説明

板材管理方法および管理装置

【課題】 実物の端材と記憶情報との対応誤りを生じることなく、端材の形状が簡単に管理できる板材管理方法を提供する。
【解決手段】 素材板材Wから一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材WAに記録媒体1を取付ける。この記録媒体1に、端材WAに関する情報である端材情報Dとして、前記端材WAの形状を示す情報を記録する。あるいは、データ管理手段と照合して端材WAの形状の情報を得るための識別情報を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機により、素材板材から一部を切り取る加工を行った場合に、その端材の利用のための端材形状等の管理を行う板材管理方法および管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機により、素材板材から製品板材を切り取る加工を行った場合に、素材板材の一部だけが切り取られた状態の端材が残ることがある。このような端材は、素材として用いて残り部分に加工を行うことが可能であるが、板材加工機を制御するNC装置の加工プログラムは、元の定寸の素材板材に対してネスティングつまり板取りが行われており、端材を用いるときは再度のネスティングが必要となる。
【0003】
そのため、上記のような端材は再利用が困難であり、従来は、廃棄されることが一般的である。一部で、端材を棚などに保管しておき、素材として再利用することも行われている。端材に対して再度ネスティングする装置しては、特許文献1等が提案されている。
【特許文献1】特開平5−185255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端材に、再利用のためにネスティングを行う場合、端材の形状、つまり素材板材から製品板材が切り取られた状態の形状を知る必要がある。しかし、様々な形状として残る端材の形状を管理することは難しく、コンピュータ上等で管理をしていても、画面上等に示される端材のデータと、実物の端材とが一致せず、不測に誤った加工を行うことがある。
【0005】
この発明の目的は、実物の端材と記録情報との対応誤りを生じることなく、端材の形状が簡単に管理できる板材管理方法を提供することである。
この発明の他の目的は、端材に取付けた記録媒体への情報の書き込みを、加工の変更,中止や加工途中の支障等で誤りを生じることなく、簡易に正しく行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、端材を纏めて保管する場合に、端材を再利用する板材加工設備の管理システムにおいて、登録ミスを防止でき、またデータ入力のメンテナンス工数を削減できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の板材管理方法は、素材板材(W)から一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材(WA)に記録媒体(1)を取付け、この記録媒体(1)に、前記端材(WA)の形状情報、または前記形状情報を記憶・管理するデータ管理手段(24)から前記端材の形状情報を得るための識別情報を含む端材情報(D)を記録することで、前記端材(WA)の形状の管理を行う方法である。記録媒体(1)の端材への取付けは、加工前、加工途中、加工完了後のいずれの時に行っても良い。
この方法によると、端材(WA)に記録媒体(1)を取付け、端材(WA)の形状等の情報である端材情報(D)を記録するため、端材(WA)の実物から端材情報(D)を読み取ることができる。そのため、実物の端材(WA)と記憶情報との対応誤りを生じることなく、端材(WA)の形状を簡単に管理することができる。上記端材情報(D)における端材の形状情報は、端材(WA)の形状を示す情報であり、例えば線データや座標データ等である。端材情報(D)として識別情報を記憶させた場合は、データベース等のデータ管理手段と照合して端材(WA)の形状情報を得る。
【0007】
この発明において、前記端材(WA)が生じる前記加工が完了したとき、またはこの加工が完了した端材(WA)を前記加工を行った板材加工機(2)からローダで搬出する過程で、前記記録媒体(1)へ前記端材情報(1)を記録するようにしても良い。
このように、加工が完了した後に記録媒体(1)への書き込みを行うので、加工前や加工途中に書き込む場合と異なり、予定していた加工を変更したり、中止した場合、あるいは加工の途中で支障が生じた場合に、それらの変更,中止,支障等の状況に対応した端材形状等の端材情報(D)を記録することができる。また、加工完了後に時間や場所の移動を経ずに、加工の完了時または搬出過程で記録媒体(1)への書き込みを行うため、時間や場所の移動を経たことによる実物の端材(WA)と端材情報(D)との対応誤りを生じる機会が少なく、正確な情報の記憶が行える。このように、端材(WA)に取付けた記録媒体(1)への情報の書き込みを、加工の変更,中止や加工途中の支障等で誤りを生じることなく、簡易に正しく行うことができる。
【0008】
この発明において、前記端材(WA)を複数枚収容する端材ストッカ(6)を設け、この端材ストッカ(6)に、収容されている端材(WA)の記録媒体(1)から前記端材情報(D)を読み取るリーダ(10)、および送信手段(11)を設け、前記リーダ(10)で読み取った端材情報(D)を、板材加工設備(3)を管理する管理システム(7)に前記送信手段(11)で送信するようにしても良い。
このように、端材ストッカ(6)にリーダ(10)を設けることで、端材(WA)を再利用する板材加工設備(3)の管理システム(7)に対する登録ミスを防止でき、またデータ入力のメンテナンス工数を削減することができる。
【0009】
この発明の板材管理装置は、素材板材(W)から一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材(WA)に記録媒体(1)を取付ける記録媒体取付け機構(8)と、前記記録媒体(1)に記録を行う記録媒体ライタ(9)と、この記録媒体ライタ(9)を介し、前記記録媒体(1)に、前記端材(WA)の形状情報、または端材(WA)の形状情報を記憶・管理するデータ管理手段から前記端材の形状情報を得るための識別情報を含む端材情報(D)を記録する記録媒体書込制御(23)とを備える。なお、記録媒体取付け機構(8)による端材に対する記録媒体(1)の取付けと、記録媒体(1)への記録とは、いずれを先に行うものであっても良い。また、記録媒体取付け機構(8)は、素材板材(W)の状態で、端材(WA)となる部分に記録媒体(1)を取付けるものとしても良い。
この構成によると、この発明の上記の板材管理方法が実施でき、端材(WA)に取付けた記録媒体(A)への情報の書き込みを、加工の変更,中止や加工途中の支障等で誤りを生じることなく、簡易に正しく行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の板材管理方法は、素材板材から一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材に記録媒体を取付け、この記録媒体に、前記端材の形状情報、または端材の形状情報を記憶・管理するデータ管理手段から前記端材の形状情報を得るための識別情報を含む端材情報を記録することで、前記端材の形状の管理を行う方法であるため、実物の端材と記憶情報との対応誤りを生じることなく、端材の形状を簡単に管理することができる。
前記端材が生じる前記加工が完了したとき、またはこの加工が完了した端材を前記加工を行った板材加工機からローダで搬出する過程で、前記記録媒体へ前記端材情報を記録するようにした場合は、端材に取付けた記録媒体への情報の書き込みを、加工の変更,中止や加工途中の支障等で誤りを生じることなく、簡易に正しく行うことができる。
前記端材を複数枚収容する端材ストッカを設け、この端材ストッカに、収容されている端材の記録媒体から前記端材情報を読み取るリーダ、および送信手段を設け、前記リーダで読み取った端材情報を、板材加工設備を管理する管理システムに前記送信手段で送信するようにした場合は、端材を再利用する板材加工設備の管理システムに対する登録ミスを防止でき、またデータ入力のメンテナンス工数を削減することができる。
【0011】
この発明の板材管理装置は、素材板材から一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材に記録媒体を取付ける記録媒体取付け機構と、前記記録媒体に記録を行う記録媒体ライタと、この記録媒体ライタを介し、前記記録媒体に、前記端材の形状情報、または端材の形状情報を記憶・管理するデータ管理手段から前記端材の形状情報を得るための識別情報を含む端材情報を記録する記録媒体書込制御とを備えため、この発明の板材管理方法が実施でき、端材に取付けた記録媒体への情報の書き込みを、加工の変更,中止や加工途中の支障等で誤りを生じることなく、簡易に正しく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。この板材管理方法は、端材WAに記録媒体1を取付け、この記録媒体1に、前記端材WAに関する情報である端材情報Dを記録することで、端材WAの形状の管理を行う方法である。
【0013】
端材WAは、素材板材Wから板材加工機2によって一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である。図示の例では、端材WAは、長方形の素材板材Wから2枚の製品板材wを切り取ることで、2か所に抜き孔Hを有する形状となっている。素材板材Wは、板金の他に、樹脂板等であっても良い。板材加工機2は、タレットパンチプレス等のパンチプレスや、レーザ加工機など、板材に切り取り加工が可能な加工機である。
【0014】
記録媒体1には、ICタグまたはバーコード記録体等などが用いられる。ICタグは、無線ICタグなどの無線で読み書きが可能なタグであり、記録内容の上書きが可能なものであっても、上書き不能のものであっても良い。バーコード記録体は、例えば、1次元または2次元のバーコードを記述したシートである。
【0015】
端材情報Dは、端材WAに関する情報であり、端材WAの形状情報、またはデータ管理手段24(図2)と照合して端材WAの形状情報を得るための識別情報を少なくとも含む。上記データ管理手段24は、上記識別情報と対応させて上記形状情報を記憶した手段であり、後に説明する板材加工設備の管理システム7を構成するいずれかのコンピュータに設けられる。記録媒体1にバーコード記録体を用いる場合は、上記の識別情報を記録する。
【0016】
端材情報Dとして、図示の実施形態では、形状情報Daおよび履歴情報Dbを記録する。形状情報Daは、端材WAの外形および抜き孔Hを含む形状の座標データが認識できる情報であり、線データ等のベクトルデータ形式であっても、ドットで示す形式であっても良い。
履歴情報Dbは、素材から、どのような工程を経て現在の素材に至ったかを示すデータである。具体的には、履歴情報Dbとして、端材WAの加工を行った加工プログラムのプログラム番号、その加工のスケジュールを示すスケジュール番号、素材板材Wに対して一度にネスティングを行うオーダ番号であるネスティングオーダ番号等が含まれる。これらプログラム番号、スケジュール番号、ネスティングオーダ番号は、全てを記録しても良く、またいずれかの番号を記録しても良い。
端材情報Dには、この他に、板厚や材質のデータを含ませても良い。
【0017】
なお、履歴情報Dbである、プログラム番号、スケジュール番号、ネスティングオーダ番号は、これらのうちのいずれかの番号がわかれば、加工プログラムの内容と照合して端材WAの形状がわかるので、これらプログラム番号、スケジュール番号、ネスティングオーダ番号等のいずれかを、上記のデータ管理手段と照合して端材WAの形状の情報を得るための識別情報として用いても良い。
【0018】
図2は、この板材管理方法を適用する板材加工設備、およびその管理システム7の概要を示す説明図である。この管理システム7の一部で、この実施形態の板材管理装置が構成される。
板材加工設備3は、板材加工機2と、ローダ4と、板材収容設備5と、端材ストッカ6とを備える。ローダ4は、板材加工機2に対する素材板材Wの搬入、および製品板材wの搬出を行う装置であり、レール4aに沿って走行する走行体4bと、この走行体4bに設置されて板材を保持する真空吸着パッド等を複数有する板材保持具4cを有する。ローダ4は、板材加工機2に対する端材WAの搬入や搬出に使用可能とされる。板材収容設備5は、素材板材Wおよび製品板材waを収容するパレットや台車等の設備である。板材収容設備5において、素材板材Wの収容場所と製品板材wの収容場所とは、離れていても、近接していても良い。板材収容設備5は、さらに端材WAを収容するものであっても良い。
【0019】
端材ストッカ6は、素材として再利用可能な端材WAを複数枚収容する設備であり、例えば端材WAを1枚ずつ載せる複数段の棚6aを有する。端材ストッカ6は、この例では、板材加工機2に隣接して設置され、ローダ4を用いることなく、端材ストッカ6の有する板材出し入れ機構(図示せず)および板材加工機2の有する板材送り機構(図示せず)により、板材加工機2と板材ストッカ6との間で直接に端材WAの出し入れが可能なものとされている。
【0020】
上記板材加工設備3において、板材加工機2に、記録媒体取付け機構8および記録媒体ライタ9が設置されている。記録媒体取付け機構8は、端材WAに対して記録媒体1を貼り付け等によって取付ける装置であり、端材WAを生じる素材板材Wの加工の完了時、またはその素材板材Wの搬入時、または加工中に、記録媒体1の取付けを行う。記録媒体ライタ9は、端材WAに取付けられた記録媒体1に上記端材情報Dを記録する、すなわち書き込む手段であり、加工が完了したときに、その加工により生じた端材WAに書き込みを行う。
【0021】
記録媒体取付け機構8および記録媒体ライタ9は、ローダ4に設けても良く、また記録媒体取付け機構8を板材加工機2に設け、記録媒体ライタ9をローダ4に設けても良い。記録媒体取付け機構8および記録媒体ライタ9をローダ4に設けた場合は、加工が完了した端材WAをその加工を行った板材加工機2からローダ4で搬出する過程で、記録媒体1の端材WAへの取付け、およびその記録媒体1への端材情報Dの書き込みを行うことができる。
なお、加工完了時またはそれ以降に記録媒体1の取付けを行う場合は、記録媒体1への端材情報Dの書き込みを行った後に、その書き込み済みの記録媒体1を端材WAへ取付けるようにしても良い。
【0022】
端材ストッカ6には、収容されている全ての端材WAの記録媒体1から端材情報Dを読み取るリーダ10、および送信手段11を設け、前記リーダ10で読み取った端材情報Dを、管理システム7に送信手段11で送信するようにしている。
【0023】
管理システム7は、板材加工設備3を管理する装置であり、板材加工機2、ローダ4、および端材ストッカ6をそれぞれ制御する加工機制御装置12、ローダ制御装置13、およびストッカ制御装置14を備えている。管理システム7は、この他に、自動プログラミング装置15、加工プログラム記憶手段16、およびスケジュール管理装置17を備えている。この管理システム7に、さらに、記録媒体書込制御手段23が設けられている。
【0024】
板材加工機制御装置2は、コンピュータ式の数値制御装置およびプログラマブルコントローラ等からなり、加工プログラム18を実行して板材加工機2に制御指令を与える演算制御部19を有している。ローダ制御装置13は、コンピュータ式の数値制御装置およびプログラマブルコントローラ等からなり、ローダプログラム20を実行してローダ4に制御指令を与える演算制御部21を有する。
【0025】
自動プログラミング装置15は、入力された図形データおよび素材板材のデータから、その図形データで示される加工を行う加工プログラム18を生成するコンピュータ等の装置であり、素材板材Wの図形に対して製品板材wの図形の板取りを、設定規則に従って行うネスティング手段15aを有している。そのネスティングされた図形データに対して加工プログラム18の生成を行う。生成された各加工プログラム18は、プログラム番号を付して加工プログラム記憶手段16に記憶させておく。
【0026】
スケジュール管理装置17は、板材加工機1によって加工するスケジュールを管理するコンピュータ等の装置であり、スケジュール作成部17a、スケジュール記憶部17b、およびスケジュール実行部17cを有する。スケジュール作成部17aは、加工プログラム18の実行順および実行回数を定めたスケジュールの自動生成または生成支援を行う手段である。スケジュール記憶部17bは、スケジュール作成部17aで作成されたスケジュールを、スケジュール番号と共に記憶する手段である。加工プログラム18を実行する所定の纏まり毎に一つのスケジュール番号が付される。スケジュール作成部17aは必ずしも設けなくても良く、他で生成したスケジュールをスケジュール記憶部17bに記録するようにしても良い。スケジュール実行部17cは、スケジュール記憶部17bに記憶されたスケジュールに従って、加工機制御装置12およびローダ制御装置13を動作させる手段であり、工機制御装置12およびローダ制御装置13の上位制御手段となる。なお、スケジュール管理装置17は、例えばローダ制御装置13と同じコンピュータ上に設けても良い。
【0027】
素材情報記憶手段22は、板材収容設備5等に収容されている素材板材Wに関する形状,寸法,板厚,材質等の情報である素材情報と、その素材板材Wが板材収容設備5等のどの場所に収容されているかを示す所在情報を記憶する手段である。この素材情報記憶手段22に、端材WAについての端材情報Dを記憶する端材情報記憶領域(図示せず)が設けられている。この端材情報記憶領域に、端材ストッカ6のリーダ10で読み取られて送信手段11から送信された端材情報Dが記憶される。
【0028】
記録媒体書込制御手段23は、板材加工機2またはローダ4に設けられた記録媒体ライタ9に対して、書き込み内容となる端材情報Dの生成、および書き込みの制御を行う手段である。この実施形態では、記録媒体書込制御手段23は、記録媒体取付け機構8の制御手段を兼ねる。
記録媒体書込制御手段23は、加工機制御装置12の出力する板材加工機1の加工完了信号を監視する。加工完了信号があると、加工機制御装置12やスケジュール管理装置、素材情報記憶手段22等から必要データを取り込み、所定の基準(例えば歩留りや残り部分の寸法の基準)で、加工の完了した素材板材Wの残り部分が再利用可能な端材WAであるか否かを判定する。再利用可能な端材WAであると判定した場合は、所定の基準に従って端材情報Dを生成し、その生成された端材情報Dを、記録媒体ライタ9により端材WAの記録媒体1に書き込ませる。また、記録媒体取付け機構8に、端材WAに対する記録媒体1の取付けを行わせる。
【0029】
つぎに、上記の構成による板材管理方法を説明する。上記のように、再利用可能な端材WAが生じた場合は、端材WAに記録媒体1を取付け、端材データDを記録する。この端材データDには、加工完了時の端材WAの形状が、形状情報Daによって、あるいは形状の照合用の識別情報が含まれていて、端材データDを読み取ることで、端材WAの形状を知ることができる。このように、端材WAに記録媒体1を取付け、端材WAの形状等の情報である端材情報Dを記録するため、端材WAの実物から端材情報Dを読み取ることができる。そのため、実物の端材WAと記憶情報との対応誤りを生じることなく、端材WAの形状を簡単に管理することができる。
【0030】
この実施形態では、端材情報Dとして、プログラム番号、スケジュール番号、ネスティングオーダ番号などの履歴情報Dbを含ませているため、どの加工が完了したときの端材WAであるかを判断できる。この履歴情報Dbから、端材WAの形状等をより具体的に知ることができる。
なお、端材情報として、直接に形状を示す形状情報Daが含まれていなくても、上記履歴情報Dbがあれば、どの加工が完了したときの端材WAであるかを判断でき、適宜の手段と照合することで、端材WAの形状を知ることができる。
【0031】
また、端材情報Dの書き込みは、加工が完了した後に行うので、加工前や加工途中に書き込む場合と異なり、予定していた加工を変更したり、中止した場合、あるいは加工の途中で支障が生じた場合に、それらの変更,中止,支障等の状況に対応した端材形状等の端材情報Dを記録することができる。また、加工完了後に時間や場所の移動を経ずに、加工の完了時または搬出過程で記録媒体への書き込みを行うため、時間や場所の移動を経たことによる実物の端材WAと端材情報Dとの対応誤りを生じる機会が少なく、正確な情報の記憶が行える。このように、端材WAに取付けた記録媒体1への情報の書き込みを、加工の変更,中止や加工途中の支障等で誤りを生じることなく、簡易に正しく行うことができる。
【0032】
この実施形態では、端材ストッカ6にリーダ10を設け、読み取った端材情報Dを管理システム7に送信するため、管理システム7に対する登録ミスを防止でき、またデータ入力のメンテナンス工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の一実施形態に係る板材管理方法における端材、記録媒体、端材情報の関係を示す説明図である。
【図2】同板材管理方法を適用する板材管理装置を含む設備の概念構成の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1…記録媒体
2…板材加工機
3…板材加工設備
4…ローダ
5…板材収容設備
6…端材ストッカ
7…管理システム
8…記録媒体取付け機構
9…記録媒体ライタ
10…リーダ
11…送信手段
12…加工機制御装置
13…ローダ制御装置
17…スケジュール管理装置
22…素材情報記憶手段
23…記録媒体書込制御手段
D…端材情報
Da…形状情報
Db…履歴情報
H…抜き孔
W…素材板材
WA…端材
w…製品板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材板材から一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材に記録媒体を取付け、この記録媒体に、前記端材の形状情報、または端材の形状情報を記憶・管理するデータ管理手段から前記端材の形状情報を得るための識別情報を含む端材情報を記録することで、前記端材の形状の管理を行う板材管理方法。
【請求項2】
前記端材が生じる前記加工が完了したとき、またはこの加工が完了した端材を前記加工を行った板材加工機からローダで搬出する過程で、前記記録媒体へ前記端材情報を記録する請求項1記載の板材管理方法。
【請求項3】
前記端材を複数枚収容する端材ストッカを設け、この端材ストッカに、収容されている端材の記録媒体から前記端材情報を読み取るリーダ、および送信手段を設け、前記リーダで読み取った端材情報を、板材加工設備を管理する管理システムに前記送信手段で送信する請求項1または請求項2記載の板材管理方法。
【請求項4】
素材板材から一部を切り取る加工を行った残り部分となる板材である端材に記録媒体を取付ける記録媒体取付け機構と、前記記録媒体に記録を行う記録媒体ライタと、この記録媒体ライタを介し、前記記録媒体に、前記端材の形状情報、または端材の形状情報を記憶・管理するデータ管理手段から前記端材の形状情報を得るための識別情報を含む端材情報を記録する記録媒体書込制御とを備える板材管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−53800(P2009−53800A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218110(P2007−218110)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】