説明

末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物及びその製造方法

【課題】
本発明は、経済的な効果だけでなく、親環境的な効果及びその実用的な価値を高める効果があり、また、優秀な洗浄効果、皮膚を保護する効果及び濯ぎの際に少量の水でも容易に濯ぐことができる効果を有する、洗浄剤組成物及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【解決手段】
これのため、本発明は、末粉を糖類及び塩と共に抽出及び酵素反応させた後、ろ過して得られた末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を提供する。本発明は、(a)精製水に末粉を添加して攪拌しながら1次抽出する段階と、(b)前記(a)段階で製造された1次抽出物に精製水、糖類及び塩を更に添加して攪拌しながら2次抽出する段階と、(c)末粉に含有される酵素を用いて末粉の他の成分を酵素反応させる段階と、(d)前記(c)段階で収得した酵素反応液をろ過して末粉抽出物を収得する段階と、を含む末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物及びその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、末粉を糖類及び塩と共に抽出及び酵素反応させた後、ろ過して得られた末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、洗浄剤は洗浄対象から汚物を完全に除去するために使用されるものであって、衛生及び美観等において人類の生活に多くの利便さを提供してきたし、最近は生活の向上と共に洗浄剤の消費量が大きく増加しつつある。しかし、このような洗浄剤の使用は、洗浄剤の生分解の速度が遅く、環境汚染の原因となっており、洗浄剤の使用時に発生する皮膚の損傷が深刻な問題として台頭している。
【0003】
特に、これまで使用されている洗浄剤の主要原料である界面活性剤は、皮膚表面で乳化、湿潤及び浸透作用によって洗浄作用を有していると同時に、皮膚へ刺激を与え皮膚組織を損傷させて細菌感染のリスクを有しており、更に、キッチン用の汚物を除去する際は、食器に残留して人体に有害な影響を与え得るという問題点があった。
【0004】
そこで、最近、環境に対する毒性が少なく、生分解性が高く、皮膚に安全な親環境的な洗浄剤を製造するための原料が開発されており、このような親環境的な原料を用いた新たな洗浄剤組成物が開発されている。これに係る従来技術としては、甲穀類や昆虫の外皮などから精製過程を介して得られたキトサンを含有するキッチン用洗剤組成物及びその洗剤の製造方法(特許文献1)、ソープワート、キキョウ、ヤシ油脂肪酸などの天然植物を用いた洗浄剤組成物(特許文献2)、ニレから得られた楡白皮の抽出物を含有する化粧用の洗浄剤組成物(特許文献3)等がある。
【0005】
しかし、これまで開発して使用されている親環境的な洗浄剤組成物の原料は、親環境性が優秀という長所はあるものの、原料のコストが高価で洗浄効果が低いという短所があり、皮膚刺激と損傷を誘発する問題点がある。従って、親環境的で原料のコストが安いと同時に、洗浄効果が優秀で皮膚刺激や損傷を誘発しない新たな洗浄剤組成物の開発が至急望まれている。
【0006】
一方、小麦は、人類にとって大事な食糧であって、炭水化物類及びタンパク質が主従となっており、微量成分のカルシウム及び燐が他の穀類に比べて多く含有されている。このような小麦は、果皮(bran)、胚乳(endosperm)及び胚芽(germ)に大きく区分することができるが、胚乳は、小麦粉の生産における主な部位であって澱粉成分が大部分であり、小麦を搗精した後に摂取する部分である。また、胚芽は、脂質、タンパク質及びビタミンE等の栄養成分を多く含有している部分であって、小麦粒子の約2.5%を占め、主に健康食品に使用されており、果皮は、小麦の搗精過程で主に除去される部分であって、末粉(red−dog)又はふすまと呼ばれ、主に肥料や飼料用に使用されている。
【0007】
このような小麦には、炭水化物の一種である澱粉とタンパク質の成分があるが、これは親水性高分子であって全ての分子を吸着する性質があり、小麦タンパク質の主な成分であるグルテンはグリアジンとグルテニンとが結合して生成されたもので、水を吸収すると粘性を有する性質があってパンや素麺などのような食品の製造に使用されている。また、小麦を製粉して製造した小麦粉は、美白効果と角質除去の効能があって女性の美容に使用されており、有害成分を吸着する性質があって果物の農薬除去等に使用されている。
【0008】
しかし、いままで洗浄剤組成物の原料として、肥料及び飼料用に使用されている末粉を使用した例がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国登録特許第0486861号公報
【特許文献2】大韓民国公開特許第2004−0099828号公報
【特許文献3】大韓民国登録特許第0163118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、洗浄力が向上し、親環境的かつ皮膚保護の効果が優れた洗浄剤組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、末粉を糖類及び塩と共に抽出及び酵素反応させた後、ろ過して得られた末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を提供する。
また、本発明は、
(a)精製水に末粉を添加して攪拌しながら1次抽出する段階と、
(b)前記(a)段階で製造された1次抽出物に精製水、糖類及び塩を更に添加して攪拌しながら2次抽出する段階と、
(c)末粉に含有される酵素を用いて末粉の他の成分を酵素反応させる段階と、
(d)前記(c)段階で収得した酵素反応液をろ過して末粉抽出物を収得する段階と、
を含む末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法を提供する。
以下、本発明の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物及び前記洗浄剤組成物の製造方法をより詳細に説明することにする。
【0012】
本発明による末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法を説明すると次のようである。
第1段階:1次抽出する段階
本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を製造するために、まず、末粉を溶解できる溶媒として精製水を添加して攪拌しながら末粉の1次抽出物を製造する。
末粉は、 果皮(bran)、胚乳(endosperm)及び胚芽(germ)に区分される小麦の構成成分のうち、一般的に搗精過程で除去される部分である果皮部分をいい、ふすまとも呼ばれる。前記末粉には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸及び食物繊維など、必須栄養素の相当部分が存在し、特に小麦に存在する抗酸化物質など生理活性物質70〜80%が存在する。しかし、いままではこのような末粉が肥料または飼料用にのみ使用されているだけである。一方、本発明においては、前記末粉を洗浄剤組成物の原料として使用することができる。前記本発明に係る末粉は、小麦の製粉工程の過程で収得されるものを使用することができ、更に、市中で販売されているものを容易に購入して使用することができる。
【0013】
本発明に係る前記末粉の1次抽出物は、末粉に精製水を添加して攪拌しながら製造することができるが、前記精製水は末粉を十分に溶解できる量を添加することができ、pH6.0〜7.0のものを使用することができる。もし、pHが6.0より小さい場合、タンパク質や脂肪酸が蓄積した酸性物質の汚物や脂肪成分を中和することができず、洗浄力が著しく減少する問題点が発生する可能性があり、pHが7.0より大きい場合には、皮膚の脂肪分も共に除去されてしまい皮膚が粗くなり、手の表皮細胞が脱皮する問題点が発生する可能性がある。そのため、pH6.0〜7.0の中性条件が、皮膚の損傷を最小化し、洗浄力を向上させ、濯ぎを容易にできる。
【0014】
前記攪拌は、末粉の細胞壁を破砕しながらも末粉成分に別の変化を与えない適切な温度と攪拌速度で適切な時間の間行うことができる。好ましくは、前記攪拌は、末粉に精製水を添加して1500〜2000rpmの攪拌速度で、25〜30℃で、0.5〜2時間の間行うことができ、更に好ましくは、1800rpmで、25℃の温度で、1時間の間行うことができる。
【0015】
第2段階:2次抽出する段階
前記第1段階で製造された1次抽出物に、精製水、糖類及び塩を更に添加して攪拌しながら末粉の2次抽出物を製造する。
前記精製水は、前記第1段階で使用された精製水と同様にpH6.0〜7.0のものを使用することができ、前記糖類は末粉の安定性のために使用される。すなわち、アミラーゼによって転換された麦芽糖は、タンパク質及び脂肪酸などが蓄積した老廃物を中和させて分解する重要な作用をするが、前記糖類を添加することで麦芽糖への転換を活性化させる。また、末粉に含有された水溶性食物繊維(例えば、ペントサン、ペクチン等)の分離と網状組織の形成を助け「ゲル」の形成を促進させながら増粘剤の役割をするが、この時、前記ゲル及び増粘剤は、添加された糖類が持っている脱水性及び保水力(Water holding capacity)によって、末粉内の主要成分がよく保存され安定するようにする。本発明において使用可能な糖類としては、これに限定はされないが、白砂糖、ブラウン砂糖、黒砂糖及びオリゴ糖等を使用することができ、好ましくは黒砂糖を使用することができる。
【0016】
前記塩は、小麦の主要なタンパク質であるグルテンの形成を促進させるために使用されるもので、前記グルテンはグリアジンとグルテニンとが結合して生じるタンパク質であり、水を充分に吸収すると糸のような物質を形成するようになり、その後、膨張して放射状に交差しながら網組織を形成するようになる。前記形成された網組織は、脂肪を吸収する役割を行い、前記グルテンはガスを生成するようになり、生成されたガスはまた微細な気泡を形成するようになる。前記形成された微細な気泡は、洗浄対象の汚物を攻撃し、洗浄対象と汚物との間の表面張力を減少させ洗浄作用を行う役割をする。
【0017】
本発明において使用可能な塩の種類としては、これに限定はされないが、塩を使用することができるが、好ましくは天日塩を使用することができる。
また、前記精製水、糖類及び塩は、前記第1段階で製造された1次抽出物100重量部に対して、各々80〜120重量部、0.1〜3重量部及び0.1〜3重量部で添加することができ、前記攪拌は、450〜750rpmの攪拌速度で25〜30℃で1〜3時間の間行うことができ、好ましくは600rpmで25℃の温度で2時間の間行うことができる。前記のように2次抽出のための攪拌は比較的に低速で行われるが、これは末粉の細胞壁を破壊し、生物高分子物質である小麦のタンパク質及び多糖類を成分の破壊なしに抽出するためである。
【0018】
第3段階:酵素反応段階
前記第2段階で製造された2次抽出物は、攪拌過程なしに25〜30℃の温度で12〜48時間の間定置させながら、末粉内に存在する酵素によって末粉内の脂肪、タンパク質及び澱粉が加水分解され、糖化及び転移されるように酵素反応させる。好ましくは、25℃の温度で24時間の間定置させながら酵素反応させる。この時、前記2次抽出物を定置させるのは末粉から各種の酵素が分離され出されるようにするためであり、25〜30℃の比較的に低温の温度を維持するのは酵素反応の効果を最大化するためである。前記糖化及び転移とは、前記2次抽出物の末粉内に存在する様々な酵素によって末粉内の成分が加水分解された後、前記成分が洗浄作用の優れた成分に糖化及び転移される段階のことをいう。
【0019】
末粉内に存在する代表的な酵素としては、リパーゼ(lipase)、アミラーゼ(amylase)及びプロテアーゼ(protease)等があり、前記リパーゼは、脂肪を脂肪酸及びグリセロールに分解させる酵素をいう。特に、末粉にはカルシウムとアルブミンが豊かに含有されているが、これは前記リパーゼの脂肪分解作用を更に活性化させる役割をする。
【0020】
また、前記アミラーゼは代表的な糖化酵素の内の一つであって、澱粉の内部結合を無作為的に加水分解してブドウ糖(glucose)、マルトース(maltose)、低分子デキストリン(dextrin)等の糖に転換させる酵素を言い、前記プロテアーゼはタンパク質分解酵素の内の一つで、タンパク質をペプチドを経てアミノ酸に転換させる酵素を言い、末粉の液化及び糖化を促進させる役割をする。
【0021】
上記のような酵素反応の過程を通じて糖化及び転移過程を介した末粉内の水溶性食物繊維、例えばペントサン、ペクチン、ゴム及び粘液質などのようなものは、吸収力が良くて水分と結合することで脂肪を凝集し沈殿反応を起こすことが容易であり、アミラーゼによって澱粉から糖化及び転移されたマルトース、即ち麦芽糖は、タンパク質や脂肪酸などが蓄積した酸性物質の老廃物を中和させて容易に分解するように作用し、また毒素を排出する作用をする。また、末粉の炭水化物は多糖類であって水に溶解転移されると粘性度が高くなり、油や臭いを吸着、吸収及び除去する機能をする。
【0022】
第4段階:ろ過段階
前記第3段階において酵素反応段階が完了すると、前記製造された酵素反応液を回収して沈殿物と上層液とを分離し、通常の方法によってろ過する。
前記ろ過は、遠心分離又は活性炭素を利用することができ、ろ過器を利用して行うことができ、好ましくは200メッシュ(mesh)を用いて行うことができる。
【0023】
また、前記のような方法によってろ過され収得された末粉抽出物は、酵母、カビ及び細菌の生育を抑制するために、保存剤及び防腐剤などを更に添加することができる。本発明の一実施形態においては、前記保存剤として安息香酸ナトリウム(sodium benzoate)を添加し、前記防腐剤としてフェノキシエタノール(phenoxy ethanol)を添加した。
従って、上記のように製造された末粉抽出物は、当業界に公知されている洗浄剤組成物の製造方法に従って本発明の末粉抽出物が含有された洗浄剤組成物を製造することができる。
【0024】
更に、上記のような方法によって製造された本発明の末粉抽出物に、一般的に洗浄剤組成物の製造に使用される界面活性剤、可溶化剤、香料及びその他の添加剤を更に添加して本発明の末粉抽出物が含有された洗浄剤組成物を製造することができる。
【0025】
また、本発明は、末粉を糖類及び塩と共に抽出及び酵素反応させた後、ろ過して得られた末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を提供する。
前記末粉抽出物は上述した方法によって収得することができ、前記末粉抽出物は洗浄剤組成物の100重量部に対して60〜99重量部で含有することができ、好ましくは75〜85重量部で含有することができる。
【0026】
更に、本発明に係る洗浄剤組成物は、前記洗浄剤組成物の100重量部に対して、末粉抽出物60〜99重量部、界面活性剤10〜20重量部、可溶化剤0.5〜4重量部、防腐剤0.01〜1重量部、香料0.01〜1重量部、皮膚保護剤0.1〜3重量部、安定剤0.1〜3重量部及び粘度増強剤0.1〜3重量部を含有することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物及びその製造方法は、次のような優秀な効果を有する。
第1に、本発明に係る洗浄剤組成物は経済的に優秀である。本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物は、小麦の加工副産物として現在まで肥料または飼料用にのみ使用された末粉を洗浄剤の製造に使用することにより、原料のコストを削減し経済的な効果を得ることができる。
第2に、本発明に係る洗浄剤組成物は親環境的である。本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物は、生分解速度の早い天然から抽出した抽出物を使用することにより、生分解性の低い既存の合成洗剤によって誘発する環境汚染を減らす効果がある。また、本発明に係る末粉抽出物を製造する過程で生成される副産物も回収して肥料または飼料に使用することができるため、副産物の処理による費用が別途所要されないという長所を有する。
第3に、本発明に係る洗浄剤組成物は洗浄力が優秀である。本発明に係る洗浄剤組成物に有効成分として含有されている水溶性食物繊維は、繊維素と結合されたフェノール成分が含有されているため、抗酸化活性を有するだけでなく脂肪を吸着する性質を有する。また、前記洗浄剤組成物に含有された麦芽糖は、タンパク質や脂肪酸などが蓄積した酸性物質の老廃物を中和させて容易に分解することを助ける。また、炭水化物である多糖類は、水に溶解転移されると粘性が高くなるが、前記物質は油や臭いを吸着、吸収及び除去する機能を行うことができる。
第4に、本発明に係る洗浄剤組成物は皮膚保護の効果を有する。一般的に、合成及び天然洗浄剤を市販する場合、皮膚保護剤を別途添加する。本発明に係る洗浄剤組成物を市販する場合にも勿論、皮膚保護剤を添加して皮膚保護の効果を極大化することができる。しかし、本発明に係る洗浄剤組成物の有効成分である末粉抽出物は、グリセリン、ビタミン及びミネラルなどの必須栄養素を豊かに含有しているため、それ自体でも優秀な皮膚保護の効果を有する。
第5に、本発明に係る洗浄剤組成物は、濯ぎ性が優秀という長所を有する。一般的な合成及び天然の洗浄剤組成物は、濯ぎの際に多量の水を利用しなければならない短所がある。一方、本発明に係る洗浄剤組成物は、少量の水でも容易に濯ぐことができる優秀な効果を有する。
従って、本発明に係る洗浄剤組成物は、洗浄対象の汚物を除去する化粧品用、キッチン用、ボディ用、洗濯用及びシャンプー等の洗浄剤組成物等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄剤組成物の有効成分である末粉抽出物の製造過程を示す順序図である。
【図2】本発明の一実施形態に従って製造された末粉抽出物に含有されている成分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施形態によって詳細に説明する。しかし、これらの実施形態は本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0030】
<実施形態1>
本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造
<1−1>1次抽出段階
本発明者らは、本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を製造するために、まず、小麦の製粉工程の最終段階で産出される末粉50kgにpHが6.5の精製水500lを混合し、1800rpm、25℃の温度で1時間の間攪拌して1次抽出物を製造した。
<1−2>2次抽出段階
前記実施形態<1−1>で製造された1次抽出物に、またpHが6.5の精製水500l、黒砂糖10kg及び天日塩3kgを更に添加し、600rpm、25℃の温度で2時間の間攪拌して2次抽出物を製造した。
<1−3>酵素反応段階
前記実施形態<1−2>で製造された2次抽出物を攪拌過程なしに25℃の温度で24時間の間定置させながら酵素反応させた。すなわち、上記実施形態の<1−2>で製造された2次抽出物の末粉内に存在する酵素であるリパーゼ、プロテアーゼ及びアミラーゼ等によって末粉内の脂肪、タンパク質及び澱粉が加水分解され、洗浄力の優れた成分に糖化及び転移されるように酵素反応させた後、酵素反応液を製造した。
<1−4>ろ過段階
前記実施形態<1−3>で収得した酵素反応液を、溶媒に溶解されない不純物が沈殿するように定置した後、沈殿分離された水溶液の上層液を200メッシュ(mesh)を用いてろ過させることにより、不純物の除去された末粉抽出物を収得した。その後、前記収得した末粉抽出物に酵母とカビの生育抑制剤である安息抗酸ナトリウム(sodium benzoate)及び細菌などの殺菌のためのフェノキシエタノール(phenoxy ethanol)が0.1%の濃度になるように添加してから攪拌した後、当業界に知られた通常の洗浄剤組成物の製造方法に従って本発明の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を製造した。前記本発明に係る洗浄剤組成物を製造するための末粉抽出物の製造方法は図1に示しており、本発明の末粉抽出物に含有されている成分は図2に示している。
【0031】
<実施形態2>
本発明に係る末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造
前記<実施形態1>で製造された末粉抽出物に、界面活性剤、可溶化剤、食用防腐剤、香料、皮膚保護剤、安定剤及び粘度増強剤を更に添加して末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物を製造した。上記本発明に係る洗浄剤組成物の成分は下記表1に記載した通りである。
【0032】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0033】
以上、上述したように、本発明に係る方法によって製造された末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物は、小麦の加工副産物である末粉を使用することにより、これを用いた経済的な効果だけでなく、親環境的な効果及びその実用的な価値を高める効果があり、また、優秀な洗浄効果、皮膚を保護する効果及び濯ぎの際に少量の水でも容易に濯ぐことができる効果があり、化粧品用、キッチン用、洗濯用、ボディ用及びシャンプーなどの洗浄剤組成物等に広く活用することができる。
本発明は実施形態に基づいて説明されてきたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野の通常の知識を有するものであれば、これから多様な変形及び均等な実施形態が可能である点を理解するであろう。従って、本発明の技術的な保護範囲は添付された特許請求範囲の技術的思想によって定まるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末粉を糖類及び塩と共に抽出及び酵素反応させた後、ろ過して得られた末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記末粉抽出物が、水溶性食物繊維、麦芽糖及び多糖類を含むことを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
末粉60〜99重量部、界面活性剤10〜20重量部、可溶化剤0.5〜4重量部、防腐剤0.01〜1重量部、香料0.01〜1重量部、皮膚保護剤0.1〜3重量部、安定剤0.1〜3重量部及び粘度増強剤0.1〜3重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
(a)精製水に末粉を添加して攪拌しながら1次抽出する段階と、
(b)前記(a)段階で製造された1次抽出物に精製水、糖類及び塩を更に添加して攪拌しながら2次抽出する段階と、
(c)末粉に含有される酵素を用いて末粉の他の成分を酵素反応させる段階と、
(d)前記(c)段階で収得した酵素反応液をろ過して末粉抽出物を収得する段階と、
を含む末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項5】
前記(a)段階の1次抽出を、pH6.0〜7.0の精製水を利用して1500〜2000rpmで25〜30℃の温度で0.5〜2時間の間行うことを特徴とする請求項4に記載の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項6】
前記(b)段階の糖類が、白砂糖、ブラウン砂糖、黒砂糖及びオリゴ糖からなる群から選択されるものであり、前記(b)段階の塩が、天日塩であることを特徴とする請求項4に記載の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項7】
前記(b)段階の2次抽出を、pH6.0〜7.0の精製水を利用して450〜750rpmで25〜30℃の温度で1〜3時間の間行うことを特徴とする請求項4に記載の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項8】
前記酵素が、リパーゼ、プロテアーゼ又はアミラーゼであることを特徴とする請求項4に記載の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項9】
前記(c)段階の酵素反応を、25〜30℃で12〜48時間の間行うことを特徴とする請求項4に記載の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項10】
前記(c)段階の酵素反応が、前記(b)段階で製造された2次抽出物を糖化及び転移させることであることを特徴とする請求項4に記載の末粉抽出物を含有する洗浄剤組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−518221(P2010−518221A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548985(P2009−548985)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000243
【国際公開番号】WO2008/096966
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509222464)
【Fターム(参考)】