説明

架橋可能ゴム組成物、その用途、その製造されたゴム粒、およびそのゴム粒を調製し射出成形する方法

本発明は架橋型ゴム組成物、その用途、その製造されたゴム粒、そのゴム粒の製造方法および射出成形方法に関する。該架橋型ゴム組成物は、少なくともスチレン−ブタジエン共重合体と、ゴムに使用される軟化油と、流動性改質剤と、過酸化物加硫剤とを含む。該架橋可能ゴム組成物はゴム製品を製造するに適している。該ゴム組成物は80℃の以下で架橋が発生しないゴム粒を製造する。該ゴム粒は密閉式混合、開放式混合、押出を通して製造される。該ゴム組成物と粒は、直接に射出形成することができ、優れる流動性を持ち、後工程で硫化することができ、室温で長時間保存することができる。従来の技術に比べ、ゴム粒は射出形成によって直接製造することができ、ゴム粒は自己硫化が発生し難く、低温で保存する必要がない。さらに、硫化速度を容易にコントロールすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ゴム製造の技術分野に属する本発明は、ゴム組成物に関するものであり、特に、室温で長期的に保存することができる硫化性ゴム組成物及びそれにより製造されたゴム粒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴムは、重要な高分子弾性材料であり、様々な製品例えばタイヤ、靴底、シールリングや様々な防護材に多く用いられている。様々な製品に用いられる材料は、耐摩耗性、耐屈曲性、耐水/耐油性、耐熱/耐寒性が良好であり、弾性、引き裂き強度が強いばかりか、加工成形工程が複雑であっても、コストが低いことが要求されている。様々なゴム製品は、主に以下のゴム材料の組み合わせから製造される:例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、エチレンプロピレンテルポリマーゴムなどが挙げられる。分子量が高くて材料の流動特性が弱い従来のゴム材料は、押出成形によってのみ形成され得る。ほかには、蒸気加熱は、ゴムの加硫化工程で成形温度の一様性を改善するために適合している;しかしながら、この過程は、設備投資とエネルギー消費量が高い、複雑で高価な高圧ボイラーを必要とする。従来のゴムは、分子量が高くて、その分子間でよく絡みんでいるので、密閉型混合又は開放型混合の工程で大量の熱を発生する。また、この熱が散逸することは容易でないので、ゴム原料の一部が硫化される場合があり、したがって、押出成形後の製品は欠陥を有する。同時に、従来の硫黄を用いて加硫済みの原料は、少し高い環境温度で自己硫化することがあり、長期間保存することができない。長期間保存をしたければ、低温環境が必要である。このような従来のゴムの色々な欠点ゆえに、熱可塑性エラストマーが生成され、そのうち主要なものが、スチレン系エラストマーである。スチレン系エラストマーは簡単な製造過程によって射出成形で形成するおよび回復することができ、よって、完全に発達している。しかしながら、スチレン系エラストマーは、物理的架橋によってのみ力学的特性を維持するので、製品の(高耐摩耗性、高破断強度等の)高性能に対する要求を満たすことができない。同時に、スチレン系熱可塑性エラストマーは、有効な化学的架橋を進めることが難しく、それはスチレン系熱可塑性エラストマーは、異なる各段の架橋の難易程度を有するブロック共重合体であり、異なる各段の架橋の難易程度は架橋を不均一にするからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のゴム材料とそれらの工程の欠点を克服するために、本発明の目的は、架橋可能なゴム組成物、その用途、その製造されたゴム粒(ラバーグレイン)、およびそのゴム粒を調製し射出成形する方法を提供するものであり、ゴム組成物とそのゴム粒は、射出成形により直接に製造することができる。前記ゴム粒は、80℃より低い温度で自己硫化が発生しないため、30℃の温度で長期間保存することができ、低温で保存する必要がない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の技術的解決法は、本発明の目的を実現し、その中の解決すべき技術的課題を解決するのに適している。本発明にしたがって提示される架橋可能ゴム組成物は以下の成分を含む。すなわち、40〜70重量部のスチレン−ブタジェン共重合体と、10〜30重量部の流動性改質剤と、10〜50重量部の軟化油と、0.1〜1重量部の加硫剤とを含む。
【0005】
別の実施形態において、上述のような架橋可能ゴム組成物は、1〜30重量部の再生材料を含むことを特徴とする。
【0006】
以下の技術的手段はまた、本発明の目的を実現し、その中の解決すべき技術的課題を解決するのに適し得る。
【0007】
上述のゴム組成物において、スチレン−ブタジエン共重合体は、線形構造或いは複数アーム星形分子構造であり、分子鎖の構造は、スチレン系のモノマーとジエン系モノマーの完全なアタクチック共重合体の構造である、あるいは、スチレン系モノマーとジエン系モノマーの複数のブロック共重合で形成された交代型マイクロブロック構造であり、ジエン系構造の中で1,2−構造の含有量が10〜40%、スチレン−ブタジエン共重合体の分子構造式は、−(PS−PB−或いは(−(PS−PBRであり、前者は線形構造であるが、後者は複数アーム星形構造であり、ここで、PSはスチレン系ポリマーであり、PBはブタジエン系ポリマーであり、Rは星形構造の“核”であり、Xは1〜300の範囲の正整数、Yは1〜2000の範囲の正整数、nは10〜3000の範囲の正整数、Mは3〜20の範囲の正整数であり、このスチレン−ブタジエン共重合体中、スチレン系モノマーの重量パーセント含有量は5〜80%で、共重合体の分子量は40000〜 500000である。
【0008】
上述のゴム組成物において、その流動性改質剤は、エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体重の少なくとも一つから選ばれ得る。
【0009】
上述のゴム組成物において、その再生材料は、再生ゴム、PE再生材料、EVA再生材料、PP再生材料の少なくとも一つから選ばれ得る。
【0010】
上述のゴム組成物において、その軟化油は、ナプテンオイル、パラフィンオイル、アロマオイルの少なくとも一つから選ばれ得る。
【0011】
上述のゴム組成物において、その加硫剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ジ−ターシャリ−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドから選ばれ得る。
【0012】
上述のゴム組成物は、さらに、加硫促進剤、エイジング防止剤、離型剤、補強剤、難燃剤、増粘剤、粘着防止剤で構成される以下の群の一つ以上から選択される処理剤を含む。
【0013】
本発明は、前記のようなゴム組成物を含むゴム製品を提供することである。
【0014】
本発明はさらに、前記のようなゴム組成物で作られた架橋可能ゴム粒を提供する。
【0015】
前記のようなゴム粒は、射出成形や押出成形に好適である。このゴム粒は、80℃未満の温度で架橋しない。
【0016】
前記のような架橋可能ゴム粒を調製する工程は、次のような3つの工程から選択される:
【0017】
ゴム粒を調製する第1の方法:まず、密閉型混合機に、スチレン−ブタジェン共重合体と、流動性改質剤と、再生材料と、軟化油とを一定の配合割合で同時に投入し、10〜30分間密閉混合する;次に、加硫剤を添加し、60〜120℃の範囲の密閉式混合機の温度で3〜10分間混合する;密閉混合の後、ゴム原料は開放式混合機によって混合され、2〜20回、薄通しゴムシートが製造される。最後に、押出機によって、ゴム原料を60〜110℃の押出機温度において、押出機で押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングまたは水リングペレタイジングによって粒を得る。
【0018】
ゴム粒を調製する第2の方法:まず、密閉型混練機に、流動性改質と軟化油を一定の配合割合で投入し、5〜15分間混合する;次に、スチレン−ブタジェン共重合体と、再生材料とを投入して、約5〜15分間混合する;その後、加硫剤を投入して、3〜10分間混合する;密閉型混合機の温度を60〜120℃の範囲とし、密練したゴム材料を開放式混練機によって混合した後、2〜20回の薄通を経てシートを製造する。最後に、押出機によって、ゴム原料を60〜110℃の押出機温度において、押出機で押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングまたは水リングペレタイジングによって粒を得る。
【0019】
ゴムペレットの第3の製造方法:まず、密閉型混合機に、スチレン−ブタジェン共重合体と、フローアビリティと、再生材料と、軟化油と一定の配合割合で投入して、100〜160℃の範囲の温度で8〜30分間混合する;密閉混合の後、ゴム原料は開放式混合機によって混合され、加硫剤が添加され、10〜30回の薄通を経てシートが製造される。最後に、押出機によって、ゴム原料を60〜110℃の押出機温度において、押出機で押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングまたは水リングペレタイジングによって粒を得る。
【0020】
製造工程において、異なる製品によって要求されるように、各種添加剤を添加することができる、例えば、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、発泡剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、増粘剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、重合防止剤、金属酸化物、トリエタノールアミン(Triethanolamine)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサントリオール(Hexanetriol)等の活性剤などの加工助剤を添加する。これらのゴム助剤は、予期される使用に特に依存する、通常配合量で用いられる。通常配合量は、ゴムの量に対して、0.1重量%〜50重量%である。
【0021】
本発明は、上述のように射出成形によってゴム粒から製造されるゴム製品をさらに提供する。
【0022】
前記ゴム製品は、射出成形方法の手段により製造されたものである。
【0023】
前記のゴム製品は、靴底である。
【発明の効果】
【0024】
上述のような技術的解決法を採用することによって、本発明は、少なくとも以下の利点と有益な効果を持って来る。
1.本発明のゴム組成物及びゴム粒は、スチレン−ブタジエン共重合体であり、その分子鎖構造は混合されたアクタチックおよびブロックセグメントであり、この共重合体の分子量が低く、材料は良好な流動性を持ち、同時に、部分的なブロック構造を持つことで、低分子量の条件の下で良好な機械特性を持ち得て、マイクロブロック構造は、硫化の均一性に影響を与えることなく、少量の加硫剤であっても、材料に良好な力学的特性を持たせることができる。したがって、材料は半硫化状態で、脱硫が容易とともに、再利用できることになる。
【0025】
2.本発明のゴム組成物とゴム粒は、過酸化物加硫剤を使用し、硫化後に、その硫化速度を簡単にコントロールすることができ、硫化を均一に進行させることができるだけでなく、ゴム粒は140℃の温度の下で自己硫化が発生しないため、室温下で長く保存されることができ、低温で保存する必要はない。
【0026】
3.本発明のゴム組成物、ゴム粒に再生材料を添加することで、効果的にコストを低減することができる。同時に、再生材料は半脱硫状態であり、ゴムと混合した後、再生材料は、微小なゴム粒の形態で存在するため、ゴムを増強しつつ柔軟性を確保する効果をもたらすことができる。
【0027】
前記の説明は、単に、本発明の技術的な内容を明確に了解することを目的とした、本発明の技術解決法の要点であり、前記の説明は、本明細書の内容に基づいて実施することができる。同時に、本発明の前記および他の目的、特徴および有益な点をさらに明確にするために、好ましい実施例を挙げ、図面を参考して、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
(記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、発明目的を達する技術的手段及び発明の効果を、より明確に説明するために、図面および好ましい実施例を組み合わせて、以下に述べる。以下に本発明の架橋可能(架橋型)ゴム組成物と、その目的と、それより製造されたゴム粒(ラバーグレイン)と、ゴム粒を調製し射出成形する方法を、特定の実施形態と、工程と、特徴と、効果に関する好適な実施形態について詳細に説明する。
【0030】
本発明の第1の架橋可能ゴム組成物は、以下の成分を含んでいる。すなわち、スチレン−ブタジエン共重合体40〜70重量部、流動性改質剤10〜30重量部、軟化油10〜50重量部、および0.1〜1重量部の加硫剤を含む。
【0031】
本発明の第2の架橋可能ゴム組成物は、以下の成分を含んでいる。すなわち、スチレン−ブタジェン共重合体40〜70重量部、流動性改質剤10〜30重量部、軟化油10〜50重量部、0.1〜1重量部の加硫剤、および補助フィラー1〜30重量部を含む。
【0032】
以下、前記の構成要素について更に詳細に説明する。
【0033】
上述のゴム組成物において、スチレン−ブタジエン共重合体の分子構造は、線形構造或いは複数アーム星形分子構造であり、分子鎖の構造は、スチレン系のモノマーとジエン系モノマーの完全なアタクチック共重合体の構造である、あるいは、スチレン系モノマーとジエン系モノマーの複数のブロック共重合で形成された交代型マイクロブロック構造であり、ジエン系構造の中で1,2−構造の含有量が10〜40%、スチレン−ブタジエン共重合体の分子構造式は、−(PS−PB)n−或いは(−(PS−PBRであり、前者は線形構造であるが、後者は複数アーム星形構造であり、ここで、PSはスチレン系ポリマーであり、PBはブタジエン系ポリマーであり、Rは星形構造の“核”であり、Xは1〜300の範囲の正整数、Yは1〜2000の範囲の正整数、nは10〜3000の範囲の正整数、Mは3〜20の範囲の正整数であり、このスチレン−ブタジエン共重合体中、スチレン系モノマーの重量パーセント含有量は5〜80%で、共重合体の分子量は40000〜 500000である。
【0034】
上述の流動性改質剤は、エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体重の少なくとも一つから選ばれ得る。
【0035】
上述のゴム用の軟化油は、ナプテンオイル、パラフィンオイル、アロマオイルの中から選ばれ得る。
【0036】
上述の加硫剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ジ−ターシャリ−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドからなる群の一つから選ばれ得る。
【0037】
上述の補助フィラーは、再生ゴム、PE再生材料、EVA再生材料、PPの再生料などの再生材料であることが好ましい。補助フィラーは、天然ゴムや合成ゴム、低密度ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、およびポリプロピレン(PP)であってもよい。
【0038】
また、予定用途に基づいて、本発明の架橋可能組成物は、本発明の目的に反しない限り、公知の補助剤を加えることができる。
【0039】
本発明において、補助剤は、例として、加硫促進剤、老化防止剤、離型剤、ゴム補強剤、紫外線防止剤、難燃剤、増粘剤、粘度防止剤、架橋剤、着色剤、分散剤、酸化防止剤、導電性材料などがゴム工業分野で知られている。前記の補助剤は、特に予定用途に依存する通常配合量で用いられる。通常配合量は、ゴムの量に対して、0.1重量%〜50重量%である
【0040】
本発明において、ゴム増強剤は、例えば引張強さ、破断強度、耐摩耗性など、架橋型ゴムの物理性能を増強するために用いられる。ゴム増強剤の例として、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FTおよびMTなどのカーボンブラックを挙げることができ、カーボンブラックはシランカップリング剤、ケイ酸の粉末、およびシリカなどで表面処理がされてもよい。シリカの例は、熱分解性のシリカや沈降性シリカを含む。
【0041】
本発明の架橋可能組成物は、家庭用ゴム製品、産業用ゴム製品、医療用ゴム製品の製造に使用される。
【0042】
家庭用ゴム製品は、例えば、レインコート、靴や手袋などを挙げることができる。
【0043】
産業用ゴム製品は、例えば、自動車用防振ゴム、鉄道用防振ゴム、産業用機器防振ゴム、建物用防振ゴムを挙げることが出来る。自動車用防振ゴムでは、エンジンのゴム絶縁パッド、ダンパープーリー、キャブレター装着パッド、ねじり振動ダンパー、ストラット装着パッド、ゴムブッシュ、ゴム製緩衝装置、補助ゴム、スプリング部品、緩衝装置、空気ばね、ボディ装着パッド、バンパーガード、マフラーブラケット、ゴムカップリング、クラッチのゴム製パッド、サイレンサー装着パッド、スライドバルブブッシュ、ストラットバークッション、ブレーキ、ハンドブレーキ、ラジエーターサポート、マフラーブラケットを含む。鉄道用防振ゴムは、たとえば、道路のマット、バラストパッド、レールパッドを含む。産業用機器防振ゴムは、たとえば、フレキシブルコネクタ、ブッシングまたはインストールパッドを含む。
【0044】
産業用製品は、例えば、自動車ドアシーリングストリップ、バックドアシーリングストリップ、トランクシーリングストリップ、屋根のサイドシーリングストリップ、スライディングドアシーリングストリップ、ダクトシーリングストリップ、スライド丸型パネルシールストリップ、フロントウィンドウシーリングストリップ、リアウィンドウシーリングストリップ、クォータウィンドウシーリングストリップ、ピラーシーリングストリップ、外側ドアガラスシーリングストリップ、内側ドアガラスシーリングストリップ、ウィンドウシールド、ガラススライディングトラック、外側リアビューミラーサポート、クローズドヘッドライト、およびクローズドフロントアッパーパネルなどの自動車シーリングストリップを含む。
【0045】
産業用ゴム製品は、液体ホースとガスホースを含むゴム製のホースを例示することができる。
【0046】
医療用ゴム製品は、例として、針チューブ、フレキシブルチューブ、および輸血管等を挙げることが出来る。
【0047】
本発明の架橋型ゴムペレットは、上述のようなゴム組成物で製造され、射出成形や押出成形に好適であり、140℃より低い温度で架橋が発生しない。
【0048】
以下の実施例を通じて本発明を詳しく説明する。
【0049】
実施例1:
ゴム粒を調製する第1の方法:
ゴム粒は、以下の含有量(重量部)にしたがう下記の組成物を用いて調製される。
スチレン−ブタジェン共重合体 70部
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体 10部
ナプテンオイル 19.9部
ジクミルペルオキシド 0.1部
【0050】
調製ステップは、まず、上述の比のスチレン−ブタジェン共重合体とスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体と、ナプテンオイルとを同時に温度が100℃である密閉型混合機に投入して10分間密閉混合し、ジクミルペルオキシドを投入して3分間混合する。次に、混合したゴムを、開放型混合機によって混合し、2回薄通し、最後に70℃の押出機温度において、押出機でゴム原料を押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングによってゴム粒を得る。
【0051】
実施例2
ゴム粒を調製する第2の方法:
ゴム粒は、以下の含有量(重量部)にしたがう下記の組成物を用いて調製される。
スチレン−ブタジェン共重合体 40部
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体 20部
再生ゴム 20部
アロマオイル 19.5部
ジクミルペルオキシド 0.5部
【0052】
調製ステップは、まず、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、アロマオイルを、温度が80℃である密閉型混合機に投入して5分間密閉混合する。その後、スチレン−ブタジエン共重合体、再生ゴムを投入して10分間混合してから、ジクミルペルオキシドを投入して5分間混合する。次に、混合したゴムを、開放型混合機によって混合し、5回薄通し、最後に、60℃の押出機温度において、押出機によってゴム原料を押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングによってゴム粒を得る。
【0053】
実施例3
ゴム粒を調製する第3の方法:
ゴム粒は、以下の含有量(重量部)にしたがう下記の組成物を用いて調製される。
スチレン−ブタジェン共重合体 60部
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体 10部
再生ポリプロピレン 10部
ナプテンオイル 19部
ジクミルペルオキシド 0.1部
【0054】
調製ステップは、まず、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、再生ポリプロピレン、ナプテンオイルウル同時に温度が160℃である密閉型混合機に投入して20分間混合する。次に、密閉混合後のゴム材料を開放型混合機によって混合し、20回薄通し、最後に、110℃の押出機温度において、押出機によってゴム原料を押し出してぺレット化し、水リングペレタイジングによって粒を得る。
【0055】
実施例4:
ゴム粒を調製する第4の方法:
スチレン−ブタジェン共重合体 55部
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体 15部
ナプテンオイル 29.7部
ジクミルペルオキシド 0.1部
【0056】
調製ステップは、まず、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ナプテンオイルを同時に温度が100℃である密閉型混合機に投入して10分間混練し、ジクミルペルオキシドを入れて3分間混合する。次に、密閉混合後のゴム材料を開放型混合機によって混合し、10回薄通し、最後に、70℃の押出機温度において、押出機によってゴム材料を押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングによって粒を得る。
【0057】
実施例5:
ゴム粒を調製する第4の方法:
スチレン−ブタジェン共重合体 40部
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体 9.5部
ナプテンオイル 50部
ジクミルペルオキシド 0.5部
調製ステップは、まず、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ナプテンオイルを同時に温度が100℃である密閉型混合機に投入して10分間混合し、ジクミルペルオキシドを投入して3分間混合する。密閉混合後のゴム材料を開放型混合機によって混合し、10回薄通し、最後に、70℃の押出機温度において、押出機によってゴム材料を押し出してぺレット化し、空気リングペレタイジングによって粒を得る。
【0058】
前記各実施例の製造工程において、異なる製品の特性要求に基づいて各種補助剤、例えば加硫促進剤、エイジング防止剤、離型剤、補強剤、難燃剤、増粘剤、粘度剤を添加することができる。
【0059】
ゴム製品の性能試験
前記の各実施例から製造されたゴム粒を射出成形機を介して射出成形してシートを製造する。射出成形は、加熱装置を持っており、金型の温度を100〜200℃の範囲内に維持させる。試験結果は、以下の通りである。
【表1】

【0060】
前記の測定値から、全てのゴム粒の溶融指数は10g/10minを超え、粒子の流動性は、射出成形の要求を完全に満たすことが分かる。すべての材料は、非常に高い破断伸び率を示し、硫化後のゴムは、優れた靭性を現わし圧縮永久ひずみが小さく、ゴムの伸縮特性と高弾性と高靭性を示し、一定の強さを持つため、これらの材料は、ゴム材料の要求を完全に満足する。
【0061】
本発明の架橋型ゴム粒は、35℃の温度で長期間保存することができ、低温貯蔵する必要がない。
【0062】
本発明はさらに、上述のようにゴム粒を射出成形する方法を提供する。
【0063】
第1の射出成形方法は、下記の工程を含んでいる。すなわち、前記ゴム粒を50℃から120℃の温度、50MPa〜130MPaの圧力下で加熱加圧して、ゴム原料が乱流状態になるようにする。乱流状態のゴム原料を成形キャビディに射出し、成形キャビディ内の乱流状態のゴム原料は140℃から190℃の硫化温度で、10分を超えない硫化時間で硫化することを含む。。
【0064】
第2の射出成形方法は、下記の工程を含んでいる。すなわち、配合比率の異なる3つのゴム粒をそれぞれ、50℃から120℃の温度、50MPa〜130MPaの圧力下で加熱加圧して、配合比率の異なる三つの乱流状態のゴム原料にする。異なる配合割合の三つの乱流状態のゴム原料を互いに連通されていない成形キャビディにそれぞれ注入し、硫化温度が140℃から190℃で、硫化時間は0秒から120で初期硫化工程が実行される。そして,三つの成形キャビディの中の中間のモールドボードを除外して、この中間モールドボードの両側に位置する他の二個のモールドボードは合わされて、三つの成形キャビディ中の二つの成形キャビディが互いに連通され、完備した成形キャビディを形成する;完備した成形キャビディ内の乱流状態ゴム材料を140℃から190℃の硫化温度で、100秒から360秒の硫化時間で硫化する。
【0065】
前記の射出成形方法はそれぞれ、1種類あるいは3種類のゴム粒に対して設計されている。本技術分野の通常の技術知識を持っている当業者にとっては、異なる配合比率の2種類のゴムペレットの射出成形方法は容易に考え出すことができる。この射出成形方法は、第2の射出成形方法と似ており、両者の差異は、二つのゴム粒を使用することと対応した金型が2つの成形キャビディだけを持つことのみである。
【0066】
上述の配合比率は、黒いゴム粒、青いゴム粒、赤いゴム粒などの着色量が異なっていても良い。また色は、黄色、緑色、白色、紫色、など他の色であっても良い。
【0067】
上述の第2の射出成形方法は、多数のカラーの製品を一体成形することに用いることができる。
【0068】
本発明の架橋型ゴム粒はゴム製品の調製に使用され得る。以下の実施例を通じてさらなる説明を行う。
【0069】
成形ゴム製品の実施例5
まず,実施例3に基づいてゴム粒を調製する;
そして,第1の射出成形方法により靴底を製造する;
その靴底で性能試験を行い、その結果を表2に示す。
【表2】

【0070】
上述の試験データから、本発明のゴム粒で製造した靴底は、従来の材料で製造した靴底より高い破断伸び率、引き裂き強度、引張り強度と同時に、優れたスリップ防止特性と優れた耐熱性を有している。本発明のゴム組成物及びゴム粒は、使用要求を満足する。
【0071】
前記に記述したように、ただし、本発明の好ましい実施例に属し、本発明に対する制限ではなく、本発明の好ましい実施例は、前記のように説明したものばかりで、本発明を制限するものではない。本発明の技術分野で通常的な技術を持った当業者にとって、本発明の技術方案を超えない限り、前記技術内容を改変あるいは修正を通じて同一な変化の同等効果を達成するための実施例は、本発明の技術方案の内容を超えない限り、本発明の技術主旨が前記実施例に対する修正、同一変化はやはり本発明技術方案の範囲に属する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンーブタジエン共重合体40〜70重量部と、ゴムに使用される軟化油10〜50重量部と、流動性改質剤10〜30重量部と、0.1〜1重量部の過酸化物加硫剤とを含むことを特徴とする架橋可能ゴム組成物。
【請求項2】
1〜30重量部の再生材料を更に含み、前記再生材料は、再生ゴム、PE再生材料、EVA再生材料、PP再生材料の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
スチレン−ブタジエン共重合体は、線形構造或いは複数アーム星形分子構造であり、分子鎖の構造は、スチレン系のモノマーとジエン系モノマーの完全なアタクチック共重合体の構造である、あるいは、スチレン系モノマーとジエン系モノマーの複数のブロック共重合で形成された交代型マイクロブロック構造であり、ジエン系構造の中で1,2−構造の含有量が10〜40%、スチレン−ブタジエン共重合体の分子構造式は、−(PS−PB−或いは(−(PS−PBRであり、前者は線形構造であるが、後者は複数アーム星形構造であり、ここで、PSはスチレン系ポリマーであり、PBはブタジエン系ポリマーであり、Rは星形構造の“核”であり、Xは1〜300の範囲の正整数、Yは1〜2000の範囲の正整数、nは10〜3000の範囲の正整数、Mは3〜20の範囲の正整数であり、このスチレン−ブタジエン共重合体中、スチレン系モノマーの重量パーセント含有量は5〜80%で、共重合体の分子量は40000〜500000であることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
流動性改質剤は、エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体重の少なくとも一つから選ばれ得ることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記のゴムに使用される軟化油は、ナプテンオイル、パラフィンオイル、アロマオイルの少なくとも一つから選ばれ得ることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記加硫剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、ジ−ターシャリ−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドからなる群から選ばれ得ることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項7】
補助剤を更に含むことを特徴とする請求項1乃至6に記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記補助剤は、加硫促進剤、エイジング防止剤、離型剤、補強剤、難燃剤、増粘剤、粘着防止剤で構成される以下の群の一つ以上から選択されることを特徴とするゴム組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかのゴム組成物から製造されたことを特徴とするゴム製品。
【請求項10】
前記ゴム製品は、レインコート、靴や手袋であることを特徴とする請求項9に記載のゴム製品。
【請求項11】
前記ゴム製品は、自動車用防振ゴム、鉄道防振ゴム、産業用機器防振ゴム、建物用耐震ゴムであることを特徴とする請求項9に記載のゴム製品。
【請求項12】
前記自動車用防振ゴムでは、エンジンのゴム絶縁パッド、ダンパープーリー、キャブレター装着パッド、ねじり振動ダンパー、ストラット装着パッド、ゴムブッシュ、ゴム製緩衝装置、補助ゴム、スプリング部品、緩衝装置、空気ばね、ボディ装着パッド、バンパーガード、マフラーブラケット、ゴムカップリング、クラッチのゴム製パッド、サイレンサー装着パッド、スライドバルブブッシュ、ストラットバークッション、ブレーキ、ハンドブレーキ、ラジエーターサポート、マフラーブラケットであることを特徴とする請求11に記載のゴム製品。
【請求項13】
前記鉄道用防振ゴムは、道路のマット、バラストパッド、レールパッドであることを特徴とする請求11に記載のゴム製品。
【請求項14】
前記産業用機器防振ゴムでは、フレキシブルコネクタ、フレキシブルコネクタ、ブッシングまたはインストールパッドであることを特徴とする請求11に記載のゴム製品。
【請求項15】
前記ゴム製品は、自動車シーリングストリップであることを特徴とする請求項9に記載のゴム製品。
【請求項16】
前記自動車シーリングストリップは、自動車ドアシーリングストリップ、バックドアシーリングストリップ、トランクシーリングストリップ、屋根のサイドシーリングストリップ、スライディングドアシーリングストリップ、ダクトシーリングストリップ、スライド丸型パネルシールストリップ、フロントウィンドウシーリングストリップ、リアウィンドウシーリングストリップ、クォータウィンドウシーリングストリップ、ピラーシーリングストリップ、外側ドアガラスシーリングストリップ、内側ドアガラスシーリングストリップ、ウィンドウシールド、ガラススライディングトラック、外側リアビューミラーサポート、クローズドヘッドライト、およびクローズドフロントアッパーパネルであることを特徴とする請求項15に記載のゴム製品。
【請求項17】
前記ゴム製品は、医療器械であることを特徴とする請求項9に記載のゴム製品。
【請求項18】
請求項1乃至8に記載のゴム組成物を含む架橋型ゴム粒。
【請求項19】
射出成形或いは押出成形に適している請求項18に記載のゴム粒。
【請求項20】
前記ゴム粒は、80℃より低い温度で架橋が発生しないことを特徴とする請求項18に記載のゴム粒。
【請求項21】
請求項18に記載のゴムペレットの製造方法であって、、
一定の配合割合で組成されたスチレン−ブタジェン共重合体、流動性改質剤、再生材料、軟化油を同時に温度が60〜120℃の密閉型混合機に入れて、10〜30分間混合する工程;
加硫剤を添加して、3〜10分間混合する工程;
混合後のゴム材料を開放式混合機を利用して混合する工程;
2〜20回の薄通によってゴムシート製造する工程;
温度が60〜110℃である押出機を介してゴム材料を押し出してぺレットを製造する工程;
空気リングペレタイジングまたは水リングペレタイジングによって粒を得る工程、
を含む方法。
【請求項22】
請求項18に記載のゴム粒の製造方法であって、
所定の配合割合で組成された流動性改質剤、軟化油を、温度が60〜120℃の密閉型混合機に入れて、5〜15分間混合する工程;
スチレン−ブタジェン共重合体、再生材料を添加して、約5〜15分間混合する工程;
加硫剤添加して、3〜10分間混合する工程;
混合後のゴム材料を開放式混合機によって混合する工程;
2〜20回の薄通によってゴムシートを製造する工程;
温度は60〜110℃である押出機を介してゴム原料を押し出してぺレットを製造する工程;
空気リングペレタイジングまたは水リングペレタイジングによって粒を得る工程、
を含む方法。
【請求項23】
請求項18に記載のゴムペレットの製造方法であって、
一定の配合割合で組成されたスチレン−ブタジェン共重合体、流動性改質剤、再生材料、軟化油を同時に温度が100〜160℃である密閉型混合機に入れて8〜30分間混合する工程;
混合後のゴム原料を開放式混合機によってゴムペレットを製造する工程;
加硫剤を添加し、10〜30回の薄通する工程;
温度が60〜110℃である押出機を介してゴム原料を押し出してシートを製造する工程;
空気リングペレタイジングまたは水リングペレタイジングによって粒を得る工程、
を含む方法。
【請求項24】
請求項18に記載のゴム粒の射出形成方法であって、
50℃から120℃の温度、50MPa〜130MPaの圧力下で加熱加圧して、ゴム原料が乱流状態になるようにする工程;
乱流状態のゴム原料を成形キャビディに射出する工程;
成形キャビディ内の乱流状態のゴム原料は140℃から190℃の硫化温度で、10分を超えない硫化時間で硫化する工程、
を含む方法。
【請求項25】
請求項18に記載のゴム粒の射出形成方法であって、
配合比率の異なる3つのゴム粒をそれぞれ、50℃から120℃の温度、50MPa〜130MPaの圧力下で加熱加圧して、配合比率の異なる三つの乱流状態のゴム原料にする工程;
異なる配合割合の三つの乱流状態のゴム原料を互いに連通されていない成形キャビディにそれぞれ注入する工程;
三つの成形キャビディの中の中間のモールドボードを除外して、この中間モールドボードの両側に位置する他の二個のモールドボードは合わされて、三つの成形キャビディ中の二つの成形キャビディが互いに連通され、完備した成形キャビディを形成する工程;
完備した成形キャビディ内の乱流状態ゴム材料を140℃から190℃の硫化温度で、100秒から360秒の硫化時間で硫化する工程、
を含む方法。
【請求項26】
請求項9に記載のゴムペレットを射出形成することを特徴とするゴム製品。
【請求項27】
請求項24に記載の射出方法により製造されることを特徴とする請求項26に記載のゴム製品。
【請求項28】
請求項25に記載の射出方法により製造されることを特徴とする請求項26に記載のゴム製品。
【請求項29】
前記ゴム模製品が靴底であることを特徴とする請求項26乃至28に記載のゴム製品。

【公表番号】特表2012−519762(P2012−519762A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553245(P2011−553245)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000850
【国際公開番号】WO2010/102432
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511218459)上海杜▲爾▼邦泰富▲実▼業有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI DRB&TAFU INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Building 2,No.1132 Maoting Road,Songjiang Industrial Park,Songjiang District,Shanghai 201600,People’s Republic of China
【Fターム(参考)】