説明

染毛剤組成物

【課題】尿酸を安定的に可溶化させて経時的な尿酸の析出を効果的に抑制することができ、毛髪に適用した際には、垂れ落ちがなく、延展性に優れ、しかも染毛性に優れる染毛剤組成物を提供すること。
【解決手段】尿酸、デンプン誘導体、アルカリ剤、好ましくは有機アルカリ剤、ウリカーゼ、酸化染料及び水を含有することを特徴とする染毛剤組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤組成物に関する。詳しくは、尿酸を安定的に可溶化できる酵素を用いた染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から尿酸は、ふけ防止を目的とした頭髪化粧料や、肌荒れを予防する皮膚外用剤などに用いられている(例えば、特許文献1〜2参照)。また、ウリカーゼの基質として酵素を用いた染毛剤などにも応用されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
しかしながら、尿酸は水に対する溶解度が非常に低いことから、水を含む化粧料や染毛剤では、尿酸を微量にしか配合できないという問題がある。また、比較的高配合量に配合できたとしても、経時的に尿酸の結晶が析出してくるという問題がある。
【0004】
このような問題点を解決するために、ベタイン型の両性界面活性剤を配合し、系を特定のpH範囲に調整した水性化粧料(特許文献4参照)、アクリル酸系ポリマーを配合し、系を特定のpH範囲に調整した水性化粧料(特許文献5参照)などが提案されている。
【0005】
これら技術により、尿酸の析出の抑制効果は見られるものの、長期的な保存安定性については、十分に満足できるものではなかった。
【0006】
一方、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸等のデンプン誘導体は、製剤の粘度を経時的に安定させる効果は報告(特許文献6参照)されているが、尿酸の析出を抑制する効果については報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−275516号公報
【特許文献2】特開平1−275511号公報
【特許文献3】特開平8−217652号公報
【特許文献4】特開平11−12153号公報
【特許文献5】特開平10−298027号公報
【特許文献6】特開2004−339108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであって、尿酸を安定的に可溶化させて経時的な尿酸の析出を効果的に抑制することができ、毛髪に適用した際には、垂れ落ちがなく、延展性に優れ、しかも染毛性に優れる染毛剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
〔1〕尿酸、デンプン誘導体、アルカリ剤、ウリカーゼ、酸化染料及び水を含有することを特徴とする染毛剤組成物、
〔2〕デンプン誘導体が、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸及びその塩、オクテニルコハク酸デンプン及びその塩、デンプン燐酸エステル及びその塩、オクテニルコハク酸デンプンエステル、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ジメチルイミダゾリジノンデンプン、並びにグリセリルデンプンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記〔1〕に記載の染毛剤組成物、
〔3〕デンプン誘導体が、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸及びその塩、オクテニルコハク酸デンプン及びその塩、並びにオクテニルコハク酸デンプンエステルからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記〔1〕に記載の染毛剤組成物、並びに
〔4〕アルカリ剤が、有機アルカリ剤であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の染毛剤組成物
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の染毛剤組成物は、尿酸を安定的に可溶化させて経時的な尿酸の析出を効果的に抑制し、毛髪に適用した際には、垂れ落ちがなく、延展性に優れ、しかも染毛性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の染毛剤組成物は、尿酸、デンプン誘導体、アルカリ剤、ウリカーゼ、酸化染料及び水を含有する。
【0012】
尿酸の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、所望の効果が期待できる観点から、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、尿酸の安定的な可溶化の観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。これらから、尿酸の配合量は、組成物中0.3〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0013】
デンプン誘導体は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸又はその塩、オクテニルコハク酸デンプン又はその塩、デンプン燐酸エステル又はその塩、オクテニルコハク酸デンプンエステル、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ジメチルイミダゾリジノンデンプン、グリセリルデンプン等を例示することができる。また、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を適宜混合して用いても良い。これらのなかでも、尿酸の可溶化能力の観点から、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸又はその塩、オクテニルコハク酸デンプン又はその塩、オクテニルコハク酸デンプンエステルを用いるのが好ましく、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸又はその塩、オクテニルコハク酸デンプン又はその塩を用いるのがより好ましい。
【0014】
尚、デンプン誘導体は、市販品をそのまま用いることができる。例えば、ヒドロキシプロピルデンプンとしては、商品名「アミコールSQ」〔日澱化学社製〕等を、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸としては、商品名「ストラクチャー(STRUCTURE) XL」〔アクゾノーベル社製〕等を、オクテニルコハク酸デンプン塩としては、商品名「乳華 W」〔日澱化学社製〕等を例示することができる。
【0015】
デンプン誘導体の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、尿酸を可溶化させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。また、高温における相溶性を高める観点、並びに使用性を高める観点から、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。これらから、デンプン誘導体の配合量は、組成物中0.1〜8質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
【0016】
本発明に用いるアルカリ剤は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ剤;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アルカリ剤を例示することができる。なかでも、尿酸との相溶性の観点から、有機アルカリ剤を用いることが好ましい。
【0017】
アルカリ剤の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されず、使用するアルカリ剤にもよるが、通常、毛髪への染色性の観点から0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、頭皮への刺激性の観点から、8質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。これらのことから、組成物中のアルカリ剤の配合量は、好ましくは0.1〜8質量%であり、より好ましくは1〜6質量%である。
【0018】
ウリカーゼは、尿酸を基質として酸素の存在下に酸化染料を重合反応し、過酸化水素などの酸化剤を用いなくとも、毛髪を染毛することができる。
【0019】
用いるウリカーゼは、その由来は特に限定されないが、例えば、雄ブタの肝臓から抽出されたウリカーゼ、アルスロバクター・グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)由来のウリカーゼ、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)由来のウリカーゼなどが挙げられる。ウリカーゼは、そのままの状態で用いても良く、あらかじめウリカーゼに対して不活性な溶媒、例えば、グリセリンなどで希釈させた後に用いても良い。
【0020】
ウリカーゼは、既知の方法で単離・精製することができるが、商品名「ウリカーゼ」〔協和発酵バイオ社製〕等の市販品をそのまま用いることもできる。
【0021】
ウリカーゼの配合量は、酸化染料を重合して毛髪を染毛できる量であれば特に限定されないが、酸化染料の発色性を高める観点から、染毛剤組成物100g当りのウリカーゼの配合量(力価)は、10kU(キロユニット)以上が好ましく、15kU以上がより好ましい。また、尿酸との反応性の観点から、30kU以下が好ましく、25kU以下がより好ましい。これらから、ウリカーゼの配合量は、染毛剤組成物100g当り10〜30kUが好ましく、15〜25kUがより好ましい。
【0022】
尚、ウリカーゼの力価「1U」とは、1分間に1μmol(マイクロモル)の尿酸との反応に関与するウリカーゼの活力を表した値である。
【0023】
本発明における酸化染料とは、自身の酸化重合により発色する染料前駆体、および染料前駆体との反応により種々の色調とするカップラーの双方を意味する。本発明に用いることのできる酸化染料の前駆体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類、及びそれらの塩酸塩、硫酸塩等の塩類等が挙げられる。
【0024】
具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、2,5−ジアミノアニソール、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、6−メトキシ−3−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−クロル−6−メチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2−クロル−6−ブロム−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン類;パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、5−アミノサリチル酸、2−メチル−4−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、3,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2,3−ジメチル−4−アミノフェノール、2,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、3−クロロ−4−アミノフェノール等のアミノフェノール類;2,5−ジアミノピリジン等のジアミノピリジン類等及びそれらの塩類等を例示することができる。
【0025】
カップラーとしては、例えば、レゾルシン、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、5−アミノ−o−クレゾール、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、カテコール、ピロガロール、α-ナフトール、没食子酸、タンニン酸等及びそれらの塩類等を例示することができる。
【0026】
酸化染料の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、毛髪への染色性の観点から0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、頭皮への刺激性の観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。これらのことから、第1剤中の酸化染料の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは1〜8質量%である。
【0027】
本発明の染毛剤組成物には、前記必須の成分の他、本発明の効果が阻害されない範囲内で、油性成分、界面活性剤、アルコール類、多価アルコール、色素、カチオン性高分子、加水分解ペプチド、キレート剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、各種アミノ酸、植物抽出エキス、香料等を目的に応じて適宜任意に配合することができる。
【0028】
油性成分として、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等の油脂;カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等の脂肪酸エステル;トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル等の脂肪酸トリグリセリドエステル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸などが挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン等のノニオン界面活性剤;エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルアミン塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等の脂肪酸アミドアミン塩などのカチオン界面活性剤;高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩等のアニオン界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0031】
多価アルコールとしては、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、マンニトール、グルコールなどを挙げることができる。
【0032】
本発明の染毛剤組成物には、前記した化粧料組成物の任意成分の他、酸化染料の安定剤として、還元剤を含有させることができる。還元剤として、例えば、N−アセチル−L−システイン、L−アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸などが挙げられる。還元剤の配合量は、特に限定されないが、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。
【0033】
尚、前述のウリカーゼは、その至適pHが9付近であることから、組成物のpHを8〜10程度に調整するのが好ましい。pH調整は、前記したアルカリ剤の配合のみで調整しても良いし、リン酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸などのpH調整剤を用いても良い。
【0034】
本発明の染毛剤組成物において、前記成分の残部は水である。用いる水は、一般には精製水であり、水道水、イオン交換水などであっても良い。水の配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、デンプン誘導体による系の増粘効果を発揮させる観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。また、尿酸の可溶化の観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。これらから、水の配合量は、組成物中50〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましい。
【0035】
本発明の染毛剤組成物は、従来の過酸化水素などの酸化剤を用いないことから、通常、1剤式の染毛剤として使用することができる。その剤型は、液状、乳液状、クリーム状、泡状の従来の酸化染毛剤と同様の剤型とすることができる。
【0036】
本発明の染毛剤組成物を用いて毛髪を染毛する場合、通常の染毛剤と同様に、毛髪全体に均一に塗布し、5〜60分間程度放置したのち、毛髪を洗浄して乾燥すれば良い。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り、質量%である。
【0038】
(試料の調製)
表1に示す組成に従い、実施例及び比較例の1剤式の染毛剤を定法により調製し、下記評価試験に供した。尚、表中のウリカーゼの量は、染毛剤組成物100g当たりの力価(キロユニット:kU)である。
【0039】
【表1】

【0040】
(試験例1:可溶化安定性の評価)
実施例1〜4及び比較例1〜4の各試験試料40mLを50mL容のガラス製容器に充填し、25℃または50℃の恒温槽内で2週間保管した。その後、室温に戻し、各試料の外観を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて尿酸の可溶化の安定性を評価した。結果を表2に記す。
【0041】
<評価基準>
○:殆ど濁りがなく、均一である。
△:明らかな濁りが認められる。
×:析出、分離または不均一化が認められる。
【0042】
(試験例2:使用性の評価)
実施例1〜4及び比較例1〜4の各試料は、予め0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に50℃,1時間漬置き洗いした白髪試験毛束(品番 BM−W;ビューラックス社製)に対し、質量で2倍量を刷毛で試験毛束全体に約1分間かけて塗布した後、試験毛束を30℃,相対湿度70%の恒温恒湿槽中で15分間放置した。次に、この試験毛束を再度コーミングを施し、さらに恒温恒湿槽中で15分間放置した後、35℃程度の水道水で約30秒間洗浄した。この試験毛束にシャンプー(商品名 アリスティアST CS;ピアセラボ社製)を適量で30秒間程度馴染ませた後、水道水で洗い流し、さらにこの試験毛髪にコンディショナー(商品名 アリスティアST TS;ピアセラボ社製)を適量で用いて10秒間程度馴染ませた後、再度、水道水で洗い流し、1日間かけて風乾した。
【0043】
実施例及び比較例の各試料の評価は、試験毛束に塗布時の垂れ落ち、及び延展性、染毛性(目視)について、下記基準に基づき評価した。結果を表2に記す。
【0044】
また、染毛性については、染毛前後のΔEからも評価した。すなわち、3本の試験毛束を、色差計〔品番 CM−3610d;コニカミノルタセンシング社製〕を用いて、染毛前後のL*a*b値および色相角度の変化を評価し、ΔE*a*bの平均値を算出した。結果を表2に記す。尚、ΔEは、値が大きい程、染毛力が高いことを表す。
【0045】
<垂れ落ちの評価基準>
○;10名中8名以上が、垂れ落ちが無いと回答。
△;10名中4〜7名が、垂れ落ちが無いと回答。
×;10名中3名以下が、垂れ落ちが無いと回答。
【0046】
<延展性の評価基準>
○;10名中8名以上が、延展性が良いと回答。
△;10名中4〜7名が、延展性が良いと回答。
×;10名中3名以下が、延展性が良いと回答。
【0047】
<染毛性(目視)の評価基準>
○:白髪が暗い灰黄色に染色されている。
△:白髪が灰黄色に染色されている。
×:白髪が明るい灰黄色に染色されている。
【0048】
【表2】

【0049】
表4の結果から、本発明の染毛剤組成物は、尿酸を安定的に可溶化させて経時的に尿酸の析出を効果的に抑制でき、使用時には、垂れ落ちがなく、延展性に優れ、施術後は染毛性に優れることが分かる。
【0050】
以下に、本発明の染毛剤組成物の処方例を示す。尚、配合量は質量%である。
【0051】
(処方例1)
ウリカーゼ 20kU
尿酸 0.8
オクテニルコハク酸デンプンナトリウム 5.0
モノイソプロパノールアミン 1.5
パラアミノフェノール 0.6
パラフェニレンジアミン 0.6
5−アミノオルトクレゾール 1.2
N−アセチル−L−システイン 0.1
グリセリン 3.0
精製水 残 部
合 計 100.0
【0052】
(処方例2)
ウリカーゼ 20kU
尿酸 0.8
ヒドロキシプロピルデンプン燐酸 6.0
モノイソプロパノールアミン 1.5
リン酸ジセチル 1.0
ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル 1.0
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 1.0
メチルポリシロキサン 1.5
セチルアルコール 5.0
ポリエチレングリコール20000 1.0
硫酸パラメチルアミノフェノール 0.4
レゾルシン 0.8
硫酸トルエンー2,5−ジアミン 0.4
塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール 0.1
N−アセチル−L−システイン 0.1
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿酸、デンプン誘導体、アルカリ剤、ウリカーゼ、酸化染料及び水を含有することを特徴とする染毛剤組成物。
【請求項2】
デンプン誘導体が、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸及びその塩、オクテニルコハク酸デンプン及びその塩、デンプン燐酸エステル及びその塩、オクテニルコハク酸デンプンエステル、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ジメチルイミダゾリジノンデンプン、並びにグリセリルデンプンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
デンプン誘導体が、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン燐酸及びその塩、オクテニルコハク酸デンプン及びその塩、並びにオクテニルコハク酸デンプンエステルからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
アルカリ剤が、有機アルカリ剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤組成物。

【公開番号】特開2010−215599(P2010−215599A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67721(P2009−67721)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】