説明

架橋シリコーンマトリックス中に封入された固体粒子を含む組成物、およびその製造方法

本発明は、架橋シリコーンマトリックス中に封入することにより安定化された固体粒子を含有する局所用組成物に関する。固体粒子は好ましくは金属酸化物、例えば酸化亜鉛または二酸化チタンから形成され、架橋シリコーンマトリックスは好ましくは分枝鎖反応性アルコキシ部分を有するシリコーンをカルボン酸第一スズ架橋剤の存在下で架橋することにより形成される。本発明の安定化された粒子は、単独でまたは他のスキンケア活性物質と組み合わせて、改善された安定性および性能を有する局所用組成物を形成するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定化された微粒子成分を含む局所用組成物、ならびにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品または局所用組成物は、典型的には1種以上の微粒子成分、例えば顔料または染料、賦形剤、増粘剤、サンスクリーン剤等を含む。このような微粒子成分はしばしばそれぞれの溶媒または担体系に不溶性であり、その場合化粧品または局所用組成物中に分散または懸濁した状態で存在する。
【0003】
しかしながら、周囲の環境においてpHおよび温度の変化があった場合には、分散または懸濁した粒子は互いに凝集して組成物から沈殿する可能性がある。さらに、粒径が小さいほど活性表面積が大きくなり、このような微粒子成分は化粧品または局所用組成物における他の成分または構成要素との有害な相互作用またはそれらによる干渉の影響を受けやすくなり、それにより化粧品または局所用組成物が不安定化する可能性またはその全般的な性能が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記の欠点を排除または軽減するために、また微粒子成分の化学的および物理的特性に悪影響を与えることなく組成物全体の安定性を改善するために、化粧品または局所用組成物の微粒子成分を処理または修飾する必要性が引き続き存在する。
【0005】
また、表面の処理または修飾により微粒子成分の化学的および/または物理的特性を改善する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は化粧品または医薬品として許容される担体中に被処理粒子の分散物を含む局所用組成物であって、それぞれの被処理粒子が架橋シリコーンマトリックス中に封入された1個以上のコア粒子を含む、前記組成物に関する。
【0007】
別の態様において、本発明は架橋シリコーンマトリックス中に封入された1個以上の二酸化チタンまたは酸化亜鉛コア粒子を含む被処理粒子であって、被処理粒子が約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲の粒径を有するものに関する。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、
(a) 約0.001ミクロン〜約0.5ミクロンの範囲の平均粒径を有するコア粒子をシリコーンによりコーティングし;
(b) コーティングされた粒子を架橋剤(そこにおいて、架橋剤はシリコーンコーティングの架橋を達成することが可能なカルボン酸第一スズを含む)によりコーティングすることにより中にコア粒子を封入した架橋構造体(cross-linked structure)を形成し;
(c) 架橋構造体を、約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲の平均粒径を有する被処理粒子に微細化する(reducing)(そこにおいて、被処理粒子のそれぞれは架橋シリコーンマトリックス中に封入された1個以上の前記コア粒子を含む)
ことを含む、被処理粒子を形成する方法に関する。
【0009】
本発明の他の態様および目的は、以下の説明、実施例、および特許請求の範囲からより明白になろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】唯一の図は、本発明の一実施形態に従って、TiO2コア粒子をまずシリコーンによりコーティングし、次にシリコーンコーティングを架橋して架橋構造体を形成した後、架橋構造体を製粉/粉砕することにより形成した被処理粒子の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、化粧品または局所用組成物に有用な安定化された微粒子成分、ならびに微粒子成分を安定化する方法を提供する。特に、微粒子成分を架橋されたシリコーンマトリックス中に封入することにより形成された被処理粒子は、最初の微粒子成分の平均粒径よりも少なくとも10倍、好ましくは20倍、より好ましくは50倍、最も好ましくは100倍大きい平均粒径を有することを特徴とする。それぞれの被処理粒子は、その中に1個以上のコア粒子を封入した架橋シリコーンマトリックスを含む。好ましくは、取り込まれたコア粒子の、それらの化粧品または局所用組成物における目的とする活性に関するまたは関連する物理的および/または化学的特性は悪影響を受けず、同時に、被処理粒子が著しく大きいために構造的および空間的安定性が改善される。
【0012】
本発明に有用なコア粒子は、化粧品または局所用組成物に一般に使用されるいかなる微粒子成分であってもよく、鉱物顔料および賦形剤、例えばタルク、カオリン、雲母、オキシ塩化ビスマス、水酸化クロム、硫酸バリウム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、窒化ホウ素、ナイロンビーズ、高分子粉末(例えば、Kobo Products, Inc.(South Plainfield, NJ)より市販されているヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマーおよびシリカを含むBPD 500粉末)、シリカ、シリカビーズ、レーキ(例えば、アルミニウムまたはカルシウムレーキ)、金属酸化物(例えば、黒、黄または青・酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛、および二酸化チタン)、物理的および化学的サンスクリーン剤、ならびに他の有機および無機粉末または粒子を含むが、これらに限定されない。好ましくは、必ずしも必要ではないが、コア粒子は、酸素フリーラジカルを生成可能な物質、より好ましくは酸化亜鉛または二酸化チタンなどの金属酸化物からなる。コア粒子はいかなる規則的または不規則な形状であってもよく、例えば、球形、立方体、円筒形、平面状、繊維状、薄層状等であってよい。
【0013】
本発明において使用されるコア粒子の平均粒径は、好ましくは1ミクロン未満、より好ましくは約0.001ミクロン〜約0.5ミクロン、最も好ましくは約0.01〜約0.05ミクロンである。コア粒子の特に好ましい例としては、Croda, Inc.(Edison, NJ)よりOptisol(商標)の商品名で市販されているマンガンにより改変した二酸化チタン粒子が挙げられる。好ましくは、コア粒子は、被処理粒子の約10〜約99重量パーセント、より好ましくは、被処理粒子の約40〜90重量パーセントを構成する。
【0014】
コア粒子の封入は、本発明において、まずコア粒子をシリコーンによりコーティングし、次にコーティングされた粒子に、シリコーンコーティングの架橋を達成することが可能なカルボン酸第一スズを含む架橋剤を接触させて、中にコア粒子を封入した架橋構造体を形成した後、架橋構造体を微細化して所望の粒径の被処理粒子を得ることにより、容易に達成することができる。
【0015】
本発明において使用されるシリコーンは、好ましくは分枝鎖反応性部分を有するシリコーンである。本明細書において使用される用語「分枝鎖反応性部分」は、疎水性ポリマーの高分子骨格から枝分れしており、コア粒子の表面と化学結合(ファンデルワールス結合、水素結合、共有結合、およびイオン結合を含むが、これらに限定されない)を形成することができる側鎖部分を指す。本発明の疎水性ポリマーの分枝鎖反応性部分としては、アミノ部分、イミノ部分、ハロゲン部分、ヒドロキシ部分、およびアルコキシ部分が挙げられるが、これらに限定されない。特定の理論に拘束されることを望まないが、シリコーンのポリ有機シロキサン骨格がコア粒子上に連続的なコーティングを形成し、同時に、シリコーンの分枝鎖反応性部分がコア粒子の表面まで内側に向かって伸び、コア粒子と化学結合を形成することにより、シリコーンコーティング全体をコア粒子の上に接合または固定していると考えられる。
【0016】
本発明の特に好ましいが必ずしも必要ではない実施形態において、シリコーンは、米国特許第6,660,281号(その内容全体をすべての目的のために参照により本明細書に組み入れる)に記載される通りのエトキシまたはエトキシシリルエチル分枝鎖部分を有する反応性エトキシ修飾シリコーンである。好適な反応性エトキシ修飾シリコーンは、Shin-Etsu Silicones of America, Inc.(Akron, OH)より、KF9901、KF9908、KF9909またはKP574の商品名で市販されている。最も好ましくは、本発明の疎水性ポリマーは、Shin-EtsuよりKF9909の商品名で市販されているトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンを含む。シリコーンは、好ましくは、被処理粒子の総重量の約0.01〜約50パーセント、好ましくは被処理粒子の総重量の約0.5〜約15.0パーセントの量で存在する。
【0017】
上記のシリコーンは、あらゆる公知のコーティング技術、例えば、単純な混合、噴霧乾燥、流動層コーティング等を用いてコア粒子上にコーティングすることができる。好ましくは、必ずしも必要ではないが、シリコーンは、部分熱処理を含む技術、例えば、Sonicor Instrument Corp.(Copiague, NY)より入手可能なUltrasonic Processor, model # UPP-400A、周波数:20 KHzを使用することにより達成される音波処理(sonication)を用いてコア粒子上にコーティングされる。典型的には、コア粒子を約100 g〜約1 kgのバッチで提供し、それぞれのバッチをシリコーンの溶液または分散液と混合する。次に、混合物を音波処理して約15分〜約2時間、好ましくは10分〜約1時間に渡ってコア粒子上にシリコーンコーティングを形成する。音波処理中にシリコーンの分枝鎖反応性アルコキシ基にエネルギーが供給され、その結果、アルコキシ基はコア粒子表面と化学結合を形成し、それによりコア粒子表面をシリコーンのポリ有機シロキサン骨格で被覆して、コア粒子上にしっかりと付着したシリコーンコーティングを形成する。音波処理の後、シリコーンコーティングされた粒子に遠心分離をおこなうことにより、シリコーンコーティングされた粒子のバッチから、残留するシリコーンを除去する。遠心分離の後、最後に、シリコーンコーティングされた粒子を、少なくとも残留する水を蒸発により除去するのに十分な温度(例えば、約100℃〜約120℃)のオーブンに約12〜19時間入れることにより乾燥する。
【0018】
次に、上記のシリコーンコーティングされた粒子を、架橋剤と接触させる。架橋剤は、好ましくはシリコーンコーティングの架橋を達成することが可能なカルボン酸第一スズである。本発明の架橋剤として使用することができる好適なカルボン酸第一スズとしては、直鎖または分枝鎖C8〜C12アルキルカルボン酸の第一スズ塩が挙げられるが、これらに限定されない。その中でも、オクタン酸第一スズが最も好ましい。特に、オクタン酸第一スズは、本発明において、室温(すなわち、25℃)で、約30秒〜約5分間、より好ましくは約45秒〜約2分間、最も好ましくは約1分間に渡って連続的に混合することにより、上述のシリコーンを効果的に架橋する能力を示す。
【0019】
次に、混合物を約1分〜約45分間静置することにより、中にコア粒子を封入した架橋構造体が形成される。架橋構造体は、それを形成する際に用いた容器の形状となる。例えば、混合物を平らな表面上に注いだ場合、架橋構造体は平面状のシートとして形成される。別の例として、混合物を立方体の容器に注いだ場合、架橋構造体は立方体に形成される。このようにして形成された架橋構造体は典型的には比較的堅牢な構造体である。
【0020】
このような架橋構造体は、次に任意の好適な方法、例えば破砕、粉砕、微粉化、製粉、濾過等により所望の平均粒径の被処理粒子に微細化することができる。得られた被処理粒子は、Malvern Instrument(Worcestershire、英国)より入手可能なMalvern Particle Size Analyzerにより測定して、好ましくは約1ミクロン〜約50ミクロン、より好ましくは約1〜約15ミクロン、最も好ましくは約5〜約8ミクロンの範囲の平均粒径を有する。取り込まれたコア粒子は、得られた被処理粒子の総重量の約10%〜約90%、より好ましくは総重量の30%〜約75%、最も好ましくは総重量の約40%〜約60%を占める。架橋シリコーンは、得られた被処理粒子の総重量の約5%〜約75%、より好ましくは総重量の約10%〜約60%、最も好ましくは総重量の約30%〜約50%を占める。図は、本発明の一実施形態に従って上記の工程により形成された被処理粒子の顕微鏡写真を示す。
【0021】
本発明の好ましいが必ずしも必要ではない実施形態において、コア粒子をまずアニオン性ポリマーの内層によりコーティングした後、架橋シリコーンマトリックス中に封入する。特に、コア粒子を、まずアニオン性ポリマーによりコーティングした後、音波処理によりシリコーンでコーティングし、それによりアニオン性ポリマーの内側コーティングおよびシリコーンの外側コーティングをそれぞれ含むコーティングされた粒子を形成する。次に、このようなコーティングされた粒子に上述の架橋剤の存在下での外側シリコーンコーティングの架橋処理をおこなって、中にコア粒子を封入した架橋構造体を形成する。
【0022】
アニオン性ポリマーは、被処理粒子全体に負の電荷を与えると考えられる。人の皮膚および血液細胞は負に荷電していることが知られている。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明の被処理粒子は、アニオン性ポリマーの内層を有する場合、皮膚の表面に置かれた時に、皮膚と被処理粒子との間のマイナス対マイナスの反発力のために、皮膚上のしわまたは襞の中に留まらないと考えられる。さらに、負の電荷はコア粒子と外側の架橋シリコーンマトリックスの間の内層の中に封じ込められており、それによりコア粒子の周りに局在化または固定される。特定の理論に拘束されることを望まないが、外側マトリックスのシリコーンの分枝鎖反応性アルコキシ部分はアニオン性ポリマーの内層を通り抜けてコア粒子表面まで延びており、好ましくはコア粒子表面と化学結合を形成して、シリコーン層をつなぎ止め、またコア粒子表面上に内層を封じ込めていると考えられる。アニオン性ポリマーは、好ましくはシリコーンよりも高い密度を有するが、コア粒子よりも低い密度を有する。これにより、アニオン性ポリマーおよびシリコーンはコア粒子表面上に順にコーティングされることが可能であり、アニオン性ポリマーをコア粒子表面と外側シリコーン層の間にうまく封じ込めることができる。より好ましくは、アニオン性ポリマーとシリコーンの間には少なくとも0.01 g/cm3の密度差が存在して、それらの所望の順序での堆積を確実にする。
【0023】
本発明の内層を形成するために使用することができる好適なアニオン性ポリマーの例としては、グリコール、グリセリン、水溶性ガム、カルボマーゲル、ヒドロゲル、アクリレートコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー(PVM/MAコポリマー)、および第四級アミン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アニオン性ポリマーは、International Specialty Products (Wayne, New Jersey)よりGantrezシリーズのコポリマーとして市販されているPVM/MAコポリマーである。Gantrezコポリマーとしては、例えば、Gantrez AN-119、Gantrez AN-139、Gantrez AN-149、Gantrez AN-169、Gantrez AN-903、およびGantrez S-97BFが挙げられる。Gantrezコポリマーは、白色の自由流動性粉末であり、最初は水に不溶性であるが、それらは水中に容易に分散され、そこで高分子酸無水物が徐々に加水分解されて遊離酸の透明な溶液を形成する。すべてのGantrezコポリマーはメチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸部分を有するが、それぞれ分子量が異なっており、約200,000(Gantrez AN-119)から約2,000,000(Gantrez AN-179)の広範囲の分子量を有する。より好ましくは、本発明の内層を形成するために使用されるアニオン性ポリマーは、Gantrez AN-149またはGantrez S-97BFを含む。内層は、被処理粒子の約0.2〜5.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%の量で存在する。
【0024】
本発明の別の好ましいが必ずしも必要ではない実施形態において、活性物質(active agent)をコア粒子と共に架橋シリコーンマトリックス中に共封入(co-encapsulated)することができる。この場合、アニオン性ポリマーの内層は存在してもしなくてもよい。活性物質は好ましくは親水性活性物質であり、活性物質としては、水溶性保存剤、炭水化物、水溶性ビタミン、アミノ酸、抗酸化剤、および生物材料の水溶性抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。水溶性抽出物の例としては、アルテミア(artemia)、フィトスフィンゴシン(phytosphingosine)、イタドリ(polygonum cuspidatum)の根、サッカロミセス溶解質などの酵母、サーマス・サーモフィルス(thermos thermophillus)培養物、カバノキ(Betula alba)、ミモザ・テヌイフローラ(mimosa tenuiflora)(樹皮)抽出物、果実、チョウジ、ライムギ、麦芽、トウモロコシ、スペルト小麦、キビ、オオムギ、オートムギ、コムギ、ゴマ、クミン、ウコン、ネギ、セロリ、朝鮮人参、ショウガ、甘草、ニンジン、柴胡、イチョウ(Ginkgo biloba)、ウイキョウ(Foeniculi Fructus)、キウイ、桑(Morus bombycis)などのベリー類、ゲンチアナ(Gentiana lutea)、紅藻類などの藻、ゴボウ(Arctium lappa)、セージ(Salvia officinalis)、椎茸(Lentinus edodes)、エゴマ(Perilla frutescens)、シモツケソウ(Filipendula Multijuga)、ヒバマタ(Fucus vesiculosis)(海藻)、桃仁、ニンニク(Allium sativum)、マツホド(Poria cocos)、ホップ(Humulus lupulus)、ボタン皮(Mutan Cortex)、ピンピネラ・マイオール(Pimpinella major)、レタス(Lactuca sative)、キバナオウギ(Astragalus membranaceous)およびローズマリー(Rosmarinus officinalis)、アーモンド(Prunus amygdalus)、ウスベニタチアオイ(Althea officinale)、アロエ、エイジツ(Rosae FructusまたはRosa multiflora)、コガネバナ(Scuttelaria baicalensis)、葛根(Puerariae RadixまたはPueraria lobata)、ジャーマンカモミール(Chamomillae Flos)などのカモミール、クチナシ(Gardenia jasminoides)(サンシン(Gardeniae Fructus))、クララ(Sophora flavescens Aiton)(Sophorae Radix)、クロレラ、米ぬか、白牡丹(Paeoniae lactiflora)、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)、マグワ(Morus alba)、ダイズ(Glycine max)、茶(Camellia sinensis)、ベニバナ(Carthami Flos)、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)、レモンバーム(Melissa officinalis)およびヨクイニン(Coicis Semen)(Coix lacryma-jobi var.)、アシタバ(Angelica keisukei)、アルニカ(Arnica Montana)、ウイキョウ(Foeniculum officinale)、ヒキオコシ(Isodon japonicus Hara)(エンメイソウ(Isodonis Herba))、ニンジン(Daucus Carota)、米(Oryza sativa)、サンザシ(Crataegus cuneata)、ショウブ(Acorus calamus)、セイヨウサンザシ(Crataegus oxycantha)、セイヨウネズ(Juniperus communis)、センキュウ(Ligusticum wallichii)、センブリ(Swertiae Herba)、ガーデンタイム(Thymus vulgaris)、ポンカン(Citrus reticulata)(温州ミカン(Citrus unshiu))、トウガラシチンキ、トウキ(Angelicae sinensis)、トウヒ(Aurantii Pericarpium)、ナギイカダ(Ruscus aculeatus)、ブドウ(Vitis vinifera)、シナノキ(Tilia japonica)、ユズ(Citrus junos)およびローズヒップ(Rosa canina)、カフェイン、ケイヒ(Cinnamomi Cortex)およびビワ(Eriobotrya japonica Lindl.)、ガンビール(Gambir)、エキナセア(Echinacea)、黄柏(Phellodendri Cortex)(キハダ(Phellodendron amurense))、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum)、オレンジ(Citrus sinensis)、カノコソウ(Valeriana fauriei Briquet)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)、キュウリ(Cucumis sativus)、ゲンノショウコ(Geranii Herba)、ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon Sieb. et Zucc.)、セイヨウキヅタ(Hedera helix)、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)、ナツメ(Ziziphus jujube)、キンセンカ(Calendula officinalis)、ドクダミ(Houttuynia cordata)(ジュウヤク(Houttuyniae Herba、Houttuynia Herba))、タチキジムシロ(Potentilla erecta)、パセリ(Petroselinum crispum)、ヒカゲミズ(Parietaria officinalis)、サンダルウッド(Santalum album)、モモ(Prunus persica)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)、ユーカリ(Eucalyptus globulus)およびラベンダー(Lavandula angustifolia)、アボカド(Persea Americana)、オランダカラシ(Nasturtium officinalis)、ヒレハリソウ(Symphytum officinale)、ウスバサイシン(Asarum sieboldii)、サンショウ(Xanthoxyum piperitum)、ジオウ(Rehmannia glutinosa)、ペパーミント(Mentha piperita)、チョウジ(Syzygium aroma
ticum)、フキタンポポ(Tussilago farfara)およびアカミノキ(Haematoxylum campechianum)の抽出物;ウーロン茶、キナノキ(Cinchona succirubra)、カバノキ(Betula verrucosa)およびカキドオシ(Glechoma hederacea)、乳およびロイヤルゼリー、蜂蜜、システインおよびその誘導体、アスコルビン酸およびその誘導体、BHA、BHT、フェルラ酸およびその誘導体、ブドウ種子抽出物、松樹皮抽出物、セイヨウワサビ抽出物、ヒドロキノン類、ロスマリン酸、ロブスタ種コーヒー種子、カフェ酸、トコフェロールおよびその誘導体、緑茶抽出物、DNAナトリウム、リボ核酸ナトリウム、没食子酸オクチル、プロピルおよびドデシル、尿酸およびチオジプロピオネート(thiodiproprionate)誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、活性物質は抗酸化剤であるか、抗酸化活性を有する天然の水溶性抽出物である。より好ましくは、活性物質はブドウ種子抽出物またはフランス海岸松樹皮抽出物(ピクノジェノール(pycnogenol)とも呼ばれる)である。親水性活性物質は、本発明の被処理粒子中に、被処理粒子の約0.01〜50.0重量%、好ましくは約0.25〜30.0重量%の量で存在する。
【0025】
上に説明した本発明の被処理粒子は、例えば、アニオン性ポリマーおよび場合により親水性活性物質、例えば抗酸化剤を、アニオン性ポリマーおよび親水性活性物質を可溶化するための特定の溶媒系に加えることにより、容易に形成することができる。本発明を実施するための特定の溶媒系は、単一の溶媒または2種以上の溶媒の混合物を含有してよい。このような溶媒系を形成するために使用することができる好適な溶媒としては、水、アルコール、および有機溶媒、例えばエーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、必ずしも必要ではないが、本発明に使用される溶媒系は、水および場合により1種以上のアルコールを含有する水性溶媒系である。次に、処理すべきコア粒子をアニオン性ポリマーおよび親水性活性物質の水性溶液に加えて、均一になるまで混合する。次に、分枝鎖反応性アルコキシ部分を有するシリコーンを、好ましくは追加の水およびアルコールと共に水性溶液に加える。混合物を、アニオン性ポリマーおよび場合により親水性活性物質の内層ならびにコア粒子に確実に結合している(すなわち、剥離がほとんどまたは全くない)疎水性ポリマーの外層を有するコーティングされた粒子を形成するのに十分な時間に渡って音波処理する。次に、架橋剤、例えばオクタン酸第一スズを室温で連続的に混合しながら溶液に加える。次に、得られた混合物を容器に注いで、十分な時間静置することにより架橋構造体を形成する。次に、これを粉砕、製粉、破砕、微粉化、濾過等により微細化して、所望の粒径を有する被処理粒子を得る。
【0026】
局所用組成物に製剤化した場合、本発明の被処理粒子は、封入されていないまたは「裸の(naked)」同じ粒子にはない種々の利点および利益を提供する。例えば、架橋されたシリコーンマトリックス中に封入されたコア粒子が局所用組成物中の不安定化または分解する可能性のある活性成分と接触しないようにシールされているため、それらは封入されていないまたは「裸の」同じ粒子と比べて著しく安定性が高い。さらに、コア粒子が活性酸素種(ROS)(局所用組成物中の他の活性成分を分解するまたは他の方法によりそれらに干渉する可能性がある)の生成を引き起こす能力を有する物質を含む場合、このようなコア粒子の架橋シリコーンマトリックス中への封入は、干渉または分解を抑制するように機能し、局所用組成物全体の安定性を改善する。架橋シリコーンマトリックスによる封入は、ある種の本来親水性のコア粒子の疎水性/親水性を変化させて、典型的には封入されていないまたは「裸の」親水性粒子とは適合しない油またはシリコーン相中にこのようなコア粒子を製剤化することを可能にする。コア粒子の所望の化学的および/または物理的特性は上記の封入により実質的に影響を受けずに保持されるべきであることに留意することが重要である。
【0027】
あらゆる化粧品もしくは局所用成分または固体の微粒子の形態の構成要素に適用可能であるが、本発明は、活性酸素種(ROS)の生成を引き起こす能力を有する固体粒子を、その粒子の所望の特性に悪影響を与えることなく安定化するために特に有用であると考えられる。活性酸素種(ROS)、例えば酸素イオン、フリーラジカル、および過酸化物(無機または有機のいずれも)は、生細胞による正常な酸素の代謝の天然の副生成物である。一方では、ROSは、レドックスシグナリングと呼ばれるプロセスである細胞シグナル伝達において重要な役割を果たし、それらは免疫系により病原体を攻撃し、殺すことにより生細胞を病原体の侵入から保護するためにも使用される。他方では、ROSは、適時に還元または除去されないと、タンパク質、脂質およびDNAを含む生細胞のすべての構成要素に大きな損傷を引き起こし得る。そこで、適正な細胞恒常性を維持するために、ROSの生産および消費の間のバランスを取らなくてはならない。生細胞が生産する種々の酵素、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、およびグルタチオンペルオキシダーゼは、過剰な活性酸素種を除去する細胞の抗酸化剤として機能する。その結果、ROSは、正常な生細胞中には低い濃度でしか存在せず、それらにより引き起こされる損傷は種々の細胞修復メカニズムにより絶えず修復される。しかしながら、環境ストレスがある場合に、ROSレベルが劇的に上昇する可能性があり、それにより、生物系によるROSの生産と、反応性中間物質を解毒するまたはもたらされた損傷を修復する生態系の能力との間の不均衡が生じる可能性がある。これが積み重なって、一般に「酸化ストレス」と呼ばれる状況になる。酸化ストレスは、アテローム性動脈硬化、パーキンソン病およびアルツハイマー病などの多くの疾患に関与する。また、酸化ストレスは、加齢過程の主要な要因であると考えられている。化粧品組成物に広く使用されるある種の粒子、例えば酸化鉄、二酸化チタン、および酸化亜鉛はROSの生成を引き起こすことが知られており、これは皮膚に酸化ストレスを与える可能性があるばかりか、化粧品組成物中の他の成分または構成要素に干渉する可能性がある。例えば、多くの有機染料/色素、有機サンスクリーン剤、および他の有機化粧品成分は、酸化的分解または劣化を受けやすいことが知られている。ROS放出性粒子とこのような有機化粧品成分とを組み合わせて使用した結果、このような有機化粧品成分のその場での分解または劣化がおこる可能性があり、化粧品組成物の全般的性能および安定性に悪影響を与え得る。このようなROS放出性粒子を本発明の架橋シリコーンマトリックス中に封入することにより、このような粒子が皮膚に対して及ぼす可能性がある酸化ストレスを排除または減少させ、またこのような粒子が他の化粧品成分の分解または劣化を引き起こさないようにすると考えられる。その結果、本発明の架橋シリコーンに封入された金属酸化物粒子は、酸化的分解または劣化を受けやすいことが知られている有機化合物と共に使用して、著しく改善された全般的安定性および延長された保存期間を有する局所用または化粧品組成物を形成することが可能である。
【0028】
本発明の被処理粒子は任意の医薬品または化粧品として許容される担体に直接加えて化粧品または局所用組成物を形成することができる。本発明の目的のために、医薬品または化粧品として許容される担体は、ヒトの皮膚に生物学的適合性を有し、上記および/または下記の活性成分を、局所適用可能なクリーム剤、ゲル剤、乳剤、液剤、懸濁剤、粉剤、爪被覆剤、スキンオイル、またはローションに製剤化するために使用することができる物質である。化粧品として許容される担体がエマルションの形態である場合、それは組成物全体の約0.1〜99重量%、好ましくは約0.5〜95重量%、より好ましくは約1〜80重量%の水、および組成物全体の約0.1〜99重量%、好ましくは約0.1〜80重量%、より好ましくは約0.5〜75重量%の油を含み得る。組成物が無水である場合、それは、約0.1〜90重量%の油および約0.1〜75重量%の他の成分、例えば顔料、粉末、非水溶媒(例えば、一価、二価または多価アルコール等)を含み得る。組成物が水性のゲル、溶液、または懸濁液の形態である場合、それは約0.1〜99重量%の水および約0.1〜75重量%の他の成分、例えば植物成分、非水溶媒等を含み得る。
【0029】
医薬品または化粧品として許容される担体(1種または複数種)は、本発明の局所用または化粧品組成物に、局所用または化粧品組成物の総重量の約0.1%〜約99.9%、好ましくは約5%〜約99.5%、より好ましくは約10%〜約99%、最も好ましくは約10%〜90%の範囲の量で存在し得る。
【0030】
局所用または化粧品組成物は、単に局所用組成物の物理的または美的特性を改善するのみではなく、皮膚に利益を提供する物質である、1種以上のスキンケア活性物質を含有し得る。存在する場合、このようなスキンケア活性物質は、組成物全体の約0.01〜50重量%、好ましくは約0.05〜35重量%の範囲であり得る。本発明の局所用または化粧品組成物に使用することができるスキンケア活性物質の例としては、化学的または物理的サンスクリーン剤、セルフタンニング剤(例えばジヒドロキシアセトン)、抗ニキビ剤(例えば、レソルシノール、サリチル酸、過酸化ベンゾイル等)、酵素阻害剤、コラーゲン刺激剤、染みおよび角質繊維の根絶のための薬剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗微生物剤(例えば、抗細菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、および抗ウイルス剤)、ふけ防止剤、皮膚炎治療剤、かゆみ止め剤、制吐剤、抗炎症剤、抗角化剤、制汗剤、感染治療剤、抗脂漏剤、抗ヒスタミン剤、皮膚美白剤(skin lightening agent)、色素除去剤、皮膚鎮静/回復剤(例えば、アロエ抽出物、アラントイン等)、コルチコステロイド、ホルモン、タンパク質またはペプチド、ビタミンおよびその誘導体(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB3、ビタミンB5等)、剥離剤、レチノイド(例えば、レチノイン酸およびレチノール)、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、グリセリン、尿素、グアニジン(例えば、アミノグアニジン)、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコノゾール(miconozole)、グリセオフルビン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、プラモキシン、リドカイン、プロカイン、メピバカイン、モノベンゾン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メクロシリン(meclocyline)、ミノサイクリン、ヒドロキノン、ナプロキセン、イブプロフェン、テオフィリン、クロモリン、アルブテロール、局所ステロイド剤(例えば、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21-酢酸、ヒドロコルチゾン17-吉草酸、およびヒドロコルチゾン17-酪酸)、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、過酸化ベンゾイル、クロタミトン、プロプラノロール、プロメタジン、およびそれらの混合物または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましいが必ずしも必要ではない実施形態において、局所用組成物は、サンスクリーン剤、セルフタンニング剤、老化防止剤、しわ防止剤、抗ニキビ剤、抗微生物剤、抗炎症剤、皮膚美白剤、タンパク質またはペプチド、ビタミンおよびその誘導体、剥離剤、DNA修復を刺激する成分、免疫防御を提供する成分、細胞再生を刺激する成分、皮膚保護層修復を刺激する成分、保湿剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上のスキンケア活性物質を含む。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態において、局所用または化粧品組成物は、酸化亜鉛、二酸化チタン、またはその両方から形成されるコア粒子を含有する被処理粒子を含むサンスクリーン組成物である。上記の通り、酸化亜鉛または二酸化チタン粒子は光保護特性を有することが知られており、そのため物理的サンスクリーン剤として使用することができるが、それらは光活性(すなわち、UV光に曝された場合に活性酸素種の生成を引き起こす傾向)を有し、それにより酸化的分解または劣化を受けやすいある種の有機化粧品成分またはスキンケア活性物質を分解するまたは他の方法によりそれらに干渉する可能性があるので、それらの局所用または化粧品組成物における使用は限定されている。本発明に記載される通りの酸化亜鉛および/または二酸化チタン粒子の封入は、このような粒子の周辺でUV暴露により生成する活性酸素種を除去するまたは減少させるが、このような粒子のサンスクリーン特性に悪影響を与えないと考えられる。
【0032】
その結果、酸化亜鉛および/または二酸化チタンを含有する本発明の被処理粒子は、酸化的分解または劣化を受けやすいことが知られている有機化粧品成分またはスキンケア添加剤と共に製剤化することができ、著しく改善された全般的安定性およびより長い保存期間を有する安定なサンスクリーン組成物を形成し得る。例えば、酸化亜鉛および/または二酸化チタンを含有する被処理粒子は、酸化的分解または劣化を受けやすい1種以上の有機染料と共に製剤化して、サンスクリーン特性をも有する着色化粧品組成物を形成することができる。別の例として、酸化亜鉛および/または二酸化チタンを含有する被処理粒子は、酸化的分解または劣化を受けやすい1種以上の有機サンスクリーン剤と共に製剤化して、高いSPF値(例えば、SPF 30以上)のみでなく、驚くべき、予想外に改善された全般的安定性およびより長い保存期間を特徴とするサンスクリーン組成物を形成することができる。存在する場合、このような有機サンスクリーン剤は、組成物全体の約0.1〜45重量%の範囲で存在し得る。
【0033】
本発明のTiO2および/またはZnO含有被処理粒子と組み合わせて使用することができる有機サンスクリーン剤の例としては、UVAおよびUVBサンスクリーン剤、例えば、ベンゾフェノンおよびその誘導体(例えば、ベンゾフェノン-3、ジオキシベンゾン、スリソベンゾン、オクタベンゾン、ヒドロキシおよび/またはメトキシ置換ベンゾフェノン、およびベンゾフェノンスルホン酸およびその塩);サリチル酸誘導体(例えば、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、およびサリチル酸フェニル);ウロカニン酸およびその誘導体(例えば、ウロカニン酸エチル);p-アミノ安息香酸(PABA)およびその誘導体(例えば、そのエチル/イソブチル/グリセリルエステルおよびp-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル(オクチルジメチルPABAとも呼ばれる));アントラニレートおよびその誘導体(例えば、o-アミノベンゾエートおよびアミノ安息香酸の種々のエステル);ベンザルマロネート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンズアゾリル誘導体;ジベンゾイルメタンおよびその誘導体(例えば、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(一般に「アボベンゾン(avobenzone)」と呼ばれる)および4-イソプロピル-ジベンゾイルメタン);ベンゾアゾール/ベンゾジアゾール/ベンゾトリアゾールおよびその誘導体(例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよびメチレン-ビス-ベンゾトリアゾリル-テトラメチルブチルフェノール(一般に「チノソルブM(Tinosorb M)」と呼ばれる));ジフェニルアクリレートおよびその誘導体(例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(一般に「オクトクリレン(octocrylene)」と呼ばれる)およびエチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(一般に「エトクリレン(etocrylene)」と呼ばれる));ジフェニルメチレンまたは9H-フルオレン置換基を有するジエステルまたはポリエステル;2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-スルホン酸(PBSA);4,4-ジアリールブタジエン;シンナメートおよびその誘導体(例えば、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート、ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト-ウンベリフェロン、エスクレチン、メチルエスクレチン、およびダフネチン);カンファーおよびその誘導体(例えば、3-ベンジリデンカンファー、4-メチルベンジリデンカンファー、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、およびテレフタリリデン-ジカンファースルホン酸(一般に「エンカムスル(Encamsule)」と呼ばれる));トリアジンおよびその誘導体(例えば、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(一般に「チノソルブS(Tinosorb S)」と呼ばれる));ナフタレートおよびその誘導体(例えば、ジエチルヘキシル-2,6-ナフタレート);ナフトスルホネートおよびその誘導体(例えば、2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸および2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン(benzalacetonephenone);ジフェニルブタジエンおよびその誘導体;ジ-ヒドロキシナフトエ酸およびその誘導体;o-およびp-ヒドロキシビフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(例えば、その7-ヒドロキシ、7-メチル、および3-フェニル誘導体);アゾール/ジアゾール/トリアゾールおよびその誘導体(例えば、2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンゾキサゾール、メチルナフトキサゾールおよび種々のアリールベンゾトリアゾール);キニンおよびその誘導体(例えば、その二硫酸、硫酸、塩酸、オレイン酸およびタンニン酸塩);キノリンおよびその誘導体(例えば、2-フェニルキノリンおよび8-ヒドロキシキノリン塩);タンニン酸およびその誘導体(例えば、そのヘキサエチルエーテル誘導体);ヒドロキノンおよびその誘導体;尿酸およびその誘導体;ビロ尿酸(vilouric acid)およびその誘導体;およびそれらの混合物および組合せが挙げられるが、これらに限定されない。上記のリスト中のある種の酸性サンスクリーン剤の塩および他の方法により中性化された形も本発明に有用である。これらの有機サンスクリーン剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用し得る。さらに、他の公知のUV光吸収能力を有する動物または植物抽出物も単独でまたは組み合わせて適切に使用し得る。
【0034】
本発明の実施に特に有用な有機サンスクリーン剤は、4,4’-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、p-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ビス-{4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレン-ビス-ベンゾトリアゾリル-テトラメチルブチルフェノール、テレフタリリデン-ジカンファースルホン酸、2,6-ナフタル酸ジエチルヘキシル、ジガロイルトリオレエート、4-[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エチル、グリセロールp-アミノベンゾエート、アントラニル酸メチル、p-ジメチルアミノ安息香酸またはアミノベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル)-5-スルホニオベンズオキシアゾ酸(sulfoniobenzoxazoic acid)、およびそれらの混合物または組合せである。好ましくは、4,4’-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンを、TiO2含有被処理粒子もしくはZnO含有被処理粒子のいずれか、または両方と共に本発明のサンスクリーン剤組成物に加える。より好ましくは、本発明のサンスクリーン組成物は、さらに上記のリストから選択される第2の有機サンスクリーン剤を含む。
【0035】
化粧品として許容される担体は1種以上の油、例えばシリコーン、有機油、またはそれらの混合物を含有してもよい。存在する場合、前記油は、組成物全体の約0.1〜99重量%の範囲であってよく、揮発性または非揮発性シリコーン、例えば、シクロメチコン;メチルトリメチコン;オクタメチルトリシロキサン;デカメチルテトラシロキサン;ドデカメチルペンタシロキサン;ジメチコン;フェニルトリメチコントリメチルシロキシフェニルジメチコン;フェニルジメチコン;セチルジメチコン;ジメチコンコポリオール;セチルジメチコンコポリオール;グリセロール化シリコーン、例えば、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン;またはそれらの混合物を含む。好適なエステルとしては、C4〜30脂肪酸および一価、二価もしくは多価C1〜20アルコールのモノ、ジ、またはトリエステル、例えばグリセリンの脂肪酸(例えば、ステアリル、ベヘニル、およびイソステアリル)エステル、またはα-ヒドロキシ酸、例えばクエン酸、リンゴ酸、または乳酸等の脂肪酸エステルが挙げられる。好適な炭化水素としては、モノマーまたはポリマーオレフィンまたはアルファオレフィン、例えばポリイソブテン、ポリデセン、ポリブテン、またはその水素化誘導体である。
【0036】
化粧品として許容される担体は1種以上の保湿剤を含んでもよい。存在する場合、それらは、組成物全体の約0.1〜20重量%の範囲であってよく、C1〜4アルキレングリコール、例えばブチレン、プロピレン、エチレングリコール、グリセリン等を含む。
【0037】
化粧品として許容される担体は、好ましくは約30〜150℃の範囲の融点を有する1種以上の蝋を含んでもよい。存在する場合、前記蝋は、組成物全体の約0.1〜45重量%の範囲であってよく、動物性、植物性、鉱物性またはシリコーン蝋を含む。例としては、アルキルジメチコン、ステアリルジメチコン、キャンデリラロウ、ポリエチレン、オゾケライト、蜜蝋等が挙げられる。
【0038】
化粧品として許容される担体は、1種以上の乳化または非乳化有機シロキサンエラストマーを含んでもよい。存在する場合、前記エラストマーは組成物全体の約0.1〜30重量%の範囲であってよい。好適なエラストマーの例としては、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー;ジメチコン/ジメチコンPEG/PPG 10/15クロスポリマー等が挙げられる。
【0039】
化粧品として許容される担体は1種以上の顔料もしくは粉末またはそれらの混合物を含んでもよい。存在する場合、前記顔料または粉末の推奨される範囲は、組成物全体の約0.1〜85重量%である。前記顔料または粉末の粒径は約0.05〜200ミクロンの範囲であってよいが、好ましくは約50〜100ミクロンである。顔料の例としては、有機顔料、例えば、青、茶、赤等を含むD&CまたはFD&C色素またはそれらのレーキ;または無機酸化鉄、例えば茶、黄、緑、赤酸化鉄が挙げられる。好適な粉末としては、二酸化チタン、ナイロン、PMMA、窒化ホウ素、雲母等が挙げられる。
【0040】
化粧品として許容される担体は、特に本発明の局所用または化粧品組成物が乳剤として提供される場合には、1種以上の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。存在する場合、前記界面活性剤は組成物全体の約0.1〜20重量%の範囲であってよい。好適な界面活性剤としては、エトキシ化脂肪C6〜30アルコール、例えばステアレス(steareth)、ベヘネス(beheneth)、セテス(ceteth)(ここで、それぞれの界面活性剤の後に付く数は反復エチレンオキシド基の数を表し、2〜250の範囲であり、例えば、ステアレス-2、ベヘネス(beheth)-30等である)が挙げられる。
【0041】
本発明を以下の非限定的な実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0042】
実施例1
TiO2粒子をまずGantrez S-97BFポリマーによりコーティングし、次いでKF9909シリコーン液により音波処理しながらコーティングし、次にコーティングされた粒子を主ビーカー中で追加のKF9909シリコーン液と混合し、Caframo(Ontario、カナダ)製のプロミキサー(pro mixer、Model # BDC 1850)を用いて105の数表示で混合し、均一な混合物を形成した。オクタン酸第一スズ(ArkemaよりFascat(登録商標) 2003触媒として市販されている)を室温で主ビーカーに加え、再度約1分間混合をおこなった。得られた混合物をすぐに平らな表面上に注ぎ、30分間静置することにより、架橋した平らなシートを形成した。次に、平らなシートを乳鉢と乳棒により粒子に粉砕した。得られた被処理粒子は、顕微鏡で測定して約1ミクロン〜10ミクロンの範囲の平均粒径を有した。この被処理粒子は約85.31重量%のTiO2、3.52%のGantrez S-97BF、0.41%のオクタン酸第一スズ、および約12.57重量%のKF-9909シリコーン液を含有していた。
【0043】
上に本発明を特定の実施形態、特徴および態様を参照して説明したが、本発明はこれに限定されず、有用性において他の変更、相違、応用、および実施態様にまで及ぶことが理解されよう。したがって、このような他の変更、相違、応用、および実施形態は本発明の精神および範囲に包含されるものと見なされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品または医薬品として許容される担体中の被処理粒子の分散物を含む局所用組成物であって、それぞれの該被処理粒子が、架橋シリコーンマトリックス中に封入された1個以上のコア粒子を含む、前記組成物。
【請求項2】
被処理粒子が約1ミクロン〜約5ミクロンの範囲の平均粒径を有し、かつコア粒子が約0.001ミクロン〜約0.5ミクロンの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
架橋シリコーンマトリックスが、分枝鎖反応性アルコキシ部分を有するシリコーンを架橋することにより形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
分枝鎖反応性部分がエトキシまたはエトキシシリルエチル基を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
架橋シリコーンマトリックスが、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンを架橋することにより形成される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
コア粒子が1種以上の金属酸化物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
コア粒子が二酸化チタン、酸化亜鉛、またはそれらの組合せを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
さらに少なくとも1種の酸化的分解または劣化を受けやすい有機化合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機化合物が、酸化的分解または劣化を受けやすい有機サンスクリーン剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
有機サンスクリーン剤が4,4’-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機化合物が、酸化的分解または劣化を受けやすい有機染料である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
コア粒子のそれぞれが、まずグリコール、グリセリン、水溶性ガム、カルボマーゲル、ヒドロゲル、アクリレートコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー(PVM/MAコポリマー)、および第四級アミン化合物からなる群より選択されるアニオン性ポリマーの内層によりコーティングされ、次に架橋シリコーンマトリックス中に封入されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
コア粒子がアニオン性ポリマーおよびシリコーンの密度よりも大きい密度を有し、そこにおいて、アニオン性ポリマーがシリコーンの密度よりも大きい密度を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
架橋シリコーンマトリックス中に封入された1個以上の二酸化チタンまたは酸化亜鉛コア粒子を含む被処理粒子であって、該被処理粒子が約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲の粒径を有する、前記被処理粒子。
【請求項15】
(a) 約0.001ミクロン〜約0.5ミクロンの範囲の平均粒径を有するコア粒子をシリコーンによりコーティングし;
(b) コーティングした粒子を架橋剤と接触させることにより中にコア粒子を封入した架橋構造体を形成し、そこにおいて、架橋剤はシリコーンコーティングの架橋を達成することが可能なカルボン酸第一スズを含み;
(c) 架橋構造体を、約1ミクロン〜約50ミクロンの範囲の平均粒径を有する被処理粒子に微細化し、そこにおいて、それぞれの被処理粒子は、架橋シリコーンマトリックス中に封入された1個以上の該コア粒子を含む
ことを含む、被処理粒子を形成する方法。
【請求項16】
シリコーンが、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコンであり、そこにおいて、カルボン酸第一スズがオクタン酸第一スズであり、かつ、そこにおいて、シリコーンコーティングの架橋を室温で連続的に混合しながら達成する、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−501969(P2012−501969A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525071(P2011−525071)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/053281
【国際公開番号】WO2010/027603
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】