説明

染毛剤組成物

【課題】染料の分解を起こすことなく毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対して優れた堅牢性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料を含有する染毛剤組成物。


[式中、A及びBは、それぞれ置換基を有してもよい単環若しくは二環の芳香族複素環基又は置換基を有してもよい単環若しくは二環のアリール基であって、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基を含まず、−N=N−NH−で表されるトリアゼン-1,3-ジイル基にA及びB中の炭素原子を介して結合する基を示す。A及びBは同一でも異なってもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解離性直接染料を含有する染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤組成物の代表例としては、アルカリ剤、酸化染料及び任意的にニトロ染料等の直接染料を含む第一剤と酸化剤を含む第二剤とからなる2剤式の永久染毛剤や、有機酸又はアルカリ剤、並びに酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料等の直接染料の少なくとも一種を含む1剤式の半永久染毛剤を挙げることができる。
【0003】
永久染毛剤は、酸化染料によって付与される色調がそれほど鮮やかでないという欠点があり、直接染料と酸化染料とを併用して鮮やかな色を得ようとする試みが一般に行われているが、直接染料のなかでもニトロ染料は、染めた毛髪の褪色が著しく、染毛直後は色調が非常に鮮やかでも急速にその鮮やかさがなくなるという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、酸化染料と併用し得る直接染料としては、染毛プロセス時に過酸化物に対して安定であることが要求される点で、その範囲は限られている。
【0005】
また、永久染毛剤や半永久染毛剤に用いられる様々な酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料は、いずれの場合においても、洗浄や光によって毛髪上の直接染料が失われることで褪色が急速に進み、これは損傷を受けた毛髪において著しい。
【0006】
そこで光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する耐性(堅牢性)の問題を解決する方法の一つとして、解離性プロトンを有する直接染料を用いる染毛剤が提案されている(特許文献2)。この解離性プロトンはフェノール性水酸基に由来しており、プロトンの解離により生じるアニオン種が堅牢性をもたらすとされている。しかし、フェノール性水酸基の解離しうる条件には一定の制約があるため、染毛剤組成物においてもこの制約を受け続けるという問題がある。解離性条件がフェノール性水酸基とは異なるトリアゼン-1,3-ジイル基を有するトリアゼン化合物を併用すれば、このような制約を回避できるが、現在知られているトリアゼン化合物を用いる染毛剤ではこの解離性が全く考慮されておらず、堅牢性に優れた染毛剤とはなっていない(特許文献3)。またこの技術提案は、トリアゼン化合物を直接染料として染毛剤に用いるものではなく、トリアゼン化合物と第2成分である水溶性カップリング成分とを毛髪へ適用した後、これらを反応させることによって生じる化合物を染料として用いる染毛方法を提供するものに過ぎない。
【0007】
【特許文献1】特開平6-271435号公報
【特許文献2】特開2006-182653号公報
【特許文献3】特表2006-511721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、染料の分解を起こすことなく毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対して優れた堅牢性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定のトリアゼン解離性直接染料を用いた染毛剤組成物が、上記要求を満たすものであることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料を含有する染毛剤組成物を提供するものである。
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、A及びBは、それぞれ置換基を有してもよい単環若しくは二環の芳香族複素環基又は置換基を有してもよい単環若しくは二環のアリール基であって、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基を含まず、−N=N−NH−で表されるトリアゼン-1,3-ジイル基にA及びB中の炭素原子を介して結合する基を示す。A及びBは同一でも異なってもよい。]
【0013】
また、本発明は、上記染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の染毛剤組成物は、染毛時に染料の分解を起こさずに、鮮やかな色を毛髪に堅固に付与することができ、光や洗浄、汗、摩擦、熱に対して優れた堅牢性を示し、時間経過に伴う褪色が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
一般式(1)中、A及びBにおける単環又は二環の芳香族複素環基としては、環内に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を一種以上含むものが好ましい。単環の芳香族複素環基としては、5員環基が好ましい。二環の芳香族複素環基としては、5又は6員環と、5又は6員環とが縮合した基が好ましい。芳香族複素環基における炭素原子の数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10である。
【0016】
単環又は二環のアリール基としては、単環の6員のアリール基、単環の6員のアリール基に別の環が縮合してなる二環のアリール基が好ましい。ここで別の環としては、5員環又は6員環が好ましい。アリール基における炭素原子の数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12である。
【0017】
芳香族複素環基及びアリール基が有してもよい置換基は、2以上であってもよく、2以上の置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基は、隣接する基が互いに結合して飽和又は不飽和の5員又は6員環構造を形成してもよい。こうして形成される環構造は複素環でも炭素環でもよく、また、飽和環でも不飽和環でもよい。形成される環構造の炭素原子とヘテロ原子との総数は好ましくは3〜6であり、より好ましくは5又は6である。
【0018】
芳香族複素環基及びアリール基が有してもよい置換基としては、例えば、
・ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)
・水酸基
・アミノ基
・メルカプト基
・アルキル基(1〜15個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)
・アルケニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、シクロペンテン-1-イル基)
・アルキニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)
・アリール基(6〜16個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリール基、例えば、フェニル基、p-トリル基、ナフチル基)
・複素環基(5員環又は6員環の芳香族又は非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除くことによって得られる、1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する一価の基、例えば1-ピラゾリル基、1-イミダゾリル基、2-フリル基、2-チエニル基、4-ピリミジニル基、2-ピリジル基、2-ベンゾチアゾリル基)
・ニトロ基
・シアノ基
・カルバモイル基
・スルファモイル基
・アシル基(ホルミル基、2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアシルアルキルカルボニル基、或いは7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基)
・アルコキシカルボニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基)
・アリールオキシカルボニル基(7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基)
・複素環オキシカルボニル基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環オキシカルボニル基、例えば、1-ピラゾリルオキシカルボニル基、1-イミダゾリルオキシカルボニル基、2-フリルオキシカルボニル基、2-チエニルオキシカルボニル基、2−テトラヒドロフリルオキシカルボニル基、2-モルホリルオキシカルボニル基)
・イミド基(2〜10個、好ましくは4〜8個の炭素原子を有するイミド基、例えば、N-スクシンイミド基、N-フタルイミド基)
・アルキルスルフィニル基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基)
・アリールスルフィニル基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルフィニル基、例えば、フェニルスルフィニル基)
・アルキルスルホニル基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)
・アリールスルホニル基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルホニル基、例えば、フェニルスルホニル基)
・複素環スルホニル基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環スルホニル基、例えば、2-テトラヒドロピラニルスルホニル基)
・ホスフィノ基(2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基)
・ホスフィニル基(2〜12個炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)
が挙げられる。
【0019】
また、これらの置換基がさらに1又は2以上の置換基を有する基も挙げることができる。その場合、置換する基としては、好ましくは、上で置換基として例示した基が挙げられる。ここで、2以上の置換基を有する場合、置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
このようなさらに置換基を有する置換基としては、例えば、
アルキル基又はアリール基に置換基がついたものとして、
・アラルキル基(7〜18個、好ましくは7〜12個の炭素原子を有するアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基)
・ハロアルキル基(1〜15個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基、例えば、クロロメチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモプロピル基、3-ブロモプロピル基)
・ハロアリール基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するハロアリール基、例えば、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3-フルオロフェニル基)
・ヒドロキシアルキル基(1〜15個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基、例えば、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基)
【0021】
水酸基に置換基がついたものとして、
・アルコキシ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、2-ブテン-1-イルオキシ基)
・アリールオキシ基(6〜12個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-t-ブチルフェノキシ基)
・シリルオキシ基(3〜10個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基)
・複素環オキシ基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環オキシ基、例えば1-フェニルテトラゾール-5-オキシ基、2-テトラヒドロピラニルオキシ基)
・アルキルスルホニルオキシ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキルスルホニルオキシ基、例えば、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基)
・アリールスルホニルオキシ基(6〜12個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリールスルホニルオキシ基、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)
・複素環スルホニルオキシ基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環スルホニルオキシ基、例えば、2-ピリジルスルホニルオキシ基)
・アシルオキシ基(1〜12個、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアシルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)
・カルバモイルオキシ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するカルバモイルオキシ基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基)
・アルコキシカルボニルオキシ基(2〜10個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基、n-オクチルオキシカルボニルオキシ基)
・アリールオキシカルボニルオキシ基(7〜12個、好ましくは7〜10個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p-メトキシフェノキシカルボニルオキシ基)
・ホスフィニルオキシ基(2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジブトキシホスフィニルオキシ基)
【0022】
アミノ基に置換基がついたものとして、
・アルキルアミノ基(1〜20個、好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シクロヘキシルメチルアミノ基)
・アリールアミノ基(6〜16個、好ましくは6〜12個の炭素原子を有するアリールアミノ基、例えば、アニリノ基、N-メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基)
・複素環アミノ基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環アミノ基、例えば、2-ピリジルアミノ基、ピラゾール-4-イルアミノ基、ベンゾイミダゾール-2-イルアミノ基、ベンゾチアゾール-2-イルアミノ基、ベンゾオキサゾール-2-イルアミノ基、2-オキサゾリルアミノ基、1,2,4-トリアゾール-3-イルアミノ基、1,2,4-チアジアゾール-2-イルアミノ基、1,3,4-チアジアゾール-2-イルアミノ基、1,2,4-オキサジアゾール-2-イルアミノ基、1,3,4-オキサジアゾール-2-イルアミノ基)
・アシルアミノ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ基、6〜18個、好ましくは6〜12個の炭素原子を有するアリールカルボニルアミノ基或いは2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環カルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ピリジン-4-カルボニルアミノ基、チオフェン-2-カルボニルアミノ基を含む)
・ウレイド基(1〜12個、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N-ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリン-4-イルカルボニルアミノ基)
・アルコキシカルボニルアミノ基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基)
・アリールオキシカルボニルアミノ基(7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)
・複素環オキシカルボニルアミノ基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環オキシカルボニルアミノ基、例えば、2-ピリジルオキシカルボニルアミノ基)
・スルファモイルアミノ基(0〜10個、好ましくは0〜6個の炭素原子を有するスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ基)
・アルキルスルホニルアミノ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n-ブチルスルホニルアミノ基)
・アリールスルホニルアミノ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルホニルアミノ基、例えば、フェニルスルホニルアミノ基)
・ホスフィニルアミノ基(2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)
【0023】
メルカプト基に置換基がついたものとして、
・アルキルチオ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)
・アリールチオ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基)
・複素環チオ基(2〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する複素環チオ基、例えば-2-ベンゾチアゾリルチオ基、1-フェニルテトラゾール-5-イルチオ基)
【0024】
カルバモイル基に置換基がついたものとして、
・アルキルカルバモイル基(2〜12個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するアルキルカルバモイル基、例えば、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基)
・スルファモイルカルバモイル基(1〜12個、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するスルファモイルカルバモイル基、例えば、N-(スルファモイル)カルバモイル基、N-(N',N'-ジメチルスルファモイル)カルバモイル基)
【0025】
スルファモイル基に置換基がついたものとして、
・アルキルスルファモイル基(1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルファモイル基、例えば、エチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N-シクロヘキシルスルファモイル基)
・アリールスルファモイル基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルファモイル基、例えば、フェニルスルファモイル基)
・カルバモイルスルファモイル基(1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するカルバモイルスルファモイル基、例えば、N-(カルバモイル)スルファモイル基)
【0026】
置換基に置換基がつき、そこに更に置換基がついたものとして、
・アルコキシアルキル基(1〜32個、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルコキシアルキル基、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、シクロヘキシルオキシプロピル基)
・アルコキシアリール基(7〜18個、好ましくは7〜12個の炭素原子を有するアルコキシアリール基、例えば、p-メトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基)
・ハロアルコキシアリール基(7〜18個、好ましくは7〜12個の炭素原子を有するハロアルコキシアリール基、例えば、2-クロロ-4-メトキシフェニル基、2,5-ジクロロ-4-メトキシフェニル基)
・ヒドロキシアルキルチオ基(1〜15個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルチオ基、例えば、ヒドロキシエチルチオ基、2-ヒドロキシプロピルチオ基)
・アルコキシカルボニルアミノ基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基、イソブトキシカルボニルアミノ基)
等が挙げられる。
【0027】
芳香族複素環基及びアリール基が有してもよい置換基の総炭素数は、1〜20、更には1〜8が好ましい。
【0028】
一般式(1)中のA及びBは、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基のいずれも含有せず、より好ましくはカルボキシ基、スルホ基、水酸基及び四級アンモニウム基のいずれも含有しない。なお、ここにいう上記カルボキシ基及びスルホ基には、これら酸型の基のほか、-COONa、-SO3Na等、中和型の基も含まれる。すなわち、本発明のトリアゼン解離性直接染料は、これら酸型及び中和型のカルボキシ基及びスルホ基、並びに四級アンモニウム基のいずれの基も含有しないものである。
【0029】
一般式(1)中のA及びBで表される基は、ジアゾ成分から誘導されるものが好ましい。ここでジアゾ成分とは、アミノ基を置換基として有する複素環化合物又は芳香族炭化水素化合物をジアゾ化合物に変換して、カプラーとジアゾカップリング反応させて導入できる部分構造のことであり、アゾ色素の分野では頻繁に使用される概念である。言い換えれば、A及びBで表される基は、ジアゾ化反応が可能であるアミノ置換されたヘテロ環化合物又は炭素芳香族化合物において、アミノ基を取り去った一価の基であるのが好ましい。
【0030】
一般式(1)中、A及びBで表される基としては、以下の一般式(AB-1)〜(AB-32)で表される芳香族複素環基が挙げられる。以下の一般式中、記号*は、一般式(1)においてA及びBがトリアゼン-1,3-ジイル基−N=N−NH−に結合する位置を示し、記号*に続く−は、トリアゼン-1,3-ジイル基と結合して生じる予定の仮想的結合であり、m及びnはそれぞれ0〜4の整数を示し、lは0〜5の整数を示し、R11〜R69は、水素原子又はA及びBの置換基として例示した基が挙げられ、隣接する基が互いに結合して飽和又は不飽和の5員又は6員環構造を形成してもよい。同一の基の中のR11〜R69で表される2以上の基は、同一であっても互いに異なっていてもよい。
【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
A及びBで表される基としては、一般式(AB-2)、(AB-6)、(AB-7)、(AB-21)、(AB-26)、(AB-27)、(AB-28)又は(AB-29)で表される基が好ましく、なかでも一般式(AB-21)、(AB-26)、(AB-27)又は(AB-28)で表される基が好ましい。
【0034】
一般式(1)で表されるトリアゼン化合物は、例えば、ヨーロッパ特許出願公開第71901号明細書(1983)、米国特許第3431251号明細書(1969)、チェコスロバキア特許第181837号明細書(1978)、特公昭49−027332号公報、特公昭40−017587号公報、ドイツ特許第796294号明細書(1958)、Chemical & Pharmaceutical Bulletin, 30(12), 4402-6 (1982)(A=B=1,2,4-チアジアゾール類〔一般式(1)において、A及びBが1,2,4-チアジアゾール類であるもの(以下同様)〕)、Khimiko-Farmatsveticheskij Zhurnal, 14(9), 76-9 (1980)(A=B=イソオキサゾール類)、Magyar Kemiai Folyoirat, 84(10), 453-6 (1978)(A=B=クマリン類)、Journal of Heterocyclic Chemistry, 15(7), 1175-84 (1978)(A=B=ピラゾール類)、Chemische Berichte, 103(1), 112-22 (1970)(A=B=イソチアゾール類)、Chemische Berichte, 103(6), 1805-14 (1970)(A=B=1,2,4-チアジアゾ−ル類)、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenij, (3), 543-6 (1969)(A=B=イミダゾール類)、Justus Liebigs Annalen der Chemie, 665, 144-9 (1963)(A=B=トリアゾール類)、Chemische Berichte, 93, 963-74 (1960)(A=B=1,2,4-チアジアゾール類)、Helvetica Chimica Acta, 33, 1183-94 (1950)(A=B=ピラゾロン類)等にその記載がある。
【0035】
本発明の染毛剤組成物に用いられるトリアゼン解離性直接染料としては、染料の染色力の点で、−N=N−NH−で表されるトリアゼン-1,3-ジイル基中のN−HのpKa値が1.0〜9.0、更には2.0〜7.0、更には2.0〜5.0であるのが好ましい。また、本発明の染毛剤組成物のpH値が、上記のpKa値より大きいことが好ましい。この場合、以下で表される式で示すようにトリアゼン-1,3-ジイル基中のN−Hで解離が起こり、解離状態のトリアゼン直接染料が毛髪に堅固に色を付与することとなる。
【0036】
【化4】

【0037】
本発明の染毛剤組成物に用いられるトリアゼン解離性直接染料としては、一般式(1)中のA及びBが、環内に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を一種以上含み、置換基を有してもよい、同一の5員の芳香族複素環基であるものが好ましい。
【0038】
本発明の染毛剤組成物に用いられるトリアゼン解離性直接染料としては、以下の式で表されるトリアゼン解離性直接染料D-1〜D-51が好適である。
【0039】
【化5】

【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
トリアゼン解離性直接染料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は、本発明の染毛剤組成物の全組成中(2剤式又は3剤式の場合は各剤の混合後。以下同じ。)の0.0001〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜20質量%、更に好ましくは0.05〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0045】
本発明の染毛剤組成物に用いられるトリアゼン解離性直接染料は、通常の染毛剤組成物で用いられるpH2〜13の広い範囲で保存安定性に優れるため、本発明の染毛剤組成物のpHは、上記範囲内の任意の値とすることができるが、染色性の点から5以上が好ましい。また、本発明で用いられるトリアゼン解離性直接染料は、アルカリ剤に対する安定性が高いことから、本発明の染毛剤組成物は、高い染色性が得られるpH8〜13、更に好ましくはpH9〜12とすることができ、長期間の保存後においても解離性直接染料であるトリアゼン化合物が分解することなく、高い染色性が維持される。なお、染毛剤組成物が2剤式又は3剤式の場合には、pHは、各剤の混合後の混合物についての値をいう。
【0046】
〔その他の染料〕
本発明の染毛剤組成物には、他の直接染料や酸化染料を配合することができ、これにより、色調を変化させることができる。
【0047】
他の直接染料としては、酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、分散染料、カチオン染料等の公知の直接染料を用いることができる。直接染料としては、例えば、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、黄色403号の(1)、酸性橙3、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC赤3、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル) -2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、分散紫1、分散青1、分散黒9、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性黄76、塩基性黄57、塩基性橙31、塩基性赤51及び下記式で表されるシアニン構造を有するメチン型カチオン染料などが挙げられる。
【0048】
【化10】

【0049】
また、例えば、特開2002-275040号公報、特開2003-107222号公報、特開2003-107223号公報、特開2003-113055号公報、特開2004-107343号公報、特開2003-342139号公報、特開2004-155746号公報に記載されている直接染料も加えることができる。
【0050】
他の直接染料を併用する場合には、他の直接染料の合計含有量は、本発明の染毛剤組成
物の全組成中の0.001〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%、更に好ま
しくは0.05〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0051】
酸化染料を用いる場合、酸化染料単独では得られない、極めて鮮明で強い染色が可能となる。酸化染料としては、酸化型染毛剤に通常用いられる公知の1種以上のプレカーサー及び1種以上のカプラーを組み合わせて用いることができる。
【0052】
プレカーサーとしては、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトクロルパラフェニレンジアミン、N-フェニルパラフェニレンジアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、3-メチル-4-アミノフェノール、2-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、4-アミノ-メタクレゾール、オルトアミノフェノール及びこれらの塩等が挙げられる。
【0053】
カプラーとしては、例えば、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノオルトクレゾール、メタフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン及びこれらの塩等が挙げられる。
【0054】
プレカーサー及びカプラーは、それぞれ2種以上を併用してもよく、それらの含有量は、全組成中の合計で0.0005〜20質量%が好ましく、更には0.001〜19質量%、更には0.01〜15質量%、更には0.5〜10質量%が好ましい。
【0055】
本発明の染毛剤組成物には、更にインドール類、インドリン類等に代表される自動酸化型染料を加えることもできる。
【0056】
一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料、他の直接染料、酸化染料及び自動酸化型染料の全含有量は、全組成中の0.001〜20質量%、更には0.01〜20質量%、更には0.5〜15質量%が好ましい。
【0057】
〔その他の成分〕
本発明の染毛剤組成物が2剤式又は3剤式の場合には、第一剤は、アルカリ剤を含有する。アルカリ剤としては、アンモニア及びその塩;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩;1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、アンモニア、アルカノールアミン及びそれらの塩が好ましい。アンモウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムが好ましく、アルカノールアミン及びその塩としてはモノエタノールアミン及びその塩が好ましい。
【0058】
これらのアルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、また、その含有量は、十分な染毛・脱色効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、全組成物中の0.05〜15質量%、更には0.1〜10質量%、更には0.2〜5質量%が好ましい。
【0059】
一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料は、酸化剤に対してきわめて安定なので、酸化剤を混合した後に毛髪に適用することができる。換言すれば本発明の染毛剤組成物は、一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料を含有する第一剤と、酸化剤を含有する第二剤から構成される2剤式とすることができる。この場合、染色と脱色が同時に行われ、より鮮やかな染色が得られる。
【0060】
酸化剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性の点、及び一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が好ましい。また、過酸化水素と共に、酸化助剤として他の酸化剤を組み合わせて用いることもできる。このうち、過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0061】
酸化剤を用いる場合、酸化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は、全組成中の0.5〜30質量%が好ましく、更には1〜20質量%が好ましい。過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いる場合には、過酸化水素の含有量が全組成中の0.5〜10質量%であり、過硫酸塩の含有量が全組成中の0.5〜25質量%であり、両者の合計の含有量が1〜30質量%であるのが好ましい。
【0062】
本発明の染毛剤組成物を2剤式とする場合、一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料を含有する第一剤と、酸化剤を含有する第二剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲であるのが好ましい。
【0063】
アルカリ剤や酸化剤そのものの使用に代えて、アルカリ剤又は酸化剤を含有する公知の2剤式酸化型染毛剤や3剤式酸化型染毛剤を用いることもできる。具体的には、アルカリ剤を含有する第一剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)及び酸化剤を含有する第二剤から構成される公知の2剤式酸化型染毛剤;アルカリ剤を含有する第一剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)、酸化剤を含有する第二剤及び酸化助剤を含有する第三剤から構成される公知の3剤式酸化型染毛剤を用いることもできる。これらの2剤式酸化型染毛剤や3剤式酸化型染毛剤は、例えば、一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料を含有する1剤式染毛剤組成物の使用前又は使用中に組み合わせて用いることもできる。
【0064】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪への適用に好適なコンディショニング成分を含むことができる。コンディショニング成分は、通常は、染毛剤組成物に溶解又は分散可能なポリマー又はオイル類であり、リンス時又は水やシャンプーで希釈された時に毛髪へ付着する。
【0065】
コンディショニング成分を用いる場合、その配合量は、全組成中の0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0066】
本発明の染毛剤組成物に使用される好適なコンディショニング成分は、一般にカチオン性ポリマー、シリコーン類、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素オイル、ポリオレフィン、脂肪酸エステル)として特徴付けられるコンディショニング剤、及びこれらの組み合わせである。更には、これら以外に界面活性剤水溶液中に分散液体粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0067】
カチオン性ポリマーとは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれる。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にシャンプー時の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果及び剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましい。
【0068】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム-6、例えばマーコート100;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22、例えばマーコート280、同295;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸アミド共重合体(ポリクオタニウム-7、例えばマーコート550;Nalco社)等が挙げられる。
【0069】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体の具体例としては、ビニルピロリドン(VP)とメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11、例えばガフコート734、同755、同755N(以上、アイエスピー・ジャパン社))等が挙げられる。
【0070】
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム-10、例えばレオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(以上、Amerchol社))、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-4、例えばセルコートH-100、同L-200(以上、ナショナルスターチアンドケミカル社))等が挙げられる。
【0071】
カチオン性ポリマーは、2種以上を併用してもよい。また、カチオン性ポリマーは、含有量が多いほど効果が高くなるが、多すぎると安定性不良、剤単独での又は混合時の粘度低下を引き起こす。これらの点、及び感触向上の点から、カチオン性ポリマーの含有量は、全組成中の0.001〜20質量%が好ましく、更には0.01〜10質量%、更には0.05〜5質量%が好ましい。
【0072】
本発明の染毛剤組成物は、優れた使用感を付与するために、ポリシリコーン類を含有することが好ましい。ポリシリコーン類としては、ポリアルコキシシラン類、変性シリコーン類(例えば、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等)が挙げられるが、ポリアルコキシシラン類、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
【0073】
ポリアルコキシシラン類としては、環状または非環状のジメチルシロキサン重合体であれば良く、例えば、SH200シリーズ、BY22-019、BY22-020、BY11-026、BY22-029、BY22-034、BY22-050A、BY22-055、BY22-060、BY22-083、FZ-4188(以上、東レ・ダウコーニング社)KF-9008、KM-900シリーズ、MK-15H、MK-88(以上、信越化学工業社)等が挙げられる。
【0074】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン類であれば良く、ポリオキシアルキレン基を構成する基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を挙げることができる。より具体的には、例えば、KF-6015、KF-945A、KF-6005、KF-6009、KF-6013、KF-6019、KF-6029、KF-6017、KF-6043、KF-353A、KF-354A、KF-355A(以上信越化学工業社)、FZ-2404、SS-2805、FZ-2411、FZ-2412、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、SS-280Xシリーズ、BY22-008M、BY11-030、BY25-337(以上、東レ・ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0075】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有するシリコーン類であればよく、例えば、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコンなどがある。好ましいアミノ変性シリコーンとしては、以下の一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【0076】
【化11】

【0077】
〔式中、R101は水酸基、水素原子又はRを示し、Rは置換又は非置換の炭素数1〜20の一価炭化水素基を示し、DはR、基−R'−(NHCH2CH2)aNH2、基OR又は水酸基を示し、R'は炭素数1〜8の二価炭化水素基を示し、aは0〜3の数を示し、b及びcはその和が数平均で、10以上20000未満、好ましくは10以上3000未満、より好ましくは30以上1000未満、更に好ましくは40以上800未満となる数を示す。〕
【0078】
アミノ変性シリコーンの好適な市販品の具体例としては、SF8452C、SS-3551(以上、東レ・ダウコーニング社)、KF-8004、KF-867S、KF-8015(以上、信越化学工業社)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C、SM8904、BY22-079、FZ-4671、FZ-4672(以上、東レ・ダウコーニング社)等のアモジメチコーンエマルション等が挙げられる。
【0079】
これらのシリコーン類の本発明染毛剤組成物への総含有量は、十分な効果とベタツキの抑制の点から、全組成中の0.02〜40質量%が好ましく、更には0.1〜20質量%、更には0.2〜15質量%が好ましい。
【0080】
本発明の染毛剤組成物がシリコーン類及びカチオン性ポリマーを含有する場合、全組成中のカチオン性ポリマー(アクティブ量):シリコーン類の質量比は、50:1〜1:50が好ましく、50:1〜1:10がより好ましい。
【0081】
本発明の染毛剤組成物は、感触改善、安定性の観点から、第一剤、第二剤及び第三剤のいずれか1以上に、高級アルコールを含有することが好ましい。高級アルコールの含有により、界面活性剤と構造体を形成して染毛剤組成物の分離を防ぐと共に、すすぎ時の感触を改善する効果がある。
【0082】
高級アルコールとしては、炭素数8〜22、更には16〜22のものが好ましく、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0083】
高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、その含有量は、全組成中の0.01〜20質量%、更には0.1〜10質量%が好ましい。
【0084】
本発明の染毛剤組成物には、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれを使用することもできる。
【0085】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、なかでも塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0086】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。
【0087】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0088】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。アルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。これら界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
【0089】
界面活性剤は、単独で又は2種以上用いることができ、その含有量は特に制限されないが、例えば、全組成中の0.1〜20質量%が好ましく、更には0.1〜18質量%、更には0.5〜15質量%が好ましい。
【0090】
本発明の染毛剤組成物には、媒体として、水及び必要により有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級脂肪族アルコール類;ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類;プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0091】
有機溶剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、全組成中の0.05〜20質量%、更には0.1〜15質量%、更には0.5〜10質量%が好ましい。
【0092】
本発明の染毛剤組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、天然又は合成の高分子、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0093】
本発明の染毛剤組成物は、1剤式として;アルカリ剤を含有する第一剤と過酸化水素等の酸化剤を含有する第二剤からなる2剤式として;又は脱色力向上のため、更に第三剤として過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)等の造粒物からなる粉末状酸化剤を組み合わせてなる3剤式として提供される。
【0094】
1剤式は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。2剤式(又は3剤式)の場合、第一剤と第二剤の剤型は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。第一剤と第二剤(3剤式の場合は更に第三剤)を混合し、毛髪に塗布したときに液だれしにくいような粘度になることが望ましく、本発明の染毛剤組成物は、1剤式、2剤式、又は3剤式のいずれにおいても25℃においてヘリカルスタンド付きB型回転粘度計(B8R型粘度計、トキメック社)で測定した全組成物の粘度が2000〜10万mPa・sであるのが好ましい。ここで、粘度は、ローターT-Cを用い、10rpm、1分間回転させて得られた値である。
【0095】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪に適用することにより、毛髪の染色に用いることができる。染毛は、例えば、
・好ましくは前述のpH値(5以上、より好ましくはpH8〜13、更に好ましくはpH9〜12)に調整した本発明の染毛剤組成物を、染色したい毛髪に対して0.1〜10の質量比で適用する。
・これを1〜60分間、好ましくは10〜40分間放置する。
・その後、本発明の染毛剤組成物を洗い流す。
・その後に毛髪を乾燥させる。
ことにより行うことができる。このとき、染毛剤組成物は、毛髪に適用してから洗い流すまでの間、前述のpH値の条件(5以上、より好ましくはpH8〜13、更に好ましくはpH9〜12)を満たすことがより好ましい。
【実施例】
【0096】
合成例1
次の反応式に従いトリアゼン解離性直接染料D-5を合成した。
【0097】
【化12】

【0098】
5-アミノ-3-メチル-1,2,4-チアジアゾール11.5g(0.1mol)を2N硫酸100mLに溶解し、撹拌しながらこれに0℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム8.0g(0.116mmol)/水20mL)を滴下した。滴下終了後、0℃で更に1時間撹拌を続け、析出した結晶を濾取し、氷水にて洗浄した。一夜室温にて風乾し、3-メチル-5-ニトロソアミノ-1,2,4-チアジアゾール8.5gを得た(収率56%)。次に得られたチアジアゾール7.2g(0.05mol)をメタノール50mLに室温で溶解し、撹拌しながらこれに5℃以下で濃硫酸3mLを滴下した。滴下終了後、更に5℃以下で1時間、15〜20℃で2時間撹拌を続け、析出した結晶を濾取した。この結晶をメタノールから再結晶しトリアゼン解離性直接染料D-5を2.5g得た(収率41%)。
【0099】
合成例2
次の反応式に従いトリアゼン解離性直接染料D-13を合成した。
【0100】
【化13】

【0101】
2-アミノ-1,3,4-チアジアゾール2.3gに濃塩酸2.5mL及び水10mLを加えて溶解し、5℃以下で撹拌しながら亜硝酸ナトリウム0.75gを加え、1時間撹拌後これに酢酸ナトリウム1.65gを加え20℃で40分間撹拌した。反応液に氷水を加え析出した結晶を濾取水洗した。この粗結晶をエタノールより再結晶し、トリアゼン解離性直接染料D-13を0.6g得た(収率13%)。
【0102】
合成例3
次の反応式に従いトリアゼン解離性直接染料D-49を合成した。
【0103】
【化14】

【0104】
5-アミノ-3-メチル-1,2,4-チアジアゾール11.5g(0.1mol)を85%リン酸160gに溶解し、撹拌しながらこれに0℃以下で亜硝酸ナトリウム8.0g(0.116mmol)20分おきに4分割添加した。添加終了後、更に5℃以下で1時間撹拌を続けた後、この反応液に2-アミノ-5-エチルチオ-1,3,4-チアジアゾール16.15g(0.1mol)を分割添加し、更に5℃以下で1時間、20〜25℃で1時間撹拌を続けた。この反応混合物に水300mLを加え析出した結晶を濾取し、氷水にて洗浄した。この結晶をエタノールから再結晶しトリアゼン解離性直接染料D-49を5.1g得た(収率18%)。
【0105】
合成例4
次の反応式に従いトリアゼン解離性直接染料D-34を合成した。
【0106】
【化15】

【0107】
5-アミノ-4-シアノ-3-メチルイソチアゾール4g(0.028mol)を98%ギ酸40mLに溶解し、撹拌しながらこれに0℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム2.1g(0.030mmol)/水6mL)を滴下した。滴下終了後、0℃で更に1時間撹拌を続けこれに水100mLを加え、析出した結晶を濾取し、氷水にて洗浄した。一夜室温にて風乾し、4-シアノ-3-メチル-5-ニトロソアミノイソチアゾール2.6gを得た(収率56%)。次に得られたイソチアゾールのニトロソアミノ体2g(0.012mol)にメタノール20mLを加え、内温55〜60℃で1時間加熱撹拌し、室温まで冷却後、析出した結晶を濾取した。この結晶をメタノールから再結晶しトリアゼン解離性直接染料D-34を0.66g得た(収率41%)。
【0108】
その他、合成例1〜4と同様な反応式に従い、以下の化合物を合成した。
【0109】
【表1】

【0110】
実施例1〜5
表2に示す組成の染毛剤組成物を調製した。得られた染毛剤組成物のpHはガラス電極式水素イオン濃度指示計(D-54型、堀場製作所社)により測定した。得られた染毛剤組成物について、以下の評価1〜3の評価を行った。
【0111】
【表2】

【0112】
評価1:染色性能
損傷のない白ヤギ毛束に表2の染毛剤組成物を30℃で、30分間それぞれ適用した。染色時間が終了した後、各毛束を水洗し、シャンプー洗浄し、乾燥し、染毛処理を行った。かくして染毛した後、毛束の色度を測定した。各実施例に関して、カラーリング処理前後の毛束の色度をコニカミノルタ社の色彩色差計CR-400型で計測し、表色値をL***表色系で表した。鮮やかさを表す彩度C*及び色度変化量ΔE*をそれぞれ周知の次式に従って算出した。結果を表3に示す。
【0113】
【数1】

【0114】
【数2】

【0115】
【表3】

【0116】
表3に示すように、カラーリング処理後の彩度C*はいずれも大きく、毛髪に対して鮮やかな色が付与された。
【0117】
評価2:光堅牢性
評価1と同様に損傷のない白ヤギ毛束を染毛した後、評価1と同様に色度を測定した。続いて、ソーラーシミュレーターにて72時間全波長の光を各毛束に当て、再び色度を測定し、光照射前後の色度変化量ΔE*によって光堅牢性を評価した。結果を表4に示す。
【0118】
【表4】

【0119】
表4に示すように、色度の変化ΔE*はいずれも小さく、光堅牢性は良好であった。
【0120】
評価3:シャンプー堅牢性
損傷を受けた(パーマ処理を施した)白ヤギ毛束を、評価1と同様の方法で染毛したのち、評価1と同様に色度を測定した。続いて、各毛束をシャンプー洗浄処理した。シャンプー洗浄方法は、一工程が毛髪1gあたり0.1gのシャンプーを適用し、30秒かけて毛へ摺りこみ、続いてその毛束を40℃の水で30秒洗浄する各段階からなっており、この工程を20回繰り返した。その後、毛束を乾燥し、コニカミノルタ社の色彩色差計CR-400型を用いて色度を測定し、シャンプー洗浄処理前後の色度の変化量ΔE*としてシャンプー堅牢性を評価した。結果を表5に示す。
【0121】
【表5】

【0122】
表5に示すように、色度の変化ΔE*は小さく、シャンプー堅牢性は良好であった。
【0123】
処方例1〜3
表6に示す組成の1剤式染毛剤を定法に従い調製する。
【0124】
【表6】

【0125】
【化16】

【0126】
1剤式染毛剤(処方例1〜3)を染色する毛髪に等量塗布し、30℃で30分間放置する。染毛剤をすすいだ後、市販のシャンプーで洗浄し、乾燥する。
【0127】
処方例4〜7
表7に示す組成のクリーム状2剤式染毛剤第一剤及び表8に示す組成の共通第二剤を常法に従い調製する。
【0128】
【表7】

【0129】
【化17】

【0130】
【表8】

【0131】
2剤式染毛剤第一剤(処方例4〜7)に対し、表8に示す組成の共通第二剤をそれぞれ等量混合する。この染毛剤組成物を染色する毛髪に等量塗布し、35℃で20分間放置する。染毛剤をすすいだ後、市販のシャンプーで洗浄し、乾燥する。
【0132】
処方例8〜12
表9に示す組成のクリーム状2剤式染毛剤第一剤を常法に従い調製する。
【0133】
【表9】

【0134】
2剤式染毛剤第一剤(処方例8〜12)に対し、表8に示す組成の共通第二剤をそれぞれ等量混合する。この染毛剤組成物を染色する毛髪に等量塗布し、30℃で30分間放置する。染毛剤をすすいだ後、市販のシャンプーで洗浄し、乾燥する。
【0135】
処方例13〜15
表10に示す組成のクリーム状3剤式染毛剤第一剤及び第三剤を常法に従い調製する。
【0136】
【表10】

【0137】
3剤式染毛剤第一剤(処方例13〜15)に対し、表8に示す組成の共通第二剤をそれぞれ等量、第三剤を第一剤の半量混合する。この染毛剤組成物を染色する毛髪に等量塗布し、30℃で20分間放置する。染毛剤をすすいだ後、市販のシャンプーで洗浄し、乾燥する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるトリアゼン解離性直接染料を含有する染毛剤組成物。
【化1】

[式中、A及びBは、それぞれ置換基を有してもよい単環若しくは二環の芳香族複素環基又は置換基を有してもよい単環若しくは二環のアリール基であって、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基を含まず、−N=N−NH−で表されるトリアゼン-1,3-ジイル基にA及びB中の炭素原子を介して結合する基を示す。A及びBは同一でも異なってもよい。]
【請求項2】
一般式(1)中のA及びBが、環内に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を一種以上含み、置換基を有してもよい、同一の5員の芳香族複素環基である請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
pHが8〜13である請求項1又は2に記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法。

【公開番号】特開2008−291019(P2008−291019A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115107(P2008−115107)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】