説明

来訪者モニタシステム

【課題】 インターホン装置が呼出操作されると、連動してドアスコープに設置されたカメラが起動し、室内等に設置されたモニタに撮像映像が表示される。
【解決手段】 ドアスコープを介してドア前方の来訪者を撮像するカメラ10を備えたカメラユニット1と、カメラ10の撮像映像を表示するモニタ15を備えたモニタユニット2とから成り、カメラユニット1とモニタユニット2とは無線により通信を実施し、モニタユニット2は、インターホンの呼出音を集音するマイク17と、音響情報を記憶するメモリ18と、マイク17が集音した音響とメモリ18に記憶した音響情報とを比較すると共にカメラ10及び前記モニタ15を制御するモニタユニット制御部12とを有し、このモニタユニット制御部12が集音した音響が記憶している呼出音と同一であると判断したら、カメラ10及びモニタ15を起動させて撮像映像をモニタ15に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアスコープを利用して来訪者を映像で確認できる来訪者モニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアスコープにカメラを設置して、覗き込むことなく来訪者を確認可能とした来訪者モニタシステムがある。例えば特許文献1では、望遠レンズ、カメラ(CCD)、液晶ディスプレイから成るモニタを1つの筐体に収容し、望遠レンズをドアスコープに合致するように位置合わせして筐体をドアの室内側に固定し、スイッチ操作でカメラを起動してモニタに来訪者映像を表示させている。このように構成することで、玄関にカメラ、室内にモニタを設けてその間に伝送線を配線するといった面倒な作業をすることなく来訪者映像を見ることができ便利であった。
【0003】
ところが、インターホンを備えた住戸においては、ドアに上記来訪者モニタシステムが設置されても、室内に設置されたインターホン親機により来訪者と通話中はドアまで行けないため、来訪者映像をみることができない。そのため、特許文献2に開示されているようにカメラとモニタを別体とした構成のものがある。これは、ドアスコープ越しに来訪者を撮像するカメラとその映像を表示するモニタとの間に無線通信機能を設け、無線によりモニタにカメラの撮像映像を送信し、室内で来訪者を確認することができた。この場合、一体型と同様に別途配線すること無く設置でき、室内で来訪者映像を確認できるので、モニタを持たない従来のインターホンを変更することなくモニタ付きインターホンの如く使用することが可能となり、セキュリティの向上に活用できた。
【0004】
【特許文献1】特開平11−215485号公報
【特許文献2】特開平8−218749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カメラとモニタを分離したものをインターホンのモニタとして使用する場合、居住者は来訪者の呼び出しに応答するための通話ボタン操作に加えて、このモニタの起動操作も必要であり、操作が面倒であった。そのため、カメラ付インターホン装置の如く1つのボタン操作で通話が実施でき、且つ映像の表示も行われる来訪者モニタシステムが望まれていた。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、インターホン装置が呼出操作されると、連動してドアスコープに設置されたカメラが起動し、室内等に設置されたモニタに撮像映像が表示される来訪者モニタシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、ドアスコープを介してドア前方の来訪者を撮像可能なカメラを備えたカメラユニットとカメラ撮像映像を表示するモニタを備えたモニタユニットとを有し、カメラユニットにはカメラの撮像映像信号をモニタユニットに無線送信する第1通信手段を設けると共に、モニタユニットには撮像映像信号を受信する第2通信手段を設けた来訪者モニタシステムであって、モニタユニットは、更に周囲の音響を集音する集音手段と、特定の音響情報を記憶する音響情報記憶手段と、集音手段が集音した音響と音響情報記憶手段が記憶している音響情報とを比較する音響判断手段と、カメラ及びモニタを制御する撮像制御手段とを備え、撮像制御手段は、音響判断手段が集音した音響と記憶している音響情報とが一致したと判断したら、カメラを起動させて撮像映像をモニタに表示させることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、カメラユニットをドアスコープの位置に合わせてドアに設置し、モニタユニットを室内の任意の位置に設置するだけで、配線工事することなくドアスコープを介してドア前の映像をモニタに表示させることができる。そして、特定の音響に反応してカメラ及びモニタが起動する。
そのため、音響情報記憶部にインターホン親機から発せられる呼出音を記憶させて、モニタユニットをインターホン親機の近くに設置すれば、来訪者がインターホン子機を呼出操作すると、インターホン親機の呼出音で来訪者モニタシステムは起動し、来訪者の映像をモニタに出画する。よって、呼び出しに対して応答する際に、居住者は別途起動ボタンを操作することなく起動したモニタユニットを見て来訪者を確認することができ、インターホン装置に来訪者映像を表示させる機能が無くてもテレビインターホン装置の如く利用することができ、利便性に優れている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、音響判断手段が比較する音響情報が、音パターン及び周波数であることを特徴とする。
この構成によれば、周波数だけではなく音パターンも合わせて比較して判断するので、テレビ放送等で報音される音響に反応するようなことがなく、呼出音に対して確実に反応させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、別途設置されているインターホン装置の呼出音に反応して起動するよう設定することで、インターホン子機が呼出操作されたら、その呼出音で来訪者の映像をモニタに出画させることできる。そのため、インターホン親機に来訪者映像を表示する機能が無くても、インターホン親機により応答操作する際に来訪者映像をモニタユニットを見て確認することができる。然も、別途カメラの起動操作をする必要がないので利便性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2は、本発明の来訪者モニタシステムを示し、図1はシステムの概略図、図2は回路ブロック図である。図1において、1はカメラユニット、2はモニタユニット、3は居住者を呼び出すためのインターホン子機、4は呼び出しに応答するためのインターホン親機、5はドア、6はドアスコープを示している。本発明の来訪者モニタシステムはカメラユニット1とモニタユニット2とで構成され、インターホン子機3とインターホン親機4とはインターホン装置の構成機器である。尚、このインターホン装置は、来訪者映像を表示する機能を具備せず通話のみ可能なものとなっている。
【0012】
カメラユニット1は図2に示すように、CCD等を備えてドアスコープ6を介してドア前方の撮像を可能としたカメラ10、アンテナ11aを有してカメラ10の撮像映像をモニタユニット2に送信するためのカメラ側無線通信部11、カメラユニット1全体を制御するカメラユニット制御部12、電池を備えてカメラユニット1の各回路に電源を供給する電源部13等を備えている。そして、図1に示すように、ドア5に設けられたドアスコープ6の室内側にカメラ10を一致させて、ドアスコープ6を介してドア5の前に居る来訪者を撮像できるように設置される。尚、電源部13は電源コードを配線して商用電源から電源を採っても良い。
【0013】
モニタユニット2は、図2に示すようにカメラ10の撮像映像を表示するためのLCD等から成るモニタ15、アンテナ16aを有してカメラユニット1と通信するためのモニタ側無線通信部16、周囲の音響を集音するマイク17、音響情報を記憶するメモリ18、音響を記憶操作する操作部19、モニタユニット2を制御するモニタユニット制御部20、商用電源に接続する電源部21等を備えている。尚、モニタユニット制御部20は、メモリ18に記憶している音響と集音した音響の比較を行うためのパターン認識部20aとトーン検出部20bを備えている。そして、モニタユニット2はインターホン親機の近くに設置して使用される。
【0014】
一方、インターホン子機3は、呼出ボタン3aに加えて図示しない通話部を有しているし、インターホン親機4は、呼出音鳴動部4aに加えて図示しない通話部や通話ボタンを備え、双方は伝送線L1により接続されている。
【0015】
このように構成された来訪者モニタシステムの動作は以下のようである。まず、メモリ18に来訪者モニタシステムを起動操作するための音響情報を記憶させる。モニタユニット2をインターホン親機4の近くに設置した状態で、操作部19を所定の操作して音響記録モードにする。この状態で、インターホン子機3の呼出ボタン3aを押下すると、インターホン親機4の呼出音鳴動部4aから呼出音が鳴動し、この鳴動音がマイク17で集音される。集音された音響は、操作部19の所定の記憶操作によりモニタユニット制御部20の制御でメモリ18に記憶される。
【0016】
こうして呼出音が記憶されたら、音響記録モードを解除して通常モード戻す。すると来訪者モニタシステムは次のように動作する。訪問者がインターホン子機3の呼出ボタン3aを押下すると、インターホン親機4の呼出音鳴動部4aより呼出音が鳴動する。この呼出音をモニタユニット2のマイク17が集音すると、モニタユニット制御部20は集音した呼出音とメモリ18に記憶している呼出音を比較し、同一であるかどうか判断する。
具体的に、モニタユニット制御部20は、パターン認識部20aが呼出音の音パターンを検出してメモリ18に記録された呼出音の音パターンと比較し、トーン検出部20bが呼出音の周波数を検出して同様に記憶している呼出音の周波数と比較する。この比較で、一致すると判断した場合は、モニタ側無線通信部16からカメラユニット1に対してカメラ起動信号を送信する。
【0017】
尚、音パターンの認識は音響ピーク値の発生間隔を検出することで実施できるし、周波数の検出はIC化されたトーンデコーダを用いることで容易に実施できる。
【0018】
カメラユニット1は、カメラ側無線通信部11を介してカメラ起動信号を受信すると、カメラユニット制御部12がカメラ10を起動して訪問者の撮像を開始し、撮像した映像信号をカメラ側無線通信部11を介してモニタユニット2へ送信する。そしてモニタユニット2は、モニタ側無線通信部16を介して映像信号を受信すると、モニタユニット制御部20が、受信した訪問者の映像をモニタ15に表示させる。
また、このときモニタユニット制御部20は、図示しないタイマーをスタートさせてカメラ10及びモニタ15のオン動作を継続させる時間をカウントし、所定時間が経過してタイマがカウントアップすると、カメラ停止信号を送信してカメラ10を停止させると共に、モニタ15をオフさせて待受状態に戻す。
【0019】
このように、カメラユニットをドアスコープの位置に合わせてドアに設置し、モニタユニットを室内の任意の位置に設置するだけで、配線工事することなくドアスコープを介してドア前の映像をモニタに表示させることができる。そして、特定の音響に反応してカメラ及びモニタが起動する。
そのため、音響情報記憶部にインターホン親機から発せられる呼出音を記憶させて、モニタユニットをインターホン親機の近くに設置すれば、来訪者がインターホン子機を呼出操作すると、インターホン親機の呼出音で来訪者モニタシステムは起動し、来訪者の映像をモニタに出画する。よって、呼び出しに対して応答する際に、居住者は別途起動ボタンを操作することなく起動したモニタユニットを見て来訪者を確認することができ、インターホン装置に来訪者映像を表示させる機能が無くてもテレビインターホン装置の如く利用することができ、利便性に優れている。
また、来訪者モニタシステムは、周波数だけではなく音パターンも合わせて比較して判断するので、テレビ放送等で報音される音響に反応するようなことがなく、呼出音に対して確実に反応させることができる。
【0020】
尚、上記実施形態では、呼出音を音パターンと周波数の双方で判断しているが、呼出音の周波数とその継続時間により判断させても良く、呼出音を判別することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る来訪者モニタシステムの実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1の来訪者モニタシステムの回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0022】
1・・カメラユニット、2・・モニタユニット、3・・インターホン子機、4・・インターホン親機、5・・ドア、6・・ドアスコープ、10・・カメラ、11・・カメラ側無線通信部(第1通信手段)、12・・カメラユニット制御部、12a・・パターン認識部、12b・・トーン検出部、15・・モニタ、16・・モニタ側無線通信部(第2通信手段)、17・・マイク(集音部)、18・・メモリ(音響情報記憶手段)、19・・操作部、20・・モニタユニット制御部(撮像制御手段)、20a・・パターン認識部(音響判断手段)、20b・・トーン検出部(音響判断手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアスコープを介してドア前方の来訪者を撮像可能なカメラを備えたカメラユニットと前記カメラ撮像映像を表示するモニタを備えたモニタユニットとを有し、前記カメラユニットには前記カメラの撮像映像信号を前記モニタユニットに無線送信する第1通信手段を設けると共に、前記モニタユニットには前記撮像映像信号を受信する第2通信手段を設けた来訪者モニタシステムであって、
前記モニタユニットは、更に周囲の音響を集音する集音手段と、特定の音響情報を記憶する音響情報記憶手段と、前記集音手段が集音した音響と前記音響情報記憶手段が記憶している音響情報とを比較する音響判断手段と、前記カメラ及び前記モニタを制御する撮像制御手段とを備え、
前記撮像制御手段は、前記音響判断手段が集音した音響と記憶している音響情報とが一致したと判断したら、前記カメラを起動させて撮像映像を前記モニタに表示させることを特徴とする来訪者モニタシステム。
【請求項2】
前記音響判断手段が比較する音響情報が、音パターン及び周波数であることを特徴とする請求項1記載の来訪者モニタシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−290305(P2009−290305A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138256(P2008−138256)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】