説明

杭頭補強筋取付ユニット及び杭頭補強筋の取り付け方法

【課題】杭頭上に構築される基礎中の配筋と干渉することなしに杭頭部に補強筋を容易に取り付けることができる杭頭補強筋取付ユニットを提供する。
【解決手段】前記杭頭部10aの外周形状と同一,又は僅かに小さい相似形を有するフープ筋3a,3bを所定間隔を介して上下に平行に配置しガイドレール3とし,このガイドレール3に補強筋取付具4を周方向及び径方向に移動可能に取り付けると共に,この補強筋取付具4に補強筋2を固着して杭頭補強筋取付ユニット1とする。この杭頭補強筋取付ユニット1は,これをガイドレール3が杭頭部外周と同心状となるように杭頭部10a上に配置すると,補強筋2の下端に設けた溶接部21が長さ方向を高さ方向として杭頭部10aの外周に配置され,この状態において溶接部21を杭頭部10aの外周に溶接することで,容易に補強筋2の取り付けが完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,杭頭補強筋取付ユニット及び杭頭補強筋の取り付け方法に関し,より詳細には,外殻が鋼管又は鋼板からなる杭頭部に対する補強筋の取り付けを容易なものとすることができる杭頭補強筋取付ユニット,及び前記杭頭補強筋取付ユニットを使用した杭頭補強筋の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管を主体とする各種の杭,例えば鋼管自体を杭体とする鋼管杭や,鋼管内にコンクリートを充填したSC杭(外殻鋼管付き遠心力コンクリート杭),鋼管とソイルセメントとの合成鋼管杭等の杭頭部には,これを補強すると共に杭頭上に構築される基礎と杭との一体化を図るために,杭頭部より上方に突出して基礎中に埋設される補強筋を取り付けることが一般的に行なわれている。
【0003】
このような杭頭部に対する補強筋の取り付けは,従来,杭頭部の外周上の所定の位置に,取り付けるべき補強筋を一本一本配置し,これを溶接することにより行っていた。
【0004】
そのため,このような補強筋の取り付けにあっては,作業者が二人一組となり,一方の作業者(作業補助者)が鋼管外周の所定の位置に補強筋が所定の姿勢となるように支えておき,この間に他方の作業者(溶接工)がこの補強筋を杭頭部の外周に仮止め(溶接)する組立溶接を行い,その後,本溶接を行うという作業工程によって取り付けを行っていた。
【0005】
このように,現場作業による溶接で各鋼管杭の杭頭部に対する補強筋の溶接を行う場合,補強筋の取付精度にばらつきが生じたり,又は,作業性が悪い点に鑑み,図9に示すように予め工場での作業によって杭頭部10aに溶着する接合リング5に前述の補強筋2を取り付けた杭頭補強筋取付ユニット1を準備しておき,この杭頭補強筋取付ユニット1の前記接合リング5を鋼管杭10の杭頭部10a上に溶接することで,取り付け精度にばらつきがなく,かつ,作業性良く鋼管杭10の杭頭部10aに補強筋2を取り付ける方法も提案されている(特許文献1,特許文献2参照)。
【0006】
なお,補強筋2を杭頭部10aの形状に対応して円形の配列とする場合,この杭頭部10a上に形成される基礎に設けられる格子状の主筋との間に干渉が生じ易いことに鑑み,両者を干渉が生じ難い配置とすべく,図11及び図12に示すように補強筋2を八角形の配列とすることも提案されている(特許文献3,4参照)。
【0007】
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】実開平5−16840号公報
【特許文献2】特開2004−360290号公報
【特許文献3】特開2006−46024号公報
【特許文献4】特開2006−144355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の図9及び図10を参照して説明した杭頭補強筋取付ユニット1では,各補強筋2は予め工場等においてリング状の部材から成る接合リング5に補強筋2を溶接しているために,各補強筋2の取り付け位置が正確であると共に,前記リング状の部材から成る接合リング5を鋼管杭10の杭頭部10aに溶接するだけで複数ある補強筋の取り付けを一度に行うことができる等,作業性が向上する。
【0009】
ところで,前述のように形成された杭10の杭頭部10a上には図示せざる基礎が構築され,この杭10と基礎(図示せず)とを強固に接合するために前述の補強筋2が基礎中に埋設されるものであるが,この補強筋2と,基礎中の配筋とは相互に干渉しないように取り付ける必要がある。
【0010】
ここで,杭頭部10a上に形成される基礎の配筋は,杭頭部10a上において格子状の配置を有するものであるところ〔図7(B),図7(C)参照〕,前述した特許文献1,2に示す構成の杭頭補強筋取付ユニット1の構造にあっては,円周上における等間隔の位置に補強筋を取り付ける構造であるために,補強筋2と基礎配筋との干渉が生じやすいだけでなく,接合リングに溶接された補強筋2は,現場作業によってその取り付け位置を適宜変更することができない。
【0011】
これに対し,図11及び図12を参照して説明した特許文献3及び4に記載の構成にあっては,補強筋2が平面視で八角形となるように配列されることから,格子状を成す基礎配筋に対して補強筋2の配列が平行乃至は45°の配置となり,補強筋2と基礎の主筋との干渉は,補強筋2を円形に配置する特許文献1,2の場合に比較して生じ難いものとすることができる。しかし,このような配列を採用したとしても,補強筋2と基礎配筋との干渉を完全に排除することはできない。
【0012】
このように,補強筋2が杭頭上に構築される基礎配筋と干渉する位置に取り付けられている場合,このような干渉を回避しようとすれば,例えば基礎配筋の配置をずらすか,又は,補強筋に機械的な外力を加えて矯正したり,又は,加熱と共に機械的な外力を加えて矯正することにより前記基礎配筋との干渉を回避する,所謂「台直し」を行う必要がある。
【0013】
しかし,基礎配筋の位置を変更すれば,基礎コンクリートの打設後に必要なかぶり厚が確保出来なくなる場合が生じる等の構造上の問題が生じる。
【0014】
一方,前述の台直しにより補強筋2を矯正すると,このような台直しが行われた補強筋2は,台直しを行っていない補強筋2に比較して大幅に強度が低下することから,完成した構造物の強度が低下するという問題が生じる。
【0015】
なお,本発明の発明者は,このような問題点を解消すべく,図8に示すように大きさの異なる2つの閉塞型フープ3’を同心円状に配置し,補強筋取付具4を構成するアングル板46と,底板47間でこの2本の閉塞型フープ3’を挟持すると共に,底板47に固着されたナット(図示せず)に,アングル板46に形成した長孔48を貫通したボルト49の先端を螺合することで,閉塞型フープ3’の円周方向における所定の位置に補強筋取付具4を移動させることができると共に,前記長孔48によりアングル板46を閉塞型フープ3’の径方向に移動することで,補強筋2を杭頭部10aの外周に接触させることができるようにした杭頭補強筋取付ユニット1を出願している(特願2006−218895号)。
【0016】
しかし,図8に示した前記構成の杭頭補強筋取付ユニット1にあっては,基礎中に埋設する主筋の配筋が完了してコンクリートが打設された際,アングル板46と底板47間で挟まれた閉塞型フープ3’間の隙間δには打設されたコンクリートが入り込まず,この部分に巣が生じてしまい,これによって完成した構造物の強度が低下するおそれがあることが確認された。
【0017】
そこで本発明は上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,簡単な構造でありながら比較的容易に杭頭部に対する補強筋の取り付けを行うことができ,しかも,杭頭部に対する補強筋の取り付け位置の調整,特に,杭頭上に構築される基礎配筋と干渉を生じない取り付け位置の調整を容易に行うことができる杭頭補強筋取付ユニットを提供することにより,基礎主筋の移動によるかぶり厚不足の発生や,台直しによる強度低下等の構造上の問題を発生することなく,杭頭部に補強筋の取り付けを行うことのできる杭頭補強筋取付ユニット,及び前記杭頭補強筋取付ユニットを使用した補強筋の取り付け方法を提供することを目的とする。
【0018】
また,本発明は,上記の目的に加え,杭頭補強筋取付ユニットを基礎梁コンクリート中に埋設する構造でありながら,コンクリート中に巣が生じることを防止し得る構造を備えた杭頭補強筋取付ユニット,及び前記杭頭補強筋取付ユニットを使用した杭頭補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため,本発明の杭頭補強筋取付ユニット1は,外殻が鋼管又は鋼板からなる杭頭部10aに補強筋2を取り付けるための杭頭補強筋取付ユニット1において,
前記杭頭部10aの外周形状と同一,又は僅かに小さい相似形を有し,それぞれが同一形状に形成された複数(実施形態では2個)のフープ筋3a,3bを所定間隔を介して平行に配置して形成したガイドレール3と,
前記ガイドレール3に取り付けられ,該ガイドレール3上を周方向及び前記周方向に対する径方向に移動可能であると共に,前記補強筋2が固着されて前記補強筋2を前記ガイドレール3の外周側に配置する複数の補強筋取付具4と,
一端側における所定長さの範囲を前記杭頭部10aの外周に溶接する溶接部21とし,該溶接部21が前記補強筋取付具4より突出するように前記各補強筋取付具4にそれぞれ固着された複数の補強筋2を備え,
この杭頭補強筋取付ユニット1を,前記ガイドレール3が前記杭頭部10aの外周と同心状となるように前記杭頭部10a上に配置することにより,前記補強筋2の前記溶接部21を長さ方向を高さ方向として前記杭頭部10aの外周に配置するよう構成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0020】
前記構成の杭頭補強筋取付ユニット1において,前記補強筋取付具4に前記補強筋2を嵌合可能な溝部41と,前記溝部41の溝底41a側から開口41b側に向けて前記溝部41の長さ方向に対して直交方向に形成された複数本の切欠状のスリット42を設け,
前記ガイドレール3の内周側より前記スリット42の開口端42aを外周方向に向けて各スリット42内に前記各フープ筋3a,3bを嵌合すると共に,前記補強筋2の外周が前記溝底41aと接触するように前記補強筋取付具4の前記溝部41内に前記補強筋2を挿入すると共に固着した構成とすることができる〔請求項2;図3(A)参照〕。
【0021】
また,図3(B)に示すように前記ガイドレール3に2本のフープ筋3a,3bを設け,前記補強筋取付具4を前記2本のフープ筋3a,3b間の間隔に対応した幅(図中の高さ方向における幅)に形成すると共に,該補強筋取付具4に前記補強筋2を嵌合可能な溝部41と,前記溝部41の開口41b側において前記補強筋取付具4の前記幅方向両端側(図中の上下方向)にそれぞれ突出した係止片43’,43’を設け,
前記ガイドレール3の内周側より前記2本のフープ筋3a,3b間の間隔に前記補強筋取付具4を前記溝部41の底部41a側を外周方向に向けて挿入すると共に,前記補強筋2の外周が前記溝底41aと接触するように前記補強筋取付具4の前記溝部411内に前記補強筋2を挿入すると共に固着した構成としても良い(請求項3)。
【0022】
さらに,前記ガイドレール3に,前記複数の補強筋取付具4のうちの一部の補強筋取付具4の周方向に対する移動を規制する規制手段(固定筋)32を設けるものとしても良い(請求項4)。
【0023】
前記規制手段32は,これを,周方向における所定数毎(図示の実施形態にあっては1つ置き毎)の前記補強筋取付具4に対して設けると共に,該移動の規制された補強筋取付具4を,前記ガイドレール3の周方向に等間隔に配置するものとしても良い(請求項5)。
【0024】
この規制手段は,前記複数のフープ筋3a,3b間を架橋する固定筋32によって形成することができる(請求項6)。
【0025】
また,本発明の杭頭補強筋の取り付け方法は,上記いずれかの杭頭補強筋取付ユニット1を杭頭部10aに載置し,
前記補強筋取付具4をガイドレール3の周方向に移動して前記補強筋取付具4に取り付けた補強筋2を杭頭部10aの外周における所望の取付位置に移動すると共に,前記補強筋取付具4を前記ガイドレール3の径方向に移動して前記補強筋2の前記溶接部21を前記杭頭部10aの外周に接触させて,前記補強筋2の前記溶接部21を前記杭頭部10aの外周に溶接することを特徴とする(請求項7)。
【0026】
前述した杭頭補強筋の取り付け方法において,前記杭頭補強筋取付ユニット1の載置は,これを墨打ちにより杭頭部10a上に構築される基礎の配筋位置を特定した後に行うものとし,前記補強筋取付具4の移動を,前記墨打ちによる基礎配筋と前記補強筋取付具4に固着された各補強筋2とが干渉しない位置となるよう行うことが好ましい(請求項8)。
【0027】
更に,前記杭頭補強筋取付ユニット1が,前記規制手段(固定筋)32を備えた杭頭補強筋取付ユニット1である場合には,前記規制手段(固定筋)32によって周方向の移動が規制された補強筋取付具4に固着された補強筋2が前記墨打ちによる基礎配筋と干渉しない位置となるよう前記杭頭補強筋取付ユニット1を前記杭頭部10a上に載置すると共に,前記規制手段(固定筋)32によって周方向の移動が規制されていない補強筋取付具4に固着された各補強筋2が前記墨打ちによる基礎配筋と干渉しない位置となるよう該補強筋取付具4をガイドレールの周方向に移動させるものとしても良い(請求項9)。
【発明の効果】
【0028】
以上で説明した本発明の構成により,本発明の杭頭補強筋取付ユニット1及びこれを使用した杭頭補強筋の取り付け方法によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0029】
ガイドレール3と,ガイドレール3上を移動可能に前記ガイドレール3に取り付けられた補強筋取付具4と,前記補強筋取付具4に取り付けられた補強筋2を備え,前記ガイドレール3が杭頭部10a上に杭頭部10aの外形形状と同心状を成すよう載置した際,前記補強筋2の溶接部21が前記杭頭部10aの外周に長さ方向を高さ方向として配置されるよう構成したことにより,補強筋2を支える補助的な作業者を必要とすることなく,溶接工が単独で補強筋2を杭頭部10aに比較的簡単にかつ,正確に溶接することができた。
【0030】
しかも,前記補強筋取付具4は,ガイドレール3の周方向及び径方向に移動可能に構成されていることから,この補強筋取付具4の移動によって補強筋2をガイドレール3の径方向及び周方向に移動することで,補強筋2を杭頭部10aの外周に密着させることができるだけでなく,補強筋2を杭頭部10a上に構築される基礎中の配筋との干渉を回避できる位置に容易に移動可能であり,これにより構造上の問題を生じるおそれのある基礎配筋の位置変更や,補強筋2の台直し等の作業が不要となった。
【0031】
また,前述のような補強筋取付具4,従ってこれに固着された補強筋2の移動が可能であることから,杭10をハンマーによる打撃式で打込む場合等において,杭頭部10aがいびつに変形することがあっても,容易に補強筋2を杭頭部10aの外周に密着させることができた。
【0032】
さらに,杭10をスクリュー・打撃式で打込む場合のように,杭頭部10aの外周の1〜4箇所にチャック駒を取付けた場合であっても,このチャック駒を除去することなくこれらの取付位置を回避して比較的容易に補強筋2を取り付けることができた。
【0033】
前記補強筋取付具4を,前記補強筋2を嵌合可能な溝部41と前記溝部41の底部41a側から開口縁に向けて前記溝部の形成方向に対して直交方向に形成された切欠状のスリット42を複数本設け,前記ガイドレール3の内周側より前記スリット42の開口端42aを外周側に向けて各スリット42内に前記各フープ筋3a,3bを嵌合した状態で前記補強筋2を前記補強筋取付具4の前記溝底41aに当接させた状態で固着した構成としたことにより〔図3(A)参照〕,又は,前記補強筋取付具4を前記2本のフープ筋3a,3b間の間隔に対応した幅に形成すると共に,該補強筋取付具4に前記補強筋2を嵌合可能な溝部41と,前記溝部41の開口41b側において前記補強筋取付具4の幅方向両端側にそれぞれ突出した係止片43’,43’を設けた構成としたことにより〔図3(B)参照〕,ガイドレール3と補強筋取付具4とが着脱不能に連結されると共に,補強筋取付具4に形成された溝部41内に対しても容易にコンクリートが流入し易い構造となっており,打設されたコンクリート中に巣が生じる等の不都合を解消することができた。
【0034】
複数ある前記補強筋取付具4の一部に対し,前記ガイドレール3上の周方向に対する移動を規制する規制手段(固定筋)32を設けたことにより,特に周方向における所定数毎(実施形態において1つ置き毎)の補強筋取付具4の周方向の移動を規制すると共に,このような移動の規制された補強筋取付具4をガイドレール3の周方向に等間隔に配置した構成により,例えば図7(A)に示すように移動の規制された補強筋取付具4に取り付けられた補強筋2をロープ等を介してクレーンなどで吊り上げ搬送等した場合であっても,杭頭補強筋取付ユニット1を安定した状態で移動させることが可能であった。
【0035】
また,このように移動が規制された補強筋取付具4に取り付けられた補強筋2を,前述した基礎配筋と干渉しない位置に配置すると共に,この補強筋2の配置位置を基準としてその他の補強筋取付具4に固定された補強筋2の取り付け位置を適宜修正しつつ杭頭部10aの外周に溶着することにより,基礎配筋との干渉を回避しつつ,効率良く補強筋2の取り付けを行うことができた。
【0036】
更に,前記補強筋取付具4の移動を規制する規制手段を,複数のフープ筋3a,3b間を架橋して固着する固定筋32とすることで,フープ筋3a,3b間が強固に連結されて,杭頭補強筋取付ユニット1全体の形状を安定的なものとすることができた。
【0037】
なお,前記杭頭補強筋取付ユニット1を使用した補強筋2の取り付け方法にあっては,前記補強筋2の取り付けを,墨打ちにより杭頭部10a上に構築される基礎の配筋位置を特定した後に行うことで,基礎配筋との干渉を確実に防止することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に,本発明の実施形態につき添付図面を参照しながら以下説明する。
【0039】
〔杭頭補強筋取付ユニットの全体構造〕
本発明の杭頭補強筋取付ユニット1は,図1〜3に示すようにガイドレール3と,このガイドレール3に取り付けられ,このガイドレール3に沿って周方向に移動可能であると共に,ガイドレール3の前記周方向に対する径方向に移動可能に構成された補強筋取付具4と,前記補強筋取付具4のそれぞれに取り付けられた補強筋2を備え,前記ガイドレール3を杭頭部10aの外形形状と同心状となるように前記杭頭部10a上に載置した際,前記補強筋2が杭10の軸線方向と平行に立設すると共に,補強筋2に設けた溶接部21が杭頭部の外周に配置されるように構成されている。
【0040】
これにより,前記補強筋2の溶接部21を杭頭部10aの外周に接触させた状態で溶接部21と杭頭部10aの外周とを溶接することにより,比較的容易に外殻を鋼管又は鋼板と成す杭頭部10aに補強筋2を溶接して取り付けることができるように構成されている。
【0041】
〔ガイドレール〕
前述のガイドレール3は,同一形状の複数(図示の実施形態にあっては2つ)のフープ筋3a,3bを,上下に所定間隔を介して平行に配置することにより構成されている。
【0042】
このガイドレール3を構成する各フープ筋3a,3bは,例えば鋼筋を環状に曲げてその両端を突き合わせた状態で溶着することにより形成したもので,各フープ筋3a,3bの外径は,補強筋2の取り付け対象となる杭頭部10aの外径と同一,又はこれよりも僅かに小径に形成されている。
【0043】
〔補強筋取付具〕
前述のガイドレール3には,前記ガイドレール3上を該ガイドレール3の周方向,及び径方向に移動可能に前述の補強筋取付具4が取り付けられ,この補強筋取付具4に対して後述の補強筋2を取り付けることができるよう構成されている。
【0044】
この補強筋取付具4は,前述のようにガイドレール3に対し,該ガイドレール3の周方向及び径方向に移動可能であると共に,後述する補強筋2を取付可能なものであれば如何なる構成であっても良いが,本実施形態にあっては一例としてこの補強筋取付具4を図3〜5に示す構造に形成している。
【0045】
図4及び図5に示すように,補強筋取付具4は,杭頭部10aに取り付ける補強筋2を収容可能な溝部41を備えると共に,図3(A)に示した例では,この溝部41の溝底41a側において開口し(開口端部42a),前記溝部41の開口41b側において閉塞された端部(閉塞端部42b)を有する二本の切欠状のスリット42,42が,前記溝部41を横断するように形成されている。
【0046】
この切欠状のスリット42,42は,前述したガイドレール3を構成する2本のフープ筋3a,3bを嵌合可能な幅を有すると共に,後述する補強筋2を前記溝底41aに取り付けた際に,この補強筋取付具4を,ガイドレールの径方向に数mm〜十数mm程度,好ましくは5mm程度の移動幅で移動させることができる長さに形成されている。
【0047】
図示の実施形態にあっては,展開した状態で図6(A)に示す形状を成す金属板4’に,平行な二本のスリット42’,42’を形成し,この金属板4’を図4及び図5に示すように両端部にフランジ43が形成されるように略U字状に曲折して,該曲折部内に補強筋2の直径に対応した溝底41a形状を有する前述の溝部41を形成すると共に,該溝部41の形成方向に対して直交方向を成す切欠状のスリット42,42を形成している。
【0048】
なお,図3(A)を参照して説明した前述の補強筋取付具4では,この補強筋取付具4に形成したスリット42,42内にフープ筋3a,3bを嵌合するものとして説明したが,この構成に代え,例えば基礎配筋が低い位置に配置される場合には,図3(B)に示すように補強筋取付具4を,図3(A)を参照して説明した補強筋固定具4におけるスリット42,42の各辺42c,42cよりも上下に存在する部分を取り除いた構造として,補強筋取付具4の幅(高さ)が低くなるように構成しても良い。
【0049】
一例として,本実施形態にあっては,補強筋取付具4の幅(高さ)が70mmを越える場合には,図3(A)に示す構造とし,70mm以下である場合には,図3(B)に示す構造とした。
【0050】
なお,図3(B)に示す構造の補強筋取付具4では,図3(A)に示した構造の補強筋取付具4におけるフランジ43,43部分を,前記二辺42c,42cの形成位置よりも図中上下方向に突出させてこれを係止片43’,43’とし,フープ筋3a,3b間に挿入した補強筋取付具4がフープ筋3a,3bの外周方向に移動しようとしても,この係止片43’43’がフープ筋3a,3bの内周にぶつかって移動が規制されるために,補強筋取付具4が脱落等することが防止されている。
【0051】
なお,図3(B)を参照して説明したこのような補強筋取付具4は,図6(B)に示す展開形状を有する金属板等を,図4及び図5に示すように略U字状に曲折することにより形成することができる。
【0052】
〔補強筋〕
前述の補強筋取付具4に固着される補強筋2は,鋼管杭の杭頭部の補強に使用される既知の各種の補強筋2を使用することができ,一例として異形鉄筋を使用することができる。なお,この異形鉄筋は,用途に応じてねじこぶ鉄筋等であっても良く,また,異形鉄筋に限定されず,杭頭部10aを補強し得るものであればその他の補強筋を使用しても良い。
【0053】
使用する補強筋2の径及び長さは,これを取り付ける杭10の径,杭上に形成する基礎乃至は構造物の規模,補強筋2の使用本数等に応じて適宜選択可能である。
【0054】
〔前記各要素の組合せ〕
以上のように構成された各構成要素は,一例として以下のように組み合わせることにより,本発明の杭頭部補強ユニット1となる。
【0055】
前述したガイドレール3を構成する,本実施形態にあっては2本のフープ筋3a,3bは,図3(A)及び図3(B)に示すように上下に所定間隔で平行に配置され,この状態において,前述の図3(A)に示した補強筋取付具4にあってはこれに形成された切欠状のスリット42,42のそれぞれに前記各フープ筋3a,3bを嵌合することにより,又は,図3(B)に示した補強筋取付具4にあっては,このフープ筋3a,3b間に補強筋取付具4を挿入することにより両者が組み合わされる。
【0056】
補強筋取付具4が図3(A)に示した構造である場合,各切欠状のスリット42,42に対するフープ筋3a,3bの嵌合は,図3(A)に示すようにガイドレール3の内周側に前記補強筋取付具4を配置し,前記切欠状のスリット42,42の開口端42aをガイドレール3の外周側に向けて,補強筋取付具4を外周方向に移動させることにより行うことができる。
【0057】
このようにして,補強筋取付具4に形成された切欠状のスリット42内に,前述したガイドレール3を構成するフープ筋3a,3bをそれぞれ挿入した状態で,前記補強筋取付具4に形成した溝部41内に補強筋2を挿入すると,切欠状のスリット42の開口端42aが補強筋2によって塞がれて,フープ筋3a,3bは切欠状のスリット42,42より抜き取ることができなくなり,この状態で補強筋取付具4の溝部41内に挿入された前記補強筋2を,該溝部41の溝底41aに固着することで,ガイドレール3と補強筋取付具4間が取り外し不能に連結される。
【0058】
前記溝部41に対する補強筋2の挿入は,補強筋2の一端(図3において下端)が,前記補強筋取付具4の下端より前記杭頭部10aに対して溶接するに必要な長さで突出するように行い,従って,この補強筋取付具4の下端より突出した部分の補強筋が,杭頭部10aの外周に対して溶接される部分(溶接部21:図2中に破線で示した部分)となる。
【0059】
前記補強筋2と補強筋取付具4との固着は,既知の各種の方法によって行うことが可能であるが,図3(A),(B)に示す実施形態にあっては,図3(A),(B)中に示す溶着部44において補強筋取付具4の外壁から溝底41aに至る貫通孔を形成し,この貫通孔を介して補強筋取付具4と前記補強筋2とを溶接(所謂「プラグ溶接」)しているが,補強筋取付具4に対する補強筋2の固着方法は,この方法に限定されず,例えば図3(A)に示した構造の補強筋固定具4である場合には,前記切欠状のスリット42の開口端42a側においてこの切欠状のスリット42を介して前記補強筋2と補強筋取付具4を溶着しても良く,両者間の溶着が可能であれば如何なる方法で固着しても良い。
【0060】
以上のようにして,ガイドレール3に必要数の補強筋取付具4(一例として図示の実施形態にあっては8つの補強筋取付具4)を取り付けると共に,この各補強筋取付具4のそれぞれに対し前述の補強筋2を取り付けることで,ガイドレール3の外周方向において補強筋2が籠状に立設した本発明の杭頭補強筋取付ユニット1を得ることができる。
【0061】
以上のように構成された杭頭補強筋取付ユニット1において,複数ある前記補強筋取付具4の一部,好ましくは周方向に所定個数置き(図示の実施形態にあっては1つ置きの計4個)の補強筋取付具4にガイドレール3の径方向に対する移動を許容するが,周方向に対する移動を規制する規制手段(固定筋)32を設けている。
【0062】
この規制手段32は,移動規制対象とする補強筋取付具4がガイドレール3の周方向に移動することを規制できるものであれば如何なる構成であっても良く,本実施形態にあっては一例として図1,2及び図5に示すように,ガイドレール3を構成するフープ筋3a,3bに金属製の棒である固定筋32を固着し,補強筋取付具4がガイドレール3の周方向に移動しようとすると,この固定筋32と衝突して移動が規制されるように構成している。
【0063】
この固定筋32は,上下に二段に配置されたフープ筋3a,3bのいずれか一方に固着するものとしても良いが,上下に配置されたフープ筋3a,3b間を架橋するように両フープ筋3a,3b間に掛け渡した状態で固着することで,組上がった杭頭補強筋取付ユニット1全体の形状安定性が向上する。
【0064】
なお,図1及び図5に示す実施形態にあっては,1組の固定筋32,32をフープ筋3a,3bの内周側であって補強筋取付具4の溝部開口41b内に配置されるように取り付けているが,これに代え,例えばフープ筋3a,3bの外周側に前記固定筋32,32を取り付けるように構成しても良く,又は,前記溝部41外において前記補強筋取付具4を挟み込むように前記固定筋32,32を取り付けても良い。
【0065】
〔杭頭補強筋ユニットを使用した補強筋の取り付け方法〕
以上説明した本発明の杭頭補強筋取付ユニット1は,施工する杭10のサイズ等にあわせて,これを予め工場等において組み立てておき,これを杭基礎の施工現場に搬入する。
【0066】
このようにして施工現場に搬入された杭頭補強筋取付ユニット1は,杭10の打設が完了し,根伐,捨てコンクリートの敷設後であって,前記捨てコンクリート上に,杭頭上に構築される基礎配筋を墨打ちした後に,補強対象とする杭10の杭頭部10a上に載置する〔図7(A)参照〕。
【0067】
杭頭補強筋取付ユニット1が,前述したようにガイドレール3の周方向に対する移動が規制された補強筋取付具4を備える場合,この周方向に対する移動が規制された補強筋取付具4に取り付けられた補強筋が墨打ちによって特定された主筋の配置に対して干渉しない位置となるように,杭10の杭頭10aに対して前述の杭頭補強筋取付ユニット1を載置する〔図7(B)参照〕。なお,図7(B),図7(C)において黒塗りの丸で表した補強筋2が周方向の移動が規制された補強筋取付具4に取り付けられた補強筋であり,白抜きの丸で表した補強筋2が周方向に移動可能な補強筋取付具4に取り付けられた補強筋である。
【0068】
このようにして杭頭10a上に杭頭補強筋取付ユニット1を載置した後,周方向に対する移動が規制されていない補強筋取付具4を移動して,この補強筋取付具4に固着された補強筋2が,墨打ちによって位置が特定された基礎配筋と干渉しないようにその位置をガイドレール3の周方向に適宜移動する〔図7(C)参照〕。
【0069】
このように,基礎配筋に対する干渉が生じないように補強筋2の取り付け位置を調整可能であることから,強度低下等の構造上の問題を生じる台直し等の作業を行う必要がない。
【0070】
各補強筋2の周方向における位置決めが完了すると,各位置において補強筋取付具4をガイドレール3の径方向に移動させて各補強筋2の溶接部21を杭10の杭頭部10aの外周と接触させると共に,水平器等を用いて各補強筋2が垂直の配置となるように調整し,補強筋の位置決めが完了し〔図7(D)参照〕,この状態において補強筋2を杭10の杭頭部10aに溶接する〔図7(E)参照〕。
【0071】
溶接は,水平がとれた補強筋2から順次行うように構成しても良く,又は全ての補強筋2の水平を取った後,順次行うものとしても良い。
【0072】
また,溶接は,例えば各補強筋2の溶接部21をポイント溶接等により杭頭部10aの外周に仮溶接しておき,その後に本溶接を行うものとしても良く,又は,直接本溶接を行うものとしても良い。
【0073】
杭頭部10aの外周に対する補強筋2の溶接順は特に限定されないが,一例として前記補強筋2のうちガイドレール3の長さ方向に対する移動が規制された補強筋取付具4が設けられている場合には,この補強筋取付具4に取り付けられた補強筋2を先ず溶接し,その後,位置規制がされていない補強筋取付具4に取り付けられた補強筋2の溶接を行う。
【0074】
また,各補強筋の溶接順は,1の補強筋2を溶接した後,この補強筋2に対し最も離れた位置(図示の例ではガイドレール3の中心点を介して対称の位置)にある補強筋2を溶接することが好ましく,これにより杭頭補強筋取付ユニット1を歪みや偏りを生じさせることなく杭頭部10aに取り付けることが可能である。
【0075】
以上のようにして,杭頭部10aに対する補強筋2の取り付け完了後,杭頭部10a上には,この杭頭部10a上に構築される基礎配筋が組まれ,その後,コンクリートの打設によって杭頭部10aと基礎配筋とがこの打設されたコンクリート中に埋設されて一体的な構造物となる。
【0076】
このコンクリートの打設に際し,前述の杭頭補強筋取付ユニット1にあっては,補強筋2が取り付けられた補強筋取付具4は,その溝部41を杭10の中央方向に向けて開口していると共に,ガイドレール3や固定筋32等によってこの開口41bが一部塞がれていたとしても,溝部41の開口41bは十分に広く開口していることから,補強筋取付具4の溝部41内にコンクリートを充填することができ,打設されたコンクリート中に巣が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】杭頭部上に載置した状態の本発明の杭頭補強筋取付ユニットの平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】補強筋取付具の正面拡大図であり,(A)図2に対応した構成,(B)は(A)の変形例をそれぞれ示す。
【図4】補強筋取付具(移動規制なし)の平面拡大図。
【図5】補強筋取付具(移動規制あり)の平面拡大図。
【図6】補強筋取付具の展開状態を示す説明図であり,(A)は図3(A),(B)は図3(B)の補強筋取付具にそれぞれ対応した展開図である。
【図7】本発明の杭頭補強筋取付ユニットを使用した補強筋の取り付け方法の工程説明図であり,(A)は墨打ち後施工前,(B)は杭頭補強筋取付ユニットを載置した状態(主筋の干渉あり),(C)補強筋の位置調整を行っている状態,(D)は溶接部を杭頭外周に接触させた状態,(E)は溶接後の状態をそれぞれ示す。
【図8】先行出願における問題点の説明図。
【図9】従来の杭頭補強筋取付ユニットの側面図(特許文献1)。
【図10】従来の杭頭部構造の側面図(特許文献2)。
【図11】従来の杭頭補強構造の斜視図(特許文献3)。
【図12】従来の杭頭補強構造の斜視図(特許文献4)。
【符号の説明】
【0078】
1 杭頭補強筋取付ユニット
2 補強筋
21 溶接部(補強筋の)
3 ガイドレール
3a フープ筋(上)
3b フープ筋(下)
32 規制手段(固定筋)
3’ 閉塞型フープ
4 補強筋取付具
4’ 金属板
41 溝部(補強筋取付具の)
41a 溝底
41b 開口(溝部の)
42 切欠状スリット
42a 開口端(切欠状スリットの)
42b 閉塞端(切欠状スリットの)
42c 切欠状スリット42の各辺
42’ スリット
43 フランジ
43’ 係止片
44 溶着部
46 アングル板
47 底板
48 長孔
49 ボルト
5 接合リング
10 杭
10a 杭頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻が鋼管又は鋼板からなる杭頭部に補強筋を取り付けるための杭頭補強筋取付ユニットにおいて,
前記杭頭部の外周形状と同一,又は僅かに小さい相似形を有し,それぞれが同一形状に形成された複数のフープ筋を所定間隔を介して平行に配置して形成したガイドレールと,
前記ガイドレールに取り付けられ,該ガイドレール上を周方向及び前記周方向に対する径方向に移動可能であると共に,前記補強筋が固着されて前記補強筋を前記ガイドレールの外周側に配置する複数の補強筋取付具と,
一端側における所定長さの範囲を前記杭頭部の外周に溶接する溶接部とし,該溶接部が前記補強筋取付具より突出するように前記各補強筋取付具にそれぞれ固着された複数の補強筋を備え,
前記ガイドレールが前記杭頭部の外周と同心状となるように前記杭頭部上に配置することにより,前記補強筋の前記溶接部を長さ方向を高さ方向として前記杭頭部の外周に配置する杭頭補強筋取付ユニット。
【請求項2】
前記補強筋取付具に前記補強筋を嵌合可能な溝部と,前記溝部の溝底側から開口側に向けて前記溝部の長さ方向に対して直交方向に形成された複数本の切欠状のスリットを設け,
前記ガイドレールの内周側より前記スリットの開口端を外周方向に向けて各スリット内に前記各フープ筋を嵌合すると共に,前記補強筋の外周が前記溝底と接触するように前記補強筋取付具の前記溝部内に前記補強筋を挿入すると共に固着したことを特徴とする請求項1記載の杭頭補強筋取付ユニット。
【請求項3】
前記ガイドレールに2本のフープ筋を設け,前記補強筋取付具を前記2本のフープ筋間の間隔に対応した幅に形成すると共に,該補強筋取付具に前記補強筋を嵌合可能な溝部と,前記溝部の開口側において前記補強筋取付具の幅方向両端側にそれぞれ突出した係止片を設け,
前記ガイドレールの内周側より前記2本のフープ筋間の間隔に前記補強筋取付具を前記溝部の底部側を外周方向に向けて挿入すると共に,前記補強筋の外周が前記溝底と接触するように前記補強筋取付具の前記溝内に前記補強筋を挿入すると共に固着したことを特徴とする請求項1記載の杭頭補強筋取付ユニット。
【請求項4】
前記ガイドレールに,前記複数の補強筋取付具のうちの一部の補強筋取付具の周方向に対する移動を規制する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の杭頭補強筋取付ユニット。
【請求項5】
前記規制手段を,周方向における所定数毎の前記補強筋取付具に対して設けると共に,該移動の規制された補強筋取付具を,前記ガイドレールの周方向に等間隔に配置することを特徴とする請求項4記載の杭頭補強筋取付ユニット。
【請求項6】
前記規制手段が,前記複数のフープ筋間を架橋する固定筋であることを特徴とする請求項4又は5記載の杭頭補強筋取付ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項記載の杭頭補強筋取付ユニットを杭頭部に載置し,
前記補強筋取付具をガイドレールの周方向に移動して前記補強筋取付具に取り付けた補強筋を杭頭部の外周における所望の取付位置に移動すると共に,前記補強筋取付具を前記ガイドレールの径方向に移動して前記補強筋の前記溶接部を前記杭頭部の外周に接触させて,前記補強筋の前記溶接部を前記杭頭部の外周に溶接することを特徴とする杭頭補強筋の取り付け方法。
【請求項8】
前記杭頭補強筋取付ユニットの載置を,墨打ちにより杭頭上に構築される基礎の配筋位置を特定した後に行うと共に,前記補強筋取付具の移動を,前記墨打ちによる基礎配筋と前記補強筋取付具に固着された各補強筋とが干渉しない位置となるよう行うことを特徴とする請求項7記載の杭頭補強筋の取付方法。
【請求項9】
前記杭頭補強筋取付ユニットが,前記規制手段を備えた請求項4〜6いずれか1項記載の杭頭補強筋取付ユニットであり,前記規制手段によって周方向の移動が規制された補強筋取付具に固着された補強筋が前記墨打ちによる基礎配筋と干渉しない位置となるよう前記杭頭補強筋取付ユニットを前記杭頭部上に載置すると共に,前記規制手段によって周方向の移動が規制されていない補強筋取付具に固着された各補強筋が前記墨打ちによる基礎配筋と干渉しない位置となるよう該補強筋取付具をガイドレールの周方向に移動させることを特徴とする請求項8記載の杭頭補強筋の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−185582(P2009−185582A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29213(P2008−29213)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(508042652)
【出願人】(592155946)冨士鋼業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】