説明

梱包資材及び梱包方法

【課題】容易・確実に器具本体を梱包資材に固定でき、梱包作業の効率を改善する。
【解決手段】梱包資材10は、複数のスリットが形成された位置決め板12と、弾性を有し、位置決め板12のスリットに挿通可能なリブ状の緩衝材14aとを備える。緩衝材14aは、下板142と上板143とから構成される。下板142、上板143のそれぞれは、位置決め板12に固定される部位である固定部142b、143bと、蛍光ランプ本体を取り付ける部位である取付部142a,143aから構成される。固定部142b、143bがスリットを挿通すると、復元力によって位置決め板12に固定される。更に、取付部142a,143aが蛍光ランプ本体の貫通孔を挿通すると、その弾性による復元力によって蛍光ランプ本体を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具を梱包するための梱包資材及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプ(器具)は、運送や保管の際、振動等の外力による破損を防ぐために梱包資材に梱包される。引用文献1には、蛍光ランプを固定するための部品点数を最小限とし、包装時のコストを極力抑えることを課題とした照明器具包装用パルプモールド固定具が梱包資材として開示されている。引用文献1に開示されたパルプモールド固定具は、底部フランジ部と、その中央部に形成された円盤状の凸部と、更にその中央部に形成された突出部と、から構成されている。パルプモールド固定具に保持される照明器具本体は、中央に凹部を有しベースとなる底板を有し、凹部の中央には貫通孔が形成されている。この凹部に、パルプモールド固定具の円盤状の凸部が嵌合し、貫通孔に突出部が貫通することで、パルプモールド固定具は照明器具本体を保持している。この状態で、パルプモールド固定具及び照明器具本体は、ダンボール製の外函に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3055064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、パルプモールド固定具と底板との嵌合部が円形状であるため、それぞれの個体差による曲率半径の違い等により嵌合部に隙間が生じることがあった。このため、パルプモールド固定具と底板との組合せによっては、嵌め込み強度が弱くなり、外函に収納するときにパルプモールド固定具が脱落しやすいという問題があった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、容易・確実に器具本体を梱包資材に固定させ、梱包作業の効率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る梱包資材は、
貫通孔が形成された器具を梱包するための梱包資材であって、
スリットが形成されたベース部材と、
前記貫通孔を介して前記器具を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記スリットの幅よりも大きな厚みを有する弾性材料から形成され、収縮した状態で前記スリットに挿通され、復元力が作用して前記ベース部材に固定される、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点に係る梱包資材は、
貫通孔が形成された器具を梱包するための梱包資材であって、
前記貫通孔を介して前記器具を支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記貫通孔よりも大きな幅を有する弾性材料から形成され、収縮した状態で前記貫通孔に挿通され、復元力が作用することで前記器具を支持する、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点に係る梱包方法は、
梱包資材と、
ケースと、を用い、
前記ベース部材の前記複数のスリットに前記支持部材を挿通させることで、前記ベース部材と前記支持部材とが、前記支持部材の復元力によって固定され、
前記支持部材で前記器具を支持させ、
前記ベース部材、前記支持部材及び前記器具を前記ケースに入れて梱包する、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の観点に係る梱包方法は、
梱包資材と、
ケースと、を用い、
前記器具の貫通孔に前記支持部材を挿通させることで、前記器具と前記支持部材とが、前記支持部材の復元力によって固定され、
前記支持部材及び前記器具を前記ケースに入れて梱包する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容易・確実に器具本体を梱包資材に固定でき、梱包作業の効率を改善することできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る梱包資材を示す斜視図である。
【図2】位置決め板を示す斜視図である。
【図3】緩衝材を示す斜視図である。
【図4】(a)は緩衝材を構成する下板を示す模式図であり、(b)は上板を示す模式図である。
【図5】蛍光ランプ本体が梱包資材に固定された状態を示す斜視図である。
【図6】梱包資材に固定された蛍光ランプ本体にグローブが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】蛍光ランプセットの外周にスペーサが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】蛍光ランプセット及び梱包資材と、これらを収納するケースとを示す斜視図である。
【図9】第1の変形例に係る緩衝材及び位置決め板を示す斜視図である。
【図10】(a)は第1の変形例に係る緩衝材を構成する下板を示す模式図であり、(b)は上板を示す模式図である。
【図11】第2の変形例に係る緩衝材及び位置決め板を示す斜視図である。
【図12】(a)は第2の変形例に係る緩衝材を構成する下板を示す模式図であり、(b)は中板を示す模式図であり、(c)は、上板を示す模式図である。
【図13】第3の変形例に係る緩衝材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る梱包資材の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
本発明の実施形態に係る梱包資材10は、図1に示すように、位置決め板(ベース部材)12と、位置決め板12に嵌合する緩衝材(支持部材)14aとから構成され、後述する蛍光ランプセット30を梱包するものである。
【0014】
位置決め板12は、図2に示すように、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、略六角形状に形成され、その一辺の近傍に第1の曲折部122が延出し、その一辺の対向する他辺に第2の曲折部126が延出している形状を有する。また、位置決め板12の中央には、貫通溝であるスリット120a,120bが交差して形成され、後述する緩衝材14aが嵌められる。
【0015】
第1の曲折部122、第2の曲折部126には、使用者が把持可能なサイズで第1の把手孔124、第2の把手孔127がそれぞれ形成されている。後述する蛍光ランプセット30が梱包資材10に固定された後に、第1の曲折部122、第2の曲折部126が蛍光ランプセット30側に折り曲げられ、使用者は、第1の把手孔124、第2の把手孔127を把持することによって、梱包資材10及び蛍光ランプセット30を容易に持ち運びできることとなる。また、第2の曲折部126には、突起128が第2の把手孔127に突出して形成されている。突起128が、後述するスペーサ50に形成された係止孔504に係止することで、スペーサ50と位置決め板12とが固定されることとなる。
【0016】
緩衝材14aは、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、図3及び図4に示すように、下板142と上板143とが一体的に組み合わされてリブ状に形成されている。ここで、リブ状とは、厚みが薄く、位置決め板12に組み合わせられたときに垂直に延出する形状をいい、板に限定せず任意の形状とする。下板142及び上板143は、それぞれ幅の広い固定部142b,143bと幅の狭い取付部142a,143aとから成る凸状の形状を有する。
【0017】
固定部142b,143bは、スリット120a,120bの幅よりも厚く形成されている。固定部142b,143bが位置決め板12のスリット120a,120bにそれぞれ固定されることによって、緩衝材14aが位置決め板12に一体的に固定されることとなる。
【0018】
取付部142a,143aは、後述する蛍光ランプ本体(器具)300に形成された貫通孔340の孔径よりも長い幅で形成されている。蛍光ランプ本体300は、その下面が固定部142b,143bの上面に当接し、貫通孔340が取付部142a,143aに係合することにより、位置決め板12に取り付けられる。
【0019】
下板142の取付部142aの中心線上において、図4(a)における上下の高さの略半分の長さ、且つ、上板143の厚みよりも短い幅で上面から下面に延びる切り欠き142cが下板142に形成されている。また、上板143の固定部143bの中心線上において、図4(b)における上下の高さの略半分の長さ、且つ、下板142の厚みよりも短い幅で下面から上面に延びる切り欠き143cが上板143に形成されている。このように、下板142及び上板143のそれぞれに切り欠き142c,143cが形成されているために、下板142及び上板143は、切り欠き142c,143cに沿って相互の中心軸が一致するように交差され、一体的に組み合わせられる。
【0020】
蛍光ランプセット30は、図5及び図6に示すように、2本の蛍光ランプ320,322と、これらを支持する蛍光ランプ本体300と、蛍光ランプ本体300の上面を覆うグローブ40と、から主に構成される。
【0021】
蛍光ランプ本体300は、中央に蛍光ランプ320,322側に突出する突起34を有し、突起34の中央には、貫通孔340が形成されている。貫通孔340に緩衝材14aの取付部142a,143aを挿通することによって、蛍光ランプ本体300と緩衝材14aとが嵌合する。
【0022】
グローブ40は、蛍光ランプ本体300の上面を覆うように取り付けられる。グローブ40は、蛍光ランプ320,322を外部から保護するとともに、蛍光ランプ320,322から出射される光を拡散する。
【0023】
スペーサ50は、図7に示すように、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、蛍光ランプセット30の外周を覆うように柵状に形成され、蛍光ランプセット30を保護する。スペーサ50は、蛍光ランプセット30を押圧する押圧板500,502と、一部に係止孔504を有する。
押圧板500と押圧板502とは、図7におけるスペーサ50の一部が上方内側に折り曲げられて形成され、対向して配置される。
位置決め板12の第2の曲折部126に形成された突起128が、係止孔504に係止することによって、スペーサ50は位置決め板12に固定される。
【0024】
次に、梱包資材10を用いた蛍光ランプセット30の梱包方法について説明する。
まず、下板142の中心軸と上板143の中心軸とを一致させるように、下板142の切り欠き142cと上板143の切り欠き143cとを交差させるようにして、下板142と上板143とを組み合わせて、緩衝材14aを組み立てる。このとき、下板142及び上板143はともに弾性を有する材料により形成されているために、組み合わせられた後に復元力が生じ、下板142と上板143とが固定される。
【0025】
次に、緩衝材14aの固定部142b,143bを位置決め板12のスリット120a,120bに差し込む。このとき、緩衝材14a及び位置決め板12はともに弾性を有する材料により形成されているために、差し込まれた後に復元力が生じ、緩衝材14aと位置決め板12とが固定される。
【0026】
次に、蛍光ランプ320,322とともに蛍光ランプ本体300を、貫通孔340を介して、緩衝材14aの取付部142a,143aに、図5における上方から挿入し、緩衝材14aに取り付ける。このとき、緩衝材14aは弾性を有する材料により形成されているために、挿入された後に復元力が生じ、緩衝材14aと蛍光ランプ本体300とが固定される。
【0027】
次に、図6に示すように、グローブ40を蛍光ランプ本体300に被せ、図7に示すように、押圧部500,502を折り返した状態で蛍光ランプセット30の周囲をサポート50で覆う。更に、位置決め板12の第2の曲折部126を図5における上方に折り返し、突起128をサポート50の係止孔504に挿入し、サポート50を位置決め板12に固定する。
【0028】
次に、図8に示すように、蛍光ランプセット30を、位置決め板12及びサポート50とともにケース60に入れる。このようにして蛍光ランプセット30の梱包作業が容易になされる。
【0029】
また、本発明において、サポート50は必須の構成要素ではなく、例えば、所定の保管環境において、蛍光ランプセット30の保護が十分であれば、サポート50を用いずに部品点数を削減するようにしてもよい。
【0030】
本実施形態に係る梱包資材10は、弾性を有する緩衝材14aを備えることで、位置決め板12及び蛍光ランプ本体300との十分な嵌め込み強度をその復元力により確保することができる。このため、ケースに梱包資材を入れる作業においても緩衝材が脱落しにくいため、梱包作業の効率を改善することができる。
【0031】
また、下板142及び上板143のみで緩衝材14aを構成することができ、部品点数を抑えることができ、コスト面にも優れる。
【0032】
更に、下板142及び上板143が、凸状の形状を有するため、取付部142a,143aが位置決め板12との嵌合を確保するとともに、取付部142a,143aの上面で蛍光ランプ本体300を位置決めすることができ、更に、固定部142b,143bで蛍光ランプ本体300と嵌合できる。
【0033】
(第1の変形例)
上記実施形態において、緩衝材14aは、凸状の形状を有する下板142と上板143とから構成されるとして説明したが、本発明は、このような形状に限定されず、位置決め板12に固定され、蛍光ランプ本体300を取付可能であればよく、他の形状であっても良い。次に、この変形例に係る緩衝材(支持部材)14bについて、図9及び図10を参照して説明する。なお、以下において特に言及しない限り、第1の実施形態に係る実施例の構成と同一の構成であるものとして説明する。
【0034】
緩衝材14bは、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、共に平板状の下板144と上板145とが一体的に組み合わされて形成されている。下板144及び上板145は、位置決め板12のスリット121a,121bの幅よりも厚く形成されている。緩衝材14bの下板144と上板145とが位置決め板12のスリット121a,121bに固定されることによって、緩衝材14bが位置決め板12に一体的に固定されることとなる。
【0035】
更に、下板144及び上板145は、蛍光ランプ本体300に形成された貫通孔340の孔径よりも長い幅で形成されている。蛍光ランプ本体300は、その下面が位置決め板12の上面に当接し、貫通孔340が下板144及び上板145に係合することにより、位置決め板12に取り付けられる。
【0036】
下板144の中心線上において、図10(a)における上下の高さの略半分の長さ、且つ、上板145の厚みよりも短い幅で、上面から下面に延びる切り欠き144cが下板144に形成されている。また、上板145の中心線上において、図10(b)における上下の高さの略半分の長さ、且つ、下板144の厚みよりも短い幅で下面から上面に延びる切り欠き145cが上板145に形成されている。このように、下板144及び上板145のそれぞれに切り欠き144c,145cが形成されているために、下板144及び上板145は、切り欠き144c,145cに沿って相互の中心軸が一致するように交差され、一体的に組み合わせられる。
【0037】
緩衝材14bが固定される位置決め板12は、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、位置決め板12の中央には、貫通溝であるスリット121a,121bが交差して形成され、緩衝材14bが嵌められる。
【0038】
上記のように、梱包資材10の緩衝材は凸状の板によって構成されるものに限らず、単に平板状で構成される緩衝材14bであってもよい。このような構成であっても、蛍光ランプ本体300の下面を位置決め板12の上面に当接させることで、蛍光ランプ本体300を位置決めすることができる。
【0039】
(第2の変形例)
上記実施形態において、緩衝材14a,14bは、2枚の板材から構成されるとして説明したが、3枚以上の板材から構成されるようにしても良い。以下に、3枚の板材から形成される緩衝材(支持部材)14cについて、図11及び図12を参照して説明する。なお、以下において特に言及しない限り、第1の実施形態に係る実施例の構成と同一の構成であるものとして説明する。
【0040】
緩衝材14cは、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなり、下板146と中板147と上板148とが一体的に組み合わされて形成されている。下板146、中板147及び上板148は、それぞれ幅広の固定部146b,147b,148bと幅狭の取付部146a,147a,148aとから成る凸状の形状を有する。
【0041】
固定部146b,147b,148bは、位置決め板12のスリット120a,120b,120cの幅よりも厚く形成されている。固定部146b,147b,148bが位置決め板12のスリット120a,120b、及びスリット120a,120bの中心にその中心が交差して形成されたスリット120cにそれぞれ固定されることによって、緩衝材14c(下板146、中板147及び上板148)は、位置決め板12に一体的に固定されることとなる。
【0042】
取付部146a,147a,148aは、蛍光ランプ本体300に形成された貫通孔340の孔径よりも長い幅で形成されている。蛍光ランプ本体300は、その下面が固定部146b,147b,148bの上面に当接し、貫通孔340が取付部146a,147a,148aに係合することにより、位置決め板12に取り付けられる。
【0043】
下板146の中心線上において、図12(a)における上下の高さの略3分の2の長さ、且つ、中板147及び上板148の厚みよりも短い幅で上面から下面に延びる切り欠き146cが下板146に形成されている。
また、中板147の中心線上において、図12(b)における上下の高さの略3分の1の長さ、且つ、上板148の厚みよりも短い幅で、上面から下面に延びる切り欠き147cが中板147に形成され、更に、上下の高さの略3分の1の長さ、且つ、下板146の厚みよりも短い幅で、下面から上面に延びる切り欠き147dが中板147に形成されている。
また、上板148の中心線上において、図12(c)における上下の高さの略3分の2の長さ、且つ、下板146の厚みよりも短い幅で下面から上面に延びる切り欠き148cが上板148に形成されている。
【0044】
次に、緩衝材14cの組立手順について説明する。
【0045】
まず、下板146の中心軸と中板147の中心軸とを一致させるように、下板146の切り欠き146cと中板147の切り欠き147dとを交差させるようにして、下板146と中板147とを組み合わせる。このとき、下板146及び中板147はともに弾性を有する材料により形成されているために、組み合わせられた後に復元力が生じ、下板146と中板147とが固定される。
【0046】
次に、中板147の中心軸と上板148の中心軸とを一致させるように、中板147の切り欠き147cと上板148の切り欠き148cとを交差させるようにして、中板147と上板148とを組み合わせる。このとき、中板147及び上板148はともに弾性を有する材料により形成されているために、組み合わせられた後に復元力が生じ、中板147と上板148とが固定される。
このように、下板146と中板147と上板148とが、組み合わせられて緩衝材14cが形成される。
【0047】
緩衝材14cが固定される位置決め板12は、ダンボール、合成樹脂等の弾性を有する材料からなる。図11に示すように、位置決め板12の中央には、貫通溝であるスリット120a,120b,120cが互いに中央で交差して形成されている。
【0048】
緩衝材14cと位置決め板12とは、固定部146b,147b,148bがスリット120a,120c,120bにそれぞれ差し込まれ、それぞれの弾性による復元力によって嵌合する。
【0049】
第2の変形例に係る緩衝材14cによれば、2枚の板材から構成される緩衝材14a,14bよりも、スリット及び蛍光ランプ本体300との嵌め込み強度を大きくすることができる。
【0050】
(第3の変形例)
第3の変形例に係る緩衝材(支持部材)14dは、図13に示すように、第1の実施例に係る緩衝材14aに後述する係合突起142d,142e,142f,143d,143e,143fを形成したものである。この構成について以下に説明する。なお、以下において特に言及しない限り、第1の実施形態に係る実施例の構成と同一の構成であるものとして説明する。
【0051】
緩衝材14dを構成する下板142は、固定部142bの両端面における下部及び上部にそれぞれ係合突起142d,142eを備え、取付部142aの両端面における上部に係合突起142fを備える。
また、緩衝材14dを構成する上板143は、固定部143bの両端面における下部及び上部にそれぞれ係合突起143d,143eを備え、取付部142aの両端面における上部に係合突起143fを備える。
【0052】
係合突起142d、143dは、下端から中央に向かって所定の位置まで外側に延出するように傾斜して形成されている。また、係合突起142e、143eは、上端から中央に向かって所定の位置まで外側に延出するように傾斜して形成されている。係合突起142dと係合突起142eとの互いに対向する面は平行に形成され、係合突起143dと係合突起143eとの互いに対向する面も平行に形成されている。また、係合突起142dと係合突起142eとの互いに対向する面の間隔、及び係合突起143dと係合突起143eとの互いに対向する面の間隔は、位置決め板12の厚み幅と略同一である。
【0053】
緩衝材14dの一部である係合突起142d,142e,143d,143eは弾性を有するため、位置決め板12のスリット120a,120bに緩衝材14dを上から組み付ける際、係合突起142d,143dは、スリット120a,120bの壁に押圧されて収縮し、スリット120a,120bを通り抜けた後に復元する。更に、係合突起142d,143dが位置決め板12を通り抜ける位置にあるときに、位置決め板12の上面が係合突起142e,143eの下面に当接する。このため、緩衝材14dが位置決め板12から上方及び下方に抜脱することをより一層防ぐことができる。このことは、位置決め板12のスリット120a,120bに下から緩衝材14dを組み付ける際にも同様の作用・効果を生じる。
【0054】
下板142及び上板143の取付部142a,143aの両端上部に形成された係合突起142f、143fは、上端から中央に向かって所定の位置まで外側に延出するように傾斜して形成されている。また、係合突起142f,143fの図13における下面は水平に形成されている。また、係合突起142f,143fの下面と固定部142b,143bの上面との間隔は、蛍光ランプ本体300における固定部142b,143bに接触する部位から突起34の上面との間隔と略同一である。
【0055】
緩衝材14dの一部である係合突起142f,143fは弾性を有するため、蛍光ランプ本体300の貫通孔340を緩衝材14dの取付部142a,143aに通し、蛍光ランプ本体300を緩衝材14dに上から組み付けられる際、係合突起142f,143fは、貫通孔340の壁に押圧されて収縮し、貫通孔340を通り抜けた後に復元する。更に、係合突起142f,143fが貫通孔340を通り抜ける位置にあるときに、突起34の上面が係合突起142f,143fの下面に当接する。このため、蛍光ランプ本体300が緩衝材14dから上方に抜脱することをより一層防ぐことができる。
【0056】
第3の変形例に係る緩衝材14dによれば、位置決め板12及び蛍光ランプ本体300が緩衝材14dから抜け落ちることをより一層防ぐことができる。更に、位置決め板12及び蛍光ランプ本体300の位置を安定させることができ、運送等によって長時間往復応力が付加されたとしても、位置決め板12及び蛍光ランプ本体300の緩衝材14dからの抜脱を防ぐことができる。
【0057】
なお、第3の変形例に係る緩衝材14dは、緩衝材14aの一部に係合突起142d,142e,142f,143d,143e,143fが形成されているものとして説明したが、これに限らず、第1の変形例に係る緩衝材14b、第2の変形例に係る緩衝材14cの一部に形成するようにしてもよい。
【0058】
また、係合突起142d,142eは、固定部142bの両端面における下部及び上部にそれぞれ形成され、係合突起143d,143eは、固定部143bの両端面における下部及び上部にそれぞれ形成されているとして説明したが、位置決め板のスリットとの係合を保つという機能を備えることができれば、この構成に限定されない。たとえば、固定部142b,143bの両側面における下部及び上部に形成するようにしてもよく、上部のみ又は下部のみに係合突起を形成してもよい。
【0059】
本発明に係る緩衝材を構成する部材については、機器本体を二方向以上で支持できるのであれば、一つの部材、又は複数の部材から構成されるようにしてもよい。例えば、緩衝材は、合成樹脂を用い鋳造等によって一体的に形成されるものでもよい。また、緩衝材は、板材の切り込みが互いに重なり合って組み立てられるとして説明したが、板材の側面に接着材等によって接着されて形成されるようなものであってもよい。
【0060】
また、梱包する対象を蛍光ランプセットとして説明したが、これに限らず、他のものであってもよい。
【0061】
また、複数のスリットは交差して形成されているとして説明したが、これに限定せず、例えば、分離して形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10:梱包資材
12:位置決め板(ベース部材)
120a,120b: スリット
120a,120b,120c:(第2の変形例に係る)スリット
121a,121b:(第1の変形例に係る)スリット
14a:緩衝材(支持部材)
14b:(第1の変形例に係る)緩衝材(支持部材)
14c:(第2の変形例に係る)緩衝材(支持部材)
14d:(第3の変形例に係る)緩衝材(支持部材)
142:下板
142a,143a:取付部
142b,143b:固定部
142d,142e,142f,143d,143e,143f:係合突起
143:上板
144:(第1の変形例に係る)下板
145:(第1の変形例に係る)上板
146:(第2の変形例に係る)下板
146a,147a,148a:(第2の変形例に係る)取付部
146b,147b,148b:(第2の変形例に係る)固定部
147:(第2の変形例に係る)中板
148:(第2の変形例に係る)上板
30:蛍光ランプセット
300:蛍光ランプ本体(器具)
320,322:蛍光ランプ
340:貫通孔
60:ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された器具を梱包するための梱包資材であって、
スリットが形成されたベース部材と、
前記貫通孔を介して前記器具を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記スリットの幅よりも大きな厚みを有する弾性材料から形成され、収縮した状態で前記スリットに挿通され、復元力が作用して前記ベース部材に固定される、
ことを特徴とする梱包資材。
【請求項2】
前記ベース部材は、複数のスリットが形成されており、
前記支持部材は、前記ベース部材に直交する向きでそれぞれ交差し、前記スリットに挿通される複数の板状の部材で形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の梱包資材。
【請求項3】
前記複数の板状の部材は、凸状の形状を有し、
前記凸状の形状のうち幅の広い部位が前記スリットに固定され、
前記凸状の形状のうち幅の狭い部位が前記貫通孔を介して前記器具を支持する、
ことを特徴とする請求項2に記載の梱包資材。
【請求項4】
前記支持部材は、前記スリットに接触する面において、前記スリットへの挿入方向の逆方向に傾斜して突出する突起を有し、
前記支持部材及び前記突起が収縮した状態で前記スリットを挿通し、復元力が作用して前記突起の側面に前記ベース部材が係合する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の梱包資材。
【請求項5】
貫通孔が形成された器具を梱包するための梱包資材であって、
前記貫通孔を介して前記器具を支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記貫通孔よりも大きな幅を有する弾性材料から形成され、収縮した状態で前記貫通孔に挿通され、復元力が作用することで前記器具を支持する、
ことを特徴とする梱包資材。
【請求項6】
前記支持部材は、前記器具に直交する向きでそれぞれ交差する複数の板状の部材で形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の梱包資材。
【請求項7】
前記支持部材は、前記貫通孔に接触する側面において、前記器具への挿入方向の逆方向に傾斜して突出する突起を有し、
前記支持部材及び前記突起が収縮した状態で前記貫通孔を挿通し、復元力が作用して前記突起の側面に前記器具が係合する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の梱包資材。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の梱包資材と、
ケースと、を用い、
前記ベース部材の前記複数のスリットに前記支持部材を挿通させることで、前記ベース部材と前記支持部材とが、前記支持部材の復元力によって固定され、
前記支持部材で前記器具を支持させ、
前記ベース部材、前記支持部材及び前記器具を前記ケースに入れて梱包する、
ことを特徴とする梱包方法。
【請求項9】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の梱包資材と、
ケースと、を用い、
前記器具の貫通孔に前記支持部材を挿通させることで、前記器具と前記支持部材とが、前記支持部材の復元力によって固定され、
前記支持部材及び前記器具を前記ケースに入れて梱包する、
ことを特徴とする梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−105329(P2011−105329A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260627(P2009−260627)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】