説明

木質ペレット燃焼装置

【課題】灰処理部近傍での燃焼を防止して、灰処理部の耐久性を向上させることができる木質ペレット燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼部6の下端部の火格子41上で木質ペレットを燃焼させる。火格子41の下方に灰処理部43を設け、灰掻き部材44の作動により灰を掻き落とす。火格子41上の所定量の灰の上端に対応する位置の燃焼部6内の温度を検出する燃焼部内温度検出手段57を設ける。灰処理部43内の温度を検出する灰処理部内温度検出手段58を設ける。燃焼部内温度検出手段57の検出温度が第1の設定温度以下であるとき灰掻き動作を開始させ、この灰掻き動作中に灰処理部内温度検出手段58の検出温度が第2の設定温度以上となったとき灰掻き動作を停止させる灰処理制御手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料に木質ペレットを用いた暖房機等の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油や石炭等の化石燃料よりもクリーンな燃料であり、更に木材の有効利用等を図ることができる木質ペレットが知られており、木質ペレットを燃料にした暖房機等の燃焼装置が見直されている。
【0003】
従来、この種の燃焼装置は、木質ペレットを燃焼させる燃焼部をバーナーとして備え、燃焼部は、その下端部に火格子を備えて火格子上に積載させた木質ペレットを燃焼させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、木質ペレットの燃焼によって火格子上には灰が堆積した状態となるので、この灰を処理する灰処理部が燃焼部の下方に設けられている。灰処理部には、火格子を構成している複数枚のスリット板の間から火格子上の灰を掻き落とすための灰掻き部材が設けられている。
【0004】
そして、木質ペレットの燃焼中、灰掻き部材を所定時間毎に作動させて、灰掻き部材の作動により、火格子上に堆積した灰を効率よく燃焼部から排出している。
【特許文献1】特開2006−200825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、木質ペレットが燃焼したことによって火格子上に堆積する灰の量は、木質ペレットの燃焼状態や木質ペレットの種類によって一定の発生量とはならず、例えば、灰が比較的少量であった場合や火格子上からの灰の掻き取り過ぎた場合には、灰処理部近傍で燃焼が行われる。そして、灰処理部近傍で燃焼が行われた場合には、火格子や灰処理部が過剰に加熱され、火格子及び灰処理部に設けられている灰掻き部材等の各部品に比較的早期に腐食が生じる不都合がある。
【0006】
かかる不都合を解消して、本発明は、灰処理部近傍での燃焼を防止して、火格子及び灰処理部の耐久性を向上させることができる木質ペレット燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、木質ペレットを燃焼させる燃焼部と、該燃焼部に木質ペレットを供給する木質ペレット供給手段と、該燃焼部の下端部に設けられて木質ペレット供給手段から供給された木質ペレットを燃焼部内部に積載する複数枚のスリット板からなる火格子と、該火格子を介して燃焼部の下方に設けられ、前記木質ペレットの燃焼によって火格子上に発生した灰を除去する灰処理部と、木質ペレットの燃焼を制御する燃焼制御手段とを備え、該灰処理部は、前記火格子のスリット板の間隙から灰を掻き落とす金属製の灰掻き部材を備える木質ペレット燃焼装置において、前記燃焼部に設けられ、前記火格子上に所定量の灰が堆積したとき、該灰の上端に対応する位置の燃焼部内の温度を検出する燃焼部内温度検出手段と、前記灰処理部に設けられ、該灰処理部内の温度を検出する灰処理部内温度検出手段と、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が予め設定された第1の設定温度以下であるとき、前記灰掻き部材による灰掻き動作を開始させ、この灰掻き動作中に前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が予め設定された第2の設定温度以上となったとき、灰掻き動作を停止させる灰処理制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0008】
前記燃焼部における木質ペレットの燃焼が進行するに従って、燃焼部に供給された木質ペレットが灰となり、この灰が火格子上に堆積する。火格子上に堆積する灰が前記所定量を越えると、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が灰の断熱作用によって低下する。このことから、燃焼部内温度検出手段の検出温度が灰の断熱作用を受けた場合の温度を第1の設定温度とすることにより、燃焼部内温度検出手段の検出温度が第1の設定温度以下であるとき、火格子上に堆積する灰が前記所定量を越えたことが確認できる。そこで、前記灰処理制御手段は、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が第1の設定温度以下であるとき、前記灰掻き部材による灰掻き動作を開始させる。これにより、火格子上に堆積する灰が前記所定量を越えたことを精度良く検出することができ、燃焼部内に多く堆積した灰を円滑に排出することができる。
【0009】
一方、灰掻き部材による灰掻き動作を行うことにより、火格子上に堆積する灰の量は次第に少なくなっていく。燃焼部内では、堆積する灰の上層部から炎が形成されるので、灰の量が少なくなるに従って火格子と炎との距離が小さくなり、該火格子及び火格子の下方に位置する灰処理部の温度が上昇する。前記灰処理制御手段は、灰掻き動作中に前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が第2の設定温度以上となったとき、灰掻き動作を停止させる。これにより、火格子及び灰掻き部材等の灰処理部の各構成部品が過剰に加熱されることが防止でき、火格子及び灰処理部の各構成部品の耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記灰処理制御手段は、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度より大であり且つ前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度以上ある場合には前記灰掻き部材による灰掻き動作を行わず、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度より大であり且つ前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度より小である場合に前記灰掻き部材による所定の灰掻き動作を行うように制御することを特徴とする。
【0011】
前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が予め設定された第1の設定温度より大であるときには、燃焼部内における炎の位置が低く、火格子上に堆積する灰が所定量に満たない状態であることが確認できる。従ってこの時点で、灰処理部内温度検出手段の検出温度が予め設定された第2の設定温度以上あるときには、灰掻き動作を行うことによって灰の掻き取り過ぎ等が生じるおそれがある。そこで、この場合には、前記灰処理制御手段は、灰掻き動作を行わないように制御することで、火格子及び灰処理部への熱による悪影響を確実に防止することができる。一方、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度より大であっても、前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度より小である場合には、火格子上に堆積する灰の断熱作用によって火格子及び灰処理部への熱の影響が少ない状態にあるので、灰掻き動作を行って燃焼部内の灰を排出することができる。
【0012】
また、本発明において、前記灰処理制御手段は、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度以下であるとき、前記灰掻き部材による灰掻き動作を開始させ、この灰掻き動作中に前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度より小であり且つ前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が予め前記第1の設定温度よりも低い温度に設定された第3の設定温度以下であるとき、前記燃焼制御手段を介して燃焼を停止させるように制御することを特徴とする。
【0013】
灰掻き動作中に燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第3の設定温度以下となった場合には、火格子上の灰の堆積量が減少しているにもかかわらず、燃焼部内温度検出手段の検出温度が極めて低くなっている状態である。この場合には、木質ペレットの燃焼が良好に行われていないことが考えられるので、前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度より小であって、火格子上に堆積する灰の断熱作用によって火格子や灰処理部への熱の影響が少ない状態にあっても、前記灰処理制御手段は、前記燃焼制御手段を介して燃焼を停止させる。これにより、迅速に燃焼運転を停止させ、燃焼異常を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の木質ペレット燃焼装置1は、直方体状の筐体2を備える暖房機であり、筐体2内の下部に木質ペレット3を収納する燃料収納室4を備え、燃料収納室4の上部には燃焼室5が設けられている。燃焼室5の下部には木質ペレット3を燃料として燃焼させるバーナー部6(燃焼部)が設けられており、筐体2の燃料収納室4と燃焼室5の背面側には、木質ペレット3をバーナー部6に供給する燃料供給手段7が設けられている。
【0015】
燃料収納室4の上部には、引き出し自在なストーカー8が設けられており、引き出したストーカー8を介して木質ペレット3が燃料収納室4内に補給される。燃料収納室4内には、コイル状の燃料攪拌部材9と、燃料攪拌部材9を回転させる攪拌モータ10とが設けられており、燃料攪拌部材9の回転によって木質ペレット3を燃料供給手段7に円滑に送り込むようになっている。
【0016】
燃料供給手段7は、筐体2内の背面側の中央部に上下方向に設置した燃料供給筒11と、燃料供給筒11内で回転するスクリュー12とを備えている。スクリュー12は駆動用モータ13により回転駆動され、木質ペレット3を燃料供給筒11の上方に向かって搬送する。スクリュー12によって燃料供給筒11の上部に搬送された木質ペレット3は燃料供給筒11に連設された投入筒14に案内されてバーナー部6に投入される。
【0017】
なお、図1において符号15で示すものは、燃料攪拌部材9の先端部近傍における木質ペレット3の有無を検出するセンサであり、図1において符号16で示すものは、木質ペレット3の残量を検知するセンサである。
【0018】
木質ペレット3は、原料である木材の小片や樹皮を均一な粒子サイズに粉砕して水分含有率を8〜12%まで乾燥し、これを成型機で直径6〜8mm、長さ15mm程度の円筒状に成型固化した固体燃料である。本実施形態では、木質ペレット3として樹皮系ペレット(バークペレット)を用いたが、木質部ペレット(ホワイトペレット)や木ペレットを用いてもよい。
【0019】
燃焼室5の前面側の一部には、バーナー部6で木質ペレット3を燃焼させているときの炎17が外から見えるように、透明な耐熱ガラス18が取付けられている。また、燃焼室5内の上部には複数の放熱管19が配置されている。放熱管19の上方には、燃焼室5と連通する排気室20が設けられている。排気室20には燃焼室5の排ガスを排気する排気筒21が接続されている。排気筒21には、図示しないが、室外に伸びる給排気筒に備える排気路が接続されている。
【0020】
燃焼室5および排気室20の上面、背面、左右側面を断熱板22で囲い、燃焼室5及び排気室20と断熱板22との間に形成される空間を温風通路23としている。燃焼室5の背面外側には対流用ファン24が設けられている。対流用ファン24は対流用モータ25の駆動により温風通路23に対流を形成し、燃焼室5及び排気室20により加熱された温風を、筐体2の前面側に形成された吹き出し口26から送り出す。吹き出し口26には、温風の向きを調節する複数のルーバー27が設けられている。
【0021】
また、図2に示すように、断熱板22の側部内面には、温風通路23内の温風の温度を検出する対流温度センサ28が設けられており、排気筒21には、排気温度を検出する排気温度センサ29が設けられている。更に、図1に示すように、筐体2の背面には、室温を検出する室温センサ30が設けられている。
【0022】
バーナー部6は、図3及び図5に示すように、箱状のバーナーケース31と、バーナーケース31内に収納された角筒状の燃焼筒32と、燃焼筒32の上方に連続して設けられ、燃料供給手段7の投入筒14から供給される木質ペレット3を上部から取り入れるホッパー33とを備えている。バーナーケース31と燃焼筒32及びホッパー33との間には空気通路34が設けられており、燃焼筒32及びホッパー33には空気通路34に連通する複数の通気孔35が形成されている。空気通路34は、バーナーケース31の背面側に延びる送気管36(図1及び図5参照)に接続されており、送気管36から送られる燃焼用空気を通気孔35を介して燃焼筒32に供給する。更に、図1及び図5に示すように、バーナーケース31の前面側には空気通路34に連通する通風筒37が接続されている。通風筒37は、燃焼室5の前面に取付けた前記耐熱ガラス21の背面に空気を案内する。
【0023】
送気管36は、図2に示すように、筐体2内の背面側に設置された送風機38に接続されており、送風機38の駆動によって吸気筒39から吸気される。吸気筒39は、前述した給排気筒に備える吸気路が接続されており、この給排気筒を通して室外から外気を取り入れる。また、図5に示すように、燃焼筒32の前面側には、木質ペレット3に点火する点火ヒータ40が設けられている。
【0024】
燃焼筒32の下端には、図5に示すように、火格子41が設けられている。火格子41は、水平方向に所定の間隙を存して配列された複数枚のスリット板42を備え、ホッパー33を介して投入された木質ペレット3を燃焼筒32内に積載する。火格子41に積載された木質ペレット3は、燃焼筒32内で点火ヒータ40により点火され燃焼される。
【0025】
また、図3に示すように、燃焼筒32の下方には、木質ペレット3の燃焼によって火格子41上に溜まった灰を除去する灰処理手段43(灰処理部)が設けられている。灰処理手段43は、図3に示すように、水平方向に互いに間隔を存して設けられた複数本(本例では2本)の灰掻き部材44と、灰掻き部材44の下方に設けられた同数本(本例では2本)の補助灰掻き部材45とを備えている。灰掻き部材44は、燃焼筒32の下部の火格子41を囲む枠体46内に略上半部が収容され、補助灰掻き部材45は、バーナーケース31の底部の下方に設けられた上面開口の灰処理箱47内に収容されている。
【0026】
灰掻き部材44は、図3乃至図5に示すように、枠体46に回転自在に取付けられた回転軸48と、該回転軸48に連結支持され、外周に複数の凹凸が形成された複数の金属製の羽根板49とによって構成されている。灰掻き部材44の各羽根板49は火格子41のスリット板42の間に位置し、両灰掻き部材44の隣り合う羽根板49同士が互い違いに挿入されている。
【0027】
両灰掻き部材44は、図4及び図5に示すように、回転軸48の一端側に取付けたギア50同士で連結されており、一方の回転軸48には灰処理用モータ51が接続されている。灰処理用モータ51により一方の灰掻き部材44を回転すると、ギア50を介して他方の灰掻き部材44が回転する。灰処理用モータ51は正逆方向に回転可能であり、これによって、2本の灰掻き部材44を、対向する側が上から下に移動する向きの内回り方向と、対向する側が下から上に移動する向きの外回り方向とで選択的に回転させることができるようになっている。
【0028】
灰掻き部材44は、火格子41上に積載された木質ペレット3の燃焼中、灰処理用モータ51によって所定のタイミングで回転され、火格子41のスリット板42間に挿入した羽根板49で火格子41上に溜まった灰を灰処理箱47に掻き落とす。
【0029】
補助灰掻き部材45は、図3及び図5に示すように、灰処理箱47に回転自在に取付けられた回転軸52と、回転軸52の両端部に固定された一対の円板53の間に差し渡された複数のブレード54とによって構成されている。各ブレード54間にはV字状の溝が形成され、この溝に灰掻き部材44の羽根板49の凸部が入り込んで係合する。これにより、2本の灰掻き部材44が回転したとき、その回転に追従して補助灰掻き部材45が回転する。
【0030】
灰処理箱47は、図3に示すように、断面略W字状の周壁を備え、周壁の一部に灰の排出口55が形成されている。灰処理箱47の下方には、図1に示すように、排出口55から排出される灰を収容する灰回収容器56が、筐体2から取り出し自在に設けられている。そして、図3を参照すれば、灰処理時に、灰掻き部材44が回転すると、この回転によって補助灰掻き部材45も従動回転する。このとき、灰掻き部材44によって火格子41上から掻き落とされた燃焼筒32内の灰が、補助灰掻き部材45のブレード54間に受け入れられ、更に、補助灰掻き部材45の回転によって灰処理箱47内の灰がその底部の排出口55から強制的に灰回収容器56に排出される。
【0031】
また、図3及び図5に示すように、燃焼筒32の上端近傍位置であって、火格子41上に溜まった灰が燃焼筒32内において所定の高さとなったときに当該灰の上面に対応する位置(本実施形態では燃焼筒32とホッパー33との境界近傍部分)に、バーナー部温度センサ57(燃焼部内温度検出手段)が設けられている。更に、灰処理手段43の灰処理箱47の側壁に、灰処理部温度センサ58(灰処理部内温度検出手段)が設けられている。
【0032】
そして、図1に示すように、木質ペレット燃焼装置1の運転を制御する制御手段59が設けられている。制御手段59は、マイクロコンピュータにより構成され、木質ペレット3の燃焼運転を制御する燃焼制御部60と、木質ペレット3の燃焼によって生じる灰の処理動作を制御する灰処理制御部61(灰処理制御手段)とを備えている。
【0033】
燃焼制御部60は、図示しない運転スイッチが使用者によってONされると、先ず、点火ヒータ40による予熱動作やバーナー部6への木質ペレット3の供給を開始し、バーナー部6における木質ペレット3の点火動作を経て予備的燃焼動作を行う。なお、木質ペレット燃焼装置1は、木質ペレット3を燃料としているので、例えば石油を燃料とする場合に比べ、即着火が望めない。そのため、燃焼制御部60は、暖房動作となる本燃焼に先立って、予備的燃焼動作が行われる。また、予備的燃焼動作において燃焼された木質ペレット3の灰が火格子41上に堆積するので、燃焼制御部60は灰処理制御部61に指令して予備的燃焼動作用の灰処理動作を行う。灰処理制御部61は、予備的燃焼動作時の灰処理動作として予め設定された手順で灰処理を行い、本実施形態においては、灰処理用モータ51を駆動して、2本の灰掻き部材44を互いに外回り(図3において左の灰掻き部材44を左回転、右の灰掻き部材44を右回転)に4秒間回転させて掻きならし、火格子41上に供給される木質ペレット3を分散して均一化すると共に、灰を掻き取る動作を行う。
【0034】
次いで、燃焼制御部60は、予備的燃焼動作を行った後、本燃焼動作を行う。本燃焼動作においては、燃焼制御部60は、前記各温度センサ等の情報に基づき前記各モータ等の作動制御を行い、バーナー部6において良好な燃焼状態を維持することによって効率のよい暖房運転を行う。
【0035】
図6に示すように、燃焼制御部60は、暖房運転を行うとき、弱運転から強運転までが制御レベル1(最小レベル)〜6(最大レベル)の6段階の制御レベルで設定されている。制御レベル1は、最小の弱運転時における制御レベルであり、レベルが上がるに連れて中から強運転時における制御レベルとなり、制御レベル6が最大の強運転時における制御レベルである。よって、制御レベル1(最小レベル)では、送風機38(BM)とスクリュー12の駆動用モータ13(PM)は最小の回転数で回転駆動され、制御レベル6(最大レベル)では、送風機38(BM)とスクリュー12の駆動用モータ13(PM)は最大の回転数で回転駆動される。即ち、制御レベル1における燃焼用空気の供給量と木質ペレット3の供給量は最小となり、制御レベル6における燃焼用空気の供給量と木質ペレット3の供給量は最大となる。
【0036】
本燃焼中においては、木質ペレット3の燃焼によって大量の灰が発生することにより、連続して本燃焼を行うには発生する灰をバーナー部6から効率よく排出する処理を行う必要がある。そこで、詳しくは後述するように、灰処理制御部61によって本燃焼時における灰処理動作を行う。
【0037】
その後、図示しない運転スイッチが使用者によってOFFされるか、又は、燃焼制御部60が燃焼の異常を検知すると、燃焼制御部60は消火動作を行う。消火動作においては、本燃焼の状態から木質ペレット3の供給を停止して燃焼筒32内に残っている未燃焼の木質ペレット3を完全に燃焼させ、その灰を回収処理して運転を停止させる。
【0038】
次に、本燃焼時における灰処理制御部61による灰処理動作を詳しく説明する。灰処理制御部61は、図7に示すように、STEP1において本燃焼が開始されると、STEP2において本燃焼時間Tの計時を開始し、STEP3へ進む。本燃焼時間Tの計時は、制御手段59に内蔵された時計により行われる。STEP3においては、本燃焼時間Tが、予め設定された所定の時間tになると(T≧t)、STEP4へ進む。所定の時間tは、図6に示すように、制御レベルに応じて予め定められた灰処理周期の間隔時間であり、例えば、最小の弱運転時の制御レベル1では時間tが4分に設定されている。なお、図6において示す灰処理周期(t)は、樹皮系ペレット(バークペレット)を用いた場合の灰処理周期を示しているが、灰処理周期(t)は木質ペレット3の種類毎に設定されるものである。
【0039】
次いで、図7においてSTEP4では本燃焼時間Tの計時を停止させ、STEP5へ進む。STEP5においては、バーナー部温度センサ57(BTH1)の検出温度が第1の設定温度より高い場合にSTEP6へ進む。バーナー部温度センサ57(BTH1)における第1の設定温度は、図6に示すように、制御レベルに応じて予め定められている。そして、バーナー部温度センサ57の検出温度が第1の設定温度より高い場合とは、バーナー部温度センサ57が燃焼筒32内の炎により加熱を受けている状態であって、通常の燃焼状態を示している。
【0040】
図7においてSTEP6では、灰処理部温度センサ58(BTH2)の検出温度が第2の設定温度より低い場合にSTEP7へ進む。灰処理部温度センサ58(BTH2)における第2の設定温度は、図6に示すように、制御レベルに応じて予め定められている。そして、灰処理部温度センサ58の検出温度が第2の設定温度より低い場合とは、燃焼筒32内に堆積した灰の断熱作用によって、灰処理部温度センサ58が燃焼筒32内の炎による加熱を受けていない状態であって、灰処理手段43への熱の影響が小さい状態を示している。
【0041】
次いで、図7においてSTEP7では、第1の灰処理動作を行う。第1の灰処理動作は、本実施形態においては、図8に示すように、灰処理用モータ51の回転方向の切り替えにより、最初に灰掻き部材44を互いに外回り(図3において右の灰掻き部材44を右回転、左の灰掻き部材44を左回転)に5秒間回転(STEP7−1)、次に灰掻き部材44を互いに内回りに7秒間回転(STEP7−2)、次に灰掻き部材44を互いに外回りに5秒間回転(STEP7−3)、最後に灰掻き部材44を互いに内回りに7秒間回転(STEP7−4)させ、計24秒の灰掻き動作を行う。灰掻き部材44によって火格子41から掻き落された灰は、補助灰掻き部材45によって灰処理箱47の排出口55に強制的に移送されて、排出口55から灰回収容器56に排出される。
【0042】
また、図7においてSTEP5でバーナー部温度センサ57(BTH1)の検出温度が第1の設定温度以下である場合にはSTEP8へ進む。バーナー部温度センサ57の検出温度が第1の設定温度以下である場合とは、本燃焼中であるにもかかわらず、バーナー部温度センサ57が燃焼筒32内の炎により加熱を受けていない状態を示している。この状態は、燃焼筒32内に堆積した灰の断熱作用が生じている状態であると考えられ、燃焼筒32内の灰の堆積が過剰となって、灰の高さがバーナー部温度センサ57の位置よりも高くなったと考えられる。そこで、STEP8へ進んで、第2の灰処理動作を行う。第2の灰処理動作においては第1の灰処理動作よりも長時間にわたる灰処理動作が行われる。第2の灰処理動作は、本実施形態においては、図9に示すように、灰掻き部材44を互いに内回り(図3において右の灰掻き部材44を左回転、左の灰掻き部材44を右回転)に40秒間回転させて灰掻き動作を行う。
【0043】
即ち、図9に示すように、STEP8−1で灰掻き部材44の内回転を開始させると、STEP8−2に進んで、40秒タイマによる計時を開始する。タイマは、制御手段に内蔵された時計を用いている。次いで、STEP8−3に進み、灰処理部温度センサ58(BTH2)の検出温度が第2の設定温度より低い場合にはSTEP8−4へ進む。この時点で灰処理部温度センサ58(BTH2)の検出温度が第2の設定温度より低い場合には、燃焼筒32内に堆積した灰の断熱作用により灰処理手段43への熱の影響が小さい状態を示している。そして、STEP8−4では、バーナー部温度センサ57(BTH1)の検出温度が第3の設定温度より高い場合にSTEP8−5へ進み、40秒タイマがタイムアップを迎えるまでSTEP8−3とSTEP8−4とを繰り返す。バーナー部温度センサ57(BTH1)における第3の設定温度は、図6に示すように、バーナー部温度センサ57(BTH1)における第1の設定温度よりも低く設定され、制御レベルに応じて予め定められている。そして、バーナー部温度センサ57の検出温度が第3の設定温度より高い場合とは、バーナー部温度センサ57が燃焼筒32内の炎により加熱を受けている状態であって、灰掻き動作が正常に動作して灰の堆積量が少なくなっていく過程を示している。図7においてSTEP8−5で40秒タイマがタイムアップすると、STEP8−6に進んで灰掻き部材44の回転を停止させ、第2の灰処理動作を終了する。
【0044】
また、STEP8−3において灰処理部温度センサ58(BTH2)の検出温度が第2の設定温度以上である場合にはSTEP8−6へ進んで、40秒タイマのタイムアップを待たずに、第2の灰処理動作を終了させる。灰処理部温度センサ58(BTH2)の検出温度が第2の設定温度より高い場合とは、燃焼筒32内に堆積した灰の断熱作用が小となった状態を示しており、これ以上灰掻き動作を継続すると、火格子41や灰処理手段43への熱の影響が大きくなるおそれがある。そこで、即第2の灰処理動作を終了させることで、灰処理手段43が過剰に加熱されることを防止し、灰掻き部材44や補助灰掻き部材45といった灰処理手段43の構成部品への過加熱による悪影響を未然に防ぐことができる。
【0045】
また、STEP8−4においてバーナー部温度センサ57(BTH1)の検出温度が第3の設定温度より低い場合にSTEP8−7及びSTEP8−8へ進む。この時点で、バーナー部温度センサ57(BTH1)の検出温度が第3の設定温度より低い場合とは、燃焼筒32内の温度が極めて低くなっていることを示している。即ち、第2の灰処理動作における灰掻き動作を開始した(或いは灰掻き動作を行っている最中である)にも関わらずバーナー部温度センサ57が燃焼筒32内の炎により加熱を受けていない状態であって、燃焼筒32内の燃焼状態が維持されていないことが考えられる。そこで、STEP8−7及びSTEP8−8へ進んで灰掻き部材44の回転を停止させた後に、本燃焼運転を中止(終了)させる。
【0046】
そして、図7に示すように、STEP7の第1の灰処理動作又はSTEP8の第2の灰処理動作が終了すると、STEP2に戻り、本燃焼時間Tの計時を開始する。なお、本実施形態においては、STEP4において燃焼時間Tの計時を停止した後、第1の灰処理動作又は第2の灰処理動作を行い、その後にSTEP2に戻って本燃焼時間Tの計時を開始する制御を挙げたが、それ以外に、図示しないが、例えば、STEP4において燃焼時間Tの計時を停止した後、STEP4とSTEP5との間で本燃焼時間Tの計時を開始し、STEP7の第1の灰処理動作又はSTEP8の第2の灰処理動作が終了した後にSTEP3に戻るようにしてもよい。これによれば、灰処理周期の間隔時間内にSTEP7の第1の灰処理動作又はSTEP8の第2の灰処理動作の作動時間を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態の木質ペレット燃焼装置を側面から見た概略断面図。
【図2】図1の装置を正面から見た概略断面図。
【図3】図1の装置に設置された灰処理手段を正面から見た概略断面図。
【図4】図3の灰処理手段の概略平面図。
【図5】図3の灰処理手段の概略側面図。
【図6】制御手段において設定された灰処理に係る設定値の一例を示す図。
【図7】本燃焼における灰処理制御を示すフローチャート。
【図8】第1の灰処理動作を示すフローチャート。
【図9】第2の灰処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
1…木質ペレット燃焼装置、3…木質ペレット、6…バーナー部(燃焼部)、41…火格子、42…スリット板、43…灰処理手段(灰処理部)、44…灰掻き部材、57…バーナー部温度センサ(燃焼部内温度検出手段)、58…灰処理部温度センサ(灰処理部内温度検出手段)、60…燃焼制御部(燃焼制御手段)、61…灰処理制御部(灰処理制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質ペレットを燃焼させる燃焼部と、該燃焼部に木質ペレットを供給する木質ペレット供給手段と、該燃焼部の下端部に設けられて木質ペレット供給手段から供給された木質ペレットを燃焼部内部に積載する複数枚のスリット板からなる火格子と、該火格子を介して燃焼部の下方に設けられ、前記木質ペレットの燃焼によって火格子上に発生した灰を除去する灰処理部と、木質ペレットの供給及び燃焼を制御する燃焼制御手段とを備え、該灰処理部は、前記火格子のスリット板の間隙から灰を掻き落とす金属製の灰掻き部材を備える木質ペレット燃焼装置において、
前記燃焼部に設けられ、前記火格子上に所定量の灰が堆積したとき、該灰の上端に対応する位置の燃焼部内の温度を検出する燃焼部内温度検出手段と、
前記灰処理部に設けられ、該灰処理部内の温度を検出する灰処理部内温度検出手段と、
前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が予め設定された第1の設定温度以下であるとき、前記灰掻き部材による灰掻き動作を開始させ、この灰掻き動作中に前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が予め設定された第2の設定温度以上となったとき、灰掻き動作を停止させる灰処理制御手段とを設けたことを特徴とする木質ペレット燃焼装置。
【請求項2】
前記灰処理制御手段は、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度より大であり且つ前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度以上ある場合には前記灰掻き部材による灰掻き動作を行わず、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度より大であり且つ前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度より小である場合に前記灰掻き部材による所定の灰掻き動作を行うように制御することを特徴とする請求項1記載の木質ペレット燃焼装置。
【請求項3】
前記灰処理制御手段は、前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が前記第1の設定温度以下であるとき、前記灰掻き部材による灰掻き動作を開始させ、この灰掻き動作中に前記灰処理部内温度検出手段の検出温度が前記第2の設定温度より小であり且つ前記燃焼部内温度検出手段の検出温度が予め前記第1の設定温度よりも低い温度に設定された第3の設定温度以下であるとき、前記燃焼制御手段を介して燃焼を停止させるように制御することを特徴とする請求項1又は2記載の木質ペレット燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−122015(P2008−122015A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308103(P2006−308103)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000106483)サンポット株式会社 (17)
【Fターム(参考)】