説明

梱包箱

【課題】落下等の外力や衝撃から収容物を守り、収容物を安全に輸送、保管することを可能とする梱包箱の提供を目的とする。
【解決手段】
梱包箱1は、全体紙製の箱本体2、全体金属製の立体フレーム7、全体紙製の蓋体4、全体紙製の上部緩衝体8、全体紙製の周部緩衝体9、のそれぞれを備えて構成される。立体フレーム7の上面部の上フレーム10には、支持ネット14の周部が支持され、該支持ネット14上には収容物15が載置する状態で収容可能とされる。すなわち、支持ネット14上の収容物15は、梱包箱1の内部において、立体フレーム7の上下のフレーム10、11および柱体12に囲まれる空間13に位置され、しかも上方に上部緩衝体8を、周部に周部緩衝体9を配設するように収容されることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容物を収容する状態で梱包し、収容物を輸送または保管するための梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に収容物を収容する状態で梱包する梱包箱については、従来から様々なタイプのものが存在し、例えば高重量で精密な製品からなる機械製品、電子機器類に関しては、輸送中に生じる振動や衝撃から収容物を守るため、専用の大きさからなる木箱が用いられていた。すなわち、木箱からなる梱包箱は、一般に内部に機械、機器類としての収容物を収容する有底木製の箱本体と、箱本体の上部開口を閉塞する木製の蓋体により構成される。こうした梱包箱においては、箱本体の内部に収容物を収容し、箱本体の上部開口を釘打ち等の方法で蓋体で閉塞し、収容物を梱包していた。
【0003】
この種の梱包箱においては、さらにトラックの荷台への積載時や輸送中に生じる振動や衝撃から収容物を保護するため、箱本体の内部において収容物と箱本体の内壁間、あるいは収容物と蓋体の内面間に様々な形状からなる緩衝体を介装させるようにしていた。
【0004】
このような全体木製からなる梱包箱は、輸送中や積載時に万一落下してしまったり、外力が加わったとしても壊れにくく、収容物を安全に輸送できる利点があるものの、一方で輸出入の際に検疫のためにくん蒸処理が要求される等の不利な点もあり、出願人としては安全に高重量からなり、精密な収容物を梱包することができ、輸出入の際にくん蒸などが必要なく、全体軽量でとり扱い易い紙製の梱包箱の開発を行っていたところである。
【0005】
特に出願人らは、輸送中や荷台等への積載の際に、梱包箱に衝撃や外力が加わった場合、影響を受け易い精密機器を、安全に収容し、輸送等が行える梱包箱を開発すべく試行錯誤を行ってきたところである。
【0006】
そうした中、出願人は下記特許文献1や2のように、収容物を箱の内部において載架状態で収容し、輸送中や積載時に外力が加わったり、万一梱包箱を落下した場合においても、収容物に影響を与えることがなく、安全に輸送等を行うことを可能とする梱包箱の開発を行った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−318764号公報
【特許文献2】特開2004−196374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、こうした開発過程の中でなされたものであり、落下等の外力や衝撃などから収容物を守り、収容物を安全に輸送、保管することを可能とする梱包箱の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、上面に開口部を備え、全体直方体あるいは立方体からなり、4つの側面部と1つの底面部を備えた紙製からなる有底の箱本体と、箱本体の上面の開口部を閉塞する紙製からなる蓋体と、を備え、箱本体の内部に収容物を収容可能とする梱包箱において、箱本体と同様に全体直方体あるいは立方体からなり、上方側に配設され、4本の梁材を接合してなる方形状の上フレームと、下方側に配設され、4本の梁材を接合してなり、上フレームと同等の大きさからなる方形状の下フレームとを備え、さらに隅部同士を上下に対応された上下のフレームの隅部同士を上下方向に立設される4本の各柱材で結合し、上下のフレームおよび各柱材で囲繞される空間を備えて、箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容可能とされる金属製の立体フレームと、立体フレームのうち、上フレームを構成する4つの各梁材にその周部を支持され、箱本体の内部に立体フレームが収容された状態において、その上部に収容物を載置し、収容物を立体フレームの上下のフレームおよび各柱材で囲繞される空間に載架状態で位置決め可能に収容する支持ネットと、箱本体の内部に収容された立体フレームの上フレームに支持された支持ネット上に、収容物を載置した状態において、収容物を上方より覆う面材からなり、箱本体の上面開口部が蓋体により閉塞される状態において、蓋体の内底面と支持ネット上の収容物との間の間隙に介装される上部緩衝体と、を備えたことを特徴とする梱包箱としている。
【0010】
また本発明の請求項2は、立体フレームは、箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、対向する箱本体の各内側面との間に間隙が形成されるサイズのものとされ、立体フレームが箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、立体フレームの各側面と箱本体の各内側面との間に形成される間隙に、立体フレームを囲繞するように介装可能な周部緩衝体を、さらに備えてなる請求項1に記載の梱包箱としている。
【0011】
また本発明の請求項3は、周部緩衝体は全体紙製のものとされ、該周部緩衝体が、立体フレームが箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、立体フレームの各側面と箱本体の各内側面との間に形成される間隙に介装される状態で、立体フレームの各外側面にそれぞれ当接可能な面材と、各面材の外側面周方向に所定間隔をもって配設され、先端を箱本体の内側面に当接可能な凸条体と、により形成してなる請求項2に記載の梱包箱としている。
【0012】
さらに本発明の請求項4は、上部緩衝体は、箱本体の内部に立体フレームが収容され、該立体フレームの上フレームに支持された支持ネット上に、収容物を載置した状態において、収容物を上方より覆う紙製の面材と、面材の下面における所定方向に、所定間隔をもって配設され、下端を支持ネット上の収容物に当接可能とする紙製の凸条体と、により形成してなる請求項1に記載の梱包箱としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、箱本体の内部に収容される収容物は、箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容可能とされる金属製の立体フレームのうち、上フレームを構成する4つの各梁材にその周部を支持される支持ネット上に載置されることとなる。すなわち、収容物は、箱本体の内部において、金属製の立体フレームの上下のフレームおよび各柱材で囲繞する空間に載架状態で支持ネット上に位置決め可能とされ、さらにその上部は蓋体の内底面と支持ネット上の収容物との間の間隙に介装される上部緩衝体で覆われるため、万一梱包箱が落下し、梱包箱に外力や衝撃が加わった状態でも、収容物に対する影響を極力小さくすることができる。しかも梱包箱を構成する構成材のうち、箱本体と蓋体のそれぞれは、全体が軽量で、検疫の際にくん蒸等の処理が不要な紙製のものとされ、また梱包箱の内部において収容物はその周囲を金属製の立体フレームで囲まれているため、落下等の外力が加わったとしても安全に収容されることとなる。また収容物は箱本体の内部において、支持ネット上に載架される状態で支持されるため、輸送中や積載作業中等において梱包箱に振動や衝撃力が加わるような環境においても、それらの力は支持ネットにおいて吸収され、減衰されることとなる。この結果、落下等の外力や衝撃などから収容物を守り、収容物を安全に輸送、保管することを可能とする梱包箱の提供が可能となる。
【0014】
また、本発明の請求項2によれば、箱本体内に収容される立体フレームの上フレーム周部を支持された支持ネット上に、収容物を載置することが可能となり、さらに立体フレームの各側面と箱本体の各内側面との間に形成される間隙に、立体フレームを囲繞するように周部緩衝体を介装することが可能となる。これにより、梱包箱において特に側外方からの外力が加わる状態でも箱本体内の収容物への影響を少なくすることができる。これにより、落下等の外力や衝撃などから収容物を守り、収容物を安全に輸送、保管することを可能とする梱包箱の提供が可能となる。
【0015】
また本発明の請求項3によれば、周部緩衝体は全体紙製のものとされ、該周部緩衝体が、立体フレームが箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、立体フレームの各側面と箱本体の各内側面との間に形成される間に形成される間隙に介装される状態で、立体フレームの各外側面にそれぞれ当接可能な面材と、各面材の外側面周方向に所定間隔をもって配設され、先端を箱本体の内側面に当接可能な凸条体と、により形成されるので、梱包箱において外力が加わる状態でも箱本体内の収容物への影響を少なくすることができる他、全体を軽量とし、検疫の際にくん蒸等の処理が不要な梱包箱の提供が可能となる。
【0016】
さらに本発明の請求項4によれば、箱本体内において収容物を上方より覆う上部緩衝体が、収容物を上方より覆う紙製の面材と、面材の下面における所定方向に、所定間隔をもって配設され、下端を支持ネット上の収容物に当接可能とする紙製の凸条体と、により形成されるので、梱包箱において外力が加わる状態でも箱本体内の収容物への影響を少なくすることができる他、全体を軽量とし、検疫の際にくん蒸等の処理が不要な梱包箱の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る梱包箱の内部に収容物を収容させた状態を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る梱包箱の各構成部材を示す斜視図である。
【図3】箱本体内のフレーム体に収容物を収容させる状態を示す斜視図である。
【図4】支持ネット上に載置された収容物に対し、上方より上部緩衝体を覆う状態を示す斜視図である。
【図5】図1のV−V線に沿う断面図である。
【図6】内部に収容物を収容し、梱包してなる梱包箱の落下テストの概要を示す正面図である。
【図7】内部に収容物を収容し、梱包してなる梱包箱の積載テストを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る梱包箱を、先ず図1ないし図5に基づいて説明する。梱包箱1は図1に示すように全体扁平な直方体形状の外観を備え、紙製の段ボール材からなる箱本体2の上面の開口部3を、側蓋部4Aを備えた蓋体4で閉塞し、内部に収容物を収容可能としている。
【0019】
すなわち、梱包箱1は、箱本体2の周部4つの側面部外方を側蓋部4Aで覆い、上面の開口部3を蓋体4で覆うようにして梱包を行い、必要に応じて図1に示すように箱本体2と蓋体4に梱包バンド5を掛け回すように結着し、収容物を内部に収容することを可能とするものである。こうして収容物の梱包が行われた梱包箱1は、図1に示すようにパレット6上に積載され、フォークリフト等の産業車両により、パレット6ごとトラックの荷台等に積載し、輸送することが可能とされ、さらに倉庫等に保管することが可能となる。
【0020】
実施形態に係る梱包箱1は、図2に示すように箱本体2、立体フレーム7、蓋体4、上部緩衝体8、周部緩衝体9のそれぞれを備えて構成される。
【0021】
箱本体2は、上面に開口部3を備え、全体直方体からなる。すなわち箱本体2は4つの側面部2Aと1つの底面部2Bを備えた有底のものとされ、前述のとおり全体を紙製の段ボール材で形成される。
【0022】
一方、箱本体2の上面の開口部3を閉塞する蓋体4は、全体を紙製の段ボール材で形成され、図1の矢印方向に示すように箱本体2に向けて下降し、各側蓋部4Aで箱本体2の側面部2Aの外方を覆うようにして箱本体2に被着することとしている(図1、図5参照)。すなわち、この状態で箱本体2の上面の開口部3を蓋体4の上面部4Bで覆い、該開口部3を閉塞可能にしている。
【0023】
立体フレーム7は、図3に示すように箱本体2の内部に収容可能な全体直方体形状のものとされ、全体を金属製のパイプ材で形成してなる。すなわち、立体フレーム7は、4本の各梁材10A(角パイプ材)の端部同士を接合し、全体長方形状をなす上フレーム10を上方側に配設し、また4本の各梁材11A(角パイプ材)の端部同士を接合し、全体長方形状をなす下フレーム11を下方側に配設してなる。上下の各フレーム10、11は、略同等の大きさからなり、隅部同士を上下に対応させてなる。さらに立体フレーム7は、上下の各フレーム10、11の隅部同士を、上下方向に立設され、略同一長さからなる柱材12(角パイプ材)でそれぞれ結合して形成される。こうして形成される立体フレーム7は、上下のフレーム10、11および各柱材12で囲繞される直方体形状の空間13を内部に備えることとし、図3ないし図5に示すように箱本体2の内部において各側面が箱本体2の各内側面部2Aに対向するように収容可能とされる。
【0024】
こうして形成される立体フレーム7には、上フレーム10を構成する4つの各梁材10Aにその周部を支持される支持ネット14が備えられる。支持ネット14は合成樹脂あるいは布等の材質からなる紐状体を縦横に編み込むようにして網状に形成され、その周部を上フレーム10に結着させて立体フレーム7に結合させている。支持ネット14は、紐状体の上フレーム10に対する結着部に対し、その中心が立体フレーム7の空間13の中心側に向けて垂れ下がるようにして構成される。
【0025】
こうして構成される支持ネット14の上部には、図3の矢印に示すように収容物15が載置可能とされる。ここで図3に示す収容物15は全体扁平な直方体形状の外観を備える車載用リチウムイオン電池とされ、近年電気自動車や家庭用補助電源として普及されている。こうした電池に関しては、大きな衝撃を与えることで発火等の事故が生ずることも懸念されるため、輸送中において大きな衝撃を与えないように梱包を行う必要がある。
【0026】
箱本体2内に収容される立体フレーム7において、支持ネット14上に載置される収容物15は、上下のフレーム10、11および各柱材12で囲繞される空間13に載架状態で支持し、位置決め可能に収容されることとなり(図4、図5参照)、箱本体2の内部に収容されることとなる。
【0027】
箱本体2の内部に収容された立体フレーム7の支持ネット14上に、収容物15を載置した状態において、収容物15は図3の矢印に示すようにその上方を上部緩衝体8で覆われることとなる。上部緩衝体8は、収容物15を上方より覆う平面長方形状の面材からなり、箱本体2の上面開口部3が蓋体4により閉塞される状態において、蓋体4の上面部4Bの内底面と支持ネット14上の収容物15との間の間隙に介装される状態で配設可能とされる(図4、図5参照)。
【0028】
上部緩衝体8は、箱本体2の内部に立体フレーム7を収容し、該立体フレーム7の支持ネット14上に収容物15を載置した状態において、収容物15を上方より覆う平面長方形をなす紙製の面材16と、面材16の下面に配設される紙製の凸条体17とで構成される。面材16は、立体フレーム7の上部開口を構成する上フレーム10内に嵌合されるサイズからなる平面長方形の段ボール材で形成される。面材16の下面には、その長手方向(図2のX方向)に所定間隔をもって上記3つの凸条体17が被着され、各凸条体17は積層段ボール材にて形成される。各凸条体17は長尺状のものとされ、面材16の下面において長手方向に交差する方向(Y方向)に沿って被着されることとなる。すなわち、各凸条体17は、Y方向の長さが立体フレーム7の上部開口を構成する上フレーム10におけるY方向の長さより僅かに短い長さに形成され、上フレーム10の開口に上部緩衝体8の全体が嵌合可能となるように設定される。
【0029】
各凸条体17は、図4に示す立体フレーム7の支持ネット14への収容物15の収容状態において、その下端を収容物15の上方に対して当接可能に配設される状態となり、さらにこの状態で箱本体2の上部開口3を蓋体4で閉塞することにより、図5に示すように蓋体4の上面部4Bの内底面部と支持ネット14上の収容物15との間の間隙に介装される。この結果、輸送中等において梱包箱1に外力や振動が加わった場合、上部緩衝体8がそれらを吸収することとなる。
【0030】
実施形態において立体フレーム7は、箱本体2の内部において各側面が対応する箱本体2の側面部2Aの内側面に対向するように収容される状態で、対向する箱本体2の各内側面との間に間隙が形成されるサイズになるよう、X方向、Y方向(図2参照)での長さを対応させて形成してなる。立体フレーム7が箱本体2の内部において、各側面が箱本体2の対応する側面部2Aの内側面に対向するように収容される状態で、立体フレーム7の各側面と箱本体2の各内側面との間に形成される間隙には、立体フレーム7を囲繞する状態で周部緩衝体9が介装可能とされる(図3ないし図5参照)。
【0031】
周部緩衝体9は全体紙製のものとされ、平面から観て、箱本体2の内側に収容可能な長方形状の環状体からなる。周部緩衝体9は、立体フレーム7が箱本体2の内部において、各側面が箱本体2の対応する内側面に対向するように収容される状態(図3に示す状態)で、しかも立体フレーム7の各側面と箱本体2の内側面との間に形成される間隙に介装される状態で、立体フレーム7の各外側面に当接可能な面材18を備える。面材18は立体フレーム7の側面外周部の周方向(図2のP方向)に沿って連続させる1枚物とされ、全体を段ボール材にて形成される。立体フレーム7の各外側面に当接可能な面材18の外側面には、周方向(P方向)に沿って所定間隔をもって複数の凸条体19が配設される。凸条体19は面材18の外側面に被着する状態で配設され、全体を積層段ボール材で形成してなる。各凸条体19は、周部緩衝体9が立体フレーム7の各側面と箱本体2の内側面との間に形成される間隙に介装される状態で、先端を箱本体2の内側面に当接可能とされる。
【0032】
上記実施形態に係る梱包箱1によれば、箱本体2の内部に収容される収容物15は、箱本体2の内部において各側面が箱本体2の対応する側面部2Aの内側面に対向するように収容可能とされる金属製の立体フレーム7のうち、上フレーム10を構成する4つの各梁材10Aにその周部を支持される支持ネット14上に載置されることとなる。すなわち、収容物15は、箱本体2の内部において、全体剛性を有する金属製の立体フレーム7の上下のフレーム10、11および各柱材12で囲繞する空間13に載架状態で支持ネット14上に位置決め可能とされ、さらにその上部は蓋体4の上面部4Bにおける内底面と支持ネット14上の収容物15との間の間隙に介装される上部緩衝体8で覆われるため、万一梱包箱1が落下し、梱包箱1に外力や衝撃が加わった状態でも、収容物15に対する影響を極力小さくすることができる。しかも梱包箱1を構成する構成材のうち、箱本体2と蓋体4のそれぞれは、全体が軽量で、検疫の際にくん蒸等の処理が不要な紙製のものとされ、また梱包箱1の内部において収容物15はその周囲を頑強な材質からなる金属製の立体フレームで7囲まれているため、落下等の外力が加わったとしても安全に収容されることとなる。また収容物15は箱本体2の内部において、支持ネット14上に載架される状態で支持されるため、輸送中や積載作業中等において梱包箱1に振動や衝撃力が加わるような環境においても、それらの力は支持ネット14において吸収され、減衰されることとなる。すなわち、収容物15は梱包箱1の内部において、ハンモックの上にあたかも載置されて収容されるため、この結果、落下等の外力や衝撃などから収容物を守り、収容物を安全に輸送、保管することを可能とする梱包箱の提供が可能となる。
【0033】
また、上記実施形態によれば、箱本体2内に収容される立体フレーム7の上フレーム10に周部を支持された支持ネット14上に、収容物15を載置することが可能となり、さらに立体フレーム7の各側面と箱本体2の各内側面との間に形成される間隙に、立体フレーム7を囲繞するように周部緩衝体9を介装することが可能となる。これにより、梱包箱1において特に側外方からの外力が加わる状態でも箱本体1内の収容物15への影響を極力少なくすることができる。これにより、落下等の外力や衝撃などから収容物を守り、収容物15を安全に輸送、保管することを可能とする梱包箱の提供が可能となる。
【0034】
また上記実施形態によれば、周部緩衝体9は全体紙製のものとされ、該周部緩衝体9が、立体フレーム7が箱本体2の内部において各側面が箱本体2の対応する側面部2Aの内側面に対向するように収容される状態で、立体フレーム7の各側面と箱本体2の各内側面との間に形成される間に形成される間隙に介装される状態で、立体フレーム7の各外側面にそれぞれ当接可能な面材18と、各面材18の外側面周方向に所定間隔をもって配設され、先端を箱本体の内側面に当接可能な凸条体19と、により形成されるので、梱包箱1において外力が加わる状態でも箱本体2内の収容物15への影響を極力少なくすることができる他、全体を軽量とし、検疫の際にくん蒸等の処理が不要な梱包箱1の提供が可能となる。
【0035】
さらに上記実施形態によれば、箱本体2内において収容物15を上方より覆う上部緩衝体8が、収容物15を上方より覆う紙製の面材16と、面材16の下面における所定方向に、所定間隔をもって配設され、下端を支持ネット14上の収容物15に当接可能とする紙製の凸条体17と、により形成されるので、梱包箱1において外力が加わる状態でも箱本体2内の収容物15への影響を極力少なくすることができる他、全体を軽量とし、検疫の際にくん蒸等の処理が不要な梱包箱1の提供が可能となる。
【0036】
上記実施形態に係る梱包箱1では、立体フレーム7の外形サイズを、箱本体2の内部に収容される状態で各内側面と箱本体2の内側面との間に間隙が形成される大きさのものとし、該間隙に周部緩衝体9を介装させるようにしているが、こうした間隙を形成することなく、立体フレーム7が箱本体2に隙間なく収容される外形サイズのものとしてもよい。このような場合において周部緩衝体9は必ずしも必要とされない。
【0037】
また上記実施形態では、周部緩衝体9を、面材18が立体フレーム7の側面外周部の周方向(図2のP方向)に沿って連続される1枚物とされるが、立体フレーム7の4つの各側面に対応する4枚のものとし、各面材の外側面に凸条体を備える4つの部材にて構成するようにしてもよい。
【0038】
また上記実施形態に係る梱包箱1では、全体を立方体形状とし、箱本体2や蓋体4、あるいは箱本体2内に収容される立体フレーム7についても直方体形状として、上部緩衝体8もこれに対応させて平面長方形状のものとしているが、梱包箱の全体を立方体形状のものと、箱本体、蓋体、立体フレームについてもこれに対応させて立方体形状のものとしてもよい。この場合において、上部緩衝体は立体フレームの大きさに対応し、平面正方形状のものとすることが可能となる。
【0039】
出願人らは、図1あるいは図5に示すように内部に収容物15を収容し、梱包してなる梱包箱1について、落下テストおよび積載テストを実施し、その耐久性と収容物15への影響を実験した。
【0040】
先ず落下テストは、国連勧告に基づいた「危険物容器性能テスト」に準拠して実施し、高さLが1.8mの位置から梱包箱1を落下し、梱包箱1を落下する落下面には40mmt以上の鉄板をコンクリート上の底面上に敷設するようにした。ここで梱包箱1については、蓋体4の上面部4Bが上側となる姿勢、蓋体4の上面部4Bが下側となる姿勢、蓋体4の側蓋部の長手方向が下側となる姿勢、蓋体4の側蓋部の長手方向と交差する方向が下側となる姿勢と、落下する姿勢を順次変化させ、各構成材の損傷状態と、内部に収容される収容物15に対する影響を調査する方法で行った。その結果、落下テストにおいて、梱包箱1内の収容物15において特に損傷は見られず、リチウムイオン電池の動作性能についても、一切影響は見られなかった。
【0041】
また積載テストも、国連勧告に基づいた「危険物容器性能テスト」に準拠して実施し、先ずJISP8IIIに基づき、段ボール材としての蓋体4や箱本体2に水分を含ませて24時間調湿を行った後、図7に示すようにして梱包箱1の上部に合わせて1950kgのウエイト20を積載して内部に収容される収容物15に対する積載テストを実施した。その結果、この積載テストにおいても梱包箱1内の収容物15において特に損傷は見られず、リチウムイオン電池の動体性能についても、一切影響は見られなかった。
【0042】
なお、このようにして形成される梱包箱1においては、支持ネット14上に載置され、内部に収容される収容物15において、上記実施形態で示すリチウムイオン電池の他、半導体精密機器、理化学機器など、様々なものを梱包することができ、特に輸出入の際に利用する梱包箱として最適なものとされる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る梱包箱は、落下等の外力や衝撃から収容物を守り、収容物を安全に輸送、保管することが可能となる。このため、上記実施形態に示すように、落下事故などの外力が加わった場合、発火等の事故が生じることが懸念されるリチウムイオン電池、振動や衝撃を嫌う高性能の半導体機器、理化学機器などの梱包を行うのに最適とされ、こうした分野に多用可能な梱包箱の提供が行えることとなる。
【符号の説明】
【0044】
1 梱包箱
2 箱本体
2A 側面部
2B 底面部
3 開口部
4 蓋体
4A 側蓋部
4B 上面部
5 梱包バンド
6 パレット
7 立体フレーム
8 上部緩衝体
9 周部緩衝体
10 上フレーム
10A,11A 梁材
11 下フレーム
12 柱材
13 空間
14 支持ネット
15 収容物
16,18 面材
17,19 凸条体
20 ウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を備え、全体直方体あるいは立方体からなり、4つの側面部と1つの底面部を備えた紙製からなる有底の箱本体と、箱本体の上面の開口部を閉塞する紙製からなる蓋体と、を備え、箱本体の内部に収容物を収容可能とする梱包箱において、
箱本体と同様に全体直方体あるいは立方体からなり、上方側に配設され、4本の梁材を接合してなる方形状の上フレームと、下方側に配設され、4本の梁材を接合してなり、上フレームと同等の大きさからなる方形状の下フレームとを備え、さらに隅部同士を上下に対応された上下のフレームの隅部同士を上下方向に立設される4本の各柱材で結合し、上下のフレームおよび各柱材で囲繞される空間を備えて、箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容可能とされる金属製の立体フレームと、
立体フレームのうち、上フレームを構成する4つの各梁材にその周部を支持され、箱本体の内部に立体フレームが収容された状態において、その上部に収容物を載置し、収容物を立体フレームの上下のフレームおよび各柱材で囲繞される空間に載架状態で位置決め可能に収容する支持ネットと、
箱本体の内部に収容された立体フレームの上フレームに支持された支持ネット上に、収容物を載置した状態において、収容物を上方より覆う面材からなり、箱本体の上面開口部が蓋体により閉塞される状態において、蓋体の内底面と支持ネット上の収容物との間の間隙に介装される上部緩衝体と、
を備えたことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
立体フレームは、箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、対向する箱本体の各内側面との間に間隙が形成されるサイズのものとされ、立体フレームが箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、立体フレームの各側面と箱本体の各内側面との間に形成される間隙に、立体フレームを囲繞するように介装可能な周部緩衝体を、さらに備えてなる請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
周部緩衝体は全体紙製のものとされ、該周部緩衝体が、立体フレームが箱本体の内部において各側面が箱本体の対応する内側面に対向するように収容される状態で、立体フレームの各側面と箱本体の各内側面との間に形成される間隙に介装される状態で、立体フレームの各外側面にそれぞれ当接可能な面材と、各面材の外側面周方向に所定間隔をもって配設され、先端を箱本体の内側面に当接可能な凸条体と、により形成してなる請求項2に記載の梱包箱。
【請求項4】
上部緩衝体は、箱本体の内部に立体フレームが収容され、該立体フレームの上フレームに支持された支持ネット上に、収容物を載置した状態において、収容物を上方より覆う紙製の面材と、面材の下面における所定方向に、所定間隔をもって配設され、下端を支持ネット上の収容物に当接可能とする紙製の凸条体と、により形成してなる請求項1に記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−46197(P2012−46197A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187940(P2010−187940)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(593144943)株式会社福井洋樽製作所 (4)
【出願人】(510230182)株式会社バンテック (1)
【Fターム(参考)】