説明

【課題】天板と脚とバックフレームとをユニット化し、天板と脚の相互間及び脚とバックフレームとの相互間連結してなる机において、組立を迅速に行えるようにする。
【手段】バックフレーム3と脚2との連結手段は、互いに嵌まり合う突起20,23 と切り開き溝17,22 との組み合わせからなっている。脚2の後面板6aには、上方に位置した第1切り開き溝17と下方に位置した第1突起20とが設けられており、バックフレーム3には、上方に位置した第2突起23と下方に位置した第2切り開き溝22とが設けられている。バックフレーム3を脚2の後面に重ねた状態で下方にスライドさせることにより、突起20,23 と切り開き溝17,22 とが嵌まり合って、バックフレーム3と脚2とを簡単に連結できる。バックフレーム3の上向き移動はねじ止め式の規制体25で阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、簡易に組立できる机(テーブル)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
机には様々の構造のものがある。例えば、特許文献1には、脚を、脚柱の上端から前後にアーム(支持腕)が張り出した形態として、前後のアームで別々の天板を支持することにより、人が向かい合わせて使用できるようにした机において、任意のユニット数だけ連結できるようにしたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数枚の天板を左右又は前後に配置して互いに連結して成る多連式机において、隣合った天板に跨がるように脚を配置すること、換言すると、隣合った天板で1つの脚を共有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭62−54487号公報
【特許文献2】実開昭62−20524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
机を人の使用形態から分類した場合、天板の片側だけに人が座るタイプと、天板の両側に向かい合うようにして人が座るタイプとに分けられる。また、天板の片側だけに座るタイプにしても天板の両側に向かって座るタイプにしても、天板の片側に一人だけが座るシングルタイプと、天板の片側に複数人が座り得る共用タイプとがある。このように、机に対してユーザーは様々の要望を持っており、このためメーカーは品揃えを豊富にする必要がある。
【0006】
そして、特許文献1のものは向かい合わせタイプに専用の構造であるため、片側だけで使用するタイプには転用できず、また、特許文献2のものも連結タイプ兼用の構造であるため、一人だけが使用する机には転用し難い。
【0007】
従って、品揃えを豊富化するためには、各種類の机ごとに専用の部材を製造しなければならず、このため机群の全体として見ると、加工コストや管理コスト、運搬コスト等の書費用が嵩むと共に、加工に要するエネルギー、運搬に要するエネルギー、廃棄した後の処理に要するエネルギー等のエネルギーの使用量も増えがちとなり、環境負荷が大きいという問題がある。
【0008】
この問題に対して本願出願人は、特願2003−139458号において、脚又は袖抽斗のような支持体で天板を支持して成る机において、支持体をバックフレームで連結すると共に支持体と天板とを連結することにより、机全体としての剛性を確保し、かつ、バックフレームの前後両側に支持体を連結可能とすることにより、天板の片側だけで人が使用する机と天板の両側に向かい合って使用する机とで部材を共通化することを提案した。
【0009】
本願発明は、この先願発明の延長線上にあるもので、組立の能率アップや使い勝手の向上等を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の机は、基本構成として、天板と、前記天板を支持する左右の支持体と、左右支持体の背面に重なるように配置されたバックフレームとを備えており、天板と支持体との相互間並びに左右支持体とバックフレームとの相互間をそれぞれ連結することによって
全体として剛体構造になっており、更に、バックフレームの前後両面に支持体を連結可能となっている。
【0011】
そして、請求項1の発明では、前記バックフレームと支持体とには、バックフレームを支持体の後面に重ねた状態で上方から下方にスライドさせることによって両者を前後左右にずれ不能に保持する後部連結手段が設けられており、支持体とバックフレームとのうち何れか一方又は両方に、バックフレームを上向き移動不能に保持する規制手段を設けている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1において、前記支持体の後端面は、上端面が露出している後面板で構成されており、この後面板の上端部に、上向きに開口した第1切り開き溝が形成され、後面板のうちバックフレームが重なる部分の下端部には首部と頭部とを有する第1突起が設けられており、これら第1切り開き溝と第1突起とが支持体の連結手段を成している。
【0013】
一方、前記バックフレームの少なくとも左右両側部は前板と裏板とを有する中空状に形成されており、この左右側部を構成する前板と裏板との下端部には、前記支持体の第1突起の首部に上方から嵌まり込む下向き開口の第2切り開き溝が形成され、前板と後板とにおいて前記支持体の第1切り開き溝と重なる部分に、前記第1切り開き溝に嵌まり込む首部を有する頭部付きの第2突起が突設されており、これら第2突起と第2切り開き溝とがバックフレームの連結手段を構成しており、更に、前記支持体には、第2突起を上向き移動不能に保持する規制体がねじ止めによって固定されている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記バックフレームは天板の上方にはみ出ており、このバックフレームのうち天板の上方にはみ出た部分をバックパネルとなる高さに設定している。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記天板と支持体とには、天板を下方に落とし込むことによって当該天板を支持体に対して前後左右ずれ不能で上向き抜け不能に保持する上部連結手段を設けている。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4において、前記上部連結手段は、天板の下面に前後方向に適宜間隔を隔てて配置されると共に側面視鉤形の係合爪を有する上係合体と、前記上係合体の係合爪が噛み合って左右動不能不能及び上下動不能に保持する複数個の下係合体とから成っており、少なくとも2個の上係合体を、それらの係合爪が側面視で互いに逆向きの姿勢となるように配置することにより、天板を前後いずれの方向に移動不能に保持しており、更に、前記上係合体の係合爪と下係合体とはいずれか一方又は両方の弾性変形によって互いに噛み合うようになっている。
【発明の効果】
【0017】
本願発明によると、バックフレームを下方にスライドさせるだけで当該バックフレームと支持体とを連結でき、しかも、バックフレームは規制体で上向き動不能に保持されているため、例えば何らかの理由でバックフレームに上向きの力が掛かってもバックフレームと支持体との連結が解除されることはない。従って、組立状態を確実に保持しつつ、組立作業を迅速に行うことができる。
【0018】
連結手段には様々の構造を採用できるが、請求項2のように構成すると、突起と切り開き溝との嵌め合わせの簡単な構造で良いため、コストを抑制することができる。
【0019】
請求項3のように構成すると、バックフレームでバックパネルを構成することができて
便利である。この場合、バックフレームのうち少なくとも机上にはみ出た部分を前後に閉塞した板状に形成すると、その上向きにはみ出た部分でそのままバックパネルが構成される。他方、バックフレームが前後に開口している枠状である場合は、これに別体のパネルを取付けたら良い。
【0020】
請求項4及び請求項5のように構成すると、天板も上方から落とし込むだけで支持体に連結できるため、机の組立作業の能率を一層向上させることができる。また、請求項5のように構成すると、上係合体の姿勢を変えることによって天板を前後動不能に保持するものであるため、少なくとも下係合体は同じものを使用してその姿勢を変えて支持体に取付けることが可能になるため、それだけコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る机の斜視図である。
【図2】(A)〜 (D)は第1実施形態を示す図、(E) は別形態に係る机の側面図である。
【図3】バックフレームと脚との分離斜視図である。
【図4】天板を仮想線で示した部分平面図である。
【図5】(A)は脚の後部の縦断側面図、 (B)及び (C)はそれぞれ (A)のうち符BPCで矢視した部分の拡大図である。
【図6】天板と脚との連結構造を示す分離斜視図である。
【図7】(A)は図4の VIIA-VIIA視断面図、 (B)は左右2枚の天板を1つの脚で支持してなる机の概略正面図、 (C)は (B)の机の要部断面図である。
【図8】バックパネルの取付け例を示す断面図である。
【図9】配線ダクトの例を示す断面図である。
【図10】ロータイプのバックフレームにバックパネルを取付ける方法の一例を示す斜視図である。
【図11】(A)は片方の支持体として袖抽斗を使用した机の正面図、 (B)はバックフレームとの連結手段を示す図である。
【図12】サイドパネルの取付け構造の一例を示す図である。
【図13】第2実施形態を示す図である。
【図14】第3実施形態を示す図である。
【図15】関連発明を示す図である。
【図16】他の関連発明を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(1).第1実施形態の概要
図1〜図9は第1実施形態を示しており、このうち図1(A)は組み立てられた状態での机の概略斜視図、図1(B)は分離した状態での概略斜視図、図2(A)は一部破断斜視図、図2(B)は側面図である。これらの図に示すように、机は、主要部材として、平面視矩形(横長長方形)に形成された前後2枚の天板1と、支持体の一例としての左右一対ずつ合計4個の脚2と、1つのバックフレーム3とを備えている。
【0024】
本実施形態の天板は木製(勿論、スチール製等の他の素材製でも良い)であり、上面にはメラミン樹脂層を設け、周囲には合成樹脂製等のエッジを固着している。図示していないが、天板1の下面には抽斗を設けている。天板1の下面と脚2の上面との間に若干寸法(例えば2〜5mm程度)の隙間4が空いている。また、天板1とバックフレーム3との間には配線用空間5が空いている。
【0025】
脚2は金属板製(スチール製)であり、上下長手の脚柱部6とその下部から前向きに延びる下アーム部7と脚柱部6の上端部から前向きに延びる上アーム部8とで側面視略コ字状に形成されている(勿論、他の形態でも良い)。図示していないが、上アーム部8の先端には保護キャップを装着している。脚2は、天板1及びバックフレーム3の左右外側面よりも僅かな寸法だけ内側に入った位置に配置されている。脚2の下面にはアジャスターボルト9を設けている。
【0026】
バックフレーム3は金属板製で、外周を構成する縦長の左右サイドメンバー10と横長のアッパーメンバー11及びロアメンバー12とで前後に開口した正面視矩形(四角形)に形成されており、左右サイドメンバー10の上下中途高さ部位は横長の横桟13で連結されている。バックフレーム3の横桟13は天板1と略同じ程度の高さになっており、このため、バックフレーム3は、上半分程度が天板1よりも上方にはみ出た(露出した)ハイタイプとなっている。また、バックフレーム3の下面は床よりもある程度の寸法だけ高い高さに位置している。
【0027】
バックフレーム3の横幅寸法は天板1の横幅寸法と同じ寸法に設定されている。このため、複数の机を天板1及びバックフレーム3が互いに密着(又は密接)した状態で並設することができる。
【0028】
図2のうち(C)はバックフレーム3の縦断側面図、(D)はサイドメンバー10の平断面図であり、これらの図に示すように、アッパーメンバー11とロアメンバー12と横桟13とは前板と裏板とを有する中空状で断面略C形でかつ先端縁にリップ14を備えており、アッパーメンバー11と横桟13はリップ14が下向きに延びる姿勢で配置されて
おり、ロアメンバー12はリップ14が上向きに延びる姿勢に配置されている。
【0029】
サイドメンバー10は、前板と裏板とを有する中空状で内側に向けて開口する断面コ字状に形成されている。言うまでもないが、各メンバーの形状は任意に選択することができる。
【0030】
アッパーメンバー11とロアメンバー12の左右端部はサイドメンバー10の上下端部に被さっており、また、横桟13の前後側板の端部はサイドメンバー10に前後外面に重なっている(従って、横桟13の上面部のうち左右端部は切りかかれている。)。互いに重なり合った部分はスポット溶接等の溶接によって固着されており、サイドメンバー10には、溶接用のプローブを差し込むための窓穴15が空いてい。
【0031】
図2(E)に示すように、バックフレーム3は上面が天板1と同じ高さになるロータイプとすることもある。ロータイプとハイタイプとでアッパーメンバー11及びロアメンバー12とは同一種類の部材が共用される。
【0032】
(2).バックフレームと脚との連結構造
次に、図3〜図5を参照してバックフレーム3と脚2との連結構造を説明する。図3はバックフレーム3と脚2との分離斜視図、図4は天板1を仮想線で示した部分平面図、図5のうち(A)は脚2の後部の縦断側面図、(B)は(A)のうち符号Bで矢視した部分の拡大図、(C)は(A)のうち符号Cで矢視した部分の拡大図である。
【0033】
例えば図3から容易に理解できるように、脚柱部6は中空状に形成されており、脚柱部6の後端を構成する後面板6aの上端部に、上向きに開口した左右一対の第1切り開き溝17を形成している一方、バックフレーム3のサイドメンバー10には、横桟13のうちサイドメンバー10と重なっている端部13aの真下部分の前面には、第1切り開き溝17に上方から嵌まり込む首部18とこれよりも大径の頭部19とを有する第1突起20がビス21で固定されている。
【0034】
また、バックフレーム3におけるロアメンバー12のうち脚2と重なる左右端部12aには、下向きに開口した左右一対の第2切り開き溝22が形成されている一方、脚2の後面板6aには、第2切り開き溝22に下方から嵌まり込む首部18とこれよりも大径の頭部19とを有する第2突起23がビス21で固定されている。第1突起20と第2突起23とは同一種類であり、また、両切り開き溝17,22は形状及び寸法とも同じである。
【0035】
第2切り開き溝22及び第2突起23はバックフレーム3の前後両面に対称状に配置されている。従って、バックフレーム3の前後両面に脚2を取付けることより、2枚の天板2が背中合わせに配置された机を構成することができる。勿論、バックフレーム3の片面だけに脚2を取付けて、天板1が1枚だけの机を構成することも可能である。
【0036】
バックフレーム3と脚2とを連結するに際しては、左右一対ずつ脚2を位置決めして、前後の脚2でバックフレーム3を挟んだ状態にしてから、バックフレーム3を左右脚2の背面に重ねた状態で下方にスライドさせることにより、切り開き溝17,22と突起20,23と嵌め合わせたら良い。このため、連結作業を簡単に行える。切り開き溝17,22は突起20,23の誘い込みを容易ならしめるため開口部を幅広に形成している。
【0037】
脚2の後部の中空部内には、脚2の上端面よりも若干の寸法だけ下方に位置した状態で補強板24が溶接されており、この補強板24と後面板6aとの間に、第1突起20が通過し得る隙間が空いている。また、補強板24には、第1突起20が上向き動するのを阻止する板材製の規制体25がビス26で固定されている。このため、例えば机を移動させ
るに際してバックフレーム3を持ち上げるというようにバックフレーム3に上向きの力が作用しても、バックフレーム3と脚2との連結が解除されることはない。
【0038】
図5(B)(C)に示すように、本実施形態では、横桟13及びロアメンバー12の端部12a,13aが脚2の後面に重なっており、従って、バックフレーム3は上下の2点支持の状態で脚2に当接している。このため、脚2の後面板6aの反り等の加工誤差を吸収して、突起20,23と切り開き溝17,22とを確実に嵌め合わせることができる。
【0039】
また、切り開き溝17,22と突起20,23とを嵌め合わせた状態でバックフレーム3のサイドメンバー10と脚2の後面板6aとが互いに引き合うように突起20,23における首部18の長さを設定しておくことにより、バックフレーム3と脚2とを強く連結することが可能になる。
【0040】
バックフレーム3における横桟13の端部を脚2の後面板に重ねると、バックフレーム3のサイドメンバー10と脚2の後面板6aとの間には横桟13の板厚分だけの隙間が空き、従って、第1突起20における首部18の長さは、横桟13の板厚と後面板6aの板厚とを足した寸法になる。
【0041】
そして、第1突起20と第2突起23とを共用できるための方法の一つとしては、サイドメンバー10の前板及び裏板の下端をロアメンバー12の下端まで位置させて、サイドメンバー10とロアメンバー12とに第2切り開き溝22を形成することが考えられるが、この方法では、両メンバー10,12の第2切り開き溝22がずれてしまう虞がある。
【0042】
そこで本実施形態では、サイドメンバー10における前後側板の下端は第2切り開き溝22の上端の高さに位置させて、第2突起23の頭部19をサイドメンバー10における側板の内面に当接させている。このため、バックフレーム3の加工の容易性を損なうことなく、バックフレーム3と脚2と確実に連結することができる。
【0043】
なお、本実施形態では突起20,23をビス21で固定しているが、突起20,23に雄ねじ部を一体に形成したり、頭付きボルトを突起に使用したりすることも可能である。また、突起20,23は必ずしも円形には限らず、例えば平面視凸形で正面視矩形に形成することなども可能である。
【0044】
(3).天板と脚との連結構造
次に、図4,図5に加えて図6,7も参照して天板1と脚2との連結構造を説明する。図6は天板1と脚2との連結構造を示す分離斜視図、図7のうち(A)は図4の VIIA-VIIA視断面図、(B)は左右2枚の天板1を1つの脚2で支持してなる机の概略正面図、(C)は(B)の机の要部断面図である。
【0045】
脚2の上アーム部8は、上向きに開口した樋状でかつ上端には内向きのリップ8aを備えており、その後部は脚柱部6の内面に溶接によって固着されている。そして、上アーム部8に前後一対の下係合体28をビス29で固定している一方、天板1の左右端部の下面には、下係合体28と係合する前後一対の上係合体30をビス31で固定している。下係合体28を取付けるため上アーム部8のリップ8aは部分的に切りかかれている。
【0046】
上係合体30は金属板製で正面視略L字状の形態を成しており、水平部分がビス31で天板1に固定されている。天板1にはビス31がねじ込まれる鬼目ナット32を埋設している。上係合体30の鉛直部30aには、側面視鉤形で下向きの上係合爪33と、天板1に設けた位置決め穴34に嵌まる上向きの位置決め突起35が形成されている。そして、前部の上係合体30では上係合爪33が前方に向いており、後部の上係合体30では上係
合爪33が後方に向いている(前後の上係合体30の上係合爪33を逆向きにしても良い。)。
【0047】
下係合体28は合成樹脂製であり、上アーム部8の底面に重なるベース部28aと、ベース部28aから立ち上がったブロック状の位置決め部28bと、空間を挟んで位置決め部8bと前後反対側に配置された左右一対の下係合爪36とを備えており、位置決め部8bには、上係合体30の鉛直部30aが嵌まる上向き開口で左右一対の位置決め溝37が形成されている。位置決め溝37の上端は、上係合体30の鉛直部30aを誘い込むため、正面視で上向きに広がるテーパ状に形成されている。
【0048】
下係合爪36は、上係合爪33が噛み合うように側面鉤形に形成されており、前部の下係合体28は下係合爪36が後方に向く姿勢になっており、後部の下係合体28は下係合爪36が前方に向く姿勢になっている。
【0049】
左右の脚2を位置決めしてから天板1を下方に押し付けて、上下係合体28の係合爪33,36をその弾性に抗して嵌め合わせることにより、天板1と脚2とが連結される。そして、下係合体28の位置決め溝37に上係合体30の鉛直部30aが嵌まっていることにより、天板1は左右方向にガタ付かない状態に保持される。また、上下係合体28,30の係合爪33,36が前後において逆向きであることにより、天板1は前後ずれ不能に保持されている。
【0050】
天板1を脚2に連結した状態で上係合体30の水平部は脚2の上面に重なっており、このため、天板1と脚2との間には、上係合体30の板厚寸法と同じ前記隙間4が空いている。
【0051】
1枚の天板1のみを左右の脚2で支持する場合は、図7に示すように、上係合爪33は下係合体28における外側寄りの下係合爪36に係合させる。他方、図7(B)のように1つの脚(中間脚)2で2枚の天板1を支持する場合は、図7(C)に示すように、左右の天板1の上係合爪33を下係合体28の下係合爪36に係合させる。従って、上係合体30の鉛直部30a及び上係合体30と天板1の外側面との間隔L1は、下係合体28における下係合爪36及び位置決め溝37の間隔Lの半分の寸法になっている。
【0052】
下係合体28に位置決め溝37と下係合爪36とを左右一対ずつ設けたことにより、1枚だけの天板1を支持する状態と、天板1を連設したタイプとに共用できる。なお、上係合体30を左右ずれ不能に保持する位置決め手段は実施形態のような位置決め溝には限らず、他の方法も採用できる。また、上下係合爪33,36の形態も様々に具体化できる。
【0053】
図4及び図7(C)から理解できるように、下係合体28における位置決め部8bの左右両端部は脚2における上アーム部8のリップ8aで覆われており、リップ8aより、上向き動不能に保持されている。このため、1本のビス29で固定しただけでありながら、高い取付け強度を保持することができる利点がある。従って、天板1を持ち上げても下支持体28が起き上がることはない。なお、上下の係合体28,30の素材や具体的形状は自由に選択できる。
【0054】
(4).バックパネル
バックフレーム3のうち横桟13よりも下方の部位には幕板を設けるのが好ましく、天板1よりも上方の部位は遮蔽されたバックパネルを設けることになる。この例を図8に示している。
【0055】
(A)に示す例では、バックパネル39及び幕板40とも鋼板製として、バックフレー
ム3で囲われた空間に嵌め込み装着している。バックパネル39の取付け方法としては、例えば、バックパネル39の下端縁に例えば左右2個の下向き爪41を形成して、これを横桟13に形成した穴(図示せず)に嵌め込む一方、バックパネル39の上端は、弾性を利用してアッパーメンバー11に係合させることが考えられる。
【0056】
また、バックパネル39及ず幕板40は着脱式とすることには限らず、溶接やビス止め等によって予めバックフレーム3に固定していても良いのである。
【0057】
(B)に示す例では、バックパネル39を合板製や樹脂製として、ビス止めや接着等の適当な手段でバックフレーム3に固定している。また、(C)に示す例では、バックパネル39を芯材39aと表面板39bとの複層構造として、表面板39bをインシュレータ等の軟質材製とすることにより、バックパネル39に押しピン42を突き刺しできるピンナップ性を持たせている。
【0058】
バックフレーム3を前後開口方式でなく完全に閉塞した状態に形成すると、バックフレーム3そのものをバックパネル及び幕板と成すことができる。但し、多種のバックパネルを欲する要請に応えるためには、本実施形態のように前後に開口した枠状に形成するのが好ましいと言える。
【0059】
図4に一点鎖線で示すように、机の側面に間仕切43を配置することがある。間仕切43は、一般に、支柱(この場合はコーナー支柱であり、ブロック体であることもある)43aと、この支柱43aに取付けた壁体43bとを有している。壁体43bは、平面視でバックフレーム3と直線状に延びる方向と天板1の側面に沿って前後に延びる方向とに配置されている。
【0060】
そして、机と間仕切43とを並設する場合、バックフレーム3の厚さ寸法を間仕切43の厚さ(例えば45mm程度)に揃えておくと、バックフレーム3の前後面と間仕切43の前後面とが同一面になるため美感に優れている利点がある。
【0061】
(5).配線空間の処理
机の配線空間5は開放したままでも良いが、カバー付きの配線ダクトを設けるのが好ましい。その例を図9で示している。このうち(A)では、天板1の下面に樋状の配線ダクト44を固定している。カバー45は適当な長さに分断されており、左右端部又は前端縁若しくは後端縁にケーブル引き出し溝を切り開き形成している。
【0062】
(B)に示す例では、配線ダクト44を前後の樋状部が一体に連設された形成として、その前後中間部をバックフレーム3の横桟13に上方から嵌め込んでいる。天板1が前後に配置される机では、このような形態を採用することも可能である。なお、(A)のように1つの配線空間5に1つの配線ダクト44を設ける場合、配線ダクト44はバックフレーム3に取付けても良い。
【0063】
(6).バリエーション
図2(B)を引用して説明したように、バックフレーム3が天板1から突出しない状態に配置することも可能である。この状態でバックパネルを取付ける方法としては、図10に示すように、バックフレーム3の左右端部等の適当な箇所に複数個の支持穴46を設けて、バックパネル39から下向き突設した足棒47を支持穴46に嵌め込むなどしたら良い。
【0064】
天板1は必ずしも脚2で支持するとは限らず、図11(A)に示すように、片側又は両側を袖抽斗(ワゴン)48で支持する場合もある。この場合は、図11(B)に示すよう
に、バックフレーム3を連結するためには袖抽斗48の後面板48aに第1切り開き溝17と第1突起20とを設けたら良い。また、図示していないが、天板1との連結のためには、前記した下係合体28を袖抽斗48の左右外寄りの端部上面に固定したら良い。
【0065】
左右に隣合った2枚の天板1を袖抽斗48で支持することも可能であり、この場合は、第1切り開き溝17と第1突起20とは左右に分ける中心線を挟んだ両側に配置すれば良く、下係合体28は左右に分ける中心線に沿った部位に設けたら良い。
【0066】
天板の左右両端部又は片方の端部にサイドパネルを設けることがある。サイドパネルを設ける方法として天板の端部に穴を空けることやブラケットをビス止めすることも考えられるが、これでは取り外した後に体裁が著しく悪化し、また、既存の机に取付けたいというユーザーの希望には実質的に応えることができない。机を独立して設置する場合は、天板1の側面にブラケットを配置することも可能であるが、机を左右に並設した場合はこの方法は採ることができない。
【0067】
このようなサイドパネルの取付けの問題について、図13では、上記した実施形態の机において、天板1の上面に天板1を傷つけることなくサイドパネルを取付ける手段の一例を示している。図12のうち(A)はサイドパネル49を取付け状態での側面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(A)のC−C視断面図である。
【0068】
この実施形態において、サイドパネル49は天板1の前後幅の全体にわたって延びており、前後のブラケット50,51を介して脚2に固定されている。前後のブラケット50,51ともに金属板製であり、サイドパネル49に下方から貫通する起立部52を備えている。もちろん、サイドパネル49に起立部52が嵌まる穴53が空いている。
【0069】
また、前後のブラケット50,51の下部は、脚2に上方から被さる正面視下向き開口コ字状に形成されており、これをビス54で脚2に固定している。前部のブラケット50は天板1の前部を抱き込むように形成されている。
【0070】
ブラケット50,51の下部は天板1の下方に位置しているが、天板1と脚2との間に隙間4が空いているため、ブラケット50,51の下部を天板1に下方に差し込むことができる。換言すると、隙間4を利用してブラケット50,51を取付けることができるのである。言うまでもないが、ブラケット50,51の具体的な形態は図示のものに限定されるものではない。
【0071】
(7).他の実施形態(図13〜図14)
図12では第2実施形態を示している。この実施形態はバックフレームの別例であり、バックフレーム3は第1実施形態と基本的には同じ形態ながら厚さが第1実施形態よりも遥かに薄く設定されており、その前後両面にバックパネル39と幕板40とを取付けている。脚2とバックフレーム3との取付け構造は第1実施形態と同様であり、バックフレーム3は脚2の背面に重なっている。従って、幕板40は左右脚2の間においてバックフレーム3に取付けられている。
【0072】
ところで、複数の互いに密着させて左右に並設することが広く行われており、このようなレイアウトの場合、左右に隣合ったバックフレーム3を互いに連結するのが好ましい。図14ではバックフレーム同士の連結方法の例を示している。
【0073】
(A)に示す例では、サイドメンバー10に外側板に溶接用の窓穴15が空いていることを利用して、この窓穴15の箇所で、ヘアピン状のクリップ55を両サイドメンバー10の外側板を弾性的に挟持している。他方、(B)に示す例では、隣合ったサイドメンバ
ー10をボルト(ビス)56で締結している。アッパーメンバー11の上面板の左右端部にスリットを形成して、左右に隣合ったスリットに(B)と類似したクリップ55を嵌め込むことも可能である。
【0074】
(8).その他
本願発明は上記実施形態の他にも様々に具体化することができる。例えばバックフレームは、前後に開口した方式として、下部には幕板を溶接によって離反不能に固着し、天板から上向きに露出した上部にはバックパネルを着脱自在に取付けることも可能である。また、バックフレームを前後に開口した枠状に形成する場合、各メンバーは中空角形など様々の断面形状にすることができる。
【0075】
机を左右に並設する場合、隣合った天板同士を金具によって互いに連結しても良い。また、図7(B)に示すような中間脚2を設ける場合、天板1を1枚板と成すとことも可能であ(すなわち、左右幅の異なる机において脚2とバックフレーム3とを兼用することも可能である)。
【0076】
また、バックフレームと脚とを連結する後部連結手段、及び、天板と脚とを連結する上部連結手段の具体的な構造は様々に具体化できる。請求項3以下の発明は請求項1の従属項として記載しているが、これらは独立した請求項たり得るものである。
【0077】
机には必ずしも配線空間を設ける必要はなく、天板の後端縁をバックフレームに重ねるか、又は、天板の後端面を脚の後端面に一致させることも可能である。このような場合は、バックフレームの上向き動を阻止することを天板で行うことも可能である。
【0078】
(9).関連発明
図15及び図16では、バックフレーム3と脚2とを連結する後部連結手段の関連発明を示している。このうち(A)に示す例では、バックフレーム3のうち脚2の背面と重なる部分に、平面視L形で先端が相対向する姿勢の鉤片57の対を上下適宜間隔隔てて複数対突設する一方、脚2の背面板2aには、鉤片57が左右ずれ不能及び上下ずれ不能に嵌まる角形の係合穴58を形成し、更に、脚2の中空部において左右鉤片57が抱持される上下長手のストッパー59を上方から嵌め込んでいる。
【0079】
この例では、ストッパー59によって鉤片57が抜け不能に保持されることにより、バックフレーム3と脚2とが連結される。この例も本願発明と同様き効果を奏し得るが、特に、バックフレーム3と脚2との位置決めが容易であるため、バックフレーム3の前後両側に脚2を連結する場合には特に作業が容易であると言える。なお、脚2にストッパー59の抜けを防止する規制体を設けても良い。
【0080】
図16に示す発明は、バックフレーム3の前後両面に脚2を抱持する平面視コ字状のブラケット部60をねじ止めや溶接等によって固着し、ブラケット60の側板を左右側方からビス61で脚2に固定している。なお、ビス61は片側だけに設けてもよい。また、ブラケット部60はバックフレーム3に切り起こしによって形成することも可能である。この例はねじ込み作業に若干の時間がかかるが、位置決めが簡単であり、また、取付け強度が高い利点がある。
【符号の説明】
【0081】
1 天板
2 脚
3 バックフレーム
6 脚の脚柱部
8 脚の上アーム部
10 サイドメンバー
11 アッパーメンバー
12 ロアメンバー
13 横桟
17 第1切り開き溝
20 第1突起
22 第2切り開き溝
23 第2突起
25 規制体
28 下係合体
30 上係合体
33 上係合爪
36 下係合爪
37 位置決め溝
39 バックパネル
40 幕板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、この天板を支持する左右の支持体と、前記左右支持体の後面に重なるように配置されたバックフレームとを備えており、天板と支持体との相互間並びに左右支持体とバックフレームとの相互間をそれぞれ連結することによって全体として剛体構造になっており、更に、バックフレームの前後両面に支持体を連結可能である机であって、
前記バックフレームと支持体とには、バックフレームを支持体の後面に重ねた状態で上方から下方にスライドさせることによって両者を前後左右にずれ不能に保持する後部連結手段が設けられており、支持体とバックフレームとのうち何れか一方又は両方に、バックフレームを上向き移動不能に保持する規制手段を設けている、
机。
【請求項2】
前記支持体の後端面は、上端面が露出している後面板で構成されており、この後面板の上端部に、上向きに開口した第1切り開き溝が形成され、後面板のうちバックフレームが重なる部分の下端部には首部と頭部とを有する第1突起が後ろ向きに突設されており、これら第1切り開き溝と第1突起とが支持体の連結手段を成している一方、
前記バックフレームの少なくとも左右両側部は前板と裏板とを有する中空状に形成されており、この左右側部を構成する前板と裏板との下端部には、前記支持体の第1突起の首部に上方から嵌まり込む下向き開口の第2切り開き溝が形成され、前板と後板とにおいて前記支持体の第1切り開き溝と重なる部分に、前記第1切り開き溝に嵌まり込む首部を有する頭部付きの第2突起が突設されており、これら第2突起と第2切り開き溝とがバックフレームの連結手段を構成しており、
更に、前記支持体には、第2突起を上向き移動不能に保持する規制体がねじ止めによって固定されている、
請求項1に記載した机。
【請求項3】
前記バックフレームは天板の上方にはみ出ており、このバックフレームのうち天板の上方にはみ出た部分をバックパネルとなる高さに設定している、
請求項1又は2に記載した机。
【請求項4】
前記天板と支持体とには、天板を下方に落とし込むことによって当該天板を支持体に対して前後左右ずれ不能で上向き抜け不能に保持する上部連結手段を設けている、
請求項1〜3のいずれかに記載した机。
【請求項5】
前記上部連結手段は、天板の下面に前後方向に適宜間隔を隔てて配置されると共に側面視鉤形の係合爪を有する上係合体と、前記上係合体の係合爪が噛み合って左右動不能不能及び上下動不能に保持する複数個の下係合体とから成っており、少なくとも2個の上係合体を、それらの係合爪が側面視で互いに逆向きの姿勢となるように配置することにより、天板を前後いずれの方向に移動不能に保持しており、更に、前記上係合体の係合爪と下係合体とはいずれか一方又は両方の弾性変形によって互いに噛み合うようになっている、
請求項4に記載した机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−178574(P2009−178574A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119557(P2009−119557)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2004−329272(P2004−329272)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】