説明

栽培装置

【課題】タンクに貯留した培養液をポンプで送液している屋根緑化装置において、タンク内部での藻の発生を抑制しつつタンク内における培養液の貯留量を視認することが可能な栽培装置を提供する。
【解決手段】植物を栽培するための培地が収容される栽培槽と、この栽培槽との間で循環使用される培養液を貯留する遮光性の培養液タンク22と、内部が側方から視認可能であって、培養液タンクと連通され、上端が培養液タンクにおける培養液の貯留上限水位よりも高くなるように立設された視認用管状部材(透明パイプ41)と、遮光性を有し、視認用管状部材に対して着脱可能であって、装着時には視認用管状部材を外側から覆う遮光用管状部材(遮光パイプ42)と、遮光用管状部材の内側に取り付けられ、遮光用管状部材が視認用管状部材に装着された状態で視認用管状部材の内壁面に接する清掃部材(コイル状清掃具43等)とを備える栽培装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題への対応、都心部におけるヒートアイランド化の抑制、大気浄化等の環境対策、又は建物の断熱や紫外線劣化防止等を目的として、ビル等の屋上や工場等の屋根に植栽を施す屋上緑化設備が提案されている。
【0003】
引用文献1には、つる性植物を養液栽培する栽培槽と、この栽培槽に培養液を循環供給する培養液供給装置とを備え、つる性植物を栽培槽側面の開口部から伸長させることで屋根の表面の少なくとも一部を覆う屋根緑化装置(植物の栽培装置)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−201407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この屋根緑化装置では、タンクに貯留した培養液をポンプで送液している。培養液には、リンや窒素等の栄養成分が含まれているので、タンク内部は藻が発生やすい環境にある。藻の発生を抑制する目的でタンクには遮光性のものが用いられるが、そうするとタンク内における培養液の貯留量(液面レベル)を視認することが困難になる。
【0006】
そこで、タンク内に連通させた透明管をタンクに沿って立設し、透明管内の培養液の液面高さによって、タンク内における培養液の貯留量を確認することが考えられる。しかし、この場合、透明管の内壁に藻が繁殖することとなり、貯留量の確認が困難になってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、培養液の貯留量を確実に確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、植物を栽培するための培地が収容される栽培槽と、前記栽培槽との間で循環使用される培養液を貯留する遮光性の培養液タンクとを備えた栽培装置であって、内部が側方から視認可能であるとともに前記培養液タンクと連通され、上端が前記培養液タンクにおける前記培養液の貯留上限水位よりも高くなるように立設された視認用管状部材と、遮光性を有し、前記視認用管状部材に対して着脱可能であって、装着時には前記視認用管状部材を外側から覆う遮光用管状部材と、前記遮光用管状部材の内側に取り付けられ、前記遮光用管状部材が前記視認用管状部材に装着された状態で前記視認用管状部材の内壁面に接する清掃部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、貯留量を確認しない状態では、視認用管状部材を覆う状態で遮光用管状部材が取り付けられる。これにより、外光が遮られるため、視認用管状部材の内部における藻の発生を抑制できる。培養液の貯留量を確認する際、遮光用管状部材を視認用管状部材から取り外すが、その際に清掃部材が遮光用管状部材とともに移動する。そして、清掃部材は、視認用管状部材の内壁面と接触しながら移動し、この内壁面に付着したものを掻き取る。従って、藻等が視認用管状部材の内壁面に繁殖したとしても、遮光用管状部材の取り外し時に、清掃部材によって掻き取られるので、培養液の貯留量を確実に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】屋根緑化装置の全体構成を説明する斜視図である。
【図2】栽培槽の内部を示す断面図である。
【図3】培養液循環ユニットの構成を説明する図である。
【図4】コイル状清掃具を説明する図である。
【図5】へら状清掃具を説明する図である。
【図6】ブラシ状清掃具を説明する図である。
【図7】清掃具の回転動力として風車を用いた例を説明する図である。
【図8】清掃具の回転動力としてスクリューを用いた例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。ここでは、屋根緑化装置を挙げて説明することとする。この屋根緑化装置は、例えば、家屋等の建物において屋根表面を緑化する目的で設置されるものであり、ヘデラ等のつる性植物を栽培する栽培装置である。
【0012】
まず、屋根緑化装置の全体構成について説明する。
図1に示すように、屋根緑化装置は、栽培槽1と、培養液循環ユニット2とを備えている。
【0013】
栽培槽1は、つる性植物を水耕栽培するためのものであり、屋根3の大棟部4に設置されている。この栽培槽1で栽培されるつる性植物としては、多年生のものが用いられる。耐寒性及び耐暑性に優れ、また垂下性を有するという観点からウコギ科のつる性植物が好適に用いられる。ウコギ科のつる性植物としては、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・アルジェニシス、ヘデラ・コルシカ、ヘデラ・ハイバニカ等が挙げられる。
【0014】
栽培槽1は、直方体状の外観形状をしており、内部に空洞を有する箱体によって構成されている。すなわち、図2に示すように、栽培槽1は、ポリ塩化ビニル等の遮光性を有する材料からなり、上面が開放された直方体状の栽培槽本体5と、栽培槽本体5の上面開口を上方から覆う蓋体6とを有する。
【0015】
栽培槽本体5の側面には、供給側開口7と、排水側開口8と、側面開口9(図1を参照)とが形成されている。供給側開口7は、栽培槽本体5を構成する短辺側の側板のうち、一方の側板に形成されている。この供給側開口7には、培養液を供給する供給管10の上端部分が挿入される。排水側開口8は、栽培槽本体5を構成する短辺側の側板のうち、供給側開口7が設けられた側板とは反対側の側板に設けられている。この排水側開口8には、培養液を回収する回収管11の先端部分が挿入される。側面開口9は、栽培槽本体5を構成する長辺側の両側板に、長辺方向へ間隔を空けて形成されている。この側面開口9は、栽培槽1の内部に植栽されたつる性植物12が、栽培槽1の外へと伸びる際に通る出口となる。
【0016】
栽培槽本体5の内部には、つる性植物12を培養するための培地13が収容されている。この培地13には、植物が植え込まれている。本実施形態では、透水性のポット14で育苗された状態のつる性植物12が、ポット14ごと植え込まれている。
【0017】
供給側開口7を通って栽培槽1内に導かれた供給管10の上端部分は、培地13の表面にて噴射管15と接続されている。噴射管15は、培養液の噴射孔16が複数形成された円筒状部材であり、栽培槽1の長手方向に沿って配置されている。各噴射孔16から噴射された培養液は、培地13の全体にしみ渡る。
【0018】
排出口を通って栽培槽1内に導かれた回収管11の上端部分は、栽培槽1の底部近傍の培地13内に埋設されている。この上端部分の周面には培養液を回収するための回収孔17が複数形成されている。従って、噴射孔16から噴射されて培地13内を流下した培養液は、回収孔17から回収管11の内部に流入する。
【0019】
栽培槽1の側面開口9から伸長したつる性植物12は、網材18で支持されて繁茂する。この網材18は、屋根表面に沿って、屋根表面から浮いた状態で配置されている。つる性植物12を網材18で支持することで、日光の照射によって高温になった屋根表面につる性植物12が直接触れてしまうことを防ぎ、つる性植物12をより確実に生育させている。
【0020】
培養液循環ユニット2は、栽培槽1との間で培養液を循環させるための部分である。図3に示すように、培養液循環ユニット2は、培養液生成部21と、培養液タンク22と、貯留量確認部23とを有している。
【0021】
培養液生成部21は、水道水と濃縮液とから培養液を生成する。この培養液生成部21は、逆止弁24と、減圧弁25と、濃縮液混入器26と、濃縮液タンク27と、フロート28とを備えている。逆止弁24は、上水道供給管を流れる水道水の逆流を防止する。減圧弁25は、逆止弁24の下流側において、供給管に流れる水道水の圧力を減圧する。濃縮液混入器26は、減圧弁25で減圧された後の水道水と、濃縮液タンク27に貯留された濃縮液とを混合して培養液を生成する。この濃縮液混入器26は、培養液タンク22内に配置されたフロート28が規定の高さになるように、培養液タンク22に培養液を供給する。
【0022】
培養液タンク22は、栽培槽1との間で循環使用される培養液を貯留する部分であり、藻の発生を抑制するため遮光性の容器によって構成されている。例えば、着色されたポリ塩化ビニル等によって作製されている。この培養液タンク22には供給管10の下端部分及び回収管11の下端部分が挿入されている。そして、供給管10の下端開口10aは培養液タンク22の底面付近に位置し、回収管11の下端開口11aは培養液タンク22の上部に位置している。
【0023】
供給管10の途中には給液ポンプ31が設けられている。この給液ポンプ31は、培養液タンク22に貯められた培養液を栽培槽1へ向けて送る。また、供給管10の途中であって給液ポンプ31よりも上流側には、電磁バルブ32が設けられている。この電磁バルブ32は、供給管10における培養液の流れを許容したり遮断したりする部分であり、タイムスイッチ33によって動作が制御される。
【0024】
タイムスイッチ33は、栽培槽1に培養液を間欠的に供給するように電磁バルブ32を制御する。例えば、夏場では、植物の光合成が盛んに行われる日の出から日没まで、一時間毎に栽培槽1に培養液を供給し、植物が光合成を行わない日没後から日の出までは、栽培槽1への培養液の供給を停止するように動作が設定される。一方、冬場では、気温が下がる夜間の時間帯のみ培養液を循環させて、培養液が凍結してしまうことを防止するように動作が設定される。
【0025】
また、供給管10における給液ポンプ31と電磁バルブ32の間、及び、回収管11の途中には、それぞれフィルタ34が設けられている。これらのフィルタ34は、供給管10や回収管11を流れる培養液中に存在する異物を取り除く。
【0026】
培養液タンク22の内部にはヒータ35が配置されている。このヒータ35は、サーモコントローラ36によって動作が制御される。すなわち、サーモコントローラ36は、培養液タンク22に貯留された培養液が規定温度未満の場合にヒータ35を動作させ、規定温度に達するまで培養液を加温する。また、培養液タンク22の側面下部には、排液バルブ37が設けられている。この排液バルブ37は、屋根緑化装置の稼働時には閉じられており、培養液タンク22に貯留された培養液を排出する場合に開放される。
【0027】
貯留量確認部23は、培養液タンク22に貯留された培養液の量を確認するための部分である。この貯留量確認部23は、透明パイプ41(視認用管状部材)と、遮光パイプ42(遮光用管状部材)と、コイル状清掃具43(清掃部材)とを有している。
【0028】
透明パイプ41は、その内部が培養液タンク22の内部と連通されることで、内部空間が培養液によって満たされるパイプ材であり、内部が側方から視認可能なように透明な素材で作製されている。本実施形態の透明パイプ41は、アクリル製の有底円筒状パイプによって構成されている。この透明パイプ41は培養液タンク22の側面に沿って立設され、パイプ下端は連通管44によって培養液タンク22と連通されている。また、透明パイプ41の長さは、パイプ上端が培養液タンク22における培養液の貯留上限水位Hよりも高い位置となる程度に定められている。培養液タンク22と連通されていることから、透明パイプ41における培養液の水位は、培養液タンク22における培養液の水位と等しくなる。このため、透明パイプ41における培養液の水位から、培養液タンク22での培養液の貯留量を確認することができる。
【0029】
遮光パイプ42は、透明パイプ41に装着されることで、透明パイプ41への光の入射を抑制する。この遮光パイプ42は、例えば、着色された合成樹脂(ポリスチレン、ポリプロピレン)で作製した円筒パイプであり、図4に示すように、その内径が透明パイプ41の外径よりも多少大きく定められ、図3に示すように、その長さが透明パイプ41と同程度に定められている。また、図4に示すように、遮光パイプ42の上端は天板42a(天井部)で塞がれている。この天板42aもまた遮光パイプ42と同様に着色された合成樹脂で作製されている。
【0030】
この遮光パイプ42は、透明パイプ41に対して着脱可能に構成されている。すなわち、遮光パイプ42の下端内側に透明パイプ41の上端を差し込んだ後、遮光パイプ42を透明パイプ41に沿って下方に移動させることで、遮光パイプ42が透明パイプ41に装着される。また、装着状態の遮光パイプ42を透明パイプ41に沿って上方に移動させることで、遮光パイプ42を透明パイプ41から取り外すことができる。装着時において、遮光パイプ42は透明パイプ41を外側から覆う。これにより、透明パイプ41への光の入射を抑制する。
【0031】
コイル状清掃具43は、遮光パイプ42の内部空間(内側)に取り付けられている。そして、遮光パイプ42が透明パイプ41に装着された状態で、コイル状清掃具43の一部が視認用管状部材の内壁面に接するように構成されている。図4に示すように、コイル状清掃具43は、軸部43aと、コイル状部43bとを有している。軸部43aは、遮光パイプ42の天板42aとコイル状部43bの間に、遮光パイプ42の長手方向に沿って設けられている(すなわち天板42aから垂下されている)。コイル状部43bは、軸部43aの下端に接合され、コイル状に巻回された線材と、図示を省略しているが線材に取り付けられる清掃用のブラシとを有している。このブラシは、例えば、可撓性を有する合成樹脂製の細線を、線材に対して放射状に取り付けたものである。
【0032】
コイル状清掃具43は、遮光パイプ42を装着する際に透明パイプ41の内側空間に挿入される。そして、遮光パイプ42が装着された際、コイル状部43bのブラシが透明パイプ41の内壁面に接している。
【0033】
次に、屋根緑化装置の動作について説明する。
この屋根緑化装置において、培養液タンク22に貯留された培養液は、ヒータ35によって適温に調整されている。そして、タイムスイッチ33で規定される時間になると、電磁バルブ32が開放されるとともに給液ポンプ31が作動する。これにより、培養液タンク22に貯留された培養液が供給管10を通じて栽培槽1に供給される。そして、栽培槽1から排出された培養液は、回収管11を流下して培養液タンク22に戻される。植物による消費や蒸発等により、培養液タンク22に貯留された培養液が不足すると、培養液生成部21が動作して不足分の培養液が培養液タンク22へ供給される。
【0034】
貯留量確認部23の遮光パイプ42は、通常、透明パイプ41に装着された状態とされ、貯留量の点検時に取り外される。例えば、屋根緑化装置の管理担当者は、1週間に1回とか月に2〜3回程度の頻度で、定期的に培養液タンク22に貯留された培養液の量を確認するが、その際に遮光パイプ42が取り外される。
【0035】
このとき、図4に模式的に示すように、遮光パイプ42が透明パイプ41に沿って上方へ引き抜かれる。そして、コイル状清掃具43は、遮光パイプ42に取り付けられているので遮光パイプ42とともに移動する。コイル状清掃具43は、透明パイプ41の内壁面に接触しているため、移動によってこの内壁面に付着したものを掻き取る。従って、藻等が透明パイプ41の内壁面に繁殖したとしても、遮光パイプ42の取り外し時に、コイル状清掃具43によって掻き取られる。
【0036】
このように、本実施形態の屋根緑化装置では、貯留量を確認しない状態では、透明パイプ41を覆う状態で遮光パイプ42が取り付けられているので、外光が遮られて透明パイプ41内における藻の発生を抑制できる。そして、培養液の貯留量を確認する際、透明パイプ41の内壁面がコイル状清掃具43によって清掃されるので、付着物が除去されて培養液の貯留量を確実に確認できる。また、コイル状清掃具43が可撓性のブラシを備えているので、ブラシが透明パイプ41の内壁面に当接して撓むことで、内壁面に付着した藻等を確実に掻き取ることができる。
【0037】
ところで、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、次のように構成してもよい。
【0038】
図5は、コイル状清掃具43に代えてへら状清掃具44を設けた実施形態である。このへら状清掃具44では、軸部44aが遮光パイプ42の長手方向へ延長されている。そして、金属線を放射状に配したスポーク部44bが軸部44aに取り付けられている。さらに、スポーク部44bの先端には、可撓性を有するリング状のへら部44cが取り付けられている。へら部44cは、例えばシリコンゴムによって作製され、遮光パイプ42が透明パイプ41に装着された状態で、へら部44cの先端部分が透明パイプ41の内壁面に接する大きさとされる。なお、スポーク部44bとへら部44cの組は、軸部44aの方向に複数間隔を空けて設けられている。
【0039】
この実施形態では、コイル状清掃具43が可撓性を有するへら部44cを有しており、遮光パイプ42の透明パイプ41への着脱作業時に、へら部44cの先端が透明パイプ41の内壁面に当接して撓むことで、この内壁面に付着した藻等を確実に掻き取ることができる。
【0040】
図6は、コイル状清掃具43やへら状清掃具44に代えて、ブラシ状清掃具45を設けた実施形態である。このブラシ状清掃具45は、軸部45aが先の各実施形態よりも太く構成されて回転軸となっている。従って、この軸部45aは、遮光パイプ42の天板42aに対して回転可能な状態で取り付けられている。そして、軸部45aの上端部は、天板42aよりも外側に突出しており、ハンドル部45bが取り付けられている。
【0041】
また、軸部45aにおける遮光パイプ42の内側部分には、軸部45aから放射状に伸びるブラシ45cが取り付けられている。このブラシ45cもまた可撓性を有する合成樹脂製の細線よって作製され、この細線を、軸部45aを中心にして放射状に取り付けたものであるそして、ブラシ45cの大きさは、遮光パイプ42が透明パイプ41に装着された状態で、ブラシ45cの先端部分が透明パイプ41の内壁面に接する程度とされる。
【0042】
この実施形態では、遮光パイプ42が透明パイプ41に装着されている状態でハンドル部45bを回転操作することにより、ブラシ45cの先端部分が透明パイプ41の内壁面に擦られ、内壁面に付着した藻等を掻き取る。また、前述の実施形態と同様に、遮光パイプ42を透明パイプ41から取り外す際にも、ブラシ45cの先端部分が透明パイプ41の内壁面に擦られ、内壁面に付着した藻等を掻き取る。従って、内壁面に付着した藻等をより確実に掻き取ることができる。
【0043】
図7は、図6の実施形態におけるハンドル部45bに代えて、風車を用いた実施形態である。この実施形態では、遮光パイプ42の上方に垂直軸風車51を設けている。垂直軸風車51としては、サボニウス型風車やクロスフロー型風車といった低速回転用であって強いトルクを発生するものが好ましい。図7では、サボニウス型風車を使用している。
【0044】
そして、垂直軸風車51の回転軸に連結された外部回転軸52を、天板42aよりも外側に突出した軸部45aの上端部に、ジョイント部53を介して接続している。ジョイント部53としては、外部回転軸52の回転を軸部45aに伝えられればどのような形式であってもよいが、ホースのような可撓性を有する部材が好ましい。これは、遮光パイプ42を取り外すときに上方へ移動させるが、可撓性を有するジョイント部53であれば、遮光パイプ42がぶつかってしまう不具合を容易に避けることができるからである。
【0045】
この実施形態では、垂直軸風車51の回転によって軸部45aが回転し、ブラシ状清掃具45が透明パイプ41の内壁面に付着した藻等を掻き取る。このため、透明パイプ41の内壁面を清浄な状態に保つことができる。
【0046】
図8は、図6の実施形態におけるハンドル部45bに代えて、スクリュー54を設けた実施形態である。この実施形態では、軸部45aの下端に、この軸部45aを回転軸とするスクリュー54を固着している。このため、遮光パイプ42の透明パイプ41への装着時や透明パイプ41からの取り外し時において、スクリュー54が透明パイプ41内の培養液内を上下方向に移動する。その際に、スクリュー54が軸部45aとともに回転し、ブラシ状清掃具45が透明パイプ41の内壁面に付着した藻等を掻き取る。このため、遮光パイプ42の着脱操作に応じて、透明パイプ41の内壁面を清掃することができる。
【0047】
なお、前述の各実施形態において、遮光パイプ42や透明パイプ41の素材は、例示したものに限定されず適宜に定めることができる。また、円筒状に限らず、角筒状であってもよい。
【0048】
また、透明パイプ41に関し、全体を透明に構成しなくてもよい。例えば、液面を視認可能な透明窓部を、パイプの長手方向に亘って形成する構成であってもよい。この場合、清掃部材は、透明窓部に対応するパイプ内壁面を清掃する構成であればよい。
【0049】
また、各実施形態の構成同士を組み合わせることも可能である。例えば、へら状清掃具44を回転可能な状態で天板42aに取り付け、軸部44aの下端にスクリュー54を固着してもよい。
【0050】
また、本発明は、屋根緑化用のつる性植物12を栽培する栽培装置に限らず、イチゴ等の果物や緑黄色野菜等の水耕栽培にも適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…栽培槽,2…培養液循環ユニット,3…屋根,4…大棟部,5…栽培槽本体,6…蓋体,7…供給側開口,8…排水側開口,9…側面開口,10…供給管,10a…供給管の下端開口,11…回収管,11a…回収管の下端開口,12…つる性植物,13…培地,14…ポット,15…噴射管,16…噴射孔,17…回収孔,18…網材,21…培養液生成部,22…培養液タンク,23…貯留量確認部,24…逆止弁,25…減圧弁,26…濃縮液混入器,27…濃縮液タンク,28…フロート,31…給液ポンプ,32…電磁バルブ,33…タイムスイッチ,34…フィルタ,35…ヒータ,36…サーモコントローラ,37…排液バルブ,41…透明パイプ,42…遮光パイプ,42a…天板,43…コイル状清掃具,43a…軸部,43b…コイル状部,44…へら状清掃具,44a…軸部,44b…スポーク部,44c…へら部,45…ブラシ状清掃具,45a…軸部,45b…ハンドル部,45c…ブラシ,51…垂直軸風車,52…外部回転軸,53…ジョイント部,54…スクリュー,H…貯留上限水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培するための培地が収容される栽培槽と、前記栽培槽との間で循環使用される培養液を貯留する遮光性の培養液タンクとを備えた栽培装置であって、
内部が側方から視認可能であるとともに前記培養液タンクと連通され、上端が前記培養液タンクにおける前記培養液の貯留上限水位よりも高くなるように立設された視認用管状部材と、
遮光性を有し、前記視認用管状部材に対して着脱可能であって、装着時には前記視認用管状部材を外側から覆う遮光用管状部材と、
前記遮光用管状部材の内側に取り付けられ、前記遮光用管状部材が前記視認用管状部材に装着された状態で前記視認用管状部材の内壁面に接する清掃部材と、
を備えたことを特徴とする栽培装置。
【請求項2】
前記遮光用管状部材は、
前記装着時に、前記視認用管状部材の上端を上方から覆う天井部を有し、
前記清掃部材は、
前記遮光用管状部材の天井部に上端が取り付けられ、前記遮光用管状部材の長手方向に沿って設けられる軸部と、
前記軸部に取り付けられ、前記装着時に前記視認用管状部材の内壁面に接するブラシ部とを有することを特徴とする請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
前記遮光用管状部材は、
前記装着時に、前記視認用管状部材の上端を上方から覆う天井部を有し、
前記清掃部材は、
前記遮光用管状部材の天井部に上端が取り付けられ、前記遮光用管状部材の長手方向に沿って設けられる軸部と、
前記軸部に取り付けられ、前記装着時に先端部分が前記視認用管状部材の内壁面に接する可撓性のへら部とを有することを特徴とする請求項1に記載の栽培装置。
【請求項4】
前記清掃部材は、
前記軸部を中心に回転可能な状態で、前記天井部に取り付けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の栽培装置。
【請求項5】
前記清掃部材は、
前記軸部と連結され、前記軸部を回転させるためのハンドル部を、前記天井部の外側に設けたことを特徴とする請求項4に記載の栽培装置。
【請求項6】
前記軸部は、
前記天井部の外側に上端部を突出させた状態で取り付けられ、
前記軸部の上端部を、
風車によって回転される外部回転軸との接続部としたことを特徴とする請求項4に記載の栽培装置。
【請求項7】
前記清掃部材は、
前記軸部を回転軸とするスクリューを、前記軸部に固着したことを特徴とする請求項4に記載の栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−193847(P2011−193847A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66777(P2010−66777)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】