説明

梱包箱

【課題】薄型の被梱包物(薄型画像表示装置)を開梱時に転倒しないように安全に収容することができる梱包箱を提供する。
【解決手段】平面視で細長い形状を有し、上部が開口した箱本体1と、箱本体1の内底部に配置され、平面視で細長い形状の被梱包物20の底部に嵌合する凹部を有する緩衝材3,4とを備え、箱本体1の短手方向に位置する両側の側面部1bに取り付けられ、各側面部1bから横方向に突設可能な転倒防止部材10,11を備えている。側面部1bの夫々に2個の取付孔1h,1hを離隔して設けてあり、転倒防止部材10,11に2個の取付孔1h,1hと対応する2個の結合孔10d,10d及び結合孔11d,11dを設けてあり、取付孔1h,1hと結合孔10d,10d及び結合孔11d,11dを貫通し、転倒防止部材10,11を箱本体1に取り付ける取付具30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の画像表示装置などの平面視で細長い形状を有する被梱包物を搬送する際に用いる梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンド支持式の薄型画像表示装置をパネル本体とスタンドとに分離して収納する梱包箱が公知である(特許文献1参照)。具体的には、上面が開口した直方体形状の上箱の内底部に下緩衝材を配置し、上方からパネル本体を立設した姿勢で下箱に収納してパネル底部を下緩衝材に嵌合保持させるとともに、左右のスタンドを下緩衝材のパネル本体の嵌合部に隣接する箇所に嵌合保持させ、さらにパネル本体の上部に上緩衝材を嵌合させてから、下面が開口した直方体形状の上箱を下箱に被せる構造である。
【0003】
また、特許文献1の梱包箱では、開梱後のパネル本体へのスタンドの取付け作業を容易にする構造を備えている。具体的には、下箱の短手側となる両横側面部の一方に、上端が開放されたスリットをパネル本体に左右のスタンドを取り付けたときの間隔と同じ間隔を離して2個形成してあり、2個の上緩衝材に、スタンドを立設した姿勢で嵌合保持可能な保持部と、下箱のスリットに嵌合する突起を設けてある。スリットを設けた下箱の横側面部に2個の上緩衝材を配置して各上緩衝材の突起を下箱の各スリットに嵌合させ、各上緩衝材に立設した左右の各スタンドを保持させた後、パネル本体を持ち上げてパネル下面のスタンド挿入穴に左右の各スタンドを位置合わせし、ネジ止めにて固定する構造である。
【特許文献1】特開2008−74416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型の液晶テレビのような壁掛け式の薄型画像表示装置では、スタンドを使用せず、パネル本体に壁掛け用金具(アングル)を装着して壁に設置する構造である。また、壁に設置する前に、パネル本体に電源部と接続するための配線を装着する必要もある。このような装着作業は上箱を取り外し、パネル本体を下箱に保持させた状態で行うが、薄型画像表示装置ではパネル本体の厚みが薄く、下箱の短手側の幅が短いため、下箱の姿勢が不安定となり、作業時に加わる力によって、パネル本体が下箱ごと転倒するおそれがあった。
【0005】
前記特許文献1の梱包箱では、下箱の一方の長辺側横側面部にのみ上緩衝材を取り付けてあり、また上緩衝材の下箱への取り付けが突起とスリットによるものであるために、表示パネルに強い力が加わると、パネル本体が下箱ごと上緩衝材を取り付けていない下箱の横側面側に転倒する可能性があり、また、上緩衝材の突起が下箱のスリットに対して位置ずれして下箱が傾き、転倒に至る可能性があることにより、転倒防止には有効ではない。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、薄型の被梱包物を開梱時に転倒しないように安全に収容することができる梱包箱を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、設置場所に搬送した薄型画像表示装置に対する電源部との接続用の配線、壁掛け用金具等の装着作業を製品の転倒を防止して安全に行うことができる梱包箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る梱包箱は、平面視で細長い形状を有し、上部が開口した箱本体と、該箱本体の内底部に配置され、平面視で細長い形状の被梱包物の底部に嵌合する凹部を有する緩衝材とを備え、該被梱包物を収容することが可能である梱包箱において、前記箱本体の短手方向に位置する両側の側面部に取り付けられ、各側面部から横方向に突設可能な転倒防止部材を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、平面視で細長い形状の被梱包物が、平面視で細長い形状を有し、上部が開口した箱本体の内底部に配置された緩衝材の凹部に底部を嵌合されて梱包箱に収容された状態で、短手方向に倒れようとした場合、箱本体の短手方向に位置する両側の側面部に横方向に突設させた転倒防止部材が箱本体を置いた床面等に当接するので、被梱包物の転倒が確実に防止される。
【0010】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記側面部の夫々に2個の取付孔を離隔して設けてあり、前記転倒防止部材に前記2個の取付孔と対応する2個の結合孔を設けてあり、前記取付孔及び前記結合孔を貫通し、前記転倒防止部材を前記箱本体に取り付ける取付具を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、箱本体の短手方向に位置する一方の側面部に離隔して設けた2個の取付孔に、箱本体側の取付孔に対応させて転倒防止部材に設けた2個の結合孔を位置合わせし、取付孔及び結合孔に取付具を貫通させて転倒防止部材を箱本体に取り付ける。同様に、箱本体の短手方向の他方の側面部に設けた2個の取付孔と転倒防止部材に設けた2個の結合孔とを位置合わせして取付具を貫通させ、転倒防止部材を箱本体に取り付ける。ここで、離隔した2個の孔の位置で転倒防止部材を箱本体に取り付けるので、取り付け位置のずれが生じるおそれがなく、また、取り付け強度も高くなる。従って、転倒防止部材の箱本体への取り付けを孔の位置合わせ及び該孔への取付具の貫通という簡単な操作により容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明において、平面視で細長い形状を有し、前記上部を覆う状態で箱本体に被せられるように下部が開口した蓋と、該蓋の内部の天部に配置され、前記被梱包物の上部に嵌合する凹部を有する上緩衝材とを更に備え、前記蓋の短手方向に位置する両側の側面部の夫々及び前記箱本体の両側の側面部の夫々に、前記蓋を上方から前記箱本体に被せて前記上緩衝材の凹部が前記被梱包物の上部に嵌合し、前記緩衝材の凹部が前記被梱包物の底部に嵌合した状態で同一位置となる箱結合孔を設けてあり、前記取付具は、前記蓋の箱結合孔と箱本体の箱結合孔とを貫通して蓋を箱本体に固定する固定状態と該固定状態を解除した状態とに切替自在な固定具にて兼用してあることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、平面視で細長い形状の被梱包物の底部を内底部の緩衝材の凹部に嵌合させた前記箱本体の開口した上部を覆う状態で、平面視で細長い形状の蓋を上方から箱本体に被せて、蓋の内部の天部に配置した上緩衝材の凹部に被梱包物の上部を嵌合させると、蓋及び箱本体の短手方向に位置する一方の側面部に設けた蓋及び箱本体の各箱結合孔が同一位置となり、同様に、蓋及び箱本体の短手方向に位置する他方の側面部に設けた各箱結合孔が同一位置となるので、同一位置にある蓋及び箱本体の箱結合孔に固定具を貫通させて蓋を箱本体に固定する固定状態に切り替え、被梱包物を箱本体の内底部の緩衝材と蓋の天部の上緩衝材とに嵌合させて蓋及び箱本体の内部に収容する。
【0014】
次に、開梱するときは、蓋を箱本体に固定する固定状態から該固定状態を解除した状態に固定具を切り替えて、固定具を蓋及び箱本体の箱結合孔から取り外し、箱本体に被せてある蓋を箱本体から外す。そして、箱本体の側面部に設けた前記取付孔と転倒防止部材に設けた前記結合孔とを位置合わせし、前記固定具を該取付孔及び結合孔に貫通させて、転倒防止部材を箱本体の側面部に取り付ける。従って、梱包状態で蓋を箱本体に固定する固定具を開梱時には転倒防止部材を箱本体に取り付ける取付具として有効利用するので、専用の取付具を用意する必要がなく、梱包箱の構成を簡素化し、コストアップも回避できる。
【0015】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記固定具は、前記蓋及び箱本体の箱結合孔に挿入可能な断面を有する筒体と、該筒体の筒軸方向の一方端に外向きに延設された鍔部と、筒体の対向する内壁部の夫々に連設された2個の揺動体とを備え、該2個の揺動体の夫々は、前記内壁部に筒軸に沿う向きに揺動可能に支持された板状の基部と、該基部の遊端部から基部の方向と直交する方向で前記鍔部とは反対側に延設された平板部とを備え、前記2個の揺動体の各基部が前記内壁部に当接し、各平板部が前記鍔部とは反対側の筒体の端部から突出して略同一平面上に位置し、前記鍔部と略平行となる揺動位置を保持するための被係止部を前記2個の揺動体の一方に設けてあり、該被係止部に対して係止及び係止解除自在な係止部を前記2個の揺動体の他方に設けてあることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、筒体の対向する内壁部の夫々に連設された2個の揺動体の一方に設けた被係止部と他方に設けた係止部との係止を解除した状態で、前記同一位置にある蓋及び箱本体の側面部の箱結合孔に、筒体の鍔部を設けた側とは反対側の筒軸方向の端部を向けて筒体を挿入した後、筒体の対向する内壁部の夫々に連設された2個の揺動体に備えられ、内壁部に筒軸に沿う向きに揺動可能に支持された板状の各基部を内壁部に当接するまで揺動させると、各基部の遊端部から基部の方向と直交する方向で前記鍔部とは反対側に延設された各平板部が前記鍔部とは反対側の筒体の端部から突出して略同一平面上に位置し、前記鍔部と略平行となるように位置し、さらに前記被係止部に係止部を係止させて、2個の揺動体の揺動位置を保持する。これによって、鍔部が蓋の側面部に当接し、平板部が箱本体の側面部に当接して、固定具が蓋を箱本体に固定する固定状態に切り替えられる。
【0017】
次に、前記被係止部に対する係止部の係止を解除して、各平板部が前記鍔部とは反対側の筒体の端部から突出した状態から筒体の内部に戻るように各基部を筒軸に沿う向きに揺動させた後、蓋及び箱本体の側面部の箱結合孔に挿入した筒体を引き出し、固定具が蓋を箱本体に固定する固定状態から解除状態に切り替えられる。従って、蓋を箱本体に固定する固定状態と該固定状態を解除した状態とに切替自在な固定具の具体的な実施形態が得られる。
【0018】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記蓋の内部の長手方向の両端部に配置され、前記被梱包物の長手方向の両側の横側部に嵌合する凹部を有する側部緩衝材を更に備え、該側部緩衝材は、蓋の短手方向で前記凹部の両側に位置する側部の一方が他方より蓋の長手方向での長さが長く形成され、前記転倒防止部材は、前記側部緩衝材にて兼用し、前記蓋の長手方向での長さが長い側部が下側に位置する状態で、側部緩衝材を前記箱本体の側面部に取り付け可能であることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、前記被梱包物の底部を前記緩衝材の凹部に嵌合させた箱本体の開口した上部を覆う状態で、前記蓋を上方から箱本体に被せて、前記上緩衝材の凹部に被梱包物の上部を嵌合させるとともに、前記蓋の内部の長手方向の両端部に配置された側部緩衝材の凹部に被梱包物の長手方向の両側の横側部を嵌合させた後、蓋及び箱本体の短手方向に位置する各側面部の同一位置にある箱結合孔に固定具を貫通させて蓋を箱本体に固定する固定状態に切り替え、被梱包物を箱本体の内底部の緩衝材と蓋の天部の上緩衝材と蓋の長手方向の両端部の側部緩衝材とに嵌合させて蓋及び箱本体の内部に収容する。
【0020】
次に、開梱するときは、蓋を箱本体に固定する固定状態から該固定状態を解除した状態に固定具を切り替えて、固定具を蓋及び箱本体の箱結合孔から取り外し、箱本体に被せてある蓋を箱本体から外す。そして、蓋の短手方向で凹部の両側に位置する側部のうち蓋の長手方向での長さが長い方の側部が下側に位置する状態の側部緩衝材に設けた前記結合孔と箱本体の側面部に設けた前記取付孔とを位置合わせし、前記固定具を該取付孔及び結合孔に貫通させて、側部緩衝材を箱本体の側面部に取り付ける。従って、梱包状態で被梱包物の長手方向の両側の横側部に嵌合する側部緩衝材を開梱時の転倒防止部材として有効利用するので、専用の転倒防止部材を用意する必要がなく、梱包箱の構成を簡素化し、コストアップも回避でき、また、箱本体の側面部に取り付けた側部緩衝材の下側に位置し、横方向に突設した部分の長さが長くなるので転倒防止効果が高くなる。
【0021】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記側部緩衝材は、前記凹部が形成された緩衝材本体と、該緩衝材本体に取り付けられ、前記蓋の内周部に当接する当接面を有する補強材とを備え、該当接面に前記結合孔を設けてあり、前記箱本体の取付孔及び前記補強材の結合孔を貫通する取付具によって前記側部緩衝材を前記箱本体の側面部に取り付けた状態で、前記補強材の当接面は前記箱本体の側面部の外周面に当接することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、梱包状態では、前記側部緩衝材の緩衝材本体に形成した凹部に被梱包物の長手方向の両側の横側部を嵌合させ、緩衝材本体に取り付けられた補強材が有する当接面を蓋の内周部に当接させる。一方、開梱時に側部緩衝材を箱本体の側面部に取り付けるときは、補強材の当接面に設けた前記結合孔と箱本体の側面部に設けた前記取付孔とを位置合わせし、補強材の当接面を箱本体の側面部の外周面に当接させた状態で前記固定具を該取付孔及び結合孔に貫通させて、補強材を箱本体の側面部に固定する。従って、側部緩衝材における緩衝機能は緩衝材本体で確保し、梱包状態での蓋の内周部による保持の安定性と開梱時の箱本体の側面部への取付の安定性とを補強材によって向上させることができる。
【0023】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記緩衝材本体又は補強材の一方に所定深さの溝を設けてあり、他方に前記溝に嵌入可能な嵌入部を設けてあり、前記嵌入部が前記溝に嵌入したときに相互に係止可能な係止部又は被係止部の一方を前記緩衝材本体に設けてあり、前記係止部又は被係止部の他方を前記補強材に設けてあることを特徴とする。
本発明によれば、緩衝材本体又は補強材の一方に設けた溝に、緩衝材本体又は補強材の他方に設けた嵌入部を嵌入させると、緩衝材本体に設けた係止部又は被係止部の一方と補強材に設けた係止部又は被係止部の他方とが相互に係止する。従って、緩衝材本体又は補強材の一方に設けた溝に他方に設けた嵌入部を嵌入させる操作によって、補強材が緩衝材本体に取り付けられるので、緩衝材本体への補強材の装着をワンタッチで簡単に行うことができる。
【0024】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記転倒防止部材は、前記上緩衝材にて兼用してあることを特徴とする。
本発明によれば、開梱時には前記上緩衝材を箱本体の側面部に取り付けて、転倒防止部材とする。従って、梱包状態で被梱包物の上部に嵌合する上緩衝材を開梱時の転倒防止部材として有効利用するので、専用の転倒防止部材を用意する必要がなく、梱包箱の構成を簡素化し、コストアップも回避できる。
【0025】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記箱本体の長手方向の中央の内底部に、前記被梱包物の底部を収容する溝部及び前記箱本体の短手方向の内周面に当接する側面部を有する中央緩衝材を備えており、前記転倒防止部材は前記箱本体の短手方向で前記中央緩衝材の両側に位置することを特徴とする。
本発明によれば、前記被梱包物の底部が、前記箱本体の内底部に配置された緩衝材の凹部に底部を嵌合されるとともに、箱本体の長手方向の中央の内底部に備えられ、箱本体の短手方向の内周面に側面部が当接する中央緩衝材の溝部に収容される。開梱時には、箱本体の側面部に取り付けられる転倒防止部材が箱本体の短手方向で前記中央緩衝材の両側に位置するので、転倒防止部材が傾斜したときに箱本体の側面部が変形しようとしても中央緩衝材によって変形が抑えられる。従って、梱包状態では被梱包物の底部を保護する緩衝材の効果を高め、開梱時には転倒防止部材の転倒防止効果を高めることができる。
【0026】
本発明に係る梱包箱は、前述の発明における前記被梱包物は薄型の画像表示装置であることを特徴とする。
本発明によれば、平面視で細長い形状を有し、上部が開口した箱本体の内底部に配置された緩衝材の凹部に底部を嵌合されて収容された薄型の画像表示装置が短手方向に傾いて倒れようとしても、箱本体の短手方向に位置する両側の側面部に横方向に突設させて取り付けた転倒防止部材によって転倒が確実に防止される。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る梱包箱によれば、平面視で細長い形状の薄型の被梱包物を平面視で細長い形状の梱包箱に底部を緩衝材に嵌合させて収容した場合、被梱包物及び梱包箱は短手方向に傾斜して倒れ易い状態となるが、箱本体の短手方向に位置する両側の側面部に横方向に突設させた転倒防止部材によって転倒が防止され、薄型の被梱包物が開梱時に転倒しないように安全に収容することができる梱包箱が提供される。
【0028】
本発明に係る梱包箱によれば、平面視で細長い形状を有し、上部が開口した箱本体に収容された薄型の画像表示装置の転倒が防止されるので、設置場所に搬送した薄型の画像表示装置に対する電源部との接続用の配線、壁掛け用金具等の装着作業を製品の転倒を防止して安全に行うことができる梱包箱が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る梱包箱の実施の形態について、被梱包物が薄型の画像表示装置(例えば、壁掛け式の液晶表示装置)である場合を例として図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る梱包箱の構成を示す斜視図、図2は同梱包箱の緩衝材の配置を示す斜視図、図3及び図4は同梱包箱の側部緩衝材の構成を示す斜視図、図5は同梱包箱の緩衝材による被梱包物の保持状態を示す斜視図、図6は同梱包箱による梱包状態を示す断面図である。
【0030】
本発明に係る梱包箱は、上部1aが開口した直方体形状の箱本体1と、下部2aが開口した直方体形状の蓋2とを備えている。箱本体1及び蓋2は、共に平面視で細長い形状(長方形)を有し、蓋2が箱本体1の上部1aを覆う状態で箱本体1に被せられるように、蓋2の下部2aの内周寸法を箱本体1の上部1aの外周寸法より少し大きくしてある。また、蓋2の上下寸法を箱本体1の上下寸法より長くしてある。尚、画像表示装置20は、表示パネル部20aと、表示パネル部20aの下部に取り付けたスピーカー部20bとを備える。
【0031】
箱本体1は、短手方向に位置する両側の側面部1bと、長手方向に位置する両側の側面部1cとを有している。蓋2は、短手方向に位置する両側の側面部2bと、長手方向に位置する両側の側面部2cとを有している。図1に、蓋2の4つの側面部2b,2cの天部2d側の各縁部に板片2e,2e,2e,2eを折り曲げ自在に連設し、梱包時に各板片2e,2e,2e,2eを内側に折り曲げ、板片2e,2e,2e,2e同士を金具等にて接続して天部2dを塞ぐようにした蓋2を示すが、予め天部2dを板材で塞いである蓋でもよい。箱本体1及び蓋は、段ボール板材にて作製してある。
【0032】
箱本体1の内底部には、長手方向の両端部に夫々下緩衝材3,4を配置し、中央部に中央緩衝材5を配置してある。各下緩衝材3,4は、外形が略直方体をなし、平面視で3つの側面が箱本体1の2つの側面部1b及び1つの側面部1cの各内周面に当接している。各下緩衝材3,4は箱本体1より上方に突き出た上部分3a,4aを有し、該上部分3a,4aの外周部は箱本体1の各側面部1b,1cの上縁部に被さっている。各下緩衝材3,4には、箱本体1の長手方向に平行で短手方向に所定間隔を隔てて対向した2つの内壁と、箱本体1の側面部1c側及び底部1d側の内壁とを有し、箱本体1の上方側及び長手方向の内側に開放された凹部3b、4bを設けてある。表示パネル部20aの底部を嵌め易くするために、箱本体1の短手方向に対向した凹部3b、4bの2つの内壁の一方は一部除去してある。凹部3b、4bの箱本体1の短手方向の寸法は表示パネル部20aの底部の厚さより少し大きくしてある。
【0033】
下緩衝材3,4には箱本体1の各側面部1bに当接する側の外周部に突起3c、4cが設けてあり、該突起3c、4cを係止する係止孔1e,1eが箱本体1の側面部1b,1bに設けてある。下緩衝材3,4の各突起3c、4cを箱本体1の各係止孔1e,1eに係止させることにより、下緩衝材3,4が箱本体1から外れないように保持してある。
【0034】
箱本体1の各側面部1bの上縁部は、箱本体1の長手方向の中央位置に矩形状の切欠1fを有している。中央緩衝材5は、外形が略直方体をなし、上端部は箱本体1の側面部1bの上縁部より少し下側に位置している。中央緩衝材5は平面視で箱本体1の短手方向に位置する2つの側面部5aの下側部分が箱本体1の側面部1bの内周面に当接している。2つの側面部5aの上側部分は外周部が外側に張り出して箱本体1の側面部1bの切欠1fに嵌まり、中央緩衝材5は箱本体1の中央位置に保持されている。中央緩衝材5は箱本体1の長手方向に平行で上方に開放した溝部5bを有している。溝部5bの底位置は各下緩衝材3,4の凹部3b、4bの底位置より下方に位置し、溝部5bの幅はスピーカー部20bの寸法よりも広い幅に形成してある。
【0035】
蓋2の内部の天部2dの長手方向の両端部に上端部緩衝材6,7が配置される。各上端部緩衝材6,7は、外形が略直方体をなし、平面視で3つの側面が蓋2の2つの側面部2b及び1つの側面部2cの内周面に当接する。各上端部緩衝材6,7には、蓋2の長手方向に平行で短手方向に所定間隔を隔てて対向した2つの内壁と、側面部2c側の内壁と、蓋2の天部2d側の内壁とを有し、蓋2の下方側及び長手方向の内側に開放された凹部6a,7aを設けてある。表示パネル部20aの上部を嵌め易くするために、凹部6a,7aの短手方向に対向した2つの内壁の一方は一部除去してある。凹部6a,7aの蓋2の短手方向の寸法は表示パネル部20aの上部の厚さより少し大きくしてある。
【0036】
蓋2の内部の天部2dには、各上端部緩衝材6,7から長手方向に離間して2個の上補助緩衝材8,8が配置される。各上補助緩衝材8,8は蓋2の長手方向に平行で下方に開放した凹部8a,8aを有している。表示パネル部20aの上部を嵌め易くするために、凹部8a,8aの短手方向に対向した2つの内壁の一方は一部除去してある。凹部8a,8aの蓋2の短手方向の寸法は表示パネル部20aの上部の厚さより少し大きくしてある。各上補助緩衝材8,8の蓋2の長手方向の一端部に、断面V字状で蓋2の長手方向に平行な溝8b,8bが設けられ、各上端部緩衝材6,7の蓋2の長手方向の一端部に、断面V字状で蓋2の長手方向に平行な溝6b,7bが設けられている。各上補助緩衝材8,8の各溝8b,8b及び各上端部緩衝材6,7の各溝6b,7bに、蓋2の長手方向に長い段ボール板材を断面V字状に折り曲げた連結材9,9の各端部が係止してある。
【0037】
蓋2の内部には、各上端部緩衝材6,7と箱本体1の各下緩衝材3,4との中間位置に、側部緩衝材10,11が配置される。各側部緩衝材10,11は、緩衝材本体10a,11aと、緩衝材本体10a,11aに組み付けられる補強材10b,11bとを有する。各緩衝材本体10a,11aは、外形が蓋2の短手方向に長い略直方体をなす。各補強材10b,11bは、両側の横壁K1,K2と底壁K3とを有する断面コの字形状で上下に長い段ボール板材であり、各補強材10b,11bの底壁K3の外周面10b1,11b1が蓋2の内周部に当接する。
【0038】
緩衝材本体10aは、補強材10bの各横壁K1,K2が嵌入する2つの溝m1,m2を有し、該2つの溝m1,m2によって、中央部10a3と、中央部10a3の両側に位置する側部10a1,10a2とに分けられる。中央部10a3には、蓋2の長手方向に平行で短手方向に所定間隔を隔てて対向した2つの内壁を有し、蓋2の長手方向の内側に開放された凹部10cを設けてある。緩衝材本体11aは、緩衝材本体10aと同様に、2つの溝m1,m2と、中央部11a3と、側部11a1,11a2とを有し、中央部11a3に、凹部10cと同様の凹部11cを設けてある。各凹部10c,11cの蓋2の短手方向の寸法は表示パネル部20aの上部の厚さより少し大きくしてある。
【0039】
緩衝材本体10aの2つの側部10a1,10a2のうち、一方の側部10a1は蓋2の長手方向での長さXを他方の側部10a2より長く形成してある。同様に、緩衝材本体11aの2つの側部11a1,11a2のうち、一方の側部11a1は蓋2の長手方向での長さXを他方の側部11a2より長く形成してある。
【0040】
各上端部緩衝材6,7の下端部に下向きの凹部6c,7cを設け、各下緩衝材3,4の上端部に上向きの凹部3d,4dを設けてある。補強材10b,11bは、上部に各上端部緩衝材6,7の下端部の凹部6c,7cに係止される係止部L1を有し、下部に各下緩衝材3,4の上端部の凹部3d,4dに係止される係止部L2を有している。各補強材10b,11bの係止部L1を各上端部緩衝材6,7の下端部の凹部6c,7cに係止させ、各補強材10b,11bの係止部L2を各下緩衝材3,4の上端部の凹部3c,4cに係止させて、各側部緩衝材10,11の位置が上下にずれないようにしている。
【0041】
以上説明した下緩衝材3,4、中央緩衝材5、上端部緩衝材6,7、上補助緩衝材8,8、及び、側部緩衝材10,11の緩衝材本体10a,11aは、発泡合成樹脂材料にて作製してある。
【0042】
次に、図3及び図4に基づいて緩衝材本体10aへの補強材10bの装着について説明する。尚、図3及び図4には緩衝材本体10aの中央部10a3の中央位置での断面を一部拡大して示す。補強材10bの長手方向中央部の両方の横壁K1,K2に、緩衝材本体10aの幅と略同一か少し広い寸法で底壁K3側から所定高さの切欠部KK1,KK2を形成してある。一方の横壁K1の切欠部KK1と他方の横壁K2の切欠部KK2との間の底壁K3に、両方の切欠部KK1,KK2の各端部同士を結ぶ線の位置で折り曲げ自在で、補強材10bの長手方向に対向する2つの折り曲げ片N1,N2を形成してある。各折り曲げ片N1,N2の先端部には舌片N11,N21を設けてある。また、緩衝材本体10aの中央部10a3は、溝m1,m2が開放する側とは反対側端部に、外周面から所定深さ後退した段状の係止部m3を有する。
【0043】
緩衝材本体10aの長手方向と補強材10bの長手方向とを直交させた状態で、横壁K1の切欠部KK1を緩衝材本体10aの溝m1に嵌入させ、横壁K2の切欠部KK2を緩衝材本体10aの溝m2に嵌入させると、各折り曲げ片N1,N2が緩衝材本体10aの中央部10a3の上側部に当接して折れ曲がり、両折り曲げ片N1,N2は押し広げられる。両方の切欠部KK1,KK2が各溝m1,m2の底部に達する位置まで嵌入させると、各折り曲げ片N1,N2は中央部10a3の側部の外周面に沿うように当接した後、先端が弾性力によって折れ曲がり方向の逆方向に戻り、緩衝材本体10aの中央部10a3の係止部m3に係止される。尚、この係止状態で、各折り曲げ片N1,N2の舌片N11,N21は外側に向いており、舌片N11,N21を引くことにより係止状態を解除できる。緩衝材本体11aへの補強材11bの装着も、緩衝材本体10aへの補強材10bの装着と同様である。
【0044】
箱本体1の各側面部1bには、2つの矩形状の箱結合孔1g,1gを離隔させて設けてある。蓋2には、蓋2を上方から箱本体1に被せて、上端部緩衝材6,7の凹部6a,7a及び上補助緩衝材8,8の凹部8a,8aが表示パネル部20aの上部に嵌合し、下緩衝材3,4の凹部3b,4bが表示パネル部20aの底部に嵌合した状態で箱本体1の箱結合孔1g,1gと同一位置となる箇所に、2つの矩形状の箱結合孔2f,2fを離隔させて設けてある。蓋2の箱結合孔2f,2fと箱本体1の箱結合孔1g,1gとを貫通して蓋2を箱本体1に固定する固定状態と該固定状態を解除した状態とに切替自在な固定具30が設けてある。
【0045】
図7は固定具30の正面図、図8は図7のVIII−VIII線における側面断面図、図9は 図7のIX−IX線における平面断面図、図10は固定解除状態にある固定具30の側面断面図である。
【0046】
固定具30は、蓋2の箱結合孔2f,2f及び箱本体1の箱結合孔1g,1gに挿入可能な略長円形の断面を有する筒体31と、筒体31の筒軸方向の一方端に外向きに延設された鍔部32と、筒体31の対向する内壁部31a,31aの夫々に連設された2個の揺動体33,34とを備えている。筒体31、鍔部32及び各揺動体33,34は同一の合成樹脂材料により一体成型で作製される。
【0047】
2個の揺動体33,34の夫々は、内壁部31a,31aに筒軸に沿う向きに揺動可能に支持された板状の基部33a,34aと、基部33a,34aの遊端部から基部33a,34aの方向(板面に平行な方向)と直交する方向で鍔部32とは反対側に延設された平板部33b,34bとを備えている。基部33a,34aの基端部の板厚を薄くし、基部33a,34aが内壁部31a,31aに対して揺動作動するよう構成している。
【0048】
揺動体33は、基部33aの遊端部から平板部33bとは反対側に延設され、平板部33bの位置よりも筒体31の外側に張り出した板状部33cを備えている。板状部33cの筒体31の内側に向いた表面に、筒軸に沿う向きに平行な2個の列状突起33d,33dを立設してある。各列状突起33d,33dの一端部は基部33aに固定されている。各列状突起33d,33dの他端部は開放され、該他端部の板状部33cの表面から遠い側の角部に切欠33eを形成してある。2個の列状突起33d,33dの間隔は、板状部33cの表面に近い側では狭く、板状部33cの表面から遠い側では広くしてある。
【0049】
揺動体34の基部34aの遊端部は、揺動体33の板状部33cの端部と対向するように筒体31の外側に張り出した延長部34cを有している。揺動体34の基部34aの筒体31の内側に向いた表面に、筒軸に沿う向きに平行な2個の列状突起34d,34dを立設してある。各列状突起34d,34dの一端部は延長部34cに固定されている。各列状突起34d,34dの他端部には、90度よりも小さい角度で互に接近する側に曲がった屈曲部34e,34eを形成してある。
【0050】
揺動体34の2つの列状突起34d,34dの屈曲部34e,34eの間隔は、揺動体33の2個の列状突起33d,33dの遊端部の間隔よりも狭くしてある。鍔32の側から2個の列状突起33d,33dの遊端部を指で挟んで間隔を狭くした状態で筒軸に沿うように押し込み、2個の列状突起33d,33dの遊端部を屈曲部34e,34eの間を通した後、列状突起33d,33dを挟む力を弱めると列状突起33d,33dの間隔が元の寸法に戻り、2個の列状突起33d,33dの各切欠33e,33eが2個の列状突起34d,34dの屈曲部34e,34eの内側に係止される。その結果、2個の揺動体33,34の各基部33a,34aが内壁部31a,31aに当接し、各平板部33b,34bが鍔部32とは反対側の筒体31の端部から突出して略同一平面上に位置し、鍔部32と略平行となる揺動位置に保持される。係止を解除する場合は、列状突起34d,34dの屈曲部34e,34eに係止されている列状突起33d,33dの遊端部を指で挟んで間隔を狭くした状態で、鍔32の方に引っ張ることにより、係止が解除される。
【0051】
次に、側部緩衝材10,11を転倒防止部材として用いる構成について説明する。
図1に示すように、箱本体1の各側面部1bには切欠1fの位置より長手方向の両端側に、2個の矩形状の取付孔1h,1hを離隔して設けてある。また各側部緩衝材10,11の補強材10b,11bに、箱本体1の取付孔1h,1hと対応する2個の矩形状の結合孔10d,10d及び結合孔11d,1dを離隔して設けてある。取付孔1hと結合孔10d及び結合孔11dとは略同一寸法であり、孔間の離隔距離も略同一である。
【0052】
図11は転倒防止部材の取付状態を示す斜視図、図12は転倒防止部材の取付完了状態を示す斜視図、図13は転倒防止部材の作用を示す断面図である。
一方の側部緩衝材10の補強材10bの長手方向が箱本体1の長手方向に向き、側面部1bに直交する方向の長さXが長い側部10a1が下側に位置し、補強材10bの2個の結合孔10d,10dを一方の側面部1bの2個の取付孔1h,1hに位置合わせした状態で、固定具30を各結合孔10d,10dと各取付孔1h,1hとに貫通させて固定状態とする。補強材10bの底壁K3の外周面10b1が箱本体1の側面部1bに当接する状態で、側部緩衝材10が一方の側面部1bに取り付けられる。
【0053】
同様に他の側部緩衝材11の補強材11bの長手方向が箱本体1の長手方向に向き、側面部1bに直交する方向の長さXが長い側部11a1が下側に位置し、補強材11bの2個の結合孔11d,11dを他方の側面部1bの2個の取付孔1h,1hに位置合わせした状態で、固定具30を各結合孔11d,11dと各取付孔1h,1hとに貫通させて固定状態とする。補強材11bの底壁K3の外周面11b1が箱本体1の側面部1bに当接する状態で、他方の側部緩衝材11が側面部1bに取り付けられる。
【0054】
図13に示すように、薄型の画像表示装置20は、重心位置が表示パネル部20aの略中央の高い位置にある一方、箱本体1の底部の横幅Dは狭いため、転倒防止角度(傾斜しても転倒を防止できる最大許容角度)が小さく倒れ易いが、以上のように2個の側部緩衝材10,11を箱本体1に取り付けた結果、2個の側部緩衝材10,11が両方の側面部1b,1bから横方向に突設されて上記転倒防止角度が大きくなり、転倒防止機能を発揮する。尚、図13には、各側部緩衝材10,11の下部位置が箱本体1の底部位置と同一位置である場合を示すが、各側部緩衝材10,11の下部位置を箱本体1の底部位置より少し高い位置にしてもよい。各側部緩衝材10,11は側面部1bに直交する方向の長さXが長い各側部10a1,11a1が下側に位置するので、各側部緩衝材10,11の床接地面積も広くなり箱本体1が短手方向に倒れようとしたときの倒れに対する抵抗力が強くなる。側部緩衝材10,11の下部位置が箱本体1の底部位置より高い場合は、箱本体1が短手方向に倒れようとしたときに傾斜するが、小さい傾斜角度で側部緩衝材10,11の先端が床等に接触するので、転倒防止効果が高くなる。
【0055】
また、両方の側部緩衝材10,11の間にある幅Dの箱本体1の内周面に中央緩衝材5が当接して位置しているので、箱本体1が短手方向に倒れようとしたときに床等に接触した側部緩衝材10,11によって箱本体1の側面部1bが押されても、箱本体1は中央緩衝材5により変形せずに側部緩衝材10,11を受け止めるので、転倒防止効果が高くなる。
【0056】
以上説明した本発明に係る梱包箱を用いた梱包作業は以下の手順により行なう。
(1)箱本体1の内底部に下緩衝材3,4と中央緩衝材5とを配置する。
(2)箱本体1に上方から薄型画像表示装置20を収容し、表示パネル部20aの底部を下緩衝材3,4の凹部3b,4bに嵌合させ、中央緩衝材5の溝部5b内にスピーカー部20bを位置させる。
(3)側部緩衝材10,11の補強材10b,11bの下側の各係止部L2を下緩衝材3,4の凹部3d,4dに係止させながら、表示パネル部20aの両横側部に側部緩衝材10,11の凹部10c,11cを嵌合させる。
(4)上端部緩衝材6,7の凹部6a,7aを表示パネル部20aの上部の端部に嵌合させるとともに、上端部緩衝材6,7の凹部6c,7cを補強材10b,11bの上側の各係止部L1に係止させ、上補助緩衝材8の凹部8aを表示パネル部20aの上部に嵌合させた後、上端部緩衝材6,7と上補助緩衝材8とを連結材9,9で連結する。
(5)蓋2を上方から被せ、蓋2の箱結合孔2f,2fと箱本体1の箱結合孔1g,1gとに固定具30を貫通させて蓋2を箱本体1に固定する。
(6)最後に、蓋2の天部2dの各板片2e,2e,2e,2eを内側に折り曲げ、板片2e,2e,2e,2e同士を金具等にて接続して天部2dを閉じる。
【0057】
また、本発明に係る梱包箱の開梱作業は以下の手順により行なう。
(1)固定具30の固定状態を解除して取り出し、箱本体1に被っている蓋2を箱本体1の上方から取り外す。
(2)表示パネル部20aの上部に嵌合している上端部緩衝材6,7と上補助緩衝材8とを取り外す。
(3)表示パネル部20aの側部に嵌合している各側部緩衝材10,11を取り外し、(1)で取り出した固定具30を用いて、各側部緩衝材10,11を箱本体1の両側の側面部1b,1bに転倒防止部材として取り付ける。
(4)最後に、表示パネル部20aの背部に壁掛け用金具(アングル)を装着し、また、電源部との配線を接続する。以後、薄型画像表示装置20を箱本体1から取り出して壁等への設置作業を行う。
【0058】
上述の実施の形態では、転倒防止部材を側部緩衝材10,11にて兼用したが、他の部材、例えば、2個の上端部緩衝材6,7又は2個の上補助緩衝材8にて兼用してもよい。
【0059】
また、上述の実施の形態では、箱本体1の側面部1b,1bに2個の取付孔1h,1hを設け、側部緩衝材10,11の補強材10b,11bに2個の結合孔10d,10dを設けた構造を示したが、箱本体1の側面部1b,1bに設けた1個の取付孔と側部緩衝材10,11に設けた1個の結合孔とに固定具30を貫通させて、側部緩衝材10,11(転倒防止部材)を箱本体1の側面部1b,1bに取り付ける構造でもよい。箱本体1の側面部1b,1bに1個の取付孔を設ける場合に、例えば前記2個の取付孔1h,1hのうちの1個の取付孔1hと、前記2個の結合孔10d,10dのうち、1個の取付孔1hに対応する1個の結合孔10dとを設ける構造でもよい。又は、箱本体1の長手方向における中央緩衝材5の中央位置に対応する側面部1b,1bの位置に1個の取付孔を設ける構造でもよい(この場合、中央緩衝材5の外周部に固定具30が当たらないように凹部を形成する)。この構造の場合、側面部1b,1bの内周面に側面部5aが当接している中央緩衝材5の中央位置で転倒防止部材を箱本体に取り付けているので、バランス良く転倒防止機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る梱包箱の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る梱包箱の緩衝材の配置を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る梱包箱の側部緩衝材の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る梱包箱の側部緩衝材の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る梱包箱の緩衝材による被梱包物の保持状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の梱包箱による梱包状態を示す断面図である。
【図7】固定具の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線における側面断面図である。
【図9】図7のIX−IX線における平面断面図である。
【図10】固定解除状態にある固定具の側面断面図である。
【図11】転倒防止部材の取付状態を示す斜視図である。
【図12】転倒防止部材の取付完了状態を示す斜視図である。
【図13】転倒防止部材の作用を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 箱本体
1a 上部
1b 側面部
1g 箱結合孔
1h 取付孔
2 蓋
2a 下部
2d 天部
2f 箱結合孔
3 下緩衝材(緩衝材)
3b 凹部
4 下緩衝材(緩衝材)
4b 凹部
5 中央緩衝材
5a 側面部
5b 溝部
6 上端部緩衝材(上緩衝材)
6a 凹部
7 上端部緩衝材(上緩衝材)
7a 凹部
8 上補助緩衝材(上緩衝材)
8a 凹部
10 側部緩衝材
10a 緩衝材本体
10a1 側部
10b 補強材
10b1 外周面(当接面)
10c 凹部
10d 結合孔
10f 外周面(当接面)
11 側部緩衝材
11a 緩衝材本体
11a1 側部
11b 補強材
11b1 外周面(当接面)
11c 凹部
11d 結合孔
20 画像表示装置(被梱包物)
30 固定具(取付具)
31 筒体
31a 内壁部
32 鍔部
33 揺動体
33a 基部
33b 平板部
33d 列状突起(係止部)
33e 切欠(係止部)
34 揺動体
34a 基部
34b 平板部
34d 列状突起(被係止部)
34e 屈曲部(被係止部)
K1 横壁(嵌入部)
K2 横壁(嵌入部)
m1 溝
m2 溝
m3 係止部
N1 折り曲げ片(被係止部)
N2 折り曲げ片(被係止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で細長い形状を有し、上部が開口した箱本体と、該箱本体の内底部に配置され、平面視で細長い形状の被梱包物の底部に嵌合する凹部を有する緩衝材とを備え、該被梱包物を収容することが可能である梱包箱において、
前記箱本体の短手方向に位置する両側の側面部に取り付けられ、各側面部から横方向に突設可能な転倒防止部材を備えていることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記側面部の夫々に2個の取付孔を離隔して設けてあり、
前記転倒防止部材に前記2個の取付孔と対応する2個の結合孔を設けてあり、
前記取付孔及び前記結合孔を貫通し、前記転倒防止部材を前記箱本体に取り付ける取付具を備えていることを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
平面視で細長い形状を有し、前記上部を覆う状態で箱本体に被せられるように下部が開口した蓋と、該蓋の内部の天部に配置され、前記被梱包物の上部に嵌合する凹部を有する上緩衝材とを更に備え、
前記蓋の短手方向に位置する両側の側面部の夫々及び前記箱本体の両側の側面部の夫々に、前記蓋を上方から前記箱本体に被せて前記上緩衝材の凹部が前記被梱包物の上部に嵌合し、前記緩衝材の凹部が前記被梱包物の底部に嵌合した状態で同一位置となる箱結合孔を設けてあり、
前記取付具は、前記蓋の箱結合孔と箱本体の箱結合孔とを貫通して蓋を箱本体に固定する固定状態と該固定状態を解除した状態とに切替自在な固定具にて兼用してあることを特徴とする請求項2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記固定具は、前記蓋及び箱本体の箱結合孔に挿入可能な断面を有する筒体と、該筒体の筒軸方向の一方端に外向きに延設された鍔部と、筒体の対向する内壁部の夫々に連設された2個の揺動体とを備え、
該2個の揺動体の夫々は、前記内壁部に筒軸に沿う向きに揺動可能に支持された板状の基部と、該基部の遊端部から基部の方向と直交する方向で前記鍔部とは反対側に延設された平板部とを備え、前記2個の揺動体の各基部が前記内壁部に当接し、各平板部が前記鍔部とは反対側の筒体の端部から突出して略同一平面上に位置し、前記鍔部と略平行となる揺動位置を保持するための被係止部を前記2個の揺動体の一方に設けてあり、該被係止部に対して係止及び係止解除自在な係止部を前記2個の揺動体の他方に設けてあることを特徴とする請求項3に記載の梱包箱。
【請求項5】
前記蓋の内部の長手方向の両端部に配置され、前記被梱包物の長手方向の両側の横側部に嵌合する凹部を有する側部緩衝材を更に備え、該側部緩衝材は、蓋の短手方向で前記凹部の両側に位置する側部の一方が他方より蓋の長手方向での長さが長く形成され、
前記転倒防止部材は、前記側部緩衝材にて兼用し、前記蓋の長手方向での長さが長い側部が下側に位置する状態で、側部緩衝材を前記箱本体の側面部に取り付け可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の梱包箱。
【請求項6】
前記側部緩衝材は、前記凹部が形成された緩衝材本体と、該緩衝材本体に取り付けられ、前記蓋の内周部に当接する当接面を有する補強材とを備え、該当接面に前記結合孔を設けてあり、
前記箱本体の取付孔及び前記補強材の結合孔を貫通する取付具によって前記側部緩衝材を前記箱本体の側面部に取り付けた状態で、前記補強材の当接面は前記箱本体の側面部の外周面に当接することを特徴とする請求項5に記載の梱包箱。
【請求項7】
前記緩衝材本体又は補強材の一方に所定深さの溝を設けてあり、他方に前記溝に嵌入可能な嵌入部を設けてあり、前記嵌入部が前記溝に嵌入したときに相互に係止可能な係止部又は被係止部の一方を前記緩衝材本体に設けてあり、前記係止部又は被係止部の他方を前記補強材に設けてあることを特徴とする請求項6に記載の梱包箱。
【請求項8】
前記転倒防止部材は、前記上緩衝材にて兼用してあることを特徴とする請求項3又は4に記載の梱包箱。
【請求項9】
前記箱本体の長手方向の中央の内底部に、前記被梱包物の底部を収容する溝部及び前記箱本体の短手方向の内周面に当接する側面部を有する中央緩衝材を備えており、
前記転倒防止部材は前記箱本体の短手方向で前記中央緩衝材の両側に位置することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項10】
前記被梱包物は薄型の画像表示装置であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−30636(P2010−30636A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195359(P2008−195359)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】