説明

柱状構造物及びその支持体

【課題】重量が軽く、加工時間や加工コストを削減できる柱状構造物の支持体及び当該支持体に好適な柱状構造物を提供する。
【解決手段】鋳造された複数の支持ユニット2により柱を支持する。支持ユニット2は柱保持部6と底板部7とリブ8と取付補助具3とを有する。柱保持部6は互いに直角の一対の平面部61と連結孔63を備える。取付補助具3は平面部61又は角筒状の柱4fの角部内面と当接する角柱保持面31と円筒状の柱4aの表面に当接する円柱保持面32と連結孔33とを備える。底板部7は柱4aの底面を載置する載置部72を備える。円筒状の柱4aの支持は、柱保持部6に取付補助具3を装着し、円柱保持面32に柱4aの表面を当接させ、ボルト9等によりこれらを締結する。角筒状の柱4fの支持は、平面部61に柱4fの角部表面を当接させ、取付補助具3を柱4fの角部内面に当接させ、ボルト9等によりこれらを締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路標識、街路灯ポール、或いは公園内の案内標識等の柱状構造物に関する。また、当該柱状構造物を地上又は地中に設けられた基礎等の被固定物に固定するための支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路標識、街路灯ポール、或いは公園内に設けられた案内標識等の柱状構造物を地上又は地中に設けられた基礎等の被固定物に固定するための構成としては、円筒状又は角筒状の柱状構造物の下端部にベースプレートと呼ばれる金属板を溶接し、さらに柱状構造物とベースプレートとの接合部を板状の補強リブにより補強するものが一般的であった(下記特許文献1の図14参照)。
【0003】
ところで、上記柱状構造物は、道路からの振動や風雨等によって横方向に大きな力が加わるものであり、その力をベースプレート及び補強リブで支える必要があるため、ベースプレートの厚さをかなり厚くする必要があった。
【0004】
しかしながら、ベースプレートの厚さを厚くすると、コスト的に不利になると共に、重量が重くなるため運搬や設置作業が困難になるという不都合がある。また、補強リブを付けた場合でも、柱状構造物と補強リブとの境界部分に応力が集中するため、柱状構造物自体の耐用年数が短くなってしまうという不都合がある。
【0005】
上記不都合を解消するために、下記特許文献1に開示された技術では、補強リブを単なる板状ではなく、正面視でアーチ状に折り曲げる等の加工を行って溶接することが提案されている。このように、特許文献1においては、補強リブの形状自体を応力集中しにくい形状とすると共に、柱状構造物と補強リブとの接合箇所を多くすることにより、柱状構造物の耐用年数を長くすることができるとされている。
【0006】
しかしながら、補強リブをアーチ状に加工すると、単なる板状の補強リブに比べてコストが大きく跳ね上がってしまう。また、アーチ状の補強リブを柱状構造物に溶接する際にも、従来のものに比べてより多くの加工時間を必要とするため、さらにコストが上昇するという不都合がある。
【0007】
また、従来のベースプレート及び補強リブや、特許文献1で提案されているものでは、ベースプレートの表面に柱状構造物や補強リブを溶接するものであるため、溶接により生じる熱によってベースプレートに歪みが生じ、ベースプレートの端部が上方に歪むため、ベースプレート底面の中央部が下方に突出する形となる。これでは、ベースプレートを基礎に載置した際に安定度が低くなると共に、ベースプレートを基礎にボルト締めした場合にベースプレートに歪みを矯正する方向に荷重が生じ、溶接箇所に不要な応力が発生するという不都合もある。
【特許文献1】特開2002−242485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、柱状構造物及びその支持体の改良を目的とし、さらに詳しくは前記不都合を解消するために、重量が軽く、加工時間や加工コストを削減することができる柱状構造物の支持体を提供すると共に、当該支持体により支持するのに好適な柱状構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の柱状構造物の支持体は、複数の支持ユニットの組合せにより柱状構造物を被固定物に固定する支持体であって、前記支持ユニットは、前記柱状構造物の外壁部に沿って上下方向に延設される柱保持部と、前記被固定物に沿って水平方向に延設される底板部と、前記柱保持部と前記底板部とに亘って設けられるリブと、前記柱保持部に着脱自在の取付補助具とを備え、前記柱保持部は上下方向に延設され平面視で直角となる一対の平面部を有し、前記底板部は被固定物と結合するためのボルトが挿通される挿通孔を有し、前記取付補助具は前記一対の平面部に沿って延びる一対の角柱保持面と上下方向に沿って延びる平面視で円弧状の円柱保持面とを有し、円筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記取付補助具の角柱保持面を当接させ前記円柱保持面を前記柱状構造物の表面に当接させて前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定し、角筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記柱状構造物の表面を当接させて前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定することを特徴とする。
【0010】
本発明の柱状構造物の支持体によれば、円筒状の柱状構造物を支持する場合は、前記柱保持部に前記取付補助具を装着し、前記取付補助具の円柱保持面で前記柱状構造物を支持するので、前記柱状構造物と支持ユニットとは広い面積で当接する。また、各支持ユニットには前記柱保持部と前記底板部とに亘ってリブが設けられている。このため、柱状構造物に荷重が加わった場合でも、各支持ユニットには応力集中が生じにくい。また、本発明の支持体はこのような構成であるため、従来のベースプレート及びリブによって柱状構造物を支持するものに比べて、同等以上の強度を保ちながら重量を大幅に軽くすることができる。さらに、前記取付補助具を前記柱保持部に装着することにより円筒状の柱を固定することができると共に、前記柱保持部の一対の平面部により角筒状の柱も固定することができる。
【0011】
また、本発明の柱状構造物の支持体においては、前記柱保持部及び前記取付補助具は、前記柱状構造物の下端部近傍に設けられた貫通孔に連通し締結手段が挿通される連結孔を有するものであるときは、円筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記取付補助具の角柱保持面を当接させ前記円柱保持面を前記柱状構造物の表面に当接させた状態で前記締結手段を前記柱保持部及び前記取付補助具の連結孔と前記柱状構造物の貫通孔に挿通させて前記締結手段により前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定し、角筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記柱状構造物の表面を当接させ、前記取付補助具の角柱保持面を前記柱状構造物の内部に配設した状態で前記締結手段を前記柱保持部及び前記取付補助具の連結孔と前記柱状構造物の貫通孔に挿通させて前記締結手段により前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定することが好ましい。
【0012】
このように、前記支持ユニット、取付補助具及び柱状構造物がボルト等の締結手段により締結されるものであるときは、支持体が円筒状の柱状構造物を支持する際には前記取付補助具を前記柱保持部に装着して柱状構造物を支持する。一方、支持体が角筒状の柱状構造物を支持する際には前記取付補助具を前記柱状構造物の内部に配設して柱状構造物を支持する。従って、取付補助具は、円筒状の柱状構造物を支持する際には前記円柱保持部によって柱状構造物との接触面積を広くし、角筒状の柱状構造物を支持する際には前記角柱保持部によって柱状構造物との接触面積を広くするので、応力の集中を抑制するものとなる。さらに、本発明の支持体によれば、前記支持体及び前記柱状構造物を撤去する場合に、前記締結手段の締結を解除すれば前記支持体と前記柱状構造物とを分離することができる。従って、前記支持体及び柱状構造物を再利用することも容易となり、廃棄する場合も分別廃棄が可能となる。
【0013】
また、本発明の柱状構造物の支持体においては、前記取付補助具を除く前記支持ユニットは鋳造により形成され、前記柱保持部と前記リブとは上方に向けて所定角度で肉薄となる形状を有し、前記柱保持部の平面部と前記底板部との角度が90゜となるように形成されていることが好ましい。
【0014】
前記取付補助具を除く前記支持ユニットが鋳造により形成されるものであるときは、製造時に型抜きを行う際に型抜きが円滑に行われるように、型抜き方向に延びる部材、本発明では前記柱保持部と前記リブを上方に向けて所定角度で肉薄となるように形成することが好ましい。しかしながら、前記柱保持部について上方に向けて肉薄にすると、前記底板部と前記柱保持部との角度が直角にならない。そこで、本発明では、前記柱保持部を上方に向けて肉薄にしつつも前記柱保持部の前記平面部と前記底板部との角度を90゜となるようにしている。
【0015】
また、本発明の柱状構造物の支持体においては、前記底板部は、前記柱保持部側に突出し前記柱状構造物の下端部が載置される載置部を有していることが好ましい。このように、前記柱状構造物の下端部を載置する載置部を設けることにより、前記底板部の底面、即ち被固定物の表面から前記柱状構造物までの高さを均一にすることができるので、柱状構造物を被固定物の表面に対して垂直に支持することができる。また、前記柱状構造物の下端部が被固定物と接触しないので、被固定物が地表面と同じ高さに設けられている場合、降雨等によって被固定物の表面に水がたまった場合であっても、柱状構造物の下端部は当該雨水には接触しないか、或いは接触してもその期間が短くなるので、錆の発生を抑制することができる。
【0016】
また、本発明の柱状構造物は、上述の支持体に支持される柱状構造物であって、筒状の柱本体の内部又は外部であって前記支持体により支持される箇所を補強する補強部が設けられていることを特徴とする。このように、前記柱状構造物に補強部を設けることにより、前記支持体により支持される箇所が補強されるので、さらに柱状構造物全体としての強度が向上する。
【0017】
また、前記補強部は、前記柱本体の下端部が内方に折り曲げられて形成されていることが好ましい。このように、前記柱本体の下端部を折り曲げるという簡易な加工により、柱本体の下端部近傍の壁面の強度が増加するため、前記柱本体の強度を容易に増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の柱状構造物及びその支持体の実施形態の一例について、図1乃至図6を参照して説明する。本実施形態の支持体1は、4個の支持ユニット2(取付補助具3を含む)によって円筒状の柱4a又は角筒状の柱4fを基礎5(被固定物)に固定するものである(図4,5参照)。
【0019】
支持ユニット2は、図1に示すように側面視で大略L字状に形成されており、柱4a,4f(図4,5参照)の下端部近傍を保持する柱保持部6と、基礎5に取り付けられる底板部7と、柱保持部6及び底板部7との間に形成されたリブ8とを備えている。この支持ユニット2は鋳鉄で構成されており、図示しない鋳型によって柱保持部6、底板部7及びリブ8が一体に形成されている。
【0020】
柱保持部6は、図1に示すように、四角柱の柱4fの表面に当接できるるように平面視で互いの角度が直角となっている一対の平面部61と、この一対の平面部61の間に設けられた凹溝62とを備えている。また、柱保持部6には、図1に示すように、柱4a,4fを取付ボルト9及びナット10(締結部材)によって固定するための連結孔63が2箇所に設けられている。
【0021】
この柱保持部6には、図4及び図5に示すように、取付補助具3を使用して柱4a,4bfを固定するようになっている。取付補助具3は、一対の平面部61又は角筒状の柱4fの内面における角部に当接自在の一対の角柱保持面31と、円筒状の柱4aの表面に当接自在の円柱保持面32とを備えている。この円柱保持面32は、角柱保持面31を一対の平面部61に当接させた際に柱4a側に臨むように形成されている。また、取付補助具3には、一対の角柱保持面31の間と円柱保持面32とを貫通する連結孔33が設けられている。この連結孔33は、取付補助具3が柱保持部6に取り付けられた際に連結孔63と連通するようになっている。
【0022】
底板部7には、図1,4,5に示すように、基礎5に設けられたアンカーボルト51が挿通される長孔71(挿通孔)が設けられている。また、底板部7は、柱保持部6から柱4a乃至4f側に突出し、柱4a乃至4fの底面を載置する載置部72を有している。また、載置部72の左右両端部は、柱4a乃至4fに取り付けられた際に、平面視で柱4a乃至4fの外面と直角(円筒状の柱の場合は接線方向と直角)となるように面取り部73が設けられている。
【0023】
リブ8は、図1,2に示すように波状の曲線で形成されている。これにより、リブ8に加わる荷重によって生じる応力の集中を防止している。また、支持ユニット2は地表に露出するケースもあることから、リブ8の形状は強度のみならず意匠性も兼ね備えた形状となっている。
【0024】
次に、本実施形態における支持ユニット2の断面について、図2を参照して説明する。支持ユニット2の柱保持部6及びリブ8の断面は、支持ユニット2の製造時に鋳型から製品を型抜きしやすいように、上方に向けて若干細くなるように傾斜αが設けられている。また、底板部7の底面と柱保持部6との角度は、この傾斜がついた状態で90゜となるように形成されている。
【0025】
次に、本実施形態における柱4aについて図3を参照して説明する。図3(a)及び(b)は、鉄製の街路灯用ポールである柱4aの下端部近傍を示している。この柱4aは、支持ユニット2の連通孔33に対応する位置に貫通孔41が設けられている。また、柱4aの下端部には、下端縁を内方に絞り加工することにより形成した補強部42aが設けられている。
【0026】
次に、本実施形態の支持体1により円筒状の柱4aを設置する際の手順について図4を参照して説明する。まず、取付補助具3の角柱保持面31を支持ユニット2の柱保持部6の一対の平面部61に当接させる。この状態で柱4aの表面を円柱保持面32に当接させると共に、柱4aの底面を底板部7の載置部72に当接させる。この柱4aには、支持ユニット2の柱保持部6に設けられた連結孔63及び取付補助具3に設けられた連結孔33と連通する貫通孔41が設けられているので、取付ボルト9及びナット10によって支持ユニット2と取付補助具3と柱4aとを連結する。さらに、柱4aに3個の支持ユニット2と取付補助具3とを取り付け、合計4個の支持ユニット2(支持体1)により柱4aの下端部近傍を保持する。
【0027】
次に、支持体1が取り付けられた柱4aを基礎5の上に取り付ける。基礎5は上面が地表と同一平面上に位置しており、アンカーボルト51が4箇所から地表に向けて突出しているので、このアンカーボルト51に各支持ユニット2の長孔71を挿通させる。そして、図示しないワッシャ及びナットによって、基礎5に支持ユニット2を取り付ける。これにより、支持体1が取り付けられた柱4aが基礎5の上に取り付けられる。
【0028】
本実施形態の支持体1は、円筒状の柱4aの外周面を取付補助具3の円柱保持面32を介して柱保持部6で支持しているため、柱4aと取付補助具3を含めた支持ユニット2との接触面積が広くなるので、柱4aに荷重がかかった場合でも応力の集中が抑制される。また、柱4aの先端側に水平方向の荷重がかかった場合、支持ユニット2の上端縁を支点として柱4aの下端部に荷重がかかることがあるが、柱4aの下端部には補強部42aが設けられているため、このような荷重に耐えることができる。
【0029】
また、本実施形態では、支持ユニット2毎に2本のリブ8が設けられており、1本の柱4aを合計8本のリブ8で支えることになる。従って、各支持ユニット2の肉厚を薄くしても充分な強度を得ることができるため、4枚の板状のリブとベースプレートで柱を支える従来の支持構造に比べて、支持体1全体の重量を軽くすることができる。また、支持ユニット2は鋳造で形成されるため、特許文献1に開示された支持構造のように板材の加工や曲線状の溶接等が必要ない。このため、このような加工に伴う時間と費用を削減することができる。
【0030】
また、本実施形態の支持体1は、図4(a)に示すように、大径の柱4aを取り付けることができると共に、図4(b)に示すように小径の柱4aについても取り付けることができるようになっている。これは、柱4aの底面を支える支持ユニット2の底板部7の形状が、平面視で柱4aの外周と垂直となるように面取り部73が設けられ、さらに底板部7には長孔71が形成されているため可能となる。大径の柱4aを取り付ける際には、各底板部7の面取り部73がそれぞれ離れた状態で取り付けられ、小径の柱4aを取り付ける際には、各底板部7の面取り部73がそれぞれ近づいた状態で取り付けられる。
【0031】
本実施形態においては、取付補助具3の円柱保持面32は、大径の柱4aの径を基礎として円弧の半径を定めている。このため、小径の柱4aの場合は、大径の柱4aの場合に比べて柱4aと円柱保持面32との接触面積がある程度少なくなるが、従来の保持構造に比べれば大幅な接触面積の増加となる。
【0032】
本実施形態においては、柱の形状は、図3(a)及び(b)に示す形状のみならず、図3(c)乃至(f)に示す各種形状、或いはこれと類する形状とすることができる。例えば、図3(c)に示す柱4bは、その下端部が内方且つ上方に曲げ加工されて補強部42bが形成されたものである。また、図3(d)に示す柱4cは、その下端部に中央が貫通する円盤状の補強部42cが溶接されて固定されたものである。また、図3(e)に示す柱4dは、中央が貫通する円盤状の補強部42dが支持ユニット2の柱保持部6が当接する箇所よりも若干上方に溶接されて固定されたものである。また、図3(f)に示す柱4eは、柱の外径とほぼ同じ内径を有する円筒状の補強部42eが取り付けられたものである。また、補強部としては、図3(f)に示す補強部42eを小径にして柱4eの内部に設けてもよく、これら42aから42eに示すものを組み合わせたものでもよい。
【0033】
次に、本実施形態の支持体1により角筒状の柱4fを設置する際の手順について図5を参照して説明する。まず、支持ユニット2の柱保持部6に設けられた一対の平面部61に柱4fの角部表面を当接させると共に、柱4fの底面を底板部7の載置部72に当接させる。次に、柱4fの内部に取付補助具3を挿入して柱4fの内部における角部の所定位置に配置する。柱4fの角部には、この状態で支持ユニット2の柱保持部6に設けられている連結孔63と取付補助具3に設けられている連結孔33に対応する貫通孔43が設けられている。このため、取付ボルト9を連結孔63、貫通孔43及び連結孔33に挿入し、取付ボルト9及びナット10によって支持ユニット2と柱4fと取付補助具3とを連結する。
【0034】
さらに、柱4fに3個の支持ユニット2と取付補助具3とを取り付け、合計4個の支持ユニット2(支持体1)により柱4fの下端部近傍を保持する。次に、上記円筒状の柱4aの場合と同様に、基礎5に設けられたアンカーボルト51に各支持ユニット2の長孔71を挿通させ、図示しないワッシャ及びナットによって、基礎5に支持ユニット2を取り付ける。これにより、支持体1が取り付けられた柱4fが基礎5の上に取り付けられる。
【0035】
本実施形態の支持体1は、角筒状の柱4fの角部を柱保持部6の一対の平面部61によって支持しており、その内面が取付補助具3の角柱保持面31によって強固に柱保持部6に固定されているため、柱4fと取付補助具3を含めた支持ユニット2との接触面積が広くなるので、柱4fに荷重がかかった場合でも応力の集中が抑制される。また、本実施形態の支持体1は、図5(a)及び(b)に示すように、太さの異なる角筒状の柱4fを取り付けることができる。
【0036】
このように、本実施形態の支持体1は、円筒状の柱4a乃至4eであっても、角筒状の柱4fであっても、支持ユニット2と取付補助具3という共通の構成を用いて柱4a乃至4fの固定を行うことができる。従って、柱の形状に合わせて柱ごとに支持ユニットを形成する必要がない。
【0037】
次に、支持体1を被固定物である梁11に固定する場合について、図6を参照して説明する。本実施形態の支持体1は、図6(a)に示すように、柱4fと梁11とを連結するものである。具体的には、角筒状の柱4fの下端部は基礎5の表面に支持体1により固定されており、その上端部では支持体1により梁11を支持するものとなっている。ここで、図5(a)におけるb−b線断面図を見ると、直交する梁11及び梁12にそれぞれ連結ボルト13が設けられており、この連結ボルト13及びナット14により各支持ユニット2の底板部7が固定されている。この柱4fの上部に設けられた支持体1は、図5に示す構成と同様の構成で柱4fに固定されている。
【0038】
このように、本実施形態の支持体1によれば、基礎5の表面に柱4fを固定するのみならず、梁11と柱4fとを固定することもできる。また、梁11の形状は、図5(b)に示すように十字状の梁11のみならず、図5(c)に示すように1本の梁11であっても、梁11と柱4fとを2個の支持ユニット1’によって固定することができる。
【0039】
また、本実施形態の支持体1によれば、上述のように基礎5に固定したものは、使用後に撤去する際にボルト9、ナット10及びアンカーボルト51を取り外すことにより分解して撤去することができる。また、本実施形態の支持体1を梁11のような構造物に固定する場合も、ボルト9、ナット10、ボルト13及びナット14を取り外すことにより分解・撤去が可能となる。従って、支持体1や柱4等を撤去後に再使用することも可能となる。また、これらの部材が劣化した場合は、分別して廃棄することができるので、分別後に廃材として回収することも容易となる。
【0040】
尚、上記実施形態においては、締結部材として取付ボルト9及びナット10により支持ユニット2と取付補助具3と柱4a乃至4fとを取り付けているが、これに限らず、各部材を溶接により結合してもよい。但し、角筒状の柱4fに支持ユニット2を溶接する場合は取付補助具3を用いなくてもよい。また、取付ボルト9及びナット10に限らず、リベットのような部材で締結してもよい。
【0041】
また、リブ8の形状は、上記実施形態における波形に限定されず、側面視で三角形状や円弧状(凹入するものや突出するものを含む)としてもよい。さらに、リブの形状8は、応力の集中が生じにくい形状であれば、動物や植物をモチーフにした形状とする等、柱4a乃至4fが設置される環境に応じて変更してもよい。また、上記実施形態における角筒状の柱4fには補強部は設けられていないが、図3(a)乃至(f)に示す補強部またはこれに類する補強部を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の一例である支持体を構成する支持ユニットの説明的斜視図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】本実施形態の支持体に支持される柱の各種態様を示す説明図。
【図4】本実施形態の支持体により円筒状の柱を支持した状態を示す説明図。
【図5】本実施形態の支持体により角筒状の柱を支持した状態を示す説明図。
【図6】本実施形態の支持体により角筒状の柱の上部に梁を支持した状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0043】
1…支持体、2…支持ユニット、3…取付補助具、4a乃至4e…円筒状の柱(柱状構造物)、4f…角筒状の柱(柱状構造物)、5…基礎(被固定物)、6…柱保持部、7…底板部、8…リブ、9…ボルト(締結手段)、10…ナット(締結手段)、31…角柱保持面、32…円柱保持面、33…連結孔、61…平面部、63…連結孔、71…挿通孔、71…長孔(挿通孔)、72…載置部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持ユニットの組合せにより柱状構造物を被固定物に固定する支持体であって、
前記支持ユニットは、前記柱状構造物の外壁部に沿って上下方向に延設される柱保持部と、前記被固定物に沿って水平方向に延設される底板部と、前記柱保持部と前記底板部とに亘って設けられるリブと、前記柱保持部に着脱自在の取付補助具とを備え、
前記柱保持部は上下方向に延設され平面視で直角となる一対の平面部を有し、前記底板部は被固定物と結合するためのボルトが挿通される挿通孔を有し、前記取付補助具は前記一対の平面部に沿って延びる一対の角柱保持面と上下方向に沿って延びる平面視で円弧状の円柱保持面とを有し、
円筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記取付補助具の角柱保持面を当接させ前記円柱保持面を前記柱状構造物の表面に当接させて前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定し、
角筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記柱状構造物の表面を当接させて前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定することを特徴とする柱状構造物の支持体。
【請求項2】
前記柱保持部及び前記取付補助具は、前記柱状構造物の下端部近傍に設けられた貫通孔に連通し締結手段が挿通される連結孔を有し、
円筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記取付補助具の角柱保持面を当接させ前記円柱保持面を前記柱状構造物の表面に当接させた状態で前記締結手段を前記柱保持部及び前記取付補助具の連結孔と前記柱状構造物の貫通孔に挿通させて前記締結手段により前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定し、
角筒状の柱状構造物を支持する際には前記柱保持部の平面部に前記柱状構造物の表面を当接させ、前記取付補助具の角柱保持面を前記柱状構造物の内部に配設した状態で前記締結手段を前記柱保持部及び前記取付補助具の連結孔と前記柱状構造物の貫通孔に挿通させて前記締結手段により前記支持ユニットと前記柱状構造物とを固定することを特徴とする請求項1に記載の柱状構造物の支持体。
【請求項3】
前記取付補助具を除く前記支持ユニットは鋳造により形成され、前記柱保持部と前記リブとは上方に向けて所定角度で肉薄となる形状を有し、前記柱保持部の平面部と前記底板部との角度が90゜となるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の柱状構造物の支持体。
【請求項4】
前記底板部は、前記柱保持部側に突出し前記柱状構造物の下端部が載置される載置部を有していることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の柱状構造物の支持体。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4に記載の支持体に支持される柱状構造物であって、
筒状の柱本体の内部又は外部であって前記支持体により支持される箇所を補強する補強部が設けられていることを特徴とする柱状構造物。
【請求項6】
前記補強部は、前記柱本体の下端部が内方に折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項5に記載の柱状構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−113383(P2007−113383A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113205(P2006−113205)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(390029698)テック大洋工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】