説明

梱包方法および梱包装置

【課題】段ボールにおける所定領域に糊が付着されたことを確実に検出し得る梱包方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】段ボール61のフラップ62,63の表面に加熱溶融させたホットメルト81を付着させた後に、段ボール61における所定領域Aへのホットメルト81の付着の有無をホットメルト81の付着時から所定時間内に温度センサ7のセンサ信号に基づいて検出する。例えば、ホットメルト81の付着を検出したときには、梱包動作を一時停止させて、ホットメルト81の付着したフラップ62,63上に最後のフラップ64,65が折り畳まれるのに先立ち、ホットメルト81の拭き取り作業を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラップを糊付けして製品を段ボールで梱包する梱包方法および梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の梱包装置として、特開平5−4617号公報に開示された梱包装置が知られている。この梱包装置によれば、長尺物を搬送する供給コンベアと、この供給コンベアで送られる長尺物を段積みする集積機構と、段ボールなどによる被包用シートの被包材マガジンから被包用シートをピックアップして取り出し段積長尺物を乗せる位置に載置するピッカーと、段積長尺物のまわりに被包用シートを折畳み或いは折り曲げる折込機構とを備えると共に、被包用シートの折り重ね面にホットメルト(糊)などの接着剤を塗布する糊付け機構と、被包用シートで包み込んだ梱包体の囲りを結束材で固着結束するバンド掛け機構と、結束済み梱包体を移送するプッシャを含む排出機構とを装備している。したがって、この梱包装置では、長尺物の梱包を人手を要することなく作業でき、その作業能率も著しく向上させ、取扱い安全で多量生産に適し、輸送コストの低減にも役立ち、稼働率も大幅に向上させることが可能となっている。
【特許文献1】特開平5−4617号公報(第3−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記した従来の梱包装置には、以下のような問題点が存在する。すなわち、突発的なトラブルによってピッカーによる段ボールの載置位置がずれることがあり、このときには、噴射ガンによって塗布されるホットメルトの塗布位置が段ボール上でずれることになる。したがって、図4に示すように、製品91の表面上に折り畳まれた一対のフラップ62,63の先端間に隙間71が生じる段ボール61に対して、このフラップ62,63の表面にホットメルト接着剤81(ハッチングを付した部材:以下、「ホットメルト81」ともいう)を塗布する場合、このホットメルト81の塗布位置のずれに起因して、製品91における隙間71から露出する表面(同図中の上面)にホットメルト81が塗布されたり、本来、ホットメルト81が塗布されるべきでない部位(同図では段ボール61の左側面66)にホットメルト81が塗布されたりすることがある。
【0004】
一方、この段ボール61を用いた梱包では、ホットメルト81が塗布されたフラップ62,63の上に他のフラップ64,65が折り畳まれて、ホットメルト81でフラップ64,65とフラップ62,63とが接着されて、梱包が完了する。この場合、梱包の完了後においても、左側面66に塗布されたホットメルト81は、目視によって直ちに確認でき、ホットメルト81が熱いうちに拭き取ることができる。しかしながら、フラップ62,63間の隙間71を介して製品91の表面に塗布されたホットメルト81については、フラップ64,65によって覆われているために目視で確認することができない結果、ホットメルト81が付着したままの状態で市場に出荷されるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、段ボールにおける所定領域に糊が付着されたことを確実に検出し得る梱包方法および梱包装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明に係る梱包方法は、段ボールのフラップの表面に加熱溶融させた糊を付着させた後に、前記段ボールにおける所定領域への前記糊の付着の有無を当該糊の付着時から所定時間内に温度センサのセンサ信号に基づいて検出する。
【0007】
また、本発明に係る梱包装置は、段ボールのフラップの表面に糊を付着させる糊付け機構と、前記段ボールにおける所定領域の温度を検出する温度センサと、前記糊の付着時から所定時間内において前記温度センサから出力されるセンサ信号に基づいて前記所定領域への当該糊の付着の有無を判定する判定部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る梱包方法および梱包装置によれば、段ボールのフラップの表面に加熱溶融させた糊を付着させた後に、段ボールにおける糊の付着を意図しない所定領域、例えば2つのフラップ間の領域への糊の付着の有無を糊の付着時から所定時間内に(つまり糊の温度が高い間に)温度センサのセンサ信号に基づいて検出することにより、糊が付着しているときには、梱包動作を一時停止させることができる。したがって、2つのフラップ間の領域から露出している収納品に糊が付着しているときには、糊の付着したフラップ上に最後のフラップが折り畳まれるのに先立ち、糊の拭き取り作業を実施することができる結果、例えば糊が付着したままの状態で収納品が市場に出荷されるのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る梱包方法および梱包装置の最良の形態について説明する。
【0010】
まず、図1,2を参照して、本発明に係る梱包装置1の構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、梱包装置1は、搬送コンベア2、段ボール供給機構3、折込機構4、製品供給機構5、糊付け機構6、温度センサ7、制御部8および出力部9を備えて構成されて、収納品としての製品91を段ボール61で梱包する。この場合、搬送コンベア2は、その上面に供給(載置)された段ボール61を折込機構4内に搬入すると共に、折込機構4で組み立てられた段ボール61を折込機構4の外部に搬出する。段ボール供給機構3は、搬送コンベア2上の所定位置(予め設定された載置位置)に段ボール61を供給(載置)する。折込機構4は、搬送コンベア2によって搬送されてきた段ボール61を箱状に組み立てる。製品供給機構5は、一例として上部が開口する箱状に組み立てられた段ボール61内に、この上部側から製品91を収納する。糊付け機構6は、溶融状態の糊(以下、「ホットメルト」ともいう)81を噴射する噴射ガンを含んで構成されている。また、糊付け機構6は、上部が開口する箱状に組み立てられた段ボール61におけるこの開口部分の四辺に取り付けられている4つのフラップ62,63,64,65のうちの2つのフラップ62,63の表面にホットメルト81を塗布する。
【0012】
温度センサ7は、一例として赤外線センサで構成されて、図2に示すように、段ボール61における各フラップ62,63の上方に配設されている。また、温度センサ7は、各フラップ62,63間に生じる隙間71を含む所定領域A(ホットメルト81の付着を意図しない領域であって、図2においてハッチングを付した領域)の温度を検出してセンサ信号S1として出力する。したがって、所定領域A内に高温(硬化前のホットメルト81の温度に近い温度)の物体が含まれているときには、その温度に応じたセンサ信号S1を出力する。なお、本例では、隙間71のほぼ全域を含むように所定領域Aを設定したが、これに限定されるものではない。例えば、所定領域Aは、糊付け機構6と段ボール61との間に位置ずれが生じた際に、ホットメルト81が塗布される可能性のある隙間71を少なくとも含むように設定されていればよい。
【0013】
制御部8は、本発明における判定部に相当し、搬送コンベア2、段ボール供給機構3、折込機構4、製品供給機構5および糊付け機構6を制御する。また、制御部8は、ホットメルト81の付着時から所定時間内(例えば、5秒程度の時間内、つまりホットメルト81の温度が高い間に)において温度センサ7から出力されるセンサ信号S1に基づいて所定領域Aへのホットメルト81の付着の有無を判定すると共に、その判定結果を出力部9に出力する。この場合、折込機構4による段ボール61の組み立て作業中に使用される高温の物体はホットメルト81以外は存在しない。したがって、制御部8は、センサ信号S1によって特定される温度が高温(例えば、50°C以上)のときには、所定領域A内にホットメルト81が存在すると判定する。出力部9は、一例として、ディスプレイ装置を含んで構成されて、制御部8から出力された判定結果を表示画面上に表示させる。
【0014】
次いで、図1〜3を参照して、梱包装置1の動作と併せて梱包方法を説明する。
【0015】
梱包装置1では、作動状態において、制御部8の制御下で、まず、段ボール供給機構3が、組み立て前の(展開状態の)段ボール61を搬送コンベア2上に載置し、次いで、搬送コンベア2が、段ボール61を折込機構4内に搬入する。続いて、制御部8の制御下で、折込機構4が作動して、展開状態の段ボール61を、その上面のみが開口する箱状に組み上げ、次いで、製品供給機構5が段ボール61内に製品91を収納する。続いて、折込機構4が、段ボール61の開口部分の四辺に取り付けられている4つのフラップ62,63,64,65のうちの2つのフラップ62,63を図2に示すように内側に折り畳み、引き続いて、糊付け機構6が、このフラップ62,63の表面に加熱溶融させたホットメルト81を塗布する。温度センサ7は、この糊付け機構6によるホットメルト81の塗布作業中、または塗布作業の終了直後に、所定領域Aの温度を検出してセンサ信号S1を制御部8に出力する。具体的には、図2に示すように、ホットメルト81が所定領域A内に含まれているときには、温度センサ7は、ホットメルト81の温度に応じたセンサ信号S1を制御部8に出力する。次いで、制御部8は、所定領域A内にホットメルト81が付着しているか否かを判定する。この場合、制御部8は、センサ信号S1によって特定される温度が所定温度(この例では、50°C)以上のときに、フラップ62,63間に形成されている隙間71から露出している製品91の表面にホットメルト81が付着していると判定して、折込機構4による段ボール61の最後のフラップ64,65の折り畳み動作を一時的に停止させ、製品91にホットメルト81が付着した旨の警告を出力部9に表示させる。出力部9に警告が表示されたときには、作業者は、ホットメルト81が熱いうちに(ホットメルト81の硬化前に)、製品91に付着したホットメルト81を拭き取り、その後に、梱包装置1による梱包動作を再開させる。これにより、折込機構4は、最後のフラップ64,65を各フラップ62,63上に折り畳む。
【0016】
一方、図3に示すように、ホットメルト81が所定領域A内に含まれていないときには、温度センサ7は、所定領域Aにおけるフラップ62,63および製品91の温度に応じたセンサ信号S1を制御部8に出力する。この場合、制御部8は、センサ信号S1によって特定される温度が所定温度(この例では、50°C)未満のため、所定領域A内に(つまり製品91に)ホットメルト81が付着することなく、フラップ62,63にホットメルト81が正常に塗布されたと判定して、段ボール61の最後のフラップ64,65の折り畳み動作を折込機構4に実行させる。これにより、折込機構4は、最後のフラップ64,65を各フラップ62,63上に折り畳む。この結果、最後のフラップ64,65が、ホットメルト81によって各フラップ62,63に接着され、段ボール61による製品91の梱包が完了する。次いで、制御部8は、搬送コンベア2を作動させて、折込機構4内から梱包された製品91を搬出させると共に、次の段ボール(展開状態の段ボール)61を折込機構4内に搬入させる。その後、この梱包装置1では、各構成要素が上記した動作を繰り返し実行することにより、製品91に対する段ボール61を用いた梱包が連続して行われる。
【0017】
このように、この梱包方法および梱包装置1によれば、段ボール61に収納されている製品91の表面を覆うようにして折り畳まれている段ボール61の各フラップ62,63の表面にホットメルト81を付着させた後に、ホットメルト81の付着時から所定時間内に、所定領域A(つまり製品91の表面)へのホットメルト81の付着の有無を温度センサ7のセンサ信号S1に基づいて検出して、付着しているときには、梱包動作を一時停止させることができる。したがって、製品91にホットメルト81が付着しているときには、ホットメルト81の付着したフラップ62,63上に最後のフラップ64,65が折り畳まれるのに先立ち、ホットメルト81の拭き取り作業を実施することができる結果、ホットメルト81が付着したままの状態で製品91が市場に出荷されるのを確実に防止することができる。
【0018】
なお、本発明は、上記した構成に限定されない。例えば、出力部9をディスプレイ装置で構成した例について上記したが、プリンタ装置やスピーカなど、制御部8による判定処理の結果を出力(報知)可能な限り、各種の装置を採用することができる。また、搬送コンベア2、段ボール供給機構3、折込機構4、製品供給機構5、糊付け機構6、温度センサ7、制御部8および出力部9を含む構成について説明したが、これらすべてを含むものに限定されず、折込機構4、糊付け機構6、温度センサ7、制御部8および出力部9を少なくとも含む構成であればよい。さらに、制御部8および出力部9を他の構成要素とは別体に構成することもできる。また、ホットメルト81の付着を温度センサ7のセンサ信号S1(例えば、温度情報や、温度に応じた色情報など)に基づいて人的に監視する構成を採用する場合には、制御部8および出力部9を省いて梱包装置を構成することもできる。また、温度センサ7によって製品91へのホットメルト81の付着を検出したときに、梱包装置1による梱包動作を一時的に停止させて製品91に付着したホットメルト81を拭き取る構成を採用しているが、ホットメルト81が付着している製品91を梱包装置1の外部に搬出するラインを設けて、梱包装置1による梱包動作を停止させることのない構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】梱包装置1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】所定領域A内にホットメルト81が塗布された状態の段ボール61および温度センサ7の斜視図である。
【図3】所定領域A内にホットメルト81が塗布されていない状態の段ボール61および温度センサ7の斜視図である。
【図4】隙間71にホットメルト81が塗布された状態の段ボール61の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 梱包装置
4 折込機構
6 糊付け機構
7 温度センサ
8 制御部
61 段ボール
62,63 フラップ
81 ホットメルト接着剤
91 製品
S1 センサ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールのフラップの表面に加熱溶融させた糊を付着させた後に、前記段ボールにおける所定領域への前記糊の付着の有無を当該糊の付着時から所定時間内に温度センサのセンサ信号に基づいて検出する梱包方法。
【請求項2】
段ボールのフラップの表面に糊を付着させる糊付け機構と、前記段ボールにおける所定領域の温度を検出する温度センサと、前記糊の付着時から所定時間内において前記温度センサから出力されるセンサ信号に基づいて前記所定領域への当該糊の付着の有無を判定する判定部とを備えている梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−199312(P2006−199312A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10579(P2005−10579)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】