説明

材料処理プラント

【課題】熱伸長及び熱膨張に起因するプラントへのダメージを防止するための手段で、一般的なタイプのプラントを開発する。
【解決手段】材料処理プラントは、第一スクリュー型機械(1)と第二スクリュー型機械(2)とから成る。スクリュー型機械(1、2)は、互いに配管エルボ(27)を用いて接続される。伸長補償機器(43)が第一スクリュー型機械(1)と配管エルボ(27)との間に配置される。第二スクリュー型機械(2)の熱膨張のための膨張補償機器(47)が配管エルボ(27)の上流側に配置される第一スクリュー型機械(1)の最後の支柱(34)内部に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブル部分乃至所謂おいて部分に記載の材料処理プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】EP 1005411 B1
【特許文献2】US 3261056 A
【特許文献3】US 3860220 A
【特許文献4】US 2007/0104814 A1
【0003】
特にプラスチックの処理において、二つの連続する押出機を設けることが概して合理的であり、その押出機のそれぞれは、個々の処理ステップを実行する。例えば、プラスチック材料が粉末の形態で用いられる場合、粉末の投入と溶融とは、第一押出機で実行することができる。その後、下流側の第二押出機で均質化と昇圧乃至圧力上昇とを実行することができる。いくつかの押出機のこの種の連続配置は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4から知られている。文献及び実務から知られている一般的なタイプのプラントのほとんどが、起動時に加熱する場合に、システム全体において相当なストレスにつながりうる高熱膨張(high thermal expansion)に起因する問題に直面している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、熱伸長及び熱膨張に起因するプラントへのダメージを防止するための方法乃至手段で、一般的なタイプのプラントを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明にしたがい、請求項1の特徴記載部分の特徴によって達成される。したがって、本発明によれば、一方では第一押出機と配管エルボとの間に伸長補償機器(elongation compensation device)が設けられ、他方では第一押出機の放出領域に隣接する支持と前記支持のケーシングとの間に膨張補償機器(expansion compensation device)が設けられる。したがって、第二押出機の膨張の補償は、第一押出機のケーシングと前記支持との間で生じる。
【0006】
請求項2の実施形態にしたがって、第二押出機の第二ケーシングの熱膨張の補償は、第一押出機の第一ケーシングの伸長に対する所定の、固定された関係で生じ、前記関係は、計算により又は実験的に得られる。
【0007】
請求項3及び4は、その有利な実施形態を特定する。
【0008】
請求項5は、伸長補償機器の有利な実施形態を特定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のさらに有利な特徴及び詳細が、図面と併せた場合の例示的な実施形態の以下の記述から明らかになろう。
【0010】
図面に表示されたカスケードタイプ押出機(cascade-type extruder)には、第一押出機1と第二押出機2とが、すなわちスクリュー型機械らが設けられる。第一押出機1は、第二押出機2の上方に配置される(図2参照)。第一押出機1は、第一カップリング4と第一変速機5とを介し、第一モータ3を用いて動作させられる。第二押出機2は、第二カップリング7と第二変速機8とを介して、第二モータ6を用いて動作させられる。モータ3と6との制御は、制御ユニット9を用いて行われる。押出機1及び2は、長手方向において前記押出機1及び2のそれぞれの変速機5及び8とに動かないように固定される。
【0011】
第一押出機1には、平行な軸13、14を設けられる二つの第一ケーシング孔11、12が形成されるケーシング10が設けられ、前記軸13、14は、およそ8の字型の係合で互いに平行に整合される。これらケーシング孔11、12には、二つの第一スクリューシャフト15、16が設けられ、当該スクリューシャフトは、第一変速機5に連結される。スクリューシャフト15、16は、同じ方向に又は反対方向に駆動される。第一押出機1には、処理されるべき材料のための第一供給領域18が設けられ、当該第一供給領域は、第一流れ方向17において第一変速機5の下流側に配置され、第一流れ方向17において一つ以上の処理領域に隣接する。
【0012】
第一流れ方向17に放出が生じる第一放出領域19が、第一押出機1の終端部に設けられる。二つのケーシング孔11、12及び対応する二つのスクリューシャフト15、16の代わりに、一つだけの孔、又は、3つかそれ以上の孔と対応する数のスクリューシャフトとを有することもできる。
【0013】
第二押出機2にも、平行な軸23、24を備えた二つの第二ケーシング孔21、22が形成されるケーシング20が設けられ、前記ケーシング孔は互いに係合し、かくして、やはり8の字型の断面形状を規定する。二つの第二スクリューシャフト25、26が第二ケーシング孔21、22に配置され、前記第二スクリューシャフト25、26は、同一方向又は反対方向に回転駆動可能であり、第二変速機8に連結される。
【0014】
第一押出機1は、前記第一押出機1の放出域19に隣接する配管エルボ27を用いて第二押出機2に接続され、配管エルボ27は、第二供給領域28において第二押出機2に突出する。配管エルボ27は、第二ハウジング20の上側にしっかりと固定される。供給領域28は、同様に、一つ以上の処理領域によって隣接される。第二押出機2は、供給領域28の反対側の終端部で第二流れ方向29の下流側に配置される第二放出領域30を有する。
【0015】
一つだけの又は2つ以上のケーシング孔に加え、対応する数のスクリューシャフトを設けることができることは、第二押出機2にとっても当てはまる。
【0016】
図2で見て取れるように、第一ケーシング10は、従来どおりに個々のケーシング区域から成り、最後の2つのケーシング区域31、32だけが表示される。それに応じて、同様のことが第二ケーシング20にも当てはまり、一つのケーシング区域33だけが表示される。第一ケーシング10、第二ケーシング20いずれも、支柱34、35を介して基礎36、37上で支持され、各ケーシング10、20の一つの支柱34又は35が図2に示されている。本発明の範囲の中で主要部分を形成する支柱34は、接続フランジ38、39の下に配置され、当該接続フランジを用いて、第一ケーシング10の最後の二つのケーシング区域31、32が互いに接続される。第一押出機1のこの支柱34は、かくして、配管エルボ27に対して最も隣接する支柱である。第一流れ方向17で見ると、それは、第一押出機1の第一放出領域19の上流側に直接設置される。第一流れ方向17で見ると列中最後であるケーシング区域32は、フィルターと共にフィルターケーシング42がフランジ41を用いて接続される起動制御機器40に隣接する。その際、フィルター42は、前記配管エルボ27によって隣接され、当該配管エルボは、四半円にわたり延在し、故に90°で曲げられ、言い換えれば、軸13、14の水平方向からそれる。概して、軸13、14に加え軸23、24の全ての軸は、水平方向に延在し、かくして前記軸13、14は、水平からそれて、対応する下側位置に配置される第二押出機2の方へ垂直方向下向きに向けられ、その第二供給領域28は、前記押出機2の上側面に配置される。
【0017】
さらに、伸長補償機器43が、第一押出機1の熱伸長を補償するためにフィルターケーシング42と配管エルボ27との間に設けられる。これらの伸長は、変速機5から始まる。機器43は、原則的に、スライドスリーブ接続(sliding-sleeve connection)から成り、管状のスライドスリーブ44が、フィルターケーシング42に配置され、前記スライドスリーブ44は、配管エルボ27の直線配管区域45と係合し、且つ、シール部材が両者の間に設けられる。かくして、第一ケーシング10は、配管エルボ27が第一軸13、14の方向に変位すること無しに、第一軸13、14の方向で長手方向に広がることができる。起動制御機器40及びフィルターケーシング42に加え第一ハウジング10のこれらの伸長は、配管エルボ27自身を変位させること無しに、配管区域45の方へのスライドスリーブ44の関連する変位という結果になるだけである。
【0018】
押出機1、2が加熱される場合、第二基礎37と支柱35との垂直方向位置が変化しないので、前記第二押出機2の第二ケーシング20も軸23、24の方向に対して垂直に、すなわち、上方に膨張する。この上方への膨張によって、配管エルボ27が軸13、14の方向に対して上方に及び垂直に変位させられる。この熱膨張を補償するために、膨張補償機器47が設備され、当該膨張補償機器は、第一押出機1の支柱34と第一ケーシング10との間に配置される。前記膨張補償機器は、実質的に二つのフラットなくさび乃至フラットウェッジ(flat-wedge)から成り、第一下側くさび48は、支柱34上に配置される一方で、第二上側くさび49は、第一ケーシング10に、より正確に言えば、ケーシング区域31、32の接続フランジ38、39に当接し、前記接続フランジ38、39に接続される。二つのくさび48、49は、スライディング面50を形成して互いに当接し、当該スライディング面は、第一流れ方向17で見ると、配管エルボ27に向かって、又は、第一放出領域19に向かってそれぞれ上に傾斜する。第一流れ方向17で見ると、スライディング面50は、かくして、軸13、14にまたがる面に向かって上に傾斜する。
【0019】
第一押出機1と第二押出機2とが、起動プロセス中に例えば加熱システム51、52を用いて加熱される場合、第一押出機1は、前記第一押出機1の放出領域19に向かって長手方向に膨張する。これが起こると、第一ケーシング10に接続された第二上側くさび49は、軸13、14の方向に変位できない下側くさび48を渡ってスライドし、かくして、この領域で且つ対応する配管エルボ27への推移領域でも、第一ケーシング10が上方に動かされる。第一軸13、14に対するスライディング面50の傾斜角度αは、通常操作中に生じる熱伸長が第二押出機2の対応する低めの熱膨張に変わるように選ばれる。大きな機械において、操作中に生じる第一押出機1の熱膨張は、15mmの範囲内である一方で、第二押出機2の熱膨張は3mmの範囲内でありえる。この場合、角度αは、次のtgα≒0.2が当てはまることを確実にするように選ばれる。おおよそ、次の0.15≦tgα≦0.25が実際に生じる全ての状況に当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にしたがうプラントの概略的で、部分的に切り開かれた平面図である。
【図2】図1に記載のプラントの、部分的に切り開かれ且つ図1に比較して詳しく描かれた部分側面図である。
【図3】図2の膨張補償機器の拡大された部分図である。
【符号の説明】
【0021】
10 第一ケーシング
11 第一ケーシング孔
12 第一ケーシング孔
13 第一軸
14 第一軸
15 第一スクリューシャフト
16 第一スクリューシャフト
17 第一流れ方向
19 第一放出領域
20 第二ケーシング
21 第二ケーシング孔
22 第二ケーシング孔
23 第二軸
24 第二軸
25 第二スクリューシャフト
26 第二スクリューシャフト
27 配管エルボ
28 第二供給領域
30 第二放出領域
34 支柱
43 伸長補償機器
44 スライディングスリーブ
47 膨張補償機器
48 くさび
49 くさび
50 スライディング面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−−第一ケーシング(10)と、
−−第一軸(13、14)を設けられる少なくとも一つの第一ケーシング孔(11、12)と、
−−少なくとも一つの第一ケーシング孔(11、12)に配置される第一スクリューシャフト(15、16)と、
処理されるべき材料のための第一供給領域であって、第一ケーシング孔(11、12)に第一ケーシング(10)の第一端部で突出する第一供給領域と、
−−第一ケーシング(10)の第二端部に配置される第一放出領域(19)と、
−−第一放出域(19)の領域で第一ケーシング(10)を支持する支柱(34)と、を設けられる
−第一スクリュー型機械と、
−−第一ケーシング(10)の下方に配置される第二ケーシング(20)と、
−−第二軸(23、24)を設けられる少なくとも一つの第二ケーシング孔(21、22)と、
−−第二ケーシング孔(21、22)に配置される第二スクリューシャフト(25、26)と、
−−第二ケーシング(20)の第一端部で第二ケーシング孔(21、22)に突出する第二供給領域(28)と、
−−第二ケーシング(20)の第二端部に配置される第二放出領域(30)と、を設けられる
−第二スクリュー型機械と、
−−第一放出領域(19)を第二供給領域(28)に接続し、
−−伸長補償機器(43)を用いて第一スクリュー型機械に接続され、且つ、
−−第二ケーシング(20)に接続される、
−配管エルボ(27)と、
を備えて成る材料処理プラントにおいて、
膨張補償機器(47)が支柱(34)と第一ケーシング(10)との間に設けられていることを特徴とするプラント。
【請求項2】
膨張補償機器(47)が、スライディング面(50)を設けられたスライド軸受として構成され、当該スライディング面が第一流れ方向(17)で軸(13、14)に向かって上に傾斜していることを特徴とする請求項1のプラント。
【請求項3】
スライディング面(50)が二つのくさび(48、49)の間に形成され、当該くさびの内、下側くさび(48)は、支柱(34)に接続され、上側くさび(49)は、第一ケーシング(10)に接続されることを特徴とする請求項2に記載のプラント。
【請求項4】
スライディング面(50)が、0.15≦tgα≦0.25、特に、tgα≒0.2であるところの角度αを第一軸(13、14)と形成することを特徴とする請求項2に記載のプラント。
【請求項5】
伸長補償機器(43)がスライディングスリーブ(44)として構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−126660(P2008−126660A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298033(P2007−298033)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(501164665)コペリオン ヴェルナー ウント プライデラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (20)
【Fターム(参考)】