8−302811号公報
【特許文献3】特開2003−301525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の木製トラス材接合方法の場合はピン挿通孔とピン孔にピンを打ち込み、これ
を樹脂を注入して固定していたが、その場合、ピン挿通孔とピン孔を合致させることが容
易ではなく、作業に手間がかかり、コスト的にも問題があった。
【0008】
そこで本発明は、比較的簡単な構成で、グローブへ緊締状態にて接合することが容易で
あって、組み付け構築作業を迅速且つ低コストにて行うことができる木製トラス骨組部材
を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、木口中心部から内に延びる適宜深さ
のオネジ杆挿入孔を穿設した木製トラス材を設け、前記木製トラス材に、その幅方向一側
面から他側面に延びて前記オネジ杆挿入孔に直交するメネジ筒挿入孔を少なくとも1つ設
け、前記メネジ筒挿入孔内に、挿入時において前記オネジ杆挿入孔と連通状態になるよう
にネジ穴を形成したメネジ筒を嵌装し、また、前記オネジ杆挿入孔内に、少なくとも両端
部にオネジを切ったオネジ杆を挿入し、その挿入端側を前記ネジ穴にねじ込むことによっ
て前記オネジ杆と前記メネジ筒とが連結されて、前記オネジ杆の前記オネジ杆挿入孔から
の抜け、並びに、前記メネジ筒の前記メネジ筒挿入孔からの抜けが防止され、前記オネジ
杆の前記オネジ杆挿入孔からの突出端部にグローブが組み付けられて成る木製トラス骨組
部材である。
【0010】
前記メネジ筒挿入孔を複数設ける場合は、それぞれ穿孔向きを変えることが好ましい。
また、前記グローブの組み付けは、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の
端部を締込みナットにねじ込み、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出す
る短ボルトの端部をねじ込むことによって行う。
【0011】
前記グローブの組み付けは、一半部と他半部とでねじ切り方向を逆にした締込みナットを用いて行い、その緊締は、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部を締込みナットの一端部に少しねじ込み、また、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出する短ボルトを少しねじ込んだ後、前記締込みナットを一方向に回すことによって行うことができる。
【0012】
また、前記グローブの組み付けは、締込みナットに短ボルトをその一部を露出させてね
じ込んでおき、前記締込みナットの前記短ボルト固定側と反対の側を、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部にねじ込み、次いで、前記締込みナットから突出する短ボルトの先端を前記グローブに当接させて前記締込みナットを回すことにより、前記短ボルトを前記グローブにねじ込んでいくことによって行うこともある。
【0013】
更に、好ましい実施形態においては、前記締込みナットの外側面から、先端が前記締込みナット内の前記オネジ杆又は前記短ボルトに当たるように、回り止めネジがねじ込まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述したとおりであって、比較的簡単な構成で、メネジ筒挿入孔にメネジ筒を装入し、そのネジ穴にオネジ杆挿入孔から挿入したオネジ杆をねじ込むことによりオネジ杆を固定することができ、また、オネジ杆とグローブの連結を、締付けナットの単一締付け動作で行うことができ、以て木製トラス材をグローブへ緊締状態にて容易に接合できるので、施工作業を容易、迅速且つ低コストにて行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態につき、添付図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係る木製トラス骨組部材の構成を示す分解図で、図中1は木製トラス材であって、通例断面が四角形の棒材であるが、断面形状はそれに限らず、円形や六角形等であってもよい。
【0016】
木製トラス材1には、その両端面(木口)の中央部からオネジ杆挿入孔2が適宜深さ穿設される。また、木製トラス材1には、その幅方向一側面から他側面に抜けて、オネジ杆挿入孔2と直交するメネジ筒挿入孔3、4が、1個又は複数貫設される。メネジ筒挿入孔3、4を複数設ける場合は、それぞれ穿孔角度を変えることが好ましい。図示した例では、2つのメネジ筒挿入孔3、4が90度向きを変えて穿設されている。メネジ筒挿入孔3、4の径は、オネジ杆挿入孔2内に差し込まれるオネジ杆5の径よりも大となるように設計される。
【0017】
オネジ杆挿入孔2内に挿入されるオネジ杆5は、その一端部が露出する状態にされる。また、メネジ筒挿入孔3、4には、それぞれメネジ筒6、7が嵌装される。メネジ筒6、7には、それぞれその一側面から他側面に抜けるネジ穴8、9が形成される。ネジ穴8、9の径は、オネジ杆5の径に対応させる。メネジ筒6、7の高さは、木製トラス材1の幅径と同じかそれよりも小となるようにし、メネジ筒挿入孔3、4への挿入時に、木製トラス材1からはみ出ないようにする。
【0018】
オネジ杆5を木製トラス材1に取り付けるに当っては、先ずメネジ筒挿入孔3、4内にメネジ筒6、7を挿入し、次いで、オネジ杆挿入孔2内にオネジ杆5を挿入し、その先端を手前側のメネジ筒6のネジ穴8にねじ込んでいく。その際、必要に応じてメネジ筒6を、適宜手段で浮上状態にする。そして、オネジ杆5がメネジ筒6を突き抜けた後、更に螺進させて先端を奥側のメネジ筒7のネジ穴9にねじ込み、同様にメネジ筒7を貫通させる。かくしてオネジ杆5はメネジ筒6、7に確固と固定され、オネジ杆挿入孔2から抜けなくなる。
【0019】
上記固定状態において、オネジ杆5の端部はオネジ杆挿入孔2から少し突出するように設定され、該突出部10に、締込みナット(高ナット)11を介してグローブ12が取り付けられる。グローブ12は複数のメネジ孔13を有する一般的なもので、メネジ孔13に短ボルト14の一半部がねじ込まれ、短ボルト14の他半部が締込みナット11にねじ込まれる。
【0020】
かくして締込みナット11を締め付け方向に回転させると、オネジ杆5と短ボルト14とが互いに締込みナット11内に引き込まれて緊締状態になり、逆に緩め方向に回転させると、オネジ杆5と短ボルト14とが互いに離れて緊張が緩むことになる。なお、木製トラス材1の端面(木口)保護のため、木口に木口プレート15を固定しておくことが好ましい。木口プレート15の中心には、オネジ杆5を挿通させるための円孔が形成される。
【0021】
上記構成の本発明に係る木製トラス骨組部材の組み付け手順をより詳細に説明すると、先ず、締込みナット11を、オネジ杆5の木製トラス材1から突出している突出部10にねじ付ける(図2)。そのねじ付けは、強く行う必要はない。そして、メネジ孔13の1つに短ボルト14の一部をネジ込んだグローブ12の当該短ボルト14の先端を、締込みナット11の開口に当接させる。その際、締込みナット11の開口端部を外開きテーパにしておくと、短ボルト14の先端を締込みナット11の開口内に進入させて螺合させることが容易となる。
【0022】
その状態で締込みナット11を適量回し、短ボルト14が締込みナット11に確実に螺合したことを確認した後(図3)、締込みナット11を、グローブ12に当たるまで締め込んで、締め付け完了となる(図4)。なお、必要に応じ、締込みナット11にその外側面から回り止めネジ(ビス)16を、先端がオネジ杆5に強く当たるまでねじ込むことにより、締込みナット11とオネジ杆5との間のガタ付きを防止することができる(図5)。
【0023】
上記実施形態においては、短ボルト14は予めグローブ12にねじ付けられていたが、図6乃至図8に示す実施形態においては、短ボルト14は予め締込みナット11の方にねじ付けられ、回り止めネジ16によって固定される。
【0024】
この実施形態の場合は、先ず短ボルト14が取り付けられた締込みナット11を、木製トラス材1から突出しているオネジ杆5の突出部10にねじ付ける(図7)。次いで、グローブ12を短ボルト14の露出部に当接させ、締込みナット11を回してそれと一体の短ボルト14をグローブ12のメネジ孔にねじ込んでいく。その際、グローブ12にねじ込まれる量と締込みナット11から抜けていく量とは反比例するので、締込みナット11がグローブ12に接するまで締め込んだ際に、締込みナット12とオネジ杆5の掛かりしろが十分確保されるように設定する必要がある。
【0025】
更に別の実施形態においては、締込みナット11の一半部と他半部とが、逆ねじに螺刻される(図9)。この場合、締込みナット11の一端にオネジ杆5の突出端部を少しねじ込み、その他端にグローブ12の短ボルト14を少しねじ込む。その状態で締込みナット11を回すと、ターンバックルと同様の作用にて、オネジ杆5と短ボルト14が締込みナット11内に引き込まれて緊張する。また、締込みナット11を逆方向に回すと、オネジ杆5と短ボルト14が共に締込みナット11から出ていき、次第に緊張状態が緩んでいく。
【0026】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る木製トラス骨組部材の一実施形態の構成を示す分解図である。
【図2】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第1を示す図である。
【図3】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第2を示す図である。
【図4】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第3を示す図である。
【図5】図1に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第4を示す図である。
【図6】本発明に係る木製トラス骨組部材の他の実施形態の構成を示す分解図である。
【図7】図6に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第1を示す図である。
【図8】図6に示す木製トラス骨組部材の組付け手順の第2を示す図である。
【図9】本発明に係る木製トラス骨組部材の更に他の実施形態の構成を示す分解図である。
【図10】従来の木製トラス骨組部材の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 木製トラス材
2 オネジ杆挿入孔
3、4 メネジ筒挿入孔
5 オネジ杆
6、7 メネジ筒
8、9 ネジ穴
10 突出部
11 締込みナット
12 グローブ
13 メネジ孔
14 短ボルト
15 木口プレート
16 回り止めネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木口中心部から内に延びる適宜深さのオネジ杆挿入孔を穿設した木製トラス材を設け、前記木製トラス材に、その幅方向一側面から他側面に延びて前記オネジ杆挿入孔に直交するメネジ筒挿入孔を少なくとも1つ設け、前記メネジ筒挿入孔内に、挿入時において前記オネジ杆挿入孔と連通状態になるようにネジ穴を形成したメネジ筒を嵌装し、また、前記オネジ杆挿入孔内に、少なくとも両端部にオネジを切ったオネジ杆を挿入し、その挿入端側を前記メネジ筒のネジ穴にねじ込むことによって前記オネジ杆と前記メネジ筒とが連結されて、前記オネジ杆の前記オネジ杆挿入孔からの抜け、並びに、前記メネジ筒の前記メネジ筒挿入孔からの抜けが防止され、前記オネジ杆の前記オネジ杆挿入孔からの突出端部にグローブが組み付けられて成る木製トラス骨組部材。
【請求項2】
前記メネジ筒挿入孔は複数、それぞれ穿孔向きを変えて形成される、請求項1に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項3】
前記グローブの組み付けは、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部を締込みナットにねじ込み、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出する短ボルトをねじ込むことによって行う、請求項1又は2に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項4】
前記グローブの組み付けは、一半部と他半部とでねじ切り方向を逆にした締込みナットを用いて行い、その緊締は、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部を締込みナットの一端部に少しねじ込み、また、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出する短ボルトを少しねじ込んだ後、前記締込みナットを一方向に回すことによって行う、請求項1又は2に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項5】
前記グローブの組み付けは、締込みナットに短ボルトをその一部を露出させてねじ込んでおき、前記締込みナットの前記短ボルト固定側と反対の側を、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部にねじ込み、次いで、前記締込みナットから突出する短ボルトの先端を前記グローブに当接させて前記締込みナットを回すことにより、前記短ボルトを前記グローブにねじ込んでいくことによって行う、請求項1又は2に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項6】
前記締込みナットの外側面から、先端が前記締込みナット内の前記オネジ杆又は短ボル
トに当たるように回り止めネジをねじ込む、請求項3乃至5のいずれかに記載の木製トラス骨組部材。
【請求項1】
木口中心部から内に延びる適宜深さのオネジ杆挿入孔を穿設した木製トラス材を設け、前記木製トラス材に、その幅方向一側面から他側面に延びて前記オネジ杆挿入孔に直交するメネジ筒挿入孔を少なくとも1つ設け、前記メネジ筒挿入孔内に、挿入時において前記オネジ杆挿入孔と連通状態になるようにネジ穴を形成したメネジ筒を嵌装し、また、前記オネジ杆挿入孔内に、少なくとも両端部にオネジを切ったオネジ杆を挿入し、その挿入端側を前記メネジ筒のネジ穴にねじ込むことによって前記オネジ杆と前記メネジ筒とが連結されて、前記オネジ杆の前記オネジ杆挿入孔からの抜け、並びに、前記メネジ筒の前記メネジ筒挿入孔からの抜けが防止され、前記オネジ杆の前記オネジ杆挿入孔からの突出端部にグローブが組み付けられて成る木製トラス骨組部材。
【請求項2】
前記メネジ筒挿入孔は複数、それぞれ穿孔向きを変えて形成される、請求項1に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項3】
前記グローブの組み付けは、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部を締込みナットにねじ込み、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出する短ボルトをねじ込むことによって行う、請求項1又は2に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項4】
前記グローブの組み付けは、一半部と他半部とでねじ切り方向を逆にした締込みナットを用いて行い、その緊締は、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部を締込みナットの一端部に少しねじ込み、また、前記締込みナットの反対側に、前記グローブから突出する短ボルトを少しねじ込んだ後、前記締込みナットを一方向に回すことによって行う、請求項1又は2に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項5】
前記グローブの組み付けは、締込みナットに短ボルトをその一部を露出させてねじ込んでおき、前記締込みナットの前記短ボルト固定側と反対の側を、前記木製トラス材の木口から突出する前記オネジ杆の突出端部にねじ込み、次いで、前記締込みナットから突出する短ボルトの先端を前記グローブに当接させて前記締込みナットを回すことにより、前記短ボルトを前記グローブにねじ込んでいくことによって行う、請求項1又は2に記載の木製トラス骨組部材。
【請求項6】
前記締込みナットの外側面から、先端が前記締込みナット内の前記オネジ杆又は短ボル
トに当たるように回り止めネジをねじ込む、請求項3乃至5のいずれかに記載の木製トラス骨組部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−281027(P2009−281027A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133457(P2008−133457)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(593068649)株式会社サカワ (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(593068649)株式会社サカワ (31)
【Fターム(参考)】
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